特許第6233936号(P6233936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特許6233936-ウェハをダイに分割する方法 図000002
  • 特許6233936-ウェハをダイに分割する方法 図000003
  • 特許6233936-ウェハをダイに分割する方法 図000004
  • 特許6233936-ウェハをダイに分割する方法 図000005
  • 特許6233936-ウェハをダイに分割する方法 図000006
  • 特許6233936-ウェハをダイに分割する方法 図000007
  • 特許6233936-ウェハをダイに分割する方法 図000008
  • 特許6233936-ウェハをダイに分割する方法 図000009
  • 特許6233936-ウェハをダイに分割する方法 図000010
  • 特許6233936-ウェハをダイに分割する方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233936
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ウェハをダイに分割する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20171113BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20171113BHJP
【FI】
   H01L21/78 M
   H01L21/78 F
   H01L21/78 B
   B23K26/364
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-230840(P2015-230840)
(22)【出願日】2015年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-127273(P2016-127273A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2015年11月26日
(31)【優先権主張番号】10 2014 227 005.7
(32)【優先日】2014年12月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】カール ハインツ プリーワッサー
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−123568(JP,A)
【文献】 特開2008−258282(JP,A)
【文献】 特開2004−014956(JP,A)
【文献】 特開2010−056562(JP,A)
【文献】 特開2013−135038(JP,A)
【文献】 特開2003−234455(JP,A)
【文献】 特開2014−135348(JP,A)
【文献】 特開2011−159679(JP,A)
【文献】 特開2014−165246(JP,A)
【文献】 特開2014−165388(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/081880(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/364
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割ラインによって区切られた複数のデバイスを備えたデバイス領域(2)と、前記デバイス領域(2)の周りにデバイスが形成されない周辺限界領域(3)とを一面(1)に有するウェハ(W)をダイに分割する方法であって、
前記ウェハ(W)の前記一面(1)に前記ウェハ上のデバイスを保護する為の接着テープ(4)を付けるステップであって、前記接着テープ(4)が全部のデバイスに接着する、ステップと、
接続手段(10)によって、前記デバイスと接触する前記面の反対側にある前記接着テープ(4)の面に、前記接着テープ(4)を支持する為のキャリア(7)を接続するステップと、
前記ウェハの高さを調整する為に前記一面(1)の反対側にある前記ウェハ(W)の面(6)を研削するステップと、
前記分割ラインに沿って前記ウェハ(W)を切断するステップと、
を備え、
前記接続手段(10)は、環状形状を呈し、前記ウェハ(W)の中央部に延びず、
前記ウェハ(W)は、前記ダイが互いに分離されるように完全に分割されることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
接続手段(10)は、接着特性を呈し、前記接着特性は、エネルギの入力によって取り外し可能であり、前記接続手段(10)は、UV硬化性接着剤、熱硬化性接着剤、それらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
キャリア(7)および接着テープ(4)の間の接続を解除する為に前記接続手段(10)にエネルギを入力するステップと、
前記キャリア(7)を前記接着テープ(4)から取り除くステップと、
を更に有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接続手段(10)の挿入の為に前記キャリア(7)において、凹部を形成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ウェハ(W)の一面(1)が、レーザによって部分的に切断され、前記ウェハの更なる領域が機械的に切断される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ウェハの更なる領域が、前記ウェハ(W)の前記一面(1)から、或いは、前記一面(1)の反対側にある前記ウェハ(W)の面(6)から、機械的に切断される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記一面(1)の反対側にある前記ウェハ(W)の面(6)は、部分的に機械的に切断され、前記ウェハ(W)の更なる領域は、前記一面(1)の反対側にある前記ウェハ(W)の前記面(6)からレーザによって切断される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ウェハの前記切断は、前記ウェハの研削前に行われる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記列挙された順序で請求項1に記載のステップが行われる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記デバイスに接触する表面の反対側にある前記接着テープ(4)の表面は、前記一面(1)の反対側にある前記ウェハ(W)の前記表面と平行にされている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ウェハ(W)の研削された表面に接着性ピックアップテープ(11)を付けるステップを更に有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記キャリア(7)は、シリコンおよび/またはガラスで形成される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に従う、複数の分割ラインによって区切られた複数のデバイスを備えたデバイス領域と、そのデバイス領域の周りにデバイスが形成されない周辺限界領域とを一面に有するウェハをダイに分割する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
【0003】
半導体デバイス製造処理では、複数の分割ラインによって区切られた複数のデバイスを備えたデバイス領域と、そのデバイス領域の周りにデバイスが形成されない周辺限界領域とを一面に有するウェハが個々のダイに分割される。この製造処理は、一般的に、ウェハの高さを調整する研削ステップと、ダイを得る為に分割ラインに沿ってウェハを切断する切断ステップとを備える。この製造処理中、ウェハに形成されたデバイスを保護し、個々のダイを位置決めするため、上部にデバイスが形成されたウェハ面に接着テープが付けられる。しかしながら、接着テープは、製造処理中、接着テープに付けられる個々のダイに位置ずれが生じるという欠点のため、簡単に変形可能である。そのようなダイのずれ(shift)は、ダイピックアップを悪化させ、複雑かつ高価な製造機を必要とする。
【0004】
出願人は、接着テープを支持する為にキャリアがウェハに付けられる、ウェハを分割する方法を承知している。キャリアは、剛性の、硬い材料から形成され、それが接着テープの全面に接着されるので、ダイのずれを排除あるいは少なくとも実質的に減少させる。その結果、あまり複雑ではなく、したがって、安価な製造機が提供可能になる。
【0005】
しかしながら、そのキャリアを使用する既知のデバイス製造処理は、単価が増すという欠点がある。
【0006】
【概要】
【0007】
したがって、本発明は、低単価でダイのずれを排除可能な、ダイにウェハを分割する為の方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、当該技術の状態において、当該方法における比較的に高い単価が以下の要因によって主として引き起こされるという考えに基づく。キャリアからウェハを剥がす処理において、ウェハは大きな曲げ応力を受け、これが、そのウェハの割れ、及び/又は、そのウェハ上に形成されたデバイスに損傷を与える場合がある。キャリアの剥離処理におけるウェハの曲げのため、部分的に分離されたダイは、互いに触れるので、損傷を受ける場合がある。さらに、大きな曲げ応力も、その剥離の際、キャリアに作用する。そのため、取り外し処理において、キャリアも同様に、危うくされ、或いは、壊れさえする場合があり、その再使用ができなくなる。前述の理由のため、ウェハは、とてもゆっくりと慎重にキャリアから剥離されなければならず、これが、生産性の減少、すなわち、1時間当たりの処理済みユニットの生産量の減少、したがって、処理コストの増加になる。
【0009】
前述された欠点は、キャリアが、その全体表面領域にわたって接着テープに接着されている点に起因していることを発明者が見つけ出した。それゆえに、大きな接着領域のため、ウェハからのキャリアの剥離は大きな曲げ応力を発生させ、これらが、おそらくウェハ及び/又はキャリアに損傷を与える原因になる。さらに、デバイスおよび接着領域は互いに上方に位置づけられているので、キャリアの剥離を可能にする為の接着領域の処置は、おそらくデバイスに損傷を与える。その結末は、比較的に高い不良率になり、これが高単価を導く。
【0010】
そのため、複数の分割ラインによって区切られた複数のデバイスを備えたデバイス領域と、そのデバイス領域の周りに形成されたデバイスの無い周辺限界領域とを一面に有するウェハをダイに分割する本発明の方法は、ウェハの一面に、ウェハ上のデバイスを保護する為の接着テープを付けるステップであって、接着テープは少なくとも一部、任意で全てのデバイスに接着する、前記ステップと、接続手段によって、当該デバイスに接触する一面の反対側にある接着テープの一面に接着テープを支持するため、接着テープより硬く剛性のある材料で形成されたキャリアを接続するステップと、ウェハの高さを調整するため、一面の反対側にあるウェハの面を研削するステップと、前記分割ラインに沿ってウェハを切断するステップと、を有し、上面視においてウェハのデバイス領域の完全な外側に接続手段を配置することによって特徴付けられる。キャリアは、硬く、更に/又は剛性の(撓まない)キャリアである。
【0011】
そのため、本発明の方法は、キャリアと接着テープが接続される領域を著しく減少させる。したがって、おそらくキャリアは剥離の際に損傷を受けない。さらに、キャリア剥離を可能にする為の接続手段の処置の際、デバイスは、接続手段が存在する領域から離れて配置されるので、簡単に損傷を受けない。その結果、ダイのずれ問題を緩和し、不良率が減少されることから低単価を可能にする、ウェハをダイに分割する方法が提供される。
【0012】
前述された方法は、研削が切断の前に行われるように、列挙された順序で行われてもよい。これは、裏面、すなわち、デバイスが存在しない面からウェハを切断することを可能にする。したがって、デバイスの損傷のリスクは減少され、更に不良率を緩和し、単価を減少させる。
【0013】
接続手段は、接着特性を呈してもよく、エネルギの入力のような外部刺激によって取り外すことができ、好ましくは、UV硬化性接着剤、熱硬化性接着剤、それらの組合せを含む。したがって、キャリアの簡単かつ非接触性剥離が可能であり、キャリアの損傷リスクを緩和し、低い単価を可能にする。あるいは、接続手段は、水溶性接着剤を含んでもよい。
【0014】
この方法は、キャリア及び接着テープの間の接続を解除し、接着テープからキャリアを取り外す為に、接続手段にエネルギを入力するステップと有してもよい。
【0015】
接続手段は、環状形状を呈してもよい。これが導く利点は、所定位置に接着テープを固定する為の十分に大きな接続領域と、低い損傷リスクでキャリアの剥離を可能にする為の十分に小さな接続領域との間で良好な歩み寄りが達成されることである。さらに、環状形は、安くて複雑でない接続手段の処理を可能にする。さらに、環状形状は、良好な程度までダイずれが防止可能であるように、キャリア上に接着テープが良く固定される。
【0016】
この方法は、接続手段の挿入のため、キャリアに凹部、好ましくは、環状凹部を形成するステップを有してもよい。これは、接続手段のキャリアへの一体化を可能にする。そのため、簡単に取り扱えるウェハ及びキャリアのセットが提供される。さらに、キャリアは比較的に硬く剛性材料で形成される点で、凹部は、内部に高精度で簡単に形成可能である。したがって、当該方法は良好な処理品質を可能にする。あるいは、凹部は接着テープに、或いは、接着テープ及びキャリアを組み合わせて形成されてもよい。
【0017】
ウェハの一面、換言すると、デバイスが形成されるウェハの面は、レーザによって、完全に又は部分的に切断され(半分に切断され、または溝が付けられ)、ウェハの更なる領域は、機械的に切断される。ウェハの更なる領域は、ウェハの一面から、或いは、この一面と反対側にあるウェハの面から機械的に切断されてもよい。上部にデバイスが形成されたウェハの面は、しばしば砕けやすい低k層(low-k layer)を呈するため、レーザを用いた切断は、良好な処理品質を確実にする。更なる、好ましい、残りのウェハ領域の機械的切断は、切断深さの高精度の調整を可能にする。
【0018】
この一面の反対側にあるウェハの面は、機械的に部分的に切断されてもよく、ウェハの更なる領域は、この一面の反対側にあるウェハの面からレーザによって切断されてもよい。好ましくは、ウェハの残りの領域、すなわち、その区域または部分的切断又は切断が形成された区域において、その高さ方向又は厚さ方向におけるウェハの残部は、この一面の反対側にあるウェハの面からレーザによって切断される。
【0019】
ウェハの切断は、ウェハの研削前に行われてもよい。これは、ウェハが著しい厚さを依然として呈するときの切断を可能にする。したがって、ウェハの反り及び/又は切断の発生(breaking out)を防止することができ、処理品質の向上になる。
【0020】
当該方法は、デバイスが形成される一面の反対側のウェハの表面と、デバイスに接触する表面の反対側にある接着テープの表面とを平行にするステップを含んでもよい。これは、より高い処理精度を与え、高い処理品質を導く。
【0021】
この方法は、接着性ピックアップテープを、ウェハの研削済み表面に付けるステップを更に有してもよい。このステップは、接着性ピックアップテープによってダイが保持されることから、ウェハの一面から接着性テープ、接着テープからキャリアの簡単な剥離を可能にする。接着性ピックアップテープは、径方向に伸ばせるように更に構成されてもよい。それから、当該方法は、ダイ間の距離を増やすために接着性ピックアップテープを伸ばすステップを有し、より簡単なダイのピックアップを可能にしてもよい。
【0022】
キャリアは、ガラス及び/又はシリコンで形成されてもよい。キャリアがガラスで形成される場合、接続手段へのエネルギ入力は、ガラスを通して送ることができる放射線、例えば、UV線を用いて可能である。キャリアがシリコンで形成される場合、安いキャリアが提供される。また、2つの材料の組合せも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態に従ってウェハを分割する為の方法の第1ステップを示す横断面図である。
図2図2は、本発明の好ましい実施形態に従ってウェハを分割する為の方法の第2ステップを示す横断面図である。
図3図3は、本発明の好ましい実施形態に従ってウェハを分割する為の方法の第3ステップ、第4ステップ、第5ステップを示す横断面図である。
図4図4は、図3における区域Aの拡大図である。
図5図5は、本発明の好ましい実施形態に従ってウェハを分割する為の方法の第6ステップを示す横断面図である。
図6図6は、本発明の好ましい実施形態に従ってウェハを分割する為の方法の第7ステップを示す横断面図である。
図7図7は、本発明の好ましい実施形態に従ってウェハを分割する為の方法の第8ステップを示す横断面図である。
図8図8は、本発明の好ましい実施形態に従ってウェハを分割する為の方法の第9ステップを示す横断面図である。
図9図9は、本発明の好ましい実施形態に従ってウェハを分割する為の方法の第10ステップを示す横断面図である。
図10図10は、本発明の好ましい実施形態に従ってウェハを分割する為の方法の第11ステップを示す横断面図である。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0025】
以下の好ましい実施形態は、ウェハWをダイに分割する為の方法に関する。ウェハWは、MEMSウェハでもよく、MEMSウェハは、その一面にデバイスが形成され、以下の説明ではパターン面1と呼ぶ。しかしながら、ウェハWは、MEMSウェハに限定されるものではなく、そのパターン面に形成されたCMOSデバイス、好ましくは、固体撮像装置のようなものでもよい。ウェハWは、シリコンで形成可能である。そのようなシリコンウェハWは、シリコン基板上のLSI(大規模集積回路)やIC(集積回路)のようなデバイスを含んでもよく、或いは、セラミック、ガラス、サファイヤの有機材料にLED(発光ダイオード)のような光学デバイスを形成することによって構成される光学デバイスでもよい。ウェハWは、これに限定されるものではなく、他の方法で形成可能である。さらに、前述された例示的ウェハ設計の組合せも可能である。ウェハは、μm範囲の研削前に、好ましくは、625〜925μmの範囲にある。
【0026】
ウェハWは、そのパターン面1に形成されたストリートと呼ばれる複数の交差分割ラインで円形状を呈するのが好ましく、それによって、前述されたようなデバイスがそれぞれ形成される複数の矩形区域にウェハWが区切られる。これらのデバイスは、例えば、図4に図示されるように、好ましくは、デバイス領域2と呼ばれるウェハWの中央領域に形成される。円形ウェハWの場合、このデバイス領域2は、好ましくは、円形であり、ウェハWの外周と同心で配置される。デバイス領域2は、環状周辺限界領域3によって囲まれ、環状周辺限界領域3は、例えば、図4に図示されるように、デバイス領域2を囲む。この周辺限界領域3にはデバイスが形成されない。周辺限界領域3は、好ましくは、ウェハWの外周および/またはデバイス領域2に対して同心で配置される。周辺限界領域3の径方向拡張部は、mm範囲でもよく、好ましくは、1−3mmである。
【0027】
以下、図1図10を参照して、本発明の好ましい実施形態にしたがって、ウェハWを分割する為の方法を説明する。
【0028】
図1は、本発明の好ましい実施形態に従うウェハを分割する為の方法の第1ステップの結果を表す。第1ステップにおいて、接着テープ4は、ウェハWのパターン面1に付けられる。換言すると、パターン面1は、接着テープ4に積層される。接着テープ4は、好ましくは、ウェハWと同一形状を有し、同心でウェハWに付けられる。ウェハWに付けられるとき、接着テープ4は、パターン面1のデバイス領域2に形成されたデバイスに付けられる。接着テープ4は、ウェハWのデバイス領域2に形成されたデバイスの保護を可能にする。
【0029】
図2は、本発明の好ましい実施形態に従う、ウェハを分割する為の方法の第2ステップを示す。この第2ステップは、この好ましい実施形態に従う方法のオプションである点に留意されたい。この第2ステップにおいて、接着テープ4の表面は、ウェハWから離れた位置に置かれ、ウェハWの表面に対して平行にされ、ウェハWの表面は、接着テープ4から離れた位置に置かれる。デバイスはウェハWのパターン面1に形成されるという点に起因して、接着テープ4の最上面5は、その下に形成されるデバイスのため、不均一な表面プロファイルを呈する場合がある。この最上面5の最下地点(ウェハWに最も近い表面地点)と、この最上面5の最高地点(ウェハWから最も遠い地点)との間の距離は、およそ70μmである。この第2ステップにおける平行化(parallelization)を通じて、この距離は、例えば、およそ2μmまで減少される。平行化はチャックテーブルでウェハWをチャックすること、例えば、圧延デバイスの機械加工平面がウェハWの裏面6に対して平行に向けられるように最上面5に沿って圧延デバイス移動させることによって達成されるのが好ましい。積層された接着テープ4を備えたウェハWの全体の厚さの値は、この第2ステップによって改善可能である。
【0030】
図3及び図4は、好ましい実施形態に従うウェハを分割する為の方法の第3ステップ、第4ステップ、第5ステップの結果を呈す。この好ましい実施形態の第3ステップにおいて、硬いキャリア7が準備される。硬いキャリア7は、接着テープ4の材料より著しく硬く、より剛性の材料で形成されるのが好ましい。硬いキャリア7は、例えば、シリコン、ガラス、それらの組合せから形成される。好ましくは、硬いキャリア7は、図3に示されるように、接着テープ4と一致して形成され、同心に配置される。硬いキャリア7は、例えば、500−1000μmの高さを呈してもよい。
【0031】
この実施形態のオプションである、好ましい実施形態の第4ステップにおいて、環状凹部8(例えば、切欠き部)は、図4に示されるように、硬いキャリア7に同心で形成される。好ましくは、環状凹部8は、横断面で矩形プロファイルを有し、更に/又は、硬いキャリア7の外周面9から径方向内側に延びている。硬いキャリア7の高さ方向において、凹部8は、キャリアの高さの、およそ半分に沿って延びている。硬いキャリア7は、外環状部分sを呈し、これは、ウェハWの外周囲9から径方向内側に延びるのが好ましい。環状部分sは、硬いキャリア7が接着テープ4に同心で付けられるとき、ウェハWの周辺限界領域3と一致するのが好ましい。凹部8の拡張及び配置は、外環状部分sの範囲内になるように定められている。したがって、硬いキャリア7が接着テープ4に同心で付けられるとき、凹部8は、図4に示されるように、その最上視において、ウェハWのデバイス領域2に延びない。凹部8も同様に、硬いキャリア7の外周囲9から径方向内側にずらされる径方向位置から始まる点に留意されたい。さらに、矩形プロファイルとは異なるプロファイル、例えば、三角形プロファイル又は半円形プロファイル等も可能である。
【0032】
この好ましい実施形態の第5ステップにおいて、硬いキャリア7は、接着テープ4の最上面5に同心で付けられる。硬いキャリア7と接着テープ4は一致して形成されるという点で、これら2つの部分は、この好ましい実施形態において、連続した周囲面を形成する。硬いキャリア7を接着テープ4に付けることは、接続手段10によって達成され、接続手段10は、硬いキャリア7に損傷を与えることなく、接着テープ4から硬いキャリア7の後の剥離を可能にする。
【0033】
接続手段には、エネルギ(例えば、UV線)の適用によって影響される接着特性を呈してもよい(例えば、UV硬化性接着剤)。接着剤は、好ましくは、両面テープ形式のUV硬化性接着剤10でもよい。テープ10は、硬いキャリア7を接着テープ4に付ける為に硬いキャリア7の凹部8に設けられる。凹部8の構成のため、テープ10は、完全にウェハWの周辺限界領域3に置かれるので、図4に示されるように、デバイス領域2の中には延びない。ウェハW、接着テープ4、硬いキャリア7は、この第5ステップにおいて、一定の、又は、およそ一定の直径を備えたユニットを形成する。このユニット、特に接着テープ4は、構造的に剛性の硬いキャリア7によって支持され、キャリア7は、凹部8に設けられたテープ10のUV硬化性接着剤で接着テープ4に付けられる。UV硬化性接着剤10が接続手段として使用されるとき、硬いキャリア7はガラスで形成されるのが好ましい。接着剤がその接着特性を失い損傷を受けることなくキャリア7が簡単に剥離可能になるように、凹部8内の接着剤10を硬化させるため、これが、UV線のキャリア7の貫通を可能にする。
【0034】
あるいは、UV硬化性接着剤10の代わりに、熱硬化性テープ、好ましくは、両面テープは、接着テープ4に硬いキャリア7を付ける為の接続手段として使用可能である。このテープは、硬いキャリア7の凹部8に配置されるのが好ましい。そのような熱硬化性テープは、熱を熱硬化性テープに加えることによって、キャリア7に損傷を有することなく、接着テープ4から硬いキャリア7の簡単な剥離を可能にする。この構成は、何も透過性を必要としないので、硬いキャリア7の為の材料としてシリコンの使用を可能にする。あるいは、水溶性接着剤が使用可能である。
【0035】
接続手段が、投与される液体接着剤の形式で提供されることも可能である。液体接着剤は、乾燥し、接着テープ4と硬いキャリア7を互いに接続する。この接着剤は、凹部8に配置可能である。凹部8は、接着テープ4の周囲面、硬いキャリア7の周囲面、或いは、両方に設けることができる。液体接着剤は、その後、凹部の範囲内で、接着テープ4と硬いキャリア7の境界に設けることができる。凹部8は、三角形横断面を呈してもよい。何も凹部が設けられないことも可能である。接着テープ4から硬いキャリア7を剥離するため、ナイフや他の機械的な切断デバイスが使用可能であり、損傷を与えることなく、接着テープ4から硬いキャリア7を剥離する。あるいは、液体接着剤は、UV線や熱のような外部刺激によって硬化可能であってもよい。この場合、硬いキャリア7は、外部刺激を接着剤に加えることによって接着テープ4から剥離可能なので、接着剤を硬化させ、その接着力を低下させ、後に、接着テープ4から硬いキャリア7を取り外す。さらに、液体接着剤は、水溶性接着剤でもよく、水を接着剤に加えることによって、硬いキャリア7を接着テープ4から取り外すことを可能にする。
【0036】
接続手段の上記構成の全てにおいて、接続手段は、硬いキャリア7の外環状部分sに置かれるだけなので、ウェハWのデバイス領域には延びない。
【0037】
図5は、この好ましい実施形態の第6ステップの結果を示す。この第6ステップにおいて、接着テープ4が付けられるウェハWは、硬いキャリア7が接着テープ4に装着される場合、研削デバイスで裏面6から所望の厚さまで研削される。この厚さは、ダイの最終的な厚さでもよい。そのような研削デバイスは、一つ以上のダイヤモンドホィールを含んでもよい。
【0038】
この好ましい実施形態の第7ステップにおいて、ウェハWは、その裏面6から、そのパターン面1に形成されたストリートに沿って、鋸のような機械的切断デバイスで、裏面から切断される。この切断は、この第7ステップによって互いに分離されるように完全な切断でもよい。あるいは、切断は、高さ方向に一部のウェハ材料を残すいわゆる半分切断だけでもよい。図6は、第7ステップにおいて、そのような半分切断を表す。
【0039】
第7ステップにおいて、半分切断だけが行われる場合、ウェハWは、第8ステップにおいてダイ13が互いに分離されるように完全に切断されるが、その結果は図7に示されている。この第8ステップにおいて、ストリートに沿った高さ方向におけるウェハWの残りのシリコンは、ウェハWの裏面6からレーザで切断される。ウェハWが、そのパターン面1で、いわゆる低k材料を呈する場合、これは特に利点である。そのような低k材料は、非常に脆い。レーザを用いた切断は、良好な切断品質を確実にする。ダイ13が完全に互いに分離された後、それらは、それぞれ、接着テープ4に接着し、図7に示されるように、これに硬いキャリア7が付けられる。
【0040】
好ましい実施形態の第9ステップにおいて、その結果が図8に示され、それぞれ接着テープおよび硬いキャリア7によって保持された個々のダイ13は、リングフレーム12に装着されたピックアップテープ11に配置される。ダイ13、接着テープ4、硬いキャリア7のユニットは、図8に示されるように、ダイ13の研削された表面が接着ピックアップテープに接触するように接着ピックアップテープに配置される。
【0041】
図9に示される好ましい実施形態の第10ステップにおいて、エネルギが接続手段に加えられるか、硬いキャリア7および接着テープ4の間の接続が解除され、接着テープ4から硬いキャリア7の取り外しが可能になるように他の方法で接続手段が変形される。この実施形態において、接続手段10は、硬いキャリア7の、この剥離が、キャリア7に損傷を与えることなく可能になるように構成されている。接続手段は、ウェハWの周辺限界領域3に位置されるだけなので、ダイ13は、接続手段の、この接続解除中に損傷を受けない。
【0042】
図10は、好ましい実施形態の第11ステップを表し、ここで、接着テープ4はダイ13から取り外され、もって、接着ピックアップテープ11からピックアップデバイスによってピックアップされるべき個々のダイを自由にする。ピックアップを容易にするため、径方向にピックアップテープを引き延ばすことによって個々のダイ間の距離を増やすことができる。
【0043】
ウェハWのストリートに沿った切断も、前述された把持ステップの前に行うことができることに留意されたい。そのような場合、ウェハWは、最後のダイの高さに対応した深さまで、ストリートに沿ってパターン面1から切断されるのが好ましい。個々のダイ13は、その後、把持ステップにおいて分離され、ここで、ウェハWは、切断の下側に達成されるように裏面6から下に研削される。好ましくは、そのような切断は、接着テープ4をウェハWに付ける前に行われる。そのような処理方法の残りのステップは、前述されたステップに対応する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10