(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリエチレンイミン(PEI)が第1級、第2級及び第3級アミノ基を含有し、前記第1級対第2級対第3級アミノ基の比率が1:0.8:0.5〜1:1.3:0.8である請求項1から3のいずれか一項に記載のプラスチック複合部品(CC)。
前記プラスチック複合部品(CC)が、前記プラスチック複合部品(CC)総質量に基づいて、0.01質量%〜5質量%のポリエチレンイミン(PEI)を含有する請求項1から5のいずれか一項に記載のプラスチック複合部品(CC)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
プラスチック複合部品(CC)に関する詳細及び好みは、それの製造方法、熱老化耐性の向上にポリエチレンイミン(PEI)を使用する方法、及び熱老化耐性を向上させる方法に相応に適用する。
【0023】
プラスチック複合部品(CC);第1プラスチック部品(C1)
以下、第1プラスチック部品(C1)はC1とも略称される。以下、マトリックス組成物(MC)はMCとも略称される。以下、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)はPAMとも略称される。以下、第1繊維材料(F1)はF1とも略称される。以下、表面組成物(SC)はSCとも略称される。以下、ポリアミド表面ポリマー(PAS)はPASとも略称される。
【0024】
マトリックス組成物(MC)
マトリックス組成物(MC)は、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)及び強化用の少なくとも1種の第1繊維材料(F1)を含有する。この明細書において、「ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)」という用語は、1種のみのポリアミドマトリックスポリマー(PAM)又は2種以上のポリアミドマトリックスポリマー(PAM)の混合物を意味すると理解される。同様に、「第1繊維材料(F1)」という用語にも適用する。本発明によれば、これは、1種のみの第1繊維材料(F1)又は2種以上の第1繊維材料(F1)の混合物を意味すると理解される。
【0025】
ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)
使用されたポリアミドマトリックスポリマー(PAM)は、上記に説明されたように、1種のみのポリアミドマトリックスポリマー(PAM)であってもよい。また、2種以上のポリアミドマトリックスポリマー(PAM)の使用も可能である。一般的に、好適なポリアミドマトリックスポリマー(PAM)は、90mL/g〜350mL/g、好ましくは110mL/g〜240mL/gの粘度の数値を有する。ISO 307により、該粘度の数値は、25℃で、96質量%の硫酸中の0.5質量%のポリアミドマトリックスポリマー(PAM)の溶液により測定される。
【0026】
好ましいポリアミドマトリックスポリマー(PAM)は、半結晶性ポリアミド又は非晶質ポリアミドである。好適なポリアミドマトリックスポリマー(PAM)は、500g/mol〜2000000g/molの範囲の重量平均分子量(M
W)を有する。該平均分子量(M
W)は、ASTM D4001による光散乱によって測定される。
【0027】
好適なポリアミドマトリックスポリマー(PAM)は、例えば、7個〜13個の員環を有するラクタムに由来するポリアミドである。他の好適なポリアミドマトリックスポリマー(PAM)は、ジアミンとジカルボン酸との反応により得られるポリアミドである。
【0028】
ラクタムに由来するポリアミドの例は、ポリカプロラクタム、ポリカプリロールアクタム及び/又はポリラウロラクタムに由来するものを含む。
【0029】
ジカルボン酸及びジアミンから得られるポリアミドが使用される場合、使用されたジカルボン酸は、6個〜36個の炭素原子、好ましくは6個〜12個の炭素原子を有するジカルボン酸アルカンであってもよい。さらに、芳香族ジカルボン酸は好適である。
【0030】
ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸及びテレフタル酸及び/又はイソフタル酸を含む。
【0031】
好適なジアミンの例としては、4個〜36個の炭素原子を有するアルカンジアミン、特に6個〜12個の炭素原子を有するアルカンジアミン、芳香族ジアミン、例えばm−キシリレンジアミン、ジ(4−アミノフェニル)メタン、ジ(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノシクロヘキシル)プロパン又は1,5−ジアミノ−2−メチルペンタンが挙げられる。
【0032】
好ましいポリアミドマトリックスポリマー(PAM)は、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリカプロラクタム及びナイロン−6/6,6コポリアミド、特に5質量%〜95質量%の割合のカプロラクタム単位を有するものである。
【0033】
他の好適なPAMsは、上記及び下記の2種以上のモノマーの共重合により得られたポリアミド、及び任意の所望の混合比の2種以上のポリアミドの混合物である。特に好ましくは、ナイロン−6,6と他のポリアミドとの混合物、特にナイロン−6/6,6コポリアミドである。
【0034】
他の特に有利なPAMsは、半芳香族のコポリアミド、例えば、0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満のトリアミン含有量を有するPA 6/6T及びPA 66/6Tであることが見出された。
【0035】
低いトリアミン含有量を有するこのような半芳香族のコポリアミドは、例えばEP−A 129 195及び129 196に記載の方法により、製造される。
【0036】
下記の非包括的なリストは、前述したポリアミドと、PAMsとして好適である他のポリアミドと、前記モノマーとを含有する。
【0037】
ABポリマー:
PA4 ピロリドン
PA6 ε−カプロラクタム
PA7 エタノールアクタム
PA8 カプリロールアクタム
PA9 9−アミノペラルゴン酸
PA11 11−アミノウンデカン酸
PA12 ラウロラクタム
AA/BBポリマー:
PA46 テトラメチレンジアミン、アジピン酸
PA66 ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸
PA69 ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸
PA610 ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸
PA612 ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸
PA613 ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸
PA1212 ドデカン−1,12−ジアミン、デカンジカルボン酸
PA1313 トリデカン−1,13−ジアミン、ウンデカンジカルボン酸
PA6T ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA MXD6 m−キシリレンジアミン、アジピン酸
PA6I ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸
PA6−3−T トリムエチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA6/6T (PA6及びPA6Tに参照する)
PA6/66 (PA6及びPA66に参照する)
PA6/12 (PA6及びPA12に参照する)
PA66/6/610 (PA66、PA6及びPA610に参照する)
PA6I/6T (PA6I及びPA6Tに参照する)
PA PACM12 ジアミノジシクロヘキシルメタン、ラウロラクタム
PA6I/6T/PACM PA6I/6T+ジアミノジシクロヘキシルメタンとする
PA12/MACMI ラウロラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、イソフタル酸
PA12/MACMT ラウロラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、テレフタル酸
PA PDA−T フェニレンジアミン、テレフタル酸
【0038】
したがって、本発明は、プラスチック複合部品(CC)も提供する。前記プラスチック複合部品(CC)おいて、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)は、PA4、PA6、PA7、PA8、PA9、PA11、PA12、PA46、PA66、PA69、PA610、PA612、PA613、PA1212、PA1313、PA6T、PA MXD6、PA6I、PA6−3−T、PA6/6T、PA6/66、PA6/12、PA66/6/610、PA6I/6T、PA PACM12、PA6I/6T/PACM、PA12/MACMI、PA12/MACMT、PA PDA−T、及び、2種以上の前述したポリアミドを含むコポリアミドからなる群から選択された少なくとも1種のポリアミドである。
【0039】
好ましくは、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)は、ナイロン−6、ナイロン−6,6、及びナイロン−6とナイロン−6,6とのコポリアミドからなる群から選択されたポリアミドである。
【0040】
好ましくは、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)はナイロン−6である。
【0041】
他の好ましい実施態様において、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)はナイロン−6,6である。
【0042】
他の好ましい実施態様において、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)はナイロン−6/6,6である。
【0043】
さらに、PAMは、通例の添加剤、例えば衝撃改質剤、潤滑剤、UV安定剤及び処理安定剤(process stabilizer)を含んでもよい。
【0044】
第1繊維材料(F1)
第1繊維材料(F1)の好適材料の例は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ素繊維、鉱物繊維(例えば、玄武岩繊維)及び金属繊維(例えば、鋼繊維又は銅繊維)を含む。
【0045】
好ましい第1繊維材料(F1)は連続繊維材料である。
【0046】
したがって、本発明は、第1繊維材料(F1)が連続繊維材料であるプラスチック複合部品(CC)も提供する。
【0047】
以下、「連続繊維材料」及び「連続繊維」という用語は同義的に使用される。この明細書において、連続繊維は、繊維加工を受けられる実質的に無制限の長さのDIN 60 000に記載の線形構造を意味すると理解される。また、連続繊維は、フィラメント(filament)とも称される。「フィラメント」という用語は繊維工業に使用される。従って、フィラメント(連続繊維)は、DIN 60 001 T 2(1974年12月)に記載の化学ルート又は工業ルートにより製造された実質的にエンドレス繊維を意味すると理解される。
【0048】
連続繊維材料が第1繊維材料(F1)として使用される場合、好ましくはガラス繊維である。連続繊維は、ループ引き式(loop-drawn)編物、ループ形成式(loop-formed)編物及び織物の形態で使用されてもよい。また、単一方向連続繊維の使用も可能である。このようなシングルスレッド(single-thread)連続繊維は、単繊維(monofils)とも称される。単一方向連続繊維が使用される場合、多数の互いに平行で使用される連続ガラス繊維が使用される。この場合、好ましくは、互いに平行して並べられた連続繊維の単一方向層(unidirectional layers)の使用である。
【0049】
さらに、連続繊維の二方向層又は多方向層の使用は可能である。この場合、第1繊維材料(F1)は本質的な単一方向層(UD層)を有する。上記及び/又は下記の本質的なUD層は、連続繊維の方向が、例えば本質的なUD層の繊維方向に対して90°回転される他のUD層の上に配置される。多方向層の場合、第1繊維材料(F1)は、特定の層の繊維の方向がそれぞれ相互に90°回転される複数の層(例えば、3層、4層、5層又は6層)を含む。二方向層又は多方向層においてそれぞれの単一方向層が互いに回転される角度は、広い範囲、例えば±10°〜±90°の範囲中に変化してもよい。
【0050】
使用された第1繊維材料(F1)が前記好ましい連続繊維である場合、該連続繊維はそれぞれ単独に使用されてもよい。また、それぞれの場合に連続繊維が単独に織ること、又は単独の繊維束を互いに織ることは可能である。さらに、連続繊維は、不織布又はフェルトの形態で使用されてもよい。好適な連続繊維材料は当業者に公知である。特に好ましい連続繊維材料は、ガラス繊維及び炭素繊維である。特に好ましくは、9μm〜34μmの範囲の繊維直径を有する連続ガラス繊維及び連続炭素繊維である。
【0051】
マトリックス組成物(MC)も、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)及び第1繊維材料(F1)も、他の通例の添加剤を含んでもよい。好適な添加剤は、例えば、UV安定剤、潤滑剤、核化剤、染料、可塑剤である。他の好適な添加剤は、例えば、WO 2010/076145に開示されている。
【0052】
さらに、表面組成物(SC)及び第2プラスチック部品(C2)も、例えば、WO 2010/076145に開示されている他の通例の添加剤を含んでもよい。
【0053】
一般的に、他の添加剤は、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)の総質量に基づいて、又は表面組成物(SC)中のポリアミド表面ポリマー(PAS)の総質量に基づいて、又は第2プラスチック部品(C2)のポリアミド成形ポリマー(PAA)の総質量に基づいて、0質量%〜5質量%の量でマトリックス組成物(MC)に存在する。同様に、マトリックス組成物(MC)はポリエチレンイミン(PEI)をさらに含む。
【0054】
したがって、本発明は、マトリックス組成物(MC)にポリエチレンイミン(PEI)を含有するプラスチック複合部品(CC)も提供する。さらに、本発明は、表面組成物(SC)、マトリックス組成物(MC)、及び第2プラスチック部品(C2)にポリエチレンイミン(PEI)を含有するプラスチック複合部品(CC)を提供する。
【0055】
他の実施態様において、SC、MC及びC2は、同一のポリエチレンイミン(PEI)を含有する。
【0056】
驚いたことに、良好な熱老化耐性を有するプラスチック複合部品(CC)を得るために、マトリックス組成物(MC)にポリエチレンイミン(PEI)を含有する必要がないことは見出された。表面組成物(SC)と、場合により、場合により熔接されたプラスチック部品(C2)と、マトリックス組成物(MC)との両方ともポリエチレンイミン(PEI)を含有するプラスチック複合部品(CC)と比べると、表面組成物(SC)、及び場合により、場合により熔接された第2プラスチック部品(PC)のみにポリエチレンイミン(PEI)を含有するプラスチック複合部品(CC)は、同等の熱老化耐性を有する。
【0057】
したがって、本発明は、マトリックス組成物(MC)が任意のポリエチレンイミン(PEI)を含有しないプラスチック複合部品(CC)も提供する。
【0058】
これは、プラスチック複合部品(CC)の製造コストをより安くなる。本発明によれば、「任意のポリエチレンイミン(PEI)を含有しない」という表現は、ポリエチレンイミン(PEI)がマトリックス組成物(MC)に添加されない意味と理解される。しかしながら、マトリックス組成物(MC)は、表面組成物(SC)からプラスチック複合部品(CC)を製造する処理の間にマトリックス組成物(MC)に移される少量のポリエチレンイミン(PEI)を含有することは可能である。マトリックス組成物(MC)が任意のポリエチレンイミン(PEI)を含有しない場合、マトリックス組成物(MC)は、プラスチック複合部品(CC)に存在するポリエチレンイミン(PEI)総量の5質量%以下、好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下を含有する。
【0059】
プラスチック複合部品(CC)も、ポリエチレンイミン(PEI)も、鉄粉(CIP)を含有する。ポリエチレンイミン(PEI)と鉄粉(CIP)との組み合わせは、さらに向上された熱老化耐性を有するプラスチック複合部品(CC)をもたらす。ポリエチレンイミン(PEI)に関する上記の詳細及び好みは、鉄粉(CIP)に相応に適用する。
【0060】
したがって、本発明は、マトリックス組成物(MC)中が鉄粉(CIP)を含有するプラスチック複合部品(CC)も提供する。さらに、本発明は、表面組成物(SC)、マトリックス組成物(MC)及び第2プラスチック部品(C2)中が鉄粉(CIP)を含有するプラスチック複合部品(CC)を提供する。
【0061】
驚いたことに、良好な熱老化耐性を有するプラスチック複合部品(CC)を得るために、マトリックス組成物(MC)に鉄粉(CIP)を含有する必要がないことは見出された。表面組成物(SC)と、場合により、場合により熔接されたプラスチック部品(C2)と、マトリックス組成物(MC)との両方とも鉄粉(CIP)を含有するプラスチック複合部品(CC)と比べると、表面組成物(SC)、及び場合により、場合により熔接された第2プラスチック部品(PC)のみに鉄粉(CIP)を含有するプラスチック複合部品(CC)は、同等の熱老化耐性を有する。
【0062】
したがって、本発明は、マトリックス組成物(MC)が任意の鉄粉(CIP)を含有しないプラスチック複合部品(CC)も提供する。
【0063】
これは、プラスチック複合部品(CC)の製造コストをよりさらに安くなる。本発明によれば、「任意の鉄粉(CIP)を含有しない」という表現は、鉄粉(CIP)がマトリックス組成物(MC)に添加されない意味と理解される。しかしながら、マトリックス組成物(MC)は、表面組成物(SC)からプラスチック複合部品(CC)を製造する処理の間にマトリックス組成物(MC)に移される少量の鉄粉(CIP)を含有することが可能である。マトリックス組成物(MC)が任意の鉄粉(CIP)を含有しない場合、マトリックス組成物(MC)は、プラスチック複合部品(CC)に存在する鉄粉(CIP)総量の5質量%以下、好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下を含有する。
【0064】
熱老化耐性(TAR)は、高温下でプラスチック複合部品(CC)を貯蔵し、貯蔵の前及び後にプラスチック複合部品(CC)の機械的特性を測定することにより決定される。測定された機械的特性の特徴パラメーターは、プラスチック複合部品(CC)の曲げ強度である。高温下の貯蔵は、空気循環式オーブン中に行われる。曲げ強度は、DIN EN ISO 14125:2011により測定される。
【0065】
表面組成物(SC)
表面組成物(SC)は、ポリアミド表面ポリマー(PAS)を含有し、第1プラスチック部品(C1)の表面を形成する。この明細書において、「表面」という用語は、1つの表面のみ、又は2つ以上の表面の意味と理解される。この明細書において、「ポリアミド表面ポリマー(PAS)」という用語は、1種のPASsのみ、又は2種以上のPASsの意味と理解される。
【0066】
表面組成物(SC)は、画定された位置に第1プラスチック部品(C1)の表面を局所的に形成してもよい。また、表面組成物(SC)がマトリックス組成物(MC)を完全に囲むことも可能である。平らなプラスチック複合部品(CC)の好ましい場合、表面組成物(SC)は、マトリックス組成物(MC)の上表面及び/又はマトリックス組成物(MC)の下表面に、1つの表面を形成してもよい。
【0067】
表面組成物(SC)がマトリックス組成物(MC)の上表面のみ又は下表面のみに表面を形成する場合、表面組成物(SC)は、第1プラスチック部品(C1)の総表面積の10%〜50%、好ましくは30%〜50%、より好ましくは第1プラスチック部品(C1)の総表面積の40%〜50%を形成する。
【0068】
表面組成物(SC)がマトリックス組成物(MC)の上表面及び下表面に表面を形成する場合、表面組成物(SC)は、第1プラスチック部品(C1)の総表面積の50%を超えるから100%まで、好ましくは80%〜100%、より好ましくは第1プラスチック部品(C1)の総表面積の90%〜100%を形成する。
【0069】
使用されたポリアミド表面ポリマー(PAS)は、上記のポリアミドマトリックスポリマー(PAM)中のポリアミドであってもよい。従ってポリアミド表面ポリマー(PAS)に関する詳細及び好みは、ポリアミド表面ポリマー(PAS)に相応に適用する。
【0070】
一般的に、ポリアミド表面ポリマー(PAS)は、任意の繊維材料(F1)を含有しない。場合により、ポリアミド表面ポリマー(PAS)は、上記のポリアミドマトリックスポリマー(PAM)中の添加剤をさらに含んでもよい。好ましい実施態様において、表面組成物(SC)は任意の繊維材料(F1)を含有しない。
【0071】
好ましい実施態様において、表面組成物(SC)は、ポリアミド表面ポリマー(PAS)とするものを含有し、同様なポリアミドポリマーがポリアミドマトリックスポリマー(PAM)とする。従って、好ましい実施態様において、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)及びポリアミド表面ポリマー(PAS)は同一である。
【0072】
しかしながら、ポリアミド表面ポリマー(PAS)とし、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)と異なるポリアミドポリマーを使用することは可能である。
【0073】
プラスチック複合部品(CC)の製造;第1プラスチック部品(C1)
使用された第1繊維材料(F1)がマット、不織布、フェルト、織布、ループ引き式編物、ループ形成式の編物の形態の連続繊維材料である場合、第1プラスチック部品(C1)は、一般的にポリアミドマトリックスポリマー(PAM)により第1繊維材料(F1)を含浸させることにより製造される。該製造に関して、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)は、例えば融解の状態で、第1繊維材料(F1)と接触される。第1プラスチック部品(C1)を製造するために、第1プラスチック部品(C1)を製造する他の手段は、配置されるフィルム又は粉末の融解及び加工の次に、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)のフィルムにより第1繊維材料(F1)の粉末を含浸又はラミネート加工することである。
【0074】
それぞれの連続繊維又は連続繊維の糸をポリアミドマトリックスポリマー(PAM)により鞘で覆い、その後に鞘で覆られた連続繊維を織り、その後にポリアミドマトリックスポリマー(PAM)を融解するために織られた繊維を加熱して、第1プラスチック部品(C1)を得ることは可能である。
【0075】
第1プラスチック部品(C1)の異なる製造方法は、原理的には当業者に公知であり、例えばR.Stolze,Kunststoffe78,1988年,126頁〜131頁及びM.Wacker,G.W.Ehrenstein,C.Obermann,Kunststoffe92,2002年,78頁〜81頁に開示されている。
【0076】
一実施態様において、第1プラスチック部品(C1)は重層構造を有する。この構造はサンドイッチ構造とも称される。サンドイッチ構造の場合、第1プラスチック部品(C1)は多数の第1繊維材料(F1)の層を有する。この明細書において、一般的に、多数は、2層〜20層の第1繊維材料(F1)の意味と理解される。サンドイッチ構造において、正式に、第1繊維材料(F1)の2つ隣接の層の間に少なくとも1つのポリマー層を有する。これらのポリマー層は、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)又はポリアミド表面ポリマー(PAS)から生成されてもよい。C1、F1、PAM及びPASに関する通例の詳細及び好みは、相応にこの実施態様に適用する。サンドイッチ構造の場合、それは、1層〜20層、好ましくは2層〜10層、より好ましくは2層〜6層の第1繊維材料(F1)を含んでもよい。
【0077】
このようなサンドイッチ構造の製造は、当業者に公知であり、例えば、ラミネート加工により達成される。下記の製造は、2層の第1繊維材料(F1)を有するサンドイッチ構造の例を使用する。このために、該材料は、それぞれに特定の順番で配置され、その後に結合され、好ましくは圧力下の同時にPASフィルム、F1層、PAMフィルム、F1層及びPASフィルムを加熱する。
【0078】
該結合は、例えば、圧力下で加熱することにより達成される。このために、前述した材料は、例えば、結合が達成される加熱可能なローラプレスに供給される。
【0079】
結合工程中の加熱は、中間層として使用されたポリアミドマトリックスポリマー(PAM)の融解をもたらす。結果として、第1繊維材料(F1)の結合層は、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)により含浸される。上述した実施方法は、プラスチック部品(C1)とするサンドイッチ構造を提供する。該サンドイッチ構造が、PAS、F1、PAM、F1及びPASの層構造を有する。
【0080】
加熱及び圧縮の間に、マトリックス組成物(MC)は、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)及び2層の第1繊維材料(F1)から形成される。
【0081】
したがって、第1プラスチック部品(C1)として得られたサンドイッチ構造は、正式にPAS、F1、PAM、F1及びPASの層構造を有する。ここで、マトリックス組成物(MC)は、正式にF1、PAM及びF1から形成される。したがって、マトリックス組成物は、中間層のポリアミドマトリックスポリマー(PAM)により両面に含浸された繊維材料(F1)からなる。加熱の温度及び使用された圧力によって、第1プラスチック部品(C1)中の2つのマットの第1繊維材料(F1)は接触していることが可能である。
【0082】
一般的に、ポリエチレンイミン(PEI)は、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)及び/又はポリアミド表面ポリマー(PAS)に添加される。このために、通例の混合装置、例えば押出機が使用される。また、プラスチック部品(C1)の製造の過程中に、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)及び/又はポリアミド表面ポリマー(PAS)のみにポリエチレンイミン(PEI)を添加することは可能である。好ましくは、ポリエチレンイミン(PEI)がポリアミド表面ポリマー(PAS)のみに添加される。
【0083】
プラスチック複合部品(CC)が鉄粉(CIP)を含有する場合、一般的に、鉄粉(CIP)は、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)及び/又はポリアミド表面ポリマー(PAS)に添加される。このために、通例の混合装置、例えば押出機が使用される。また、プラスチック部品(C1)の製造の過程中に、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)及び/又はポリアミド表面ポリマー(PAS)のみに鉄粉(CIP)を添加することは可能である。好ましくは、鉄粉(CIP)がポリアミド表面ポリマー(PAS)のみに添加される。
【0084】
他の添加剤が使用される場合、一般的に、これらは、好適な混合装置により、それぞれのポリアミドポリマーを同様に配置される。
【0085】
一般的に、プラスチック複合部品(CC)は、プラスチック複合部品(CC)の総質量に基づいて、0.01質量%〜5質量%のポリエチレンイミン(PEI)を含む。好ましくは、プラスチック複合部品(CC)は、プラスチック複合部品(CC)の総質量に基づいて、0.1質量%〜1質量%のポリエチレンイミン(PEI)を含む。
【0086】
したがって、本発明は、プラスチック複合部品(CC)が、プラスチック複合部品(CC)の総質量に基づいて、0.01質量%〜5質量%のポリエチレンイミン(PEI)を含むプラスチック複合部品(CC)も提供する。
【0087】
この明細書において、ポリエチレンイミン(PEIs)は、例えば、キーワード「アジリジン」を含むウルマン反応(電子レリーズ(Electronic Release))の加工により、又はWO−A 94/12560により、ホモポリマーとコポリマーとも両方を得られる意味と理解される。
【0088】
一般的に、ホモポリマーは、酸除去の化合物酸又はルイス酸の存在下で、水溶液又は有機溶液中の重合するエチレンイミン(アジリジン)により得られる。一般的に、この種類のホモポリマーは、約30%対40%対30%の割合の第1級、第2級及び第3級アミノ基を含む分岐状ポリマーである。一般的に、アミノ基の配分は
13C NMR分光法により測定される。好ましくは、後者は、1:0.8:0.5〜1:1.3:8、特に1:1.1:0.8〜1:1である。
【0089】
したがって、本発明は、第1級、第2級及び第3級アミノ基を含み、且つ、第1級対第2級対第3級アミノ基の比率が1:0.8:0.5〜1:1.3:0.8の範囲であるプラスチック複合部品(CC)も提供する。
【0090】
好ましくは、使用されたコポリマーは、少なくとも2つのアミノ官能基を有する化合物である。好適なコポリマーは、例えば、アルキレン基中に2個〜10個の炭素原子を有するアルキレンジアミン、好ましくはエチレンジアミン及びプロピレンジアミンを含む。他の好適なコポリマーは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレントリアミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン及びビスアミノプロピルエチレンジアミンである。
【0091】
典型的に、ポリエチレンイミン(PEIs)は、600g/mol〜3000000g/mol、好ましくは700g/mol〜2000000g/molの重量平均分子量M
Wを有する。好ましいM
Wは、800g/mol〜50000g/mol、特に1100g/mol〜25000g/molである。重量平均分子量M
Wは、ASTM D4001による光散乱により測定される。
【0092】
したがって、本発明は、ポリエチレンイミン(PEI)が600g/mol〜300000g/molの範囲の重量平均分子量M
Wを有するプラスチック複合部品(CC)も提供する。
【0093】
さらに、好適であるのは、官能基とする少なくとも1種のハロヒドリンユニット、グリシジルユニット、アジリジンユニット、イソシアネートユニット又はハロゲン原子を有する二官能性又は多官能性架橋剤と、ポリエチレンイミン(PEIs)との反応により得られる架橋ポリエチレンイミン(PEIs)である。例としては、2個〜100個のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドユニットを有するポリアルキレングリコールのエピクロロヒドリン又はビクロロヒドリン、並びに、DE−A 19 93 17 20及びUS 4 144 123に記載の化合物を含む。架橋ポリエチレンイミン(PEIs)の製造方法は、特に前述した明細書、並びにEP−A 895 521及びEP−A 25 515により公知である。
【0094】
さらに、好適であるのはグラフトポリエチレンイミン(PEIs)であり、使用されたグラフト剤がポリエチレンイミン(PEIs)のアミノ又はイミノ基と反応できる全てに化合物であってもよい。好適なグラフト剤及びグラフトポリエチレンイミン(PEIs)の製造方法は、例えばEP−A 675 914から見出される。
【0095】
同様に、この明細書において、好適なグラフトポリエチレンイミン(PEIs)は、典型的に、ポリエチレンイミン(PEIs)とカルボン酸、エステル若しくはそれの無水物、カルボキサミド又はハロゲン化カルボニルとの反応により得られるアミド化ポリマーである。ポリエチレンイミン鎖のアミド化窒素原子の割合によって、次に、アミド化ポリマーは、上記の架橋剤により架橋される。ここで、十分な第1級及び/又は第2級窒素原子が次の架橋反応に使用可能であるために、好ましくは、30%以下のアミノ官能基がアミド化されることが可能である。
【0096】
また、好適であるのは、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)とエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応により得られるアルコキシル化ポリエチレンイミン(PEIs)である。この種類のアルコキシル化ポリマーも、次に架橋できる。
【0097】
本発明の他の好適なポリエチレンイミン(PEIs)は、ヒドロキシル基含有のポリエチレンイミン(PEIs)、両性のポリエチレンイミン(PEIs)(陰性基の取り込み)、及びポリマー鎖へ長鎖ヒドロカルビル基の取り込みにより一般的に得られる脂溶性ポリエチレンイミン(PEIs)が挙げられる。この種類のポリエチレンイミン(PEIs)の製造方法は、当業者に公知である。
【0098】
好ましいポリエチレンイミン(PEIs)は、高分岐ポリエチレンイミン(PEIs)である。この明細書において、「高分岐」という用語は、ポリエチレンイミン(PEI)の分岐度(DB)が、10%〜99%の範囲、好ましくは50%〜99%の範囲、より好ましくは60%〜99%の範囲であることを意味する。DBは、
DB (%) = 100 x (T+Z)/(T+Z+L)
と定義される
(式中、Tは端部に結合されたモノマーユニットの平均数であり、Zは分岐を形成するモノマーユニットの平均数であり、Lはポリエチレンイミン(PEI)中の直線状に結合されたモノマーユニットの平均数である)。
【0099】
したがって、本発明は、ポリエチレンイミン(PEI)が10%〜99%の範囲の分岐度DBを有する高分岐ポリマーであるプラスチック複合部品(CC)も提供し、DBがDB (%) = 100 x (T+Z)/(T+Z+L)と定義され、式中、Tが端部に結合されたモノマーユニットの平均数であり、Zが分岐を形成するモノマーユニットの平均数であり、Lがポリエチレンイミン(PEI)中の直線状に結合されたモノマーユニットの平均数である。
【0100】
プラスチック複合部品(CC)が鉄粉(CIP)を含有する場合、一般的に、鉄粉(CIP)は、それぞれにプラスチック複合部品(CC)の総質量に基づいて、0.01質量%〜20質量%の範囲、好ましくは0.05質量%〜10質量%の範囲、特に0.1質量%〜5質量%の範囲の量で、プラスチック複合部品(CC)に存在する。
【0101】
好適な鉄粉(CIP)は、例えば、WO 2010/076145又はWO 2001/051123に開示されている。
【0103】
1.α−Feは、体心立方格子を形成し、磁化可能であり、わずかな炭素を溶解し、928℃以下で純鉄を生じる。770℃(キュリー温度)で、それは、その強磁性特性を失い、常磁性になる;770℃〜928℃の範囲の鉄はβ−Feとも称される。標準温度及び少なくとも13000MPaの圧力下で、α−Feは、約0.20cm
3/molの体積減少を有し、7.85〜9.1(20000MPaの下で)の密度増大を有し、ε−Feと称されるものに変換される。
【0104】
2.γ−Fe(オーステナイトを参照する)は、面心立方格子を形成し、非磁性であり、大量の炭素を溶解し、928℃〜1398℃の温度範囲内でのみ観察される。
【0105】
3.δ−Feは、体心立方格子であり、1398℃と融点の1539℃との間に存在する。
【0106】
一般的に、金属鉄は、銀白色であり、密度が7.874(重金属)であり、融点が1539℃であり、沸点が2880℃であり、比熱(18℃〜100℃の間)が約0.5g
−1Kであり、引張強度が220N/mm
2〜280N/mm
2である。これらの値は、化学的な純鉄に適用する。
【0107】
鉄は、低温で水素により化学的純粉末とする酸化鉄の還元により、150℃〜250℃でFe(CO)
5→Fe + 5COにより純度の高い粉末(カルボニル鉄)とするペンタカルボニル鉄の熱的絶縁破壊により、又は鉄板又は鋳鉄からなる可溶性陽極又は不溶性グラファイトにより塩素鉄(II)溶液又は硫酸鉄(II)溶液の電気分解により得られる。水銀陰極で硫酸中の硫酸鉄(II)の溶液及び次の堆積により、99.99%鉄を得ることが可能である。工業的規模で、鉄は、鉄鉱石、鉄スラグ、パイライトシンダー及び高炉ダストの製錬、並びに、金属のくず及び合金の再製錬により製造される。
【0108】
好ましい鉄粉(CIP)は、450μm以下、特に20μm〜250μm、最も好ましくは30μm〜100μm(ASTM D 1921−89、方法Aにより)のメジアン粒径D
50を有する
この種類の製品は、例えば、SCM金属製品からのSCM鉄粉A131として市販されている。
【0109】
好ましくは、本発明の鉄粉(CIP)は、好ましくは150℃〜350℃の温度で、ペンタカルボニル鉄の熱分解により製造される。ここで、好ましくは、得られる粒子は、球状であり、換言すれば、円形又は略円形(スフェルライトとも称される)である。
【0110】
好ましい鉄粉(CIP)は下記の粒径分布を有し、該粒径分布は高度希釈の水性懸濁液中のレーザー回折(例えば、Beckmann LS13320機器による)により測定される。場合により、下記の粒径(及び分布)は、粉砕及び/又は篩過により調整される。
【0111】
この明細書において、d
XX=粒子の総体積のXX%がこの値の未満である。
【0112】
d
50値:10μm以下、好ましくは1.6μm〜8μm、特に2.9μm〜7.5μm、より特に3.4μm〜5.2μmである。
【0113】
d
10値:好ましくは1μm〜5μm、特に1μm〜3μm、より特に1.4μm〜2.7μmである。
【0114】
d
90値:好ましくは3μm〜35μm、特に3μm〜12μmである。
【0115】
好ましくは、鉄粉(CIP)は、鉄粉(CIP)の97g/100g〜99.8g/100g、好ましくは97.5g/100g〜99.6g/100gの鉄の含有量を有する。好ましくは、他の金属の含有量は1000ppm以下、特に100ppm以下、より特に10ppm以下である。
【0116】
典型的に、Feの含有量は、赤外線分光法により測定される。
【0117】
好ましくは、Cの含有量は、0.01g/100g〜1.2g/100g、好ましくは0.05g/100g〜1.1g/100g、特に0.4g/100g〜1.1g/100gである。好ましい鉄粉の場合、このCの含有量は、熱分解の後に水素により還元されないものに対応する。典型的に、Cの含有量は、ASTM E1019により、酸素気流にサンプル量の燃焼、及び次の生じたCO
2ガスのIR検出(JuweのLeco CS230 又はCS−mat 6205により)により測定される。
【0118】
好ましくは、窒素の含有量は、1.5g/100g以下、より好ましくは0.01g/100g〜1.2g/100gである。好ましくは、酸素の含有量は、1.3g/100g以下、より好ましくは0.3g/100g〜0.65g/100gである。N及びOは、黒鉛炉でサンプルを約2100℃まで加熱することにより測定される。ここで、サンプル中の酸素は、COに変換され、IR検出器により測定される。反応条件下でN含有化合物から放出されたNは、担体ガスと共に排出され、TCD(熱伝導度検出器)により検出及びキャプチャーされる(両方の方法は、ASTM E1019に従う)。
【0119】
好ましくは、鉄粉(CIP)のタップ密度は、2.5g/cm
3〜5g/cm
3、特に2.7g/cm
3〜4.4g/cm
3である。一般的に、これは、圧縮を達成するために、例えば、鉄粉が容器に導入及び振動される意味と理解される。
【0120】
他の好ましい鉄粉は、表面がリン酸鉄、亜リン酸鉄又はSiO
2により被覆されることが可能である。
【0121】
好ましくは、DIN ISO 9277によって、鉄粉(CIP)のBET表面積は、0.1m
2/g〜10m
2/g、特に0.1m
2/g〜5m
2/g、好ましくは0.2m
2/g〜1m
2/g、より特に0.4m
2/g〜1m
2/gである。
【0122】
第2プラスチック部品(C2)
また、本発明は、
ii)ポリアミド成形ポリマー(PAA)を含み、C1の表面の上に成形された第2プラスチック部品(C2)、
をさらに含むプラスチック複合部品(CC)を提供する。
【0123】
第2プラスチック部品(C2)は、ポリアミド成形ポリマー(PAA)を含有する。この明細書において、「ポリアミド成形ポリマー(PAA)」という用語は、1種のみのPAA又は2種以上のPAAの混合物を意味すると理解される。一般的に、使用されたポリアミド成形ポリマー(PAAs)は、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)としても使用されるポリアミドであってもよい。従って、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)に関する詳細及び前述した好みは、ポリアミド成形ポリマー(PAA)に相応に適用する。
【0124】
使用されたポリアミド成形ポリマー(PAA)は、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)と同様なポリアミドであってもよい。また、ポリアミド成形ポリマー(PAA)にポリアミドマトリックスポリマー(PAM)と異なるポリアミドを使用することも可能である。
【0125】
また、ポリアミド成形ポリマー(PAA)は、上記のPAS及びPAMの通例の添加剤を含んでもよい。
【0126】
同様に、ポリアミド成形ポリマー(PAA)は、ポリエチレンイミン(PEI)を含有しでもよい。好ましくは、SCとC2との両方ともポリエチレンイミン(PEI)を含有する。
【0127】
したがって、本発明は、SC及びC2がポリエチレンイミン(PEI)を含有するプラスチック複合部品(CC)を提供する。
【0128】
C2は、SCと同様なポリエチレンイミン(PEI)を含んでもよい。また、C2がSCと異なるポリエチレンイミン(PEI)を含んでもよい。表面組成物(SC)に関する上記のポリエチレンイミン(PEI)の詳細及び好みは、C2に相応に適用する。さらに、C2は鉄粉(CIP)も含んでもよい。鉄粉(CIP)に関する上記の詳細及び好みは、C2に相応に適用する。
【0129】
したがって、本発明は、SC及び/又はC2が鉄粉(CIP)を含有するプラスチック複合部品(CC)も提供する。
【0130】
好ましくは、同様に、ポリエチレンイミン(PEI)は、ポリアミド成形ポリマー(PAA)に混合される。鉄粉(CIP)が使用あれる場合、同様に、それがポリアミド成形ポリマー(PAA)に混合されることは好ましい。このために、通例の混合装置、例えば押出機が使用される。好ましくは、同様に、第2プラスチック部品(C2)は強化用の繊維材料を含有する。
【0131】
この第2繊維材料(F2)用の好適な材料は、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ素繊維、鉱物繊維(例えば、玄武岩繊維)及び金属繊維(例えば、鋼繊維又は銅繊維)によるもののみを含む。
【0132】
連続繊維は、第2繊維材料(F2)として適用しない。好ましい第2繊維材料(F2)はガラス繊維(ガラス短繊維)である。これらのガラス繊維は、例えば押出機により、ポリアミドメルト中に混合される。
【0133】
したがって、本発明は、C2がガラス短繊維である第2繊維材料(F2)を含有するプラスチック複合部品(CC)も提供する。
【0134】
好ましくは、使用された第2繊維材料(F2)は、好適な混合装置によりポリアミド成形ポリマー(PAA)中に混合される繊維である。場合により、第2プラスチック部品(C2)は他の添加剤を含んでもよい。使用された他の添加剤は、MC又はSCに使用される上記の添加剤であってもよい。
【0135】
第2プラスチック部品(C2)の成形
一般的に、第1プラスチック部品(C1)は、鋳型に入れられる。ここで、例えば、上流の工程で第1鋳型中に第1プラスチック部品(C1)を予備成形し、次に予備成形品を鋳型に入れて製造することは可能である。特に第1プラスチック部品(C1)が平らなプラスチック要素である場合、これは可能である。
【0136】
代わりに、鋳型中に第1プラスチック部品(C1)を直接に形成するも可能である。好ましくは、第1鋳型中に第1プラスチック部品(C1)を予備成形し、次に予備成形品を鋳型に入れる。
【0137】
さらに、鋳型に入れる前に第1プラスチック部品(C1)を加熱すること、又は代わりに鋳型中の第1プラスチック部品(C1)を加熱することは可能である。特に、好ましくは、第1鋳型中に第1プラスチック部品(C1)を予加熱し、次に予加熱した第1プラスチック部品(C1)を鋳型に入れる。
【0138】
好ましくは、鋳型は、40℃〜210℃の範囲、特に80℃〜120℃の範囲の温度を有する。好ましくは、第1プラスチック部品(C1)は、鋳型に入れられる前に、30℃〜190℃、特に120℃〜170℃の範囲の温度まで加熱される。
【0139】
鋳型に入れられる後、第2プラスチック部品(C2)は鋳型に入れられる。この間に、第2プラスチック部品(C2)は、第1プラスチック部品(C1)の表面の上に形成される。この作業は、「オーバーモールド成形」とも称される。この明細書において、「成形」は、第1プラスチック部品(C1)の一部の上への第2プラスチック部品(C2)の部分成形の意味と理解される。さらに、「成形」は、第1プラスチック部品(C1)が第2プラスチック部品(C2)により完全に又は部分的に囲まれる意味とも理解される。
【0140】
成形作業において、第2プラスチック部品(C2)は、第1プラスチック部品(C1)の画定された部位上に局部的に形成されてもよい。さらに、第1プラスチック部品(C1)を第2プラスチック部品(C2)により完全に又は部分的に囲むことも可能である。
【0141】
成形作業において、さらに、第1プラスチック部品(C1)の表面の上に形成される第2プラスチック部品(C2)から機能的な要素を形成することは可能である。
【0142】
成形において、典型的に、第2プラスチック部品(C2)は、当業者に公知である方法により融解され、鋳型に注入される、前述したポリエチレンイミン(PEI)の使用は、場合により鉄粉(CIP)と組み合わせて、プラスチック複合部品(CC)の向上された熱老化安定性(TAR)を達成する。さらに、プラスチック複合部品(CC)中の第1プラスチック部品(C1)と第2プラスチック部品(C2)との間の向上された粘度は達成される。
【0143】
したがって、本発明は、プラスチック複合部品(CC)の製造方法も提供し、該方法において、工程a)にC1が鋳型に入れられ、工程B)に溶融状態のC2が鋳型に注入される。
【0144】
これで製造されたプラスチック複合部品(CC)は、次に他の加工工程を受けることが可能である。これらは、例えば、他の成形工程、及びその表面の性能を高めるためにプラスチック複合部品(CC)の表面処理を含み。
【0145】
第1プラスチック部品(C1)と第2プラスチック部品(C2)との間に良好な接合を達成するために、第1プラスチック部品(C1)の表面温度がポリアミド表面ポリマー(PAS)の融解温度を超える場合は有利である。このために、一般的に、第1プラスチック部品(C1)は加熱される。上記のように、第1プラスチック部品(C1)は鋳型中に直接に加熱される。代わりに、第1プラスチック部品(C1)は鋳型の外側で加熱されることも可能である。第2プラスチック部品(C2)が鋳型に注入される圧力は、第2プラスチック部品(C2)の融解物の流れ方向に従う。このために、当業者に公知である注射成形及び流動成形の方法は使用され、そこで通例の圧力は観察される。
【0146】
以下、実施例に従って本発明を説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0147】
実施例
第1プラスチック部品(C1)の製造
2.1〜2.7の相対粘度(RV)を有するポリアミド(PA6)又は2.7の相対粘度(RV)を有するポリアミド(PA66)を使用して、第1プラスチック部品(C1)を製造する。押出機による混ぜ合わせにより、BASF SEのLupasol WF又は鉄粉(CIP)をこれらのポリアミドに組み込む。Lupasol WFは、CAS no.:9002−98−6を有する約25000g/molのモル質量のポリエチレンイミンである。使用したLupasol WFの量は下記の表に記載している。ISO307によって相対粘度を測定した。バッチで鉄粉(CIP)を添加した。
【0148】
Lupasol WFの量及び鉄粉(CIP)の量は、それぞれの場合に繊維材料を含まず、マトリックス組成物(MC)又は表面組成物(SC)に使用したポリアミドの総質量に基づいて、質量%で記載している。
【0149】
Lupasol WFの前述した量、及び必要な場合には鉄粉(CIP)の量を含むポリアミドマトリックスポリマー(PAM)を製造した後、粉砕により生成物のポリアミドマトリックスポリマー(PAM)を細粉末にした。次に、この粉末を、織り連続繊維マット(第1繊維材料(F1))に塗布し、融解した。Lupasol WFの前述した量、及び任意量の鉄粉(CIP)を含むポリアミド表面ポリマー(PAS)を製造した後、粉砕により生成物のポリアミド表面ポリマー(PAS)を細粉末にした。ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)を融解した前記織り連続繊維マット上に、さらなる織り連続繊維マット(第1繊維材料(F1))を配置した。その後、ポリアミド表面ポリマー(PAS)の粉末を、前記さらなる織り連続繊維マットに配置し、融解した。その後、第1プラスチック部品(C1)を製造するために、圧力下で、ポリアミドマトリックスポリマー(PAM)及びポリアミド表面ポリマー(PAS)の融解温度を超える温度で、両方の織り連続繊維マットを処理した。
【0150】
第1プラスチック部品のマトリックス組成物(MC)及び表面組成物(SC)の組成は、下記の表1、2及び4に記載している。
【0151】
その後、上述のようにして得た第1プラスチック部品(C1)の上に第2プラスチック部品(C2)を形成した。このために、ポリアミド(PA6)をポリアミド成形ポリマー(PAA)として使用した。
【0152】
押出機により、第2プラスチック部品(C2)にLupasol WFを添加した。使用したLupasol WFの量及び鉄粉(CIP)の任意量は、表3及び5に記載している。そこで示すデータは、使用したポリアミド成形ポリマー(PAA)の総質量に基づいて、質量%で示す。
【0153】
第1プラスチック部品(C1)の上に第2プラスチック部品(C2)を形成するとき、第1プラスチック部品(C1)を鋳型に入れて加熱した。その後、第2プラスチック部品(C2)を融解して鋳型に注入した。
【0154】
使用したプラスチック部品(C1)は、4cmx5cmの表面積を有する試料であった。4cmの長さ及び0.4cmの幅のポリマー部品(C2)を、この表面上に形成した。従って、C1とC2との間の接着表面積は、4cmx0.4cmであった。
【0155】
第2プラスチック部品(C2)の組成物は、表3及び5に記載している。
【0156】
プラスチック複合部品(CC/C1)の熱老化耐性(TAR)を測定するために、貯蔵の前及び後に、プラスチック複合部品(CC/C1)の曲げ強度を測定した。曲げ強度は、DIN EN ISO 14125:2011に従って測定した。
【0157】
熱貯蔵の温度及び持続時間は表に示す。熱貯蔵は空気循環式オーブン中で行った。
【0158】
プラスチック複合部品(CC/C1+C2)において、プラスチック部品相互間の接着力は、引張強度(MPa)の測定により決定した。引張強度は引張試験により測定した。該引張試験においては、プラスチック複合部品(CC/C1+C2)のプラスチック部品(C1)及び(C2)を分離するのに必要な力を測定した。このために、その力は、1分間当たり5mmの速度で増強した。
【0159】
各実施例は、第1プラスチック部品(C1)及び/又は第2プラスチック部品(C2)の表面組成物(SC)がポリエチレンイミン(PEI)を含む場合、熱貯蔵の後に第1プラスチック部品(C1)と第2プラスチック部品(C2)との間の接着が明らかに向上したことを示している。
【0160】
【表1】
【0161】
【表2】
【0162】
【表3】
【0163】
【表4】
【0164】
【表5】