(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234915
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ネットワークシステムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/42 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
H04L12/42 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-234489(P2014-234489)
(22)【出願日】2014年11月19日
(65)【公開番号】特開2016-100678(P2016-100678A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【弁理士】
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】服部 恭太
(72)【発明者】
【氏名】片山 勝
【審査官】
森谷 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−160920(JP,A)
【文献】
特開2014−53770(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0030901(US,A1)
【文献】
特開2013−258589(JP,A)
【文献】
中川 雅弘 Masahiro NAKAGAWA,光TDMリング網におけるトラヒック分布を考慮した高速リソース割当方式の評価 Performance Evaluation of Fast Resource Allocation considering Traffic Distribution in Optical-TDM Ring Network,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.114 No.334 IEICE Technical Report,日本,一般社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2014年11月20日,第114巻第334号,pp.21-26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノードがリンクを介してリング状に接続され、各ノード間に設定されるパスとタイムスロットの割当状態を示すスケジュールテーブルを決定するスケジューリングを行うネットワークシステムにおいて、
前記各ノード間に設定されるパスのうち、2つのパスをつなげるとリングを一周するパスの組合せをパスペアとしてリストアップし、さらにパスペアごとに、2つのパスに割り当てるタイムスロット数が大きい方のパスを形成するリンク(以下、凸リンクという)をリストアップし、凸リンクが重複しない所定数のパスペアを組合せてパスグループとするパスグループ作成手段を備え、
前記スケジューリングは、前記パスグループを形成するパスの組合せにより前記スケジュールテーブルを決定する
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記パスグループ作成手段は、前記パスグループとする前記パスペアの組合せがなくなった場合に、残りのパスペアについて前記所定数のパスペアを任意に組合せる処理を行う ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記パスグループ作成手段は、前記凸リンクが重複しないパスペアの組合せを探索する際に、前記凸リンクをもたないパスペアおよびすでに前記パスグループになったパスペアを除外して探索を行う
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記パスグループ作成手段は、前記パスペアとなる2つのパスについてホップ数の長短に応じて長パスおよび短パスとしたときに、短パスに割り当てるタイムスロット数が大きいパスペアを基準に、前記パスグループとして組合せるパスペアを探索する処理を行う
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項5】
複数のノードがリンクを介してリング状に接続され、各ノード間に設定されるパスとタイムスロットの割当状態を示すスケジュールテーブルを決定するスケジューリングを行うネットワークシステムの制御方法において、
前記各ノード間に設定されるパスのうち、2つのパスをつなげるとリングを一周するパスの組合せをパスペアとしてリストアップする処理を行うステップ1と、
さらに前記パスペアごとに、前記2つのパスに割り当てるタイムスロット数が大きい方のパスを形成するリンク(以下、凸リンクという)をリストアップする処理を行うステップ2と、
前記凸リンクが重複しない所定数のパスペアを組合せてパスグループとする処理を行うステップ3とを有し、
前記スケジューリングは、前記パスグループを形成するパスの組合せにより前記スケジュールテーブルを決定する
ことを特徴とするネットワークシステムの制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載のネットワークシステムの制御方法において、
前記ステップ3は、前記パスグループとする前記パスペアの組合せがなくなった場合に、残りのパスペアについて前記所定数のパスペアを任意に組合せる処理を行う
ことを特徴とするネットワークシステムの制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載のネットワークシステムの制御方法において、
前記ステップ3は、前記凸リンクが重複しないパスペアの組合せを探索する際に、前記凸リンクをもたないパスペアおよびすでに前記パスグループになったパスペアを除外して探索を行う
ことを特徴とするネットワークシステムの制御方法。
【請求項8】
請求項5に記載のネットワークシステムの制御方法において、
前記ステップ3は、前記パスペアとなる2つのパスについてホップ数の長短に応じて長パスおよび短パスとしたときに、短パスに割り当てるタイムスロット数が大きいパスペアを基準に、前記パスグループとして組合せるパスペアを探索する処理を行う
ことを特徴とするネットワークシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TDM(時分割多重化)方式を用いたネットワークシステムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、TDM方式を用いたネットワークシステムのスケジューリング例を示す。
図6において、ノードA〜Eはリンクを介してリング状に接続され、事前にデータを送受信するタイミング(以下、TS(タイムスロット)という)を決めて運用される。ここで、TSの割当状態を示すテーブルをスケジュールテーブル、スケジュールテーブルを決定する演算をスケジューリングとする。スケジューリングでは、ノード間のパスが経由するリンクで共通のTSを割り当て、同一リンクで同じTSは使えないものとする。
【0003】
図6に示すスケジュールテーブルでは、繰り返し単位のTDMフレーム長tを 500μs として 100μs のTS1〜TS5を設定し、ノードA,C間のパスA−Cに1TS(2Gbps )を割り当て、ノードB,D間のパスB−Dに2TS(4Gbps )を割り当てる例を示す。この場合、パスA−CにTS1が割り当てられ、パスB−DにTS2,TS3が割り当てられる。
【0004】
このようなスケジューリングについては、様々なヒューリスティック解法が提案されている。従来は、与えられたトポロジ、トラヒックに対して1パスずつ、順次割り当てるTSを探索する方法(非特許文献1)が一般的である。しかし、各パスに対して、パスが経由するすべてのリンクでTSの空塞状況をチェックする必要があり、ネットワークシステムの大規模化が困難であった。この問題に対して、階層化スケジューリング(非特許文献2)が提案されている。
【0005】
階層化スケジューリングでは、複数のパスを論理的に束ねて複数のグループに分割し、
図7に示すように、各グループ単位にスケジューリングを行ってスケジュールテーブルを作成し、各スケジュールテーブルをつなぎ合わせて全体のスケジューリングを行う。このとき、各グループに着目したスケジューリングと、各グループのスケジューリング結果の調停処理を行うスケジューリングの階層構造となるので、着目するパス数およびTS数が小規模となって計算時間が短くなるとともに、ネットワークシステムの大規模化にも対応することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】X. Zhang and C. Qiao, “Pipelined transmission scheduling in all-optical TDM/WDM rings, ”in Proc. Int. Conf. Computer Communication and Networks, pp.144-149, Sept. 1997.
【非特許文献2】中川, 服部, 片山, 小川,“パスグルーピングを用いた光TDMリソース割当方式の性能評価,”2014年電子情報通信学会ソサイエティ大会,B-12-15,2014年9月.
【非特許文献3】X. Cao et al.,“Waveband Switching in Optical Networks, ”IEEE Commun. Mag., vol.41, no.4, pp.105-112, Apr. 2003.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数のパスをグループ化する際に、非特許文献2に記載のFirst-Fit やFirst-Fit path pair 方式、非特許文献3に記載の波長群パス網におけるグループ化方式では、割当効率が低下し、同一リソースで収容可能なトラヒック量が低下または同一トラヒック量を収容するための所要リソース量が増加する課題がある。
【0008】
図8は、First-Fit path pair 方式によるグルーピングの例を示す。
図8において、ネットワーク情報に基づきノードA〜Eに設定されるパス情報は、パスID、始点ノード、終点ノードから構成される。トラヒック情報は、パスごとの割当TS数を示す。トラヒック情報は定期的に更新される。パスペアテーブルは、2つのパスをつなげるとリングを一周するパスの組合せを示す。ホップ数は、パスを構成するリンク数であり、ネットワーク情報から取得し、ノード追加やリンク追加がない限り固定する。First-Fit path pair 方式では、パスペアテーブルのパスペアを昇順に2組ずつ組合せてパスグループが形成される。スケジュールテーブルは、パスグループ1であるパスペア1(パス1,5)とパスペア2(パス2,9)のスケジューリング結果を示す。
【0009】
ここで、パスペアテーブルは、トラヒック情報の更新により随時更新されるが、First-Fit path pair 方式によるパスペアの組合せが固定であるため計算時間は抑制される。しかし、パスペアを昇順にグループ化したために、
図8のスケジュールテーブルに示すように、グループ化しない場合に他のパスが使用できたTSも使用できなくなり、割当効率が低下することがある。
【0010】
図9は、波長群パス網におけるグルーピングの例を示す。
ここでは、経路が同一または通過するリンクが同一である4つのパスをグルーピングする。例えば、グループ1では、ノードB−C間を通過するパスをグルーピングしたものである。この場合、複数のパスで同一のTSを共用することはないので、不使用TSが発生し、割当効率が低下することがある。
【0011】
本発明は、パスペアのトラヒック分布を考慮した単純な比較演算でパスグループを作成し、短い計算時間でネットワーク全体のリソースを有効活用したスケジューリングを可能とするネットワークシステムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、複数のノードがリンクを介してリング状に接続され、各ノード間に設定されるパスとタイムスロットの割当状態を示すスケジュールテーブルを決定するスケジューリングを行うネットワークシステムにおいて、各ノード間に設定されるパスのうち、2つのパスをつなげるとリングを一周するパスの組合せをパスペアとしてリストアップし、さらにパスペアごとに、2つのパスに割り当てるタイムスロット数が大きい方のパスを形成するリンク(以下、凸リンクという)をリストアップし、凸リンクが重複しない所定数のパスペアを組合せてパスグループとするパスグループ作成手段を備え、スケジューリングは、パスグループを形成するパスの組合せによりスケジュールテーブルを決定する。
【0013】
第1の発明のネットワークシステムにおいて、パスグループ作成手段は、パスグループとするパスペアの組合せがなくなった場合に、残りのパスペアについて所定数のパスペアを任意に組合せる処理を行う。
【0014】
第1の発明のネットワークシステムにおいて、パスグループ作成手段は、凸リンクが重複しないパスペアの組合せを探索する際に、凸リンクをもたないパスペアおよびすでにパスグループになったパスペアを除外して探索を行う。
【0015】
第1の発明のネットワークシステムにおいて、パスグループ作成手段は、パスペアとなる2つのパスについてホップ数の長短に応じて長パスおよび短パスとしたときに、短パスに割り当てるタイムスロット数が大きいパスペアを基準に、パスグループとして組合せるパスペアを探索する処理を行う。
【0016】
第2の発明は、複数のノードがリンクを介してリング状に接続され、各ノード間に設定されるパスとタイムスロットの割当状態を示すスケジュールテーブルを決定するスケジューリングを行うネットワークシステムの制御方法において、各ノード間に設定されるパスのうち、2つのパスをつなげるとリングを一周するパスの組合せをパスペアとしてリストアップする処理を行うステップ1と、さらにパスペアごとに、2つのパスに割り当てるタイムスロット数が大きい方のパスを形成するリンク(以下、凸リンクという)をリストアップする処理を行うステップ2と、凸リンクが重複しない所定数のパスペアを組合せてパスグループとする処理を行うステップ3とを有し、スケジューリングは、パスグループを形成するパスの組合せによりスケジュールテーブルを決定する。
【0017】
第2の発明のネットワークシステムの制御方法において、ステップ3は、パスグループとするパスペアの組合せがなくなった場合に、残りのパスペアについて所定数のパスペアを任意に組合せる処理を行う。
【0018】
第2の発明のネットワークシステムの制御方法において、ステップ3は、凸リンクが重複しないパスペアの組合せを探索する際に、凸リンクをもたないパスペアおよびすでにパスグループになったパスペアを除外して探索を行う。
【0019】
第2の発明のネットワークシステムの制御方法において、ステップ3は、パスペアとなる2つのパスについてホップ数の長短に応じて長パスおよび短パスとしたときに、短パスに割り当てるタイムスロット数が大きいパスペアを基準に、パスグループとして組合せるパスペアを探索する処理を行う。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、パスペアをリストアップし、さらにパスペアごとに凸リンクをリストアップし、凸リンクが重複しない所定数のパスペアを組合せてパスグループとし、このパスグループを形成するパスの組合せによりスケジューリングを行うことにより、スケジュールテーブル上でTSの凹凸が抑制され、TSリソースを有効活用することができる。
【0021】
また、凸リンクが重複しないパスペアの組合せを探索する際に、凸リンクをもたないパスペアおよびすでにパスグループになったパスペアを除外するか、短パスに割り当てるタイムスロット数が大きいパスペアを基準にパスグループとして組合せるパスペアを探索する処理を行うことにより、短時間でパスグループを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のネットワークシステムにおけるパスグループ作成手段の構成例を示す図である。
【
図2】パスペア作成演算部11の処理例を示す図である。
【
図3】パスペア分類演算部13の処理例を示す図である。
【
図4】パスペア組合せ演算部15の処理例を示す図である。
【
図5】パスグループテーブル16とスケジュールテーブルの例を示す図である。
【
図6】TDM方式を用いたネットワークシステムのスケジューリング例を示す図である。
【
図7】階層化スケジューリングの例を示す図である。
【
図8】First-Fit path pair 方式によるグルーピングの例を示す図である。
【
図9】波長群パス網におけるグルーピングの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明のネットワークシステムにおけるパスグループ作成手段の構成例を示す。
図1において、パスグループ作成手段は、パスペア作成演算部11、パスペアテーブル12、パスペア分類演算部13、マーカ表示部14、パスペア組合せ演算部15により構成される。なお、パスグループ作成手段は、ノード間のスケジュールテーブルを管理するネットワークコントローラ(スケジューラ)に設けられる。各ノードは、ネットワークコントローラにトラヒック情報(要求TS数)を提供し、ネットワークコントローラから通知されるスケジュールテーブルに応じたTSでTDM信号を転送する。
【0024】
図2は、パスペア作成演算部11の処理例を示す。
図2において、パスペア作成演算部11は、ネットワーク情報に基づきノードA〜Eに設定されるパス情報(パスID、始点ノード、終点ノード、パスを構成するリンク)と、パスごとのトラヒック情報(割当TS数)を入力し、論理的につなげると2パスでリングを1周するパス(1) とパス(2) をパスペアとしてリストアップし、各パスのホップ数およびトラヒック情報(割当TS数)を含むパスペアテーブル12を作成する。ここでは、20個のパス1〜20に対して、パス(1) となるパスIDの昇順に10個のパスペア1〜10が作成される。トラヒック情報は随時更新される。
【0025】
このパスペアテーブル12には、パスペアごとにトラヒック(割当TS数)が大きい方のパスとそのリンク(凸リンク)が付記される。例えば、パスペア1はパス1(リンクa)とパス5(リンクbcde)の組合せであるが、パス1のトラヒックは4、パス5のトラヒックは2であるので、トラヒックが大きい方はパス1となり、凸リンクはaとなる。すなわち、パス1(リンクa)のトラヒックがパス5(リンクbcde)のトラヒックに対して凸になっていることを示す。同様に、パスペア2については、パス2(リンクab)のトラヒックがパス9(リンクcde)のトラヒックに対して凸になっていることを示す。
【0026】
図3は、パスペア分類演算部13の処理例を示す。
図3において、パスペア分類演算部13は、
図2に示すパスペアテーブル12における各パスペアのホップ数とトラヒック情報(割当TS数)から、次の3ケースのいずれかであるかを判定したマーカをマーカ表示部14に設定する。
マーカ1:長パスのTS数=短パスのTS数
マーカ2:長パスのTS数<短パスのTS数
マーカ3:長パスのTS数>短パスのTS数
【0027】
なお、パスペアを形成するパス(1) とパス(2) のホップ数の長短から、長パスおよび短パスとする。また、ノードが偶数のときは、パス(1) とパス(2) のホップ数が同数となる場合があるが、便宜的に一方を長パス、他方を短パスとして処理する。
【0028】
本発明の特徴とするところは、2つのパスペアを組合せてパスグループを形成する場合、従来のFirst-Fit path pair 方式のように単純かつ固定的にパスIDの昇順に組合せるのではなく、随時更新されるトラヒック情報に基づき、スケジュールテーブル上でTSの凹凸を抑制する組合せを実現するところにある。例えば、短パスのTS長が大きいマーカ2のパスペアまたは長パスのTS長が大きいマーカ3のパスペアを基準に、他のマーカ2のパスペアまたはマーカ3のパスペアと組合せることにより、スケジュールテーブル上でTSの凹凸を抑制することが可能となる。また、マーカ1のパスペアは、TSに凹凸がないので、マーカ1〜3のパスペアのいずれとも組合せが可能である。
【0029】
図4は、パスペア組合せ演算部15の処理例を示す。
図4において、パスペア組合せ演算部15は、
図2に示すパスペアテーブル12におけるパスペア1〜10を形成するパス(1) とパス(2) の組合せと、凸リンクの情報と、
図3に示すマーカ表示部14のマーカ情報を入力し、パスグループを形成するパスペアを次のような手順で組合せる。
【0030】
(パスグループ1の組合せ手順)
(1) パスペアIDの昇順に基準となるマーカ2のパスペアを選択する。ここでは、パスペア1(パス1とパス5)がマーカ2なので選択し、基準パスペア(★)とする。
【0031】
(2) 基準パスペアと組合せるパスペアの探索では、パスペアIDの昇順に凸リンクが基準パスペアと重複しないパスペアを選択する。このとき、マーカ2またはマーカ3のパスペアのみを探索対象としてもよい。ここでは、基準パスペア1における凸リンクaと、マーカ2のパスペア2の凸リンクa,bが重複するので不可とし、次のマーカ2のパスペア3の凸リンクd,eは重複しないので選択し、組合せるパスペア(●)とする。これにより、パスグループ1は、パスペア1,3(パス1,5,3,13)の組合せとなる。 初期条件として、パスグループ当たりのパスペア数の上限を2(パス数の上限を4)とした場合には、これにてパスグループ1の組合せを終了する。次のパスグループについても同様に上記の(1),(2) の手順を繰り返す。ただし、マーカ2のパスペアがすべて組合せ済となった場合には、マーカ3のパスペアを基準として同様の手順を繰り返す。
【0032】
(パスグループ2の組合せ手順)
(1) パスペアIDの昇順に、すでにパスグループとなったパスペアを除き、基準となるマーカ2のパスペアを選択する。ここでは、パスペア2(パス2とパス9)がマーカ2なので選択し、基準パスペア(★)とする。
【0033】
(2) 基準パスペアと組合せるパスペアの探索では、パスペアIDの昇順に、すでにパスグループとなったパスペアを除き、凸リンクが基準パスペアと重複しないパスペアを選択する。このとき、マーカ2またはマーカ3のパスペアのみを探索対象としてもよい。ここでは、基準パスペア2における凸リンクa,bと、マーカ3のパスペア4の凸リンクa,b,c,dが重複するので不可とする。同様に、パスペア5,6,8を不可とし、次のマーカ2のパスペア10は凸リンクdが重複しないので選択し、組合せるパスペア(●)とする。これにより、パスグループ2は、パスペア2,10(パス2,9,16,20)の組合せとなる。
【0034】
(パスグループ3の組合せ手順)
(1) パスペアIDの昇順に、すでにパスグループとなったパスペアを除き、基準となるマーカ2のパスペアを選択する。ここでは、パスペア5(パス6とパス10)がマーカ2なので選択し、基準パスペア(★)とする。
【0035】
(2) 基準パスペアと組合せるパスペアの探索では、パスペアIDの昇順に、すでにパスグループとなったパスペアを除き、凸リンクが基準パスペアと重複しないパスペアを選択する。このとき、マーカ2またはマーカ3のパスペアのみを探索対象としてもよい。ここでは、基準パスペア5における凸リンクbと、マーカ3のパスペア6の凸リンクa,d,eが重複しないので選択し、組合せるパスペア(●)とする。これにより、パスグループ3は、パスペア5,6(パス6,10,7,14)の組合せとなる。
【0036】
以上により、マーカ2のパスペアがすべてグルーピングされたので、次にマーカ3のパスペアを基準として同様の組合せ手順を繰り返す。しかし、マーカ3のパスペアどうしでは、凸リンクが必ず重複するので、マーカ2のパスペアがすべてグルーピングされた時点で上記の組合せ手順を打ち切ってもよい。
【0037】
(パスグループ4,5の組合せ手順)
以上によりグルーピングされずに残ったパスペアは、マーカ3のパスペア4、マーカ1のパスペア7、マーカ3のパスペア8,マーカ1のパスペア9となる。これらのパスペアは、他のパスペアと組合せてもスケジュールテーブル上でTSの凹凸を抑制する効果が期待できないので、単純にパスペアIDの昇順に組合せる。ここでは、パスグループ4は、パスペア4,7(パス4,17,8,18)とし、パスグループ5は、パスペア8,9(パス11,15,12,19)として、パス組合せ演算部15の処理を終了する。
【0038】
なお、以上のグルーピング処理において、マーカ3のパスペアのうち、凸リンクのホップ数が4のパスペアのように、他のマーカ2およびマーカ3のパスペアと組合せることが不可能なパスペアは、上記の(1),(2) の処理から予め除外してもよい。
【0039】
以上の処理により完成したパスグループ1〜5からなるパスグループテーブル16は、
図5に示すものとなる。スケジュールテーブルは、このようなパスグループテーブル16に基づいて作成されるが、例えば
図5に示すパスグループ1の場合のように、スケジュールテーブル上でTSの凹凸が抑制され、TSリソースを有効活用したスケジューリングができることがわかる。
【符号の説明】
【0040】
11 パスペア作成演算部
12 パスペアテーブル
13 パスペア分類演算部
14 マーカ表示部
15 パスペア組合せ演算部
16 パスグループテーブル