(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反復構造は2次元の特徴を含み、前記反復構造の前記パラメータは特徴のピッチ、特徴の形状、又は前記特徴が占める面積の割合のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
前記光学モデルは、第1反復構造を有する前記基板の領域を表す第1サブモデルと、異なる第2反復構造を有する前記基板の領域を表す第2サブモデルとを含み、前記出力スペクトルを計算することは、前記第1反復構造の回折効果を使用して第1中間出力スペクトルを計算することと、前記第2反復構造の回折効果を使用して第2中間出力スペクトルを計算することと、前記第1中間出力スペクトルと前記第2中間出力スペクトルとを結合させることを含む、請求項1に記載の方法。
適合させることは、前記光学モデルの出力スペクトルと前記測定スペクトルとの間の差が最小限となる前記第1中間出力スペクトルと前記第2中間出力スペクトルの寄与率を計算することを含む、請求項9に記載の方法。
前記反復構造の回折効果を使用して前記出力スペクトルを計算することは、第1偏光に対して第1出力スペクトルを計算することと、異なる第2偏光に対して第2出力スペクトルを計算することと、前記第1出力スペクトルと前記第2出力スペクトルとを結合させて前記出力スペクトルを生成することとを含む、請求項1に記載の方法。
前記第1出力スペクトルと前記第2出力スペクトルとを結合させることは、前記第1出力スペクトルと前記第2出力スペクトルとを平均化することを含む、請求項11に記載の方法。
前記反復構造の回折効果を使用して前記出力スペクトルを計算することは、s偏光及びp偏光の間の45度の角度の偏光に対して前記出力スペクトルを計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な図面における同じ参照番号及び記号表示は同じ要素を表すものである。
【0014】
ある光学モニタ技術では、研磨中に基板から反射される光のスペクトルを測定して、例えば光学モデル等の関数を測定スペクトルに適合させる。潜在的な問題は、デバイスのウェハが通常パターン化されているため、異なる層の積み重ねを有する領域を含むことである。光学モデルはデバイスの基板のパターン化された性質を評価することができず、結果的に終点の判断が信頼できないものとなりうる。
【0015】
デバイスの基板のパターンを評価するために、光学モデルには基板の反復する特徴によって生成される回折効果が含まれうる。回折効果は、厳密結合波解析を使用して計算することができる。反復する特徴は、少なくとも一つのパラメータによって表すことができる。研磨される層の厚さは、光学モデルの別のパラメータでありうる。光学モデルを測定スペクトルに適合させることによって、例えば回帰法によってパラメータが選択され、これにより測定スペクトルに厳密に一致する出力スペクトルが得られる。
【0016】
基板は(研磨される)第1層と、第1層の下に配置される第2層とを含みうる。第1層及び第2層は両方とも、少なくとも半透明である。第2層及び一又は複数の追加層(ある場合)は共に、第1層の下の層の積み重ねを提供する。層の例には、絶縁体、パッシベーション、エッチング停止、バリア層及びキャッピング層が含まれる。上記層の材料の例には、二酸化ケイ素等の酸化物、炭素ドープ二酸化ケイ素、例えばブラックダイアモンド(登録商標)(アプライドマテリアルズ社)又はCoral(登録商標)(Novellus Systems社)等の低誘電率材料、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭窒化ケイ素(SiCN)、例えば窒化タンタル又は窒化チタン等の金属窒化物、又はオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)から形成された材料が含まれる。
【0017】
化学機械研磨を使用して、第1層の所望の厚さが除去される、第1層の所望の厚さが残る、又は第2層が露出するまで、基板を平坦化することができる。
【0018】
図1は、研磨装置100の一例を示す図である。研磨装置100は、研磨パッドが位置する回転可能な円盤状のプラテン120を含む。プラテンは軸125周囲を回転するように操作可能である。例えば、モータ121はドライブシャフト124を回して、プラテン120を回転させることができる。研磨パッド110は、外側研磨層112及び軟性バッキング層114を有する二層研磨パッドであってよい。
【0019】
研磨装置100は、スラリ等の研磨液132を研磨パッド110に分注するためのポート130をパッドに含むことができる。研磨装置はまた、研磨パッド110を薄く削って研磨パッド110を一貫した研磨状態に保つ研磨パッド調整器も含むことができる。
【0020】
研磨装置100は一又は複数のキャリアヘッド140を含む。各キャリアヘッド140は、基板10を研磨パッド110に当接して保持するように操作可能である。各キャリアヘッド140は、各基板それぞれに関連付けされる研磨パラメータ、例えば圧力の個別制御を有することができる。
【0021】
具体的には、各キャリアヘッド140は、基板10を軟性膜144の下に保持する保持リング142を含むことができる。各キャリアヘッド140はまた、膜によって画定される複数の個別に制御可能であり加圧可能なチャンバ、例えば3つのチャンバ146a〜146cも含み、このチャンバは個別に制御可能な圧力を軟性膜144の関連区域148a〜148cに、したがって基板10(
図3参照)にかけることができる。
図3を参照すると、中心ゾーン148aはほぼ円形であってよく、残りのゾーン148b〜148cは中心ゾーン148a周囲の同心環状ゾーンであってよい。説明を簡略化するために、
図1及び2には3つのチャンバのみを図示したが、1又は2のチャンバ、又は4以上のチャンバ、例えば5つのチャンバがあってもよい。
【0022】
図1に戻ると、各キャリアヘッド140は支持構造150、例えば回転台から吊るされ、ドライブシャフト152によってキャリアヘッドの回転モータ154に接続されており、これによりキャリアヘッドを軸155周囲で回転させることができる。任意に、各キャリアヘッド140は横方向に、例えば回転台150のスライダ上で、又は回転台自体の回転振動によって、振動させることができる。作業中、プラテンはプラテンの中心軸125周囲を回転し、各キャリアヘッドはキャリアヘッドの中心軸155周囲を回転し、研磨パッドの上面にわたって横方向に平行移動する。
【0023】
キャリアヘッド140を一つのみ図示したが、キャリアヘッドをさらに供給して追加の基板を保持することができ、これにより、研磨パッド110の表面積を効率的に使用することができる。このため、同時研磨プロセスにおいて基板を保持するように構成されるキャリアヘッドアセンブリの数は、少なくとも一部には、研磨パッド110の表面積に基づくものでありうる。
【0024】
研磨装置は、後に記載するように研磨速度を調節するか否か、又は研磨速度の調節を判断するのに使用可能なインシトゥ光学モニタシステム160、例えば分光モニタシステムも含む。研磨パッドを通る光アクセスは、開孔(すなわちパッドを貫通する孔)、又は固体ウインドウ118を含むことによって得られる。固体ウインドウ118は、例えば研磨パッドに一体的に成形される、又は接着固定される、例えば研磨パッドの開孔をふさぐプラグとして研磨パッド110に固定することができるが、ある実装態様では、固体ウインドウはプラテン120上で支持し、研磨パッドの開孔に突出させることができる。
【0025】
光学モニタシステム160は、光源162と、光検出器164と、例えばコンピュータ等の遠隔コントローラ190間で信号を送受信するための回路166とを含むことができる。一又は複数の光ファイバを使用して、光源162からの光を研磨パッドの光アクセスに伝送し、基板10から反射された光を検出器164に伝送することができる。例えば、分岐光ファイバ170を使用して、光源162からの光を基板10に伝送し、再び検出器164に伝送することができる。分岐光ファイバは、光アクセスに近接して位置決めされたトランク172と、それぞれ光源162及び検出器164に接続された2つの分岐174及び176を含むことができる。
【0026】
ある実装態様では、プラテンの上面は、分岐ファイバのトランク172の一端を保持する光学ヘッド168が適合される凹部128を含むことができる。光学ヘッド168は、トランク172の上面と固体ウインドウ118との間の垂直距離を調節する仕組みを含むことができる。
【0027】
回路166の出力は、光学モニタシステムのコントローラ190までドライブシャフト124の回転カプラ129、例えばスリップリングを通過するデジタル電気信号であってよい。同様に、コントローラ190から回転カプラ129を通って光学モニタシステム160へ到達するデジタル電気信号の制御コマンドに応答して、光源のスイッチをオンまたはオフにすることができる。あるいは、回路166が無線信号によってコントローラ190と通信することが可能である。
【0028】
光源162は白色光を放射するように操作可能であってよい。ある実装態様では、放射される白色光は200〜800ナノメートルの波長を有する光を含む。適切な光源はキセノン・ランプ又はキセノン水銀ランプである。
【0029】
光検出器164は分光光度計であってよい。分光光度計は、電磁気スペクトルの一部の光の強度を測定する光学機器である。適切な分光光度計は、格子分光光度計である。分光光度計は通常、光の強度を波長(又は周波数)の関数として出力する。
図4は、測定スペクトル300の一例を示す。
【0030】
上述したように、光源162と光検出器164は、光源162と光検出器164の作業を制御し、これらの信号を受信するように操作可能なコンピュータ・デバイス、例えばコントローラ190に接続させることができる。コンピュータ・デバイスは、研磨装置の近くに位置するマイクロプロセッサ、例えばプログラム可能コンピュータを含むことができる。制御に関し、コンピュータ・デバイスは例えば、光源の作動とプラテン120の回転とを同期させることができる。
【0031】
ある実装態様では、インシトゥモニタシステム160の光源162と検出器164はプラテン120に設置され、プラテン120と共に回転する。この場合、プラテンの動きにより、センサが各基板全体を走査する。具体的には、プラテン120が回転すると、コントローラ190は光学アクセスが基板10の下を通過する直前に光源162に一連の点滅光の放射を開始させ、光学アクセスが基板10の下を通過した直後に終了させることができる。あるいは、コンピュータ・デバイスは、各基板10が光学アクセスの上を通過する直前に光源162に光の連続放射を開始させ、各基板10が光学アクセスの上を通過した直後に終了させることができる。いずれの場合においても、サンプリング周期にわたる検出器からの信号を統合して、サンプリング周波数におけるスペクトル測定値を生成することができる。
【0032】
作業中、コントローラ190は、光源の特定の点滅又は検出器のタイム・フレームに対し、例えば光検出器が受ける光のスペクトルを表す情報を伝達する信号を受信することができる。したがって、このスペクトルは研磨中にインシトゥ(その場)で測定されたスペクトルである。
【0033】
図3に示すように、検出器がプラテンに設置された場合、プラテン(矢印204で示す)の回転に起因して、ウインドウ108がキャリアヘッドの下を移動した時に,サンプリング周波数においてスペクトルの測定を行う光学モニタシステムにより、基板10を横切るアークの場所201においてスペクトルの測定が行われる。例えば、201a〜201kの各ポイントは、モニタシステムによるスペクトル測定の場所を表す(ポイントの数は図示のためであり、サンプリング周波数によっては図示したものよりも多い又は少ない測定を行うことができる)。サンプリング周波数は、ウインドウ108が1回まわるごとに5〜20のスペクトルが収集されるように選択することができる。例えば、サンプリング周期は3〜100ミリ秒であってよい。
【0034】
図示したように、プラテンの一回転で、基板10の異なる半径からスペクトルが取得される。つまり、あるスペクトルは基板10の中心により近い場所、そしてあるスペクトルはエッジにより近い場所から取得される。したがって、光学モニタシステムによる基板全体の任意の所定の走査において、タイミング、モータのエンコーダ情報、及び基板及び/又は保持リングのエッジの光検出に基づき、コントローラ190は走査から、各測定スペクトルの(走査されている基板の中心に対する)半径方向の位置を計算することができる。研磨システムは、回転位置センサ、例えば固定光学断続器を通過するプラテンのエッジに取り付けられたフランジを含むこともでき、これにより、どの基板か、及び測定スペクトルの基板上の位置の判断のための追加データが提供される。コントローラはしたがって、様々な測定スペクトルを基板10a及び10bの制御可能ゾーン148b〜148e(
図2参照)に関連付けすることができる。ある実装態様では、スペクトルの測定時間を代わりに使用して、半径方向の位置を正確に計算することができる。
【0035】
プラテンの複数の回転にわたって、各ゾーンに対し、スペクトルの配列を経時的に取得することができる。任意の特定の理論に縛られることなく、基板10から反射される光のスペクトルは、最外層の厚さの変化に起因して、(例えば基板全体を1回まわる間ではなくプラテンの複数の回転にわたって)基板の研磨進捗として見なされ、したがって時間によって変動するスペクトルの配列が得られる。さらに、特定のスペクトルは層の積み重ねの特定の厚さによって示される。
【0036】
コントローラ、例えばコンピュータ・デバイスは、関数、例えば光学モデルを測定スペクトルに適合させるようにプログラミングすることができる。関数は複数の入力パラメータを有し、入力パラメータから計算される出力スペクトルが生成される。入力パラメータには、少なくとも研磨終点が簡単に判断可能であるパラメータ、例えば第1層の厚さが含まれる。しかしながら、研磨終点を簡単に判断することができるパラメータは、除去された厚さであってもよく、又は研磨プロセスを経た基板の進捗をより一般的に表現したもの、例えば既定の進捗に沿った研磨プロセスでスペクトルが観察されることが予期されるプラテンの回転時間又は回転数を表す指標値であってもよい。ある実装態様では、配列の各スペクトルに関数が適合され、これにより適合されたパラメータ値の配列、例えば適合された厚さの値の配列が生成される。
【0037】
回折効果を少なくとも部分的に表す光学モデルは、基板の反復特徴によって生成される。入力パラメータのうちの少なくとも一つは、反復特徴の特性を表している。
図5に示すように、反復特徴は一次元モデル(例えば、反復ライン及びスペース)で表すことができる。この場合、反復特徴から生じた回折光を「一次元」回折格子で光学的にモデル化することができ、入力パラメータはライン幅又はラインピッチであってよい。このモデルは、複数の平行する導電トレースを有する基板の領域に対して適切でありうる。
【0038】
あるいは、
図6を参照すると、反復特徴は二次元モデル(例えば反復形状)であらわすことができる。この場合、反復特徴から生じた回折光を二次元回折格子で光学的にモデル化することができ、入力パラメータは特徴の次元及び/又はいずれかの次元、又は両方の次元における特徴のピッチであってよい。このモデルは、反復セル、例えばDRAM構造を有する基板の領域に対して適切でありうる。二次元モデルには、(第1の光学特性を有する)一つの材料の一部310と、(異なる光学特性を有する)異なる材料の一部320が含まれるユニットセル300が含まれる。
図6は、周囲とは異なる材料の単純な二次元の平行六面体容積を示しているが、反復特徴はより複雑である場合があり、複数の下位特徴を含みうる。
【0039】
光学モデルの他の入力パラメータには、各層の厚さ、屈折率、及び/又は吸光係数が含まれうる。
【0040】
回折効果は、厳密結合波解析を使用して計算することができる。具体的には、厳密結合波解析(RCWA)を使用して解析効果をモデル化して計算することができる。RCWAの式を使用して、各波長の反射率Rを生成し、その後各波長の解析効率を判断することができる。
【0041】
RCWAの詳細は、引用することで各々組み込まれる、モハラム氏らによる「バイナリ格子の厳密結合波解析の安定した効率的な実装態様の定式化」、及びモハラム氏らによる「表面レリーフ格子の厳密結合波解析の安定実装態様、改善された透過率マトリックス法」に記載されている。
【0042】
例えば、「一次元」回折格子の光学モデル化については、「表面レリーフ格子の厳密結合波解析の安定実装態様、改善された透過率マトリックス法」からの式24〜26を使用して各波長のRを生成することができ、回折効率は、「バイナリ格子の厳密結合波解析の安定した効率的な実装態様の定式化」からの式25及び45を介して各波長において判断することができる。
【0043】
回折効率は、インシトゥモニタシステムの反射スペクトルと一致させるためにブランケットシリコンの回折効率に正規化され、インシトゥモニタシステムの反射スペクトルも、ランプ、パッド及びプロセスの影響が除去するためにシリコンに正規化される。シリコンに正規化された回折効率を次に、測定スペクトルと比較する。
【0044】
二次元構造の回折光のモデル化はさらに複雑であるが技術的に類似しており、一次元ラインから二次元平面を外挿する。
【0045】
上述した方法は、唯一の方法ではなく、一次元又は二次元構造の回折効率を判断するのに必ずしも最も早い又は最も正確な方法ではない。例えばLifeng Li氏による「任意の形状、深さ、及び誘電率の回折格子のマルチレイヤー式法」に記載されている代替法がある。しかしこれら様々な方法では、モデルは反復構造によって生じる回折を含む。
【0046】
パラメータのうちの少なくとも2つについては、光学モデルの出力スペクトルと測定スペクトルとの間の差が最小限になるパラメータ値が計算される。少なくとも2つのパラメータのうちの第1のパラメータは、研磨終点が簡単に判断できるパラメータ、例えば第1層の厚さを含む。少なくとも2つのパラメータのうちの第2のパラメータは、反復特徴の次元特性を表す入力パラメータであってよい。例えば、少なくとも2つのパラメータのうちの第2のパラメータは、反復特徴のライン幅であってよい。少なくとも2つのパラメータのうちの第2のパラメータの他の可能なパラメータには、ラインピッチ、特徴の材料の面密度(例えば、モデル化されたデバイスの面積のうちどれくらいを既定の材料が占めるか)、又は構造の垂直方向の形状及び深さ(例えば銅ラインは正角形として最適にモデル化されているか、それとも銅ラインの幅は先細りになっているか)が含まれる。
【0047】
一例では、基板のトレースのアレイを評価するための入力パラメータは、光の入射角(例えば0度)、トレースのピッチ、モデル化される層の数、各層の厚さ、トレースのライン幅、入力及び出力面のn値及びk値、各層の一又は複数の特徴、及び一又は複数の特徴外の一又は複数の領域(例えば、リッジ及び溝)のn値及びk値、及び解析される波長の範囲を含む。光学モデルの出力スペクトルと測定スペクトルとの間の差が最小限になる最外層の厚さ、及びライン幅の値が判断される。
【0048】
幾つかの入力パラメータは固定値を有する場合がある。幾つかの入力パラメータは変動可能であってよく、これらは値が適合プロセスの一部として判断されるパラメータである。値が適合の一部として判断される入力パラメータの変動は、既定の範囲内に限られている場合がある。入力パラメータの範囲は、1)変性適合を避ける、及び2)計算時間を妥当なレベルに維持するように選択することができる。入力パラメータの値の許容範囲が広すぎる場合、変性適合が増加する可能性がある。ユーザは、いくつかのパラメータ(例えばライン幅、予測される厚さ、及び様々な材料の屈折率及び吸光係数)の公称パラメータ値をモデルに入力することができる。ユーザは、いくつかのパラメータ値の許容範囲をモデルに入力することもできる。これらの公称値及び範囲は、ユーザの研磨されるデバイス/層に関する知識に基づくものであってよい。
【0049】
上述したように、いくつかの境界条件をパラメータに課すことができる。例えば、層jの厚さtは、最小値TMINjと最大値TMAXjの間で変動可能でありうる。同様の境界条件を材料特性、例えば屈折率(n)、吸光係数(k)等のパラメータ、及び/又は構造特性、例えばライン幅等のパラメータに課すことができる。製造プロセス内での変動に関する知識に基づき、オペレータによって境界値を入力することができる。
【0050】
ある実装態様では、入力パラメータが光学モデルの数式に直接加えられる。しかしながら、ある実装態様では、入力パラメータを使用して複数のピクセル格子を生成することができる。異なる二次元パターンを有するデバイスの各層はそれ自体のピクセル格子でモデル化されるため、ピクセル格子の積み重ねによって三次元デバイスが表される。積み重ねの各ピクセル格子にそれ自体の厚さを割り当てることができる。格子は、x及びy方向のユーザ定義のサイズであり、ピクセルの規模もユーザ定義のものであってよい。格子の各ピクセルには、ピクセルの材料に基づき屈折率及び吸光係数が割り当てられる。次に、ピクセルのアレイに基づいて回折が計算される。一連の格子スライスを結合させることにより、いずれの三次元のデバイスもモデル化が可能である。
【0051】
例えば、反復ラインの領域をモデル化するために、入力パラメータはライン幅とラインのピッチ、及びラインの材料組成及びライン間の領域の材料組成を含むことができる。ピクセルのアレイが次に生成され、ピクセルがラインの一部、又はライン間の領域の一部であるか否かの判断が、ライン幅及びピッチに基づいてなされる。ピクセルがラインの一部である場合、ピクセルには、ラインの材料組成の屈折率及び吸光係数の値が割り当てられる。ピクセルがラインの一部ではない場合、ピクセルにはライン間の領域の材料組成の屈折率及び吸光係数の値が割り当てられる。
【0052】
ある実装態様では、光学モデルは金属ラインの存在をモデル化する。しかしながら、金属ラインの材料、例えば銅の代わりに、金属ライナ材料、例えばタンタルを使用して金属寄与部分をモデル化することができる。ライナと、ライナの下又は隣にある銅の両方を完全にモデル化することができるかもしれないが、これはかなり複雑、又は計算集約的であり、ライナ材料のみを使用すればモデルを簡略化し計算時間を削減することができる。
【0053】
あるインライン計測システムは、複数の異なる入射角で偏光線を基板に当てる。対照的に、インシトゥモニタシステムは、非偏光線を基板に当てる。加えて、非偏光線の入射角は単一であってよい。
【0054】
非偏光線を評価するために、出力スペクトルの計算には、光の第1偏光の第1スペクトルの計算と、光の第2偏光の第2スペクトルの計算が含まれうる。例えば、第1偏光はs偏光であってよく、第2偏光はp偏光であってよい。第1スペクトルと第2スペクトルの計算は、そうでない場合、入力パラメータの同一値で行うことができる。第1スペクトル及び第2スペクトルは次に平均して、出力スペクトルを生成することができる。
【0055】
あるいは、偏光中間s及びp偏光を使用して、例えば45度の角度の偏光を使用して単一のスペクトルを計算することができる。あるいは、異なる偏光に対して3以上のスペクトルを計算することができ、3以上のスペクトルを平均して出力スペクトルを生成することができる。偏光角度の数値を増加することにより、モデルの精度が上がる可能性がある。
【0056】
ある実装態様では、光学モデルは複数の光学サブモデルを含むことができる。各光学サブモデルは上述した光学モデルとして例えば様々な入力パラメータを用いて作用するが、異なるサブモデルによって基板上の異なるパターンの領域が表わされる。パターンが異なるため、回折効果が異なり、この結果得られるスペクトルも異なる。各サブモデルは中間スペクトルを生成することができ、中間スペクトルを結合させて出力スペクトルを生成することができる。各中間スペクトルの相対重量、例えば寄与率は、適合プロセスの一部として計算されるパラメータのうちの一つでありうる。
【0057】
これにより、光学モデルで、光線が基板上の異なるパターンを有する領域を照らす可能性を評価することが可能になる。したがって、モデルは、2つの構造がたまたま同時に光を受けた場合、例えば光点が半分一方の構造に、半分異なる構造に当たった場合に生成される一つの出力スペクトルを提供することができる。例えば、光点がピッチAを有する一次元格子に半分当たり、光点の別の半分がピッチBの構造に半分当たった場合に、上記反射スペクトルの適切なモデルは、両方の重量が等しい各スペクトルを結合させたものである。
【0058】
光学モデルの測定スペクトルへの適合において、パラメータは、測定スペクトルに厳密に一致する出力スペクトルが得られるように選択される。厳密な一致は、既定の利用可能な計算能力と時間の制約において、出力スペクトルと測定スペクトルとの間の最小限の差の計算であると考慮することができる。研磨される層の厚さは次に、厚さのパラメータから判断することができる。
【0059】
出力スペクトルと測定スペクトルとの間の差の計算は、スペクトル全体の測定スペクトルと出力スペクトルとの間の絶対差の合計、又は測定スペクトルと基準スペクトルとの間の平方差の合計であってよい。他の差の計算法も可能であり、例えば測定スペクトルと出力スペクトルとの間の相互相関を計算することができる。
【0060】
最も近い出力スペクトルを見つけるためにパラメータを適合させることは、(関数においてパラメータが可変値である)多次元パラメータ空間において、関数のグローバル最小値(関数によって生成される測定スペクトルと出力スペクトルとの間の差)を見つける一例として考慮することができる。例えば、関数が光学モデルであるところでは、パラメータは層の厚さ、屈折率(n)及び吸光係数(k)を含むことができる。
【0061】
回帰法を使用して、関数の極小値を見つけるためにパラメータを最適化することができる。回帰法の例には、勾配降下及びガウス−ニュートンの組み合わせを使用するレーベンバーグ・マーカート法、Fminunc() − a matlab関数、L−Mアルゴリズムを使用するlsqnonlin() − matlab関数、及び焼き鈍し法が挙げられる。加えて、非回帰法、例えばシンプレックス法を使用してパラメータを最適化することができる。
【0062】
回帰法、又は非回帰法を単独で使用して最小値を見つけるに当たっての潜在的な問題は、関数において複数の極小値がありうることである。回帰がグローバル最少値ではなく極小値近くで開始されると、回帰法は最適な解まで「下降」しかしないため、間違った解を得る可能性がある。しかしながら、複数の極小値が識別された場合、回帰法をこれら最小値すべてに行うことができ、最も差が小さいものが最適な解として識別される。代替法は、ある期間にわたる極小値すべてから引き出した解をすべてたどり、この期間における最適なものを判断することである。グローバル最小値を識別する方法の例には、遺伝的アルゴリズム、マルチスタート(平行して計算することによって複数の開始点から回帰法を実施する)、グローバル検索−Matlab関数、及びパターン検索が含まれる。
【0063】
適合プロセスの出力は、研磨終点が簡単に判断できるパラメータ、例えば研磨される層の厚さのパラメータを少なくとも含む適合されたパラメータのセットである。しかしながら、上述したように、適合されるパラメータは、既定の進捗後の研磨プロセスにおいてスペクトルが観察されると予測されるプラテンの回転時間又は回転数を表す指標値であってもよい。
【0064】
厚さの代わりに、研磨される層の構造の次元を表す一又は複数のパラメータを使用してなんらかの他の計測値を計算することができる。例えば、ライン幅は適合されるパラメータのうちの一つ、すなわちライン幅は適合プロセスにおいて変動可であってよい。適合は各測定スペクトルに対して行われるため、これにより構造の次元を表すパラメータ値の配列、例えばライン幅の値の配列が生成される。
【0065】
ある実装態様では、各測定スペクトルについて、例えば層の厚さの値をライン幅の値で乗じることによって金属ラインの抵抗値Rsが計算される。これにより、金属ラインの抵抗値の配列が生成される。終点は、金属ラインの抵抗値の配列から判断することができる。
【0066】
ここで
図7を参照する。
図7は、単一基板の単一ゾーンのみの結果、適合された終点パラメータ値、例えば厚さの値、又は抵抗値の配列を示し、光学モデルの関数を測定スペクトルの配列に適合させることによって、値212の時変配列が生成される。この値212の配列をトレース210と呼ぶことができる。一般に、トレース210は、基板の下の光学モニタシステムの一回転ごとの一つの値、きっちり一つの値を含むことができる。
【0067】
図8に示すように、任意に、例えば一次関数(例えばライン214)などの既知の位数の多項式関数等の関数が、測定スペクトルから引き出された値の配列に適合される。関数は、ロバストライン適合を使用して適合させることができる。他の関数、例えば二次の多項式関数を使用することができるが、ラインは計算を簡略化できる。
【0068】
任意に、関数を時間TC経過後に収集される値に適合させることができる。関数を値の配列に適合させる時には、時間TC経過前に収集されたスペクトルの値を無視することができる。こうすることで、研磨プロセスにおいて早期に生じうる測定スペクトルのノイズを除去する助けとなる、又は別の層の研磨中に測定されるスペクトルを除去することができる。
【0069】
研磨は、ライン214がターゲット値TTを越える終点時間TEにおいて停止することができる。あるいは、研磨は、例えば任意の関数を配列に適合させることなく、値の配列がターゲット値を越えた時点で単純に停止させることができる。
【0070】
図9は、製品基板を研磨する方法700のフロー図を示す図である。製品基板は、光学モデルにおいて提示されるのと少なくとも同じ層構造を有することができる。
【0071】
製品基板は研磨され(ステップ702)、測定スペクトルの配列が研磨中に、例えば上述したインシトゥモニタシステムを使用して取得される(ステップ704)。測定スペクトルの配列を取得する前に、様々な予備研磨ステップがありうる。例えば、一又は複数の上位層、例えば導電層又は誘電体層を除去することができ、上位層の除去と第1層の撤去が検出された時にスペクトルの測定を始動させることができる。例えば、時間TC(
図6参照)における第1層の露出は、モータトルク、又は基板から反射する光の全強度の突然の変化から、又は収集されたスペクトルの分散から検出することができる。
【0072】
光学モデルのパラメータは、測定スペクトルとの差が最小限である出力スペクトルを生成するために、配列から各測定スペクトルに適合され、これにより、値の配列が生成される(ステップ706)。パラメータの測定スペクトルへの適合には、反復構造の回折効果を使用して出力スペクトルを計算することが含まれる(ステップ706a)。
【0073】
任意に、関数、例えば線形関数を測定スペクトルの値の配列に適合させる(ステップ708)。研磨は、終点値(例えば、パラメータ値の配列に適合された線形関数から生成される例えば厚さの値等の計算されたパラメータ値)がターゲット値に達すると停止させることができる(ステップ710)。例えば、終点パラメータが厚さである場合、線形関数がターゲットの厚さと等しくなる時間を計算することができる。ターゲットの厚さTTは、研磨作業前にユーザによって設定され記憶されうる。あるいは、ターゲット除去量をユーザが設定することができ、ターゲットの厚さTTはターゲット除去量から計算することができる。例えば、厚さの差TDをターゲット除去量から、例えば、除去量と指標との経験から判断された比率(例えば研磨速度)から計算することができ、厚さの差TDを時間TCにおける開始厚さSTに加えると上位層の撤去が検出される(
図6参照)。
【0074】
例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/096777号明細書に記載された技術を使用して、キャリアヘッドのチャンバにかかる圧力を調節して、研磨をより均一にするために、基板の異なるゾーンから厚さの値の配列を使用することも可能である(一般に、厚さの値を指標値に置き換えて同様の技術を使用することができる)。ある実装態様では、基板の一又は複数のゾーンの研磨速度を調節するために厚さの値の配列が使用されるが、研磨終点を検出するために別のインシトゥモニタシステム又は技術が使用される。
【0075】
加えて、上述の説明では、光学終点モニタが設置された回転プラテンが想定されるが、システムはモニタシステムと基板との間の他の種類の相対運動にも適用可能でありうる。例えば、ある実装態様、例えば軌道運動では、光源は基板の異なる位置を横切るが、基板のエッジを越えることはない。上記の場合には、収集されたスペクトルをグループ化することがまだ可能である、例えばスペクトルを特定の周波数で収集することができ、ある期間内に収集されたスペクトルはグループの一部と見なすことができる。期間は、各グループに対し5〜20のスペクトルを収集するのに十分な長さであるべきである。
【0076】
本明細書で使用する基板という用語には例えば、(例えば複数のメモリ又はプロセッサダイが含まれる)製品基板、テスト基板、はだか基板、及びゲート基板が含まれうる。基板は、集積回路の様々な製造段階のものであってよく、例えば基板ははだかのウェハであってよく、又は基板は一又は複数の堆積層及び/又はパターン層を含むことができる。基板という用語には円板及び矩形薄板が含まれうる。
【0077】
本発明の実施形態、及び本明細書に記載された機能的作業のすべては、本明細書に開示された構造的手段、及びこれらの同等物、又はこれらの組み合わせを含め、デジタル電気回路において、又はコンピュータのソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアにおいて実装することができる。本発明の実施形態を一又は複数のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置、例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ又はコンピュータによって実行される、又はこれらの作業を制御するための固定の機械可読記憶媒体に有形で具現化された一又は複数のコンピュータプログラムとして実装可能である。
【0078】
上述した研磨装置及び方法を様々な研磨システムに適用することができる。研磨パッド、又はキャリアヘッド、又はこれらの両方を動かして、研磨面と基板との間の相対運動を起こすことができる。例えば、プラテンを回転させる代わりに周回させることができる。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(又は何らかの他の形状の)パッドであってよい。終点検出システムのある態様を、例えば研磨パッドが連続的である、又はオープンリール式のベルトが線形に移動する線形研磨システムに適用可能であってよい。研磨層は、標準(例えばフィラーを含む、又は含まないポリウレタン)の研磨材料、軟性材料、又は固定研削材であってよい。相対位置という用語が使用されているが、研磨面及び基板は、垂直の向きに、又は他のいずれかの向きにも保持されうることを理解すべきである。
【0079】
本発明の特定の実施形態を説明してきた。他の実施形態は、下記の特許請求の範囲内に収まる。