(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234927
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】コレットチャックを備えた加工装置
(51)【国際特許分類】
B23B 31/02 20060101AFI20171113BHJP
B23B 31/20 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
B23B31/02 C
B23B31/20 B
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-530474(P2014-530474)
(86)(22)【出願日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】JP2013004869
(87)【国際公開番号】WO2014027466
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2016年8月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-181177(P2012-181177)
(32)【優先日】2012年8月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】598142014
【氏名又は名称】長野オートメーション株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】山浦 誠司
(72)【発明者】
【氏名】小杉 和秀
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭50−141284(JP,U)
【文献】
米国特許第05855377(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0253016(US,A1)
【文献】
特開平09−108917(JP,A)
【文献】
特開平09−123005(JP,A)
【文献】
特開2007−331080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/02
B23B 31/20
B23Q 3/06
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端の側でワークを把持するコレットチャックと、
主軸に繋がるヘッドであって、前記コレットチャックが挿入される中空部を含むヘッドと、
前記コレットチャックの先端を開閉するスリーブとを有し、
前記コレットチャックは、
後端と、
前記後端の側に設けられた円筒状の第1の外周面と、
前記第1の外周面の一部がリング状に凹み、前記後端の側が第1のテーパー面になった凹部とを含み、
前記ヘッドは、
前記中空部に挿入された前記コレットチャックの前記後端が当たる第1の基面と、
前記中空部に挿入された前記コレットチャックの前記第1の外周面と接触する円筒状の第1の内周面と、
前記第1の内周面から前記ヘッドの外周面に向かって半径方向に延びた複数の貫通孔であって、第2のテーパー面を備えた複数の棒状部材をそれぞれ差し込むと、前記中空部に挿入された前記コレットチャックの前記凹部の前記第1のテーパー面に前記第2のテーパー面が当たることにより前記コレットチャックの前記後端が前記第1の基面に当たり前記コレットチャックが前記ヘッドに固定される複数の貫通孔とを含む、加工装置。
【請求項2】
請求項1において、前記コレットチャックの前記第1の外周面の外径は前記スリーブの内径より小さい、加工装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記ヘッドにねじ止めされる部分を含む前記複数の棒状部材を有する、加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレットチャックを備えた加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本国特開2000−218414号公報に、既存の部品を用いて必要最小限の部品交換や改変でコレットチャックを作業性良く交換可能なコレットチャックジョイント装置を提供することが記載されている。回転可能な円筒状のスピンドル本体に、ワークを保持可能なコレットチャックを開閉可能に嵌め込んでなるこのコレットチャックジョイント装置においては、スピンドル本体内に進退動可能に嵌入されたドローバーと、該ドローバーに連繋して進退動するジョイント部と、一端がジョイント部に連繋して該ジョイント部側へ付勢されており、他端がコレットチャックの開口部に連繋して進退動するテーパーボルトとを備え、コレットチャックは、ジョイント部に連繋するテーパーボルトの該ジョイント部側への付勢を解除し、該ジョイント部との連繋を解除して、開口部よりテーパーボルトを取り外すことにより、スピンドル本体に着脱可能に設けられている。
【発明の概要】
【0003】
さらに効率よく短時間で交換が可能なコレットチャックを装着した加工装置が求められている。
【0004】
本発明の一態様は、先端の側でワークを把持するコレットチャックと、主軸に繋がるヘッドであって、コレットチャックが挿入される中空部を含むヘッドと、コレットチャックの先端を開閉するスリーブとを有する加工装置である。コレットチャックは、後端と、後端の側に設けられた円筒状の第1の外周面と、第1の外周面の一部がリング状に凹み、後端の側が第1のテーパー面になった凹部とを含む。ヘッドは、中空部に挿入されたコレットチャックの後端が当たる第1の基面と、中空部に挿入されたコレットチャックの第1の外周面と接触する円筒状の第1の内周面と、第1の内周面からヘッドの外周面に向かって半径方向に延びた複数の貫通孔であって、第2のテーパー面を備えた複数の棒状部材をそれぞれ差し込むと、中空部に挿入されたコレットチャックの凹部の第1のテーパー面に第2のテーパー面が当たることによりコレットチャックの後端が第1の基面に当たりコレットチャックがヘッドに固定される複数の貫通孔とを有する。
【0005】
この加工装置においては、半径方向に開いた貫通孔に、コレットチャックの凹部のテーパー面(第1のテーパー面)と接するように、先端またはそれに近い箇所がテーパー面(第2のテーパー面)になった棒状部材を挿入することによりコレットチャックをヘッドに装着できる。また、棒状部材を抜くことによりコレットチャックをヘッドから解放できる。したがって、コレットチャックの後端側の第1の外周面の外径をスリーブの内径より小さくすることにより、棒状部材を取り外したり取り付けたりするだけで、コレットチャックを簡単にヘッドに対し着脱できる。このため、コレットチャックの交換を簡単に短時間で行うことが可能となる。棒状部材はヘッドにねじ止めできるものであってもよく、ピンなどのロック用の部材を用いてヘッドに固定できるものであってもよい。
【0006】
この加工装置においては、側面がテーパーになったリング状の溝(凹部)と、溝に入る部分がテーパー面になった棒状部材(ストッパ)とを組み合わせてヘッドにコレットチャックを固定する。したがって、棒状部材を貫通孔に入れる際にヘッドとコレットチャックとの位置合わせは実質的に不要である。また、テーパー面同士の組み合わせでコレットチャックの後端をヘッドの第1の基面に押し付けてコレットチャックをヘッドに固定する。このため、コレットチャックの後端全周と、第1の基面の全周とが基本的に押圧された状態でコレットチャックは主軸とともに回転し、コレットチャックの回転にガタが発生する可能性は少ない。さらに、コレットチャックの回転により緩むような機構が省かれているので、加工中にコレットチャックはヘッドに完全に固定される。このため、この加工装置により、精度の高い加工を安定して行うことができる。
【0007】
他の異なる態様の1つは、先端の側でワークを把持するコレットチャックであって、後端と、後端の側に設けられた円筒状の第1の外周面と、第1の外周面の一部がリング状に凹み、後端側が第1のテーパー面になった凹部とを有するコレットチャックである。コレットチャックは、先端の外径より第1の外周面の外径が小さいことが好ましい。
【0008】
他の態様の1つは、主軸に繋がるヘッドである。このヘッドは、コレットチャックが挿入される中空部と、コレットチャックの先端を開閉するスリーブと、中空部にコレットチャックを挿入したときにコレットチャックの後端が当たる第1の基面と、中空部にコレットチャックを挿入したときにコレットチャックの後端の側の円筒状の第1の外周面と接触する円筒状の第1の内周面と、第1の内周面からヘッドの外周面に向かって半径方向に延びた複数の貫通孔であって、第2のテーパー面を備えた複数の棒状部材をそれぞれ差し込むと、中空部に挿入されたコレットチャックの凹部の後端の側の第1のテーパー面に第2のテーパー面が当たることによりコレットチャックの後端が第1の基面に当たりコレットチャックがヘッドに固定される複数の貫通孔とを有する。このヘッドと、上述したコレットチャックとを有し、ヘッドの中空部にコレットチャックが挿入された加工装置も本件の請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】ヘッドからコレットチャックを取り外した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、コレットチャックを備えた加工装置の概略を示している。加工装置1は典型的には旋盤であり、ワーク5を把持して旋回させる旋回ユニット19と、把持されたワーク5を加工するツールが搭載されたツールホルダ18とを含む。旋回ユニット19は、主軸台17と、主軸台17に回転自在に支持され、軸線12に沿って貫通孔13が設けられた主軸10と、主軸10を回転駆動するモーター15とを含む。貫通孔13はワーク5の供給路として機能する。旋回ユニット19は、さらに、供給路13と繋がり(連通し)、供給路13を介して供給されたワーク5を把持するチャック(コレットチャック)50と、コレットチャック50を支持し主軸10とともに回転するヘッド20とを含む。加工装置1は、さらに、ワーク(ワークピース、部材)5を、供給路12を介して加工装置1のコレットチャック50と反対側から供給する供給ユニット16を含む。
【0011】
図2にヘッド部分の構成を断面図により示している。
図3に、コレットチャック50を加工装置1から取り外した様子を示している。加工装置1は、主軸10の一方の端に取り付けられ、主軸10とともに回転するヘッド20と、ヘッド20に収納されたコレットチャック50とを含む。加工装置1は、さらに、軸13に沿って主軸10を貫通する供給路12を形成する中空の供給用スリーブ11を含む。供給路12はコレットチャック50に達する。加工装置1では、コレットチャック50により把持されるワーク(ワークピース、部材)を、供給路12を介して加工装置1のコレットチャック50と反対側から供給することが可能である。ワークをコレットチャック50の先端側から供給してもよい。
【0012】
ヘッド20は全体が円柱状で、回転軸(中心軸)13に沿ってコレットチャック50を収納する中空部21と、ヘッド20の先端29に位置するように中空部21に収納されたスリーブ30とを含む。スリーブ30は、中空部21に収納されたコレットチャック50の先端59の側で、先端59に向かって広がったテーパー部51をガイドすることによりコレットチャック50を開閉する。スリーブ30の内周面31はヘッド20の先端29の側に向かって広がるテーパー状である。コレットチャック50のテーパー部51の外周面52に沿って、内周面31がスライドするようにスリーブ30を前後に動かすことにより、コレットチャック50のテーパー部51の内周面53が変形し、ワークを把持したり離したり(クランプしたりアンクランプしたり)することができる。
【0013】
コレットチャック50は全体が円筒状で内部は中空であり、先端59の側にテーパー部51を含む。コレットチャック50は、後端58の側に、円筒状の第1の外周面57と、第1の外周面57の一部がリング状に凹み、後端58の側が後端58に向かって外側に広がる第1のテーパー面56になった凹部55とを含む。第1の外周面57は、中空部21にコレットチャック50を挿入する際に中空部21の内面(第1の内周面)24に当たり、コレットチャック50の中心軸54とヘッド20の中心軸、すなわち、主軸10の中心軸13とを一致させる基準となる面(第1の基準外周面、基準外面、ベース外面)である。コレットチャック50を中空部21にセット(挿入、収納)すると、コレットチャック50の後端58が材料供給用のスリーブ11の先端11aに面し、供給路12を介して供給されるワークをコレットチャック50の内部にスムーズに導けるようになっている。
【0014】
ヘッド20は、さらに、中空部21において、中空部21に収納または挿入されたコレットチャック50の後端58が当たる第1の基面(底面、端面)28と、中空部21においてコレットチャック50の軸合わせの基準となる第1の外周面57と接触する円筒状の第1の内周面(第1の基準内周面)24と、固定機構40とを含む。コレットチャック50を中空部21に収納あるいは挿入するときに、コレットチャック50の第1の外周面57が中空部21の第1の内周面24と接触する。コレットチャック50の第1の外周面57を中空部21の第1の内周面24に接した状態で第1の内周面24に沿ってスライドさせることにより、これらの面57および24を基準とし、コレットチャック50の中心軸54を主軸10の中心軸13に一致させた状態でコレットチャック50をヘッド20にセットできる。
【0015】
固定機構40は、基準となる第1の内周面24からヘッド20の外周面27に向かって半径方向に延びた複数の貫通孔41と、複数の貫通孔41にそれぞれ差し込まれる棒状のストッパ(棒状部材)42とを含む。複数の貫通孔41としては、3つまたは4つ以上の貫通孔41が中心軸13を中心として回転対称の位置に配置されていることが望ましい。たとえば、120度ピッチで3つの貫通孔41を配置したり、90度ピッチで4つの貫通孔41を配置することができる。貫通孔41の数は5つ以上であってもよい。第1の内周面24の周りに配置される棒状のストッパ42は、先端43に、先端43に向かって狭まる第2のテーパー面46を含む。第2のテーパー面46の角度は、コレットチャック50の凹部55の第1のテーパー面56の角度と共通あるいは対応する角度である。
【0016】
複数の棒状のストッパ42を、ヘッド20の外周面27から複数個所の貫通孔41に挿入すると、先端43の第2のテーパー面46が、中空部21に収納(挿入)されたコレットチャック50の凹部55の第1のテーパー面56に当たる。ストッパ42を中心軸13の方向に挿入することにより、ストッパ42の先端の第2のテーパー面46と、コレットチャック50の凹部55の第1のテーパー面56との間で、コレットチャック50を中空部21の後側に押す力が発生する。このため、コレットチャック50の後端58は、中空部21の第1の基面(底面、端面)28に押し当てられ、コレットチャック50をヘッド20に機械的に連結できる。この状態でストッパ42を固定することにより、コレットチャック50をヘッド20とともに安定して回転させることができる。ストッパ42の一部に雄ネジ部48が設けられており、貫通孔41の外側に設けられたナット部47を通して六角レンチ等でねじ込み固定することにより、コレットチャック50を、その後端58をヘッド20の第1の基面28に押し当てた状態でヘッド20に固定できる。ストッパ42を固定する方法はねじに限らず、ピンを用いたロック機構などであってもよい。
【0017】
この加工装置1においては、側面56がテーパーになったリング状の溝(凹部)55と、溝55に入る部分がテーパー面46になった棒状部材(ストッパ)42とを組み合わせてヘッド20にコレットチャック50を固定する。したがって、ストッパ42を貫通孔41に入れる際に、ヘッド20とコレットチャック50との周方向の位置合わせは不要である。
【0018】
また、テーパー面同士46および56の組み合わせで、コレットチャック50の後端58をヘッド10の第1の基面28に押し付けてコレットチャック50をヘッド20に固定する。このため、コレットチャック50の後端58の全周と、ヘッド20の第1の基面28の全周とが押圧(接合)した状態でコレットチャック50は主軸10とともに回転する。したがって、コレットチャック50の回転にガタが発生しにくい。さらに、コレットチャック50の回転により緩むような機構が省かれているので、加工中にコレットチャック50はヘッド20に完全に固定される。このため、この加工装置1により、精度の高い加工を安定して行うことができる。
【0019】
ヘッド20は、その後方に、供給用スリーブ11と連動して動く駆動リング35と、駆動リング35およびスリーブ30を連結する連結部材36とを含む。開閉用のスリーブ30は、中空部21と繋がり、ヘッド20の先端(前方)29に開口した凹部26に収納され、凹部26の内周面26aとスリーブ30の外周面30aとが接触しながらスライドする。供給用スリーブ11をドロワーとして軸13に沿って前後に動かすことにより、スリーブ30を前後に動かすことができ、コレットチャック50のテーパー部51を開閉できる。
【0020】
このように、本例の加工装置1においては、コレットチャック50の収納部であるヘッド20に設けられた中空部21にコレットチャック50を挿入する際に、中空部21の第1の内周面24にコレットチャック50の第1の外周面57が接するようにスライドさせることにより、コレットチャック50の中心軸54と主軸10の中心軸13とを合わせることができる。さらに、貫通孔41を介して棒状のストッパ42を半径方向に中心軸13に向かって挿入することにより、コレットチャック50を中空部21の後端の基面28に押しつけてコレットチャック50をヘッド20に固定できる。
【0021】
一方、コレットチャック50を取り外すときは、
図3に示すように、複数の棒状のストッパ42を貫通孔41から取り外すか、あるいはストッパ42の先端43が中空部21の内周面(第1の内周面)24から後退するまでストッパ42を外周面27の方向に引き出すことにより、コレットチャック50をヘッド20の中空部21から極めて簡単に取り外すことができる。したがって、加工装置1でチャック(クランプ)するワークの直径が異なった際などに、コレットチャック50を簡単に、短時間で交換できる。
【0022】
さらに、コレットチャック50の後端(後方)58の第1の外周面57の直径(外径)R2を、先端(前方)59のテーパー部51の最小外径R1よりも小さくすることにより、外周面57の外径R2をスリーブ30の最小内径r1よりも小さくできる。したがって、スリーブ30を取り外さなくても、ヘッド20に対してコレットチャック50を着脱することができる。このため、さらに短時間でコレットチャック50を交換できる。
【0023】
なお、上記では引き型のコレットチャックを例に説明しているが、静止型コレット、押し型コレットなどの他のタイプのコレットチャックであってもよい。