(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャリッジを突き当て部材に突き当てて前記キャリッジのホーム位置を定めるホーミング動作を行うときに、前記移動停止検出手段から前記負荷変動検出手段への切替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記キャリッジが停止した位置がホーム位置に設定したとき、前記設定したホーム位置が正しいか否かを検出する動作を行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
前記キャリッジの移動距離が所定距離になったときに、前記移動停止検出手段から前記負荷変動検出手段への切替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記キャリッジが、前記記録ヘッドで画像を形成する被記録媒体のキャリッジ移動方向端部に位置したときに、前記移動停止検出手段から前記負荷変動検出手段への切替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記キャリッジが、前記記録ヘッドによる画像形成開始位置に達したときに、前記移動停止検出手段から前記負荷変動検出手段への切替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記キャリッジの検出速度が指令速度を越えたときに、前記移動停止検出手段から前記負荷変動検出手段への切替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記キャリッジの前記駆動源に対する指令速度が所定の速度に達したときに、前記移動停止検出手段から前記負荷変動検出手段への切替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
記録ヘッドが搭載され、往復移動されるキャリッジの位置又は速度を検出し、前記検出結果に基づいて前記キャリッジの駆動源を駆動制御する処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
前記キャリッジが移動を停止したことを検出する移動停止検出処理と、
前記キャリッジの位置又は速度が予め定めた位置又は速度に到達した後に、前記駆動源の負荷に応じて変化する値の最大値と最小値を保持する保持処理と、
前記保持された最大値と最小値の差である変動幅が予め設定した幅よりも大きいか否かを検出する負荷変動検出処理と、を、
前記キャリッジの位置又は速度に応じて切替え、
前記キャリッジの位置又は速度が予め定めた位置又は速度に到達するまでは、移動停止検出処理の検出結果によって前記駆動源を駆動停止させる制御をし、
前記キャリッジの位置又は速度が予め定めた位置又は速度に到達した後は、前記変動幅が予め設定した幅よりも大きい場合に前記駆動源を駆動停止させる制御をする
処理をコンピュータに行わせる
ことを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の一例について
図1ないし
図3を参照して説明する。
図1は同画像形成装置の外観斜視説明図、
図2は同じく側面模式的説明図、
図3は同じく画像形成部の要部平面説明図である。
【0015】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体101と、装置本体101の下側に配置した給紙装置102とを備えている。なお、給紙装置102は装置本体101と別体で装置本体101の下側に配置されるものであるが、
図2では装置本体101と一体にした構成としている。
【0016】
装置本体101の内部には、給紙装置102から給紙されるロール状媒体であるロール紙120に画像を形成する画像形成部である画像形成部103が配置されている。
【0017】
また、装置本体101の前面側(印刷され切断されたロール紙120が排出される側を前面とする)には、内部の画像形成部103を開放する開閉可能な開閉カバー108が設けられている。
【0018】
画像形成部103は、両側板51、52にガイド部材であるガイドロッド1及びガイドステー2が掛け渡され、これらのガイドロッド1及びガイドステー2にキャリッジ5が矢印A方向(主走査方向、キャリッジ移動方向)に移動可能に保持されている。
【0019】
そして、主走査方向の一方側にはキャリッジ5を往復移動させる駆動源である主走査モータ8が配置されている。この主走査モータ8によって回転駆動される駆動プーリ9と主走査方向他方側に配置された従動プーリ10との間にタイミングベルト11が掛け回されている。このタイミングベルト11にキャリッジ5の図示しないベルト保持部が固定され、主走査モータ8を駆動することによってキャリッジ5を主走査方向に往復移動させる。
【0020】
キャリッジ5には、複数(ここでは5個)の液体吐出ヘッド及びヘッドに液体を供給するヘッドタンクを一体にした記録ヘッド6a〜6d(区別しないときは「記録ヘッド6」という。)が搭載されている。
【0021】
ここで、記録ヘッド6aと記録ヘッド6b〜6dは主走査方向と直交する方向である副走査方向に1ヘッド分(1ノズル列分)位置をずらして配置されている。また、記録ヘッド6は、液滴を吐出する複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を下方に向けて搭載している。
【0022】
また、記録ヘッド6a〜6dはいずれも2列のノズル列を有している。そして、記録ヘッド6a、6bは、いずれのノズル列からも同色である黒色の液滴を吐出する。記録ヘッド6cは、一方のノズル列からシアン(C)の液滴を吐出し、他方のノズル列は未使用ノズル列としている。また、記録ヘッド11dは、一方のノズル列からイエロー(Y)の液滴を、他方のノズル列からマゼンタ(M)の液滴を吐出する。
【0023】
これにより、モノクロ画像については記録ヘッド6a、6bを使用して1スキャン(主走査)で2ヘッド分の幅で画像を形成でき、カラー画像については例えば記録ヘッド6b〜6dを使用して形成することができる。なお、ヘッド構成はこれに限るものではなく、複数の記録ヘッドを主走査方向に全て並べて配置するものでもよい。
【0024】
記録ヘッド6のヘッドタンクには、装置本体101に交換可能に装着されるメインタンクであるインクカートリッジから供給チューブを介して各色のインクが供給される。
【0025】
また、キャリッジ5の移動方向に沿ってエンコーダシート40が配置され、キャリッジ5にはエンコーダシート40を読取るエンコーダセンサ41が設けられている。これらのエンコーダシート40及びエンコーダセンサ41によってリニアエンコーダ42を構成し、リニアエンコーダ42の出力からキャリッジ5の位置及び速度を検出する。
【0026】
一方、キャリッジ5の主走査領域のうち、記録領域では、給紙装置102からロール紙120が給送され、搬送手段21によってキャリッジ5の主走査方向と直交する方向(副走査方向、用紙搬送方向:矢印B方向)に間欠的に搬送される。
【0027】
搬送手段21は、給紙装置102から給紙されるロール状媒体であるロール紙120を搬送する搬送ローラ23及び搬送ローラ23に対向配置した加圧ローラ24を有している。そして、搬送ローラ23の下流側に、複数の吸引穴が形成された搬送ガイド部材25と、搬送ガイド部材25の吸引穴から吸引を行う吸引手段としての吸引ファン26とを有している。
【0028】
この搬送手段21の下流側には、
図2に示すように、記録ヘッド6で画像が形成されたロール紙120を所定の長さで切断する切断手段としてのカッタ27が配置されている。
【0029】
さらに、キャリッジ5の主走査方向の一方側には搬送ガイド部材25の側方に記録ヘッド6の維持回復を行う維持回復機構80が配置されている。
【0030】
給紙装置102は、ロール体112を有している。ロール体112は、芯部材である管114に長尺のロール状媒体であるシート(これを上述したように「ロール紙」という。)120をロール状に巻き付けたものである。
【0031】
ここで、本実施形態では、ロール体112として、ロール紙120の終端を管114に糊付けなどの接着で固定したもの、ロール紙120の終端を管114に糊付けなどで接着していない非固定のもののいずれも装着可能である。
【0032】
そして、装置本体101側には、給紙装置102のロール体112から引き出されるガイドするガイド部材130と、ロール紙120を湾曲させて上方に給送する搬送ローラ対131とが配置されている。
【0033】
搬送ローラ対131を回転駆動することで、ロール体112から繰り出されるロール紙120は、搬送ローラ対131とロール体112間で張られた状態で搬送される。そして、ロール紙120は、搬送ローラ対131を経て、搬送手段21の搬送ローラ23と加圧ローラ24との間に送り込まれる。
【0034】
このように構成したこの画像形成装置においては、キャリッジ5を主走査方向に移動し、給紙装置102から給送されるロール紙120を、搬送手段21によって間欠的に送る。そして、記録ヘッド6を画像情報(印字情報)に応じて駆動して液滴を吐出させることによって、ロール紙120上に所要の画像が形成される。この画像が形成されたロール紙120は、カッタ27で所定の長さにカットされ、装置本体101の前面側に配置される図示しない排紙ガイド部材に案内されてバケット内に排出されて収納される。
【0035】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について
図4のブロック説明図を参照して説明する。
【0036】
制御部400は、CPU401、FPGA(Field Programmable Gate Array)403と、RAM、ROM、NVRAMなどを含むメモリ411と、モータドライバ414などを有している。
【0037】
CPU401の演算部402はFPGA403の各部と通信を行う。
【0038】
FPGA403では、CPU401と通信を行うCPU制御部404と、メモリ411にアクセスするためのメモリ制御部405を構成している。
【0039】
また、FPGA403では、エンコーダセンサ416などのセンサ信号の処理を行うセンサ処理部407を備えている。センサ処理部407は、リニアエンコーダ42の出力信号からキャリッジ5の位置信号及び速度信号を生成する生成手段を構成している。
【0040】
また、主走査モータ8を含む各部のモータ417を駆動制御するモータ制御部408を構成している。
【0041】
なお、エンコーダセンサ416には、前述したキャリッジ5の位置や速度を検出するリニアエンコーダ42のエンコーダセンサ41、搬送ローラ23の回転量などを検出する図示しないロータリエンコーダを構成するエンコーダセンサ等を含む。
【0042】
また、モータ417には、前述した主走査モータ8の他、搬送ローラ23を回転駆動する副走査モータ、搬送ローラ対131などを回転駆動する給紙モータなどが含まれる。モータとしては、例えばDCモータやステッピングモータなどを使用できる。
【0043】
ここで、モータ417に含まれる主走査モータ8の動作について説明する。
【0044】
CPU401は、動作開始指示と共に、移動速度、移動距離をモータ制御部408に指示する。
【0045】
CPU401からの指示を受けたモータ制御部408は、速度指示・移動距離指示情報から駆動プロファイルを作成し、エンコーダセンサ416に含まれるエンコーダセンサ41からセンサ処理部407を経由して得たエンコーダ情報との比較を行う。そして、PWM指令値を算出して、モータドライバ414にPWM指令値を出力する。
【0046】
モータ制御部408は、所定の動作を終了すると、CPU401に動作終了を通知し、CPU401は動作終了の指示を受け取る。
【0047】
なお、モータ制御部408が駆動プロファイルを作成する代わりに、CPU401が駆動プロファイルを作成して、モータ制御部408に指示を与えるようにすることもできる。
【0048】
つまり、ここでは、CPU401とモータ制御部408とによってキャリッジ5の駆動源である主走査モータ8をPWM制御で駆動制御する駆動制御手段を構成している。したがってまた、本発明における負荷変動検出手段、移動停止検出手段などはこの制御部400によって構成している。
【0049】
次に、キャリッジの速度制御の一例について
図5を参照して説明する。
図5はキャリッジを駆動するときのキャリッジ速度の変化を説明する説明図である。
【0050】
本実施形態では、キャリッジ5を走査する主走査モータ8の駆動制御は、PWM制御で行い、PI制御ループを持つサーボシステムによって行っている。このシステムでは、PWMのDuty比を決める指令値(以下、「速度指令値」という。)を変化させることでキャリッジ速度を制御する。
【0051】
キャリッジの移動速度(キャリッジ速度V)は時間tとの関係で、加速領域、等速領域、減速領域に分けられる。
【0052】
加速領域は、キャリッジ5の移動開始からキャリッジ速度Vが目標速度V1に到達するまでの領域である。等速領域は、キャリッジ5が目標速度V1で移動する領域である。減速領域は、キャリッジ5が目標速度V1から停止する(速度0になる)までの領域である。
【0053】
そして、画像形成時などの通常時のキャリッジ移動では、CPU401からの指示による目標速度及び移動距離に従って、加速領域、等速領域、減速領域において、それぞれ加速、等速、減速を行うことによって、指示された移動距離だけキャリッジ5を移動させる。
【0054】
次に、ホーミング動作におけるキャリッジ5の移動について説明する。
【0055】
キャリッジ5の主走査位置の初期化動作(ホーミング動作)では、例えば、キャリッジ5を右側の側板51に向けて移動させ、側板51を突き当て部材として、キャリッジ5を側板51に突き当てる。そして、キャリッジ5が側板51に突き当たった位置(或いは、この位置から所定量逆方向に移動させた位置)を、キャリッジ5のホーム位置として設定することで、主走査方向の絶対位置を決定する。なお、左側の側板52を突き当て部材とすることもできる。
【0056】
このホーミング動作を行うときには、CPU401からの指示による移動距離を、装置におけるキャリッジ5の最大移動幅と減速領域とを合わせた距離よりも大きくなる距離に設定する。これにより、キャリッジ5が減速領域に到達する前に側板(突き当て部材)に突き当たるようにしている。
【0057】
そして、ホーミング動作中は、加速領域においては、キャリッジ5が移動を停止したことを検出して主走査モータ8の駆動停止制御(第1駆動停止制御)を行う。また、等速領域においては、主走査モータ8の負荷変動を検出して主走査モータ8の駆動停止制御(第2駆動停止制御)を行うようにしている。
【0058】
ここで、移動停止検出による駆動停止制御から負荷変動検出による駆動停止制御への切替えは、例えばモータ制御部408によって、キャリッジ速度が所定の速度である目標速度V1に達したことをトリガーとして行うことができる。
【0059】
この場合、キャリッジ5の移動開始位置によっては、
図5に示すように、加速領域内の時点t1でキャリッジ5が側板51に突き当たることもあれば、等速領域内の時点t2、t3でキャリッジ5が側板51に突き当たることある。ただし、上述したように、ホーミング動作における駆動指示は、キャリッジ5の移動距離を、最大移動幅と減速領域とを合わせた距離よりも大きくなる距離に設定しているので、減速領域でキャリッジ5が側板51に突き当たることはない。
【0060】
次に、ホーミング動作開始位置について
図6を参照して説明する。
図6は同説明に供する説明図である。
【0061】
ホーミング動作開始位置は、装置本体上のキャリッジ5が移動可能な範囲内全てである。これは、ホーミング動作開始時は、キャリッジ5の絶対位置が不明である場合、例えば、電源OFF時にキャリッジ5を移動した場合などが想定されるためである。
【0062】
ここで、キャリッジ5は左側板52(主走査方向他端)と右側板51(主走査方向一端)との間を移動可能であり、キャリッジ5は、動作開始すると、
図6中の矢印の方向へ移動し、右側板に突き当てられる。この例では、ホーム位置は、キャリッジ5が移動可能な範囲の右端側であるため、キャリッジ5が右側板51に突き当てられる。
【0063】
図6(a)は、キャリッジ5が主走査領域の左端(左側板52)から移動を開始した例である。このとき、前述したように、加速領域ではキャリッジの移動停止検出を行い、等速領域から負荷変動検出を行う。なお、最大幅を移動しても等速領域になるように移動距離を設定している。
【0064】
そして、等速領域において主走査モータ8の負荷変動を判断することによって側板51への突き当てを検出して、ホーム位置を設定する。
【0065】
図6(b)は、キャリッジ5が主走査領域の中央付近から移動を開始した例である。このときも、前述したように、加速領域ではキャリッジの移動停止検出を行い、等速領域から負荷変動検出を行う。
【0066】
図6(c)は、キャリッジ5が主走査領域の右側板51の直前から移動を開始した例であり、加速領域で右側板51に突き当たる場合の例である。加速領域においては、前述したように、キャリッジ5の移動停止判定(速度が0になったか否かを判定)することによって、キャリッジ5が右側板51への突き当たったことを検出して、ホーム位置を設定する。
【0067】
上述したようにキャリッジ速度に応じて移動停止検出と負荷変動検出とを切替える場合、エンコーダセンサ42で検出したキャリッジ5の検出速度が速度指令値で指令した指令速度を越えたときとすることもできる。
【0068】
次に、第1駆動停止制御と第2駆動停止制御の切替えタイミングの他の例について
図7を参照して説明する。
図7は同説明に供するキャリッジ移動距離に対するキャリッジの速度領域の説明図である。
【0069】
上述した説明では、第1駆動停止制御と第2駆動停止制御とを、キャリッジ速度の加速領域と等速領域で切り替える例で説明しているが、例えばキャリッジ位置で切替えることもできる。
【0070】
ここで、キャリッジ位置Xのうち、被記録媒体があると想定される範囲とは、モータ制御部408が、被記録媒体(ロール紙120)があると想定する領域のことである。
【0071】
また、加速距離は、キャリッジ速度を加速するために必要なキャリッジ5の移動距離である。被記録媒体端部から加速領域分離れた位置からキャリッジ5の移動を開始する。例えば、加速距離を全て30mmと設定した場合、加速終了位置X1は、動作開始位置0からキャリッジ5が30mm移動した位置となる。
図7の例では、キャリッジ速度は、位置X1よりも手前(主走査方向上流側)で最高速度(目標速度)に達している。
【0072】
そして、例えば、加速距離として設定されている距離をキャリッジ5が移動した場合、被記録媒体があると想定される範囲の開始位置である、加速終了位置X1までの間では、第1駆動停止制御(キャリッジ5の移動停止検出)を、それ以降では、第2駆動停止制御(主走査モータ8の負荷変動検出)を行って、キャリッジ5が側板51に突き当たったか否かを判別する。
【0073】
ここで、被記録媒体があると想定される範囲では、キャリッジ5が被記録媒体に接触する可能性が高いため、この範囲のみを主走査モータ8の負荷変動検出によって、キャリッジ5が側板51に突き当たったか否かを判別している。
【0074】
なお、ホーミング動作中は、前述したように、減速開始位置X2、目標停止位置X3が生じないようにホーミング動作が行われる。
【0075】
なお、切替え位置は、記録ヘッド6から液滴の吐出を開始して被記録媒体に画像を形成する画像形成開始位置とし、画像形成開始位置で第1駆動停止制御から第2駆動停止制御に切替えることもできる。
【0076】
次に、制御部によるホーミング動作時のキャリッジ(主走査モータ)の駆動制御の一例について
図8のフロー図を参照して説明する。
【0077】
制御部400のモータ制御部408は、ホーミング動作を開始すると、キャリッジ5の移動停止検出を行う(ステップS101)。
【0078】
その後、検出動作切替タイミングか否かを判別する(S102)。
【0079】
ここで、切替タイミングでなければ、キャリッジ5の移動停止か否かを判別する(S103)。
【0080】
そして、移動停止でなければ、S101の処理に戻る。
【0081】
これに対し、キャリッジ5の移動停止であれば、主走査モータ8の駆動停止を行う(S106)。主走査モータ8の駆動停止は、PWM指令値をモータ停止指示にして行う。モータドライバ414のドライバ出力をOFFにして駆動停止を行うこともできる。
【0082】
一方、キャリッジ5の移動停止か否かの検出判定中に検出切替タイミングになったときには、主走査モータ8の負荷変動検出処理に移行する(S104)。
【0083】
そして、負荷変動検出処理で主走査モータ8の負荷変動が検出されたか否かを判別する(S105)。
【0084】
ここで、負荷変動が検出されたときには、主走査モータ8の駆動停止を行う(S106)。
【0085】
上述したようにして、その後、主走査モータ8の駆動停止を行った(S106)ときには、次いで、キャリッジ5のホーム位置(ホームポジション)を設定して(S107)、ホーミング動作を終了する。
【0086】
この場合、検出動作切替えタイミングの判別は、前述したように、キャリッジ速度が目標速度V1に到達したか否かをチェックして行うことができる。あるいは、キャリッジ位置が負荷変動を検出領域に到達した(例えば、加速終了位置X1に到達した)か否かをチェックして行うようにすることもできる。
【0087】
主走査モータ8の移動停止は、エンコーダセンサ41からの入力値が一定時間変化しないときに移動停止と判定することができる。あるいは、エンコーダセンサ41からの入力値から算出されるキャリッジ5の移動速度(検出速度)が、一定時間、速度「0」になったときに移動停止と判定するようにすることができる。
【0088】
負荷変動の検出は、キャリッジ5が等速で移動中の、複数の時点における主走査モータ8へのモータ出力
値(電圧値もしくは電流値)を、前回にキャリッジ5を同一方向に移動させたときの、各測定時点に対応する時点におけるモータ出力値と比較する。そして、両者のモータ出力値の差を所定の閾値と比較して、閾値を越えたときに、キャリッジ5が異物(側板51を含む)に接触した、負荷変動が生じたとものと判断することで行う。
【0089】
ホーム位置の設定は、キャリッジ5が側板51(突き当て部材)に突き当たったことを検出した時の位置を「0」として、キャリッジ5の位置を計測するカウンタをリセットする動作である(絶対位置の決定、及び更新、確認動作である)。
【0090】
次に、ホーミング動作後の制御の第1例について
図9のフロー図を参照して説明する。
【0091】
上述したホーミング動作では、キャリッジ5が側板51に突き当たる前に異物と干渉して負荷変動で生じることによって駆動停止した場合の位置もホーム位置として設定されることになる。そこで、ここでは、設定したホーム位置が正しいか否かを確認するようにしている。
【0092】
まず、前提として、この画像形成装置では、図示しないが、キャリッジ5に搭載した記録ヘッド6のヘッドタンクには、内部の液体残量に応じて変位する変位部材(以下、「フィラ」という。)を有し、装置本体側にはフィラを検知する本体側検知手段(本体側センサ)を備えているものとする。
【0093】
そこで、ホーミング動作を行った(S001)後、フィラの検出動作を行い(S002)、フィラを検出(検知)したか否かを判別する(S003)。
【0094】
このとき、フィラを検出できなかったときには、ホーミング動作で設定したホーム位置が正しくないと判断して、再度ホーミング動作を行う。
【0095】
これに対し、フィラを検出できたときには、ホーミング動作で設定したホーム位置が正しくものと判断して、この処理を終了する。
【0096】
ここで、フィラ検出動作は、本体側センサの位置にキャリッジ5を移動させ、本体側センサがフィラを読取る動作であり、これにより、キャリッジ5の絶対位置にズレがないかを検出することが可能となる。
【0097】
上述したフィラは、ヘッドタンク内のインク残量を検出するために使用するもので、一定の範囲で検出幅を持っているため、ホーム位置を検出するためには使用できない。しかしながら、ホーム位置がずれた場合にはフィラ自体を検出できないため、ホーム位置が正しいかどうかを判断するためには使用できる。
【0098】
なお、上述したフィラを検知する検知手段は、ホーム位置ズレを検出するための検知手段として設置することもできる。
【0099】
次に、ホーミング動作後の制御の第2例について
図10のフロー図を参照して説明する。
【0100】
この第2例では、上記第1例において、フィラ検出動作を行ってもフィラを検出しないときには、異常動作を通知した(S004)後、再度ホーミング動作を行うようにしている。
【0101】
次に、ホーミング動作後の制御の第2例について
図10のフロー図を参照して説明する。
【0102】
この第2例では、上記第1例において、フィラ検出動作を行ってもフィラを検出しないときには、異常動作を通知した(S004)後、再度ホーミング動作を行うようにしている。
【0103】
次に、ホーミング動作後の制御の第3例について
図11のフロー図を参照して説明する。
【0104】
この第3例では、上記第1例において、フィラ検出動作を行ってもフィラを検出しない回数が設定回数を越えたか否かを判別する(S005)。そして、設定回数を越えるまでは、再度ホーミング動作を行い、設定回数を越えたときには、異常動作を通知して(S006)、処理を終了するようにしている。
【0105】
これにより、いつまでもホーム位置設定が終了しない事態の発生を回避できる。
【0106】
次に、キャリッジの速度制御の一例について
図12を参照して説明する。
図12はキャリッジの1回の走査(正転動作)におけるキャリッジ速度のPWM値のデューティ比(Duty比)の指令値変化を説明する説明図である。
【0107】
本実施形態では、キャリッジ5を走査する主走査モータ8の駆動制御は、前述したように、PWM制御で行い、PI制御ループを持つサーボシステムによって行っている。このシステムでは、PWMのDuty比を決める指令値(以下、「PWM指令値」)を変化させることでキャリッジ速度を制御する。
【0108】
ここで、PWM指令値は、例えば
図13に示すように割り当てている。
【0109】
このように、PWMのDuty比を制御してモータ速度を制御する一例について説明する。
【0110】
まず、外部からの指示速度からエンコーダ等の位置や速度の検出手段によって検出された制御対象(ここではキャリッジ)の移動速度或いはモータの回転速度を減算し、速度誤差(Ve)を計算する。
【0111】
次に、(1)式に従って、操作量(ここでは、PWMのDuty比)を算出する。なお、(1)式中、Kpは比例制御定数、Kiは積分制御定数である。
【0113】
この算出値に従ってモータドライバ414に与えるPWM指令値を変化させることにより、キャリッジ5の速度制御を行う。
【0114】
なお、本実施形態では、PI制御を行っているが、PID(比例積分微分)制御を行うこともできる。
【0115】
なお、キャリッジの反転動作におけるキャリッジ速度のPWM値のデューティ比(Duty比)の指令値変化の一例を
図14に示している。
【0116】
次に、負荷変動検出としての異物検知制御の一例について
図15を参照して説明する。
図15はキャリッジの移動中にキャリッジが異物と干渉したときのPWMのDuty比の指令値変化の一例を説明する説明図である。
【0117】
ここでは、等速領域での等速制御中に、PWM指令値の最大値Maxと最小値Minとを保持して、最大値Maxと最小値Minとの幅(これを、「変動幅」という。)を算出する。そして、算出した変動幅と予め設定した閾値とを比較することで、異物検知(キャリッジが異物と干渉したか否かの検出)を行っている。
【0118】
すなわち、キャリッジ5が等速移動中に異物と干渉すると、モータ制御部408は、エンコーダセンサ41による検出速度(検出位置)と目標速度(目標位置)との差分量が大きくなるため、PWM指令値を変化させて主走査モータ8の速度を上げようとする。
【0119】
そして、PWM指令値が変化すると、PWM指令値の最大値Maxと最小値Minとの変動幅が大きくなっていく。そこで、予め設定されたPWM指令値の変動幅の閾値を越えたときには、強制的に主走査モータ8のPWM指令値をモータ停止指示(
図13の例ではPWM指令値2000)に変化させ、主走査モータ8の駆動を停止させ、キャリッジ5を停止させる。
【0120】
このように、PWM指令値の変動幅で閾値を設定することによって、キャリッジが異物と干渉したことを確実に精度良く検出判定することができる。
【0121】
すなわち、キャリッジの等速領域におけるPWM指令値は、負荷などの影響によって変化し、毎回同じ指令値になるとは限らない。これに対し、PWM指令値の変動幅は、負荷が変動しても変化せず、PWM指令値にオフセットがかかるような形でPWM指令値が変化する。
【0122】
例えば、負荷が重くなれば、同じ速度でもPWM指令値が上がり、負荷が軽くなれば、同じ速度でもPWM指令値が下がることになるが、PWM指令値の変動幅はほとんど変化しない。
【0123】
したがって、PMW指令値の変動幅に対応する閾値を設定しておくことによって、負荷変動があっても、同じ閾値で異物検知が可能になる。
【0124】
また、印字モード(速度を画質に対して優先するモード、あるいは、画質を速度に対して優先するモードなど)、用紙セット時などの動作の違いによっても、等速領域の速度が変化する。
【0125】
この場合、PMW指令値の変動幅で閾値を設定しておくことによって、同じ閾値で異物検知が可能になる。
【0126】
さらに、周囲環境の変化によるPWM指令値のバラツキに対しても対応することができるようになる。
【0127】
上記実施形態における主走査モータの制御に関する各処理は、ROMなどに格納されたプログラムによってコンピュータ(CPU)に行なわせている。このプログラムは、記憶媒体に記憶して提供することができ、或はインターネットネットなどのネットワークを通じてダウンロードすることで提供できる。
【0128】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0129】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0130】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0131】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0132】
また、上記実施形態ではロール紙を使用する画像形成装置に適用しているが、シートを使用する画像形成装置にも同様に適用することができる。