特許第6235875号(P6235875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 一般財団法人電力中央研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

特許6235875炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶の製造装置
<>
  • 特許6235875-炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶の製造装置 図000002
  • 特許6235875-炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶の製造装置 図000003
  • 特許6235875-炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶の製造装置 図000004
  • 特許6235875-炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶の製造装置 図000005
  • 特許6235875-炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶の製造装置 図000006
  • 特許6235875-炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶の製造装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235875
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶の製造装置
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/36 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   C30B29/36 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-234385(P2013-234385)
(22)【出願日】2013年11月12日
(65)【公開番号】特開2015-93810(P2015-93810A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年8月25日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構、「低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 功穂
(72)【発明者】
【氏名】土田 秀一
(72)【発明者】
【氏名】星乃 紀博
(72)【発明者】
【氏名】小島 淳
【審査官】 宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−290895(JP,A)
【文献】 特開2009−084071(JP,A)
【文献】 特開2006−016294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素からなる第1の種結晶に炭化珪素単結晶を成長させ、
前記炭化珪素単結晶を2つの切断面で切断して前記第1の種結晶側の基端部、成長面側の先端部、及び中間部を形成し、
前記中間部を取り出し、前記基端部及び前記先端部の前記切断面同士を接合し、
前記基端部及び前記先端部を第2の種結晶とし、前記先端部の成長面から炭化珪素単結晶を成長させる
ことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項2】
請求項に記載する炭化珪素単結晶の製造方法において、
前記炭化珪素単結晶のオフ角度に沿って切断する
ことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項3】
容器内に配置された第1の種結晶に炭化珪素単結晶を成長させる成長手段と、
前記炭化珪素単結晶を2つの切断面で切断して前記第1の種結晶側の基端部、成長面側の先端部、及び中間部を形成する切断手段と、
前記中間部を取り出し、前記基端部及び前記先端部の前記切断面同士を接合し、前記基端部及び前記先端部を第2の種結晶として前記容器内に配置する設置手段とを備える
ことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(以下、SiCとも称する)は、Siと比べてバンドギャップが約3倍、飽和ドリフト速度が約2倍、絶縁破壊電界強度が約10倍と優れた物性値を有し、大きな熱伝導率を有する半導体であることから、現在用いられているSi単結晶半導体の性能を大きく凌駕する次世代の高電圧・低損失半導体素子を実現する材料として期待されている。
【0003】
SiC単結晶を製造する方法の一つとして、HTCVD法等のガス成長法が知られている(例えば、特許文献1参照)。ガス成長法では、種結晶に原料ガスを供給し続ければ、理論的には、いくらでも長尺なSiC単結晶を製造することができる。SiC単結晶を高速で長尺に成長させることができれば、その価格を低減することができる。
【0004】
しかし、実際には、装置の制約上、所定長に達したところでSiC単結晶を取り出す必要がある。したがって、SiC単結晶を取り出し、種結晶を配置し、結晶成長を行うことを繰り返す必要がある。
【0005】
ここで、種結晶は、平板状のSiCからなる。種結晶の表面(成長面)に、温度勾配がある場合、例えば周縁部が高温、中央部が低温であるような温度勾配がある場合、高温部では成長があまり進まず、低温部では成長が進行する。そして、このような成長が進行して成長面の形状が等温面(凸曲面)に一致すると、成長面全体が成長する。
【0006】
すなわち、平板状の種結晶を用いると、成長初期において成長面が等温面に沿わない状態で結晶成長することになる。このとき、SiC単結晶に転位が発生するおそれがある。また、成長面が等温面に沿うまでに一定時間を要してしまい、製造時間の短縮化が妨げられる。
【0007】
なお、このような問題は、ガス成長法に限らず、昇華法や液相法にも同様に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−240894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、高品位の炭化珪素単結晶を得ることができる炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための第1の態様は、炭化珪素からなる第1の種結晶に炭化珪素単結晶を成長させ、前記炭化珪素単結晶を2つの切断面で切断して前記第1の種結晶側の基端部、成長面側の先端部、及び中間部を形成し、前記中間部を取り出し、前記基端部及び前記先端部の前記切断面同士を接合し、前記基端部及び前記先端部を第2の種結晶とし、前記先端部の成長面から炭化珪素単結晶を成長させることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法にある。
【0011】
かかる第1の態様は、2回目以降のSiC単結晶の成長は、第2の種結晶から始める。第2の種結晶は、前回成長して等温面と同じ形状の成長面を有している。したがって、2回目以降に第2の種結晶から結晶成長させる際には、等温面に沿った成長面から結晶成長を行うことができる。これにより、高品位の炭化珪素単結晶を製造することができる。また、成長面が等温面に沿うまでに一定時間を要するといったこともなく、その分、製造時間を短縮することができる。
また、中間部を炭化珪素単結晶として取り出し、炭化珪素ウェハなどの材料とすることができる。
【0014】
本発明の第の態様は、第の態様に記載する炭化珪素単結晶の製造方法において、前記炭化珪素単結晶のオフ角度に沿って切断することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法にある。
【0015】
かかる第の態様では、炭化珪素単結晶から無駄な部分を生じることなくオフウェハを作製することができる。
【0018】
本発明の第の態様は、容器内に配置された第1の種結晶に炭化珪素単結晶を成長させる成長手段と、前記炭化珪素単結晶を2つの切断面で切断して前記第1の種結晶側の基端部、成長面側の先端部、及び中間部を形成する切断手段と、前記中間部を取り出し、前記基端部及び前記先端部の前記切断面同士を接合し、前記基端部及び前記先端部を第2の種結晶として前記容器内に配置する設置手段とを備えることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置にある。
【0019】
かかる第の態様では、2回目以降に第2の種結晶から結晶成長させる際には、等温面に沿った成長面から結晶成長を行うことができる。これにより、高品位の炭化珪素単結晶を製造することができる。また、成長面が等温面に沿うまでに一定時間を要するといったこともなく、その分、製造時間を短縮することができる。
また、中間部を炭化珪素単結晶として取り出し、炭化珪素ウェハなどの材料とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高品位の炭化珪素単結晶を得ることができる炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶の製造装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る製造装置の断面図である。
図2】本製造方法での製造工程を示す製造装置の断面図である。
図3】本製造方法での製造工程を示す製造装置の断面図である。
図4】SiC単結晶の中間部を拡大した概略図である。
図5】本製造方法での製造工程を示す製造装置の要部を拡大した断面図である。
図6】本製造方法での製造工程を示す製造装置の要部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施形態に係るSiC単結晶の製造装置(以下、単に製造装置と称する。)について説明する。図1は、製造装置の断面図である。
【0023】
製造装置Iは、高温ガス成長法によりSiC単結晶をバルク成長させるものである。製造装置Iは、原料ガスを供給する原料ガス供給手段1と、SiCからなる種結晶(以下、第1の種結晶50a)を支持する台座10と、台座10を内部に収容する断熱容器20と、断熱容器を収容する密閉容器30と、断熱容器20内を加熱するコイル40(加熱手段)とを備えている。
【0024】
原料ガス供給手段1は、炭化珪素の原料ガス供給装置2と、原料ガス供給装置2から供給される原料ガスの流路となる管路3からなる。管路3は、鉛直方向の上面に供給口4が設けられており、原料ガス供給装置2からの原料ガスを供給口4から後述する第1の種結晶50aに供給する。
【0025】
なお、原料ガスは、SiCを第1の種結晶50a上に析出させるものであれば特に限定はない。例えば、SiHやCガス、さらにキャリアガスとしてHガスからなる原料ガスを用いることができる。
【0026】
台座10は、SiCからなる第1の種結晶50aを支持するものである。台座10は、第1の種結晶50aを支持する円柱状の支持部11と、支持部11の鉛直方向の上面に接続された軸部12を備えている。支持部11は、上述した管路3の供給口4に対向する支持面13を有している。台座10は、この支持面13に第1の種結晶50aが接着される。支持部11の材料は特に限定はないが、グラファイトや炭化珪素で形成してもよい。
【0027】
台座10は、移動機構14により鉛直方向の上下に移動可能である。すなわち、移動機構14が軸部12を上下に移動させることで台座10全体が上下動可能となっている。支持面13に接着された第1の種結晶50aには、供給口4から原料ガスが供給されるようになっている。このため、第1の種結晶50aは、台座10により上方に移動しながら原料ガスが供給されて結晶成長する。
【0028】
なお、台座10は、必ずしも上下移動可能とする必要はなく、密閉容器30内に固定的に配置されていてもよい。
【0029】
断熱容器20は、内部に台座10を収容する容器であり、断熱材から形成されている。断熱材としては特に限定はないが、例えば、アルミナ、ジルコニア、熱分解炭素、黒鉛(グラファイト)等を利用することができる。
【0030】
断熱容器20は、円筒状に形成されて、内部空間21を有する。断熱容器20は、管路3の供給口4の開口縁部に載置され、内部空間21が供給口4を介して管路3と連通している。
【0031】
断熱容器20の内部空間21には、台座10が収容されている。台座10の軸部12は、密閉容器30の上面に形成された蓋体32の挿通孔33に挿通されている。上述したように台座10は上下移動が可能であるので、支持部11は、内部空間21内において上下移動が可能となっている。
【0032】
密閉容器30は、断熱容器20を内部に収容する容器である。特に材料に限定はないが、例えば石英や金属等を用いることができる。また、密閉容器30には、排出路31が形成されており、供給口4から供給された原料ガスが排出路31から排出されるようになっている。
【0033】
さらに、密閉容器30は、その上部の開口部34が蓋体32により塞がれている。蓋体32は、密閉容器30と同様の材料から形成することができる。SiC単結晶の製造時には、密閉容器30は蓋体32により気密に塞がれる一方、成長したSiC単結晶の回収、新たな種結晶の設置及びメンテナンス等の作業時には、蓋体32が開かれ、これらの作業が行われる。
【0034】
加熱手段は、断熱容器20内を加熱するものである。加熱手段により断熱容器20内の温度が設定される。具体的には、加熱手段として、コイル40を用いることができる。
【0035】
コイル40は、断熱容器20に対して誘導加熱を行うものである。特に図示しないが、コイル40は、交流電源に接続され、高周波の交流電流が供給される。コイル40は、断熱容器20内の温度を、例えば1500℃以上の高温にする主たる熱源として用いられる。なお、特に図示しないが、金属からなる密閉容器30を用いる場合、コイル40は、密閉容器30の内側であり、かつ断熱容器20の外側に配置する。
【0036】
また、特に図示しないが、台座10の支持部11には冷却機構が設けられており、第1の種結晶50aを放熱させることが可能となっている。
【0037】
また、特に図示しないが、製造装置Iには、第1の種結晶50aに成長したSiC単結晶を切断する切断手段と、切断されたものを新たに台座10に配置する設置手段とを備えていてもよい。これらの詳細は後述する。
【0038】
上述した構成のSiC単結晶の製造装置Iでは、コイル40により断熱容器20の内部が高温に設定される。一方、台座10の冷却機構により第1の種結晶50aは相対的に低温に設定される。そして原料ガスを第1の種結晶50aに供給することで、第1の種結晶50aにSiC単結晶が結晶成長する。このとき、第1の種結晶50aは、台座10により上方に引き上げられながら結晶成長する。
【0039】
次に、上述の製造装置Iによって行われる本実施形態のSiC単結晶の製造方法について説明する。図2は、本製造方法での製造工程を示す製造装置の断面図である。
【0040】
まず、第1の種結晶50aにSiC単結晶51を成長させる。具体的には、原料ガス供給装置2からSiCを含む原料ガスを密閉容器30内の第1の種結晶50aに供給する。第1の種結晶50a表面から一定長まで結晶成長させると、その成長面52の形状は、等温面の形状と同じ凸曲面状となり、成長面52全体が結晶成長する。そして、その成長面52の形状を保ったまま、長さLに達するまでSiC単結晶51が成長する。ここでいう長さLは、製造装置Iで製造可能なSiC単結晶51の最大長である。
【0041】
また、本実施形態の成長工程では、移動機構14により支持部11を上方(原料ガスの供給口4とは反対方向)に引き上げながらSiC単結晶51の結晶成長を行う。支持部11の引き上げは、SiC単結晶51の成長速度と同一速度(実質的にほぼ同じ速度)で行われる。したがって、SiC単結晶51の表面(成長面52)の供給口4に対する相対位置は常に一定となる。
【0042】
例えば、移動機構14を用い、第1の種結晶50aの表面を供給口4の近傍に位置させる(図1参照)。その後、SiC単結晶51は結晶成長するが、その成長速度に合わせて支持部11が上方に引き上げられる。このため、SiC単結晶51の成長面52は、図2に示すように当初の第1の種結晶50aの表面が位置していた供給口4の近傍と同じ位置である。つまり、成長面52が供給口4から管路3内に突出することはない。
【0043】
次に、SiC単結晶51を切断する。本実施形態では、SiC単結晶51を2つの切断面で切断する。各切断面を、SiC単結晶51の先端側(成長面52側)の下部切断面53、SiC単結晶51の基端側(第1の種結晶50a側)の上部切断面54とする。これら2つの切断面でSiC単結晶51を切断することで、先端部51a、基端部51c、これらの間の中間部51bとが形成される。
【0044】
SiC単結晶51の切断手段は、特に限定はないが、例えばマルチワイヤーソー、ダイヤモンドブレード、外周刃切断機などを適用することができる。また、密閉容器30からSiC単結晶51を取り出し、切断手段で切断してもよいし、製造装置Iと一体的に設けられた切断手段により、台座10に支持された状態でSiC単結晶51を切断するようにしてもよい。
【0045】
また、長さLは、SiC単結晶51を引き上げることができる限界長さより小さい範囲であり、装置構成やSiC単結晶のサイズ等を考慮して、適宜設定変更が可能である。また、SiC単結晶51が長さLに達したことを検知する方法は特に制限されず、SiC単結晶51を引き上げた距離、原料ガスの供給量、及びこれに相関するパラメータ等を、図示しない制御装置に検出・演算させて行うことができる。
【0046】
次に、切断したSiC単結晶51の中間部51bを取り出す。この中間部51bは、SiC単結晶としてSiCウェハなどの材料として用いられる。
【0047】
次いで、切断したSiC単結晶51のうち、成長面52を有する先端部51aを第2の種結晶50bとする。具体的には、先端部51aの下部切断面53及び基端部51cの上部切断面54を接合する。
【0048】
図3は、本製造方法での製造工程を示す製造装置の断面図である。同図に示すように、SiC単結晶51の先端部51aと基端部51cとが接合され、成長面52を有する先端部51aが新たに第2の種結晶50bとして台座10上に配置されている。
【0049】
先端部51a及び基端部51cの接合は、例えば以下の方法により行うことができる。すなわち、先端部51aの下部切断面53と、基端部51cの上部切断面54との間に、接着層55を形成する。接着層55としては、粒径が数μm程度の炭素粉末と珪素粉末をアルコール等で湿式混合し、ペースト状にしたものを用いることができる。接着層55を挟んだ先端部51a及び基端部51cを熱処理装置内に入れ、所定の温度、圧力まで昇温、昇圧した後、これらを押圧する。この状態を所定時間保持した後、装置内を常温、常圧に戻す。これにより、炭素粉末と珪素粉末が反応し、SiCが生成されると同時に、生成されたSiCの焼結が進行し、先端部51a及び基端部51cが強固に接合される。
【0050】
なお、上述したような接合方法に限定されず、接着剤等で先端部51a及び基端部51cを接着するなどの方法でもよい。また、製造装置I内から中間部51bを取り出し、切断された先端部51a及び基端部51cを接着させる機構(設置手段)を製造装置Iに設けてもよい。
【0051】
また、切断に際しては、下部切断面53及び上部切断面54を、互いに平行とすることが好ましい。これにより、下部切断面53及び上部切断面54を隙間なく接着させることができるため、接合が容易になる上、物理的安定性も向上する。
【0052】
さらに、下部切断面53及び上部切断面54を接合した後、接合面の周囲の段差を研磨してもよい。そして、第2の種結晶50bとして用いる最終仕上げとして、成長面52を犠牲酸化、リアクティブイオンエッチング、化学機械研磨等を行ってもよい。その後、有機溶剤、酸性溶液又はアルカリ溶液等を用いて、表面を清浄化してもよい。
【0053】
上述したように、成長面52を有する先端部51aを新たな第2の種結晶50bとした後、この第2の種結晶50bにSiC単結晶51を成長させる(特に図示せず)。具体的には、第2の種結晶50b(成長面52)が供給口4の近傍に達するまで台座10を下方に引き下げ、最初の結晶成長と同じ要領で第2の種結晶50bにSiC単結晶51を成長させる。
【0054】
以後、SiC単結晶51の長さが長さLに達するたびに、上述したようなSiC単結晶51の切断及び第2の種結晶50bの再配置を繰り返すことで、連続的にSiC単結晶51(中間部51b)を得ることができる。
【0055】
以上に説明した本実施形態に係るSiC単結晶の製造方法によれば、2回目以降のSiC単結晶の成長は、第2の種結晶50bから始める。第2の種結晶50bは、前回成長して等温面と同じ形状の成長面52を有している。したがって、2回目以降に第2の種結晶50bから結晶成長させる際には、等温面に沿った成長面52から結晶成長を行うことができる。
【0056】
すなわち、SiC単結晶51が長さLに達して製造装置Iから取り出し、次のSiC単結晶51を成長させる場合であっても、平板状の第1の種結晶50aから成長を行うことが不要となる。
【0057】
平板状の種結晶から結晶成長する場合、初期において成長面が等温面に沿わないで成長するため、転位が発生するという問題があったが、本製造方法では、このような転位の発生が低減され、高品位のSiC単結晶51を製造することができる。また、成長面が等温面に沿うまでに一定時間を要するといったこともなく、その分、製造時間を短縮することができる。
【0058】
また、SiC単結晶51を切断する際には、下部切断面53及び上部切断面54をSiC単結晶51のオフ角度に沿わせることが好ましい。図4は、SiC単結晶51の中間部51bを拡大した概略図である。
【0059】
図4(a)は、下部切断面53及び上部切断面54がSiC単結晶51のオフ角度と異なる角度である場合の中間部51bであり、図4(b)は、下部切断面53及び上部切断面54がSiC単結晶51のオフ角度と同一の角度である場合の中間部51bである。
【0060】
図4(a)に示す中間部51bは、略円柱形状である。したがって、オフ角度θに沿ってオフウェハを作製する際には、切り出しのための無駄な除去部分(斜線で示すD領域)が生じる。
【0061】
一方、図4(b)に示すように、中間部51b(SiC単結晶51)は、オフ角度θを有している。この場合、SiC単結晶51をそのオフ角度θに沿って切断することで中間部51bが切り出されている。中間部51bからは、オフ角θを成す複数の切断面57に沿って切断することでSiCウェハが作製される。
【0062】
したがって、図4(b)に示すように、下部切断面53及び上部切断面54は、オフ角θと同一の角度を成すようにすることが好ましい。これにより、中間部51bからオフウェハを作成する際に無駄となる除去部分を無くすことができる。
【0063】
〈他の実施形態〉
以上、本発明の実施形態として、切断したSiC単結晶同士を接合する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲において種々変更が可能である。
【0064】
例えば、SiC単結晶51の先端部51aを、台座10の支持面に接合するようにしてもよい。図5(a)〜(b)及び図6(a)〜(b)は、本製造方法での製造工程を示す製造装置の要部を拡大した断面図である。
【0065】
図5(a)に示すように、1回目のSiC単結晶51を成長させた後、SiC単結晶51を切断する。具体的には、SiC単結晶51を下部切断面53で切断して先端部51aを形成する。
【0066】
次に、特に図示しないが、台座10から残りのSiC単結晶51及び第1の種結晶50aを取り外す。
【0067】
次に、図5(b)に示すように、SiC単結晶51の先端部51aを台座10の支持面13に接着して新たな第2の種結晶50bとする。そして第2の種結晶50bにSiC単結晶51を成長させる。
【0068】
このような実施形態によれば、SiC単結晶51の先端部51aのみが第2の種結晶として用いられるため、第2の種結晶50bが短尺となる分、より長いSiC単結晶を成長させることができる。
【0069】
また、図6(a)〜(b)に示すように、1回目のSiC単結晶51を成長させた後、SiC単結晶51を切断する。具体的には、基端部51cが残るように上部切断面54に沿って切断する。この残った基端部51cを第2の種結晶50bとして用いる。
【0070】
そして、基端部51cに対して水素ガスによるエッチングや高温エッチングを適用し、その後、当該表面にSiC単結晶を成長させる。
【0071】
このような実施形態によれば、エッチング等を行い、結晶成長を再開できるため、成長面を研磨するなどの手間を省略し、製造工程を簡略化することができる。また、台座10の支持面13に既に接合されているSiC単結晶51の基端部51cを用いて第2の種結晶50bとするので、SiC単結晶を接合する工程を省略することができる。
【0072】
なお、本発明は、ガス成長方法に限られず、昇華法や液相法によるSiC単結晶の製造方法にも適用可能である。すなわち、それらの方法によっても、既に等温面の形状と同一形状を有する成長面から結晶成長を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、炭化珪素単結晶を製造する産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
I 炭化珪素単結晶の製造装置
1 原料ガス供給手段
10 台座
20 断熱容器
30 密閉容器
40 コイル(加熱手段)
50a 第1の種結晶
50b 第2の種結晶
51 単結晶
51a 先端部
51b 中間部
51c 基端部
52 成長面
図1
図2
図3
図4
図5
図6