特許第6235850号(P6235850)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235850
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】印刷装置及びその段差ずれ補正方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20171113BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B41J2/01 451
   B41J2/01 307
   B41J2/01 401
   B41J2/01 501
   B41J29/393 105
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-204086(P2013-204086)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-66851(P2015-66851A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(72)【発明者】
【氏名】山中 一記
(72)【発明者】
【氏名】野村 星也
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−053167(JP,A)
【文献】 特開2010−042629(JP,A)
【文献】 特開2006−305763(JP,A)
【文献】 特開2008−149624(JP,A)
【文献】 特開平11−180013(JP,A)
【文献】 特開2009−083141(JP,A)
【文献】 特開2012−203876(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0171781(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に対して印刷を行う印刷装置において、
線状に形成された記録素子列を備えた記録モジュールを印刷媒体の幅方向に複数個備えたラインヘッドと、前記ラインヘッドを印刷媒体の搬送方向に離間して少なくとも2個備えた印刷部と、
印刷部で印刷された画像を走査して走査画像を取得する走査部と、
前記印刷部の第1のラインヘッドにより、第1のラインヘッド印刷域に第1の補正用チャートを印刷させ、前記第1のラインヘッド印刷域から搬送方向に離間した第2のラインヘッド印刷域に、前記第1のラインヘッドによる第1の補正用チャートとともに、第2のラインヘッドによる第2の補正用チャートを印刷させる補正用チャート印刷手段と、
前記走査部を操作して、前記第1のラインヘッド印刷域と前記第2のラインヘッド印刷域とを読み取って第1の走査画像と第2の走査画像とを収集する走査画像収集手段と、
前記第1の走査画像のうち、前記複数個の記録モジュールのうちのいずれかの位置で形成された線画を基準線画とし、その他の記録モジュールで形成された線画との搬送方向における差分を基準ヘッド差分として求めるとともに、前記第2の走査画像のうち、前記第1のラインヘッドによって形成された第1の線画と、前記第2のラインヘッドによって形成された第2の線画との搬送方向における差分を個別ヘッド差分として求め、前記基準ヘッド差分と前記個別ヘッド差分との合計を記録モジュールごとに求め、前記各基準ヘッド差分を前記第1のラインヘッドにおける記録モジュールごとの搬送方向における補正データとし、前記各合計を前記第2のラインヘッドにおける記録モジュールごとの補正データとする補正データ算出手段と、
前記補正データに基づいて前記印刷部による印刷時にタイミングを調整する調整手段と、
を備え
前記補正用チャート印刷手段は、前記第2のラインヘッド印刷域における第1の補正用チャートの記録モジュールごとの線画と、前記第2のラインヘッド印刷域における第2の補正用チャートの記録モジュールごとの線画とが、搬送方向において同じ位置に印刷されても互いに重複しない印刷媒体の幅方向への長さで印刷することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項に記載の印刷装置において、
前記補正用チャート印刷手段は、第2のラインヘッド印刷域における前記第1の補正用チャートと前記第2の補正用チャートについて、前記線画を印刷する際に用いた記録モジュールの部分とは異なる部分により、搬送方向に離間して線画を印刷し、
前記補正データ算出手段は、前記個別ヘッド差分を、前記第2のラインヘッド印刷域における第1の補正用チャートの記録モジュールの各線画と、第2の補正用チャートの記録モジュールの各線画とから求めた各段ずれを平均化して算出することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷装置において、
前記印刷部の前記第1のラインヘッドは、前記第2のラインヘッドよりも先に印刷を行うことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載の印刷装置において、
前記基準線画は、複数個の記録モジュールのうち最も早く印刷を行うもので印刷されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の印刷装置において、
前記印刷部の前記第1のラインヘッドは、ブラック(K)で印刷を行うものであることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載の印刷装置において、
前記記録モジュールが前記記録素子列を複数個備えている場合には、
前記第1のラインヘッドの第2列目以降の各記録素子列を前記第2のラインヘッドとしてみなすことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
印刷媒体に対して印刷を行う印刷装置の段差ずれ補正方法において、
印刷部の第1のラインヘッドにより、第1のラインヘッド印刷域に第1の補正用チャートを印刷させ、前記第1のラインヘッド印刷域から搬送方向に離間した第2のラインヘッド印刷域に、前記第1のラインヘッドによる第1の補正用チャートとともに、第2のラインヘッドによる第2の補正用チャートを印刷させる補正用チャート印刷過程と、
前記第1のラインヘッド印刷域と前記第2のラインヘッド印刷域とを読み取って第1の走査画像と第2の走査画像とを収集する走査画像収集過程と、
前記第1の走査画像のうち、前記複数個の記録モジュールのうちのいずれかの位置で形成された線画を基準線画とし、その他の記録モジュールで形成された線画との搬送方向における差分を基準ヘッド差分として求めるとともに、前記第2の走査画像のうち、前記第1のラインヘッドによって形成された第1の線画と、前記第2のラインヘッドによって形成された第2の線画との搬送方向における差分を個別ヘッド差分として求め、前記基準ヘッド差分と前記個別ヘッド差分との合計を記録モジュールごとに求め、前記各基準ヘッド差分を前記第1のラインヘッドにおける記録モジュールごとの搬送方向における補正データとし、前記各合計を前記第2のラインヘッドにおける記録モジュールごとの補正データとする補正データ算出過程と、
前記補正データに基づいて前記印刷部による印刷時にタイミングを調整する調整過程と、
を有し、
前記補正用チャート印刷過程は、前記第2のラインヘッド印刷域における第1の補正用チャートの記録モジュールごとの線画と、前記第2のラインヘッド印刷域における第2の補正用チャートの記録モジュールごとの線画とが、搬送方向において同じ位置に印刷されても互いに重複しない印刷媒体の幅方向への長さで印刷させることを特徴とする印刷装置の段差ずれ補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体の搬送方向における印刷のずれである段差ずれを補正する印刷装置及びその段差ずれ補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、インクジェット式の印刷ヘッドと、検査部と、制御部とを備えたインクジェット印刷装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
インクジェット式の印刷ヘッドは、連続紙の搬送方向と直交する印刷媒体の幅方向(主走査方向)にわたって複数個の印刷モジュールを配置して構成されている。また、カラー印刷を行う構成では、印刷ヘッドが、例えば、連続紙の搬送方向における上流側から、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)イエロー(Y)の順に搬送方向に並べて配置されている。
【0004】
制御部は、印刷ヘッドを操作して、補正用チャートを連続紙に印刷させ、その補正用チャートを検査部に位置させた状態で、補正用チャートを取り込む。そして、制御部は、補正用チャートに基づいて、ブラック(K)の印刷ヘッドにおける搬送方向への段差ずれを求め、これを補正する補正データを求める。次に、制御部は、ブラック(K)の印刷ヘッドによる印刷時に補正データを適用し、段差ずれが解消された補正用チャートを三箇所に印刷させるとともに、シアン(C)の印刷ヘッドと、マゼンタ(M)の印刷ヘッドと、イエロー(Y)の印刷ヘッドにより、ブラック(K)の各補正用チャートに重ねて各色の補正用チャートを印刷させる。そして、3色分の補正用チャートを検査部で取り込ませ、制御部がブラック(K)に対する各色の搬送方向における段差ずれを求めて、搬送方向における各色のずれ量を補正するための補正データを求める。
【0005】
このように、制御部は、一度目の補正用チャートによりブラック(K)のみの搬送方向における段差ずれを求め、それを補正する補正データを求めた後、二度目の段差補正用調整チャートの印刷により各色のブラック(K)に対する搬送方向への段差ずれを求め、それを補正する補正データを求めて印刷時における全色における段差ずれを解消するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−42629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、補正用チャートの二度の印刷を行う必要があるので、段差ずれを補正する補正データの取得効率が低いという問題がある。この取得効率が悪いと、製品の印刷開始までに時間を要することになり、装置の稼働率が低下するので、取得効率を高めることは重要な課題である。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、補正データの求め方を工夫することにより、効率的に補正データを取得することができるインクジェット印刷装置及びその段差ずれ補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、印刷媒体に対して印刷を行う印刷装置において、線状に形成された記録素子列を備えた記録モジュールを印刷媒体の幅方向に複数個備えたラインヘッドと、前記ラインヘッドを印刷媒体の搬送方向に離間して少なくとも2個備えた印刷部と、印刷部で印刷された画像を走査して走査画像を取得する走査部と、前記印刷部の第1のラインヘッドにより、第1のラインヘッド印刷域に第1の補正用チャートを印刷させ、前記第1のラインヘッド印刷域から搬送方向に離間した第2のラインヘッド印刷域に、前記第1のラインヘッドによる第1の補正用チャートとともに、第2のラインヘッドによる第2の補正用チャートを印刷させる補正用チャート印刷手段と、前記走査部を操作して、前記第1のラインヘッド印刷域と前記第2のラインヘッド印刷域とを読み取って第1の走査画像と第2の走査画像とを収集する走査画像収集手段と、前記第1の走査画像のうち、前記複数個の記録モジュールのうちのいずれかの位置で形成された線画を基準線画とし、その他の記録モジュールで形成された線画との搬送方向における差分を基準ヘッド差分として求めるとともに、前記第2の走査画像のうち、前記第1のラインヘッドによって形成された第1の線画と、前記第2のラインヘッドによって形成された第2の線画との搬送方向における差分を個別ヘッド差分として求め、前記基準ヘッド差分と前記個別ヘッド差分との合計を記録モジュールごとに求め、前記各基準ヘッド差分を前記第1のラインヘッドにおける記録モジュールごとの搬送方向における補正データとし、前記各合計を前記第2のラインヘッドにおける記録モジュールごとの補正データとする補正データ算出手段と、前記補正データに基づいて前記印刷部による印刷時にタイミングを調整する調整手段と、を備え、前記補正用チャート印刷手段は、前記第2のラインヘッド印刷域における第1の補正用チャートの記録モジュールごとの線画と、前記第2のラインヘッド印刷域における第2の補正用チャートの記録モジュールごとの線画とが、搬送方向において同じ位置に印刷されても互いに重複しない印刷媒体の幅方向への長さで印刷することを特徴とするものである。
【0010】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、補正用チャート印刷手段は、第1のラインヘッド印刷域に第1の補正用チャートを印刷させ、第2のラインヘッド印刷域に第2の補正用チャートを印刷させ、それらを走査画像収集手段が第1の走査画像と第2の走査画像として収集する。補正データ算出手段は、第1の走査画像のうち、いずれかの記録モジュールで形成された線画を基準線画とし、その他の記録モジュールで形成された線画との搬送方向における差分を基準ヘッド差分として求める。さらに、第2の走査画像のうち、第1のラインヘッドによって形成された第1の線画と、第2のラインヘッドによって形成された第2の線画との搬送方向における差分を個別ヘッド差分として求める。そして、基準ヘッド差分と個別ヘッド差分との合計を記録モジュールごとに求め、各基準ヘッド差分を第1のラインヘッドにおける記録モジュールごとの搬送方向における補正データとし、基準ヘッド差分を含んだ各合計を記録モジュールごとの補正データとする。調整手段は、補正データに基づいて印刷部による印刷時にタイミングを調整する。したがって、一度の印刷により補正データを求めることができるので、補正データの取得効率を高くできる。また、第1の補正用チャートの線画と、第2の補正用チャートの線画とが搬送方向において同じ位置に印刷されても、それらが重複しない長さとされているので、差分を検出できない事態を回避できる。
【0013】
また、本発明において、前記補正用チャート印刷手段は、第2のラインヘッド印刷域における前記第1の補正用チャートと前記第2の補正用チャートについて、前記線画を印刷する際に用いた記録モジュールの部分とは異なる部分により、搬送方向に離間して線画を印刷し、前記補正データ算出手段は、前記個別ヘッド差分を、前記第2のラインヘッド印刷域における第1の補正用チャートの記録モジュールの各線画と、第2の補正用チャートの記録モジュールの各線画とから求めた各段ずれを平均化して算出することが好ましい(請求項)。
【0014】
ラインヘッドの記録素子列は、加工精度などにより幅方向に一直線とはならず、搬送方向にバラツキがある。したがって、ラインヘッドの一部の記録素子列で印刷された第1の補正用チャートと第2の補正用チャートの搬送方向における差分だけで個別ヘッド差分を求めると、バラツキによる誤差が大きくなる恐れがある。そこで、ラインヘッドの一部の記録素子列で印刷された第1の補正用チャートと第2の補正用チャートの搬送方向の差分と、ラインヘッドの残りの記録素子列で印刷された第1の補正用チャートと第2の補正用チャートの搬送方向の差分とを平均化して個別ヘッド差分とすることで、バラツキによる誤差の影響を抑制することができる。したがって、個別ヘッド差分を正確に求めることができる。
【0015】
また、本発明において、前記印刷部の前記第1のラインヘッドは、前記第2のラインヘッドよりも先に印刷を行うことが好ましく(請求項)、前記基準線画は、複数個の記録モジュールのうち最も早く印刷を行うもので印刷されていることが好ましい(請求項)。
【0016】
先に印刷を行う第1のラインヘッドや最も早く印刷する記録モジュールを基準とするので、他のラインヘッドや記録モジュールの位置合わせを行い易い。
【0017】
また、本発明において、前記印刷部の前記第1のラインヘッドは、ブラック(K)で印刷を行うことが好まし(請求項)。
【0018】
また、本発明において、前記記録モジュールが前記記録素子列を複数個備えている場合には、前記第1のラインヘッドの第2列目以降の各記録素子列を前記第2のラインヘッドとしてみなすことが好ましい(請求項)。
【0019】
記録素子列を複数個備えて解像度を高めている印刷部であって場合であっても、第1のラインヘッドの第2列目の記録素子列以降を第2のラインヘッドと見なすと、同様に補正データを取得できる。
【0020】
また、請求項に記載の発明は、印刷媒体に対して印刷を行う印刷装置の段差ずれ補正方法において、印刷部の第1のラインヘッドにより、第1のラインヘッド印刷域に第1の補正用チャートを印刷させ、前記第1のラインヘッド印刷域から搬送方向に離間した第2のラインヘッド印刷域に、前記第1のラインヘッドによる第1の補正用チャートとともに、第2のラインヘッドによる第2の補正用チャートを印刷させる補正用チャート印刷過程と、 前記第1のラインヘッド印刷域と前記第2のラインヘッド印刷域とを読み取って第1の走査画像と第2の走査画像とを収集する走査画像収集過程と、前記第1の走査画像のうち、前記複数個の記録モジュールのうちのいずれかの位置で形成された線画を基準線画とし、その他の記録モジュールで形成された線画との搬送方向における差分を基準ヘッド差分として求めるとともに、前記第2の走査画像のうち、前記第1のラインヘッドによって形成された第1の線画と、前記第2のラインヘッドによって形成された第2の線画との搬送方向における差分を個別ヘッド差分として求め、前記基準ヘッド差分と前記個別ヘッド差分との合計を記録モジュールごとに求め、前記各基準ヘッド差分を前記第1のラインヘッドにおける記録モジュールごとの搬送方向における補正データとし、前記各合計を前記第2のラインヘッドにおける記録モジュールごとの補正データとする補正データ算出過程と、前記補正データに基づいて前記印刷部による印刷時にタイミングを調整する調整過程と、を有し、前記補正用チャート印刷過程は、前記第2のラインヘッド印刷域における第1の補正用チャートの記録モジュールごとの線画と、前記第2のラインヘッド印刷域における第2の補正用チャートの記録モジュールごとの線画とが、搬送方向において同じ位置に印刷されても互いに重複しない印刷媒体の幅方向への長さで印刷させることを特徴とするものである。
【0021】
[作用・効果]請求項に記載の発明によれば、補正用チャート印刷過程では、第1のラインヘッド印刷域に第1の補正用チャートを印刷させ、第2のラインヘッド印刷域に第2の補正用チャートを印刷させ、走査画像収集過程では、第1の走査画像と第2の走査画像として収集する。補正データ算出過程では、第1の走査画像のうち、いずれかの記録モジュールで形成された線画を基準線画とし、その他の記録モジュールで形成された線画との搬送方向における差分を基準ヘッド差分として求める。さらに、第2の走査画像のうち、第1のラインヘッドによって形成された第1の線画と、第2のラインヘッドによって形成された第2の線画との搬送方向における差分を個別ヘッド差分として求める。そして、基準ヘッド差分と個別ヘッド差分との合計を記録モジュールごとに求め、各基準ヘッド差分を第1のラインヘッドにおける記録モジュールごとの搬送方向における補正データとし、基準ヘッド差分を含んだ各合計を記録モジュールごとの補正データとする。調整過程では、補正データに基づいて印刷部による印刷時にタイミングを調整する。したがって、一度の印刷により補正データを求めることができるので、補正データの取得効率を高くできる。また、第1の補正用チャートの線画と、第2の補正用チャートの線画とが搬送方向において同じ位置に印刷されても、それらが重複しない長さとされているので、差分を検出できない事態を回避できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る印刷装置によれば、補正用チャート印刷手段は、第1のラインヘッド印刷域に第1の補正用チャートを印刷させ、第2のラインヘッド印刷域に第2の補正用チャートを印刷させ、それらを走査画像収集手段が第1の走査画像と第2の走査画像として収集する。補正データ算出手段は、第1の走査画像のうち、いずれかの記録モジュールで形成された線画を基準線画とし、その他の記録モジュールで形成された線画との搬送方向における差分を基準ヘッド差分として求める。さらに、第2の走査画像のうち、第1のラインヘッドによって形成された第1の線画と、第2のラインヘッドによって形成された第2の線画との搬送方向における差分を個別ヘッド差分として求める。そして、基準ヘッド差分と個別ヘッド差分との合計を記録モジュールごとに求め、各基準ヘッド差分を第1のラインヘッドにおける記録モジュールごとの搬送方向における補正データとし、基準ヘッド差分を含んだ各合計を記録モジュールごとの補正データとする。調整手段は、補正データに基づいて印刷部による印刷時にタイミングを調整する。したがって、一度の印刷により補正データを求めることができるので、補正データの取得効率を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例に係るインクジェット印刷装置の概略構成を示す全体図である。
図2】印刷部の概略構成を示す平面図である。
図3】補正用チャートの一例を示す模式図である。
図4】動作を示すフローチャートである。
図5】印刷部の変形例における概略構成を示す平面図である。
図6】変形例における補正用チャートの一例を示す模式図である。
図7】補正用チャートの他の印刷例を示す模式図である。
図8】記録素子列のバラツキを例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
図1は、実施例に係るインクジェット印刷装置の概略構成を示す全体図であり、図2は、印刷部の概略構成を示す平面図である。
【0025】
本実施例に係るインクジェット印刷装置1は、給紙部3と、印刷ユニット5と、排紙部7とを備えている。
【0026】
給紙部3は、ロール状の連続紙WPを供給する。印刷ユニット5は、例えば、連続紙WPに対してインク滴を吐出させて印刷を行うインクジェット式で構成され、連続紙WPに対して印刷を行う。排紙部7は、印刷を終えた連続紙WPをロール状に巻き取る。
【0027】
印刷ユニット5は、給紙部3からの連続紙WPを取り込むための駆動ローラ9を上流側に備えている。駆動ローラ9によって給紙部3から巻き出された連続紙WPは、複数個の搬送ローラ11に沿って、下流側の排紙部7に向かって搬送される。最下流の搬送ローラ11と排紙部7との間には、駆動ローラ13が配置されている。この駆動ローラ13は、搬送ローラ11上を搬送されている連続紙WPを排紙部7に向かって送り出す。
【0028】
印刷ユニット5は、駆動ローラ9と駆動ローラ13との間に、印刷部15と、乾燥部17と、検査部19とを上流側からその順で備えている。乾燥部17は、印刷部15によって印刷された部分の乾燥を行う。検査部19は、印刷された部分に汚れや抜け等がないかを検査する。
【0029】
印刷部15は、インク滴を吐出する複数個の印刷ヘッド21を備えている。この例では、4個の印刷ヘッド21が連続紙WPの搬送方向に所定の間隔を隔てて配置されている。4個の印刷ヘッド21は、例えば、それぞれが異なる色を印刷するためのものであり、この例ではブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)となっている。各印刷ヘッド21は、連続紙WPの幅方向(図1における紙面の奥手前方向)における印刷領域を移動することなく印刷できるだけの印刷幅を有する記録モジュール23を複数個備えている。つまり、本実施例における印刷ユニット5は、印刷部15が連続紙WPの搬送方向と直交する方向に主走査のために移動することがなく、位置が固定のままで連続紙WPを副走査方向に送りながら連続紙WPに対して印刷を行う。以下の説明では、印刷ヘッド21のうち各色の印刷ヘッド21を区別する必要がある場合には、ブラックの印刷ヘッド21を印刷ヘッド21K、シアンの印刷ヘッド21を印刷ヘッド21C、マゼンタの印刷ヘッド21を印刷ヘッド21M、イエローの印刷ヘッド21を印刷ヘッド21Yと称することにする。
【0030】
各印刷ヘッド21は、図2に示すように、5個の記録モジュール23を、連続紙WPの幅方向に長手方向が位置するように直線的に配置することによって構成されている。また、記録モジュール23は、一列で直線的に、あるいは線状に形成された記録素子列25を備えている。この実施例では、記録素子列25がインク滴の複数個の吐出口となっている。
【0031】
上述した駆動ローラ9,13の搬送制御と、印刷部15によるインク滴の吐出制御と、乾燥部17による乾燥処理と、検査部19による検査処理等は、制御部31によって統括的に制御される。制御部31は、CPUやメモリなどによって構成されている。制御部31には、情報を記憶するための記憶部33が接続されている。
【0032】
制御部31は、印刷部15や駆動ローラ9,13等を操作して、連続紙WPに対して補正用チャートを印刷させ、その調整用チャートを検査部19に読み取らせ、その走査画像を解析して、印刷部15からの吐出タイミング等を調整するための補正データを算出する。そして、製品などの印刷を行う際には、その補正データに基づいて吐出タイミングを調整するので、連続紙WPに対して印刷を精度良く行うことができる。
【0033】
なお、上述した印刷部15が本発明における「印刷部」に相当し、検査部19が本発明における「走査部」に相当し、印刷ヘッド21が本発明における「ラインヘッド」に相当し、制御部31が本発明にける「補正用チャート印刷手段」及び「補正データ算出手段」並びに「調整手段」に相当する。
【0034】
ここで図3を参照して、補正用チャートについて説明する。なお、図3は、補正用チャートの一例を示す模式図である。
【0035】
制御部31は、印刷部15及び駆動ローラ9,13を操作して、図3に示す補正用チャートCCを連続紙WPに印刷させる。補正用チャートCCは、第1のラインヘッド領域PA1〜第4のラインヘッド領域PA4が搬送方向にわたって、それぞれ重複しないように離間して形成されている。第1のラインヘッド領域PA1には、ブラックの印刷ヘッド21Kによる第1の補正用チャートCC1が印刷され、第2のラインヘッド領域PA2には、ブラックの印刷ヘッド21Kとシアンの印刷ヘッド21Cによる第2の補正用チャートCC2が印刷され、第3のラインヘッド領域PA3には、ブラックの印刷ヘッド21Kとマゼンタの印刷ヘッド21Mによる第3の補正用チャートCC3が印刷され、第4のラインヘッド領域PA4には、ブラックの印刷ヘッド21Kとイエローの印刷ヘッド21Yによる第4の補正用チャートCC4が印刷されている。
【0036】
なお、第1〜第4ラインヘッド領域PA1〜PA4が本発明における「ラインヘッド印刷域」に相当する。
【0037】
第1の補正用チャートCC1は、ブラックの印刷ヘッド21Kにおける5個の記録モジュール23の各記録素子列25によって同じタイミングで連続紙WPの幅方向に直線SL1〜SL5を描画させる。同じタイミングで吐出させると、幅方向に一本の直線が描画されるはずだが、印刷ヘッド21に対する記録モジュール23の組立誤差などにより、実際にはこの図のように段差ずれが生じ直線とはならない。第2の補正用チャートCC2は、ブラックの印刷ヘッド21Kの5個の記録モジュール23の各記録素子列25によって同じタイミングで連続紙WPの幅方向に直線KL1〜KL5を描画させるとともに、同様にシアンの印刷ヘッド21Cの5個の記録モジュール34の各記録素子列25によって同じタイミングで連続紙WPの幅方向に直線CL1〜CL5を描画させる。
【0038】
第3の補正用チャートCC3は、第2の補正用チャートCC2と同様に、ブラックの印刷ヘッド21Kの直線KL1〜KL5と、マゼンタの印刷ヘッド21Mの直線ML1〜ML5とを描画させる。第4の補正用チャートCCは、ブラックの印刷ヘッド21Kの直線KL1〜KL5と、イエローの印刷ヘッド21Lの直線YL1〜YL5とを描画させる。
【0039】
なお、第2の補正用チャートCC2〜第4の補正用チャートCC4では、ブラックの直線KL1〜KL5以外の直線が点線で描画されているが、これは図3においてはブラックの直線KL1〜5と識別しやすくするためである。実際には、ブラック以外の直線もブラックの直線SL1〜SL5、KL1〜KL5と同様の直線で描画される。但し、同色の印刷ヘッド21だけを備えた構成では、線種を変えて印刷を行うことが好ましい。なお、同色の印刷ヘッド21だけを備えた構成であっても、印刷ヘッド21ごとに直線の境界に搬送方向に識別マークを印刷して、印刷ヘッド21ごとの直線を識別するようにしてもよい。
【0040】
また、第2の補正用チャートCC2〜第4の補正用チャートCC4では、ブラックの直線KL1〜KL5の長さが、第1の補正用チャートCC1におけるブラックの直線SL1〜SL5よりも半分程度にされている。また、第2の補正用チャートCC2〜第4の補正用チャートCC4では、ブラック以外の色の直線の長さが、第1の補正用チャートCC1におけるブラックの直線SL1〜SL5の半分程度にされている。これは、第2の補正用チャートCC2〜第4の補正用チャートCC4において搬送方向における差分を求める際に、直線同士が重なって判別が困難になるのを防止するためである。
【0041】
図3のように印刷された補正用チャートCCは、検査部19により走査され、同様の走査画像が得られる。つまり、第1の補正用チャートCC1が第1の走査画像、第2の補正用チャートCC2が第2の走査画像、第3の補正用チャートCC3が第3の走査画像、第4の補正用チャートCC4が第4の走査画像として収集される。こうして得られた走査画像は、記憶部33に収集され、制御部31によって解析される。そして、図3に示すように、第1の補正用チャートCC1における左端(図3の最下部)の記録モジュール23による直線SL1を基準(基準線画)とし、これと各直線SL1〜SL5との搬送方向における差分d1〜d5を基準ヘッド差分として求める。なお、直線SL1は、自身との差となるので、差分d1は0となる。
【0042】
次に、第2の補正用チャートCC2における左端の記録モジュール25によるブラックの直線KL1とシアンの直線CL1との差分cdlを求め、同様に、ブラックの直線KL2とシアンの直線CL2との差分cd2を求め、ブラックの直線KL3とシアンの直線CL3との差分cd3を求め、ブラックの直線KL4とシアンの直線CL4との差分cd4を求める。
【0043】
同様にして、第3の補正用チャートCC3において、差分md1〜md5を求め、第4の補正用チャートCC4において、差分yd1〜yd5を求める。
【0044】
なお、上記のようにして求められた差分d1〜d5(基準ヘッド差分)と、差分cd1〜cd5、md1〜md5,yd1〜yd5(個別ヘッド差分)は、記憶部33に格納される。差分d1〜d5については、そのままブラックの印刷ヘッド21Kの補正データとされる。また、差分d1〜d5と差分cd1〜cd5との対応する位置同士の合計がシアンの印刷ヘッド21Cの補正データとされ、差分d1〜d5と差分md1〜md5の対応する位置同士の合計がマゼンタの印刷ヘッド21Mの補正データとされ、差分d1〜d5と差分yd1〜yd5と対応する位置同士の合計がイエローの印刷ヘッド21Yの補正データとされる。これらの補正データは、記憶部33に格納され、印刷時に制御部31により呼び出されて補正に利用される。
【0045】
次に、図4を参照して、上述したインクジェット印刷装置1における動作について説明する。なお、図4は、動作を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS1
制御部31は、図3に示すような補正用チャートCCを連続紙WPに印刷させる。
【0047】
ステップS2
制御部31は、補正用チャートCCを検査部19により走査させ、走査画像を収集する。
【0048】
ステップS3
制御部31は、上述したようにしてブラックの印刷ヘッド21Kの補正データ(差分d1〜d5)と、シアンの印刷ヘッド21Cの補正データ(差分d1〜d5と差分cd1〜cd5との対応する位置同士の合計)と、マゼンタの印刷ヘッド21Mの補正データ(差分d1〜d5と差分md1〜md5の対応する位置同士の合計)と、イエローの印刷ヘッド21Yの補正データ(差分d1〜d5と差分yd1〜yd5と対応する位置同士の合計)とを算出する。これらの補正データは、記憶部33に格納される。
【0049】
ステップS4
制御部31は、記憶部33に格納されている各補正データを読み出して、補正を行いつつ印刷を行う。
【0050】
本実施例によると、制御部31は、第1のラインヘッド領域PA1〜第4のラインヘッド領域PA4に補正用チャートCCを印刷させ、それらを走査画像として収集する。制御部31は、差分d1〜d5と、差分cd1〜cd5、差分md1〜md5,差分yd1〜yd5を求める。そして、対応する位置の差分の合計を求め、差分d1〜d5をブラックの印刷ヘッド21Kにおける補正データとし、対応する位置の差分の合計をシアン、マゼンタ、イエローの印刷ヘッド21C、21M、21Yの補正データとする。制御部31は、補正データに基づいて印刷部15による印刷時にタイミングを調整する。したがって、一度の印刷により補正データを求めることができるので、補正データの取得効率を高くできる。
【0051】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0052】
(1)上述した実施例では、印刷ヘッド21の記録モジュール23における記録素子列25が一列構成であったが、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、図5に示すように、記録素子列25Nが記録素子列25A、25Bからなる二列構成であったとしても本発明を適用することができる。その場合には、図6に示すように補正用チャートCCを印刷して補正データを算出すればよい。なお、図5は、印刷部の変形例における概略構成を示す平面図であり、図6は、変形例における補正用チャートの一例を示す模式図である。
【0053】
このような構成においては、ブラックの印刷ヘッド21Kの記録素子列25Aを印刷ヘッド21K1とし、ブラックの印刷ヘッド21Kの記録素子列25Bを印刷ヘッド21K2とする。また、シアンの印刷ヘッド21Cの記録素子列25Aを印刷ヘッド21C1とし、シアンの印刷ヘッド21Cの記録素子列25Bを印刷ヘッド21C2とする。同様に、マゼンタの印刷ヘッド21Mについて、印刷ヘッド21M1,21M2とし、イエローの印刷ヘッド21Yについて、印刷ヘッド21Y1,21Y2とする。
【0054】
補正用チャートCCは、補正用チャートCC1〜CC8から構成される。この例では、ブラックの印刷ヘッド21K1を基準として、各チャートを描画する。つまり、補正用チャートCC1は、ブラックの印刷ヘッド21K1で描画し、補正用チャートCC2は、ブラックの印刷ヘッド21K1と、ブラックの印刷ヘッド21K2とで描画する。補正用チャートCC3は、ブラックの印刷ヘッド21K1とシアンの印刷ヘッド21C1とで描画し、補正用チャートCC4は、ブラックの印刷ヘッド21K1とシアンの印刷ヘッド21C2とで描画する。補正用チャートCC5は、ブラックの印刷ヘッド21K1とマゼンタの印刷ヘッド21M1とで描画し、補正用チャートCC6は、ブラックの印刷ヘッド21K1とマゼンタの印刷ヘッド21M2とで描画する。補正用チャートCC7は、ブラックの印刷ヘッド21K1とイエローの印刷ヘッド21Y1とで描画し、補正用チャートCC8は、ブラックの印刷ヘッド21K1とイエローの印刷ヘッド21Y2とで描画する。
【0055】
そして、補正用チャートCC1における差分をブラックの印刷ヘッド21K1の補正データとし、補正用チャートCC1における差分と、各補正用チャートCC2〜CC8における差分との対応する位置における合計をブラックの印刷ヘッド21K2の補正データとし,シアンの印刷ヘッド21C1,C2の補正データとし、マゼンタの印刷ヘッド21M1,M2の補正データとし、イエローの印刷ヘッド21Y1,Y2の補正データとする。このように補正データを求めることで、上記の二列構成の記録素子列25Nを備えた印刷ヘッド21のような構成であっても本発明を適用できる。
【0056】
(2)上述した実施例では、印刷媒体として連続紙WPを用いているが、本発明はこの印刷媒体に限定されるものではない。例えば、他の印刷媒体として、フィルムや、枚葉の印刷用紙などが挙げられる。
【0057】
(3)上述した実施例では、印刷部15がブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4個の印刷ヘッド21で構成されている。しかしながら、本発明は、少なくとも二つの印刷ヘッド21を備えた装置であれば適用することができる。また、カラーに限定されるものでもなく、ブラックの印刷ヘッド21を2個以上備える場合であっても適用できる。
【0058】
(4)上述した実施例では、印刷装置としてインクジェット印刷装置1を例示したが、本発明はインクジェット式に限定されない。
【0059】
(5)上述した実施例では、第2のラインヘッド領域PA2〜第4ラインヘッド領域PA4では、次のように直線を印刷することが好ましい。
【0060】
例えば、図7に示すように、第2のラインヘッド領域PA2では、第2の補正用チャートCC2について、先に線画を印刷する際に用いた記録モジュール23の部分(KL1a、CL1a)とは異なる部分(KL1b、CL1b)により、搬送方向に離間して線画を印刷する。そして、制御部31は、シアンの印刷ヘッド21Cにおける差分を、第2のラインヘッド領域PA2における各線画KL1a、CL1aと、各線画KL1b、CL1bとから求めた各段ずれを平均化して算出する。
【0061】
記録素子列25は、図8に示すように、加工精度などにより幅方向に一直線とはならず、連続紙WPの搬送方向にバラツキを有するのが一般的である。したがって、記録モジュール23の一部の記録素子列25で印刷された第1の補正用チャートと第2の補正用チャートの搬送方向における差分だけで個別ヘッド差分を求めると、バラツキによる誤差が大きくなる恐れがある。そこで、記録モジュール23の一部の記録素子列25で印刷された第1の補正用チャートと第2の補正用チャートの搬送方向の差分と、記録モジュール23の残りの記録素子列25で印刷された第1の補正用チャートと第2の補正用チャートの搬送方向の差分とを平均化して個別ヘッド差分とすることで、バラツキによる誤差の影響を抑制することができる。したがって、個別ヘッド差分を正確に求めることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 … インクジェット印刷装置
5 … 印刷ユニット
WP … 連続紙
15 … 印刷部
19 … 検査部
21 … 印刷ヘッド
23 … 記録モジュール
25 … 記録素子列
31 … 制御部
33 … 記憶部
CC … 補正用チャート
PA1〜PA4 … 第1〜第4のラインヘッド領域
CC1〜CC4 … 第1〜第4の補正用チャート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8