特許第6236778号(P6236778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6236778金属酸化物膜形成用塗布液、金属酸化物膜、電界効果型トランジスタ、及び電界効果型トランジスタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236778
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】金属酸化物膜形成用塗布液、金属酸化物膜、電界効果型トランジスタ、及び電界効果型トランジスタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20171120BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20171120BHJP
   H01L 21/368 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H01L29/78 618A
   H01L29/78 618B
   H01L21/368 Z
【請求項の数】8
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-276801(P2012-276801)
(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-120712(P2014-120712A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中村 有希
(72)【発明者】
【氏名】植田 尚之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 美樹子
(72)【発明者】
【氏名】安部 由希子
(72)【発明者】
【氏名】松本 真二
(72)【発明者】
【氏名】曽根 雄司
(72)【発明者】
【氏名】早乙女 遼一
(72)【発明者】
【氏名】新江 定憲
【審査官】 岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−222557(JP,A)
【文献】 特開平06−096619(JP,A)
【文献】 特開平07−320541(JP,A)
【文献】 特開2011−009619(JP,A)
【文献】 特開2010−123844(JP,A)
【文献】 特開2011−195762(JP,A)
【文献】 特開2009−177149(JP,A)
【文献】 特開2006−269950(JP,A)
【文献】 特開2010−225668(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/132493(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/081968(WO,A1)
【文献】 特開2011−243745(JP,A)
【文献】 特開2011−124360(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0037901(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0140100(US,A1)
【文献】 特表2012−524993(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/014885(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/090891(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/368
H01L 21/336
H01L 21/208
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機インジウム化合物と、バリウム化合物と、有機溶媒とを含有し、
前記無機インジウム化合物が、オキソ酸インジウム、ハロゲン化インジウム、水酸化インジウム、及びシアン化インジウムの少なくともいずれかであることを特徴とする金属酸化物膜形成用塗布液。
【請求項2】
無機インジウム化合物と、バリウム化合物と、有機溶媒とを含有し、
前記バリウム化合物が、バリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド、2−エチルヘキサン酸バリウム、バリウムアセチルアセトナート、オキソ酸バリウム、ハロゲン化バリウム、水酸化バリウム、及びシアン化バリウムの少なくともいずれかであることを特徴とする金属酸化物膜形成用塗布液。
【請求項3】
無機インジウム化合物と、バリウム化合物と、有機溶媒と、無機マグネシウム化合物、無機亜鉛化合物、無機カルシウム化合物、及び無機ストロンチウム化合物の少なくともいずれかとを含有し、
前記無機マグネシウム化合物が、オキソ酸マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム、水酸化マグネシウム、及びシアン化マグネシウムの少なくともいずれかであり、
前記無機亜鉛化合物が、オキソ酸亜鉛、ハロゲン化亜鉛、水酸化亜鉛、及びシアン化亜鉛の少なくともいずれかであり、
前記無機カルシウム化合物が、オキソ酸カルシウム、ハロゲン化カルシウム、水酸化カルシウム、及びシアン化カルシウムの少なくともいずれかであり、
前記無機ストロンチウム化合物が、オキソ酸ストロンチウム、ハロゲン化ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、及びシアン化ストロンチウムの少なくともいずれかであることを特徴とする金属酸化物膜形成用塗布液。
【請求項4】
無機インジウム化合物と、バリウム化合物と、有機溶媒とを含有し、
前記有機溶媒が、グリコールエーテル類及びジオール類の少なくともいずれかであることを特徴とする金属酸化物膜形成用塗布液。
【請求項5】
無機インジウム化合物と、バリウム化合物と、有機溶媒と、無機マグネシウム化合物、無機カルシウム化合物、及び無機ストロンチウム化合物の少なくともいずれかとを含有することを特徴とする金属酸化物膜形成用塗布液。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の金属酸化物膜形成用塗布液を被塗物に塗布し、乾燥させた後に焼成を行って金属酸化物膜を得ることを特徴とする金属酸化物膜の製造方法。
【請求項7】
基材上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
前記ゲート絶縁層上にソース電極及びドレイン電極を離間して形成するソース電極及びドレイン電極形成工程と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域であって前記ゲート絶縁層上に、酸化物半導体からなる活性層を形成する活性層形成工程とを含み、
前記活性層形成工程が、前記ゲート絶縁層上に請求項1から5のいずれかに記載の金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して前記酸化物半導体からなる前記活性層を形成する工程であることを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項8】
基材上にソース電極及びドレイン電極を離間して形成するソース電極及びドレイン電極形成工程と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域であって前記基材上に、酸化物半導体からなる活性層を形成する活性層形成工程と、
前記活性層上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを含み、
前記活性層形成工程が、前記基材上に請求項1から5のいずれかに記載の金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して前記酸化物半導体からなる前記活性層を形成する工程であることを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物膜形成用塗布液、金属酸化物膜、電界効果型トランジスタ、及び電界効果型トランジスタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)などの金属酸化物は、透明導電膜として、液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス表示素子などの表示素子の電極や、自動車、航空機、建築物などの窓ガラスの曇り防止、又は氷結防止のための発熱抵抗体に利用されている。
【0003】
近年、金属酸化物の1種であるZnO、In、In−Ga−Zn−O等の酸化物半導体が、アモルファスシリコンと比較して高いキャリア移動度を示す半導体であることが見出されている。そして、これら酸化物半導体を活性層に用いた電界効果型トランジスタ(FET;Field Effect Transistor)の開発が活発化している。
【0004】
このような金属酸化物の薄膜の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが一般的である。例えば、スパッタリング等の真空成膜技術を用いた、インジウム、正二価元素(特に亜鉛、マグネシウム、銅、コバルト、ニッケル、カルシウム)及び酸素を含有し比抵抗が10−1Ωcm〜10Ωcmである半導体薄膜が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、これらの方法を実施するには、複雑で高価な装置を必要とするという問題がある。また、大面積な薄膜を形成することが困難であるという問題がある。
【0005】
そのため、より簡便かつ大面積化が可能な方法として、無機金属化合物、又は有機金属化合物を有機溶媒などに溶解し、より高い導電性を付与するために活剤として他の金属を添加した塗布液、及び該塗布液を用いた塗布方法が検討されている。
例えば、高い導電性と透過率を有する薄膜を形成する目的で、無機インジウム化合物、マグネシウム化合物、及びインジウムに配位可能な有機化合物を含有する透明導電膜形成用組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、硝酸インジウム、多価アルコールの縮合体、及び活剤を有機溶媒に溶解した透明導電膜形成用組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、これら提案の技術は、透明導電膜を形成するための組成物の技術であり、得られる透明導電膜は、電界効果型トランジスタの活性層としては、十分な機能が得られず、使用可能な用途が限定されるという問題がある。
【0006】
また、金属酸化物前駆体が無機金属塩であり、溶媒としての水又はエタノールに無機金属塩を溶解した金属酸化物前駆体溶液、及び該金属酸化物前駆体溶液を基材上に塗布して酸化物半導体を作製する方法が提案されている(特許文献4参照)。この提案の技術では、得られる酸化物半導体は、電界効果型トランジスタの活性層に検討されている。
しかし、この提案の技術では、金属酸化物前駆体溶液を基材上に塗布すると、塗布液は基材上に薄く広がるため、得られる酸化物半導体の形状の精度が低いという問題がある。
【0007】
したがって、所望の体積抵抗率を有する金属酸化物膜を、簡便かつ大面積に作製でき、更に所望の形状の金属酸化物膜を形成する精度が高い金属酸化物膜形成用塗布液の提供が求められているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、所望の体積抵抗率を有する金属酸化物膜を、簡便かつ大面積に作製でき、更に所望の形状の金属酸化物膜を形成する精度が高い金属酸化物膜形成用塗布液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明の金属酸化物膜形成用塗布液は、無機インジウム化合物と、バリウム化合物と、有機溶媒とを含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、所望の体積抵抗率を有する金属酸化物膜を、簡便かつ大面積に作製でき、更に所望の形状の金属酸化物膜を形成する精度が高い金属酸化物膜形成用塗布液を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、ボトムゲート/ボトムコンタクトの電界効果型トランジスタの一例を示す概略構成図である。
図2図2は、ボトムゲート/トップコンタクトの電界効果型トランジスタの一例を示す概略構成図である。
図3図3は、トップゲート/ボトムコンタクトの電界効果型トランジスタの一例を示す概略構成図である。
図4図4は、トップゲート/トップコンタクトの電界効果型トランジスタの一例を示す概略構成図である。
図5A図5Aは、本発明の電界効果型トランジスタの製造方法の一例を示す図である(その1)。
図5B図5Bは、本発明の電界効果型トランジスタの製造方法の一例を示す図である(その2)。
図5C図5Cは、本発明の電界効果型トランジスタの製造方法の一例を示す図である(その3)。
図5D図5Dは、本発明の電界効果型トランジスタの製造方法の一例を示す図である(その4)。
図6図6は、金属酸化物膜形成用塗布液の塗布性が良好な状態を示す模式図である。
図7図7は、金属酸化物膜形成用塗布液の塗布性が不良な状態を示す模式図である。
図8図8は、実施例1で作製した電界効果型トランジスタのゲート電圧Vgsとソース・ドレイン間電流Idsの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(金属酸化物膜形成用塗布液)
本発明の金属酸化物膜形成用塗布液は、少なくとも、無機インジウム化合物と、バリウム化合物と、有機溶媒とを含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0013】
前記金属酸化物膜形成用塗布液を用いることで、所望の体積抵抗率を有する金属酸化物膜を得ることができる。
なお、前記金属酸化物膜形成用塗布液は、その条件、具体的には溶解させる溶媒の種類、化合物の濃度によっても、得られる金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜など)の体積抵抗率を制御することが可能である。また、In−Ba系酸化物を構成する各元素の一部を他の金属元素で置換することによっても、体積抵抗率を制御することができる。
また、塗布後の熱処理条件、より具体的には、焼成温度、焼成時間、昇温速度、降温速度、焼成中の雰囲気(ガス分率及び圧力)によっても体積抵抗率を制御することができる。
更に光による原料分解及び反応の促進効果を利用することができる。また、膜を形成した後のアニールによっても体積抵抗率は変化するため、アニール温度や雰囲気を最適化する方法も有効である。
【0014】
<無機インジウム化合物>
前記無機インジウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキソ酸インジウム、ハロゲン化インジウム、水酸化インジウム、シアン化インジウムなどが挙げられる。
前記オキソ酸インジウムとしては、例えば、硝酸インジウム、硫酸インジウム、炭酸インジウム、燐酸インジウムなどが挙げられる。
前記ハロゲン化インジウムとしては、例えば、塩化インジウム、臭化インジウム、沃化インジウムなどが挙げられる。
これらの中でも、各種溶媒に対する溶解度が高い点で、オキソ酸インジウム、ハロゲン化インジウムが好ましく、硝酸インジウム、硫酸インジウム、塩化インジウムがより好ましい。
【0015】
前記硝酸インジウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硝酸インジウムの水和物などが挙げられる。前記硝酸インジウムの水和物としては、例えば、硝酸インジウム三水和物、硝酸インジウム五水和物などが挙げられる。
【0016】
前記硫酸インジウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無水硫酸インジウム、硫酸インジウムの水和物などが挙げられる。前記硫酸インジウムの水和物としては、例えば、硫酸インジウム九水和物などが挙げられる。
【0017】
前記塩化インジウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化インジウムの水和物などが挙げられる。前記塩化インジウムの水和物としては、例えば、塩化インジウム四水和物などが挙げられる。
【0018】
これらの無機インジウム化合物は、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0019】
<バリウム化合物>
前記バリウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機バリウム化合物、無機バリウム化合物などが挙げられる。
【0020】
前記有機バリウム化合物としては、バリウムと、有機基とを有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記バリウムと前記有機基とは、例えば、イオン結合、共有結合、又は配位結合で結合している。
前記有機基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアセチルアセトナート基などが挙げられる。前記アルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜6のアルコキシ基などが挙げられる。前記アシルオキシ基としては、例えば、炭素数1〜10のアシルオキシ基などが挙げられる。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン、テトラヒドロフリル基などが挙げられる。
【0021】
前記有機バリウム化合物としては、例えば、以下の化合物などが挙げられる。
【化1】
バリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド
【化2】
2−エチルヘキサン酸バリウム
【化3】
バリウムアセチルアセトナート
前記構造式中の前記xとしては、例えば、0〜2の整数が挙げられる。
【0022】
前記無機バリウム化合物としては、例えば、オキソ酸バリウム、ハロゲン化バリウム、水酸化バリウム、シアン化バリウムなどが挙げられる。
前記オキソ酸バリウムとしては、例えば、硝酸バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウム、燐酸バリウムなどが挙げられる。
前記ハロゲン化バリウムとしては、例えば、塩化バリウム、臭化バリウム、沃化バリウムなどが挙げられる。
【0023】
前記塩化バリウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無水塩化バリウム、塩化バリウムの水和物などが挙げられる。前記塩化バリウムの水和物としては、例えば、塩化バリウム二水和物などが挙げられる。
【0024】
前記臭化バリウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無水臭化バリウム、臭化バリウムの水和物などが挙げられる。前記臭化バリウムの水和物としては、例えば、臭化バリウム二水和物などが挙げられる。
【0025】
前記沃化バリウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無水沃化バリウム、沃化バリウムの水和物などが挙げられる。前記沃化バリウムの水和物としては、例えば、沃化バリウム一水和物、沃化バリウム二水和物などが挙げられる。
【0026】
これらの中でも、各種溶媒に対する溶解度が高い点で、バリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド、硝酸バリウム、炭酸バリウム、酢酸バリウム、水酸化バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、沃化バリウムが好ましく、バリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド、塩化バリウム、臭化バリウム、沃化バリウムがより好ましい。
【0027】
これらのバリウム化合物は、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0028】
前記金属酸化物膜形成用塗布液中の前記無機インジウム化合物のインジウム原子数(A)と、前記バリウム化合物のバリウム原子数(B)とは、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.040≦〔B/(A+B)〕≦0.200 式(1)
ここで、前記インジウム原子、及び前記バリウム原子は、イオン状態であってもよい。
【0029】
前記式(1)を満たす金属酸化物膜形成用塗布液は、酸化物半導体膜形成用塗布液ともいうことができる。
【0030】
スパッタリング法による酸化インジウム膜は数%から20%程度の錫、亜鉛、ガリウム等を添加することにより10−3Ωcmから10−4Ωcm程度の低抵抗な膜が得られることが知られている。しかし、このような低体積抵抗率では、電界効果型トランジスタの活性層として有効に機能しない。
【0031】
前記金属酸化物膜形成用塗布液は、前記式(1)を満たすことにより、前記金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して形成される酸化物半導体膜の体積抵抗率を、電界効果型トランジスタの活性層として有効に機能する体積抵抗率にすることができる。
【0032】
前記〔B/(A+B)〕が、0.040未満、又は0.200を超えると、得られる酸化物半導体膜の体積抵抗率が高すぎ、その酸化物半導体膜を活性層に用いた電界効果型トランジスタは、on/off比が低く、良好なトランジスタ特性を示さないことがある。
【0033】
ディスプレイの駆動回路などに用いられる電界効果型トランジスタの活性層に用いる酸化物半導体膜には、高いキャリア移動度と、いわゆるノーマリーオフ特性とを有することが要求される。高いキャリア移動度とノーマリーオフ特性とを実現する為には、酸化物半導体膜の体積抵抗率を10−2Ωcm以上10Ωcm以下にすることが好ましい。
【0034】
前記活性層に用いる金属酸化物膜の体積抵抗率が高い場合には、ゲート電圧制御によるオン状態で高いキャリア移動度を実現することが困難になることがある。そのため、金属酸化物膜の体積抵抗率としては、10Ωcm以下がより好ましい。
前記活性層に用いる金属酸化物膜の体積抵抗率が低い場合には、ゲート電圧制御によるオフ状態でIds(ドレイン・ソース間電流)を小さくすることが困難になることがある。そのため、金属酸化物膜の体積抵抗率としては、10−1Ωcm以上がより好ましい。
金属酸化物の体積抵抗率ρ(Ωcm)は、下記式(2)に従う。
ρ=1/nQμ 式(2)
ただし、前記式中、Q(C)は、キャリア電荷を表し、n(個/m)は、キャリア密度を表し、μ(m/V/s)は、キャリア移動度を表す。
そのため、これらn、Q、及びμを変えることによって体積抵抗率を制御することができる。
金属酸化物膜の体積抵抗率を制御する具体的方法としては、一般には膜中の酸素量(酸素欠陥の密度)を調整することによってキャリア密度を変える方法が挙げられる。
【0035】
前記金属酸化物膜形成用塗布液は、前記式(1)を満たすことで体積抵抗率を制御し、電界効果型トランジスタの活性層として有効な酸化物半導体膜を得ることができる。
前記金属酸化物膜形成用塗布液から形成される酸化物半導体膜の体積抵抗率の制御方法としては、前記式(1)の範囲を満たすことが最も有効である。
【0036】
<有機溶媒>
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グリコールエーテル類、ジオール類が好ましい。即ち、前記金属酸化物膜形成用塗布液は、前記グリコールエーテル類及び前記ジオール類の少なくともいずれかを含有することが好ましい。
【0037】
−グリコールエーテル類−
前記グリコールエーテル類は、前記無機インジウム化合物、及び前記バリウム化合物をよく溶解し、かつ溶解後の安定性が高いため、前記グリコールエーテル類を前記金属酸化物膜形成用塗布液に用いることにより、均一性が高く、欠陥の少ない金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜など)を得ることができる。
また、前記グリコールエーテル類を前記金属酸化物膜形成用塗布液に用いることにより、所望の形状の金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜など)を精度が高く形成することができる。
また、前記グリコールエーテル類は、還元剤として働くと考えられる。n型半導体であるIn−Ba系酸化物半導体は、酸素欠陥の生成により伝導電子を発生するため、還元側に平衡を移動させたほうがより高い伝導度を有する材料となりうる。そのため、前記金属酸化物膜形成用塗布液が、前記グリコールエーテル類を含有することにより、塗布後の熱処理中に還元作用が働き、より低い体積抵抗率の酸化物半導体膜が得られる。
【0038】
前記グリコールエーテル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。前記グリコールエーテル類の炭素数としては、3〜6が好ましい。
前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、及びエチレングリコールモノイソブチルエーテルの少なくともいずれかが好ましい。これらのアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、沸点が120℃〜180℃程度で乾燥が速く、前記金属酸化物膜形成用塗布液が濡れ広がりにくくなる。このような好ましい化合物であると、焼成温度を低くし、比較的短時間での焼成を可能にする。また、焼成後に不純物が少ない金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜など)が得られる。その結果、キャリア移動度が大きくなるために、酸化物半導体膜を活性層に用いた電界効果型トランジスタのゲート電圧Vgsとソース・ドレイン間電流Idsの関係を示すグラフにおいて、オフからオンに切り替わる立ち上がりの傾きが大きくなり、スイッチング特性が良好になり、必要なオン電流を得るための駆動電圧が低くなる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記金属酸化物膜形成用塗布液における前記グリコールエーテル類の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%〜80質量%が好ましい。前記含有量が、10質量%未満であると、前記グリコールエーテル類を含有させた際の前述の効果(均一性が高く、欠陥の少ない金属酸化物膜を得ることができるという効果、所望の形状の金属酸化物膜を精度が高く形成できるという効果、及びより低い体積抵抗率の酸化物半導体膜が得られるという効果)が得られないことがあり、80質量%を超えると、一回の塗布により形成できる金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜など)の厚みが薄くなることがある。
【0040】
−ジオール類−
前記グリコールエーテル類は、ジオール類と併用して用いることが好ましい。前記グリコールエーテル類と前記ジオール類を併用すると、前記ジオール類の作用により、インクジェット法で塗布する際のインクジェットノズル内での溶媒乾燥による詰まりをなくすことができる。更に、前記グリコールエーテル類の作用により基材などに付着させた塗布液を、すばやく乾燥させ、不要な箇所に塗布液が広がることを抑制することができる。例えば、電界効果型トランジスタを製造する際にチャネルに付着させた塗布液をすばやく乾燥させ、チャネル領域以外に広がることを抑制することができる。
また、前記グリコールエーテル類は、通常、粘度が1.3cp〜3.5cp程度と低粘度であることから、高粘度のジオール類と混合することで、容易に前記金属酸化物膜形成用塗布液の粘度を調整することができる。
【0041】
前記ジオール類は、インジウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、マグネシウム塩、及び亜鉛塩に配位し金属塩の熱的安定性を高める働きがあると考えられる。
【0042】
前記ジオール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルカンジオール、ジアルキレングリコールが好ましい。前記ジオール類の炭素数としては、2〜4が好ましい。前記炭素数が、5以上であると、揮発性が低く、形成される金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜など)に残りやすくなり、焼成後の金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜など)の緻密性を低下させることがある。そして、酸化物半導体膜の緻密性が低下した場合には、キャリア移動度が低下し、オン電流が減少することがある。
炭素数2〜4のジオール類は、沸点が180℃から250℃程度であることから、前記金属酸化物膜形成用塗布液を塗布した後の焼成時に揮発し、金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜)中に残りにくい。また、粘度が10cp〜110cp程度であることから、前記金属酸化物膜形成用塗布液をインクジェット法で塗布する場合に、前記金属酸化物膜形成用塗布液が基板などに着弾する際の広がりを抑える効果がある。
前記ジオール類としては、焼成温度及び焼成後の金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜など)の緻密性の点から、ジエチレングリコール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−ブタンジオールの少なくともいずれかがより好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記金属酸化物膜形成用塗布液における前記有機溶媒の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量%〜97質量%が好ましく、80質量%〜97質量%がより好ましい。前記含有量が、50質量%未満であると、無機金属化合物の濃度が高すぎノズル先端での溶媒蒸発により無機金属化合物の析出が生じやすくなる。また、残部の大部分が代表的な無機溶媒である水の場合は、表面張力が72dyn/cmと大きく、インクジェットでの吐出性が悪く、かつ沸点が100℃と低いためにノズル先端でのインクの乾燥が早く、ノズルが詰まりやすいことがある。前記含有量が、97質量%を超えると、塗布液乾燥後の無機金属化合物の付着量が小さいため、必要な厚みの金属酸化物膜を得るための重ね塗り回数が多くなり、生産性が低下することがある。前記含有量が、前記より好ましい範囲内であると、表面張力が小さくなり吐出性、及び乾燥性の点で有利である。
【0044】
前記金属酸化物膜形成用塗布液における、前記有機溶媒(例えば、前記ジオール類及びグリコールエーテル類)に対する前記金属酸化物膜の原料(例えば、前記無機インジウム化合物及び前記バリウム化合物)の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記有機溶媒1Lに対して、前記無機インジウム化合物と、前記バリウム化合物との合計が0.1mol〜0.5molが好ましい。前記含有割合が、0.1mol未満であると、焼成後に形成される金属酸化物膜の厚みが薄くなりすぎ、連続膜を形成することが困難になることがある。また、必要な厚みを得るために塗布と乾燥を繰り返し行う必要がでることがある。前記含有割合が、0.5molを超えると、インクジェット法により塗布した際にインクジェットノズル先端でのノズルの詰まりを生じる頻度が高くなることがある。
【0045】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、無機マグネシウム化合物、無機亜鉛化合物、無機カルシウム化合物、無機ストロンチウム化合物などが挙げられる。
前記無機マグネシウム化合物に含まれるマグネシウム、前記無機亜鉛化合物に含まれる亜鉛、前記無機カルシウム化合物に含まれるカルシウム、及び前記無機ストロンチウム化合物に含まれるストロンチウムは、前記金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して得られる金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜など)においてインジウムサイトを置換するドーパントとして機能し、ホールをドープする効果を有する。
【0046】
−無機マグネシウム化合物−
前記無機マグネシウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキソ酸マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム、水酸化マグネシウム、シアン化マグネシウムなどが挙げられる。
前記オキソ酸マグネシウムとしては、例えば、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、燐酸マグネシウムなどが挙げられる。
前記ハロゲン化マグネシウムとしては、例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化マグネシウムなどが挙げられる。
これらは、無水物であってもよいし、水和物であってもよい。
【0047】
−無機亜鉛化合物−
前記無機亜鉛化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキソ酸亜鉛、ハロゲン化亜鉛、水酸化亜鉛、シアン化亜鉛などが挙げられる。
前記オキソ酸亜鉛としては、例えば、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、燐酸亜鉛などが挙げられる。
前記ハロゲン化亜鉛としては、例えば、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛などが挙げられる。
これらは、無水物であってもよいし、水和物であってもよい。
【0048】
−無機カルシウム化合物−
前記無機カルシウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキソ酸カルシウム、ハロゲン化カルシウム、水酸化カルシウム、シアン化カルシウムなどが挙げられる。
前記オキソ酸カルシウムとしては、例えば、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、燐酸カルシウムなどが挙げられる。
前記ハロゲン化カルシウムとしては、例えば、塩化カルシウム、臭化カルシウム、沃化カルシウムなどが挙げられる。
これらの中でも、各種溶媒に対する溶解度が高い点で、オキソ酸カルシウム、ハロゲン化カルシウムが好ましく、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウムがより好ましい。
【0049】
前記硝酸カルシウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硝酸カルシウムの水和物などが挙げられる。前記硝酸カルシウムの水和物としては、例えば、硝酸カルシウム三水和物、硝酸カルシウム六水和物などが挙げられる。
【0050】
前記硫酸カルシウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫酸カルシウムの水和物などが挙げられる。前記硫酸カルシウムの水和物としては、例えば、硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム七水和物などが挙げられる。
【0051】
前記塩化カルシウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化カルシウムの水和物などが挙げられる。前記塩化カルシウムの水和物としては、例えば、塩化カルシウム六水和物などが挙げられる。
【0052】
これらの無機カルシウム化合物は、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0053】
−無機ストロンチウム化合物−
前記無機ストロンチウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキソ酸ストロンチウム、ハロゲン化ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、シアン化ストロンチウムなどが挙げられる。
前記オキソ酸ストロンチウムとしては、例えば、硝酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、燐酸ストロンチウムなどが挙げられる。
前記ハロゲン化ストロンチウムとしては、例えば、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、沃化ストロンチウムなどが挙げられる。
これらの中でも、各種溶媒に対する溶解度が高い点で、オキソ酸ストロンチウム、ハロゲン化ストロンチウムが好ましく、硝酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、塩化ストロンチウムがより好ましい。
【0054】
前記硝酸ストロンチウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硝酸ストロンチウムの水和物などが挙げられる。前記硝酸ストロンチウムの水和物としては、例えば、硝酸ストロンチウム三水和物、硝酸ストロンチウム六水和物などが挙げられる。
【0055】
前記硫酸ストロンチウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無水硫酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウムの水和物などが挙げられる。前記硫酸ストロンチウムの水和物としては、例えば、硫酸ストロンチウム二水和物、硫酸ストロンチウム七水和物などが挙げられる。
【0056】
前記塩化ストロンチウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無水塩化ストロンチウム、塩化ストロンチウムの水和物などが挙げられる。前記塩化ストロンチウムの水和物としては、例えば、塩化ストロンチウム二水和物、塩化ストロンチウム四水和物などが挙げられる。
【0057】
これらの無機ストロンチウム化合物は、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0058】
前記金属酸化物膜形成用塗布液における前記無機マグネシウム化合物、前記無機亜鉛化合物、前記無機カルシウム化合物、及び前記無機ストロンチウム化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インジウム原子数(A)に対して、マグネシウム原子数、亜鉛原子数、カルシウム原子数、及びストロンチウム原子数の和(C)が、1%〜30%が好ましい。
ここで、前記インジウム原子、前記マグネシウム原子、前記亜鉛原子、前記カルシウム原子、及び前記ストロンチウム原子は、イオン状態であってもよい。
【0059】
<金属酸化物膜形成用塗布液の作製方法>
前記金属酸化物膜形成用塗布液の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硝酸塩ジオール溶液と硝酸塩グリコールエーテル溶液とをそれぞれ作製し、それらを混合する方法が挙げられる。
具体的には、以下のような作製方法が挙げられる。
前記バリウム化合物として、バリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド溶液(シグマアルドリッチ社製)のような市販されているバリウム化合物の溶液を使用する場合の一例について説明する。
最初に硝酸インジウム(In(NO・3HO)をジオール類に溶解させ、硝酸塩ジオール溶液を作製する。前記ジオール類であるジエチレングリコール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−ブタンジオールは、攪拌することにより、硝酸インジウムを1mol/L以上の濃度まで室温で溶解可能である。溶解の際には、加熱することにより溶解時間を短縮することができる。
続いて、硝酸インジウム(In(NO・3HO)をグリコールエーテル類に溶解させ、硝酸塩グリコールエーテル溶液を作製する。前記グリコールエーテル類であるエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、及びエチレングリコールモノイソブチルエーテルは、攪拌することにより、硝酸インジウムを1mol/L以上の濃度まで室温で溶解可能である。溶解の際には、加熱することにより溶解時間を短縮することができる。
そして、それぞれ作製した前記硝酸塩ジオール溶液と前記硝酸塩グリコールエーテル溶
液を所望の混合割合で混合して硝酸塩の混合液を得る。
最後に、バリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド溶液(シグマアルドリッチ社製)と、前記硝酸塩の混合液とを、所望の混合割合で混合して、金属酸化物膜形成用塗布液が得られる。
なお、バリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド溶液は、40質量%のバリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド、36質量%のエチルアルコール、24質量%のテトラヒドロフルフリルアルコールからなる。
【0060】
次に、固体原料を溶媒に溶解して金属酸化物膜形成用塗布液を作製する場合の一例について、説明する。
最初に硝酸インジウム(In(NO・3HO)と塩化バリウム(BaCl・2HO)とをジオール類に溶解させ、ジオール溶液を作製する。前記ジオール類であるジエチレングリコール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−ブタンジオールは、攪拌することにより、硝酸インジウム、及び塩化バリウムをそれぞれ1mol/L以上の濃度まで室温で溶解可能である。溶解の際には、加熱することにより溶解時間を短縮することができる。
続いて、硝酸インジウム(In(NO・3HO)と塩化バリウム(BaCl・2HO)とをグリコールエーテル類に溶解させ、グリコールエーテル溶液を作製する。前記グリコールエーテル類であるエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、及びエチレングリコールモノイソブチルエーテルは、攪拌することにより、硝酸インジウム、及び塩化バリウムをそれぞれ1mol/L以上の濃度まで室温で溶解可能である。溶解の際には、加熱することにより溶解時間を短縮することができる。
そして、それぞれ作製した前記ジオール溶液と前記グリコールエーテル溶液とを、所望の混合割合で混合して、金属酸化物膜形成用塗布液が得られる。
【0061】
本発明の前記金属酸化物膜形成用塗布液は、金属酸化物膜を作製するための塗布液に適しており、特に、前記式(1)を満たす金属酸化物膜形成用塗布液(酸化物半導体膜形成用塗布液)は、電界効果型トランジスタの活性層を作製するための塗布液に適している。
【0062】
(金属酸化物膜)
本発明の金属酸化物膜は、本発明の前記金属酸化物膜形成用塗布液を被塗物に塗布し、乾燥させた後に焼成を行って得られる。
前記金属酸化物膜としては、例えば、酸化物半導体膜などが挙げられる。
前記金属酸化物膜形成用塗布液として、前記式(1)を満たす金属酸化物膜形成用塗布液(酸化物半導体膜形成用塗布液)を用いた場合には、電界効果型トランジスタの活性層に特に適した酸化物半導体膜が得られる。
【0063】
前記被塗物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基材、プラスチック基材などが挙げられる。
また、前記金属酸化物膜を酸化物半導体膜として電界効果型トランジスタの活性層に用いる場合には、前記被塗物としては、例えば、基材、ゲート絶縁層などが挙げられる。前記基材の形状、構造、及び大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基材、プラスチック基材などが挙げられる。
【0064】
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スクリーン印刷法、ロールコート法、ディップコート法、スピンコート法、インクジェット法、ナノインプリント法などが挙げられる。これらの中でも、所望の形状の金属酸化物膜、例えば、電界効果型トランジスタの製造において、設計上のチャネル幅(言い換えれば所望の活性層の形状)が得られる点で、付着させる塗布液の量を制御できるインクジェット法、ナノインプリント法が好ましい。インクジェット法、及びナノインプリント法で塗布する際には、室温でも塗布可能であるが、基材(塗布対象物)を40℃〜100℃程度に加熱することが、基材表面に付着直後の塗布液が濡れ広がることを抑制することができる点で好ましい。
【0065】
前記乾燥は、前記金属酸化物膜形成用塗布液中の揮発成分を除去できる条件であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記乾燥において、揮発成分を完全に除去する必要はなく、焼成を阻害しない程度に揮発成分を除去できればよい。
【0066】
前記焼成の温度としては、インジウム、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、亜鉛が酸化物を形成する温度以上で、かつ基材(塗布対象物)の熱変形温度以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、250℃〜600℃が好ましい。
前記焼成の雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸素中や空気中など酸素を含む雰囲気が挙げられる。また、焼成の雰囲気を窒素ガスなどの不活性ガスにすることにより、形成される金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜など)膜中の酸素量を減らし、低抵抗な金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜など)を得ることができる。
焼成後、更に空気中、不活性ガス、又は還元ガス雰囲気中でアニール処理することにより、金属酸化物膜膜(例えば、酸化物半導体膜膜など)の電気特性、信頼性、均一性を一層向上することができる。
前記焼成の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0067】
形成される金属酸化物膜(例えば、酸化物半導体膜など)の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm〜200nmが好ましく、5nm〜100nmがより好ましい。
【0068】
前記金属酸化物膜の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記金属酸化物膜の体積抵抗率が、10−2Ωcm未満の場合には、透明導電膜に用いることができる。また、例えば、前記金属酸化物膜の体積抵抗率が、10−2Ωcm以上10Ωcm以下の場合には、電界効果型トランジスタの活性層に用いることができる。また、例えば、前記金属酸化物膜の体積抵抗率が、10Ωcmを超える場合には、帯電防止膜に用いることができる。
【0069】
(電界効果型トランジスタ)
本発明の電界効果型トランジスタは、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、活性層と、ゲート絶縁層とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
【0070】
本発明の電界効果型トランジスタは、例えば、本発明の電界効果型トランジスタの製造方法により製造することができる。
【0071】
<ゲート電極>
前記ゲート電極としては、ゲート電圧を印加するための電極であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ゲート電極の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白金、パラジウム、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、クロム、タンタル、モリブデン、チタン等の金属、これらの合金、これら金属の混合物などが挙げられる。また、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化ニオブ等の導電性酸化物、これらの複合化合物、これらの混合物などが挙げられる。
前記ゲート電極の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40nm〜2μmが好ましく、70nm〜1μmがより好ましい。
【0072】
<ゲート絶縁層>
前記ゲート絶縁層としては、前記ゲート電極と前記活性層との間に形成された絶縁層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ゲート絶縁層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機絶縁材料、有機絶縁材料などが挙げられる。
前記無機絶縁材料としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、これらの混合物などが挙げられる。
前記有機絶縁材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂などが挙げられる。
前記ゲート絶縁層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50nm〜3μmが好ましく、100nm〜1μmがより好ましい。
【0073】
<ソース電極、及びドレイン電極>
前記ソース電極、及び前記ドレイン電極としては、電流を取り出すための電極であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ソース電極、及び前記ドレイン電極の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ゲート電極の説明において記載した材質と同じ材質が挙げられる。
前記ソース電極、及び前記ドレイン電極の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40nm〜2μmが好ましく、70nm〜1μmがより好ましい。
【0074】
<活性層>
前記活性層は、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成された酸化物半導体からなる活性層であり、本発明の前記金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して形成される酸化物半導体からなる。
前記活性層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm〜200μmが好ましく、5nm〜100μmがより好ましい。
【0075】
前記電界効果型トランジスタの構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトムゲート/ボトムコンタクト型(図1)、ボトムゲート/トップコンタクト型(図2)、トップゲート/ボトムコンタクト型(図3)、トップゲート/トップコンタクト型(図4)などが挙げられる。
なお、図1図4中、1は基材、2はゲート電極、3はゲート絶縁層、4はソース電極、5はドレイン電極、6は活性層をそれぞれ表す。
【0076】
本発明の電界効果型トランジスタは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ等の画素駆動回路及び論理回路用の電界効果型トランジスタに好適に用いることができる。
【0077】
(電界効果型トランジスタの製造方法)
本発明の電界効果型トランジスタの製造方法(第1の製造方法)は、
基材上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
前記ゲート絶縁層上にソース電極及びドレイン電極を離間して形成するソース電極及びドレイン電極形成工程と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域であって前記ゲート絶縁層上に、酸化物半導体からなる活性層を形成する活性層形成工程とを含む。
【0078】
また、本発明の電界効果型トランジスタの製造方法(第2の製造方法)は、
基材上にソース電極及びドレイン電極を離間して形成するソース電極及びドレイン電極形成工程と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域であって前記基材上に、酸化物半導体からなる活性層を形成する活性層形成工程と、
前記活性層上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを含む。
【0079】
<第1の製造方法>
前記第1の製造方法について説明する。
【0080】
−基材−
前記基材の形状、構造、及び大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基材、プラスチック基材などが挙げられる。
前記ガラス基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無アルカリガラス、シリカガラスなどが挙げられる。
前記プラスチック基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられる。
なお、前記基材としては、表面の清浄化及び密着性向上の点で、酸素プラズマ、UVオゾン、UV照射洗浄などの前処理が行われることが好ましい。
【0081】
−ゲート電極形成工程−
前記ゲート電極形成工程としては、前記基材上にゲート電極を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)スパッタ法、ディップコーティング法等による成膜後、フォトリソグラフィーによってパターニングする工程、(ii)インクジェット、ナノインプリント、グラビア等の印刷プロセスによって、所望の形状を直接成膜する工程などが挙げられる。
【0082】
−ゲート絶縁層形成工程−
前記ゲート絶縁層形成工程としては、前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)スパッタ法、ディップコーティング法等による成膜後、フォトリソグラフィーによってパターニングする工程、(ii)インクジェット、ナノインプリント、グラビア等の印刷プロセスによって、所望の形状を直接成膜する工程などが挙げられる。
【0083】
−ソース電極及びドレイン電極形成工程−
前記ソース電極及びドレイン電極形成工程としては、前記ゲート絶縁層上にソース電極及びドレイン電極を離間して形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)スパッタ法、ディップコーティング法等による成膜後、フォトリソグラフィーによってパターニングする工程、(ii)インクジェット、ナノインプリント、グラビア等の印刷プロセスによって、所望の形状を直接成膜する工程などが挙げられる。
【0084】
−活性層形成工程−
前記活性層形成工程としては、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域であって前記ゲート絶縁層上に、本発明の前記金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して酸化物半導体からなる活性層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0085】
前記活性層形成工程においては、前記金属酸化物膜形成用塗布液中の前記無機インジウム化合物のインジウム原子数(A)と、前記バリウム化合物のバリウム原子数(B)との比〔B/(A+B)〕を調整することにより、前記酸化物半導体の体積抵抗率、キャリア移動度、及びキャリア密度の少なくともいずれかを制御することが好ましい。そうすることにより、所望の特性(例えば、on/off比)を有する電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0086】
前記活性層形成工程においては、前記金属酸化物膜形成用塗布液が、前記グリコールエーテル類及び前記ジオール類を含有し、前記金属酸化物膜形成用塗布液中の前記グリコールエーテル類と前記ジオール類との混合比を調整することにより、前記金属酸化物膜形成用塗布液の粘度を制御することが好ましい。そうすることにより、塗布性に優れ、チャネル形成状態が良好な電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0087】
前記金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して酸化物半導体を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記金属酸化物膜形成用塗布液を前記ゲート絶縁層が形成された前記基材に塗布して、乾燥させた後、焼成する方法が挙げられる。
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スクリーン印刷法、ロールコート法、ディップコート法、スピンコート法、インクジェット法、ナノインプリント法などが挙げられる。これらの中でも、電界効果型トランジスタの製造において、設計上のチャネル幅(言い換えれば所望の活性層の形状)が得られる点で、付着させる塗布液の量を制御できるインクジェット法、ナノインプリント法が好ましい。
前記乾燥は、前記金属酸化物膜形成用塗布液中の揮発成分を除去できる条件であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記乾燥において、揮発成分を完全に除去する必要はなく、焼成を阻害しない程度に揮発成分を除去できればよい。
前記焼成の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、250℃〜600℃が好ましい。
【0088】
前記第1の製造方法においては、前記ソース電極及びドレイン電極形成工程と、前記活性層形成工程との順序は問わず、前記ソース電極及びドレイン電極形成工程の後に前記活性層形成工程を行ってもよく、前記活性層形成工程の後に前記ソース電極及びドレイン電極形成工程を行ってもよい。
前記第1の製造方法において、前記ソース電極及びドレイン電極形成工程の後に前記活性層形成工程を行うと、ボトムゲート/ボトムコンタクト型の電界効果型トランジスタを製造することができる。
前記第1の製造方法において、前記活性層形成工程の後に前記ソース電極及びドレイン電極形成工程を行うと、ボトムゲート/トップコンタクト型の電界効果型トランジスタを製造することができる。
【0089】
ここで、ボトムゲート/ボトムコンタクト型の電界効果型トランジスタの製造方法について図5A図5Dを参照して説明する。
初めに、ガラス基板等からなる基材1上に、スパッタ法等によりアルミニウム等からなる導電体膜を形成し、形成した導電体膜をエッチングによりパターニングすることによりゲート電極2を形成する(図5A)。
次いで、前記ゲート電極2を覆うように前記ゲート電極2及び前記基材1上にスパッタ法等によりSiO等からなるゲート絶縁層3を形成する(図5B)。
次いで、前記ゲート絶縁層3上にスパッタ法等によりITO等からなる導電体膜を形成し、形成した導電体膜をエッチングによりパターニングすることによりソース電極4及びドレイン電極5を形成する(図5C)。
次いで、前記ソース電極4及び前記ドレイン電極5の間に形成されるチャネル領域を覆うように、前記ゲート絶縁層3上にインクジェット法などにより前記金属酸化物膜形成用塗布液を塗布し、熱処理を行い酸化物半導体からなる活性層6を形成する(図5D)。
以上により、電界効果型トランジスタが製造される。
【0090】
<第2の製造方法>
前記第2の製造方法について説明する。
【0091】
−基材−
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の製造方法において例示した基材と同じ基材が挙げられる。
【0092】
−ソース電極及びドレイン電極形成工程−
前記ソース電極及びドレイン電極形成工程としては、前記基材上にソース電極及びドレイン電極を離間して形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第1の製造方法の前記ソース電極及びドレイン電極形成工程において例示した工程と同様の工程が挙げられる。
【0093】
−活性層形成工程−
前記活性層形成工程としては、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域であって前記基材上に、本発明の前記金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して酸化物半導体からなる活性層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して酸化物半導体を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の製造方法の前記活性層形成工程において例示した方法と同様の方法が挙げられる。
【0094】
前記活性層形成工程においては、前記金属酸化物膜形成用塗布液中の前記無機インジウム化合物のインジウム原子数(A)と、前記バリウム化合物のバリウム原子数(B)との比〔B/(A+B)〕を調整することにより、前記酸化物半導体の体積抵抗率、キャリア移動度、及びキャリア密度の少なくともいずれかを制御することが好ましい。そうすることにより、所望の特性(例えば、on/off比)を有する電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0095】
前記活性層形成工程においては、前記金属酸化物膜形成用塗布液が、前記グリコールエーテル類及び前記ジオール類を含有し、前記金属酸化物膜形成用塗布液中の前記グリコールエーテル類と前記ジオール類との混合比を調整することにより、前記金属酸化物膜形成用塗布液の粘度を制御することが好ましい。そうすることにより、塗布性に優れ、チャネル形成状態が良好な電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0096】
−ゲート絶縁層形成工程−
前記ゲート絶縁層形成工程としては、前記活性層上にゲート絶縁層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の製造方法の前記ゲート絶縁層形成工程において例示した工程と同様の工程が挙げられる。
【0097】
−ゲート電極形成工程−
前記ゲート電極形成工程としては、前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の製造方法の前記ゲート電極形成工程において例示した工程と同様の工程が挙げられる。
【0098】
前記第2の製造方法においては、前記ソース電極及びドレイン電極形成工程と、前記活性層形成工程との順序は問わず、前記ソース電極及びドレイン電極形成工程の後に前記活性層形成工程を行ってもよく、前記活性層形成工程の後に前記ソース電極及びドレイン電極形成工程を行ってもよい。
前記第2の製造方法において、前記ソース電極及びドレイン電極形成工程の後に前記活性層形成工程を行うと、トップゲート/ボトムコンタクト型の電界効果型トランジスタを製造することができる。
前記第2の製造方法において、前記活性層形成工程の後に前記ソース電極及びドレイン電極形成工程を行うと、トップゲート/トップコンタクト型の電界効果型トランジスタを製造することができる。
【実施例】
【0099】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0100】
(実施例1)
<金属酸化物膜形成用塗布液の作製>
ビーカーに、3.55gの硝酸インジウム(In(NO・3HO)を秤量し、1,2−エタンジオール20mLとエチレングリコールモノメチルエーテル20mLとを加え室温で混合して溶解させ、硝酸インジウム溶液を作製した。
続いて、40質量%のバリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド、36質量%のエチルアルコール、及び24質量%のテトラヒドロフルフリルアルコールからなるシグマアルドリッチ社製バリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド溶液0.36gを秤量し、前記硝酸インジウム溶液に混合して金属酸化物膜形成用塗布液を作製した。
得られた金属酸化物膜形成用塗布液中の〔B/(A+B)〕(Aはインジウム原子数を表し、Bはバリウム原子数を表す。)、グリコールエーテル類の含有量(質量%)、ジオール類及びグリコールエーテル類1Lに対する原料の割合、並びに、インジウム原子数(A)と、マグネシウム原子数、亜鉛原子数、カルシウム原子数、及びストロンチウム原子数の和(C)との比((C)/(A)(%))を表2に示す。
【0101】
<電界効果型トランジスタの作製>
−ゲート電極の形成−
ガラス基板上に、DCスパッタリングによりモリブデン膜を平均厚みが約100nmとなるよう成膜した。この後、フォトレジストを塗布し、プリベーク、露光装置による露光、及び現像により、形成されるゲート電極のパターンと同様のレジストパターンを形成した。更に、燐酸−硝酸−酢酸からなるエッチング液によりエッチングを行い、レジストパターンの形成されていない領域のモリブデン膜を除去した。この後、レジストパターンも除去することにより、ゲート電極を形成した。
【0102】
−ゲート絶縁層の形成−
形成した前記ゲート電極及び前記ガラス基板上に、RFスパッタリングによりSiO膜を平均厚みが約200nmとなるよう成膜した。この後、フォトレジストを塗布し、プリベーク、露光装置による露光、及び現像により、形成されるゲート絶縁層のパターンと同様のレジストパターンを形成した。更に、バッファードフッ酸を用いたエッチングにより、レジストパターンの形成されていない領域のSiO膜を除去し、この後、レジストパターンも除去することによりゲート絶縁層を形成した。
【0103】
−ソース電極及びドレイン電極の形成−
形成した前記ゲート絶縁層上にDCスパッタリングにより透明導電膜であるITO膜(In−SnO(5質量%))を平均厚みが約100nmとなるように成膜した。この後、ITO膜上に、フォトレジストを塗布し、プリベーク、露光装置による露光、及び現像により、形成されるソース電極及びドレイン電極のパターンと同様のレジストパターンを形成した。更に、シュウ酸系エッチング液を用いたエッチングにより、レジストパターンの形成されていない領域のITO膜を除去した。この後、レジストパターンも除去することにより、ITO膜からなるソース電極及びドレイン電極を形成した。このとき、ソース電極幅で規定されるチャネル幅は50μm、ソース−ドレイン電極間で規定されるチャネル長は50μmとした。
【0104】
−活性層の形成−
形成した前記ソース電極及び前記ドレイン電極の間のチャネルに前記金属酸化物膜形成用塗布液をインクジェット装置で塗布した。
その基板を120℃に加熱したホットプレート上で10分間乾燥させた後、大気雰囲気中350℃で1時間焼成し、更に大気雰囲気中で300℃で3時間アニールし、活性層を得た。得られた活性層のチャネル部の平均厚みは約15nmであった。
以上により、電界効果型トランジスタを作製した。
【0105】
<評価>
−チャネル形成状態(塗布性)−
電界効果型トランジスタの作製において、インクジェット装置で金属酸化物膜形成用塗布液を塗布した際の塗布液の広がりを光学顕微鏡で観察し、チャネル形成状態を下記評価基準により評価した。結果を表3に示す。
○:活性層がソース電極とドレイン電極間に広がっておりゲート電極上からはみ出していない(図6参照)。
×:活性層がソース電極とドレイン電極間以外に広がっておりゲート電極上からはみ出している(図7参照)。
【0106】
−体積抵抗率−
得られた電界効果型トランジスタについて、半導体パラメータ・アナライザ装置(アジレントテクノロジー社製、半導体パラメータ・アナライザ4156C)を用いて0V〜±20Vの電圧をソース・ドレイン間に印加したときの電流を2端子法で測定し、活性層の体積抵抗率を測定した。結果を表3に示す。
【0107】
−キャリア移動度、及びon/off比−
得られた電界効果型トランジスタについて、半導体パラメータ・アナライザ装置(アジレントテクノロジー社製、半導体パラメータ・アナライザ4156C)を用いてソース・ドレイン電圧Vdsを20Vとした時のゲート電圧Vgsとソース・ドレイン間電流Idsとの関係を求めた。結果を図8のグラフに示す。図8から良好なトランジスタ特性が得られていることが確認できる。なお、図8において、「E」は「10のべき乗」を表す。例えば、「E−04」は、「0.0001」である。
キャリア移動度は、飽和領域において算出した。また、on/off比を求めた。なお、on/off比において、on値は、30VにおけるIds値である。結果を表3に示す。
【0108】
(実施例2〜5、及び実施例24〜35)
<金属酸化物膜形成用塗布液の作製>
実施例1において、金属酸化物膜形成用塗布液の配合を表1に記載の配合に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜5、及び実施例24〜35の金属酸化物膜形成用塗布液を作製した。
得られた金属酸化物膜形成用塗布液中の〔B/(A+B)〕(Aはインジウム原子数を表し、Bはバリウム原子数を表す。)、グリコールエーテル類の含有量(質量%)、ジオール類及びグリコールエーテル類1Lに対する原料の割合、並びに、インジウム原子数(A)と、マグネシウム原子数、亜鉛原子数、カルシウム原子数、及びストロンチウム原子数の和(C)との比((C)/(A)(%))を表2に示す。
【0109】
(実施例6)
<金属酸化物膜形成用塗布液の作製>
ビーカーに、3.55gの硝酸インジウム(In(NO・3HO)と0.11gの塩化バリウム(BaCl・2HO)を秤量し、1,2−エタンジオール20mLとエチレングリコールモノメチルエーテル20mLとを加え室温で混合して溶解させ、金属酸化物膜形成用塗布液を作製した。
得られた金属酸化物膜形成用塗布液中の〔B/(A+B)〕(Aはインジウム原子数を表し、Bはバリウム原子数を表す。)、グリコールエーテル類の含有量(質量%)、ジオール類及びグリコールエーテル類1Lに対する原料の割合、並びに、インジウム原子数(A)と、マグネシウム原子数、亜鉛原子数、カルシウム原子数、及びストロンチウム原子数の和(C)との比((C)/(A)(%))を表2に示す。
【0110】
(実施例7〜23、及び比較例1〜4)
<金属酸化物膜形成用塗布液の作製>
実施例6において、金属酸化物膜形成用塗布液の配合を表1に記載の配合に変えた以外は、実施例6と同様にして、実施例7〜23、及び比較例1〜4の金属酸化物膜形成用塗布液を作製した。
得られた金属酸化物膜形成用塗布液中の〔B/(A+B)〕(Aはインジウム原子数を表し、Bはバリウム原子数を表す。)、グリコールエーテル類の含有量(質量%)、ジオール類及びグリコールエーテル類1Lに対する原料の割合、並びに、インジウム原子数(A)と、マグネシウム原子数、亜鉛原子数、カルシウム原子数、及びストロンチウム原子数の和(C)との比((C)/(A)(%))を表2に示す。
ただし、比較例2においては、前記Bは、銅原子の数とする。比較例3においては、前記Bは、コバルト原子の数とする。比較例4においては、前記Bは、ニッケル原子の数とする。
【0111】
<電界効果型トランジスタの作製及び評価>
実施例2〜35、及び比較例1〜4で得られた金属酸化物膜形成用塗布液を用い、実施例1と同様にして、電界効果型トランジスタを作製するとともに、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0112】
【表1】
表1中、(*1)は水を表す。
表1中、硝酸インジウムは、In(NO・3HOを表し、硫酸インジウムは、In(SO・9HOを表し、塩化インジウムは、InCl・4HOを表し、塩化バリウムは、BaCl・2HOを表し、臭化バリウムは、BaBr・2HOを表し、沃化バリウムは、BaI・2HOを表し、硝酸バリウムは、Ba(NO・HOを表し、酢酸バリウムは、(CHCOO)Baを表し、水酸化バリウムはBa(OH)を表し、硝酸亜鉛は、Zn(NO・6HOを表し、硝酸マグネシウムは、Mg(NO・6HOを表し、硝酸カルシウムは、Ca(NO・4HOを表し、塩化ストロンチウムは、SrCl・6HOを表し、硝酸銅は、Cu(NO・3HOを表し、硝酸コバルトは、Co(NO・6HOを表し、硝酸ニッケルは、Ni(NO・6HOを表す。
表1中、バリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド(下記構造式)の配合量は、シグマアルドリッチ社製バリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド溶液(40質量%のバリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド、36質量%のエチルアルコール、及び24質量%のテトラヒドロフルフリルアルコールからなる溶液)の配合量である。
【化4】
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
表3中、「−」は測定不能を表す。
【0115】
実施例1〜35の本発明の金属酸化物膜形成用塗布液は、塗布性に優れることからチャネル形成状態が良好であった。また、前記金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して得られる酸化物半導体を活性層に用いた電界効果型トランジスタは、活性層の体積抵抗率が電界効果型トランジスタの活性層に求められる体積抵抗率に適しており、キャリア移動度が高く、かつon/off比が大きく、良好なトランジスタ特性を示した。
【0116】
一方、比較例1の酸化物半導体膜形成用塗布液は、塗布性が悪く、チャネル形成状態が不十分であり、電界効果型トランジスタの評価が行えなかった。
【0117】
また、比較例2〜4の酸化物膜形成用塗布液は、ゲート電圧Vgsを変化させてもソース・ドレイン間電流はほとんど変化せず、半導体特性を示さなかった。
【0118】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 無機インジウム化合物と、バリウム化合物と、有機溶媒とを含有することを特徴とする金属酸化物膜形成用塗布液である。
<2> 無機インジウム化合物が、硝酸インジウム、硫酸インジウム及び塩化インジウムの少なくともいずれかであり、
バリウム化合物が、バリウムビステトラヒドロフルフリルオキサイド、硝酸バリウム、炭酸バリウム、酢酸バリウム、水酸化バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム及び沃化バリウムの少なくともいずれかである前記<1>に記載の金属酸化物膜形成用塗布液である。
<3> 無機インジウム化合物のインジウム原子数(A)と、バリウム化合物のバリウム原子数(B)とが、下記式(1)を満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載の金属酸化物膜形成用塗布液である。
0.040≦〔B/(A+B)〕≦0.200 式(1)
<4> 有機溶媒が、グリコールエーテル類及びジオール類の少なくともいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の金属酸化物膜形成用塗布液である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の金属酸化物膜形成用塗布液を被塗物に塗布し、乾燥させた後に焼成を行って得られることを特徴とする金属酸化物膜である。
<6> ゲート電圧を印加するためのゲート電極と、
電流を取り出すためのソース電極及びドレイン電極と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成された酸化物半導体からなる活性層と、
前記ゲート電極と前記活性層との間に形成されたゲート絶縁層とを有し、
前記酸化物半導体が、前記<1>から<4>のいずれかに記載の金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して形成される酸化物半導体であることを特徴とする電界効果型トランジスタである。
<7> 基材上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
前記ゲート絶縁層上にソース電極及びドレイン電極を離間して形成するソース電極及びドレイン電極形成工程と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域であって前記ゲート絶縁層上に、酸化物半導体からなる活性層を形成する活性層形成工程とを含み、
前記活性層形成工程が、前記ゲート絶縁層上に前記<1>から<4>のいずれかに記載の金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して前記酸化物半導体からなる前記活性層を形成する工程であることを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法である。
<8> 基材上にソース電極及びドレイン電極を離間して形成するソース電極及びドレイン電極形成工程と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域であって前記基材上に、酸化物半導体からなる活性層を形成する活性層形成工程と、
前記活性層上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを含み、
前記活性層形成工程が、前記基材上に前記<1>から<4>のいずれかに記載の金属酸化物膜形成用塗布液を塗布して前記酸化物半導体からなる前記活性層を形成する工程であることを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法である。
<9> 活性層形成工程において、金属酸化物膜形成用塗布液中の無機インジウム化合物のインジウム原子数(A)と、バリウム化合物のバリウム原子数(B)との比〔B/(A+B)〕を調整することにより、酸化物半導体の体積抵抗率、キャリア移動度、及びキャリア密度の少なくともいずれかを制御する前記<7>から<8>のいずれかに記載の電界効果型トランジスタの製造方法である。
<10> 金属酸化物膜形成用塗布液が、グリコールエーテル類及びジオール類を含有し、
活性層形成工程において、前記金属酸化物膜形成用塗布液中の前記グリコールエーテル類と前記ジオール類との混合比を調整することにより、前記金属酸化物膜形成用塗布液の粘度を制御する前記<7>から<9>のいずれかに記載の電界効果型トランジスタの製造方法である。
【符号の説明】
【0119】
1 基材
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁層
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 活性層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0120】
【特許文献1】国際公開第2007/058248号パンフレット
【特許文献2】特開平6−96619号公報
【特許文献3】特開平7−320541号公報
【特許文献4】特開2009−177149号公報
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8