特許第6235878号(P6235878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235878
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】光導波路装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20171113BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20171113BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G02B6/12 301
   G02B6/122
   G02B6/42
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-242509(P2013-242509)
(22)【出願日】2013年11月25日
(65)【公開番号】特開2015-102648(P2015-102648A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091672
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 啓三
(72)【発明者】
【氏名】山本 和尚
【審査官】 下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−277060(JP,A)
【文献】 特開2009−069668(JP,A)
【文献】 特開2008−281816(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/114957(WO,A1)
【文献】 特開2010−286777(JP,A)
【文献】 特開平11−064675(JP,A)
【文献】 特開2009−224522(JP,A)
【文献】 特開2013−186310(JP,A)
【文献】 特開2000−105327(JP,A)
【文献】 特開2011−237503(JP,A)
【文献】 特開2008−111990(JP,A)
【文献】 特開2013−152287(JP,A)
【文献】 特開2000−249876(JP,A)
【文献】 特開2008−107648(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0183718(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B6/12−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板に形成された接続パッドと、
前記配線基板の上に、第1クラッド層、コア層及び第2クラッド層が順に形成された光導波路と、
前記接続パッドを含む領域の前記第2クラッド層に形成された開口部と、
前記接続パッド上の少なくとも前記第1クラッド層に形成され、前記第2クラッド層の開口部に連通するコンタクトホールと、
前記コンタクトホール内の前記接続パッドに接続端子が接続された光素子と、
前記第2クラッド層の開口部及び前記コンタクトホールに充填され、前記光素子の下側を封止するアンダーフィル樹脂とを有し、
前記第2クラッド層の開口部の長さが前記光素子の幅よりも長く設定されて、前記第2クラッド層の開口部の一部が前記光素子から露出しており、
前記光素子の接続端子の径は前記コンタクトホールの径よりも小さく、前記コンタクトホールの側壁と前記光素子の接続端子との隙間に前記アンダーフィル樹脂が充填されていることを特徴とする光導波路装置。
【請求項2】
前記光素子の下面は、前記光導波路の第2クラッド層の上面に接していることを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
【請求項3】
前記第2クラッド層の一つの開口部が、一つ又は複数の前記コンタクトホールに連通していることを特徴とする請求項1又は2に記載の光導波路装置。
【請求項4】
前記コンタクトホールは、前記クラッド層の開口部の側壁から外側にはみ出すように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の光導波路装置。
【請求項5】
前記光素子は発光素子又は受光素子であり、
前記配線基板の上に、前記光素子に電気的に接続された制御素子を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光導波路装置。
【請求項6】
上面に接続パッドを備えた配線基板を用意する工程と、
前記配線基板の上に第1クラッド層を形成する工程と、
前記第1クラッド層の上にコア層を形成する工程と、
前記接続パッドを含む領域に開口部を備えた第2クラッド層を前記第1クラッド層及び前記コア層の上に形成する工程と、
前記第2クラッド層の開口部に連通し、前記接続パッドに到達するコンタクトホールを少なくとも前記第1クラッド層に形成する工程と、
前記第2クラッド層の開口部の一部が露出するように、前記コンタクトホール内の前記接続パッドに光素子の接続端子を接続する工程と、
前記第2クラッド層の開口部から前記コンタクトホールにアンダーフィル樹脂を充填して、前記光素子の下側を封止する工程とを有し、
前記第2クラッド層の開口部の長さが前記光素子の幅よりも長く設定され、
前記光素子の接続端子の径は前記コンタクトホールの径よりも小さく、前記アンダーフィル樹脂が前記コンタクトホールの側壁と前記光素子の接続端子との隙間に充填されることを特徴とする光導波路装置の製造方法。
【請求項7】
上面に接続パッドを備えた配線基板を用意する工程と、
前記配線基板の上に、前記接続パッド上にコンタクトホールを備えた第1クラッド層を形成する工程と、
前記第1クラッド層の上にコア層を形成する工程と、
前記コンタクトホールに連通する開口部を備えた第2クラッド層を前記第1クラッド層及び前記コア層の上に形成する工程と、
前記第2クラッド層の開口部の一部が露出するように、前記コンタクトホール内の前記接続パッドに光素子の接続端子を接続する工程と、
前記第2クラッド層の開口部から前記コンタクトホールにアンダーフィル樹脂を充填して、前記光素子の下側を封止する工程とを有し、
前記第2クラッド層の開口部の長さが前記光素子の幅よりも長く設定され、
前記光素子の接続端子の径は前記コンタクトホールの径よりも小さく、前記アンダーフィル樹脂が前記コンタクトホールの側壁と前記光素子の接続端子との隙間に充填されることを特徴とする光導波路装置の製造方法。
【請求項8】
前記光素子を接続する工程において、
前記光素子の下面を前記第2クラッド層の上面に当接させることを特徴とする請求項6又は7に記載の光導波路装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2クラッド層の一つの開口部を、一つ又は複数の前記コンタクトホールに連通させることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の光導波路装置の製造方法。
【請求項10】
前記光素子は発光素子又は受光素子であり、
前記配線基板の上に、前記光素子に電気的に接続される制御素子を搭載する工程を有することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の光導波路装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバ通信技術を中心に基幹系の通信回線の整備が着々と進行する中でボトルネックとなりつつあるのが電気機器や情報端末内の電気信号の伝達速度である。このような背景から、すべての信号伝達を電気信号によって行う従来の電気回路基板に代わって、電気信号の伝達速度の限界を補うために、高速部分を光信号で伝達するタイプの光電気複合基板が提案されている。
【0003】
光電気複合基板では、光信号はコア層がクラッド層で囲まれた構造の光導波路によって伝達される。そして、光素子が光導波路の光路変換ミラーに光結合されるように、光導波路のクラッド層の上に実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−215371号公報
【特許文献2】特開2007−187871号公報
【特許文献3】特開2009−69668号公報
【特許文献4】特開2010−277060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
後述する予備的事項の欄で説明するように、光素子の下面が光導波路の上面に接した状態で、光素子の接続端子が配線基板のコンタクトホール内の接続パッドに接続される構造の光導波路装置がある。そのような光導波路装置では、アンダーフィル樹脂をコンタクトホール内に流し込むことが困難になり、十分な信頼性が得られない課題がある。
【0006】
光素子の下面が光導波路の上面に接して光素子が搭載される場合であっても、コンタクトホール内にアンダーフィル樹脂を信頼性よく充填できる光導波路装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の開示の一観点によれば、配線基板と、前記配線基板に形成された接続パッドと、前記配線基板の上に、第1クラッド層、コア層及び第2クラッド層が順に形成された光導波路と、前記接続パッドを含む領域の前記第2クラッド層に形成された開口部と、前記接続パッド上の少なくとも前記第1クラッド層に形成され、前記第2クラッド層の開口部に連通するコンタクトホールと、前記コンタクトホール内の前記接続パッドに接続端子が接続された光素子と、前記第2クラッド層の開口部及び前記コンタクトホールに充填され、前記光素子の下側を封止するアンダーフィル樹脂とを有し、前記第2クラッド層の開口部の長さが前記光素子の幅よりも長く設定されて、前記第2クラッド層の開口部の一部が前記光素子から露出しており、前記光素子の接続端子の径は前記コンタクトホールの径よりも小さく、前記コンタクトホールの側壁と前記光素子の接続端子との隙間に前記アンダーフィル樹脂が充填されている光導波路装置が提供される。
【0008】
また、その開示の他の観点によれば、上面に接続パッドを備えた配線基板を用意する工程と、前記配線基板の上に第1クラッド層を形成する工程と、前記第1クラッド層の上にコア層を形成する工程と、前記接続パッドを含む領域に開口部を備えた第2クラッド層を前記第1クラッド層及び前記コア層の上に形成する工程と、前記第2クラッド層の開口部に連通し、前記接続パッドに到達するコンタクトホールを少なくとも前記第1クラッド層に形成する工程と、前記第2クラッド層の開口部の一部が露出するように、前記コンタクトホール内の前記接続パッドに光素子の接続端子を接続する工程と、前記第2クラッド層の開口部から前記コンタクトホールにアンダーフィル樹脂を充填して、前記光素子の下側を封止する工程とを有し、前記第2クラッド層の開口部の長さが前記光素子の幅よりも長く設定され、前記光素子の接続端子の径は前記コンタクトホールの径よりも小さく、前記アンダーフィル樹脂が前記コンタクトホールの側壁と前記光素子の接続端子との隙間に充填されることを特徴とする光導波路装置の製造方法が提供される。
【0009】
さらに、その開示の他の観点によれば、上面に接続パッドを備えた配線基板を用意する工程と、前記配線基板の上に、前記接続パッド上にコンタクトホールを備えた第1クラッド層を形成する工程と、前記第1クラッド層の上にコア層を形成する工程と、前記コンタクトホールに連通する開口部を備えた第2クラッド層を前記第1クラッド層及び前記コア層の上に形成する工程と、前記第2クラッド層の開口部の一部が露出するように、前記コンタクトホール内の前記接続パッドに光素子の接続端子を接続する工程と、前記第2クラッド層の開口部から前記コンタクトホールにアンダーフィル樹脂を充填して、前記光素子の下側を封止する工程とを有し、前記第2クラッド層の開口部の長さが前記光素子の幅よりも長く設定され、前記光素子の接続端子の径は前記コンタクトホールの径よりも小さく、前記アンダーフィル樹脂が前記コンタクトホールの側壁と前記光素子の接続端子との隙間に充填される光導波路装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
以下の開示によれば、光導波路装置では、配線基板の接続パッド上にコンタクトホールが配置され、コンタクトホールに連通する開口部が第2クラッド層に形成されている。そして、配線基板のコンタクトホール内の接続パッドに光素子の接続端子を接続する際に、光素子の外側に第2クラッド層の開口部の一部が露出した状態となる。
【0011】
これにより、光素子の下面が光導波路の上面に当接している場合であっても、第2クラッド層の開口部を流路としてアンダーフィル樹脂をコンタクトホール内に信頼性よく充填することができる。
【0012】
また、光素子の下面を光導波路の上面に当接させるため、光素子の高さや平行度を容易に最適化することができ、光学特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)及び(b)は予備的事項に係る光導波路装置の問題点を説明するための断面図である。
図2図2(a)及び(b)は実施形態の光導波路装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図3図3(a)及び(b)は実施形態の光導波路装置の製造方法を示す断面図及び平面図(その2)である。
図4図4(a)及び(b)は実施形態の光導波路装置の製造方法を示す断面図及び平面図(その3)である。
図5図5(a)及び(b)は実施形態の光導波路装置の製造方法を示す断面図及び平面図(その4)である。
図6図6(a)〜(c)は実施形態の光導波路装置の製造方法を示す断面図及び平面図(その5)である。
図7図7(a)〜(c)は実施形態の光導波路装置の製造方法を示す断面図及び平面図(その6)である。
図8図8(a)及び(b)は図7(b)の構造体を得るための別の方法を示す断面図である。
図9図9(a)〜(c)は実施形態の光導波路装置の製造方法を示す断面図及び平面図(その7)である。
図10図10(a)及び(b)は実施形態の光導波路装置の製造方法を示す断面図及び平面図(その8)である。
図11図11(a)〜(c)は実施形態の光導波路装置を示す断面図及び平面図である。
図12図12図11の光素子に制御素子が接続された様子を示す断面図である。
図13図13は実施形態の光導波路装置に係る第2クラッド層の開口部の第1の変形例を示す平面図である。
図14図14は実施形態の光導波路装置に係る第2クラッド層の開口部の第2の変形例を示す平面図である。
図15図15は実施形態の光導波路装置に係る第2クラッド層の開口部の第3の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0015】
実施形態を説明する前に、基礎となる予備的事項について説明する。図1(a)に示すように、予備的事項に係る光導波路装置では、配線層200を備えた配線基板100の上に光導波路300が配置されている。光導波路300はコア層340が第1クラッド層320及び第2クラッド層360で囲まれた構造を有する。
【0016】
コア層340の端部には光路変換ミラーMが設けられている。また、第1クラッド層320及び第2クラッド層360には、配線層200の接続パッドPに到達するコンタクトホールCHが形成されている。
【0017】
そして、図1(b)に示すように、光素子400の接続端子420がコンタクトホールCH内に配置され、はんだ440を介して配線層200の接続パッドPに接続される。光素子400は発光素子又は受光素子からなり、光素子400が光導波路300の光路変換ミラーMに光結合される。
【0018】
このとき、光素子400の接続端子420の高さはコンタクトホールCHの深さよりも低く設定されている。これにより、光素子400の下面が光導波路300の上面に当接して、光素子400の高さ位置が決められて最適な平行度が確保される。
【0019】
この状態では、光素子400の接続端子420とコンタクトホールCHの側壁との間に空間が存在するため、アンダーフィル樹脂で埋め込む必要がある。コンタクトホールCH内に空気が残存すると、後の加熱処理などで空気が膨張して、光素子400の電気接続の信頼性が低下するからである。
【0020】
しかし、図1(b)に示すように、光素子400の下面が光導波路300の上面に接しているため、アンダーフィル樹脂500をコンタクトホールCH内に流し込むことができない問題が発生する。
【0021】
光素子400の下面側に多少の隙間が生じている場合は、アンダーフィル樹脂500を充填することは可能ではあるが、非常に長い処理時間がかかり現実的ではない。
【0022】
以下に説明する実施形態では、前述した不具合を解消することができる。
【0023】
(実施形態)
図2図10は実施形態の光導波路装置の製造方法を示す図、図11は実施形態の光導波路装置の製造方法を示す図である。以下、光導波路装置の製造方法を説明しながら、光導波路装置の構造を説明する。
【0024】
実施形態の光導波路装置の製造方法では、まず、図2(a)に示すような配線基板10を用意する。配線基板10では、基板12の両面に配線層20がそれぞれ形成されている。基板12には厚み方向に貫通するスルーホールTHが設けられており、スルーホールTH内に貫通電極22が充填されている。両面側の配線層20は貫通電極22を介して相互接続されている。基板12の上面側の配線層20は、その一端に接続パッドPを備えている。
【0025】
また、基板12の下面側に、配線層20の接続部上に開口部14aが設けられたソルダレジスト層14が形成されている。
【0026】
なお、スルーホールTHの側壁に形成されたスルーホールめっき層を介して両面側の配線層20が相互接続され、スルーホールTHの残りの孔に樹脂が充填されていてもよい。
【0027】
また、基板12はリジット基板であってもよいし、あるいはフレキシブル基板でもよい。リジット基板とする場合は、基板12は例えばガラスエポキシ樹脂などから形成される。あるいは、フレキシブル基板とする場合は、基板12は例えばポリイミドフィルムなどから形成される。また、基板12の両面側において、配線層20の積層数は任意に設定することができる。
【0028】
配線基板10のスルーホールTHはドリルやレーザなどで形成され、両面側の配線層20及び貫通電極22はフォトリソグラフィ及びめっき技術などを使用して形成される。
【0029】
次いで、図2(b)に示すように、配線基板10上の光導波路形成領域に、第1クラッド層を得るための感光性樹脂層(不図示)を形成し、フォトリソグラフィに基づいて露光/現像を行う。その後に、感光性樹脂層を100℃〜140℃程度の加熱処理によって硬化させる。これより、配線基板10上の光導波路形成領域に第1クラッド層32が形成される。第1クラッド層32の厚みは、例えば10μm〜30μm程度である。
【0030】
感光性樹脂層としては、UV硬化型エポキシ樹脂などが好適に使用される。感光性樹脂層の形成方法としては、半硬化状態(B−ステージ)の感光性樹脂シートを貼付してもよいし、あるいは、液状の感光性樹脂を塗布してもよい。
【0031】
後述するコア層及び第2クラッド層を形成する工程においても同様な樹脂が好適に使用される。
【0032】
続いて、図3(a)に示すように、第1クラッド層32の上にコア層を得るための感光性樹脂層(不図示)を形成する。さらに、フォトリソグラフィに基づいて露光/現像を行った後に、感光性樹脂層を100℃〜140℃程度の加熱処理によって硬化させる。これにより、第1クラッド層32の上にコア層34が形成される。
【0033】
このとき、図3(b)の平面図に示すように、第1クラッド層32の上にコア層34が複数の帯状パターンとして並んで形成される。コア層34の幅は30μm〜40μm程度に設定され、コア層34の厚みは30μm〜80μm程度に設定さる。
【0034】
図3(a)は、図3(b)の平面図のI―Iの破線に沿った断面に相当する。後述する図4図5においても同じである。
【0035】
次いで、図4(a)及び(b)に示すように、コア層34の両端側の光路変換ミラーが配置される部分を切削装置の回転ブレードによって厚み方向に切削する。図4(a)及び(b)では、コア層34の一端側の領域が部分的に示されている。
【0036】
これにより、光路を90°変換するための光路変換傾斜面Sを備えたV字状の分断部34aを形成する。光路変換傾斜面Sは、配線基板10の表面に対して好適には45°で傾斜して形成される。切削以外にも、レーザなどによって光路変換傾斜面Sを備えた分断部34aを形成することができる。
【0037】
また、分断部34aは、コア層34を分断するように形成されていればよく、第1クラッド層32の厚みの途中まで形成されてもよい。
【0038】
次いで、図5(a)及び(b)に示すように、マスク蒸着などにより、コア層34の分断部34aの光路変換傾斜面Sに光反射性の金属層を部分的に形成して光路変換ミラーMを得る。光反射性の金属として、金又はアルミニウムなどがある。
【0039】
次に、図6(a)〜(c)を参照して、第1クラッド層32及びコア層34の上に、第2クラッド層36をパターニングする方法について説明する。図6(a)は図6(c)の平面図のII―IIの破線に沿った断面に相当する。また、図6(b)は図6(c)の平面図のIII―IIIの破線に沿った断面に相当する。
【0040】
後述する図7においても同じである。また、図6(c)の平面図は透視的に描かれており、後の平面図においても同じである。
【0041】
図6(a)に示すように、第1クラッド層32及びコア層34の上に、第2クラッド層を得るための感光性樹脂層(不図示)を形成する。さらに、フォトリソグラフィに基づいて露光/現像を行った後に、感光性樹脂層を100℃〜140℃程度の加熱処理によって硬化させる。これにより、第1クラッド層32の上に、コア層34を被覆する第2クラッド層36が形成される。
【0042】
このとき、図6(c)に示すように、第2クラッド層36は、配線基板10の配線層20の各接続パッドPを含む領域に開口部36aが配置されるようにパターニングされる。第2クラッド層36の開口部36aは、接続パッドPの少なくとも一部を含む領域に配置されていればよい。
【0043】
第2クラッド層36の開口部36aは、後述するように、コンタクトホール内の接続パッドPに光素子の接続端子を接続した後に、コンタクトホール内にアンダーフィル樹脂を流し込むための流路として機能する。
【0044】
このため、第2クラッド層36の開口部36aは、接続パッドP上に配置されるコンタクトホールに連通するように配置される。
【0045】
また、第2クラッド層36の開口部36aの長さは搭載される光素子の幅よりも長く設定され、光素子が搭載される際にその外側に第2クラッド層36の開口部36aの一部が露出するようにする。
【0046】
図6(c)の平面図の例では、配線層20の接続パッドPの直径が第2クラッド層36の開口部36aの幅よりも大きく設定されている。例えば、配線層20の接続パッドPの直径は60μm〜80μmであり、第2クラッド層36の開口部36aの幅が30μm〜40μm程度である。
【0047】
このため、図6(c)の平面図の例では、第2クラッド層36の各開口部36aは、接続パッドPが開口部36aの側壁から外側にはみ出すようにして接続パッドPの上に配置される。
【0048】
あるいは、接続パッドPの直径を第2クラッド層36の開口部36aの幅よりも小さくして、第2クラッド層36の開口部36a内に接続パッドPの全体が配置されるようにしてもよい。
【0049】
次いで、図7(a)〜(c)に示すように、レーザにより第2クラッド層36及び第1クラッド層32を加工することにより、配線基板10の配線層20の接続パッドPに到達するコンタクトホールCHを形成する。
【0050】
図7(c)に示すように、コンタクトホールCHは、第2クラッド層36の開口部36aの側壁から外側にはみ出した状態で、接続パッドP上に配置される。コンタクトホールCHは第2クラッド層36の開口部36aに連通して形成される。
【0051】
これにより、図7(a)に示すように、配線基板10の上に、下から順に、第1クラッド層32、コア層34及び第2クラッド層が形成された光導波路30が得られる。
【0052】
なお、前述した図6図7の製造方法では、フォトリソグラフィに基づいて第2クラッド層36に開口部36aを形成した後に、レーザで第2クラッド層36及び第1クラッド層32を開口してコンタクトホールCHを形成している。
【0053】
この製造方法の他に、図8(a)に示すように、前述した図2(b)の工程で、第1クラッド層32にフォトリソグラフィによりコンタクトホールCHを同時に形成してもよい。あるいは、前述した図2(b)の工程の後に、レーザで第1クラッド層32にコンタクトホールCHを形成してもよい。
【0054】
その後に、図8(b)に示すように、前述した図6(b)の工程で、コンタクトホールCHに連通するように、第2クラッド層36に開口部36aを形成する。これにより、図7(a)及び(b)と同一構造の光導波路30を得ることができる。
【0055】
この方法では、コンタクトホールCHの領域上の第2クラッド層36の開口部36aは、コンタクトホールCHの側壁となるように半円状に外側に突出して形成される。
【0056】
次に、図9(a)〜(c)を参照して、上記した図7(a)〜(c)の構造体に光素子を搭載する方法について説明する。前述した図6と同様に、図9(a)は図9(c)の平面図の IV―IVの破線に沿った断面に相当する。図9(b)は図9(c)の平面図のV―Vの破線に沿った断面に相当する。後述する図10及び図11においても同じである。また、図9(c)は透視的に描かれている。
【0057】
図9(b)に示すように、下面に接続端子42を備えた光素子40を用意する。接続端子42は金バンプなどのバンプ電極から形成される。そして、光素子40の接続端子42をコンタクトホールCH内の配線層20の接続パッドPにはんだ44を介して接続する。
【0058】
光素子40が発光素子の場合、下面に発光部40aを備え、発光部40aがコア層34の光路変換ミラーMに光結合される。あるいは、光素子40が受光素子の場合、受光部40bを備え、受光部40bがコア層34の光路変換ミラーMに光結合される。
【0059】
このとき、図9(c)の平面図を参照すると、前述したように、コンタクトホールCHに連通する第2クラッド層36の開口部36aの長さは、光素子40の幅よりも長く設定されている。このため、光素子40を搭載すると、光素子40の外側に第2クラッド層36の開口部36aの両端側の一部がそれぞれ露出した状態となる。
【0060】
また、光素子40の接続端子42の高さは、コンタクトホールCHの底の接続パッドPの表面から第2クラッド層36の開口部36aの上端までの高さよりも低く設定されている。このため、図9(a)に示すように、光素子40の下面が第2クラッド層36の上面に当接して、光素子40の高さ位置が決められて最適な平行度が確保される。
【0061】
このように、光素子40の下面が第2クラッド層36の上面に接した状態で、光素子40の外側にアンダーフィル樹脂の流路となる第2クラッド層36の開口部36aが露出して配置される。
【0062】
次いで、図10(a)及び(b)に示すように、ディスペンサなどによって光素子40側面近傍に液状のアンダーフィル樹脂を一括して塗布する。このとき、アンダーフィル樹脂は、毛細管現象により第2クラッド層36の開口部36aが流路となって開口部36aに連通するコンタクトホールCH内まで浸透していく。
【0063】
これにより、図11(b)及び(c)に示すように、光素子40の下側の第2クラッド層36の開口部36aと、それに連通するコンタクトホールCHの側面と光素子40の接続端子42との隙間にアンダーフィル樹脂50が充填される。
【0064】
図11(c)の平面図では、アンダーフィル樹脂50は斜線ハッチングされた領域に充填される。また、図11(a)に示すように、光素子40が第2クラッド層36と接している部分では、光素子40の両外側にアンダーフィル樹脂50が残された状態となる。
【0065】
このようにして、本実施形態では、光素子40の下面が第2クラッド層36の上面に接して搭載されるとしても、光素子40の外側に、コンタクトホールCHに連通する第2クラッド層36の開口部36aの一部が露出するようにしている。このため、第2クラッド層36の開口部36aから光素子40の下側のコンタクトホールCHにアンダーフィル樹脂50を容易に充填することができる。
【0066】
以上により、図11(a)〜(c)に示すように、実施形態の光導波路装置1が得られる。
【0067】
図11(a)及び(b)に示すように、実施形態の光導波路装置1は、前述した図2(a)で説明した配線基板10を備えている。配線基板10の上には光導波路30が形成されている。
【0068】
光導波路30は、第1クラッド層32と、その上に形成されたコア層34と、それを被覆する第2クラッド層36とから形成され、コア層34が第1、第2クラッド層32,36で囲まれた構造を有する。コア層34の屈折率は、第1クラッド層32及び第2クラッド層36の屈折率よりも高くなるように設定されている。
【0069】
図11(b)及び(c)に示すように、第2クラッド層36及び第1クラッド層32には配線層20の接続パッドPに到達するコンタクトホールCHが形成されている。さらに、第2クラッド層36には、接続パッドPを含む領域に、コンタクトホールCHに連通する開口部36aが形成されている。
【0070】
第2クラッド層36の開口部36aは、各コンタクトホールCHにそれぞれ連通して相互に分離されて配置されており、コア層34の延在方向と同一方向に細長状に延びて形成されている。
【0071】
そして、光素子40の接続端子42がコンタクトホールCHに配置され、はんだ44を介して配線層20の接続パッドPに接続されている。
【0072】
第2クラッド層36の開口部36aの長さは、光素子40の幅よりも長く設定されており、光素子40の両外側に第2クラッド層36の開口部36aの一部がはみ出して露出している。
【0073】
また、光素子40の接続端子42の高さは、コンタクトホールCHの底の接続パッドPの表面から第2クラッド層36の開口部36aの上端までの高さよりも低く設定されている。このため、光素子40の下面は第2クラッド層36の上面に接して、光素子40の高さ位置が決められて最適な平行度が確保されている。
【0074】
さらに、図11(b)及び(c)に示すように、第2クラッド層36の開口部36a、及びコンタクトホールCHの側壁と光素子40の接続端子42との隙間に、光素子40の下側を封止するアンダーフィル樹脂50が充填されている。
【0075】
光素子40として、発光素子又は受光素子が使用される。発光素子としては、面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が好適に使用される。また、受光素子としては、フォトダイオードが好適に使用される。
【0076】
また、図11(a)に示すように、光導波路30のコア層34の端部には、光反射性の金属から形成された光路変換ミラーMが配置されている。そして、光素子40は光導波路30の光路変換ミラーMに光結合されている。
【0077】
光素子40が発光素子の場合は、発光素子の下面に配置された発光部40aが光路変換ミラーMと光結合される。あるいは、光素子40が受光素子の場合は、受光素子の下面に配置された受光部40bが光路変換ミラーMと光結合される。
【0078】
前述したように、実施形態の光導波路装置1では、アンダーフィル樹脂50は光素子40の外側に配置された第2クラッド層36の開口部36aが流路となってコンタクトホールCH内に充填される。
【0079】
各コンタクトホールCHが第2クラッド層36の開口部36aに連通しているため、全てのコンタクトホールCHにアンダーフィル樹脂50を信頼性よく充填することができる。これにより、後に加熱処理が行われるとしても、コンタクトホールCH内で空気が膨張することがなく、光素子40と配線基板10の接続パッドPとの電気的な接続の信頼性を確保することができる。
【0080】
また、光素子40を搭載する際に、光導波路30の上面に光素子40の下面を当接させるため、高さや平行度を容易に最適化することができ、光学特性を向上させることができる。
【0081】
図12には、図11(a)の光素子40に制御素子60が接続された様子が示されている。図12に示すように、光素子40の横方向の配線基板10の上には、配線層20の接続部上に開口部15aが設けられたソルダレジスト層15が形成されている。
【0082】
そして、制御素子60の接続端子62が配線層20の接続部にはんだ64を介して接続されている。さらに、制御素子60の下側にアンダーフィル樹脂50aが充填されている。
【0083】
このようにして、光素子40は配線基板10の配線層20を介して制御素子60に電気的に接続されている。
【0084】
次に、図11及び図12を参照して、実施形態の光導波路装置1の光伝搬について説明する。図12において、光素子40が発光素子の場合は、制御素子60がドライバ素子として配置される。そして、ドライバ素子から出力される電気信号が発光素子に供給され、発光素子の発光面から下側に光が出射される。
【0085】
発光素子から出射される光は、第2クラッド層36を透過して光路変換ミラーM(図11(a))に到達する。さらに、光路変換ミラーMで光が反射され、光路が90°変換されてコア層34に入射する。
【0086】
次いで、コア層34に入射した光は、コア層34内で全反射を繰り返して伝播し、他端側の光路変換ミラーMで光路が90°変換されて受光素子の受光部に入射する。
【0087】
逆に、光素子40が受光素子の場合は、制御素子60がアンプ素子として配置される。この場合は、上記した光経路と逆方向に光伝搬され、受光素子の受光面に光が入射される。さらに、受光素子は光信号を電気信号に変換し、アンプ素子に電気信号が供給される。
【0088】
(その他の実施形態)
図13図15は、前述した図7の第2クラッド層36の開口部36aの変形例を示す平面図である。前述した図7では、第2クラッド層36の一つの開口部36aが、一つのコンタクトホールCHに連通しており、相互に分離されて配置されている。
【0089】
図13の第1の変形例に示すように、図7の第2クラッド層36の隣接する2つの開口部36aの端部を繋いで、一つの「コの字状」の開口部36bが2つのコンタクトホールCHに連通するようにしてもよい。
【0090】
また、図14の第2の変形例のように、図7の第2クラッド層36の分離された各開口部36aの一端を縦方向に配置される共通開口部に繋いで、一つの連続するくし歯状パターンの開口部36cが全てのコンタクトホールCHに連通するようにしてもよい。
【0091】
また、図15の第3の変形例のように、一本のコア層34の一端側に配置された2つのコンタクトホールCHの周りに一括した第2クラッド層36の開口部36dを配置してもよい。この場合は、2つのコンタクトホールCHの全体が一つの第2クラッド層36の開口部36d内に配置され、コンタクトホールCHは第1クラッド層32のみに形成される。
【0092】
このように、図7図13図15で例示したように、第2クラッド層36の一つの開口部が、一つのコンタクトホールCHに連通していてもよいし、複数のコンタクトホールに連通していてもよい。つまり、第2クラッド層36の開口部は、光導波路30に干渉しないようにコンタクトホールCHに連通していればよく、各種の形状を採用することができる。
【0093】
第2クラッド層36の開口部36aがコンタクトホールCHに連通していることで、第2クラッド層36の開口部36aを流路としてアンダーフィル樹脂50をコンタクトホールCHに充填することができる。
【符号の説明】
【0094】
1…光導波路装置、10…配線基板、12…基板、14,15…ソルダレジスト、14a,15a,36a…開口部、20…配線層、22…貫通電極、30…光導波路、32…第1クラッド層、34…コア層、34a…分断部、36…第2クラッド層、40…光素子、40a…発光部、40b…受光部、42,62…接続端子、50,50a…アンダーフィル樹脂、60…制御素子、CH…コンタクトホール、S…光路変換傾斜面、M…光路変換ミラー、TH…スルーホール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15