【文献】
Chinese Journal of Polymer Science,2001年,Vol. 19, No. 2,pp. 209-216
【文献】
MEDICINAL CHEMISTRY RESEARCH,2013年,Vol. 22,pp. 1238-1257,published online: 9 June 2012
【文献】
EFSA Journal,2010年,Vol. 8, No. 7,1405(1-136)
【文献】
Dalton Transactions,2006年,pp. 4395-4400
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のポリオルガノシロキサン化合物は、下記の化学式1
【0031】
(上記R
1、R
2、R
3、R’
1、R’
2、R’
3は、独立して、水素、炭素数1乃至3のアルキル基またはアリール基であり、R
4は
【0033】
であり、R’
4は炭素数1乃至3のアルキル基、アリール基または
【0035】
であり、R
5、R’
5、R
7は、独立して、いずれか一つが−OHであり、残りはそれぞれ水素であり、R
6は水素あるいは炭素数1乃至4のアルコキシド基であり、R
8は炭素数2乃至8の線状または分枝されたアルキレン基であり、nとmは整数であって、0<n+m≦99である)で示される化合物であることを特徴とする。
【0036】
前記ポリオルガノシロキサン化合物は、共単量体、改質剤および衝撃補強剤からなる群より選択された一つ以上で使用される単量体であり得る。
【0037】
前記ポリオルガノシロキサン化合物は、一例として、コーポリカーボネート樹脂の製造に使用される単量体であり得る。
【0038】
前記R
1、R
2、R
3、R’
1、R’
2、R’
3は、一例として、それぞれCH
3−またはC
6H
5−であり得る。
【0039】
前記R
6は、一例として、水素であり得る。
【0040】
また、他の例として、前記R
5およびR’
5が水素であり、R
7は−OHであり得る。
【0041】
また、他の例として、前記R
8は、鎖が長いほど製造された最終物の衝撃強度と難燃性が改善されるが、炭素数8超過時にはガラス転移温度が下がるので、炭素数2乃至8のアルキレン、あるいは炭素数3乃至5のアルキレンであり得、特に炭素数3乃至5の分枝されたアルキレンであり得る。
【0042】
前記nは、10乃至90の整数、または25乃至75の整数であり、mは10乃至90の整数、または25乃至75の整数であり、前記n+mは1乃至99、あるいは50乃至99であり、この範囲内で機械的物性および透明性に優れた効果がある。
【0043】
具体的な例として、前記化学式1で示される化合物は、下記の化学式2
【0045】
(上記pは、前記化学式1のn+mである)で示される化合物であり得る。
【0046】
また、他の例として、前記化学式1で示される化合物は、下記の化学式3
【0048】
(上記pは、前記化学式1のn+mである)で示される化合物であり得る。
【0049】
前記ポリオルガノシロキサン化合物の製造方法は、具体的な例として、
出発物質としてヒドロキシ安息香酸に炭素数2乃至8のアルケニルアルコールをエステル化反応させてアルケニルヒドロキシベンゾエートを製造する段階;および前記アルケニルヒドロキシベンゾエートにポリオルガノシロキサンであって両側末端基が水素である化合物(H−PDMS)をヒドロシリル化反応させて前記化学式1で示されるポリオルガノシロキサン化合物を製造する段階;を含むことを特徴とする。
【0050】
前記出発物質としてオルトヒドロキシ安息香酸あるいはパラヒドロキシ安息香酸と炭素数2乃至8のアルケニルアルコールを用いて製造することができ、具体的な一例として、パラヒドロキシ安息香酸と炭素数2乃至8のアルケニルアルコールを用いて前記化学式2で示したポリオルガノシロキサン化合物を製造する方法は下記反応式1で示すことができる。
【0052】
上記反応式1の触媒(Catalyst)は、ポリオルガノシロキサン合成に用いることができる酸触媒の場合、特に制限されず、一例として、H2SO4、HClO4、AlCl3、SbCl5、SnCl4、および酸性白土からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0053】
前記酸触媒は、一例として、H−PDMS100重量部基準に0.1乃至10重量部、0.5乃至5重量部、あるいは1乃至3重量部で用いることができる。
【0054】
前記酸触媒反応は、一例として、50乃至70℃で1乃至6時間実施することができる。
【0055】
前記酸触媒反応は、必要によって、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2−ジクロロエタンおよびトリクロロエチレンのような塩素化炭化水素;ペンタン、n−ヘキサン、ヘキサン異性体混合物(hexane isomer mixtures)、ヘプタン、オクタンのような炭化水素、ソルベントナフサ(solvent naphtha)、石油エーテル(petroleum ether)、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのような非プロトン性溶媒(aprotic solvent)をポリオルガノシロキサン基準に1〜10倍範囲(重量基準)で用いて行うことができる。
【0056】
前記ヒドロシリル化反応は、一例として、金属触媒下に行うことができる。
【0057】
前記金属触媒は、ポリオルガノシロキサンの末端変性反応に用いることができる金属触媒の場合、特に制限されず、一例としてPt触媒であり得る。
【0058】
前記Pt触媒は、ポリオルガノシロキサン合成で用いることができるPt触媒の場合、特に制限されず、一例として、アシュビー(Ashby)触媒、カールシュテット(Karstedt)触媒、ラモルー(Lamoreaux)触媒、スペイア(Speier)触媒、PtCl2(COD)、PtCl2(ベンゾニトリル)2、およびH2PtBr6からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0059】
前記金属触媒は、一例として、H−PDMSのようなポリオルガノシロキサン100重量部を基準に0.001乃至1重量部、0.005乃至0.1重量部、あるいは0.01乃至0.05重量部で使用することができる。
【0060】
前記ヒドロシリル化反応は、必要によって、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2−ジクロロエタンおよびトリクロロエチレンのような塩素化炭化水素;ペンタン、n−ヘキサン、ヘキサン異性体混合物(hexane isomer mixtures)、ヘプタン、オクタンのような炭化水素、ソルベントナフサ(solvent naphtha)、石油エーテル(petroleum ether)、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのような非プロトン性溶媒(aprotic solvent)をH−PDMSのようなポリオルガノシロキサン基準に1〜10倍範囲(重量基準)で用いて行うことができる。
【0061】
前記ヒドロシリル化反応は、一例として、60乃至100℃で1乃至5時間実施することができる。
【0062】
前記反応式1で生成物は前記化学式2で示される化合物であって、下記反応式2によれば反応式内の5で示される化合物が生成される。
【0064】
また他の例として、前記ポリオルガノシロキサンの製造方法は、
出発物質としてH−PDMSに炭素数2乃至8のアルケニルアルコールを反応させてOH−PDMSを収得する段階;および
前記OH−PDMSにヒドロキシ安息香酸を投入し酸触媒下にエステル化反応させて、前記化学式1で示されるポリオルガノシロキサン化合物を製造する段階;を含むものであり得る。
【0065】
前記用語“H−PDMS”は、別に特定しない限り、H−PDMS−Hであってポリジメチルシロキサン(PDMS)を水素(−H)でキャッピング(capping)されたものを意味し、用語“OH−PDMS”は、別に特定しない限り、OH−PDMS−OHであってポリジメチルシロキサンをヒドロキシ基(−OH)でキャッピングされたものを意味する。
【0066】
前記出発物質としてH−PDMSを使用する製造方法は、具体的な一例として、下記反応式3で示すことができる。
【0068】
具体的には、出発物質として、H−PDMSに炭素数2乃至8のアルケニルアルコールを反応してヒドロシリル化反応を遂行する段階;および
前記ヒドロシリル化反応物にヒドロキシ安息香酸を投入しエステル反応させて前記化学式1で示されるポリオルガノシロキサン化合物を収得することができる。
【0069】
この時、反応式3の酸(Acid)は、ポリオルガノシロキサン合成で用いることができる酸触媒の場合、特に制限されず、反応条件も通常のエステル化反応条件下に反応を行えば十分である。
【0070】
前記ヒドロシリル化反応は、一例として、金属触媒下に行うことができる。
【0071】
前記金属触媒は、ポリオルガノシロキサンの末端変性反応に用いることができる金属触媒の場合、特に制限されず、一例としてPt触媒であり得る。
【0072】
前記Pt触媒は、ポリオルガノシロキサン合成で用いることができるPt触媒の場合、特に制限されず、一例としてアシュビー(Ashby)触媒、カールシュテット(Karstedt)触媒、ラモルー(Lamoreaux)触媒、スペイア(Speier)触媒、PtCl2(COD)、PtCl2(ベンゾニトリル)2、およびH2PtBr6からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0073】
前記金属触媒は、一例として、H−PDMSのようなポリオルガノシロキサン100重量部を基準に0.001乃至1重量部、0.005乃至0.1重量部、あるいは0.01乃至0.05重量部で使用することができる。
【0074】
前記ヒドロシリル化反応は、必要によって、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2−ジクロロエタンおよびトリクロロエチレンのような塩素化炭化水素;ペンタン、n−ヘキサン、ヘキサン異性体混合物(hexane isomer mixtures)、ヘプタン、オクタンのような炭化水素、ソルベントナフサ(solvent naphtha)、石油エーテル(petroleum ether)、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのような非プロトン性溶媒(aprotic solvent)をH−PDMSのようなポリオルガノシロキサン基準に1〜10倍範囲(重量基準)で用いて行うことができる。
【0075】
前記ヒドロシリル化反応は、一例として、60乃至100℃で1乃至5時間実施することができる。
【0076】
本発明のコーポリカーボネート樹脂は、芳香族ジオール化合物、カーボネート前駆体、および下記の化学式1で示されるポリオルガノシロキサン化合物を含んで重合なされたことを特徴とする。
【0078】
(上記R
1、R
2、R
3、R’
1、R’
2、R’
3は、独立して、水素、炭素数1乃至3のアルキル基またはアリール基であり、R
4は
【0080】
であり、R’
4は炭素数1乃至3のアルキル基、アリール基または
【0082】
であり、R
5、R’
5、R
7は、独立して、いずれか一つが−OHであり、残りはそれぞれ水素であり、R
6は水素あるいは炭素数1乃至4のアルコキシド基であり、R
8は炭素数2乃至8の線状または分枝されたアルキレン基であり、nとmは整数であって、0<n+m≦99である)
前記コーポリカーボネート樹脂は、一例として、前記芳香族ジオール化合物、カーボネート前駆体、および前記化学式1で示されるポリオルガノシロキサン化合物総100重量%に対して前記芳香族ジオール化合物25乃至85重量%、前記化学式1で示されるポリオルガノシロキサン化合物1乃至60重量%、および前記カーボネート前駆体10乃至70重量%で重合されたもので、この範囲内で低温衝撃強度が維持されながら分子量対比透明性に優れる効果がある。
【0083】
また他の例として、前記ポリカーボネートは、前記芳香族ジオール化合物、カーボネート前駆体、および前記化学式1で示されるポリオルガノシロキサン化合物総100重量%に対して前記芳香族ジオール化合物30乃至70重量%、前記化学式1で示されるポリオルガノシロキサン化合物5乃至50重量%、および前記カーボネート前駆体20乃至60重量%で重合されたものであり得る。
【0084】
前記芳香族ジオール化合物は、一例として、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、α,ω−ビス[3−(ο−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンからなる群より選択された1種以上であり得、好ましくはビスフェノールAであり、この場合、樹脂の流動性を増加させる効果がある。
【0085】
前記カーボネート前駆体は、一例として、下記の化学式4
【0087】
(上記X1およびX2は、独立して、ハロゲン、ハロアルキル基、ハロシクロアルキル基、ハロアリール基、アルコキシ基またはハロアルコキシ基である)で示される化合物であり、この範囲内でポリカーボネート樹脂の本質的特性を付与する効果がある。
【0088】
前記ポリカーボネートは、一例として、分子量調節剤をさらに含んで重合されたものであり得る。
【0089】
前記分子量調節剤は、一例として、モノ−アルキルフェノールである。
【0090】
前記モノ−アルキルフェノールは、一例として、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノールからなる群より選択された1種以上であり、好ましくは、para−tert−ブチルフェノールであり、この場合、分子量調節効果が大きい。
【0091】
前記分子量調節剤は、一例として、前記芳香族ジオール化合物、カーボネート前駆体、および前記化学式1で示されるポリオルガノシロキサン化合物の総合100重量部を基準に0.01乃至10重量部、0.1乃至6重量部、または1乃至5重量部で含まれ、この範囲内でターゲット(target)分子量を得ることができる。
【0092】
前記ポリカーボネートは、一例として、ガラス転移温度が145乃至160℃、または145乃至155℃であり、重量平均分子量が10,000乃至80,000g/mol、15、000乃至80,000g/mol、20,000乃至60,000g/mol、22、000乃至55、000g/molであり、この範囲内で低温衝撃強度が維持されながらも分子量対比透明性に優れる効果がある。
【0093】
本発明のコーポリカーボネート樹脂の製造方法は、一例として、界面重合方法であり得、この場合、常圧と低い温度で重合反応が可能であり、分子量調節が容易な効果がある。
【0094】
前記界面重合方法は、一例として、酸結合剤および有機溶媒の存在下に芳香族ジオール単量体、カーボネート前駆体および分子量調節剤を反応させる方法であり得る。
【0095】
前記界面重合方法は、一例として、先重合(pre−polymerization)後、カップリング剤を投入した後、再び重合させる段階を含むことができ、この場合、高分子量のコーポリカーボネート樹脂を得ることができる。
【0096】
前記界面重合に使用されるその他の物質は、コーポリカーボネートの重合に用いることができる物質の場合、特に制限されず、その使用量も必要によって調節することができる。
【0097】
前記酸結合剤は、一例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物である。
【0098】
前記有機溶媒は、通常コーポリカーボネートの重合に使用される溶媒の場合、特に制限されず、一例として、メチレンクロライド、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素であり得る。
【0099】
前記界面重合は、一例として、反応促進のためにトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロミドなどの3次アミン化合物、4次アンモニウム化合物、4次ホスホニウム化合物などのような反応促進剤をさらに使用することができる。
【0100】
前記界面重合の反応温度は一例として0乃至40℃、反応時間は一例として10分乃至5時間であり、反応中のpHは一例として9以上または11以上に維持するのが好ましい。
【0101】
前記分子量調節剤は、一例として、重合開始前、重合開始中または重合開始後に投入することができる。
【0102】
本発明の成形品は、前記コーポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする。前記成形品は一例として射出成形品であり得る。
【0103】
前記成形品は、一例として、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、滑剤、衝撃補強剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、顔料および染料からなる群より選択された1種以上をさらに含むことができる。
【0104】
前記成形品の製造方法は、一例として、本発明のコーポリカーボネート樹脂と酸化防止剤などのような添加剤をミキサーを用いてよく混合した後に、この混合物を押出機で押出成形してペレットに製造し、このペレットをよく乾燥させた後、射出成形機で射出する段階を含むことができる。
【0105】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇および技術思想範囲内で多様な変更および修正が可能であるのは当業者に明白なことであり、このような変形および修正が添付された特許請求の範囲に属することも当然である。
【0106】
<<実施例>>
<実施例1>
<下記反応式2の中の4の化合物製造>
【0108】
500ml丸いフラスコに4−アセトキシ安息香酸(4−acetoxybenzoic acid)40g(222mmol)を入れ、メチレンクロライド(methylene chloride)で溶解させた後、オキサリルクロリド(oxalyl chloride)31g(244mmol)とDMF1〜5滴を入れ、3時間以上反応させた。反応終了はTLC(thin layer chromatograph)で確認し、反応が終了した時、エバポレーティング(evaporating)して4−アセトキシ安息香酸(4−acetoxybenzoic acid)のヒドロキシル基がクロリネーション(chlorination)された物質を得た。
【0109】
この物質を2−メタリルアルコール(2−methallyl alcohol)16.0g(220mmol)とTEA(triethylamine)44g(444mmol)がエチルアセテートに溶解されているフラスコに添加して反応させ、これをろ過した後に得られた溶液をエバポレーションした。
【0110】
エバポレーションして残った物質をMeOH(methyl alcohol)に溶解させた後、ナトリウムメトキシド(sodium methoxide)12.6g(233mmol)を入れ、1時間以上反応させた。反応終了後、イオン交換樹脂を用いてろ過(filter)し、カラム(column)精製を経て前記反応式2の中の4の化合物としてメタリルヒドロキシベンゾエート(methallyl hydroxybenzoate)を30.8g得た。収得したメタリルヒドロキシベンゾエートの構造は1H NMRを通じて確認した(下記
図1(a)参照)。
【0111】
<化学式1のポリオルガノシロキサン化合物((前記反応式2の中の5に該当)製造>
オクタメチルシクロテトラシロキサン47.60g(160mmol)、テトラメチルジシロキサン2.40g(17.8mmol)を混合した後、この混合物をオクタメチルシクロテトラシロキサン100重量部対比酸性白土(DC−A3)1重量部と共に3Lフラスコ(flask)に入れ、60℃で4時間反応させた。反応終了後、これをエチルアセテートで希釈し、セライト(celite)を用いて急速にフィルタリングした。このように得られた未変性ポリオルガノシロキサンの反復単位(p)は1H NMRで確認した結果、55であった。
【0112】
得られた末端未変性ポリオルガノシロキサンに前記反応式2の中の4の化合物として収得したメタリルヒドロキシベンゾエート(methallyl hydroxybenzoate)6.9g(36mmol)とカールシュテット白金触媒(Karstedt s platinum catalyst)0.01g(50ppm)を投入し、90℃で3時間反応させた。反応終了後、未反応シロキサンは120℃、1torrの条件でエバポレーションして除去した。
【0113】
このように収得した末端変性ポリオルガノシロキサン、即ち、前記反応式2の中の4で示されるポリオルガノシロキサン化合物は浅黄色オイルであり、反復単位(p)は55であり、それ以上の精製は必要でなかった。製造された反応式2の中の5で示されるポリオルガノシロキサン化合物の構造は1H NMRを通じて確認した(下記
図2(a)参照)。
【0114】
<実施例2>
<下記反応式4の中の4の化合物製造>
【0116】
前記実施例1の<
下記反応式2の中の4の化合物製造>で2−メタリルアルコール(2−methallyl alcohol)16.0g(222mmol)の代わりに、2−メチル−1−ブテノール(2−methyl−1−buten−4−ol)19.1g(222mmol)を投入したことを除いては、同一の実験を繰り返した。
【0117】
その結果、前記反応式4の中の4の化合物としてメチルブテンヒドロキシベンゾエート(methylbutene hydroxybenzoate)を29.1g得た。収得したメチルブテンヒドロキシベンゾエートの構造は1H NMRを通じて確認した(下記
図1(b)参照)。
【0118】
また、前記実施例1の
<化学式1のポリオルガノシロキサン化合物製造>で用いた反応式2の中の4の化合物として収得したメタリルヒドロキシベンゾエート(methallyl hydroxybenzoate)6.9g(36mmol)の代わりに、反応式4の中の4の化合物として収得したメチルブテンヒドロキシベンゾエート(methylbutene hydroxybenzoate)6.13g(29.7mmol)を使用したことを除いては、同一の実験を繰り返した。
【0119】
その結果、収得した末端変性ポリオルガノシロキサン、即ち、前記反応式3の中の4で示されるポリオルガノシロキサン化合物は浅黄色オイルであり、PDMS内反復単位(p)は45であり、それ以上の精製は必要でなかった。製造された反応式4の中の5で示されるポリオルガノシロキサン化合物の構造は1H NMRを通じて確認した(下記
図2(b)参照)。
【0120】
比較例1
前記実施例1の
<化学式1のポリオルガノシロキサン化合物製造>で用いた反応式2の中の4の化合物として収得したメタリルヒドロキシベンゾエート(methallyl hydroxybenzoate)6.9g(36mmol)の代わりに、2−アリルフェノール(2−allylphenol)4.81gを使用したことを除いては、実施例1と同一な実験を繰り返し、反応式2の中の3で示される化合物の代わりにアリルフェノールに両側末端が変性された下記の化学式5で示され、PDMS内繰り返し単位(n)が40であるシロキサン化合物(AP−PDMS)を収得した。
【0122】
比較例2
前記実施例1の
<化学式1のポリオルガノシロキサン化合物製造>で用いた反応式2の中の4の化合物として収得したメタリルヒドロキシベンゾエート(methallyl hydroxybenzoate)6.9g(36mmol)の代わりに、オイゲノール(eugenol)4.87gを使用したことを除いては、実施例1と同一な実験を繰り返し、反応式2の中の3で示される化合物の代わりにオイゲノール(eugenol)に両側末端が変性された下記の化学式6で示され、PDMS内繰り返し単位(n)が43であるシロキサン化合物(EG−PDMS)を収得した。
【0124】
<実験例>
<コーポリカーボネート樹脂の製造>
前記実施例1乃至2および比較例1乃至2のシロキサン化合物を含むコーポリカーボネート樹脂および射出試片をそれぞれ次の通り製造した。
【0125】
重合反応器に水1784g、NaOH385g、BPA(bisphenol A)232gを入れ、N2雰囲気下に混合して溶かした。ここにPTBP(para−tert butylphenol)4.3gと実施例1乃至2、および比較例1乃至2でそれぞれ収得したシロキサン化合物13.1gをMC(methylene chloride)で溶解して入れた。その後、TPG(triphosgene)128gをMCに溶かしてpHを11以上に維持させながら1時間投入して反応させた後、10分後にTEA(triethylamine)46gを入れてカップリング(coupling)反応させた。
【0126】
総反応時間1時間20分が経過した後、pHを4に下げてTEAを除去し、蒸留水で3回洗浄して生成された重合体のpHを6〜7中性に合わせた。このように得られた重合体をメタノールとヘキサン混合溶液で再沈殿させて収得した後、これを120℃で乾燥して最終コーポリカーボネート樹脂を得た。
【0127】
収得したコーポリカーボネート樹脂は、PCスタンダード(PC Standard)を用いたGPCで分子量を測定して下記表1に整理した。
【0128】
<射出試片の製造>
製造されたコーポリカーボネート樹脂にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファート0.050重量部を添加し、HAAKE Mini CTW二軸押出機を用いてペレット化した後、HAAKE Minijet射出成形機を用いてシリンダー温度320℃、金型温度90℃で射出成形して試片を製造した。
【0129】
<試験項目>
製造されたコーポリカーボネート樹脂の射出試片の特性を下記の方法で測定し、その結果を下記の表1に共に示した。
【0130】
*常温衝撃強度:ASTM D256(1/8inch、Notched Izod)に基づいて23℃で測定した。
【0131】
*低温衝撃強度:ASTM D256(1/8inch、Notched Izod)に基づいて−30℃で測定した。
【0132】
*透明度(Haze):厚さ1.5mm、直径40mmディスク試片を製作し、ASTM D1003に基づいて測定した。
【0133】
*重量平均分子量(g/mol):Agilent 1200 seriesを用いて、PCスタンダード(PC standard)で検量して測定した。
【0134】
*流れ性(MI):ASTM D1238(300℃、1.2kg条件)に基づいて測定した。
【0135】
*NMR分析:Varian 500MHzを用いて、−1H NMR(D solvent:CDCl
3)で測定した。
【0136】
*ガラス転移温度(Tg):ASTM D3418に基づいてDSC(Differential Scanning Calorimeter)で測定した。
【0138】
上記表1に示したように、本発明のコーポリカーボネート樹脂(実施例1乃至2)は、従来のアリルフェノール変性シロキサン化合物を含むコーポリカーボネート樹脂(比較例1)および従来のオイゲノール(Eugenol)化合物を含むコーポリカーボネート樹脂(比較例2)と比較して、透明性を維持しながら物理的性質、特に低温衝撃強度が優れているのを確認することができた。