特許第6235911号(P6235911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235911インターリーブ装置及びデインターリーブ装置、並びにインターリーブ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235911
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】インターリーブ装置及びデインターリーブ装置、並びにインターリーブ方法
(51)【国際特許分類】
   H03M 13/27 20060101AFI20171113BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H03M13/27
   H04L1/00 F
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-6156(P2014-6156)
(22)【出願日】2014年1月16日
(65)【公開番号】特開2015-136017(P2015-136017A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2016年11月28日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、総務省、「次世代衛星放送システムのための周波数有効利用促進技術の研究開発」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100185225
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 恭一
(72)【発明者】
【氏名】亀井 雅
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 敬文
【審査官】 北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−138653(JP,A)
【文献】 米国特許第06466564(US,B1)
【文献】 米国特許第05892775(US,A)
【文献】 国際公開第2013/024584(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 13/27
H04L 1/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続したデジタルデータの配列を並び替えるインターリーブ装置であって、
少なくともn×n(ただし、nは3以上の整数)の蓄積領域を備えており、
1番からn番まで順序付けられたデジタルデータを、前記蓄積領域に、各行及び各列に配置された番号の数字の合計が、n(n+1)/2となるように格納し、この格納されたデータを行方向又は列方向に順次読み出すことにより、データの並び替えを行うインターリーブ装置。
【請求項2】
連続したデジタルデータの配列を並び替えるインターリーブ装置であって、
少なくともn×n(ただし、nは3以上の整数)の蓄積領域を備えており、
1番からn番まで順序付けられたデジタルデータを、前記蓄積領域に格納後、格納順序とは異なる所定の順番で読み出して並び替えを行い、その結果、並び替えた順にn個ずつ区切ったデータのデータ番号の和と、i番目(iは1〜n)のデータ、i+n番目のデータ、i+2n番目のデータ、・・・とn個ごとに配列されたデータのデータ番号の和とが、すべて等しくなることを特徴とするインターリーブ装置。
【請求項3】
デジタルデータをブロック単位で符号化するブロック符号化部と、
符号化されたデータに対してインターリーブを行うインターリーブ装置と、
インターリーブされたデータを変調するデジタル変調部と、
を備えたデータ送信装置であって、
前記インターリーブ装置が、請求項1又は2に記載のインターリーブ装置であることを特徴とするデータ送信装置。
【請求項4】
所定の法則で並び替えられたデジタルデータを元の配列に戻すデインターリーブ装置であって、
少なくともn×n(ただし、nは3以上の整数)の蓄積領域を備えており、
並び替えられたn個のデジタルデータを前記蓄積領域に、入力された順に行方向又は列方向に順次格納し、その結果、各行及び各列に配置された元の配列順を示す番号の数字の合計が、n(n+1)/2となり、その後、前記所定の法則に基づく順序に従って、1番からn番まで順次読み出すことにより、元の配列に戻すデインターリーブ装置。
【請求項5】
所定の法則で並び替えられたデジタルデータを元の配列に戻すデインターリーブ装置であって、
少なくともn×n(ただし、nは3以上の整数)の蓄積領域を備えており、
並び替えられた順にn個ずつ区切ったデータのデータ番号の和と、i番目(iは1〜n)のデータ、i+n番目のデータ、i+2n番目のデータ、・・・とn個ごとに配列されたデータのデータ番号の和とが、すべて等しくなるように並び替えられたn個のデジタルデータを、前記蓄積領域に、前記所定の法則に基づく順序に従って、行方向又は列方向に元の配列順序となるように格納し、その後行方向又は列方向に順次読み出しを行って元の配列に戻すデインターリーブ装置。
【請求項6】
受信したデータを復調するデジタル復調部と、
復調されたデジタルデータをデインターリーブするデインターリーブ装置と、
デインターリーブされたデータを誤り訂正するブロック符号誤り訂正部と、
を備えたデータ受信装置であって、
前記デインターリーブ装置が、請求項4又は5に記載のデインターリーブ装置であることを特徴とするデータ受信装置。
【請求項7】
連続したデジタルデータの配列を並び替えるインターリーブ方法であって、
1番からn番まで順序付けられたデジタルデータを、並び替えた順にn個ずつ区切ったデータのデータ番号の和と、i番目(iは1〜n)のデータ、i+n番目のデータ、i+2n番目のデータ、・・・とn個ごとに配列されたデータのデータ番号の和とが、すべて等しくなるように並び替えることを特徴とするインターリーブ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターリーブ装置及びデインターリーブ装置、並びにインターリーブ方法に関し、特に、デジタルデータを所定の順で蓄積し、蓄積順とは異なる順で読み出すことにより、データの並び替えを行う装置及びその方法、さらには、インターリーブ装置及びデインターリーブ装置を利用したデータ送信装置及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータの記録再生や伝送において、ガウス雑音等によるランダムな誤りに対しては、一般に畳み込み符号等の誤り訂正符号を利用して、誤り訂正を行うことが可能である。しかし、連続的なノイズ等により誤りがある時点で集中して起きた場合(バーストエラーの場合)、1つの符号語内で複数の誤りが発生して誤り訂正符号の能力を超えると、元の符号語を復元できなくなる。
【0003】
デジタルデータの本来の順番を並び替えて再配列を行うというインターリーブ処理は、連続するバーストエラーを分散させてランダムエラーに変換することにより、効率的な誤り訂正を可能とする目的で導入されている。
【0004】
このインターリーブの手法として、一様インターリーブと非一様インターリーブがある。一様インターリーブとしては、蓄積領域に横方向に連続して蓄積したデータを、縦方向に読み出す手法が代表的なものである(非特許文献1)。また、非一様インターリーブとしては、横方向に連続して蓄積したデータを、斜め方向に読み出す手法(ヘリカルインターリーブ)などがある。
【0005】
一様インターリーブとヘリカルインターリーブを使用した場合の分散例を、図4に基づいて説明する。ここでは、64個のデータを想定しており、各データを数字(番号)で表している。信号源となる元のデータは、数字の昇順に並んだ連続データである。図4(a)は、信号源のデータを、縦8個、横8個の蓄積領域(例えば、メモリ装置)に対して、行方向(横方向)に順に蓄積した状態を示している。1行目について左から右に8個のデータが蓄積された後、2行目についても左から右に順に8個データを蓄積し、同様に、8行目の右端まで順に蓄積して、64個のデータが蓄積される。
【0006】
まず、一様インターリーブについて説明する。一様インターリーブでは、図4(a)のとおり蓄積されたデータを、左端から列方向(縦方向)に順に読み出す。すなわち、1列目のデータ(1,9,17,25,33,41,49,57)を上から縦方向に順に読み出し、引き続いて2列目のデータ(2,10,18,26,34,42,50,58)を上から順に読み出し、同様に、8列目の一番下のデータ(64)まで、縦方向に順に読み出す。この操作がインターリーブの処理になる。そして、この読み出し順にデータを伝送する。
【0007】
このインターリーブ処理は、次のように処理することもできる。まず、信号源となる元のデータを、縦8個、横8個の蓄積領域(例えば、メモリ装置)に対して、列方向(縦方向)に元のデータ配列の順に蓄積する。すなわち、左側1列目について上から下に8個のデータを順に蓄積し、次いで左側から2列目に上から下に順に8個データを蓄積し、同様に、左側3列目から8列目の一番下まで順に蓄積して、64個のデータを蓄積する。この結果、図4(b)のとおりデータが蓄積される。次に、この蓄積されたデータを、行方向に読み出して順次伝送する。すなわち、上から1行目のデータを左から右に順次読み出し、次に、2行目のデータを左から右に順次読み出し、以下、同様に各行に蓄積されたデータを左から右に読み出して64個のデータを読み出す。そして、この読み出し順にデータを伝送する。
【0008】
次に、デインターリーブ処理について説明する。伝送されたデータを受信した側で、縦8個、横8個の蓄積領域(例えば、メモリ装置)に対して、伝送された順にデータを行方向(左から右)に1行目から順に蓄積すると、図4(b)のとおりのデータ配列が復元される。デインターリーブの処理は、この配列からもとの信号源の順にデータを読み出すことである。受信側では、送信側のインターリーブ処理が事前に分かっているから(すなわち、伝送された順に蓄積したとき、どの格納場所に信号源の何番目のデータが格納されるかが予測できるから)、デインターリーブに対応する順で格納場所から順次データを読み出すことができる。一様インターリーブであれば、蓄積領域の左側1列目の一番上に信号源の最初(1番目)のデータが格納され、1列目の2番目に信号源の2番目のデータが格納され、以下、左側1列目に上から順に8番目までのデータが格納される。また、左側2列目には、上から順に9番目から16番目のデータが格納され、以下、左側から順次各列について上から下に連続的にデータが蓄積される。したがって、蓄積領域に格納されたデータを、左側1列目から縦方向(列方向)に上から下に順にデータを読み出し、次いで左側から順次各列のデータを上から下に読み出すことにより、元の信号源のデータ順が復元され、デインターリーブの処理が完了する。
【0009】
このデインターリーブ処理は、次のように処理することもできる。受信側では、送信側のインターリーブ処理が事前に分かっているから、伝送された順に元の信号源の何番目のデータであるかが予測できる。これにより、データを受信した側で、縦8個、横8個の蓄積領域(例えば、メモリ装置)に対して、元の信号源の順(すなわち、図4(a)の配置)になるように、個々のデータを順次格納して行く。一様インターリーブであれば、最初に送られてきたデータは元の信号源の1番目のデータであるから、蓄積領域の左側1列目の一番上に格納し、次に送られてきたデータは元の信号源の9番目のデータであるから、蓄積領域の左側1列目の2番目に格納し、次に送られてきたデータは元の信号源の17番目のデータであるから、蓄積領域の左側1列目の3番目に格納し、以下同様に、伝送されたデータを離散的に蓄積領域に格納することにより、図4(a)の蓄積状態が復元できる。このデータを行方向(左から右)に1行目から順に読み出すことにより、デインターリーブの処理が完了する。
【0010】
次に、非一様インターリーブであるヘリカルインターリーブについて説明する。ヘリカルインターリーブでは、図4(a)のとおり蓄積されたデータを、左側1列目1番上のデータから右端列1番下のデータに向かって斜め方向に順に読み出し、斜めの列を順次ずらしながら読み出しを行う。すなわち、最初の斜め方向(左側1列目1番上から右端列1番下)のデータ(1,10,19,28,37,46,55,64)を順に読み出し、引き続いて次の斜め方向(左側2列目1番上から右端列下から2番目に斜め方向に向かい、続いて左側1列目一番下)のデータ(2,11,20,29,38,47,56,57)を斜めに順に読み出し、さらに次の斜め方向(左側3列目1番上から右端列下から3番目に斜め方向に向かい、続いて左側1列目下から2番目から最下段の左から2番目に斜めに向かう方向)のデータ(3,12,21,30,39,48,49,58)、以下同様に、最下段の左から7番目のデータ(63)まで、斜め方向に順に読み出す。この操作がインターリーブの処理になる。そして、この読み出し順にデータを伝送する。
【0011】
このインターリーブ処理は、次のように処理することもできる。信号源となる元のデータを、縦8個、横8個の蓄積領域(例えば、メモリ装置)に対して、まず、最初の8個のデータを、列方向(縦方向)に、すなわち、左側1列目について上から下に順に蓄積し、次いで左側から2列目の一番下に9番目のデータを蓄積し、次に2列目の上から順に10番目から16番目のデータを蓄積する。左側3列目には、下2段に17番目と18番目のデータを蓄積し、次いで上から順に19番目から24番目のデータが格納され、以下、左側から順次k列目について下側に(k−1)個のデータを格納した後、上側に(9−k)個のデータをそれぞれ連続的に蓄積し、8列目まで順に64個のデータを蓄積する。この結果、図4(c)のとおりデータが蓄積される。次に、この蓄積されたデータを、行方向に読み出して順次伝送する。すなわち、上から1行目のデータを左から右に順次読み出し、次に、2行目のデータを左から右に順次読み出し、以下、同様に各行に蓄積されたデータを左から右に読み出して64個のデータを読み出す。そして、この読み出し順にデータを伝送する。
【0012】
次に、デインターリーブ処理について説明する。伝送されたデータを受信した側で、縦8個、横8個の蓄積領域(例えば、メモリ装置)に対して、伝送された順にデータを行方向(左から右)に1行目から順に蓄積すると、図4(c)のとおりのデータ配列が復元される。ヘリカルインターリーブにおいては、伝送された順にデータを蓄積すると、蓄積領域の左側1列目の一番上に信号源の最初(1番目)のデータが格納され、以下、左側1列目に上から順に8番目までのデータが格納され、また、左側2列目には、一番下に9番目のデータが格納され、次いで上から順に10番目から16番目のデータが格納され、以下、左側から順次k列目には下側に若い番号の(k−1)個のデータが格納され、上側にその後の(9−k)個のデータがそれぞれ連続的に格納されることが予め分かっている。したがって、蓄積領域に格納されたデータを、図4(c)において格納場所に付された番号の順に、順次読み出すことにより、信号源のデータ順が復元され、デインターリーブの処理が完了する。
【0013】
このデインターリーブ処理は、次のように処理することもできる。伝送されたデータを受信した側で、縦8個、横8個の蓄積領域(例えば、メモリ装置)に対して、元の信号源の順(すなわち、図4(a)の配置)になるように、個々のデータを順次格納して行く。ヘリカルインターリーブであれば、最初に送られてきたデータは元の信号源の1番目のデータであるから、蓄積領域の左側1列目の一番上に格納し、次に送られてきたデータは元の信号源の10番目のデータであるから、蓄積領域の左側2列目の2番目に格納し、次に送られてきたデータは元の信号源の19番目のデータであるから、蓄積領域の左側3列目の3番目に格納し、以下同様に、伝送されたデータを離散的に蓄積領域に格納することにより、図4(a)の蓄積状態が復元できる。このデータを行方向(左から右)に1行目から順に読み出すことにより、デインターリーブの処理が完了する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「NHKデジタルテレビ技術教科書」、平成20年7月5日(第2刷発行)、編者:日本放送協会、発行所:日本放送出版協会、105頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
一様インターリーブ及びヘリカルインターリーブは、インターリーブ処理によりデータを並び替えると、それぞれ図4(b)及び図4(c)に示したように分散される。両インターリーブともに、インターリーブ後の横方向のブロック(蓄積領域で1行を1ブロックとみなす)では、値の離れた数値が1ブロックとして集まっているため、データが十分に分散されている。一方、縦方向のブロック(蓄積領域で1列を1ブロックとみなす)では、値の連続する数値が1ブロックとして集まっているため、データが分散されていない。
【0016】
このようなブロック内のデータが十分に分散されていない分散方法においては、情報データなど、送信データを正しく受信させる時に使用する誤り訂正に対してインターリーブ処理を適用した場合、ある閾値を超える連続する誤りが生じると、誤り訂正処理を繰り返しても誤りが残るパターンが生じるという課題がある。
【0017】
例えば、縦方向および横方向のブロックで誤り訂正を付加した連接符号を使用し、従来のインターリーブによる並び替えを行った後に伝送するシステムにおいて、伝送時に複数のブロックに渡る長い連続した誤りが生じた場合、蓄積したデータにおいて、横方向の誤りは全ブロックに均等に分散されるために誤り訂正が可能となるが、縦方向の誤りは一つ若しくは幾つかのブロックに集中するため、ある閾値を超える誤りが発生した場合、誤り訂正が不可能となるケースがある。
【0018】
したがって、本発明の目的は、多様なバーストエラーの発生に対して耐性の高いデータの作成に利用できる、インターリーブ装置及びデインターリーブ装置、並びにインターリーブ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明では、縦方向及び横方向の各ブロックへのデータを均等に割り当てるインターリーブを使用し、蓄積領域において横方向の分散とともに、縦方向の分散も十分に行う。
【0020】
上記課題を解決するために本発明に係るインターリーブ装置は、連続したデジタルデータの配列を並び替えるインターリーブ装置であって、少なくともn×n(ただし、nは3以上の整数)の蓄積領域を備えており、1番からn番まで順序付けられたデジタルデータを、前記蓄積領域に、各行及び各列に配置された番号の数字の合計が、n(n+1)/2となるように格納し、この格納されたデータを行方向又は列方向に順次読み出すことにより、データの並び替えを行うことを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するために本発明に係るインターリーブ装置は、連続したデジタルデータの配列を並び替えるインターリーブ装置であって、少なくともn×n(ただし、nは3以上の整数)の蓄積領域を備えており、1番からn番まで順序付けられたデジタルデータを、前記蓄積領域に格納後、格納順序とは異なる所定の順番で読み出して並び替えを行い、その結果、並び替えた順にn個ずつ区切ったデータのデータ番号の和と、i番目(iは1〜n)のデータ、i+n番目のデータ、i+2n番目のデータ、・・・とn個ごとに配列されたデータのデータ番号の和とが、すべて等しくなることを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決するために本発明に係るデータ送信装置は、デジタルデータをブロック単位で符号化するブロック符号化部と、符号化されたデータに対してインターリーブを行うインターリーブ装置と、インターリーブされたデータを変調するデジタル変調部と、を備えたデータ送信装置であって、前述のインターリーブ装置を用いたことを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決するために本発明に係るデインターリーブ装置は、所定の法則で並び替えられたデジタルデータを元の配列に戻すデインターリーブ装置であって、少なくともn×n(ただし、nは3以上の整数)の蓄積領域を備えており、並び替えられたn個のデジタルデータを前記蓄積領域に、入力された順に行方向又は列方向に順次格納し、その結果、各行及び各列に配置された元の配列順を示す番号の数字の合計が、n(n+1)/2となり、その後、前記所定の法則に基づく順序に従って、1番からn番まで順次読み出すことにより、元の配列に戻すことを特徴とする。
【0024】
上記課題を解決するために本発明に係るデインターリーブ装置は、所定の法則で並び替えられたデジタルデータを元の配列に戻すデインターリーブ装置であって、少なくともn×n(ただし、nは3以上の整数)の蓄積領域を備えており、並び替えられた順にn個ずつ区切ったデータのデータ番号の和と、i番目(iは1〜n)のデータ、i+n番目のデータ、i+2n番目のデータ、・・・とn個ごとに配列されたデータのデータ番号の和とが、すべて等しくなるように並び替えられたn個のデジタルデータを、前記蓄積領域に、前記所定の法則に基づく順序に従って、行方向又は列方向に元の配列順序となるように格納し、その後行方向又は列方向に順次読み出しを行って元の配列に戻すことを特徴とする。
【0025】
上記課題を解決するために本発明に係るデータ受信装置は、受信したデータを復調するデジタル復調部と、復調されたデジタルデータをデインターリーブするデインターリーブ装置と、デインターリーブされたデータを誤り訂正するブロック符号誤り訂正部と、を備えたデータ受信装置であって、前述のデインターリーブ装置を用いたことを特徴とする。
【0026】
上記課題を解決するために本発明に係るインターリーブ方法は、連続したデジタルデータの配列を並び替えるインターリーブ方法であって、1番からn番まで順序付けられたデジタルデータを、並び替えた順にn個ずつ区切ったデータのデータ番号の和と、i番目(iは1〜n)のデータ、i+n番目のデータ、i+2n番目のデータ、・・・とn個ごとに配列されたデータのデータ番号の和とが、すべて等しくなるように並び替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明のインターリーブにより、デジタルデータなどの情報をメモリなどに蓄積する際、その情報の中の任意の連続する一部分の情報に関して、広範な分散(ランダム状)を可能とする。
【0028】
本発明によるインターリーブにより、ある閾値を超える誤りが発生した場合においても、全ブロックが誤りなく受信が可能となるパターンの急激な劣化を回避することが可能となる。
【0029】
これを利用して、バーストエラーに対して耐性の高い伝送データを作成し、精度良くデータの送受信をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施の形態1のインターリーブの処理方式の一例を示す図である。
図2】実施の形態2のデータ伝送の系統のブロック図である。
図3】インターリーブによる誤り訂正効果の検証結果である。
図4】従来のインターリーブの処理方式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るインターリーブの処理方式の一例を示す図である。特に、図1(a)は、縦方向及び横方向の各ブロックへのデータの割り当てを均等としたインターリーブによる分散例を示している。この例では、縦8個、横8個の64個のデータを想定しているが、データ個数はこれに限られるものではない。ここでは、信号源としての各データを数字(番号)で表している。信号源となる元のデータは、数字の昇順に並んだ連続データである。
【0033】
図1(a)は、信号源のデータを、縦8個、横8個の蓄積領域(例えば、メモリ装置)に対して、行方向(横方向)に順に蓄積した状態を示しており、これは、従来技術の説明で使用した図4(a)と同じである。本発明のインターリーブは、このデータを図1(b)のとおりに並べ替える処理を行う。
【0034】
図1(b)の配列の特徴として、縦方向及び横方向の各ブロック(1列ごと、又は1行ごとのデータのまとまり)に割り当てた数値の合計を同一とすることで、縦方向及び横方向の各ブロックへのデータの割り当ての均等化を図っている。図1(b)においては、8個の数値の合計が縦横とも260となっており、全てのブロックへのデータの割り当てが均等に行われていることがわかる。なお、図1(b)に示すような縦方向及び横方向へ均等に割り当てる数値配列は、いわゆる「魔方陣」と同一の数値配列となるため、3次以上の正方行列であればMATLAB(登録商標)等の計算ソフトで簡易に算出が可能である。なお、縦横の数字の合計がいずれも260となる配列は図1(b)に限られず、他の配列を使用することもできる。
【0035】
この後、図1(b)のとおり蓄積領域に格納されたデータを、例えば行方向に読み出す。すなわち、上から1行目のデータを左から右に順次読み出し、次に、2行目のデータを左から右に順次読み出し、以下、同様に各行に蓄積されたデータを左から右に読み出して64個のデータを読み出す。なお、読み出しに関しては、列方向に1列目から順次読み出しても良い。このような処理により、64個のデータのインターリーブができる。
【0036】
なお、インターリーブの処理は、図1(b)のようにデータを格納することが必須ではなく、図1(a)の蓄積状態から直接読み出しても良い。すなわち、予め、本発明のインターリーブを行った結果の配列順を作成しておき(例えば、図1(b)の行方向順)、それにしたがって、まず、図1(a)の蓄積領域から、右端列の一番下のデータ(64)を読み出し、次に、左側2行目の一番上のデータ(2)を読み出し、次に、左側3行目の一番上のデータ(3)を読み出し、次に、左側5行目の一番下のデータ(61)を読み出し、・・・といったように、データを離散的に読み出すことにより、インターリーブを行っても良い。
【0037】
図1(b)の配列を、縦n個、横n個(ただし、nは3以上の整数)の蓄積領域に一般化すると、1番からn番まで順序付けされたn個のデータを、各行及び各列に配置された番号の数字の合計が、それぞれn(n+1)/2となるように、蓄積領域に格納する。この格納されたデータを例えば行方向に読み出す。すなわち、1行目のデータから各行に蓄積されたデータを左から右に順次読み出して全て(n個)のデータを読み出す。なお、読み出しに関しては、列方向に1列目から順次読み出しても良い。このような処理により、n個のデータのインターリーブができる。インターリーブ装置においては、装置内にn×nの蓄積領域を有し、上記の処理を行う。
【0038】
なお、インターリーブの処理としては、縦n個、横n個(ただし、nは3以上の整数)の蓄積領域に、1番からn番まで順序付けされたn個のデータを、行方向に順に格納し(図1(a)のように格納し)、データの読み出し時に離散的にデータを読み出す方法もある。すなわち、各行ブロック及び各列ブロックの数字の合計が、それぞれn(n+1)/2と等しくなる配列を予め作成しておき、この配列の順となるように、蓄積領域に格納されたデータを読み出すこともできる。
【0039】
本発明のインターリーブ方法は、1番からn番まで順序付けられたデジタルデータを、並び替えた順にn個ずつ区切ったデータのデータ番号の和(これは、図1(b)の各行ブロックの番号の和に相当する。)と、i番目(iは1〜n)のデータ、i+n番目のデータ、i+2n番目のデータ、・・・とn個ごとに配列されたデータのデータ番号の和(これは、図1(b)の各列ブロックの番号の和に相当する。)が、すべて等しくなるように並び替える処理となる。
【0040】
本発明のデインターリーブについて説明する。インターリーブされたデータを受信した側で、縦8個、横8個の蓄積領域(例えば、メモリ装置)に対して、伝送された順にデータを行方向(左から右)に1行目から順に蓄積すると、図1(b)のとおりのデータ配列が復元される。デインターリーブの際は、インターリーブ処理の結果、どの格納場所に信号源の何番目のデータが格納されるかが予測できるから、デインターリーブに対応する順で格納場所から順次データを読み出す。図1(b)の例であれば、蓄積領域の右端列の一番下に信号源の最初(1番目)のデータが格納され、左側から2列目の一番上に信号源の2番目のデータが格納され、左側から3列目の一番上に信号源の3番目のデータが格納され、以下、同様に各データが蓄積領域の所定の場所に格納されている。そして、信号源のデータの順番に、蓄積領域に格納されたデータを順に読み出すことにより、信号源のデータ順が復元され、デインターリーブの処理が完了する。
【0041】
このデインターリーブ処理は、次のように処理することもできる。伝送されたデータを受信した側で、縦8個、横8個の蓄積領域(例えば、メモリ装置)に対して、元の信号源の順(すなわち、図1(a)の配置)になるように、インターリーブ処理の順に基づいて個々のデータを順次格納して行く。すなわち、最初に送られてきたデータは元の信号源の64番目のデータであるから、蓄積領域の右側1列目の一番下に格納し、次に送られてきたデータは元の信号源の2番目のデータであるから、蓄積領域の左側2列目の1番目に格納し、次に送られてきたデータは元の信号源の3番目のデータであるから、蓄積領域の左側3列目の1番目に格納し、以下同様に、伝送されたデータを離散的に蓄積領域に格納することにより、図1(a)の蓄積状態が復元できる。このデータを行方向(左から右)に1行目から順に読み出すことにより、デインターリーブの処理が完了する。
【0042】
なお、デインターリーブ処理についても、配列を縦n個、横n個(ただし、nは3以上の整数)の蓄積領域に、一般化できる。デインターリーブ装置においては、装置内にn×nの蓄積領域を有し、上記の処理を行う。
【0043】
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2について説明をする。図2は本発明の実施の形態2のデータ伝送の系統のブロック図である。全体構成は、一般的なデジタルデータの伝送系統と同一であり、データ送信装置10と、伝送路30と、データ受信装置20とからなる。データ送信装置10及びデータ受信装置20は、それぞれインターリーバー及びデインターリーバーとして実施の形態1のインターリーブ装置及びデインターリーブ装置を組み込んでいる。
【0044】
データ送信装置10は、ブロック符号化部11と、インターリーバーとしてのインターリーブ装置12と、デジタル変調部13とを含む。また、データ受信装置20は、デジタル復調部21と、デインターリーバーとしてのデインターリーブ装置22と、ブロック符号誤り訂正部23とを含む。
【0045】
デジタルデータは、ブロック符号化部11に入力される。ブロック符号化部11は、データをブロック単位で符号化を行う。例えば、データを図1(a)のように蓄積領域に蓄積した後、各行及び各列を一つのブロックとして連接符号による符号化を行う。
【0046】
ブロック符号化されたデータは、インターリーブ装置12においてインターリーブを行う。このインターリーブ装置12は、本発明の実施の形態1のインターリーブを行う装置であり、図1(b)で示されるように、縦方向及び横方向の各ブロックに割り当てた番号(数字)の合計を同一とするようにデータの再配列を行う。
【0047】
インターリーブ処理されたデータはデジタル変調部13に入力され、所定の変調を行った後に、伝送路30に対して送信される。
【0048】
伝送路30を経て受信されたデータは、デジタル復調部21に入力され、所定の方式で復調される。なお、受信されたデータは、伝送路30やノイズによるエラーを生じている。
【0049】
復調されたデジタルデータは、デインターリーブ装置22に入力される。このデインターリーブ装置22は、本発明の実施の形態1のデインターリーブを行う装置であり、図1(b)で示されるような配列のデータを、図1(a)で示される元のデータ順に配列し直し、その後、元のデータの番号の順に読み出しを行う。
【0050】
デインターリーブ処理されたデータは、ブロック符号誤り訂正部23に入力され、例えば、連接符号による誤り訂正処理を行う。この訂正処理により、伝送路やノイズにより生じたデータエラーが回復され、正しく復号されたデジタルデータとして出力される。
【0051】
(インターリーブの効果の検証)
本発明のインターリーブの効果を検証した。手法としては、縦方向および横方向のブロックで符号化を行った連接符号を用い、バーストエラーが生じた場合の、誤り訂正後の信号を評価した。
【0052】
評価に使用したパラメータを以下に示す。
・インターリーブブロック:10×10(データ数100個)
・連接符号による可能誤り訂正数:ブロック当り最大2個、硬判定で判断。
・連節符号による誤り訂正繰り返し数:縦方向処理、横方向処理を交互に100回。
・初期連続誤り数:26,28,30個の3通り。
・評価パターン:連続誤りの全パターン(100通り)[インターリーブ後の100個のシリアルデータに対して、1番目のデータから(例えば26個の)連続誤りが生じたパターン(パターン1)、2番目のデータから連続誤りが生じたパターン(パターン2)、・・・のように、100通りのパターンを作成。]
【0053】
従来の一様及び非一様インターリーブによる分散、本発明のインターリーブによる分散による、誤り訂正後の受信信号の評価結果を図3に示す。図3(a)は、初期連続誤り数が26個のときの、図3(b)は、初期連続誤り数が28個のときの、図3(c)は、初期連続誤り数が30個のときの、それぞれの結果を示すグラフである。
【0054】
各グラフにおいて、縦軸はパターン数であり、各インターリーブ方式において全ての結果を合わせると100パターンになる。横軸は受信不能データ数であり、連節符号による誤り訂正処理を、縦方向及び横方向に交互に繰り返し100回行い、その結果において誤り訂正ができなかった、最終的に残ったエラーデータの数である。これは、正しく認識できなかった受信データ数であるといえる。したがって、受信不能データ数が0個のグラフが、全データを正常に(誤り無く)受信できたパターンを意味する。
【0055】
従来の一様インターリーブでは、初期連続エラーが26以上のすべてのパターンで、全データを誤り無く受信できたパターンが存在しなかった。
【0056】
従来の非一様インターリーブでは、初期連続エラーが26,28,30個と増加するに従い、評価パターンのうち、全ブロック(100個のデータ全て)が誤りなく受信可能となるパターンが、21,3,0と急激に少なくなる。
【0057】
本発明のインターリーブでは、初期連続エラーが26,28,30個と増加する場合において、評価パターンのうち、全ブロックが誤りなく受信可能となるパターンが、30,22,15と緩やかに少なくなることがわかる。この結果を表1にまとめる。
【0058】
【表1】
【0059】
このことから、本発明のインターリーブは、100個のデータの内、連続する30個のデータがバーストエラーを生じても、15%のケースで全データを回復できることが分かる。
【0060】
本発明によるインターリーブにより、ある閾値を超える誤りが発生した場合においても、全ブロックが正常に(誤りなく)受信が可能となるパターンの急激な劣化を回避することが可能となる。
【0061】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の装置及び方法は、デジタルデータの記録再生や伝送に用いられる。特に、バーストノイズの生じるデータ伝送に有用である。
【符号の説明】
【0063】
10 データ送信装置
11 ブロック符号化部
12 インターリーブ装置
13 デジタル変調部
20 データ受信装置
21 デジタル復調部
22 デインターリーブ装置
23 ブロック符号誤り訂正部
30 伝送路
図1
図2
図3
図4