特許第6235974号(P6235974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235974基板処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び基板処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235974
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】基板処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20171113BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20171113BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20171113BHJP
   C23C 14/10 20060101ALI20171113BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20171113BHJP
   C23C 16/14 20060101ALI20171113BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20171113BHJP
   H05H 1/46 20060101ALN20171113BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   H01L21/30 570
   H01L21/316 X
   H01L21/31 C
   H01L21/31 D
   C23C14/10
   C23C14/34 S
   C23C16/14
   C23C16/34
   !H05H1/46 M
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-194167(P2014-194167)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-66681(P2016-66681A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2016年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】村松 誠
(72)【発明者】
【氏名】冨田 忠利
(72)【発明者】
【氏名】源島 久志
(72)【発明者】
【氏名】楊 元
(72)【発明者】
【氏名】北野 高広
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−225026(JP,A)
【文献】 特開2013−083812(JP,A)
【文献】 特開昭63−316846(JP,A)
【文献】 特開平11−065119(JP,A)
【文献】 特開2002−064054(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/149989(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する方法であって、
基板上にレジスト膜により所定のパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンの表面に、当該レジストパターンの変形を抑制するための薄膜を形成する薄膜形成工程と、
前記薄膜形成後の基板に対してブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布工程と、
前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、を有し、
前記薄膜は、シリコン含有膜であることを特徴とする、基板処理方法。
【請求項2】
前記シリコン含有膜は、プラズマ処理により形成され、
前記プラズマ処理は、シリコンを含有する電極に高周波電力を印加して行われることを特徴とする、請求項に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記シリコン含有膜は、SiO、SiO、またはSiOCのいずれかであることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の基板処理方法を基板処理システムによって実行させるように、当該基板処理システムを制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項6】
親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理するシステムであって、
基板上にレジスト膜を塗布するレジスト塗布装置と、
露光処理されたレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する現像処理装置と、
前記レジストパターンの表面に、当該レジストパターンの変形を抑制するための薄膜を形成する薄膜形成装置と、
前記薄膜形成後の基板に対して前記ブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布装置と、
前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離装置と、を有し、
前記薄膜は、シリコン含有膜であることを特徴とする、基板処理システム。
【請求項7】
前記薄膜形成装置はプラズマ処理装置であり、
前記プラズマ処理装置では、シリコンを含有する電極に高周波電力を印加してプラズマ処理が行われることを特徴とする、請求項6に記載の基板処理システム。
【請求項8】
前記シリコン含有膜は、SiO、SiO、またはSiOCのいずれかであることを特徴とする、請求項6または7のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性(極性)を有する親水性(有極性)ポリマーと疎水性を有する(極性を有さない)疎水性(無極性)ポリマーとを含むブロック共重合体を用いた基板処理方法基板処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、当該レジスト膜に所定のパターンを露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などを順次行うフォトリソグラフィー処理が行われ、ウェハ上に所定のレジストパターンが形成される。そして、このレジストパターンをマスクとして、ウェハ上の被処理膜のエッチング処理が行われ、その後レジスト膜の除去処理などが行われて、被処理膜に所定のパターンが形成される。
【0003】
ところで、近年、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、上述した被処理膜のパターンの微細化が求められている。このため、レジストパターンの微細化が進められており、例えばフォトリソグラフィー処理における露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
【0004】
そこで、親水性と疎水性の2種類のブロック鎖(ポリマー)から構成されたブロック共重合体を用いたウェハ処理方法が提案されている(特許文献1)。かかる方法では、先ず、ウェハ上に例えばレジストパターンなどによりガイドを形成する。その後、ウェハ上にブロック共重合体を塗布し、当該ブロック共重合体に対して加熱処理を行うことで親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離させる。その後、ウェハに紫外線を照射してポリマーの改質処理を行い、ウェハ上に有機溶剤を供給することで、親水性ポリマーが選択的に除去される。これにより、ウェハ上に疎水性ポリマーによる微細なパターンが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−232621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら本発明者らによれば、親水性ポリマーを除去した後の疎水性ポリマーによるパターンが所望の形状、即ちガイドとしてのレジストパターンに倣った形状になっていない場合があることが確認されている。
【0007】
この点について本発明者らが鋭意調査したところ、ブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離させる加熱処理においてレジストパターンが熱により変形してしまっていることが確認された。そのため、変形したレジストパターンに沿ってブロック共重合体の相分離が起こり、その結果、所望の形状とは異なる形状で疎水性ポリマーのパターンが形成されてしまうものと推察される。
【0008】
このようなレジストパターンの変形は、ブロック共重合体を相分離させる際の加熱処理が比較的高温で行われるためレジストパターンが溶解してしまうことが原因であり、この加熱温度を低減することで改善するものと考えられる。しかしながら、ブロック共重合体のポリマーを拡散させ、適切に相分離を行うためには、加熱温度を下げることはできない。そのため、現状はこのレジストパターンの変形を防止することは困難である。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いた基板処理において、基板上に所定のパターンを適切に形成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する方法であって、基板上にレジスト膜により所定のパターンを形成するレジストパターン形成工程と、前記レジストパターンの表面に、当該レジストパターンの変形を抑制するための薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記薄膜形成後の基板に対してブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布工程と、前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、を有し、前記薄膜は、シリコン含有膜であることを特徴としている。
【0011】
本発明者らは、レジストパターンの表面に所定の薄膜を形成することで、ブロック共重合体を相分離させる際の加熱温度でレジストパターンを加熱した際の変形を抑制できるとの知見を得た。そして、本発明によれば、レジストパターンの形成後であってブロック共重合体の相分離を行う前に、レジストパターンの表面に薄膜を形成するので、ブロック共重合体を相分離させる加熱処理の際のレジストパターンの変形を抑制することができる。したがって、ブロック共重合体を所望の形状で相分離させ、それにより、基板上の所定のパターンを適切に形成することができる。
【0013】
前記シリコン含有膜は、プラズマ処理により形成され、前記プラズマ処理は、シリコンを含有する電極に高周波電力を印加して行われてもよい。
【0014】
前記シリコン含有膜は、SiO、SiO2、またはSiOCのいずれかであってもよい。
【0017】
別な観点による本発明によれば、前記基板処理方法を基板処理システムによって実行させるように、当該基板処理システムを制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0018】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0019】
さらに別な観点による本発明は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理するシステムであって、基板上にレジスト膜を塗布するレジスト塗布装置と、露光処理されたレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する現像処理装置と、前記レジストパターンの表面に、当該レジストパターンの変形を抑制するための薄膜を形成する薄膜形成装置と、前記薄膜形成後の基板に対して前記ブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布装置と、前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離装置と、を有し、前記薄膜は、シリコン含有膜であることを特徴としている。
【0021】
前記薄膜形成装置はプラズマ処理装置であり、前記プラズマ処理装置では、シリコンを含有する電極に高周波電力を印加してプラズマ処理が行われてもよい。
【0022】
前記シリコン含有膜は、SiO、SiO2、またはSiOCのいずれかであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いた基板処理において、基板上に所定のパターンを適切に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施の形態にかかる基板処理システムの構成の概略を示す平面図である。
図2】塗布処理装置の構成の概略を示す平面図である。
図3】塗布処理装置の構成の概略を示す正面図である。
図4】塗布処理装置の構成の概略を示す背面図である。
図5】プラズマ処理装置の構成の概略を示す平面図である。
図6】薄膜形成装置の構成の概略を示す縦断面図である。
図7】ウェハ処理の主な工程を説明したフローチャートである。
図8】ウェハ上に反射防止膜と中性層が形成された様子を示す縦断面の説明図である。
図9】中性層上にレジストパターンが形成された様子を示す平面視の説明図である。
図10】中性層上にレジストパターンが形成された様子を示す縦断面の説明図である。
図11】レジストパターン上に薄膜が形成された様子を示す縦断面の説明図である。
図12】薄膜形成後のレジストパターン上にブロック共重合体を塗布した様子を示す縦断面の説明図である。
図13】ブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離した様子を示す縦断面の説明図である。
図14】ブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離した様子を示す平面の説明図である。
図15】相分離後のブロック共重合体から親水性ポリマーを選択的に除去した様子を示す縦断面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる基板処理システム1の構成の概略を示す平面図である。
【0028】
基板処理システム1は、基板としてのウェハにフォトリソグラフィー処理などの液処理を行う塗布処理装置2と、ウェハにプラズマエッチング処理などのプラズマ処理を行うプラズマ処理装置3とを有している。
【0029】
塗布処理装置2は、図2に示すように複数枚のウェハWを収容したカセットCが搬入出されるカセットステーション10と、ウェハWに所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理ステーション11と、処理ステーション11に隣接する露光装置12との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション13とを一体に接続した構成を有している。
【0030】
カセットステーション10には、カセット載置台20が設けられている。カセット載置台20には、基板処理システム1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置するカセット載置板21が複数設けられている。
【0031】
カセットステーション10には、図1に示すようにX方向に延びる搬送路22上を移動自在なウェハ搬送装置23が設けられている。ウェハ搬送装置23は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板21上のカセットCと、後述する処理ステーション11の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハWを搬送できる。
【0032】
処理ステーション11には、各種装置を備えた複数例えば4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション11の正面側(図2のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション11の背面側(図2のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション11のカセットステーション10側(図1のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション11のインターフェイスステーション13側(図2のY方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0033】
例えば第1のブロックG1には、図3に示すように複数の液処理装置、例えばウェハWを現像処理する現像装置30、ウェハW上に有機溶剤を供給する有機溶剤供給装置31、ウェハW上に反射防止膜を形成する反射防止膜形成装置32、ウェハW上に中性剤を塗布して中性層を形成する中性層形成装置33、ウェハW上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布装置34、ウェハW上にブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布装置35が下から順に重ねられている。
【0034】
例えば現像装置30、有機溶剤供給装置31、反射防止膜形成装置32、中性層形成装置33、レジスト塗布装置34、ブロック共重合体塗布装置35は、それぞれ水平方向に3つ並べて配置されている。なお、これら現像装置30、有機溶剤供給装置31、反射防止膜形成装置32、中性層形成装置33、レジスト塗布装置34、ブロック共重合体塗布装置35の数や配置は、任意に選択できる。
【0035】
これら現像装置30、有機溶剤供給装置31、反射防止膜形成装置32、中性層形成装置33、レジスト塗布装置34、ブロック共重合体塗布装置35では、例えばウェハW上に所定の塗布液を塗布するスピンコーティングが行われる。スピンコーティングでは、例えば塗布ノズルからウェハW上に塗布液を吐出すると共に、ウェハWを回転させて、塗布液をウェハWの表面に拡散させる。
【0036】
なお、ブロック共重合体塗布装置35でウェハW上に塗布されるブロック共重合体は第1のモノマーと第2のモノマーが直鎖状に重合した、第1のポリマー(第1のモノマーの重合体)と第2のポリマー(第2のモノマーの重合体)とを有する高分子(共重合体)である。第1のポリマーとしては、親水性(極性)を有する親水性ポリマーが用いられ、第2のポリマーとしては、疎水性(非極性)を有する疎水性ポリマーが用いられる。本実施の形態では、親水性ポリマーとして例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)が用いられ、疎水性ポリマーとしては例えばポリスチレン(PS)が用いられる。また、ブロック共重合体における親水性ポリマーの分子量の比率は約20%〜40%であり、ブロック共重合体における疎水性ポリマーの分子量の比率は約80%〜60%である。そして、ブロック共重合体は、これら親水性ポリマーと疎水性ポリマーの共重合体を溶剤により溶液状としたものである。
【0037】
また、中性層形成装置33でウェハW上に形成される中性層は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有する。本実施の形態では、中性層として例えばポリメタクリル酸メチルとポリスチレンとのランダム共重合体や交互共重合体が用いられる。以下において、「中性」という場合は、このように親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有することを意味する。
【0038】
例えば第2のブロックG2には、図4に示すようにウェハWの熱処理を行う熱処理装置40、ウェハWを疎水化処理するアドヒージョン装置41、ウェハWの外周部を露光する周辺露光装置42、ウェハWに対して紫外線を照射する紫外線照射装置43が上下方向と水平方向に並べて設けられている。熱処理装置40は、ウェハWを載置して加熱する熱板と、ウェハWを載置して冷却する冷却板を有し、加熱処理と冷却処理の両方を行うことができる。なお、複数の熱処理装置40のうち、一部の熱処理装置40は、ブロック共重合体塗布装置35でウェハW上に塗布されたブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離装置として機能する。また、熱処理装置40、アドヒージョン装置41、周辺露光装置42の数や配置は、任意に選択できる。
【0039】
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡し装置50、51、52、53、54、55、56が下から順に設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡し装置60、61、62が下から順に設けられている。
【0040】
図2に示すように第1のブロックG1〜第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばY方向、X方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有する、ウェハ搬送装置70が複数配置されている。ウェハ搬送装置70は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0041】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送装置80が設けられている。
【0042】
シャトル搬送装置80は、例えばY方向に直線的に移動自在になっている。シャトル搬送装置80は、ウェハWを支持した状態でY方向に移動し、第3のブロックG3の受け渡し装置52と第4のブロックG4の受け渡し装置62との間でウェハWを搬送できる。
【0043】
図2に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側の隣には、ウェハ搬送装置90が設けられている。ウェハ搬送装置90は、例えばX方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置90は、ウェハWを支持した状態で上下に移動して、第3のブロックG3内の各受け渡し装置にウェハWを搬送できる。
【0044】
インターフェイスステーション13には、ウェハ搬送装置91と受け渡し装置92が設けられている。ウェハ搬送装置91は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置91は、例えば搬送アームにウェハWを支持して、第4のブロックG4内の各受け渡し装置、受け渡し装置92及び露光装置12との間でウェハWを搬送できる。
【0045】
プラズマ処理装置3は、図5に示すようにプラズマ処理装置3に対するウェハWの搬入出を行うカセットステーション100、ウェハWの搬送を行う共通搬送部101、ウェハWに対して例えばプラズマエッチング処理を行い、親水性ポリマーまたは疎水性ポリマーのいずれかを選択的に除去するポリマー除去装置としてのエッチング装置102、103、ウェハWに対してプラズマ処理を施してレジストパターン上に所定の薄膜を形成する薄膜形成装置104、105を有している。
【0046】
カセットステーション100は、ウェハWを搬送するウェハ搬送機構110が内部に設けられた搬送室111を有している。ウェハ搬送機構110は、ウェハWを略水平に保持する2つの搬送アーム110a、110bを有しており、これら搬送アーム110a、110bのいずれかによってウェハWを保持しながら搬送する構成となっている。搬送室111の側方には、ウェハWを複数枚並べて収容可能なカセットCが載置されるカセット載置台112が備えられている。図示の例では、カセット載置台112には、カセットCを複数、例えば3つ載置できるようになっている。
【0047】
搬送室111と共通搬送部101は、真空引き可能な2つのロードロック装置113a、113bを介して互いに連結させられている。
【0048】
共通搬送部101は、例えば上方からみて略多角形状(図示の例では六角形状)をなすように形成された密閉可能な構造の搬送室チャンバー114を有している。搬送室チャンバー114内には、ウェハWを搬送するウェハ搬送機構115が設けられている。ウェハ搬送機構115は、ウェハWを略水平に保持する2つの搬送アーム115a、115bを有しており、これら搬送アーム115a、115bのいずれかによってウェハWを保持しながら搬送する構成となっている。
【0049】
搬送室チャンバー114の外側には、エッチング装置102、103、薄膜形成装置104、105、ロードロック装置113b、113aが、搬送室チャンバー114の周囲を囲むように配置されている。エッチング装置102、103、薄膜形成装置104、105、ロードロック装置113b、113aは、例えば上方からみて時計回転方向においてこの順に並ぶように、また、搬送室チャンバー114の6つの側面部に対してそれぞれ対向するようにして配置されている。
【0050】
次に薄膜形成装置104について説明する。薄膜形成装置104は、平行平板型のプラズマ処理装置であり、ウェハWを載置する載置台200が設けられた略円筒状の処理容器201を有している。処理容器201は、接地線202により電気的に接続されて接地されている。また、処理容器201の内壁は、表面に耐プラズマ性の材料からなる溶射皮膜が形成されたライナ(図示せず)により覆われている。
【0051】
載置台200は、略円盤状の静電チャック203と、略円環状のフォーカスリング204を備えている。静電チャック203は、略円板状の部材であり、例えば一対のセラミックの間に静電チャック用の電極を挟みこんで形成されている。
【0052】
静電チャック203の下面には下部電極としてのサセプタ210が設けられている。サセプタ210は、例えばアルミニウム等の金属により略円盤状に形成されている。処理容器201の底部には、絶縁板211を介して支持台212が設けられ、サセプタ210はこの支持台212の上面に支持されている。静電チャック203の内部には電極(図示せず)が設けられており、当該電極に直流電圧を印加することにより生じる静電気力でウェハWを吸着保持することができるように構成されている。
【0053】
プラズマ処理の均一性を向上させるためのフォーカスリング204は、例えばシリコンからなる導電性のシリコンにより形成されており、サセプタ210の上面であって静電チャック203の外周部に配置されている。サセプタ210及び支持台212は、例えば石英からなる円筒部材213によりその外側面が覆われている。
【0054】
支持台212の内部には、冷媒が流れる冷媒流路(図示せず)が設けられており、冷媒の温度を制御することにより、静電チャック203で保持されるウェハWの温度が制御される。
【0055】
サセプタ210には、当該サセプタ210に高周波電力を供給してプラズマを生成するための第1の高周波電源230が、第1の整合器231を介して電気的に接続されている。第1の高周波電源230は、例えば27〜100MHzの周波数、本実施の形態では例えば100MHzの高周波電力を出力するように構成されている。また、第1の高周波電源230の内部インピーダンスと負荷インピーダンスは、第1の整合器231によりマッチングされる。
【0056】
また、サセプタ210には、当該サセプタ210に高周波電力を供給してウェハWにバイアスを印加することでウェハWにイオンを引き込むための第2の高周波電源240が、第2の整合器41を介して電気的に接続されている。第2の高周波電源240は、例えば400kHz〜13.56MHzの周波数、本実施の形態では例えば3.2MHzの高周波電力を出力するように構成されている。第2の整合器241は、第1の整合器231と同様に、第2の高周波電源240の内部インピーダンスと負荷インピーダンスをマッチングさせるものである。
【0057】
これら第1の高周波電源230、第1の整合器231、第2の高周波電源240、第2の整合器241は、後述する制御部300に接続されており、これらの動作は制御部300により制御される。
【0058】
下部電極であるサセプタ210の上方には、上部電極242がサセプタ210に対向して平行に設けられている。上部電極242は、導電性の保持部材243を介して処理容器201の上部に支持されており、処理容器201と同様に接地電位となっている。
【0059】
上部電極242は、静電チャック203に保持されたウェハWと対向面を形成する電極板250と、当該電極板250を上方から支持する電極支持体251とにより構成されている。電極板250には、処理容器201の内部に処理ガスを供給する複数のガス供給口252が当該電極板250を貫通して形成されている。電極板250は、シリコンを含有し且つジュール熱の少ない低抵抗の導電体または半導体により構成されている。また、電極支持体251は導電体により構成され、本実施の形態においては例えばアルミニウムが用いられる。
【0060】
電極支持体251内部の中央部には、略円盤状に形成されたガス拡散室260が設けられている。また、電極支持体251の下部には、ガス拡散室260から下方に伸びるガス孔261が複数形成され、ガス供給口252は当該ガス孔261を介してガス拡散室260に接続されている。
【0061】
ガス拡散室260には、ガス供給管262が接続されている。ガス供給管262には、図1に示すように処理ガス供給源263が接続されており、処理ガス供給源263から供給された処理ガスは、ガス供給管262を介してガス拡散室260に供給される。ガス拡散室260に供給された処理ガスは、ガス孔261とガス供給口252を通じて処理容器201内に導入される。
【0062】
ガス供給源263は、プラズマ処理用の処理ガスを供給するガス供給部263aを備えている。また、ガス供給源263は、ガス供給部263aとガス拡散室260との間に設けられたバルブ264と、ガス拡散室260に供給されるガスの流量を制御する流量調整機構265を有している。
【0063】
処理容器201の底面には排気口270が設けられている。排気口270の下方には、排気室271が形成されており、当該排気室271には排気管272を介して排気装置273が接続されている。したがって、排気装置273を駆動することにより、排気口270を介して処理容器201内の雰囲気を排気し、処理容器内を所定の真空度まで減圧することができる。
【0064】
なお、薄膜形成装置105は薄膜形成装置104と同一の構成であり、エッチング装置102、103についても用いる処理ガスが異なる点以外は薄膜形成装置104の構成と同様であるので説明を省略する。
【0065】
以上の基板処理システム1には、図1に示すように制御部300が設けられている。制御部300は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、基板処理システム1におけるウェハWの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、基板処理システム1における後述の剥離処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部300にインストールされたものであってもよい。
【0066】
次に、以上のように構成された基板処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。図7は、かかるウェハ処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0067】
先ず、複数のウェハWを収納したカセットCが、塗布処理装置2のカセットステーション10に搬入され、ウェハ搬送装置23によりカセットC内の各ウェハWが順次処理ステーション11の受け渡し装置53に搬送される。
【0068】
次にウェハWは、熱処理装置40に搬送されて温度調節された後、反射防止膜形成装置32に搬送され、図8に示すようにウェハW上に反射防止膜400が形成される(図7の工程S1)。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、加熱され、温度調節される。
【0069】
次にウェハWは、中性層形成装置33に搬送され、図8に示すようにウェハWの反射防止膜400上に中性剤が塗布されて、中性層401が形成される(図7の工程S2)。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、加熱され、温度調節される。
【0070】
次にウェハWは、アドヒージョン装置41に搬送され、アドヒージョン処理される。その後ウェハWは、レジスト塗布装置34に搬送され、ウェハWの中性層401上にレジスト液が塗布されて、レジスト膜が形成される。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送されて、プリベーク処理される。その後ウェハWは、周辺露光装置42に搬送され、周辺露光処理される。
【0071】
次にウェハWは、インターフェイスステーション13のウェハ搬送装置91によって露光装置12に搬送され、露光処理される。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、露光後ベーク処理される。その後ウェハWは、現像装置30に搬送され、現像処理される。現像終了後、ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、ポストベーク処理される。こうして、図9図10に示すようにウェハWの中性層401上にレジスト膜による所定のレジストパターン402が形成される(図7の工程S3)。本実施の形態におけるレジストパターン402は、平面視において円形状のホール部402aが、格子状に複数並んだパターンである。
【0072】
その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって受け渡し装置50に搬送され、その後カセットステーション10のウェハ搬送装置23によって所定のカセット載置板21のカセットCに搬送される。ウェハWを収納したカセットCは、塗布処理装置2から搬出され、次にプラズマ処理装置3に搬入される。
【0073】
プラズマ処理装置3では、先ず、ウェハ搬送機構110によって、カセット載置台112上のカセットCから1枚のウェハWが取り出され、ロードロック装置113aに搬送される。そして、ウェハ搬送機構115によって、ウェハWがロードロック装置113aから搬出され、搬送室チャンバー114を介して薄膜形成装置104に搬送される。
【0074】
薄膜形成装置104では、先ず静電チャック203にウェハWが載置されて保持される。次いで、処理ガス供給源263から処理容器201内に処理ガスとしてプラズマ生成用の例えばArガスが供給される。その後、第1の高周波電源230と第2の高周波電源240により、下部電極であるサセプタ210に高周波電力が連続的に印加され、上部電極242と静電チャック203との間において、高周波電界が形成される。これにより、処理容器201内にプラズマが発生し、当該プラズマにより上部電極242の電極板250がスパッタされる。スパッタされた電極板の材料は、ウェハWの表面に供給され、ウェハW上のレジストパターン402がプラズマにより改質処理されると共に、図11に示すように、レジストパターン402上に電極板250の材料由来の薄膜403、即ちシリコンを含有した薄膜403が形成される(図7の工程S4)。薄膜403の材質は、例えばSiO、SiO2、SiOCなどである。また、好ましい薄膜403の厚みとしては概ね5nm以下であり、より好ましくは概ね2〜3nmである。なお、本発明者らによれば、薄膜形成装置104においてレジストパターン402上に薄膜403を形成するときに、プラズマ生成用のガスとしての不活性ガス(本実施の形態ではArガス)に加えてHガスを供給することで、成膜を効率的に行えることが確認されている。これは、プラズマ生成用の不活性ガスに加えてHガスを添加することで電極250のスパッタが促進されるものと考えられる。したがって、薄膜形成装置104でのプラズマ処理においては、不活性ガスに加えて、Hガスを供給することが好ましい。
【0075】
その後ウェハWは、ウェハ搬送機構115によって再び搬送室チャンバー114、ロードロック装置113bを介してウェハ搬送機構110に受け渡され、カセットCに収納される。その後、ウェハWを収納したカセットCがプラズマ処理装置3から搬出され、塗布処理装置2に再び搬入される。
【0076】
塗布処理装置2に搬入されたウェハWは、ブロック共重合体塗布装置35に搬送される。ブロック共重合体塗布装置35では、図12に示すように薄膜403が形成されたレジストパターン402上に、ブロック共重合体404が塗布される(図7の工程S5)。
【0077】
次にウェハWは、ポリマー分離装置としての熱処理装置40に搬送される。熱処理装置40では、ウェハWに所定の温度として概ね200〜300℃、本実施の形態では例えば260℃で熱処理が行われる。そうすると、図13及び図14に示すようにウェハW上のブロック共重合体404が、親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406に相分離される(図7の工程S6)。
【0078】
ここで、上述したように、ブロック共重合体404において親水性ポリマー405の分子量の比率は20%〜40%であり、疎水性ポリマー406の分子量の比率は80%〜60%である。そうすると、工程S6において、図13及び図14に示すように、レジストパターン402のホール部402aの中心に円柱形状の親水性ポリマー405が相分離される。疎水性ポリマー406は、親水性ポリマー405外周を囲むように、当該親水性ポリマー405と同心円の円筒形状に相分離される。
【0079】
また、相分離を行う前にレジストパターン402の表面にシリコン含有の薄膜403を形成したことで、相分離に伴う熱処理の際にレジストパターン402が溶解しても、当該レジストパターン402が変形することを抑制できる。したがって、レジストパターン402を所望の形状に維持することで、親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406を所望の形状に相分離させることができる。
【0080】
次にウェハWは、紫外線照射装置43に搬送される。紫外線照射装置43では、ウェハWに紫外線を照射することで、親水性ポリマー405であるポリメタクリル酸メチルの結合鎖を切断すると共に、疎水性ポリマー406であるポリスチレンを架橋反応させる(図7の工程S7)。
【0081】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置70によって有機溶剤供給装置31に搬送される。有機溶剤供給装置31では、ウェハWに例えばIPA(イソプロピルアルコール)などの極性を有する有機溶剤が供給され、紫外線照射で結合鎖が切断された親水性ポリマー405が選択的に溶解除去される。これにより、ウェハWには、例えば図15に示すように疎水性ポリマー406の所定のパターンが形成される(図7の工程S8)。
【0082】
その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって受け渡し装置50に搬送され、
その後カセットステーション10のウェハ搬送装置23によって所定のカセット載置板21のカセットCに搬送される。
【0083】
その後、カセットCは基板処理システム1の外部に設けられたプラズマ処理装置3に搬送され、エッチング装置102においてレジストパターン402、疎水性ポリマー406をマスクとして、ウェハWのエッチング処理が行われる。これにより、ウェハWに所定のパターンが転写される(図7の工程S9)。
【0084】
その後、疎水性ポリマー406及びレジストパターン402が除去されて、ウェハWに所定のパターンが形成される。
【0085】
その後ウェハWは、カセットCに収納され、ウェハWを収納したカセットCがプラズマ処理装置3から搬出されて一連のウェハ処理が終了する。
【0086】
以上の実施の形態によれば、工程S3でレジストパターン402を形成した後であってブロック共重合体404の相分離を行う(工程S6)前に、レジストパターン402の表面に薄膜403を形成するので、ブロック共重合体404を相分離させる熱処理の際にレジストパターン402が溶解しても、当該薄膜403によりレジストパターン402の変形を抑制することができる。したがって、ブロック共重合体404を所望の形状のレジストパターン402に沿った状態で相分離させ、それにより、ウェハW上に所定のパターンを適切に形成することができる。
【0087】
なお、図11では、レジストパターン402の表面の全面に薄膜403を形成した状態を描図したが、本発明者らによれば、工程S6の相分離の際にレジストパターン402の変形を抑制するためには、必ずしもレジストパターン402の全面を薄膜403で覆う必要はなく、例えばところどころに穴が開いたパンチングメタル状の膜や、網状、或いはハニカム状の膜であっても、レジストパターン402の表面に形成することで、当該レジストパターン402の変形を抑制できることが確認されている。
【0088】
また、本発明者らによれば、薄膜403の材質としては、シリコン含有の膜に限られるものではなく、例えばW(タングステン)、Ti(チタン)、TiN(窒化チタン)などの金属膜を形成しても、レジストパターン402の変形を抑制できることが確認されている。なお、このような金属膜は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)処理を行うCVD処理装置やALD(Atomic Layer Deposition)処理を行うALD処理装置により形成されてもよい。
【0089】
また、以上の実施の形態では、シリコン含有の薄膜403をプラズマ処理により形成したが、シリコン含有の薄膜403の場合も、ALD処理により形成してもよく、ブロック共重合体404を相分離させた際に、疎水性ポリマー406で形成されるパターンの寸法に影響を与えない程度の厚み、具体的には約5nm以下、好ましくは2nm〜3nm程度の薄膜403を形成することができれば、その形成方法については任意に選択できる。
【0090】
なお、以上の実施の形態では、薄膜403を形成することにより工程S6におけるレジストパターン402の変形を防止したが、レジストパターン402の変形を防止するという観点からは、薄膜403の形成以外に、例えば公知の技術であるレジストパターン402のシリル化を行ったり、レジストパターン402に金属含有の処理液を供給して金属を浸潤させることによりレジストパターン402の硬化を行ったりしてもよい。
【0091】
なお、以上の実施の形態では、ホール部402aを有するレジストパターン402を用いて、疎水性ポリマー406により円筒形状のパターンを形成する場合を例に説明したが、レジストパターン402の形状は本実施の形態に限定されるものではなく、例えば平面視において直線状のラインと直線状のスペース部を有する、いわゆるラインアンドスペースのレジストパターン402を用いてもよい。かかる場合、ブロック共重合体404としては、親水性ポリマー405の分子量の比率が40%〜60%、疎水性ポリマー406の分子量の比率が60%〜40%のものが用いられる。それにより、レジストパターンのスペース部に、奇数の親水性ポリマー405と奇数の疎水性ポリマー406が交互に配列した、所謂ラメラ構造のパターンを形成することができる。
【0092】
また、以上の実施の形態では、レジストパターン402の下地膜として、反射防止膜400や中性層401を形成していたが、これらについても必ずしも必要ではない。特に、中性層401は、ブロック共重合体を相分離させた際に、ウェハWの法線方向に沿って親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406を配列させるために用いられるため、中性層401を設けない場合でも、レジストパターン402の下地が親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中性か、或いは中性ではなくても、親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406が適正に相分離するものであれば、中性層401は必ずしも設ける必要がない。かかる場合、レジストパターン402の下地、即ちブロック共重合体404が塗布される面は、例えば反射防止膜400であってもよい。
【0093】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、例えば親水性を有する親水性ポリマーと疎水性を有する疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する際に有用である。
【符号の説明】
【0095】
1 基板処理システム
2 プラズマ処理装置
3 塗布処理装置
30 現像装置
31 有機溶剤供給装置
32 反射防止膜形成装置
33 中性層形成装置
34 レジスト塗布装置
35 ブロック共重合体塗布装置
40 熱処理装置
104、105 薄膜形成装置
300 制御部
400 反射防止膜
401 中性層
402 レジストパターン
403 薄膜
404 ブロック共重合体
405 親水性ポリマー
406 疎水性ポリマー
W ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15