(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンテナを所定位置に蔵置して保管する複数の蔵置レーンと前記蔵置レーンに隣接し、且つ、前記蔵置レーンの長手方向に延在する走行路とを有し、前記蔵置レーンを跨いだヤードクレーンが走行すると共にコンテナを運搬する往復搬送台車が前記走行路を走行する蔵置領域と、前記蔵置領域の両端部に隣接してコンテナの受け渡しが行われる移載領域とを設けるコンテナターミナルにおいて、
前記ヤードクレーンと前記往復搬送台車との間で受け渡しされるコンテナを仮置きする仮置架台が、前記走行路の軌道のうちの少なくとも前記蔵置レーンの長手方向の中央部に隣接する軌道上に設けられたことを特徴とするコンテナターミナル。
コンテナを所定位置に蔵置して保管する複数の蔵置レーンと前記蔵置レーンに隣接し、且つ、前記蔵置レーンの長手方向に延在する走行路とを有し、前記蔵置レーンを跨いだヤードクレーンが走行すると共にコンテナを運搬する往復搬送台車が前記走行路を走行する蔵置領域と、前記蔵置領域の両端部に隣接してコンテナの受け渡しが行われる移載領域とを設けるコンテナターミナルの運用方法において、
前記走行路の軌道のうちの少なくとも前記蔵置レーンの長手方向の中央部に隣接する軌道上における、前記往復搬送台車と前記ヤードクレーンとの間のコンテナの受け渡しの一部又は全部を、仮置架台を経由して行うことを特徴とするコンテナターミナルの運用方法。
【背景技術】
【0002】
コンテナターミナルは岸壁に接岸する船舶に対してコンテナを荷積み又は荷卸し、陸上輸送用の外来シャーシでコンテナを搬出及び搬入する施設である。また、荷卸しされた又は搬入されたコンテナを一時的に保管する施設でもある。
【0003】
現在、国際航路におけるコンテナ輸送システムの急速な進展に伴い、コンテナターミナル内での荷役や蔵置作業の自動化や省力化が望まれている。すなわち船舶とコンテナターミナル間のコンテナの搬送およびコンテナターミナルでのコンテナの蔵置部分での自動化や高能率化、ならびに低コスト化などが重要になっている。
【0004】
そこで、岸壁に対して略直交する向きに延在してコンテナを所定位置に積み付け保管する複数の蔵置レーンを有する蔵置ヤードと、各蔵置レーンを跨いで走行するトランスファクレーン(ヤードクレーン)と、岸壁に隣接するコンテナクレーンが設置された岸壁エプロン領域と蔵置ヤードの岸壁側位置との間を台車誘導系路に沿って走行する複数の無人搬送台車(周回搬送台車)と、各蔵置レーンの長手方向に設けた軌道に沿って走行する往復搬送台車とを有するコンテナターミナルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このコンテナターミナルは、各蔵置レーンの長手方向に走行する往復搬送台車を設けて、周回搬送台車とヤードクレーンとの間のコンテナの受け渡しと、ヤードクレーンとロードシャーシとの間のコンテナの受け渡しを行うようにしたので、往復搬送台車は直線走行しての高速走行が可能であるため、蔵置ヤードでのコンテナの荷役能力を高めて、コンテナターミナルのコンテナの取扱能力を増大可能とする。
【0006】
しかし、このコンテナターミナルは、蔵置レーンに隣接する部分の走行路の軌道上における、往復搬送台車とヤードクレーンとのコンテナの受け渡しの際に、往復搬送台車とヤードクレーンのどちらか一方が待機する時間が発生し、その分、荷役効率が悪化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その課題は、蔵置レーンに隣接する部分の走行路の軌道上における、往復搬送台車とヤードクレーンとの間のコンテナの受け渡しの際に発生する待機時間を短縮することができるコンテナターミナル及びコンテナターミナルの運用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための本発明のコンテナターミナルは、コンテナを所定位置に蔵置して保管する複数の蔵置レーンと前記蔵置レーンに隣接し、且つ、前記蔵置レーンの長手方向に延在する走行路とを有し、前記蔵置レーンを跨いだヤードクレーンが走行すると共にコンテナを運搬する往復搬送台車が前記走行路を走行する蔵置領域と、前記蔵置領域の両端部
に隣接してコンテナの受け渡しが行われる移載領域とを設けるコンテナターミナルにおいて、
前記ヤードクレーンと前記往復搬送台車との間で受け渡しされるコンテナを仮置きする仮置架台が、前記走行路の軌道
のうちの少なくとも前記蔵置レーンの長手方向の中央部に隣接する軌道上に設けられ
たことを特徴とする。
【0010】
なお、ここでいう仮置架台は、蔵置レーンの隣接する部分を含む走行路の軌道上の全長に渡る一つの台や、蔵置レーンの隣接する部分を含む走行路の軌道上の所定の範囲に渡る一つの台で、複数のコンテナを仮置き可能に形成されたものが含まれる。また、一つのコンテナを仮置き可能に形成されたものも含まれ、その場合は、蔵置レーンの隣接する部分を含む走行路の軌道上の全長に渡って、又は所定の範囲に渡って、所定の間隔ごと、あるいは所定の場所に配置される。加えて、この仮置架台は、蔵置レーンの隣接する部分を含めば、移載領域内に敷設された走行路の軌道上に設けることも可能である。
【0011】
この構成によれば、コンテナを仮置きする仮置架台が、少なくとも蔵置レーンの隣接する部分を含む走行路の軌道上に設けられ、その仮置架台に往復搬送台車とヤードクレーンがコンテナを仮置きすることで、往復搬送台車とヤードクレーンとの間のコンテナの受け渡しの際に発生する待機時間を短縮することができる。
【0012】
これより、往復搬送台車とヤードクレーンは仮置架台にコンテナを仮置きしたら、一方の作業を待たずとも、次の作業に移ることができ、荷役効率を向上することができる。
【0013】
また、上記のコンテナターミナルにおいて、前記往復搬送台車が、コンテナの下面を支持してコンテナを昇降するリフト機構を備えると共に、前記仮置架台が、コンテナの下面を支持する一対の支持体を備え、該一対の支持体の間を、前記往復搬送台車が、運搬しているコンテナを前記リフト機構で上げた状態で、前記支持体に触れずに通り抜けられるように構成されることが望ましい。
【0014】
一方、上記のコンテナターミナルにおいて、前記仮置架台が、コンテナの下面を支持する一対の支持体を備えると共に、該一対の支持体が、コンテナを昇降するリフト機構を備え、前記仮置架台が、コンテナを運搬している前記往復搬送台車が通り抜けるときには、前記リフト機構を前記往復搬送台車が運搬しているコンテナに触れないように移動して、前記往復搬送台車を通り抜けさせるように構成されることが望ましい。
【0015】
上記の課題を解決するための本発明のコンテナターミナルの運用方法は、コンテナを所定位置に蔵置して保管する複数の蔵置レーンと前記蔵置レーンに隣接し、且つ、前記蔵置レーンの長手方向に延在する走行路とを有し、前記蔵置レーンを跨いだヤードクレーンが走行すると共にコンテナを運搬する往復搬送台車が前記走行路を走行する蔵置領域と、前記蔵置領域の両端部
に隣接してコンテナの受け渡しが行われる移載領域とを設けるコンテナターミナルの運用方法において、
前記走行路の軌道のうちの少なくとも前記蔵置レーンの長手方向の中央部に隣接する軌道上における、前記往復搬送台車と前記ヤードクレーンとの間のコンテナの受け渡しの一部又は全部を、仮置架台を経由して行うことを特徴とする方法である。
【0016】
この方法によれば、蔵置レーンに隣接する部分の走行路の軌道上における、往復搬送台車とヤードクレーンとの間のコンテナの受け渡しの際に、仮置架台を経由することで、仮置架台がバッファーの役割を果たすので、コンテナを受け渡す際に発生する待機時間を短縮することができ、これにより、荷役効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コンテナを仮置きする仮置架台が、蔵置レーンの隣接する部分を含む走行路の軌道上に設けられ、その仮置架台に往復搬送台車とヤードクレーンがコンテナを仮置きすることで、往復搬送台車とヤードクレーンとの間のコンテナの受け渡しの際に発生する待機時間を短縮することができる。
【0018】
これより、往復搬送台車とヤードクレーンは仮置架台にコンテナを仮置きしたら、一方の作業を待たずとも、次の作業に移ることができ、荷役効率を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態のコンテナターミナル及びコンテナターミナルの運用方法について、図面を参照しながら説明する。なお、
図1における岸壁に沿う方向をx方向とし、x方向に直交する海陸方向をy方向、鉛直方向をz方向とする。
【0021】
先ず、
図1〜4を参照しながら、本発明に係る第一の実施の形態のコンテナターミナルとその運用方法について説明する。
図1に示すように、このコンテナターミナル1は、コンテナを所定位置に積み付け保管する複数の蔵置レーン2を有したコンテナヤード(蔵置領域)4を備える。そのコンテナヤード4は、蔵置レーン2がy方向に延設されており、海側の端部に各蔵置レーン2の荷積荷卸端部2aの外側に隣接して設けられた荷積荷卸用移載領域8と、陸側の端部に各蔵置レーン2の搬出搬入端部2bの外側に隣接して設けられた搬出搬入用移載領域10と、各蔵置レーン2に隣接し、且つ、蔵置レーン2の長手方向であるy方向に延在するCART用走行路L1とを備える。
【0022】
また、このコンテナヤード4は、蔵置レーン2を跨いだRMG(Rail Mounted Gantry−crane;ヤードクレーン)3が走行する領域である。加えて、荷積荷卸用移載領域8は、岸壁に接岸した船舶Shに対して荷役する岸壁クレーン5が設置された岸壁エプロン領域6を周回するSC(シャトルキャリア;周回搬送台車)7が停車する領域であり、搬出搬入用移載領域10は、コンテナターミナル1の外部にコンテナを運搬する外来シャーシ9が停車する領域である。さらに、CART用走行路L1は、コンテナを運搬するレール式のリフトCART(往復搬送台車)20が往復する走行路である。
【0023】
このコンテナターミナル1は、荷積荷卸用移載領域8に第一受渡部31と第二受渡部32を備える。第一受渡部31は、その地面にコンテナを仮置きしてSC7とRMG3との間でコンテナを移載するところである。第二受渡部32は、SC7がリフトCART20の上を跨いでSC7とリフトCART20との間で直接コンテナを移載するところである。
【0024】
そして、このコンテナターミナル1は、管理棟40にTOS(ターミナルオペレーティングシステム;制御装置)41を備え、このTOS41により、コンテナターミナル1内での荷役作業を監視し、RMG3、SC7、及びリフトCART20の動作を遠隔で操作する、又は遠隔から指示した荷役作業を自動で行わせる。これにより、コンテナヤード4及び荷積荷卸用移載領域8を無人領域、並びに搬出搬入用移載領域10を有人領域とし、安全性を確保しながら、無人領域での荷役作業を自動化して、コンテナターミナル1の荷役効率を向上することができる。
【0025】
RMG3は、
図2に示すように、レールで形成された二つ一組のRMG用走行路L2上を走行可能な走行装置11と、走行装置11から上方に延設された脚体12と、二つの脚体12の上部に支持されたガーダ13と、ガーダ13上を移動するトロリ14と、上下に昇降するスプレッダ15とを備える。
【0026】
SC7は、
図3に示すように、ラバータイヤを有してコンテナターミナル1内を自在に走行可能な走行装置16と、門型に形成された門型本体17と、コンテナを吊り上げ及び吊り降ろすスプレッダ18と、スプレッダ18の駆動装置19とを備える。このSC7の門型本体17はリフトCART20を跨ぐことができるように形成されており、そのx方向の内幅はCART20のx方向の外幅よりも長い。また、その門型本体17は、第一受渡部31の地面に仮置きされたコンテナ、第二受渡部32で停車したリフトCART20の運搬したコンテナ、及び岸壁クレーン5が岸壁に降ろしたコンテナを吊り上げられる高さであればよい。よって、門型本体17の高さは、コンテナを複数段の高さまで吊り上げられる従来のコンテナターミナルで使用されているストラドルキャリアの高さよりも小さい。従って、このSC7は小型で小回りの効くキャリアのことをいい、ストラドルキャリアよりも安価で製造可能である。
【0027】
レール式のリフトCART20は、レールで形成されたCART用走行路L1を車輪23で走行する台車であり、このリフトCART20は、AGV(Automated Guided Vehicle;無人搬送台)で構成するとよい。このCART20は、コンテナの下面を支持して、コンテナを昇降可能なリフト機構21とリフト機構21の駆動装置や車輪23の駆動装置を収納した本体22を備える。リフト機構21は、コンテナ台24と昇降装置25を有する。
【0028】
上記の構成に加えて、本発明のコンテナターミナル1は、蔵置レーン2の隣接する部分、つまりCART用走行路L1上で行われるリフトCART20とRMG3とのコンテナを受け渡しの際に発生する待機時間を短縮するために、CART用走行路L1の軌道上の蔵置レーン2に隣接する部分の全長に渡って延在する蔵置領域用仮置スタンド50を設けて構成される。
【0029】
この蔵置領域用仮置スタンド50は、蔵置レーン2の長手方向、図中のx方向の長さと略等しい長さに形成された台である。よって、x方向に複数のコンテナを並べて仮置きすることも可能である。
【0030】
この蔵置領域用仮置スタンド50は、
図4及び
図5に示すように、リフトCART20のCART用走行路L1の軌道を跨いで配置され、左右一対の支持体51を備えると共に、各支持体51がスタンド本体52に、コンテナの下面を支持するコンテナ支持部53と、スタンド本体52を支えるスタンド支持部54とを備える。
【0031】
そして、互いの支持体51の間隔の内幅(コンテナ支持部53を除く)がCART本体22の外幅及びコンテナの幅よりも広く形成され、リフトCART20がリフト機構によ
りコンテナを持ち上げた状態になれば、リフトCART20が左右一対の支持体51の間を通り抜けられるように構成される。
【0032】
この蔵置領域用仮置スタンド50は、上記の構成により、リフトCART20がリフト機構21により運搬してきたコンテナを仮置きすること、及び仮置きされたコンテナを受け取ることを可能とする。これにより、リフトCART20は、蔵置レーン2の隣接する部分でRMG3の作業を待つことなく、TOS41から指示された場所にコンテナを仮置きする、及び仮置きされたコンテナを受け取ることができる。一方、RMG3も仮置きされたコンテナを蔵置する、及び蔵置されたコンテナを仮置きすることができる。
【0033】
次に、この第一の実施の形態のコンテナターミナル1の運用方法について説明する。本発明のコンテナターミナル1の運用方法では、特に、蔵置レーン2に隣接する部分のCART用走行路L1上で、行われるリフトCART20とRMG3との間のコンテナの受け渡しに際して、蔵置領域用仮置スタンド50を経由させることで、迅速且つ効果的な荷役作業を行うことができる。
【0034】
図6に示すように、リフトCART20からRMG3にコンテナが渡される作業を説明する。まず、TOS41からコンテナの蔵置位置を指示されたリフトCART20は、指示された場所あるいはその近傍にコンテナを運搬する。このとき、リフトCART20は、リフト機構21を上げた状態にして、コンテナを蔵置領域用仮置スタンド50に触れないようにして、コンテナを運搬する。
【0035】
次に、指示された場所に到着すると、リフトCART20は停車して、リフト機構21の昇降装置25によりコンテナ台24を下げる。コンテナ台24が下がると、搭載されていたコンテナも下がる。そして、コンテナを蔵置領域用仮置スタンド50のコンテナ支持部53に仮置きする。
【0036】
コンテナを蔵置領域用仮置スタンド50に仮置きしたリフトCART20は、RMG3の到着や荷役作業を待つこと無く、次のコンテナを運搬するために移動する。
【0037】
蔵置領域用仮置スタンド50にコンテナが仮置きされると、RMG3は、コンテナが仮置きされた場所まで走行する。このとき、RMG3が作業をしていなければ、予めコンテナが仮置きされる場所で待機していてもよい。
【0038】
次に、仮置きされたコンテナを、スプレッダ15で掴み、トロリ14を横行させて、TOS41から指示された所定の位置にコンテナを蔵置して、この作業は完了する。
【0039】
RMG3からリフトCART20にコンテナが渡される作業については、上記の逆の作業となるので、その説明は省略する。この作業の場合は、RMG3はTOS41から指示されたコンテナを蔵置領域用仮置スタンド50に仮置きしたら、リフトCART20の到着を待たずに次の作業を行う。
【0040】
なお、以上の動作はTOS41からRMG3、及びリフトCART20へ送られた指示に従って、各装置が自動で行う操作とする。但し、有人領域である搬出搬入用移載領域10でのRMG3の操作については、安全性を確保するため、遠隔操作としてもよい。
【0041】
上記のコンテナターミナル1及びその運用方法によれば、蔵置レーン2に隣接する部分を含むCART用走行路L1の軌道上に設けられたコンテナを仮置きする蔵置領域用仮置スタンド50に、リフトCART20とRMG3がコンテナを仮置きすることで、リフトCART20とRMG3が互いの作業を待つことがなくなるので、リフトCART20と
RMG3との間のコンテナの受け渡しの際に発生する待機時間を短縮することができる。
【0042】
これより、リフトCART20とRMG3は蔵置領域用仮置スタンド50にコンテナを仮置きしたら、一方の作業を待たずとも、次の作業に移ることができる。よって、蔵置領域用仮置スタンド50がバッファーの役割を果たすので、荷役効率を向上することができる。
【0043】
なお、コンテナを搬出する際には、特に、外来シャーシ9は到着時間をコントロールすることが難しく、蔵置領域用仮置スタンド50に仮置きされたコンテナがRMG3により運搬されない場合もある。その場合は、
図7に示すように、蔵置領域用仮置スタンド50の端から順に仮置きしていくとよい。
【0044】
この実施の形態では、搬出搬入端部2bから5ベイ程度の範囲では、RMG3がコンテナを吊って走行するように構成されている。よって、そのRMG3がコンテナを吊って走行する範囲であれば、蔵置領域用仮置スタンド50にコンテナを仮置きして、リフトCART20が待機する時間を短縮するとよい。
【0045】
次に、本発明に係る第二の実施の形態のコンテナターミナル60とその運用方法について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。このコンテナターミナル60は、第一の実施の形態のコンテナターミナル1の蔵置領域用仮置スタンド50に代えて、CART用走行路L1の軌道上の蔵置レーン2に隣接する部分の全長に渡って、複数の蔵置領域用仮置スタンド61A及び61Bを所定の間隔ごとに設けて構成される。
【0046】
蔵置領域用仮置スタンド61Aは40フィートのコンテナ用であり、蔵置領域用仮置スタンド61Bは20フィートのコンテナ用である。また、所定の間隔は、蔵置レーン2の隣接するコンテナ同士の間隔と略等しい間隔である。このように構成することで、蔵置領域用仮置スタンド61A、61Bに仮置きされたコンテナと蔵置レーン2に蔵置されたコンテナのy方向の位置を合わせることができる。
【0047】
また、このコンテナターミナル60は、
図9に示すように、リフト機構21を備えたリフトCART20に代えて、荷台71が昇降しないCART70を設ける。そして、蔵置領域用仮置スタンド61が、コンテナの下面を支持する一対の支持体62を備えると共に、その一対の支持体62が、コンテナを昇降するリフト機構64を備え、蔵置領域用仮置スタンド61が、コンテナを運搬しているCART70が通り抜けるときには、リフト機構64をCART70が運搬しているコンテナに触れないように下げて、CART70を通り抜けさせるように構成される。
【0048】
この蔵置領域用仮置スタンド61は、リフトCART20のCART用走行路L1の軌道を跨ぐように配置され、左右一対の支持体62を備えると共に、支持体62が、スタンド本体63に、コンテナの下面を支持して昇降可能なリフト機構64と、スタンド本体63を支えるスタンド支持部65とを備える。
【0049】
リフト機構64は、コンテナの下面を支持するコンテナ支持部66と、そのコンテナ支持部66を昇降させる昇降装置67を備える。このリフト機構64は、コンテナの下面を支持して昇降し、CART70の荷台71にコンテナを降ろす、あるいは荷台71に載せられたコンテナを持ち上げることができればよく、上記の構成に限定しない。例えば、このリフト機構64の昇降装置67として、油圧ジャッキを用いることができる。
【0050】
そして、互いの支持体62の間隔の内幅(コンテナ支持部66を除く)がCART本体72及びコンテナの外幅よりも広く形成され、蔵置領域用仮置スタンド61がリフト機構
64によりコンテナを持ち上げた状態になれば、CART70を左右一対の支持体62の間を通り抜けさせるように構成される。
【0051】
このコンテナターミナル60とその運用方法によれば、前述した第一の実施の形態の効果に加えて、蔵置領域用仮置スタンド61にコンテナを昇降可能なリフト機構64を備えることで、CART70にコンテナを昇降させる装置を搭載することが不要になるので、CART70の走行エネルギーの増加や、走行中の振動によってコンテナを昇降させる装置の故障の増加を抑制し、CART70の信頼性を向上することができる。
【0052】
また、蔵置領域用仮置スタンド61のリフト機構64は地上に設置されるため、CART70に搭載する場合に比べて、寸法的な制約が緩和され、安価な機器の採用することができると共に、保守を容易に行うことができる。これにより、大幅にコストを下げることができる。
【0053】
次に、本発明に係る第三の実施の形態のコンテナターミナル80とその運用方法について、
図10を参照しながら説明する。このコンテナターミナル80は、蔵置レーン2に隣接する部分に加えて、荷積荷卸用移載領域8と搬出搬入用移載領域10も含めたCART用走行路L1の全長に渡って延在する蔵置領域用仮置スタンド81を設けて構成される。
【0054】
このコンテナターミナル80とその運用方法によれば、荷積荷卸用移載領域8でのSC7とリフトCART20との間のコンテナの受け渡しも含めて、リフトCART20が行うコンテナの受け渡しを一台の蔵置領域用仮置スタンド81を経由して行うことができる。
【0055】
次に、本発明に係る第四の実施の形態のコンテナターミナル90とその運用方法について、
図11を参照しながら説明する。このコンテナターミナル90は、荷積荷卸用移載領域8の第二受渡部32に移載領域用仮置スタンド91を二つ設け、蔵置レーン2に隣接する部分のうち、所定の範囲内に渡って延在する蔵置領域用仮置スタンド92を設けて構成される。
【0056】
移載領域用仮置スタンド91は、荷積荷卸用移載領域8に敷設されているCART用走行路L1上に配置される。この移載領域用仮置スタンド91は、第一の実施の形態と同様に構成される。
【0057】
蔵置領域用仮置スタンド92も第一の実施の形態と同様に構成される。この蔵置領域用仮置スタンド92は所定の範囲内に渡って延在するが、この所定の範囲とは、コンテナターミナル90において、リフトCART20とRMG3との間のコンテナの受け渡しを蔵置領域用仮置スタンド92を経由して行うと効率が良くなる部分である。例えば、このコンテナターミナル90では、荷積荷卸端部2aから5ベイ程度の範囲に蔵置されるコンテナについては、RMG3がリフトCART20を経由させないで、直接蔵置し、一方、搬出搬入端部2bから5ベイ程度の範囲に蔵置されるコンテナについても、RMG3がリフトCART20を経由させないで、直接外来シャーシ9に渡すように構成されている。よって、このRMG3が直接コンテナを運搬する部分には、蔵置領域用仮置スタンド92を設けずに、蔵置レーン2の中程の数ベイに隣接する部分のCART用走行路L1の軌道上に蔵置領域用仮置スタンド92を設けた。
【0058】
このコンテナターミナル90とその運用方法によれば、蔵置領域用仮置スタンド92をリフトCART20とRMG3との間でコンテナの受け渡しが頻繁に行われる範囲にだけ設けることで、蔵置領域用仮置スタンド92を小さくすることができ、その分コストを下げることができる。また、移載領域用仮置スタンド91を設けることで、荷積荷卸用移載
領域8でSC7、リフトCART20が待機する時間を短縮することができる。
【0059】
なお、上記の実施の形態では、ヤードクレーンとしてRMG3、周回搬送台車としてSC7、往復搬送台車としてレール走行式のリフトCART20(CART70)、及びコンテナを仮置きすることでSC7と、リフトCART20(CART70)との間のコンテナの受け渡しを担う仮置スタンド30を用いたコンテナターミナルを例に説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0060】
例えば、特許文献1(特開2011−093654号公報)に記載の周回搬送台車と往復搬送台車との間のコンテナの受け渡しを行う移載クレーンを用いた構成や、周回搬送台車として昇降台付無人搬送台車、往復台車として昇降台付往復台車、周回搬送台車と往復搬送台車との間のコンテナの受け渡しを担うコンテナ受台を用いた構成にも適用可能である。また、特開2012−201482号公報に記載の周回搬送台車と往復搬送台車との間のコンテナの受け渡しをヤードクレーンが担う構成にも適用可能である。
【0061】
また、上記の実施の形態では、蔵置レーン2がy方向に延在し、蔵置レーン2を計六レーン設けたコンテナターミナル1、60、80、及び90を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、蔵置レーン2がx方向に延在するコンテナターミナルにも適用することができ、設けられる蔵置レーン2の数も限定されない。また、一つの蔵置レーン2に対して二台のRMG3と、二台のCART20を備える構成としたが、本発明はこれに限定されない。
【0062】
加えて、上記の実施の形態では、RMG用走行路L2がレールで形成され、且つ走行装置11がレール上を走行可能にフランジが設けられた車輪を有して形成されるが、本発明はこれに限定されずに、例えば、タイヤ式門型クレーン(Rubber Tired Gantry Crane)を用いることもできる。
【0063】
さらに、上記の実施の形態では、このSC7は、遠隔で操作され、又は遠隔から指示された荷役作業を自動で行う無人のキャリアで形成したが、本発明はこれに限定されずに、運転手が搭乗して運転される有人のキャリアで構成しもよい。しかし、荷積荷卸用移載領域8を無人領域として、コンテナターミナル1の荷役を自動化するためには、無人のSC7が好ましい。
【0064】
その上、上記の実施の形態では、レール上を走行するリフトCART20(CART70)を用いたが、走行路を敷設された磁気テープで形成し、その磁気テープに添って往復する搬送台車を用いることもできる。
【0065】
第一、第二、第三、及び第四の実施の形態の蔵置領域用仮置スタンド50、61A、61B、81、及び92の構成は、コンテナを仮置き可能で且つコンテナを載せたリフトCART20(CART70)が通り抜け可能に構成されればよく、上記の構成に限定されない。
【0066】
第三及び第四の実施の形態については、蔵置レーン2に隣接する部分を含むCART用走行路L1の軌道上の全長に渡って、又は所定の範囲に渡って、それぞれ一つの蔵置領域用仮置スタンド81及び92を設けたが、これらに代えて、第二の実施の形態で説明した蔵置領域用仮置スタンド61A、61Bを複数、設けてもよい。
【0067】
上記の実施の形態の他、例えば、岸壁にCART用走行路L1が敷設できずに、リフトCART20の車輪23をラバータイヤで形成した場合は、第一の実施の形態の蔵置領域用仮置スタンド50にガイドレールを設け、リフトCART20がそのガイドレールに沿
って走行するように構成してもよい。この構成によれば、ラバータイヤで走行するリフトCART20を、ガイドレールに沿って走行させることでき、リフトCART20の走行を容易に制御することができる。
【0068】
また、一つの蔵置レーン2に対して、一つのCART用走行路L1に限定することなく、例えば、一つの蔵置レーン2に対して、複数のCART用走行路L1を敷設し、それぞれのCART用走行路L1の軌道上に蔵置領域用仮置スタンドを設けてもよい。
【0069】
加えて、外来シャーシ9により搬入され、船舶Shに荷積みされるコンテナを蔵置レーン2の荷積荷卸用移載領域8側に蔵置し、SC7により荷卸しされ、外来シャーシ9から搬出されるコンテナを蔵置レーン2の搬出搬入用移載領域10側に蔵置すると、より荷役効率を向上することができる。
【0070】
さらに、第一、第三、及び第四の実施の形態の蔵置領域用仮置スタンド50、81、及び91に、第二の実施の形態で説明したようなリフト機構を備えて構成してもよい。