【文献】
島津製作所,高速液体クロマトグラフのネットワーク対応機能を拡張させiPadによる効率的なシステム運用を可能に,島津製作所ホームページ掲載の2011年3月14日付けのプレスリリース,2013年 7月31日,以下のURLにおいて2013年7月31日に検索されたもの,URL,http://www.shimadzu.co.jp/news/press/miq5fd0000000ot0.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
【0013】
また、以後の説明では、実施例において扱われる情報について「テーブル」構造を用いて説明するが、これら情報は必ずしもテーブルによるデータ構造で表現されていなくても良く、リスト、DB、キュー等のデータ構造やそれ以外で表現されていても良い。そのため、データ構造に依存しないことを示すために、以下では各種データを単に「情報」と呼ぶことがある。
【0014】
[第1実施例]
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成の例を示す図である。
図1に示すように、自動分析装置は、画面制御設定支援部1と、分析を行う自動分析部2と、自動分析部2に関する情報を表示または自動分析部2を遠隔から操作する操作端末部5と、自動分析装置調整者端末3と、を備える。画面制御設定支援部1は、コンピュータなどの情報処理装置によって構成されており、処理部10、記憶部20、およびネットワークインタフェース30などを備える。処理部10は、その機能ブロックとして、画面制御設定部11と、画面制御部12とを含んで構成される。記憶部20は、画面制御情報21および場所条件情報22を記憶する。
【0015】
処理部10は、記憶部20に格納されたプログラムを実行することで、各構成要素(例えば、通信部(図示せず))を統括的に制御し、様々な演算処理を行う。具体的には、処理部10は、CPU(Central Processing Unit)で実行される。記憶部20は、プログラムやデータを永続的に記憶するために用いられるものであり、大容量の磁気メモリであるハードディスクなどで構成される。ネットワークインタフェース30は、ネットワーク4を介して、データのやり取りを行うためのインタフェースである。
【0016】
以上のように、コンピュータによって構成された画面制御設定支援部1において、
図1に示した機能ブロックは、処理部10が記憶部20に格納されている各機能ブロックに対応する所定のプログラムを実行することによって実現される。従って、画面制御設定支援部1の各機能ブロックの動作主体は、処理部10である。なお、このような場合、各機能ブロックの動作を記載するとき、その主語は処理部10とすべきであるが、本明細書では、各機能ブロックの動作を記載するとき、その主語としてその機能ブロック名を用いる。
【0017】
さらに、
図1に示すように、画面制御設定支援部1は、ネットワークインタフェース30によりネットワーク4に接続され、さらに、そのネットワーク4を介して自動分析装置調整者が使用する複数の自動分析装置調整者端末3に接続されている。このとき、自動分析装置調整者端末3は、通常、CPUと記憶装置を備えたコンピュータによって構成されるが、機能的には、画面制御設定支援部1の表示装置や入出力装置などとして用いられる。なお、以下では、自動分析装置調整者端末3を「調整者端末3」と、自動分析装置調整者を「調整者」と、適宜略記する。
【0018】
また、本実施例では、画面制御設定支援部1の各機能ブロックが、ネットワークインタフェース30およびネットワーク4を介して調整者端末3から情報を取得したり(すなわち、調整者端末3から情報が入力される)、ネットワークインタフェース30およびネットワーク4を介して調整者端末3へ情報を出力(表示)したりする場合、単に、調整者端末3から情報を入力(取得)する、あるいは、調整者端末3へ情報を出力(表示)する、と記載する。
【0019】
なお、
図1に示した機能ブロックの構成の例では、画面制御設定支援部1は、1つのコンピュータによって構成されているが、画面制御設定支援部1は、ネットワーク4などで相互に接続された複数のコンピュータによって構成されていてもよい。例えば、画面制御設定部11および画面制御部12のそれぞれが、それぞれ異なるコンピュータ上に実現されてもよい。また、調整者端末3がコンピュータによって構成された場合には、画面制御設定部11の機能が調整者端末3上に実現されてもよい。
【0020】
次に、
図1を参照して、画面制御設定支援部1の各機能ブロックの概要について説明する。画面制御設定部11は、調整者が、画面の制御設定または装置の制御設定を入力するのを支援する機能ブロックである。画面制御設定部11は、調整者端末3に設定画面を表示する。調整者は、操作端末部5に表示される各画面について、場所条件に従った画面の表示と非表示の設定、または、画面上に表示される制御用ボタンの動作可否の設定を行う。その設定情報は、画面制御情報21と場所条件情報22として記憶部20に格納される。画面制御部12は、操作端末部5の要求に応じて、画面制御情報21と場所条件情報22を操作端末部5に送信する機能ブロックである。
【0021】
次に、
図2を参照して、自動分析部2の機能の概要について説明する。
図2は、自動分析部の構成の例を示す図である。自動分析部2は、1個または複数個の分析機構部201と、試料を搬送する搬送ライン(図示せず)から構成される。搬送ラインによって、試料は割り当てられた分析が実施できる分析機構部201に搬送される。分析機構部201は、試料を試験管から吸引し、その試料を化学反応および計測を行うための反応セル204に分注する。また、分析機構部201は、試薬プローブ203を用いて、試薬を試薬ディスク202から、試料を分注した反応セル204に注入し、化学反応させる。その結果、分析機構部201に設けられた吸光度センサで観測した吸光度の変化により、試料内の成分を分析する。
【0022】
次に、
図3を参照して、操作端末部5の機能の概要について説明する。操作端末部5は、例えば、PDA、PHS、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などの可搬型端末である。
図3に示すように、操作端末部5は、操作端末処理部510、操作端末記憶部520、およびネットワークインタフェース530などを備える。
【0023】
操作端末処理部510は、その機能ブロックとして、無線送受信部511と、画面表示部512と、GPS情報受信部513とを含んで構成される。操作端末記憶部520は、画面制御情報21および場所条件情報22を記憶する。
【0024】
次に、操作端末部5の各機能ブロックの機能の概要について説明する。無線送受信部511は、ネットワーク4を通じて、画面制御設定支援部1の画面制御部12に画面制御情報21と場所条件情報22を要求し、受信した画面制御情報21と場所条件情報22を操作端末記憶部520に格納する。
【0025】
無線送受信部511は、この動作を周期的に実行し、画面制御設定支援部1の記憶部20に新規に格納された画面制御情報21と場所条件情報22を操作端末記憶部520に周期的に格納する。また、無線送受信部511は、接続している無線LANの識別子である無線LAN IDを画面表示部512に送信する。また、無線送受信部511は、画面表示部512から受信した制御命令を自動分析部2に送信する。
【0026】
GPS情報受信部513は、操作端末部5が有するGPS(Global Positioning System)インタフェースからGPS衛星からの信号を受信することによって、操作端末部5の現在位置の緯度と経度を取得し、その取得した位置情報を画面表示部512に送信する。
【0027】
画面表示部512は、画面制御情報21と場所条件情報22を操作端末記憶部520から読み出す。そして、画面表示部512は、無線送受信部511から受けた無線LAN IDと、GPS情報受信部513から受けた緯度と経度からなる位置情報と、画面制御情報21と、場所条件情報22とに基づいて、操作端末部5の各画面の情報の表示/非表示やボタンの動作可否を決定する。画面表示部512は、決定された各画面の情報の表示/非表示を反映した画面を出力部(ディスプレイ)に表示する。あるいは、画面表示部512は、決定されたボタンの動作可否に基づいて、操作端末部5を利用する検査技師から受けた制御命令を無線送受信部511に送信する。
【0028】
次に、
図4、
図5、
図6、及び
図7を用いて、画面制御設定部11の機能を詳しく説明する。
図4は、画面制御設定部11が調整者端末3に表示する場所条件設定画面110を示している。画面制御設定部11は、場所条件設定画面110を調整者端末3上に表示させる。なお、画面制御設定部11は、既に設定されている場所条件情報22を修正する場合には、記憶部20から場所条件情報22を読み出し、場所条件設定画面110を調整者端末3上に表示させる。
【0029】
場所条件設定画面110に表示される場所条件情報22は、画面表示部512が画面の表示と非表示、ボタンの動作の可否を決定するときに利用する特定の場所条件を表現する情報である。場所条件情報22は、属性として、場所条件名113と、無線LAN ID114と、最小経度115と、最大経度116と、最小緯度117と、最大緯度118とを有する。
【0030】
無線LAN ID114は、操作端末部5が接続する無線LANのID(識別子)を表し、無線送受信部511が接続している無線LAN機器から必要に応じて取得できる情報である。無線LAN ID114が指定されている、つまり空でない場合、場所条件情報22は、操作端末部5が当該無線LAN機器に接続できる状況を表現する。最小経度115、最大経度116、最小緯度117、及び最大緯度118は、常に4つ同時に設定される情報であり、特定の経度範囲内かつ特定の緯度範囲内に含まれる場所に操作端末部5がある状況を表す。無線LAN ID114と、最小経度115、最大経度116、最小緯度117、及び最大緯度118とを同時に指定した場合は、無線LAN ID114と経度緯度の条件の論理積、つまり、操作端末部5が当該無線LAN機器に接続しており、かつ、特定の経度範囲内かつ特定の緯度範囲内に含まれる場所に操作端末部5がある状況を表す。なお、場所条件情報22のレコードの全ての属性が空の場合は、条件なしに常に真が成り立つ状況を表す。
【0031】
場所条件設定画面110では、場所条件追加ボタン111を調整者が押下したとき、空の場所条件情報22のレコードが追加される。調整者は、場所条件設定画面110において、追加された新しいレコードの各属性の値を入力する。なお、調整者は、場所条件設定画面110において、既に設定されている場所条件情報22のレコードを編集することもできる。画面制御設定部11は、場所条件設定画面110において場所条件情報22が入力または修正されたとき、その入力または修正された情報を記憶部20に格納する。
【0032】
図5は、場所条件情報22を格納するテーブルを示す。場所条件情報22用のテーブルは、前述のとおり、属性として、場所条件名113と、無線LAN ID114と、最小経度115と、最大経度116と、最小緯度117と、最大緯度118とを有する。
【0033】
図6は、画面制御設定部11が調整者端末3に表示する画面制御設定画面120を示している。画面制御設定部11は、記憶部20から画面制御情報21を読み出し、画面制御設定画面120を調整者端末3上に表示させる。画面制御設定部11は、画面制御設定画面120において画面制御情報21が入力または修正されたとき、その入力または修正された情報を記憶部20に格納する。
【0034】
画面制御設定画面120に表示される画面制御情報21は、各画面の表示と非表示の制御または各画面上に表示される制御用ボタンに対して、各場所条件での制御可否を表す情報である。画面制御情報21は、属性として、画面名123と、制御名124と、各場所名125a〜125dと、各場所における接続時の制御可否情報126a〜126d(
図6中ではYES/NO。調整者が選択できる)と、各場所における切断時の制御可否情報127a〜127d(
図6中ではYES/NO。調整者が選択できる)とを有する。画面制御情報21は、操作端末部5が画面制御情報21における全てのレコードに関して、場所条件情報22のうち少なくとも1個の条件が成立して、その属性の設定が「YES」ならば、制御名124に関連付けられた制御が可能であることを示す。制御名124に関連付けられた制御が、「画面表示」である場合は、場所条件情報22のうち少なくとも1個の条件が成立した場合の画面表示の可否が設定される。一方、制御名124に関連付けられた制御が、「ボタン名」である場合は、場所条件情報22のうち少なくとも1個の条件が成立した場合のそのボタンの動作可否が設定される。
【0035】
画面制御設定画面120では、画面制御追加ボタン121を調整者が押下したとき、空の画面制御情報21のレコードが追加される。調整者は、画面制御設定画面120において、追加された新しいレコードの各属性の値を入力する。このとき、場所条件名(例えば、「検査室内」や「試薬倉庫内」)は、場所条件情報22を格納したテーブルの場所条件名113から読み込むことにより、あらかじめ表示することができる。なお、調整者は、画面制御設定画面120において、既に設定されている画面制御情報21のレコードを編集することもできる。
【0036】
以下では、まず、制御名124に関連付けられた制御が、「画面表示」である場合について説明する。例えば、
図6の画面制御情報21の1個目のレコードは、試料情報画面の画面表示に関しての情報である。このレコードは、場所条件情報22の「検査室」内の場所条件が成立(つまり、接続している無線LAN ID114が「LAB001」。
図4を参照)であり、かつ、その無線LANに接続しているとき(
図6中の接続時の制御可否情報126aが「YES」で表現される)、操作端末部5は、試料情報画面を表示する、という意味である。また、このレコードは、その他の場所(すなわち、場所名125b〜125d)においては属性が全て「NO」に設定されているため、その他の場所では試料情報画面を表示しないことを意味する。このように設定する理由は、試料情報画面に表示する情報が試料提供者のプライバシーに関わるため、試料情報画面の表示を検査室内のみに限定するからである。
【0037】
また、
図6中の切断時の制御可否情報127a〜127dが「YES」とは、少なくとも一つの属性が空でない当該場所条件情報22(たとえば、検査室内)が成立していたが、その後無線LANが切断された、あるいは、GPS情報が取得できなくなったため、当該場所条件情報22(たとえば、検査室内)の成立が確認できない状況で、制御を実行することを表す。
【0038】
例えば、
図6の画面制御情報21の3個目のレコード(画面名123が「試薬情報画面」である)では、場所名125b「試薬倉庫」内の切断時の制御可否情報127bが「YES」である。これは、試薬倉庫内の場所条件情報(つまり、接続している無線LAN ID114が「LAB002」。
図4を参照)が成立していた後に、その無線LANが切断された状況でも、その場所条件情報の成立が判定できるようになる前(すなわち、次に無線LAN IDまたはGPS情報が取得できるまで)であれば、試薬情報画面の画面表示は行う、という意味である。
【0039】
このように設定する理由は、試薬倉庫内に無線LANが接続できない場所がある場合に、接続できなくなるまでに操作端末部5が無線LAN IDが「LAB002」(
図4を参照)の無線LANに接続できており、試薬倉庫内に検査技師がいることを確認した後に無線LANが接続できなくなった場合であっても、操作端末部5に格納されたデータを試薬情報画面で確認できるようにし、利便性を高めるためである。
【0040】
次に、制御名124に関連付けられた制御が、「ボタン名」である場合について説明する。制御名124にボタン名が設定された場合、画面制御情報21は、そのボタンの動作可否を設定する。例えば、
図6の画面制御情報21の2個目のレコード(画面名123が「初期画面」)では、初期画面中の「検査開始ボタン」は、検査室内の場所条件情報22を成立させ(つまり、接続している無線LAN ID114が「LAB001」。
図4参照)、その無線LAN接続している間に検査技師が押下したときのみ、関連付けられた制御を行うことを意味する。すなわち、このレコードは、初期画面中の「検査開始ボタン」は、操作端末部5が検査室に接続されている時以外は検査技師による押下を無視し、動作しないことを意味する。
【0041】
このように設定する理由は、検査開始ボタンが検査室以外の場所で押下されて検査が開始されると、機械(自動分析部2)が遠隔地から操作されることになり、検査室内で機械を調整している検査技師に影響が生じるので、遠隔操作を防ぎ、安全性を向上させるためである。6個目のレコードでは、メカメンテナンス画面の「メカメンテナンスボタン」でも機械の動作が伴うことを意味し、同様に、検査室に接続されている時以外は検査技師による押下が無視される。
【0042】
図6の画面制御情報21の4個目のレコード(画面名123が「アラーム画面」)では、場所条件情報22(「検査室内」、「試薬倉庫内」、「病院内」、「その他」の場所条件情報22が成立)のいずれかが成立する場合、つまり、画面制御設定支援部1に接続すれば、アラーム画面を表示し、また場所条件情報22の成立が判定できないとき(すなわち、切断時)でも、アラーム画面を表示することを意味する。このように設定する理由は、アラームの情報は機密性が低く、遠隔から確認できた方が利便性が高まるため、操作端末部5に格納されたデータを表示できるようにするためである。
【0043】
図6の画面制御情報21の5個目のレコード(画面名123が「メカメンテナンス画面」)は、検査室内、試薬倉庫内、病院内のいずれかで場所条件情報22が成立するとき、メカメンテナンス画面を表示することを意味する。このように設定する理由は、メカメンテナンス画面は、病院内でのみ表示する必要があり、病院外で表示されて病院内の設備情報が外部に漏えいすることを防ぐためである。
【0044】
図7は、画面制御情報21を格納するテーブルを示す。画面制御情報21用のテーブルは、前述のとおり、属性として、画面名123と、制御名124と、場所名125a〜125cと、その場所における接続時の制御可否情報126a〜126c(
図7中ではYES/NO)と、その場所における切断時の制御可否情報127a〜127c(
図7中ではYES/NO)とを有する。なお、
図7では、
図6における「その他」の場所に対応する項目を省略している。この例では、場所名125a〜125c、接続時の制御可否情報126a〜126c、切断時の制御可否情報127a〜127cの組を3個まで表示したが、必要であれば、さらに追加してもよい。
【0045】
次に、
図8、
図9、
図10、及び
図11を用いて、操作端末部5における画面表示部512の機能を詳しく説明する。画面表示部512は、検査技師が自動分析部2の操作や情報を閲覧するためのGUIを備えた機能ブロックである。以下では、
図8のフローに従って説明する。
【0046】
画面表示部512は、まず、初期画面901を表示する(801)。
図9に示すように、初期画面901は、試料ボタン911と、試薬ボタン912と、アラームボタン913と、メカメンテナンスボタン914と、検査開始ボタン915と、各個別機能画面を表示する画面表示エリア920とを備える。
【0047】
画面表示部512は、続いて、無線送受信部511から無線LAN IDを受信し(802)、続いて、GPS情報受信部513から緯度経度情報を受信する(803)。
【0048】
次に、画面表示部512は、操作端末記憶部520に格納された場所条件情報22のうち、受信した無線LAN IDと緯度経度情報が成立する場所条件情報22を全て求める(804)。ここでは、成立した条件情報を「成立場所条件情報」と呼ぶ。具体的には、画面表示部512は、以下の(a)、(b)のいずれかを満たす場所条件情報22を成立場所条件情報とする。
(a)受信した無線LAN IDと同一の無線LAN ID114を持つ場所条件情報22
(b)受信した緯度経度情報が、最小経度115 < 受信した緯度 < 最大経度116、かつ、最小緯度117 < 受信した経度 < 最大緯度118を満たす場所条件情報22
【0049】
また、無線LAN ID114と、最小経度115、最大経度116、最小緯度117、最大緯度118の全ての属性が指定されている場所条件情報22については、無線LAN IDと緯度経度情報の両方が条件を満たすものを成立場所条件情報とする。すなわち、画面表示部512は、以下の(a)、(b)の両方を満たす場所条件情報22を成立場所条件情報とする。
(a)受信した無線LAN IDが無線LAN ID114と同一である
(b)受信した緯度経度情報が、最小経度115 < 受信した緯度 < 最大経度116、かつ、最小緯度117 < 受信した経度 < 最大緯度118を満たす
なお、画面表示部512は、場所条件情報22の場所条件を満たした成立場所条件情報を履歴条件として保存しておき、過去のステップ804における処理で作成した成立場所条件情報を参照できるようにしておく。
【0050】
次に、画面表示部512は、前回のステップ804の処理で求めた成立場所条件情報(つまり、直前の804の処理で求めた成立場所条件情報はなく、成立場所条件情報の履歴のうち最新から1個前の成立場所条件情報)に含まれるが、現在は、無線LAN切断、あるいは、GPS情報が取得できないため、判定できない場所条件情報22を記憶する(805)。ここで、この情報を切断場所条件情報と呼ぶ。
【0051】
ステップ805の具体的な処理としては、画面表示部512は、まず、前回のステップ804の処理で求めた成立場所条件情報のレコードのうち、最新のステップ804の処理において無線LAN切断、あるいは、GPS情報が取得できないため、判定できない場所条件情報22のレコードを切断場所条件情報に追加する。なお、画面表示部512は、切断場所条件情報のうち、最新のステップ804の処理において無線LANが接続、あるいは、GPS情報が取得できるようになったため、成立場所条件情報であるか判定できるようになった場所条件情報22のレコードを、切断場所条件情報から削除する。すなわち、本実施例では、一旦無線LAN切断、あるいは、GPS情報が取得できなくなった後、その無線LANとの接続が確立する、または、GPSによってその位置情報が取得できるまで、切断場所条件情報内の情報が保持される。
【0052】
画面表示部512は、
図9の初期画面901内のボタンが押されたかどうかを判定する(806)。ボタンが押されたと判定した場合は、ステップ807に進み、そうでない場合は、ボタンが押されるまでステップ802〜805の処理を繰り返す。このように、画面表示の制御あるいは操作の制御をボタンの押下のタイミングで行う。
【0053】
次に、画面表示部512は、画面表示及び制御の可否を判定する(807)。まず、画面表示部512は、押下されたボタンにあらかじめ関連付けられた画面名と制御名を求める。ここで、ボタンと、画面名及び制御名とは、あらかじめ関連付けられており、画面表示部512は、ボタンの情報から関連付けられた画面名と制御名を求めることができる。例えば、試料ボタン911は、画面名「試料情報画面」に関連付けられており、かつ、制御名「画面表示」にあらかじめ関連付けられている。
【0054】
次に、画面表示部512は、求めた画面名123と制御名124を持つ画面制御情報21を、操作端末記憶部520に格納された画面制御情報21から全て求める。画面表示部512は、求めた画面制御情報21のうち、ステップ804の処理で求めた全ての成立場所条件情報(例えば、検査室内、試薬倉庫内、病院内など)と同一の場所名125a〜125dを持ち、かつ、接続時の制御可否情報126a〜126dが「YES」のレコード、あるいは、ステップ805の処理で求めた全ての切断場所条件情報と同一の場所名125a〜125dを持ち、かつ、切断時の制御可否情報127a〜127dが「YES」のレコードが1個でもあれば、画面表示及び制御の可否を「YES」と判定する。それ以外の場合、画面表示部512は、「NO」とする。
【0055】
ステップ807の結果、「YES」だった場合、画面表示部512は、押下されたボタンに関連付けられた画面表示を行うか、または、自動分析部2の制御、つまり自動分析部2への制御命令の送信を無線送受信部511を介して行う(808)。ステップ807の結果、「NO」だった場合、画面表示部512は、画面の非表示を実行するか、または自動分析部2への制御命令を送信しない。
【0056】
ここで、「画面表示」とは、画面表示エリア920に情報を表示することを意味している。「画面の非表示」は、画面表示エリア920に情報を表示しないことを意味している。例えば、
図10は、試料ボタン911が押されたときの、画面表示エリア920における表示を示す。試料ボタン911が押されたとき、画面表示エリア920には、試料の識別子である試料ID1001と、試料の提供者の氏名1002と、試料に割り当てられたテスト項目1003と、テスト結果1004とが表示される。
【0057】
図11は、試薬ボタン912が押されたときの、画面表示エリア920における表示を示す。試薬ボタン912が押されたとき、画面表示エリア920には、分析機構部201内の試薬の設置場所1101と、テスト項目1102と、残量1103とが表示される。また、
図12は、アラームボタン913が押されたときの、画面表示エリア920における表示を示す。アラームボタン913が押されたとき、画面表示エリア920には、アラームID1201と、重要度1202と、アラーム内容1203とが表示される。
【0058】
また、「自動分析部2への制御命令」は、自動分析部2に制御情報を送信することを意味し、自動分析部2での検査開始やメカメンテナンス開始を指示することを意味する。例えば、
図10では、検査開始ボタン915があるが、この場合、
図7の2個目のレコード(画面名123が「初期画面」であり、制御名124が「検査開始ボタン」である)に従い、検査室(125a)内の条件(接続時の制御可否情報126aが「YES」)が成り立つ場合、検査開始ボタンに関連付けられた制御を行う。つまり、画面表示部512は、自動分析部2への検査開始の制御命令の送信を無線送受信部511を介して行う。これにより、画面に表示されたボタンについても、場所による制御の可否判断を実施できるようになる。例えば、メカメンテナンス開始ボタンを有するメカメンテナンス画面(図示せず)が表示されれば、
図7の6個目の画面制御情報21(画面名123が「メカメンテナンス画面」であり、制御名124が「メンテナンス開始ボタン」である)に示すように、検査室内でのみ、メカメンテナンス開始の制御が可能であるように制御できる。
【0059】
以上の実施例によれば、画面制御設定支援部1は、操作端末部5の場所によって、画面表示の可否及び自動分析部2への制御の可否を設定する手段を調整者に提供することができる。本実施例によれば、操作端末における画面表示及び自動分析部2への制御に関する制御設定作業を支援し、使い勝手を向上させることができる。また、本実施例によれば、操作端末部5が無線LANのIDを取得できない(無線LAN切断)、あるいは、GPS情報を取得できないとき、画面表示部512は、切断場所条件情報に基づいて、自動分析部2に関する画面表示または操作を制御する。例えば、操作端末部5が無線LANのIDを取得できない、あるいは、GPS情報を取得できないときでも、アラーム内容や試薬情報などについては、画面表示が可能となる。
【0060】
[第2実施例]
次に、
図8のステップ805での別の実施例を説明する。なお、その他の部分は第1実施例と同様であり、説明を省略する。
【0061】
別の実施例として、画面表示部512は、ステップ805において、まず、切断場所条件情報の全要素を削除する。その後、画面表示部512は、前回のステップ804の処理で成立場所条件情報としたが、今回のステップ804の処理において無線LAN切断、あるいは、GPS情報が取得できないため、判定できない場所条件情報22を切断場所条件情報とする処理も実行することも可能である。すなわち、本実施例では、一旦、無線LAN切断、あるいは、GPS情報が取得できなくなった後、ステップ804が実行されるごとに(すなわち、一定周期で)、切断場所条件情報の全要素が削除されることになる。切断場所条件情報の要素が一定周期で削除されるため、切断場所条件情報の有効期間を限定できる。無線LAN切断、あるいは、GPS情報が取得できなくなってから、ある一定の時間が過ぎた後は、別の場所に移動している可能があるため、この処理を実行することにより、機密性をより高めることができる。
【0062】
[第3実施例]
次に、画面制御情報21における条件成立に関する別の実施例を説明する。なお、その他の部分は第1実施例と同様であり、説明を省略する。
【0063】
別の実施例として、画面表示部512は、画面制御情報21における1個のレコードにおいて、場所条件情報22のうち全ての条件が成立して、かつその設定がYESならば、制御名124に関連付けられた制御を行うようにしてもよい。
【0064】
[第4実施例]
次に、
図9の画面表示エリア920に関する別の実施例を説明する。なお、その他の部分は第1実施例と同様であり、説明を省略する。
【0065】
図13は、
図10で示した試料情報表示の情報を非表示にする例を示す図である。
図13に示すように、画面表示部512は、画面表示エリア920にGUI部品は表示するが、その部位を黒く塗りつぶす等によりデータが見えないようにしてもよい。
【0066】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることがあり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0067】
また、画面制御設定支援部1及び操作端末部5の機能ブロック、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に置くことができる。
【0068】
また、上述の実施例において制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。