(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記間隔部材は、前記読取レンズの光軸方向に沿った垂直断面において像側に傾斜面を有し、該傾斜面は前記後群保持部材と接触しない領域を有することを特徴とする請求項1または2に記載の読取レンズユニット。
前記前群保持部材及び前記後群保持部材の少なくともいずれかが、像面における像の明るさを補正するための所定形状の開口部を有するシェーディング手段を兼ねていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の読取レンズユニット。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る読取レンズユニット、画像読取装置、画像形成装置について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下に示す実施例の実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
〔第1の実施形態〕
本発明に係る読取レンズユニットの第1の実施形態を
図1及び
図2に基づいて説明する。
図1に示すように、読取レンズユニットは、物体側に前群11、像側に後群12を配した読取レンズ10と、前群11を保持する前群保持部材21及び後群12を保持する後群保持部材22を有し、読取レンズ10全体を一体化する保持手段と、前群11と後群12との間に配置され、前群11と後群12との距離を規定する間隔部材23とを備える。本実施形態において、間隔部材23は、前群保持部材21と後群保持部材22との間に挿入されている。
【0012】
図2は読取レンズ10の構成の一例を示したもので、前群11が円形レンズ、後群12が長尺レンズで構成された例を示している。光軸13はレンズ系の中心軸である。
なお、読取レンズの構成はこれに限定されず、前群11は円形レンズ以外のレンズであってもよく、後群12は長尺レンズ以外のレンズであってもよい。
【0013】
図1に示す間隔部材23は、その光軸方向の厚みを変更することにより、前群11と後群12との間隔を変更することができる。
前群11と後群12との間隔はピント及び像面の倒れに大きく影響するため、間隔部材23により間隔を調整することにより、ピントを調整するとともに像面の倒れを補正することができる。
【0014】
間隔部材23が間に挿入された前群保持部材21と後群保持部材22は、連結手段24により連結され、それぞれ保持するレンズ群を読取レンズ10として一体化する。
図1に示す本実施形態では連結手段24がネジであり、前群保持部材21と後群保持部材22とがネジ締結により連結された例を示しているが、連結手段24はこれに限定されず、例えば、クリップ形状の連結手段で前群保持部材21と後群保持部材22とを挟持して連結してもよい。
【0015】
また、間隔部材23が配置される位置は、前群11と後群12との間で、かつ前群11と後群12との距離を規定することができる位置であれば特に限定されず、前群保持部材21と後群保持部材22との間以外の位置であってもよい。
【0016】
図2に示すように、読取レンズ10の後群12の外形形状は、主走査方向に長い短冊形状であることが好ましい。ここで、主走査方向とは、後述する画像読取装置において、読取レンズ10と組合せられるラインセンサアレイにおけるラインセンサの配列方向を示す。
後群12は結像面近傍に配置されるため、ラインセンサの長手方向とほぼ同径が必要となる。したがって、後群のレンズが円形状のままであると、レンズの外形が非常に大きくなり、画像読取装置の高さが高くなり、またレンズ自体のコストも増大する。そこで、後群12の外形形状を、主走査方向に長い短冊形状とすることにより、画像読取装置の薄型化やレンズの低コスト化を実現することができる。
【0017】
また、後群12は、プラスチックレンズであることが好ましい。後群12をプラスチックレンズとすることにより、読取レンズ10を軽量化することができ、また非球面の成型が可能となる。
【0018】
〔第2の実施形態〕
前記読取レンズユニットの第2の実施形態を
図3に基づいて説明する。なお、読取レンズ10は上述の第1の実施形態と同様である。
図3に示すように、後群保持部材22上に間隔部材を支持する支持部材25を有し、間隔部材23は、支持部材25と後群12との間に配置されている。
【0019】
本実施形態においても、間隔部材23の光軸方向の厚みを変更することにより、前群11と後群12との間隔を変更することができ、ピントを調整するとともに像面の倒れを補正することができる。
【0020】
〔第3の実施形態〕
前記読取レンズユニットの第3の実施形態を
図4に基づいて説明する。なお、読取レンズ10は上述の第1の実施形態と同様である。
図4に示すように、間隔部材23は前群保持部材21と後群保持部材22との間に挿入され、読取レンズ10の光軸方向に沿った垂直断面形状がテーパ形状である。本実施形態では、間隔部材23は像側に傾斜面を有し、該傾斜面は垂直方向の下方において後群保持部材22と接触しない領域を有する。
【0021】
間隔部材23の光軸方向に沿った垂直断面形状をテーパ形状とすることにより、レンズ群を保持部材で保持した際に生じる偏心を抑制することができ、例えば本実施形態においては、後群12を保持部材22で保持した際に生じた偏心を抑制することができ、前群11に対する後群12の偏心を抑制することができる。
このような構成は、後群12が保持部材による保持が難しいレンズ(例えば、長尺レンズ等)である場合に有効である。
【0022】
〔第4の実施形態〕
前記読取レンズユニットの第4の実施形態を
図5に基づいて説明する。なお、読取レンズ10は上述の第1の実施形態と同様である。
図5に示すように、後群保持部材22上に間隔部材を支持する支持部材25を有し、間隔部材23は、支持部材25と後群12との間に配置されている。また、間隔部材23は、読取レンズ10の光軸方向に沿った垂直断面形状がテーパ形状である。本実施形態では、間隔部材23は像側に傾斜面を有し、該傾斜面は垂直方向の下方において後群12と接触しない領域を有する。
【0023】
間隔部材23の光軸方向に沿った垂直断面形状をテーパ形状とすることにより、レンズ群を保持部材で保持した際に生じる偏心を抑制することができ、例えば本実施形態においては、後群12を後群保持部材22で保持した際に生じた偏心を抑制することができ、前群11に対する後群12の偏心を抑制することができる。
このような構成は、後群12が保持部材による保持が難しいレンズ(例えば、長尺レンズ等)である場合に有効である。
【0024】
〔第5の実施形態〕
前記読取レンズユニットの第5の実施形態を
図6に基づいて説明する。なお、読取レンズ10は上述の第1の実施形態と同様である。
図6に示すように、本実施形態の間隔部材23は後群12を覆うように設けられた部材であり、像面における像の明るさを補正するための所定形状の開口部26を有するシェーディング手段でもある。
【0025】
結像レンズによる像の明るさは、一般にはコサイン4乗則に従い、像の周辺部に行くほど明るさが減少する。このことは、読取レンズにおいても例外ではなく、受光手段が位置する像面における原稿像の明るさは、光軸上から周辺に向かって次第に減少する。
後述する画像読取装置において、「明るさの不均一な原稿像」をそのまま読取ると、読取った画像情報で画像を再生したときに、再生画像に「濃度むら」が現われてしまう。この濃度むらを解消する方法として、結像光束の光路中にシェーディング手段を設ける方法が挙げられる。
【0026】
本実施形態において、シェーディング手段を兼ねる間隔部材23は、所定の形状(具体的には、画角の小さい光束部分ほど大きく遮光するような形状)の開口部26を有し、開口部26以外は遮光性を有する板状部材であり、後群保持部材22に固定されて設けられている。
間隔部材23がシェーディング機能を有することにより、ピントを調整し、像面の倒れを補正することができるとともに、読取りの中央に対する周辺部の像の明るさを調整することができる。
【0027】
〔第6の実施形態〕
前記読取レンズユニットの第6の実施形態を
図7に基づいて説明する。なお、読取レンズ10は上述の第1の実施形態と同様である。
図7に示すように、本実施形態の前群保持部材21は、光路と交差して短手方向全体を覆うように設けられた部材であり、像面における像の明るさを補正するための所定形状の開口部26を有するシェーディング手段を兼ねている。
なお、本実施形態では前群保持部材21がシェーディング手段を兼ねた態様を示しているが、後群保持部材22がシェーディング手段を兼ねている態様であってもよい。
【0028】
このように、保持手段(前群保持部材21、後群保持部材22)がシェーディング手段を兼ねることにより、別途シェーディング手段としての部材を設置することなく、読取りの中央に対する周辺部の像の明るさを調整することができる。
【0029】
〔第7の実施形態〕
前記読取レンズユニットの第7の実施形態を
図8に基づいて説明する。なお、読取レンズ10は上述の第1の実施形態と同様である。
図8に示すように、前群保持部材21は、読取レンズの光軸13を中心に矢印Aで示す方向、すなわち光軸まわりに回転可能である。
【0030】
前群11及びこれを保持する前群保持部材21のみを光軸13まわりに回転させることにより、前群11の偏心等により生じる像面の傾きを調整することができる。
【0031】
〔第8の実施形態〕
前記読取レンズユニットの第8の実施形態を
図9に基づいて説明する。なお、読取レンズ10は上述の第1の実施形態と同様である。
図9に示すように、後群保持部材22は、読取レンズの光軸13を中心に矢印Bで示す方向、すなわち光軸まわりに回転可能である。
【0032】
後群12及びこれを保持する後群保持部材22のみを光軸13まわりに回転させることにより、後群12の偏心等により生じる像面の傾きを調整することができる。
なお、
図9に示すように、後群12が長尺レンズであってもよい。長尺レンズは円形レンズの一部を切り欠いた形状であり、原稿からの光がケラレない範囲で光軸13まわりに回転調整することができる。
【0033】
〔第9の実施形態〕
前記読取レンズユニットの第9の実施形態を
図10に基づいて説明する。なお、読取レンズ10は上述の第1の実施形態と同様である。
図10に示すように、前群保持部材21と後群保持部材22とが、一体として読取レンズの光軸13を中心に矢印A及びBで示す方向、すなわち光軸まわりに回転可能である。
前群保持部材21と後群保持部材22とが一体化して光軸13まわりに回転することにより、読取レンズ10を構成するレンズ系の偏心による像面の傾きを調整することができる。
【0034】
〔画像読取装置〕
本発明に係る画像読取装置は、前記読取レンズユニットを備える。詳しくは、原稿を照明する照明系と、前記照明系で照明された原稿の反射光を縮小結像させる結像レンズと、前記結像レンズで結像された原稿像を光電変換するラインセンサを有し、前記結像レンズとして前記読取レンズユニットを構成する前記読取レンズ10を備える。
【0035】
前記画像読取装置の一実施形態を
図11に示す。
図11に示すように、読み取られるべき画像を有する原稿2は、原稿台としてのコンタクトガラス1上に平面的に定置される。原稿台(コンタクトガラス)1の下部には、照明手段3が配置されている。照明手段3は、光源として図面に直交する方向に長い管灯、及びリフレクタで構成され、「図面に直交する方向に長いスリット状部分」を照明する。前記光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、LED光源等を用いることができるが、LED光源を使用することが好ましい。LED光源を使用することにより、読取光学系の消費電力を低減可能であり、省エネルギーを達成することができる。
【0036】
照明された原稿2から反射された反射光(画像による反射光)は、折り返しミラー(
図11ではM1〜M5の5枚のミラーを配置)により順次反射され、読取レンズユニットを構成する読取レンズ10により光電変換素子としてのラインセンサ6の撮像面上に原稿画像の縮小像として結像される。なお、本実施形態では折返しミラーの枚数が5枚の例を示したが、枚数は5枚に限定されない。
【0037】
照明手段3、折り返しミラーM1〜M5、読取レンズ10及び光電変換素子6は、画像読取ユニット7として一体的に保持され、図示されない駆動手段により矢印方向(図の右方)へ走行し、破線で示す位置の画像読取ユニット7まで変位し、原稿全体の情報を読み取る。
【0038】
前記画像読取装置は、読取レンズ10の結像光路上に色分解手段を有し、原稿画像をフルカラーで読取るようになっている。
「撮像部」であるラインセンサ6は、前記色分解手段として赤(R)、緑(G)、青(B)のフィルタを持った光電変換素子(6a、6b、6c)を、1チップに3列に配列させた3ラインCCD(3ラインのラインセンサ)であり、原稿2の照明走査に伴い、原稿画像を画像信号化する。このようにして原稿2の読み取りが実行され、原稿2のカラー画像は、赤、緑、青の3原色に色分解して読み取られる。
【0039】
「色分解」は、上記以外に、読取レンズ10とラインセンサ(CCD)6との間に色分解プリズムやフィルタを選択的に挿入し、R(赤)、G(緑)、B(青)に色分解する方法や、「R、G、Bの光源を順次点灯させ原稿を照明する方法」を用いることができる。
また、結像光路中に色分解素子を有さず、原稿情報をモノクロとして読み取ることも可能である。
【0040】
前記画像読取装置は、上述のようにピント調整、像面の倒れ、及び像面の傾きを高精度に補正可能であり、像面調整の自由度に優れた読取レンズユニットを備えるため、原稿情報を良好に読み取ることができる。
【0041】
〔画像形成装置〕
本発明に係る画像形成装置は、前記画像読取装置を備える。
前記画像形成装置の一実施形態を
図12に示す。
【0042】
図12に示すように、前記画像形成装置は、装置上部に位置する画像読取装置200と、その下位に位置する画像形成部とを有する。なお、画像読取装置200は、
図11に即して説明したのと同様のものであり、各部には
図11と同じ符号を付してある。
【0043】
画像読取装置200の3ラインのラインセンサ(撮像手段)6から出力される画像信号は画像処理部120に送られ、画像処理部120において処理されて「書込み用の信号(イエロー・マゼンタ・シアン・黒の各色を書込むための信号)」に変換される。
【0044】
画像形成部は、「潜像担持体」として円筒状に形成された光導電性の感光体110を有し、その周囲に、帯電手段としての帯電ローラ111、リボルバ式の現像装置113、転写ベルト114、クリーニング装置115が配設されている。帯電手段としては帯電ローラ111に代えて「コロナチャージャ」を用いることもできる。
【0045】
信号処理部120から書込み用の信号を受けて光走査により感光体110に書込みを行う光走査装置117は、帯電ローラ111と現像装置113との間において感光体110光走査を行うようになっている。
【0046】
符号116は定着装置、符号118はカセット、符号119はレジストローラ対、符号122は給紙コロ、符号121はトレイ、符号Sは「記録媒体」としての転写紙を示している。
【0047】
画像形成を行うときは、光導電性の感光体110が時計回りに等速回転され、その表面が帯電ローラ111により均一帯電され、光走査装置117のレーザビームの光書込による露光を受けて静電潜像が形成される。形成された静電潜像は所謂「ネガ潜像」であって画像部が露光されている。
【0048】
「画像の書込み」は、感光体110の回転に従い、イエロー画像、マゼンタ画像、シアン画像、黒画像の順に行われ、形成された静電潜像はリボルバ式の現像装置113の各現像ユニットY(イエロートナーによる現像を行う)、M(マゼンタトナーによる現像を行う)、C(シアントナーによる現像を行う)、K(黒トナーによる現像を行う)により順次反転現像されてポジ画像として可視化され、得られた各色トナー画像は、転写ベルト114上に、転写電圧印加ローラ114Aにより順次転写され、上記各色トナー画像が転写ベルト114上で重ね合わせられてカラー画像となる。
【0049】
転写紙Sを収納したカセット118は、画像形成装置本体に脱着可能であり、図のごとく装着された状態において、収納された転写紙Sの最上位の1枚が給紙コロ122により給紙され、給紙された転写紙Sはその先端部をレジストローラ対119に捕えられる。
【0050】
レジストローラ対119は、転写ベルト114上の「トナーによるカラー画像」が転写位置へ移動するのにタイミングを合わせて転写紙Sを転写部へ送り込む。送り込まれた転写紙Sは、転写部においてカラー画像と重ね合わせられ、転写ローラ114Bの作用によりカラー画像を静電転写される。転写ローラ114Bは、転写時に転写紙Sをカラー画像に押圧させる。
【0051】
カラー画像を転写された転写紙Sは定着装置116へ送られ、定着装置116においてカラー画像を定着され、図示されないガイド手段による搬送路を通り、図示されない排紙ローラ対によりトレイ121上に排出される。各色トナー画像が転写されるたびに、感光体110の表面はクリーニング装置115によりクリーニングされ、残留トナーや紙粉等が除去される。
【0052】
前記画像形成装置は、前記読取レンズユニットを使用した前記画像読取装置を備えることにより、良好な読み取り画像品質を基に高画質な画像が形成可能である。
なお、前記画像形成装置は、感光体を各色に対応して複数配置した、いわゆるタンデム式の画像形成装置であってもよい。勿論、前記画像形成装置を「モノクロームの画像形成を行うように構成」できることは言うまでもない。