特許第6236013号(P6236013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236013
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】粉末状毛髪化粧品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20171113BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61Q5/06
【請求項の数】7
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-546382(P2014-546382)
(86)(22)【出願日】2012年11月9日
(65)【公表番号】特表2015-500304(P2015-500304A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】EP2012072251
(87)【国際公開番号】WO2013087314
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】102011088818.7
(32)【優先日】2011年12月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】トルステン・クナッぺ
(72)【発明者】
【氏名】アンナ・ヘンシェル
(72)【発明者】
【氏名】ビビアネ・ランゲ
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−213619(JP,A)
【文献】 特開2011−201798(JP,A)
【文献】 特表2012−522818(JP,A)
【文献】 特開2011−219455(JP,A)
【文献】 特表2013−515689(JP,A)
【文献】 特開2011−213618(JP,A)
【文献】 特開2011−213623(JP,A)
【文献】 特開昭52−044245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状毛髪処理剤の総重量に対して
(a)7.5〜95.0重量%の、粉末状化合物であって、かつ、毛髪化粧剤として有効なカチオン性固定用ポリマー、
(b)0〜25重量%の、(a)および(c)と異なる、フィラーとしての少なくとも1種の粉末状固体、
(c)5.0〜40.0重量%の、式(P-I)で示される少なくとも1つの構造単位および式(P-II)で示される少なくとも1つの構造単位:
[式中、Mは水素、1当量の生理学的に許容性のカチオン(とりわけナトリウムイオン)、または(C〜C)ヒドロキシアルキル基(特に2−ヒドロキシエチル)を表し、Xは生理学的に許容性のカチオンを表す]
を有する粉末状増粘剤
を含み、
その重量に対して、8重量%以下の液体を含み、
ただし、0.4gの粉末状毛髪処理剤は、毎分101回転でタンブルミキサー中で混合して、100mLの水に35℃で5分以内、特に4分以内に溶解する、粉末状毛髪処理剤
【請求項2】
その重量に対して、5重量%以下の液体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の粉末状毛髪処理剤
【請求項3】
粉末状毛髪処理剤の体積平均粒子径(d0.5)は、10μm〜800μm、特に25μm〜500μmの範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の粉末状毛髪処理剤
【請求項4】
人毛の化粧的処理方法であって、該方法において
(i)毛髪を湿潤させ、
(ii)請求項1〜3のいずれかに記載の粉末状毛髪処理剤を該湿潤した毛髪上に塗布し、
(iii)該毛髪に力学的応力を与え、
(iv)該毛髪を乾燥させ、
ただし、該毛髪を工程(ii)の後で洗い流さない
方法。
【請求項5】
人毛の化粧的処理方法であって、該方法において
(i)塗布補助具として使用する表面を湿潤させ、
(ii)請求項1〜3のいずれかに記載の粉末状毛髪処理剤を該塗布補助具の該湿潤表面に塗布し、
(iii)少なくとも、毛髪化粧剤として有効な前記の少なくとも1種の粉末状毛髪処理剤を塗布するために、毛髪と(ii)からの表面とを接触させ、ヘアスタイルを調整し、
(iv)毛髪を乾燥させる、
ただし、該毛髪を工程(iii)の後で洗い流さない
方法。
【請求項6】
塗布補助具として用いる表面は手のひらであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ケラチン含有繊維、特に人毛の一時的な整形のための、請求項1〜3のいずれかに記載の粉末状毛髪処理剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアケアの技術分野、特にケラチン含有繊維の一時的な整形、例えば一時的ヘアスタイリングに関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン含有繊維を固定するためのスタイリング剤は長きにわたり知られており、固定用活性物質を用いてのみ得ることができる多くの種類の毛髪に対し、ヘアスタイルを構成するため、リフレッシュするため、および、固定するために、あらゆる形態で使用されている。これに関して、永続的または一時的なヘアスタイリングを提供する毛髪処理剤は、重要な役割を果たす。毛髪の健康的な外観(例えば艶)を損失することなく良好な保持を与えることが意図される一時的なスタイリングは、ヘアスプレー、ヘアワックス、ヘアゲル、固定用ローションなどを用いて得ることができる。
【0003】
一時的なヘアスタイリングに適当な組成物は、通常、スタイリング成分として合成ポリマーを含む。ポリマーを含有する製剤は、高圧ガスを用いるか、またはポンプ機構により毛髪に塗布され得る。しかし、ヘアゲルおよびヘアワックスは、通常、毛髪に直接塗布されず、むしろ櫛または手を用いて毛髪に分散させる。
【0004】
一時的スタイリング剤の既知の形態は、十分に精密に投与することができない場合が多い。したがって、例えばヘアゲル、ヘアクリームおよびヘアワックスは、それらをいったん毛髪上に塗布すると、困難性を伴ってのみ分散させることができる。スタイリング剤を塗布した櫛または手が毛髪の第1部分と接触するとすぐに、比較的多量のスタイリング剤を毛髪上に投与される。反対に、櫛または手が後で届く毛髪の部分には、比較的少量のスタイリング剤が作用する。これは、使用者が、最後に到達する毛髪の部分に十分なスタイリング剤を与えるために多量のスタイリング剤を初めに塗布せねばならないか、または、スタイリング剤を複数の工程で塗布することを余儀なくされる(ここで、毛髪の別の部分がそれぞれ処理される)ことを意味する。ヘアスプレーは、毛髪により均一に分散させることができる。しかし、使用者は塗布したスタイリング剤の総量を視覚的に測ることができないため、実際に必要とされるよりも多くのスタイリング剤が毛髪に塗布され得るという危険性が存在する。
【0005】
粉末化化粧品は既知であり、例えばヘアトリートメントの分野において、既に長い間用いられてきた。典型例は、メーキャップパウダーまたはアイシャドウである。粉末状のコンシステンシーは、粉末状担体材料を用いることにより得られる。金属酸化物、例えば二酸化ケイ素を適当な担体材料として用いることができる。しかし、担体材料としての金属酸化物の使用は主に、ケラチン含有繊維上での金属酸化物の残留をもたらす。この残留物のために、この種の粉末化化粧品で処理されたケラチン含有繊維はその自然な艶を失い、くすむようになる。さらに、当業者は例えば理髪製品の分野からの粉末化化粧品または顆粒化粧品を知っている。美容師は、過剰の水を加えることにより粉末または顆粒から所定の量の毛髪化粧品を作っており、次いで該毛髪化粧品はクリーム、ゲルまたはローションとして毛髪で最終的に使用される。ケラチン含有繊維の一時的スタイリングの分野から、当業者は粉末から液体製剤への形態での溶媒含有性粉末を知っている。国際公開第2007/051511号には、50〜95重量%の水性溶媒、疎水性二酸化ケイ素粉末および水性溶媒中の少なくとも1種のフィルム形成用および/または固定用ポリマーを含む、ケラチン性繊維を一時的にスタイリングするための粉末状組成物の使用が記載されている。
【0006】
国際公開第2010/054980号には、コアシェル粒子を含有する粉末状組成物の、ケラチン性繊維を一時的にスタイリングするための使用が記載されている、ここで、該シェルは疎水性金属酸化物粉末の粒子を含み、該コアは液状、水性相を含有する。これら粉末状コア−シェル粒子は、粒子の形態で、少なくとも1種のフィルム形成用および/または固定用ポリマーを含有する。
【0007】
国際公開第2011/076518号には、液体に変換することができ、担体に吸着された活性物質を含有する、粉末状組成物が記載されている。
【0008】
最近では、最新の粉末状毛髪化粧品はヘアスタイルに許容性の保持を実に生じている。しかし、これらの剤により達成される結果は、艶およびボリュームならびに保持の弾性に関してより良く改善され得る。さらに、既知の粉末状組成物はあらゆる化粧品原料と相溶性でなく、限られた貯蔵寿命を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2007/051511号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2010/054980号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2011/076518号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の主題は、正確かつ簡単に投与することができ(特に少量の水と接触する際に凝集することなく、繊維上に良好に分散させることができる)、ならびに、改善された艶、ボリュームおよび弾性保持を繊維に与える、一時的なヘアスタイリング用の粉末状毛髪処理剤を提供することであった。また、スタイリング結果の保持は損なわれない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来技術の教示は、以下に記載する粉末状組成物によって改善されることが分かった。ケラチン含有繊維のヘアスタイリングの範囲において繊維に塗布するための、以下の必須要件プロフィールを備えた粉末状組成物は、新規である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1主題は、その総重量に対して
(a)5〜100重量%の毛髪化粧剤として有効な少なくとも1種の粉末状化合物、
(b)0〜25重量%の、(a)および(c)と異なる、フィラーとしての少なくとも1種の粉末状固体、
(c)0〜95重量%の、(a)および(b)と異なり、乳化剤、増粘剤ならびにそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の助剤
を含む粉末状組成物であって、ただし、0.4gの粉末状組成物は毎分101回転でタンブルミキサー中で混合して、100mLの水に35℃で5分以内、特に4分以内に溶解する。
【0013】
本発明によれば、ケラチン性繊維は、毛皮、羊毛、羽毛、特に人毛を意味するとして理解される。
【0014】
本発明に関して、組成物は粉末状であり、その粒子は自重下で制限されず易流動性である(DIN EN ISO 6186:1998-08参照)。本発明に関して、粒子は、粒として存在する固形物の小部分である(DIN 66160:1992-09参照)。
【0015】
物質が、洗浄用、ケア用、または、外観もしくは臭気に影響を及ぼすための、または、臭いの印象を付与するための目的で使用される場合、該物質が疾患、苦痛、物理的損傷または病理学的状態を緩和または除去するために主に使用されるものでない限り、該物質は毛髪化粧品として有効である。
【0016】
成分(a)の例がさらに成分(c)の機能的特徴を満足する場合、本発明に関して、これは成分(a)にのみ属するとして分類される。
【0017】
本出願に関して、溶解性は次の方法で測定される:35℃に温度設定した250mlの広口スクリュートップフラスコに、35℃の温度で、100mlの蒸留水を入れた。試験を行う物質0.5gを加えた。次いで、250mlの広口スクリュートップフラスコをキャップで密閉し、タンブルミキサー(WAB Turbula(タイプT2F))の固定装置内に固定し、該物質が溶解するまで、毎分101回転の回転速度で振った。時間の測定は、試験を行う物質の添加に伴い開始し、物質が溶解した際に終了した。5回の測定を行い、算術平均を算出した。
【0018】
本発明の粉末状組成物は非常に容易に投与することができる。それらは、少量の水の存在下でケラチン含有繊維上に、すなわち、塗布補助具の湿った表面にあらかじめ塗布することにより、および/または、湿った毛髪に塗布することにより、非常に均一に分散させることができる。湿った毛髪上または塗布補助具の湿った表面上の少量の溶剤は、化粧品を用いる毛髪繊維の集中的な湿潤に十分である。塊の形成は生じない。
【0019】
本発明の粉末状組成物は、好ましくは、その重量に対して8重量%以下、特に5重量%以下の液体を含むことを特徴とする。該液体は、本発明の粉末(吸収剤)の固体粒子に吸収される。本発明の粉末が5重量%以下の水を吸収された液体として含有する場合、本発明に好ましい。
【0020】
ヘアケアを改善するために、本発明の粉末状組成物は好ましくは少なくとも1種の成分(a)のケア物質を毛髪化粧品として有効な粉末状化合物として含有し得る。
【0021】
本発明の粉末状組成物は、ケア物質として少なくとも1種のUVフィラーを含み得る。本発明に適当なUVフィラーは、その構造およびその物理的特性に関して一般に限定されない。実際に、UVA(315-400nm)領域、UVB(280-315nm)領域またはUVC(<280nm)領域に極大吸収を有する化粧品分野で用いられ得るあらゆるUVフィラーが適当である。UVB領域、特に約280〜約300nmの範囲に極大吸収を有するUVフィラーが、特に好ましい。
【0022】
15000超、特に20000超の極大吸収における分子吸光係数を有するUVフィラーは好ましい。
【0023】
さらに、構造的に類似するUVフィラーについて、本発明の教示に関して多くの場合に、非水溶性化合物は、1つまたは複数の追加のイオン性基によって非水溶性化合物とは区別される水溶性化合物の活性よりも、高い活性を示すことがわかった。本発明に関して、非水溶性UVフィラーは、20℃で水に1重量%以下、とりわけ0.1重量%以下で溶解するものであると理解される。さらに、これらの化合物は、通常の化粧用オイル成分に、室温で少なくとも0.1、とりわけ少なくとも1重量%まで溶解する。したがって、非水溶性UVフィラーを使用することが本発明に好ましくあり得る。
【0024】
カチオン性基を含有する2つの好ましいUVフィラーは市販され入手可能な化合物、シンナミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(Incroquat(登録商標)UV-283)およびドデシルジメチルアミノベンズアミドプロピルジメチルアンモニウムトシレート(Escalol(登録商標)HP 610)である。
【0025】
もちろん、本発明の教示はまた、複数のUVフィラーの組合せの使用を含む。この態様に関して、少なくとも1種の非水溶性UVフィラーとカチオン性基を含有する少なくとも1種のUVフィラーとの組合せが好ましい。
【0026】
UVフィラーは、通常、本発明の粉末状組成物に対して0.01〜5重量%の量で、本発明の粉末状組成物中に含まれる。0.1〜2.5重量%の量が好ましい。
【0027】
本発明の製剤は、好ましくは少なくとも1種のビタミン、プロビタミン、ビタミン前駆体ならびにそれらの誘導体の1種を追加のケア物質として含む。
【0028】
本発明によれば、通常A、B、C、E、FおよびHの群に分類される、このようなビタミン、プロビタミンおよびビタミン前駆体が好ましい。
【0029】
ビタミンH。化合物(3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロチエノール[3,4-d]イミダゾール-4-吉草酸はビタミンHを表し、これに対しビオチンの慣用名が受け入れられている。ビオチンは本発明にきわめて好ましいビタミンである。驚くべきことに、本発明の製剤にビオチンを添加することにより、繊維の再構造化が改善され得、構造的安定化が達成され、炎症可能性が顕著に低減される。ビオチンは、本発明の粉末状組成物中に、本発明の粉末状組成物に対してそれぞれ、0.0001〜2.0重量%の量、特に0.001〜0.2重量%の量で好ましくは含まれる。
【0030】
本発明の粉末状組成物は、好ましくはA、B、C、EおよびHの群から選択されるビタミン、プロビタミンおよびビタミン前駆体を含有する。ビタミンCは本発明にきわめて好ましくあり得る。
【0031】
パンテノール、パントラクトン、ピリドキシン、ピリドキシンの誘導体、ニコチンアミドおよびそれらの混合物は、本発明に特に好ましいケア物質である。
【0032】
本発明の粉末状組成物は、ケア物質として少なくとも1種の植物抽出物を含み得る。
【0033】
通常、これら抽出物は植物全体の抽出により製造される。しかしながら、個々の場合において、植物の花および/または葉のみから抽出物を製造することも好ましくあり得る。
【0034】
ワサビノキ(Moringa Olifeira)、緑茶、樫皮、イラクサ、ハマメリス、ホップ、カモミール、ゴボウ、サンザシ、リンデンフラワー、アーモンド、アロエベラ、ココナツ、マンゴー、アプリコット、ライム、小麦、キウイ、メロン、オレンジ、グレープフルーツ、セージ、ローズマリー、カバノキ、タネツケバナ、コモンヤロー、ハリモクシュク、メリステム(meristem)、チョウセンニンジンおよび生姜からの抽出物は特に好ましい。ワサビノキ(Moringa Olifeira)、緑茶、アーモンド、アロエベラ、ココナツ、マンゴー、アプリコット、ライム、小麦、キウイおよびメロンの抽出物は、きわめて適当である。記載した植物抽出物を製造するために使用される抽出組成物は、水、アルコールならびにそれらの混合物であってよい。好ましいアルコールの例は、単独の抽出剤ならびに水性混合物における抽出剤のいずれもとしての、エタノールおよびイソプロパノールなどの低級アルコールであるが、特にエチレングリコールおよびプロピレングリコールなどの多価アルコールである。1:10〜10:1の割合での水/プロピレングリコールに基づく植物抽出物は特に適当であることがわかった。本発明によれば、植物抽出物を純粋に、ならびに、希釈形態で使用することができる。それらを希釈形態で使用する場合、それらは通常、約2〜80重量%の活性物質を含み、溶媒はその抽出に使用した抽出剤または抽出剤混合物である。
【0035】
さらに、本発明の製剤において、複数の、特に2つの異なる植物抽出物の混合物を用いることが好ましくあり得る。
【0036】
本発明の粉末状組成物は、ケア物質として、少なくとも1種のタンパク質加水分解物および/またはその誘導体の1種を含み得る。
【0037】
タンパク質加水分解物は、酸、塩基または酵素触媒のタンパク質(アルブミン)分解から得られる生成物の混合物である。本発明によれば、用語「タンパク質加水分解物」は、総加水分解物、ならびに個々のアミノ酸およびそれらの誘導体ならびに異なったアミノ酸の混合物も意味すると理解される。さらに、本発明によれば、アミノ酸およびアミノ酸誘導体から構築されたポリマーも用語タンパク質加水分解物に含まれると理解される。ポリマーとしては、例えばポリアラニン、ポリアスパラギン、ポリセリン等が挙げられる。本発明に使用可能な化合物のさらなる例は、L-アラニル-L-プロリン、ポリグリシン、グリシル-L-グルタミンまたはD/L-メチオニン-S-メチルスルホニウムクロリドである。当然、β-アミノ酸およびそれらの誘導体、例えばβ-アラニン、アントラニル酸または馬尿酸も本発明に使用され得る。本発明に使用可能なタンパク質加水分解物の分子量は、75ダルトン(グリシンの分子量)〜200000ダルトン、好ましくは75ダルトン〜50000ダルトン、きわめて好ましくは75〜20000ダルトンの範囲である。本発明によれば、添加したタンパク質加水分解物は、植物ならびに動物、または海洋、または合成起源のいずれもであり得る。
【0038】
動物タンパク質加水分解物は、例えばエラスチン、コラーゲン、ケラチン、絹および乳アルブミンのタンパク質加水分解物であり、これらは塩の形態でも存在し得る。このような製品が例えば次の商品名で市販されている:Dehylan(登録商標)(Cognis)、Promois(登録商標)(Interorgana)、Collapuron(登録商標)(Cognis)、Nutrilan(登録商標)(Cognis)、Gelita-Sol(登録商標)(Deutsche Gelatine Fabriken Stoess & Co.)、Lexein(登録商標)(Inolex)、Sericin(Pentapharm)およびKerasol(登録商標)(Croda)。本発明によれば、植物起源のタンパク質加水分解物、例えば大豆-、アーモンド-、エンドウ-、ジャガイモ-および小麦-タンパク質加水分解物を使用することが好ましい。このような製品は、例えば、商品名Gluadin(登録商標)(Cognis)、Diamin(登録商標)(Diamalt)、Lexein(登録商標)(Inolex)、Hydrosoy(登録商標)(Croda)、Hydrolupin(登録商標)(Croda)、Hydrosesame(登録商標)(Croda)、Hydrotritium(登録商標)(Croda)およびCrotein(登録商標)(Croda)のもとで入手できる。
【0039】
タンパク質加水分解物自体を添加することが好ましいが、任意に、アミノ酸含有混合物をその代わりに添加してもよい。
【0040】
当然、本発明の教示は、シス-トランス異性体、ジアステレオ異性体およびキラル異性体のような全ての異性体形態を包含する。
【0041】
本発明によれば、複数のタンパク質加水分解物の混合物を使用することもできる。
【0042】
第9の好ましい態様に関して、本発明の製剤は、エクトインまたはエクトイン誘導体、アラントイン、タウリンまたはビサボロールをケア物質として含む。
【0043】
用語アミノ酸は、以下の化合物の立体異性形態、例えばD体およびL体を意味すると理解される:アスパラギン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、β-アラニン、γ-アミノ酪酸、Nε-アセチルリジン、Nδ-アセチルオルニチン、Nγ-アセチルジアミノ酪酸、Nα-アセチルジアミノ酪酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニンおよびチロシン。
【0044】
L-アミノ酸が好ましい。アミノ酸残基は対応するアミノ酸から誘導される。以下のアミノ酸残基が好ましい:
【0045】
Gly、Ala、Ser、Thr、Val、β-Ala、γ-アミノ酪酸、Asp、Glu、Asn、Aln、Nε-アセチルリジン、Nδ-アセチルオルニチン、Nγ-アセチルジアミノ酪酸、Nα-アセチルジアミノ酪酸。
【0046】
アミノ酸の省略形は、一般に許容される表記に従う。ジ-またはトリペプチド残基は、その化学的性質において酸アミドであり、加水分解に際して2または3個のアミノ酸へと分解する。ジ-またはトリペプチド残基中のアミノ酸は、アミド架橋を介して結合する。
【0047】
本発明の粉末状組成物は、好ましくは、それぞれ本発明の粉末状組成物に対して0.001〜2重量%、特に0.01〜0.5重量%の量でこれらの活性物質を含む。
【0048】
毛髪化粧品として有効な特に好ましい粉末状物質は、固形状、フィルム形成化合物からなる群の少なくとも1種の例から選択される。特に好ましい固形状、フィルム形成化合物は、固定用ポリマー、ワックスおよびフィルム形成ポリマーから形成される群の少なくとも1種の化合物、特に固定用ポリマーおよびワックスから形成される群から選択される少なくとも1種の化合物から選択される。
【0049】
本発明において、ポリマーは、1種のまたは複数種の原子または原子群(いわゆる構成単位、基本ビルディングブロックまたは繰返し単位)が繰り返しつながり、少なくとも10000g/molの分子量を有する、複数の分子から構成される化合物を意味すると理解される。ポリマーは、合成的にまたは天然に生じ得る重合反応により得られる。
【0050】
固定ポリマーは、毛髪ボリュームおよびヘアスタイル全体の毛髪ボディの保持および/または構築に寄与する。これらポリマーは、同時にフィルム形成ポリマーでもあるため、これらは一般にヘアスタイリングトリートメント剤、例えばヘアセット、へアフォーム、ヘアワックス、ヘアスプレーなど用の常套物質である。フィルム形成は完全に選択された領域にあることができ、いくつかの繊維のみを共に結合させ得る。
【0051】
フィルム形成化合物またはフィルム形成ポリマーは、乾燥する際に、皮膚、毛髪または爪上に連続的なフィルムを残す化合物/ポリマーを意味すると理解される。これらの種類のフィルム形成剤は、例えばメーキャップマスク、メーキャップ、ヘア固定剤、ヘアスプレー、ヘアゲル、ヘアワックス、ヘアコンディショナー、シャンプーまたは爪用マニキュアなどの幅広い種類の化粧品に使用され得る。
【0052】
フィルム形成化合物またはフィルム形成ポリマーは、0.01〜20重量%の水性溶液、アルコール性溶液または水性アルコール性溶液中で使用する際に、毛髪に透明なフィルムを堆積させることができる化合物またはポリマーを意味するとも理解される。
【0053】
固定用ポリマーは、それぞれ、粉末状組成物の総重量に対して2.0重量%〜95重量%、特に5.0重量%〜95.0重量%、きわめて好ましくは7.5重量%〜95.0重量%の量で好ましくは含まれる。
【0054】
特に好ましい態様に関して、本発明の粉末状組成物は、毛髪化粧剤として有効な粉末状化合物として少なくとも1種の非イオン性固定用ポリマーを含む。
【0055】
本発明の粉末状組成物は、それぞれ本発明の粉末状組成物の総重量に対して、2.0重量%〜95重量%、特に5.0重量%〜95.0重量%、きわめて好ましくは7.5重量%〜95.0重量%の量で、非イオン性固定用ポリマーを好ましくは含む。
【0056】
非イオン性固定用ポリマーはまた、好ましくは以下からなる群の少なくとも1種のポリマーから選択される:
・N-ビニルピロリドンのホモポリマーおよび非イオン性コポリマー、
・イソブテンの非イオン性コポリマー、
・無水マレイン酸の非イオン性コポリマー。
【0057】
適当なポリビニルピロリドンは、例えばLuviskol(登録商標)K 90またはLuviskol(登録商標)K 85(BASF SE製)などの市販製品である。
【0058】
適当なポリ酢酸ビニルは、例えばエマルジョンとして、商品名Vinac(登録商標)(Air Products製)のもとで市販されている。
【0059】
以下:
・無水マレイン酸およびメチルビニルエーテルのコポリマー、
・ポリビニルピロリドン、
・N-ビニルピロリドンおよび2〜18個の炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステルのコポリマー、特にN-ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルからのコポリマー、
またはこれらのポリマーの混合物
からなる群から選択される非イオン性固定用ポリマーとしての少なくとも1種のポリマーを含む本発明の粉末状組成物は、本発明にきわめて好ましい。これに関して、これらの本発明の粉末状組成物は、また、以下からなる群から選択される非イオン性固定用ポリマーとしての少なくとも1種のポリマーを含むことが好ましい:
・ポリビニルピロリドン、
・N-ビニルピロリドンおよび2〜18個の炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステルのコポリマー、特にN-ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルからのコポリマー、
またはこれらのポリマーの混合物。
【0060】
N-ビニルピロリドンおよび2〜18個の炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステルのコポリマー、特にN-ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルからのコポリマーを用いる場合、N-ビニルピロリドンモノマーの得られる構造単位の、2〜18個の炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル(とりわけ酢酸ビニル)モノマーの得られる構造単位に対するモル比が20:80〜80:20、とりわけ30:70〜60:40の範囲である場合にまた好ましい。
【0061】
ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルの適当なコポリマーは、例えば商品名Luviskol(登録商標)VA 37、Luviskol(登録商標)VA 55、Luviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73(BASF SE製)のもとで入手可能である。
【0062】
本発明の粉末状組成物は、好ましくは、毛髪化粧剤として有効な粉末状化合物として少なくとも1種のカチオン性固定用ポリマーを含む。カチオン性ポリマーは、「一時的」または「永続的」にカチオン性であり得る基を主鎖および/または側鎖に有するポリマーを意味すると理解される。組成物のpHとは独立してカチオン性基を有するポリマーは、本発明によれば、「永続的カチオン性」として称される。これらは、一般に、例えばアンモニウム基の形態で第4級窒素原子を含有するポリマーである。好ましいカチオン性基は第4級アンモニウム基である。特に、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの誘導体から形成されたポリマー骨格に、C1-4炭化水素基を介して第4級アンモニウム基が結合したポリマーは、特に適当であることがわかった。
【0063】
本発明に好適なカチオン性固定用ポリマーは、式(M9)で示される少なくとも1つの構造要素を含み、任意に式(M10)で示される少なくとも1つの構造要素:
【化1】
[式中、
Rは、水素原子またはメチル基を表し、
R’、R''およびR'''は、互いに独立して(C〜C30)アルキル基を表し、
Xは、酸素原子またはNH基を表し、
Aは、エタン-1,2-ジイル基またはプロパン-1,3-ジイル基を表し、
nは、1または3を表す]
を追加的に含む、少なくとも1種のカチオン性固定用ポリマーである。
【0064】
正のポリマー電荷を与えるために、あらゆる考えられる生理学的に許容性のアニオン、例えば塩化物、臭化物、水素スルフェート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、テトラフルオロボレート、ホスフェート、ハイドロゲンホスフェート、ジハイドロゲンホスフェートまたはp-トルエンスルホネート、トリフラートを使用してよい。
【0065】
以下の少なくとも1種の化合物を上記カチオン性固定用ポリマーとして好ましくは用いることができる:
・2-(N,N,N-トリメチルアンモニウムエチル)メタクリレートのホモポリマー(特にINCI名 ポリクオタニウム-37を有する塩化物、商品名Ultragel 300(BASF SE)。
・ジエチルスルフェートで4級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートと、ビニルピロリドンとのコポリマー、INCI名 ポリクオタニウム-11を有する、商品名Gafquat(登録商標)440、Gafquat(登録商標)734、Gafquat(登録商標)755(それぞれISP製)およびLuviquat PQ 11 PN(BASF SE製)、
・N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび3-(メタクリロイルアミノ)プロピル-ラウリル-ジメチルアンモニウムクロリドのコポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-69)、これは例えば商品名Styleze W 10またはW 20(エタノール-水混合物中、10または20重量%の活性物質)(ISP社製)のもとで市販されている。
・N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび3-(メタクリロイルアミノ)プロピル-ラウリル-ジメチルアンモニウムクロリドのコポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-69)、これは、Aquastyle(登録商標)300(エタノール/水混合物中、28-32重量%の活性物質)(ISP社製)のもとで市販されている。
【0066】
本発明に関して、式(M11):
【化2】
[式中、R''は(C〜C)アルキル基、特にメチル基を表す]
で示される少なくとも1つの構造要素を含み、少なくとも1種のさらなるカチオン性および/または非イオン性構造要素を追加的に有するカチオン性固定用コポリマーは、特に好ましい使用可能なカチオン性ポリマーとして追加的に働く。
【0067】
正のポリマー電荷を与えるために、あらゆる考えられる生理学的に許容性のアニオン、例えば塩化物、臭化物、水素スルフェート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、テトラフルオロボレート、ホスフェート、ハイドロゲンホスフェート、ジハイドロゲンホスフェートまたはp-トルエンスルホネート、トリフラートを使用してよい。
【0068】
追加のカチオン性固定用ポリマーとして、少なくとも1種のコポリマー(c1)が含まれる場合、本発明にまた好ましく、ここで該コポリマー(c1)は、式(M6)で示される構造要素を式(M11)で示される少なくとも1つの構造要素:
【化3】
[式中、R''は(C〜C)アルキル基、特にメチル基を表す]
の他に追加的に含有する。
【0069】
コポリマー(c1)の正のポリマー電荷を与えるために、あらゆる考えられる生理学的に許容性のアニオン、例えば塩化物、臭化物、水素スルフェート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、テトラフルオロボレート、ホスフェート、ハイドロゲンホスフェート、ジハイドロゲンホスフェートまたはp-トルエンスルホネート、トリフラートを使用してよい。
【0070】
コポリマー(c1)としてきわめて好ましいカチオン性固定用ポリマーは、10〜30mol%、好ましくは15〜25mol%、特に20mol%の、式(M11)で示される構造単位、および、70〜90mol%、好ましくは75〜85mol%、特に80mol%の式(M6)で示される構造単位を含む。
【0071】
これに関して、コポリマー(c1)が、式(M11)および(M6)に従う構造単位のコポリマー中への導入に由来するポリマー単位に加えて、他のモノマーの導入に由来する最大5重量%、好ましくは最大1重量%のポリマー単位を含む場合、特に好ましい。コポリマー(c1)は、R''=メチルである式(M11)および(M6)の構造単位からもっぱら構築されることが好ましい。
【0072】
塩化物イオンを式(Poly1)で示されるポリマーの正電荷を与えるために使用する場合、かかるN-メチルビニルイミダゾール/ビニルピロリドンコポリマーはINCI名によりポリクオタニウム-16と命名されており、例えば商品名 Luviquat(登録商標)Style、Luviquat(登録商標)FC 370、Luviquat(登録商標)FC 550、Luviquat(登録商標)FC 905およびLuviquat(登録商標)HM 552のもとでBASFより市販されている。
【0073】
メトスルフェートイオンを式(Poly1)で示されるポリマーの正電荷を与えるために使用する場合、かかるN-メチルビニルイミダゾール/ビニルピロリドンコポリマーは、INCI名によりポリクオタニウム-44と命名されており、例えば商品名Luviquat(登録商標)UltraCareのもとでBASFより入手可能である。
【0074】
コポリマー(c1)に加えて、または、その代わりに、本発明の粉末化組成物は式(M7):
【化4】
で示される構造単位を追加の構造単位として有するコポリマー(c1)から出発したコポリマー(c2)をまた含み得る。
【0075】
したがって、さらなる特に好ましい本発明の粉末化組成物は、カチオン性固定用ポリマーとして、式(M11-a)で示される少なくとも1つの構造単位および式(M-6)で示される少なくとも1つの構造単位および式(M-7)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化5】
を含む少なくとも1種のコポリマー(c2)を含むことを特徴とする。
【0076】
これに関して、また、コポリマー(c2)が、式(M11-a)、(M6)および(M7)で示される上記構造単位のコポリマー中への組込みから得られるポリマー単位に加えて、他のモノマーの組込みに由来する最大5重量%、好ましくは最大1重量%のポリマー単位を含む場合、特に好ましい。コポリマー(c2)は、好ましくはもっぱら式(M11-a)、(M6)および(M7)で示される構造単位から構成される。
【0077】
成分(c2)の正のポリマー電荷を与えるために、あらゆる考えられる生理学的に許容性のアニオン、例えば塩化物、臭化物、水素スルフェート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、テトラフルオロボレート、ホスフェート、ハイドロゲンホスフェート、ジハイドロゲンホスフェートまたはp-トルエンスルホネート、トリフラートを使用してよい。
【0078】
メトスルフェートイオンを式(Poly2)で示されるポリマーの正電荷を与えるために使用する場合)、かかるN-メチルビニルイミダゾール/ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタムはコポリマーはINCI名によりポリクオタニウム-46と命名されており、例えば商品名Luviquat(登録商標)HoldのもとでBASFより入手可能である。
【0079】
きわめて好ましいコポリマー(c2)は、式(M11-a)で示される構造単位1〜20mol%、好ましくは5〜15mol%、特に10mol%、および、式(M6)で示される構造単位30〜50mol%、好ましくは35〜45mol%、特に40mol%、および、式(M7)で示される構造単位、40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、特に60mol%を含む。
【0080】
コポリマー(c1)および/または(c2)に加えて、または、その代わりに、本発明の粉末化組成物は、固定用カチオンセイポリマーとして、構造単位として、式(M11-a)および(M6)で示される構造単位、ならびに、ビニルイミダゾール単位の群から選択される追加の構造単位およびアクリルアミドおよび/またはメタクリルアミド単位の群から選択されるさらなる構造単位を有するコポリマー(c3)をまた含み得る。
【0081】
さらなる特に好ましい本発明の粉末状組成物は、追加のカチオン性固定用ポリマーとして、カチオン性固定用ポリマー式(M11-a)で示される少なくとも1つの構造単位、および、式(M6)で示される少なくとも1つの構造単位、および、式(M10)で示される少なくとも1つの構造単位および式(M12)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化6】
を含む、少なくとも1種のコポリマー(c3)を含む。
【0082】
また、これに関して、コポリマー(c3)が、上記式(M11-a)、(M6)、(M8)および(M12)で示される構造単位のコポリマー中への組込みから得られるポリマー単位に加えて、他のモノマーの組込みに由来する最大5重量%、好ましくは最大1重量%のポリマー単位を含む場合、特に好ましい。コポリマー(c3)は、好ましくはもっぱら式(M11-a)、(M6)、(M8)および(M12)で示される構造単位から構成される。
【0083】
成分(c3)の正のポリマー電荷を与えるために、あらゆる考えられる生理学的に許容性のアニオン、例えば塩化物、臭化物、水素スルフェート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、テトラフルオロボレート、ホスフェート、ハイドロゲンホスフェート、ジハイドロゲンホスフェートまたはp-トルエンスルホネート、トリフラートを使用してよい。
【0084】
メトスルフェートイオンを式(Poly3)で示されるポリマーの正電荷を与えるために使用する場合、かかるN-メチルビニルイミダゾール/ビニルピロリドン/ビニルイミダゾール/メタクリルアミドコポリマーはINCI名によりポリクオタニウム-68と命名されており、例えばBASFより、Luviquat(登録商標)Supremeの商品名のもとで入手可能である。
【0085】
きわめて好ましいコポリマー(c3)は、式(M11-a)で示される構造単位1〜12mol%、好ましくは3〜9mol%、特に6mol%、および、式(M6)で示される構造単位45〜65mol%、好ましくは50〜60mol%、特に55mol%、および、式(M8)で示される構造単位1〜20mol%、好ましくは5〜15mol%、特に10mol%、および、式(M12)で示される構造単位20〜40mol%、好ましくは25〜35mol%、特に29mol%を含む。
【0086】
さらなる特に好ましい本発明の粉末状組成物は、カチオン性固定用ポリマーとして、式(M6)で示される少なくとも1つの構造単位、式(M13)で示される少なくとも1つの構造単位、式(M8)で示される少なくとも1つの構造単位、および、式(M11)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化7】
[式中、
R''は(C〜C)アルキル基、特にメチル基を表し、
Rは水素原子またはメチル基を表し、
R'''は水素原子または生理学的に許容性のカチオンの等価物の1種を表す]
を含む少なくとも1種のコポリマー(c4)を含む。構造単位(IV)の正の電荷を与えるために、あらゆる考えられる生理学的に許容性のアニオン、例えば塩化物、臭化物、水素スルフェート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、テトラフルオロボレート、ホスフェート、ハイドロゲンホスフェート、ジハイドロゲンホスフェートまたはp-トルエンスルホネート、トリフラートを使用してよい。
【0087】
本発明の(C〜C)アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチルである。
【0088】
該コポリマーのカチオン性電荷の電荷密度は、pH7のpHで0.8meq/gであることが本発明に好ましい。
【0089】
式(M13)中のRがメチル基を表す場合、本発明に好ましい。式(M13)のR'''が水素原子を表す場合、本発明に好ましい。式(M11)のR''がメチル基を表す場合、本発明に好ましい。.
【0090】
本発明に特に好ましいコポリマーは、式(M6)で示される少なくとも1つの構造単位、式(M13-a)で示される少なくとも1つの構造単位、式(M8)で示される少なくとも1つの構造単位、および式(M11-a)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化8】
を含有する。
【0091】
本発明の剤は、きわめて好ましくは、該コポリマーとして、N-ビニルピロリドン、N-ビニルイミダゾール、N-メチル-N'-ビニルイミダゾリウムクロリドおよびメタクリル酸のコポリマーを含む。
【0092】
コポリマーとして、INCI名 ポリクオタニウム-86の名称のコポリマーが本発明の剤に含まれる場合、本発明に最も好ましい。INCIは、化粧品原料の国際命名法の略である。このようなコポリマーは、例えばBASF SEより、商品名Luvigel(登録商標)Advancedのもとで、白色粉末の形態で、市販されている。
【0093】
上記式(M11-a)で示される少なくとも1つの構造要素を有するカチオン性ポリマーから選択される、毛髪化粧品として有効な好ましい粉末状化合物は、以下を包含する:
・ビニルピロリドン/1-ビニル-3-メチル-1H-イミダゾリウムクロリドコポリマー(例えばINCI名 ポリクオタニウム-16を有し、商品名Luviquat(登録商標)Style、Luviquat(登録商標)FC 370、Luviquat(登録商標)FC 550、Luviquat(登録商標)FC 905およびLuviquat(登録商標)HM 552(BASF SE)のもとで市販されているもの)、
・ビニルピロリドン/1-ビニル-3-メチル-1H-イミダゾリウムメチルスルフェートコポリマー(例えばINCI名 ポリクオタニウム-44を有し、商品名Luviquat(登録商標)Care(BASF SE)のもとで市販されているもの)、
・ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム/1-ビニル-3-メチル-1H-イミダゾリウムターポリマー(例えばINCI名 ポリクオタニウム-46を有し、商品名Luviquat(登録商標)CareまたはLuviquat(登録商標)Hold(BASF SE)のもとで市販されているもの)、
・ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール/1-ビニル-3-メチル-1H-イミダゾリウムメチルスルフェートコポリマー(例えばINCI名 ポリクオタニウム-68を有し、商品名Luviquat(登録商標)Supreme(BASF SE)のもとで販売されているもの)、
・N-ビニルピロリドン、N-ビニルイミダゾール、N-メチル-N'-ビニルイミダゾリウムクロリドおよびメタクリル酸のコポリマー(例えばINCI名 ポリクオタニウム-86を有し、商品名Luvigel(登録商標)Advanced(BASF SE) のもとで市販されているもの)
ならびにこれらのポリマーの混合物。
【0094】
本発明の粉末状組成物中で用いることができるさらなる好ましいカチオン性ポリマーは、「一時的カチオン性」ポリマーである。これらポリマーは、通常、特定のpH値において第四級アンモニウム基として存在し、よってカチオン性であるアミノ基を含む。
【0095】
本発明に関して、好適な一時的カチオン性ポリマーは、同様に、式(M1-1)〜(M1-8):
【化9】
で示される少なくとも1つの構造単位を有するものである。
【0096】
これに関して、これらコポリマーはまた、好ましくは、式(M10):
【化10】
[式中、
nは1または3を表す]
で示される少なくとも1つの構造単位に加えて、式(M1-1)〜(M1-8)で示される少なくとも1つの構造単位を含む。
【0097】
ここでまた、ポリマーの群:
・ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(例えば商品名Gaffix(登録商標)VC 713(ISP)のもとでのINCI名:ビニルカプロラクタム/PVP/ジ-メチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、
・ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー
・(例えば商品名Aquaflex(登録商標)SF-40(ISP)のもとでのINCI名:VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマー)、
・(例えば粉末として、INCI名:ビニルカプロラクタム/VP/ジ-メチルアミノエチルメタクリレートコポリマーを有する市販製品Advantage S(ISP製)の形態における)粉末としての)ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、
・ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー(例えば商品名Styleze(登録商標)CC-10(ISP)のもとでのINCI名:VP/DMAPAアクリレートコポリマー)、
は好ましい列挙を表し、これから少なくとも1種またはそれ以上のポリマーを選択してよい。
【0098】
本発明の粉末状組成物は、好ましくは、それぞれ、本発明の粉末状組成物の総重量に対して2.0重量%〜95重量%、特に5.0重量%〜95.0重量%、きわめて好ましくは7.5重量%〜95.0重量%の量のカチオン性ポリマーを含む。
【0099】
本発明の粉末状組成物はまた、毛髪化粧剤として有効な粉末状化合物として少なくとも1種の両性固定用ポリマーを含み得る。用語両性ポリマーは、その分子が遊離のアミノ基ならびに遊離の-COOHまたはSOH基の両方を含み、内部塩を形成することができるポリマーだけでなく、その分子が第4級アンモニウム基および-COO基または−SO基を含む双性イオン性ポリマー、および、-COOH基またはSOH基と第4級アンモニウム基とを含むポリマーをも包含する。本発明により使用してよい両性ポリマーの例は、称号Amphomer(登録商標)のもとで得られるアクリル樹脂であり、これは、tert-ブチルアミノエチルメタクリレート、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アクリルアミドならびにアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純エステルからなる群から選択される2種以上のモノマーのコポリマーを構成する。
【0100】
本発明の粉末化組成物は、両性固定用ポリマーをそれぞれ組成物全体の重量に対して0.1重量%〜20.0重量%、特に好ましくは0.05重量%〜10.0重量%の量で、好ましくは含む。0.1〜5.0重量%の量はきわめて好ましい。
【0101】
さらに、好ましくは少なくとも1種のアニオン性固定用ポリマーを毛髪化粧品として有効な粉末状化合物として用いることができる。アニオン性ポリマーは、カルボ記しレート基および/またはスルホネート基を好ましくは有するアニオン性ポリマーに関する。このようなポリマーをそこから作ることができるアニオン性モノマーの例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸である。ここで、酸性基は完全にまたは部分的に、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、モノまたはトリエタノルアンモニウム塩として存在してよい。
【0102】
この態様において、少なくとも1種のアニオン性モノマーおよび少なくとも1種の非イオン性モノマーのコポリマーを使用することが好ましい。アニオン性モノマーに関して上記に述べた物質が参照される。好ましい非イオン性モノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピロリドン、ビニルエーテルおよびビニルエステルである。
【0103】
好ましいアニオン性コポリマーは、アクリル酸-アクリルアミドコポリマー、特にスルホン酸基を含有するモノマーとのポリアクリルアミドコポリマーである。特に好ましいアニオン性コポリマーは、70〜55モル%のアクリルアミドおよび30〜45モル%の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸からなり、ここで、該スルホン酸基は完全にまたは部分的に、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、モノまたはトリエタノルアンモニウム塩として存在してよい。さらなる好ましい使用可能なアニオン性ポリマーは、以下からなる群から選択される:
・酢酸ビニルおよびクロトン酸のコポリマー(例えばCIBAにより、市販製品Aristoflex(登録商標)A 60として60重量%濃度のイソプロパノール-水分散体で市販され、INCI名VA/クロトネートコポリマーを有するようなもの)、
・アクリル酸エチルおよびメタクリル酸のコポリマー(例えばBASF SEより、商品名Luviflex(登録商標)Softのもとで、84〜105の酸価を有し、INCI名 アクリレートコポリマーのもとで、約20〜30重量%濃度の水分散体において市販されるようなもの)、
・少なくとも1つのカルボン酸基を含有するポリウレタン(例えばBASF SEより商品名Luviset(登録商標)PURのもとで市販され、INCI名ポリウレタン-1を有するようなイソフタル酸、アジピン酸、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびイソホロンジイソシアネートのコポリマー)。
【0104】
少なくとも1種のワックスは、毛髪化粧品として有効な本発明に好ましい粉末状化合物として適当である。本発明によるワックスは、1013mbarで、38℃〜95℃の範囲の融点を示す。
【0105】
ワックスは、好ましくは植物ワックス、動物ワックスおよび鉱物ワックスの中から選択され、好ましいワックスは、50〜90℃の範囲の融点を有するものである。
【0106】
本発明によれば、本発明の粉末状組成物は特に好ましくは、ビーズワックス(Cera Alba)、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、米ヌカワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、微結晶パラフィンワックス、オゾケライトワックスおよびパルミチン酸セチルの群の少なくとも1種のワックスから選択される少なくとも1つのワックスを含む。
【0107】
本発明の教示はまた、複数のワックスの併用をも含む。したがって、別のワックスの融点および滴点を高め、その粘着性を低減するために、カルナウバワックスの追加を用いることができる。場合により別の添加剤とブレンドさせた一連のワックス混合物は、それに応じて市販され入手可能である。本発明に好ましく用いられる混合物の例は、以下である:「Spezialwachs 7686 OE」(73-75℃の溶融範囲を有する、パルミチン酸セチル、ビーズワックス、微結晶ワックスおよびポリエチレンの混合物;製造者:Kahl & Co)、Kahl wax 6240(水素化植物油)および「Weichceresin(登録商標)FL 400」(50-54℃の融点を有するワセリン/ワセリン油/ワックス混合物;製造者:Parafluid Mineraloelgesellschaft)。
【0108】
本発明の組成物が、有効な毛髪化粧品である粉末状化合物として、少なくとも1種のワックスと共に少なくとも1種の乳化剤を追加的に含む場合、特に好ましいことがわかった。この態様に関して、少なくとも1種のワックスとブレンドする際に、例えば吸収により、粉末状化合物を与える限りにおいて、液状の乳化剤を用いてもよい。
【0109】
好ましい乳化剤は非イオン性であり、親水性基として、例えばポリオール基、ポリアルキレングリコールエーテル基またはポリオールおよびポリグリコールエーテル基の組合せを含む。本発明の粉末状組成物は、少なくとも1種のワックスに加えて、以下からなる群から選択される少なくとも1種の化合物から選択される少なくとも1種の非イオン性乳化剤を好ましくは含む:
・8〜30個の炭素原子を含有する飽和または不飽和、直鎖状または分枝状脂肪アルコールへの、8〜30個の炭素原子を有する脂肪酸への、2〜100molのエチレンオキシドおよび/または1〜5molのプロピレンオキシド付加生成物、
・8〜30個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状脂肪アルコールへの、8〜30個の炭素原子を有する脂肪酸への、および、アルキル基において8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、メチルまたはC-Cアルキル残基で末端ブロック化された、2〜50molのエチレンオキシドおよび/または1〜5molのプロピレンオキシド付加生成物、例えば製品名Dehydol(登録商標)LS、Dehydol(登録商標)LT(Cognis)のもとで市販されている種類のもの、
・グリセリンへの1〜30molのエチレンオキシド付加生成物の、C12-C30脂肪酸モノエステルおよびジエステル、
・ヒマシ油および水素化ヒマシ油への5〜60molのエチレンオキシド付加生成物、
・脂肪酸のポリオールエステル、例えば市販製品Hydagen(登録商標)HSP(Cognis)またはSovermolタイプ(Cognis)、
・アルコキシ化トリグリセリド、
・式(E4-I):
CO-(OCHCHR)OR (E4-I)
[式中、RCOは6〜22個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状、飽和および/または不飽和アシル残基を表し、Rは水素またはメチルを表し、Rは1〜4個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状アルキル残基を表し、wは1〜20の数を表す]
で示されるアルコキシ化脂肪酸アルキルエステル、
・アミンオキシド、
・ヒドロキシ混合エーテル、
・脂肪酸のソルビトールエステル、および、脂肪酸のソルビトールエステルへのエチレンオキシド付加生成物、例えばポリソルベート、
・脂肪酸の糖エステル、および、脂肪酸の糖エステルへのエチレンオキシド付加生成物、
・脂肪酸アルカノールアミドおよび脂肪アミンへのエチレンオキシド付加生成物、
・式(E4-II):
O-[G] (E4-II)
[式中、Rは4〜22個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル残基を表し、Gは5または6個の炭素原子を含有する糖残基を表し、pは1〜10の数を表す]
で示されるアルキルおよびアルケニルオリゴグリコシド型の糖界面活性剤。
【0110】
本発明の粉末状組成物の成分(c)として示された量に関して、乳化剤、特に非イオン性乳化剤は、好ましくは0.5〜20.0、特に1.0〜15重量%の量で剤中に含まれる。
【0111】
本発明の粉末状組成物は、成分(b)として、成分(a)および成分(c)とは異なる少なくとも1種の粉末状固体を、フィラーとして、その重量に対して0〜10重量%、特に好ましくは0〜5重量%、きわめて好ましくは0〜1.0重量%の量で含むことが好ましい。
【0112】
成分(b)の粉末状固体は、好ましくは水溶性である。しかしながら、本発明に関して、0〜5.0重量%の非水溶性粉末状固体をフィラーとして使用することが許容される。この場合、請求項1の要求に従う溶解性試験は、成分(b)水溶性原料なしに行う。本発明の主題の最も最適な解決のために、本発明の粉末状組成物はきわめて好ましくは、粉末状、非水溶性固体をフィラーとして含有しない。ある物質が100mLの蒸留水中に35℃で最大0.1gで溶解する場合、該物質は非水溶性である。

【0113】
金属酸化物は、成分(b)の粉末状固体として特に適当である。これら金属酸化物は、親水性または疎水性であり得る。
【0114】
好適な金属酸化物は、本発明により、ケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、二酸化亜鉛ならびに二酸化ケイ素からなる群の少なくとも1種の例から選択される。
【0115】
特に好ましいケイ酸アルミニウム(アルモシリケートとも称される)は、フィロケイ酸塩、立体網状ケイ酸塩またはそれらの混合物から選択される。
【0116】
好適なフィロケイ酸塩は、カオリン(ここで、とりわけカオリナイト、ディッカイト、ハロサイトならびにナクライト)、蛇紋岩、タルク、パイロフィライト、モンモリロナイト、石英、ベントナイト、マイカ(ここで、とりわけイライト、硬質雲母、パラゴナイト、金雲母、リシア雲母、真珠雲母)、スメクタイト(ここでとりわけモンモリロナイト、サポナイト、ノントロナイト、ヘクトライト)から選択される。
【0117】
好適な立体網状ケイ酸塩は、長石鉱物(とりわけ曹長石、正長石、灰長石、ハクリュウ石、ソーダライト、アウイン、そう灰長石、青金石(lasurite)、ノゼアン、カスミ石)、ゼオライトから選択される。
【0118】
ホスフェートは、それらの使用が環境的理由により避けるべきでない限りにおいて、成分(b)の粉末状固体として同様に適当である。市販され入手可能な多くのホスフェートの中で、アルカリ金属ホスフェートは良好に適し、三リン酸五ナトリウムまたは五カリウム(トリポリリン酸ナトリウムまたはカリウムホスフェート)は特に好ましい。
【0119】
「アルカリ金属ホスフェート」は、種々のリン酸のアルカリ金属塩(より具体的にはナトリウム塩およびカリウム塩)の総称であり、ここで、メタリン酸(HPO)およびオルトリン酸HPOは、より高分子量の例から区別される。挙げられ得るこのようなホスフェートの例は、三リン酸五ナトリウム、Na10(トリポリリン酸ナトリウム)ならびに対応するカリウム塩、三リン酸五カリウムK10(トリポリリン酸カリウム)である。本発明によれば、トリポリリン酸ナトリウム カリウムがまた、好ましく用いられる。
【0120】
さらなる適当な成分(b)の粉末状固体は、デキストリン、例えばデンプンの部分的加水分解により得ることができる炭水化物のオリゴマーまたはポリマーである。該加水分解は、通常の方法、例えば酸性または酵素触媒的方法を用いて行うことができる。加水分解生成物は、好ましくは、400〜500 000g/molの範囲の平均分子量を有する。0.5〜40、より具体的には2〜30のデキストロース当量(DE)を有する多糖類が好ましく、DEは、100のDEを有するデキストロースとの比較における、多糖類の低減効果の許容される測定である。3〜20のDEを有するマルトデキストリン、および20〜37のDEを有する乾燥グルコースシロップならびに2000〜30000g/molのより高い分子量を有するいわゆる黄色デキストリンおよび白色デキストリンのいずれもを使用してよい。
【0121】
このようなデキストリンの酸化誘導体は、糖の環の少なくとも1つのアルコール官能基をカルボン酸官能基へと酸化することができる酸化剤との反応生成物に関する。
【0122】
1価金属イオンの鉱物塩、例えばNaSOまたは塩化ナトリウムは、同様に適当であることがわかった。
【0123】
本発明に関して、粉末状組成物は、好ましくは、粉末状組成物の総重量に対して0〜50重量%、特に0.1〜30.0重量%の少なくとも1種の粒子状増粘剤が助剤として含まれる。
【0124】
増粘剤は、液体を吸収し、それによって膨潤し、粘性溶液(実在溶液またはゲル)へと変化させる物質である。
【0125】
特に好ましい粉末状組成物は、粒子状増粘剤として、少なくとも1種のアニオン性ポリマーおよび/または少なくとも1種の非イオン性ポリマーを含む。
【0126】
この種のアニオン性ポリマーは、粒子状増粘剤として、好ましくはカルボキシル化セルロース、特にカルボキシメチルセルロースの中から選択される。
【0127】
エチレン性ポリマー骨格およびカルボン酸基を有するポリマーも適当である。ポリアクリル酸は特に適当である。
【0128】
本発明に好適な粒子状増粘剤は、式(V-1)で示される少なくとも1つの構造単位および式(V-2)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化11】
[式中、
およびRは、互いに独立して、水素原子またはメチル基を表し、
は、(C〜C30)アルキル基を表し、
は、生理学的に許容性のカチオンを表し、
は、基−(CHCHO)[式中、xは5〜35の整数を表す]、基−(CHCHMeO)[式中、yは5〜35の整数を表す]または基−(CHCHO)−(CHCHMeO)[式中、x+yの合計は5〜35の整数を表し、xおよびyはゼロより大きい]を表す]
を含有する、少なくとも1種の両親媒性、アニオン性ポリマーである。
【0129】
さらに、(V-1)で示される少なくとも1つの構造単位および式(V-2-a)で示される少なくとも1つの構造単位および式(V-3)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化12】
[式中、
およびRは、互いに独立して、水素原子またはメチル基を表し、、
は(C〜C30)アルキル基を表し、
は(C〜C)アルキル基、とりわけエチルを表し、
は生理学的に許容性のカチオンを表し、
xは5〜35の整数、とりわけ10〜30の整数を表す]
を含有する少なくとも1種のポリマーから選択される両親媒性、アニオン性ポリマーを選択することが特に好ましい。
【0130】
特に好ましい粉末状増粘剤は、架橋型、両親媒性、アニオン性ポリマーであり、これはINCI名アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマーに当てはまる。これは、20のエチレンオキシド単位を有し(式(II-a)におけるx=20)、ステアリルアルコールでエーテル化されている(式(II-a)におけるR=ステアリル)。この種のポリマーは、例えば商品名Aculyn(登録商標)88のもとで、Rohm & Haasより、28〜30重量%濃度水中分散体の形態で市販されている。
【0131】
特に好ましい粉末状増粘剤は、架橋型、両親媒性、アニオン性ポリマーであり、これは、INCI名アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマーに当てはまる。これは、20のエチレンオキシド単位を有し(式(II-a)におけるx=20)、ステアリルアルコールでエーテル化されている(式(II-a)におけるR=ステアリル)。この種のポリマーは、例えば商品名Aculyn(登録商標)22のもとで、Rohm & Haasより、28〜30重量%濃度水中分散体の形態で市販されている。
【0132】
きわめて好ましい両親媒性、アニオン性ポリマーは、25のEO単位を有し(式(V-2a)におけるx=25)、ベヘニルアルコールでエーテル化されており(式(V-2a)におけるR=C20アルキル)、INCI名によりアクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマーと命名されている。この種のポリマーは、例えば商品名Aculyn(登録商標)28(Rohm & Haas)のもとで入手可能である。
【0133】
きわめて好ましい両親媒性、アニオン性ポリマーは、25のエチレンオキシド単位を有し(式(V-2a)におけるx=25)、ヤシ脂肪アルコールでエーテル化されており(式(IV-a)におけるR=ヤシ油脂肪酸のアルキル鎖分布)、INCI名によりアクリレート/パルメス-25アクリレートコポリマーと命名されている。この種のポリマーは、例えば3 V Sigma社より、商品名Synthalen(登録商標)W 2000のもとで、30〜32重量%濃度の水中エマルジョンとして入手可能である。
【0134】
本発明の粉末状組成物における好適な粒子状増粘剤は、また、式(C1)で示される少なくとも1つのモノマー、ならびに式(C2)で示される少なくとも1つのイタコン酸エステルモノマー:
【化13】
[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRの少なくとも1種のR残基は基-A-Rを表し、その他方は水素原子を表し、ここで、
は、基−(CHCHO)[式中、xは5〜35の整数(とりわけ10〜30の整数)を表す]を表し、
は、(C〜C30)アルキル基を表し、
は、生理学的に許容性のカチオンの等価物の1つを表す]
から形成される少なくとも1種の両親媒性アニオン性ポリマーである。
【0135】
これら好ましい両親媒性アニオン性ポリマーは、また、アクリレート/セテス-20イタコネートコポリマー(例えばAkzo NobelよりStructure(登録商標)3001として入手可能)、アクリレート/パルメス-25イタコネートコポリマー(例えば3V SigmaよりPolygel W30(登録商標)またはPolygel W40(登録商標)として入手可能)、アクリレート/ステアレス-20イタコネートコポリマー(例えばAkzo NobelよりStructure(登録商標)2001として入手可能)からなる群の少なくとも1種のポリマーから選択されることが好ましい。
【0136】
きわめて好ましい本発明の剤は、粉末状増粘剤として、式(P-I)で示される少なくとも1つの構造単位および式(P-II)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化14】
[式中、Mは水素、1当量の生理学的に許容性のカチオン(とりわけナトリウムイオン)または(C〜C)ヒドロキシアルキル基(特に2-ヒドロキシエチル)を表し、
は生理学的に許容性のカチオンを表す]
を含有する少なくとも1種のスルホン酸ポリマーを追加的に含む。
【0137】
式(P-II)で示される構造単位は、完全にまたは部分的に中和されていてよい2-メチル-2[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(AMPS)から誘導される。NaおよびNHはカチオンとして通常好ましい。
【0138】
式(P-I)のMが水素またはナトリウムを表す好ましいスルホン酸ポリマーは、一般式(P1):
【化15】
で記載することができ、ここで、それぞれの指数nおよびoは、ポリマーの分子量に応じて変化し、必ずしも表現的にブロックコポリマーを意味することを意図するものではない。実際に、式(P-I)および(P-II)で示される構造単位は、分子中に統計的に分布していてもよい。
【0139】
好ましいこの種のスルホン酸ポリマーは、2-メチル-2[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(AMPS)およびアクリル酸ナトリウムのコポリマーであり、これは、例えば市販製品Simulgel(登録商標)EG(INCI名:アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、イソヘキサデカン、ポリソルベート80)としてSeppic社より入手可能である。
【0140】
前記追加のスルホン酸ポリマーが、式(P-I)および(P-II)で示される構造単位に加えて、式(P-III):
【化16】
で示される少なくとも1つの構造単位を追加的に含有する場合、本発明に好ましい。
【0141】
この第3モノマーは、ジメチルアクリルアミドである。
【0142】
この種の好ましいスルホン酸ポリマーは、2-メチル-2[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸、N,Ν-ジメチルアクリルアミドおよびアクリル酸ナトリウムのコポリマーである。このようなアニオン性ポリマーは、増粘剤として、INCI名アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウレート/ジメチルアクリルアミドクロスポリマーで、例えば商品名Sepinov P88のもとで、SEPPICより、粉末形態で市販されている。
【0143】
これらの好ましいスルホン酸ポリマーは、一般式(P2):
【化17】
により記載することができ、ここで、それぞれの指数mおよびnおよびoは、ポリマーの分子量に応じて変化し、必ずしも表現的にブロックコポリマーを意味することを意図するものではない。実際に、式(P-I)、(P-II)および(P-III)で示される構造単位は、分子中に統計的に分布していてもよい。
【0144】
式(P-I)、(P-II)および(P-III)で示されるモノマーは、コポリマーAが5〜1000kDaの分子量を有するような数および分布で、スルホン酸ポリマー中に好ましくは含まれる。スルホン酸ポリマーは、好ましくは、式(P-I)、(P-II)および(P-III)で示されるモノマーを所定の限度内で含む。ここで、本発明に好ましい剤は、以下:
・10〜90mol%、好ましくは15〜85mol%、とりわけ20〜80mol%の式(P-I)で示されるモノマー、
・5〜85mol%、好ましくは7.5〜80mol%、とりわけ10〜60mol%の式(P-II)で示されるモノマー、
・5〜85mol%、好ましくは10〜80mol%、とりわけ15〜70mol%の式(P-III)で示されるモノマー
を含むスルホン酸ポリマーを含むことを特徴とする。
【0145】
上記式(P-I)中の残基Rが(C〜C)ヒドロキシアルキル基、特に2-ヒドロキシエチル基を表す場合、得られるアニオン性ポリマーは最も好ましい粉末状増粘剤であり、これから、少なくとも1種の化合物が本発明の粉末状組成物に含まれる。
【0146】
この態様のアニオン性ポリマーは、INCI名アクリル酸ヒドロキシエチルa/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーで、例えば粉末形態で、Seppicより、商品名Sepinov(登録商標)EMT 10のもとで市販されている。
【0147】
本発明の剤が1種以上のスルホン酸ポリマーを含有するかどうかとは独立に、スルホン酸ポリマーを所定の量範囲で導入することが好ましい。ここで、好ましい本発明の粉末状剤は、それぞれ剤の重量に対して0.1〜50重量%、好ましくは5.0〜40.0重量%、特に10.0〜30.0重量%の量のスルホン酸ポリマーを含む。
【0148】
別の好ましい態様に関して、本発明の粉末状組成物は(特に、少なくとも1種のアニオン性ポリマーおよび/または少なくとも1種の非イオン性ポリマーから選択される)このような粒子を好ましくは含み、その平均粒子径(d0.5 体積関連、レーザー回折を用いて測定)は、10μm〜800μm、特に25μm〜500μmの範囲である。
【0149】
態様(A)〜(J)の態様は、本発明に関してきわめて好ましい:
【0150】
(A):その重量に対して
(a)5〜100重量%の、毛髪化粧品として有効であり、固形状、フィルム形成化合物、界面活性剤からなる群の少なくとも1種の例から選択される、少なくとも1種の粉末状化合物、
(b)0〜25重量%の、(a)および(c)と異なる、フィラーとしての少なくとも1種の粉末状固体、
(c)0〜50重量%、特に0.1〜30重量%の、(a)および(b)と異なり、乳化剤、増粘剤ならびにそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の助剤
を含む粉末状組成物であって、ただし、0.4gの粉末状組成物は、毎分101回転でタンブルミキサー中で混合して、100mLの水に35℃で5分以内、特に4分以内に溶解する、粉末状組成物。
【0151】
(B):その重量に対して
(a)5〜100重量%の、毛髪化粧品として有効であり、固定用ポリマーおよびワックスからなる群の少なくとも1種の例から選択される、少なくとも1種の粉末状化合物、
(b)0〜25重量%の、(a)および(c)と異なる、フィラーとしての少なくとも1種の粉末状固体、
(c)0〜50重量%、特に0.1〜30重量%の、(a)および(b)と異なり、乳化剤、増粘剤ならびにそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の助剤
を含む粉末状組成物であって、ただし、0.4gの粉末状組成物は、毎分101回転でタンブルミキサー中で混合して、100mLの水に35℃で5分以内、特に4分以内に溶解する、粉末状組成物。
【0152】
(C):その重量に対して
(a)5〜100重量%の、毛髪化粧品として有効であり、固定用ポリマーおよびワックスからなる群の少なくとも1種の例から選択される、少なくとも1種の粉末状化合物、
(b)0〜25重量%の、(a)および(c)と異なる、フィラーとしての少なくとも1種の粉末状固体、
(c)0〜50重量%、特に0.1〜30重量%の、(a)および(b)と異なり、アニオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の粉末状増粘剤から選択される、少なくとも1種の助剤
を含む粉末状組成物であって、ただし、0.4gの粉末状組成物は、毎分101回転でタンブルミキサー中で混合して、100mLの水に35℃で5分以内、特に4分以内に溶解する、粉末状組成物。
【0153】
(D):その重量に対して
(a)5〜100重量%の、毛髪化粧品として有効であり、固定用ポリマーおよびワックスからなる群の少なくとも1種の例から選択される、少なくとも1種の粉末状化合物、
(b)0〜25重量%の、(a)および(c)と異なる、フィラーとしての少なくとも1種の粉末状固体、
(c)0〜50重量%、特に0.1〜30重量%の、(a)および(b)と異なり、式(P-I)で示される少なくとも1つの構造単位および式(P-II)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化18】
[式中、Mは水素、1当量の生理学的に許容性のカチオン(とりわけナトリウムイオン)または(C〜C)ヒドロキシアルキル基(特に2-ヒドロキシエチル)を表し、
は、生理学的に許容性のカチオンを表す]
を含有するスルホン酸ポリマーから選択される少なくとも1種の粉末状増粘剤から選択される、少なくとも1種の助剤
を含む粉末状組成物であって、ただし、0.4gの粉末状組成物は、毎分101回転でタンブルミキサー中で混合して、100mLの水に35℃で5分以内、特に4分以内に溶解する、粉末状組成物。
【0154】
(E):その重量に対して
(a)5〜100重量%の、毛髪化粧剤として有効な、少なくとも1種のワックスから選択される、少なくとも1種の粉末状化合物、
(b)0〜25重量%の、(a)および(c)と異なる、フィラーとしての少なくとも1種の粉末状固体、
(c)0〜50重量%、特に0.1〜30重量%の、(a)および(b)と異なり、少なくとも1種の乳化剤および任意に少なくとも1種の増粘剤から選択される、少なくとも1種の助剤、
ただし、0.4gの粉末状組成物は、毎分101回転でタンブルミキサー中で混合して、100mLの水に35℃で5分以内、特に4分以内に溶解する
を含む粉末状組成物。
【0155】
(F):その重量に対して
(a)5〜100重量%の、毛髪化粧剤として有効な、少なくとも1種のワックスから選択される、少なくとも1種の粉末状化合物、
(b)0〜25重量%の、(a)および(c)と異なる、フィラーとしての少なくとも1種の粉末状固体、
(c)0〜50重量%、特に0.1〜30重量%の、(a)および(b)と異なり、少なくとも1種の乳化剤および任意にアニオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の粉末状増粘剤から選択される、少なくとも1種の助剤
を含む粉末状組成物であって、ただし、0.4gの粉末状組成物は、毎分101回転でタンブルミキサー中で混合して、100mLの水に35℃で5分以内、特に4分以内に溶解する、粉末状組成物。
【0156】
(G):その重量に対して
(a)5〜100重量%の、毛髪化粧剤として有効な、少なくとも1種のワックスから選択される、少なくとも1種の粉末状化合物、
(b)0〜25重量%の、(a)および(c)と異なる、フィラーとしての少なくとも1種の粉末状固体、
(c)0〜50重量%、特に0.1〜30重量%の、(a)および(b)と異なり、少なくとも1種の乳化剤、および、任意に、式(P-I)で示される少なくとも1つの構造単位および式(P-II)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化19】
[式中、Mは、水素、1当量の生理学的に許容性のカチオン(とりわけナトリウムイオン)または(C〜C)ヒドロキシアルキル基(特に2-ヒドロキシエチル)を表し、
は、生理学的に許容性のカチオンを表す]
を含有するスルホン酸ポリマーから選択される粉末状増粘剤から選択される、少なくとも1種の助剤
を含む粉末状組成物であって、ただし、0.4gの粉末状組成物は、毎分101回転でタンブルミキサー中で混合して、100mLの水に35℃で5分以内、特に4分以内に溶解する、粉末状組成物。
【0157】
(H):その重量に対して、
(a)5〜100重量%の、毛髪化粧剤として有効な、少なくとも1種の固定用ポリマーから選択される、少なくとも1種の粉末状化合物、
(b)0〜25重量%の、(a)および(c)と異なる、フィラーとしての少なくとも1種の粉末状固体、
(c)0〜50重量%、特に0.1〜30重量%の、(a)および(b)と異なり、少なくとも1種の増粘剤および任意に追加的に少なくとも1種の乳化剤から選択される、少なくとも1種の助剤
を含む粉末状組成物であって、ただし、0.4gの粉末状組成物は、毎分101回転でタンブルミキサー中で混合して、100mLの水に35℃で5分以内、特に4分以内に溶解する、粉末状組成物。
【0158】
(I):その重量に対して
(a)5〜100重量%の、毛髪化粧剤として有効な、少なくとも1種の固定用ポリマーから選択される、少なくとも1種の粉末状化合物、
(b)0〜25重量%の、(a)および(c)と異なる、フィラーとしての少なくとも1種の粉末状固体、
(c)0〜50重量%、特に0.1〜30重量%の、(a)および(b)と異なり、アニオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマー、および任意に追加的に少なくとも1種の乳化剤からなる群から選択される少なくとも1種の粉末状増粘剤から選択される、少なくとも1種の助剤
を含む粉末状組成物であって、ただし、0.4gの粉末状組成物は、毎分101回転でタンブルミキサー中で混合して、100mLの水に35℃で5分以内、特に4分以内に溶解する、粉末状組成物。
【0159】
(J):その重量に対して
(a)5〜100重量%の、毛髪化粧剤として有効な、少なくとも1種の固定用ポリマーから選択される、少なくとも1種の粉末状化合物、
(b)0〜25重量%の、(a)および(c)と異なる、フィラーとしての少なくとも1種の粉末状固体、
(c)0〜50重量%、特に0.1〜30重量%の、(a)および(b)と異なり、式(P-I)で示される少なくとも1つの構造単位および式(P-II)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化20】
[式中、Mは、水素、1当量の生理学的に許容性のカチオン(とりわけナトリウムイオン)または(C〜C)ヒドロキシアルキル基(特に2-ヒドロキシエチル)を表し、
は、生理学的に許容性のカチオンを表す]
を含有するスルホン酸ポリマーから選択される少なくとも1種の粉末状増粘剤から選択される、少なくとも1種の助剤
を含む粉末状組成物であって、ただし、0.4gの粉末状組成物は、毎分101回転でタンブルミキサー中で混合して、100mLの水に35℃で5分以内、特に4分以内に溶解する、粉末状組成物。
【0160】
態様(A)〜(J)について、本明細書に述べた特徴を有する前記の好ましい態様(上記参照)は、同様に、変更すべきところは変更して好ましいとしてあてはまる。さらに、上記に好ましいとして述べた平均粒子径は、態様(A)〜(J)に関して好ましい。
【0161】
本発明の粉末状組成物は、ほとんどあらゆる容器中に存在し得る。取り出す際に粉末が液状形態に既に変わらないために、組成物を取り出す際に、粉末に高すぎる機械的応力がかかりすぎないことにのみ注意すべきである。例えば、ポット、ボトル、ならびにテトラパックが適当であり、ここで、該容器は例えば注入装置および計量装置を備えていてよい。
【0162】
本発明のあらゆる粉末状組成物を、少なくとも次の好ましい製造方法により製造することができ、これは本発明の第2の主題である:
【0163】
本発明の第2の主題は、ケラチン含有繊維、特に人毛の一時的な整形のための、本発明の第1の主題の粉末化組成物の使用である。
【0164】
本発明の第3の主題は、
(i)塗布補助具として用いられる表面を湿潤させ、
(ii)本発明の第1の主題の粉末状組成物を該塗布補助具の該湿潤表面に塗布し、
(iii)少なくとも、毛髪化粧剤として有効な、前記の少なくとも1つの粉末状化合物を塗布するために、毛髪と(ii)からの表面とを接触させ、ヘアスタイルに調整し、
(iv)毛髪を乾燥させる、
ただし、該毛髪を工程(iii)の後で洗い流さない
人毛の化粧的処理方法である。
【0165】
粉末状組成物を塗布するための例示的な塗布補助具は、手、ブラシ、スポンジ、布、ヘアブラシ、豚毛ブラシ(boar brush)、毛髪ローラー、マスカラブラシまたは櫛である。これに関して、使用する塗布補助具の表面が手のひらであることが本発明に好ましい。
【0166】
工程(iii)による接触は、例えば毛髪中への粉末の慎重なマッサージ、コーミングまたはブラッシングである。
【0167】
工程(iii)によるヘアスタイリングは、毛髪化粧品として有効な、該少なくとも1種の粉末状化合物を塗布することによる1つの操作において行ってよい。
【0168】
工程(iv)における乾燥は、大気中または例えばヘアドライヤーからの温風によって乾燥することにより行ってよい。
【0169】
本発明の第4の主題は、
(i)毛髪を湿潤させ、
(ii)本発明の第1の主題の粉末状組成物を該湿った毛髪上に塗布し、
(iii)該毛髪を整え、
(iv)該毛髪を乾燥させ、
ただし、該毛髪を工程(ii)の後で洗い流さない
人毛の化粧的処理方法である。
【0170】
工程(i)における毛髪の湿潤は、繊維に液体、好ましくは水をスプレーすることによって行ってよい。好ましくは、工程(i)において、該繊維を通常のシャンプーでシャンプーし、洗い流し、次いでタオルで拭く。拭き工程の完了時、毛髪はずぶ濡れではないが、顕著に湿っているままである。
【0171】
工程(ii)において、例えば塩入れの投与システムのタイプの方法により粉末状組成物を毛髪に塗布する。
【0172】
工程(iii)によるヘアスタイリングは、毛髪化粧品として有効な、該少なくとも1種の粉末状化合物を塗布することによる1つの操作で行ってよい。
【0173】
工程(iv)における乾燥は、大気中または例えばヘアドライヤーからの温風によって乾燥することにより行ってよい。
【0174】
本発明の第1の主題の好ましい態様は、変更すべきところは変更して、本発明の第3および第4の主題にもあてはまる。
【実施例】
【0175】
1.粉末状スタイリング剤の製造
本発明の粉末状スタイリング剤E1〜E13を次の組成で、以下に記載するようにして製造した:
【表1】
【0176】
【表2】
【0177】
全ての粉末状原料を個々にグラインダー中ですり砕いた。原料を適宜混合した。このようにして得た、完成したスタイリング粉末をポリエチレンボトルに充填した。溶解速度は、前に記載した試験方法に従い測定した(上記参照)。
【0178】
2.0 塗布
2.1 湿潤毛髪上
13個の毛髪束を、上記スタイリング剤のそれぞれの1つで処理した。このために、毛髪束を湿潤させ、本発明の剤を塗布し、湿潤した毛髪束にもみ込んだ。処理された毛束を広げ、板上に固定し、乾燥させた。
【0179】
本発明の組成物E1〜E13を伴う毛髪束は、顕著な形状保持を有した。該毛髪は、明らかにより優れた構造およびテクスチャを有した。添加した粒状原料に関わらず、毛髪の視覚的な艶消しは見られなかった。毛髪はその自然な艶を維持した。
【0180】
2.2 乾燥毛髪上
13個の毛髪束を、上記スタイリング剤のそれぞれの1つを備えた手で処理した。このために、手のひらを水で湿潤させ、本発明の剤を湿潤した手のひらでつかみ、ゲルを形成させた。得られたゲルを、毛髪の束に塗布し、もみ込んだ。処理された毛髪束を広げ、板上に固定し、乾燥させた。
【0181】
毛髪は顕著により優れた構造およびテクスチャを有した。添加した粒状原料に関わらず、毛髪の視覚的な艶消しは見られなかった。毛髪はその自然な艶を維持した。
【0182】
3.用いた原料の一覧:
実施例で用いた原料を以下に示す: