(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
試薬を収容した容器を保持するための保持座を複数有したホルダと、前記ホルダを着脱可能に複数装着可能なフレームとからなる、容器収納トレイであって、前記ホルダに前記試薬を識別する識別コードが付された、自動分析装置の試薬供給手段に載置可能である前記容器収納トレイ。
フレームに、当該フレームに装着するホルダで保持された容器に収容した試薬を識別する識別コード、または試薬を収容した容器を保持したホルダを複数種類装着していることを表す識別コードが付された、請求項1から5のいずれかに記載の容器収納トレイ。
【背景技術】
【0002】
生化学検査や免疫化学検査を自動分析装置を用いて実施する場合、通常、以下の(1)から(5)の試薬が必要である。
(1)試料中に含まれる目的成分を測定するための、抗体、酵素、検出試薬等から構成される反応試薬
(2)試料中に含まれる目的成分の濃度が自動分析装置における測定範囲を超える場合に、事前に当該試料を希釈するための希釈試薬
(3)試料中に含まれる目的成分の測定を効率よく実施するために、事前に当該試料を前処理するための前処理試薬
(4)既知濃度の目的成分を含んだ検量線を作成するための標準試薬、または当該検量線を補正するための較正試薬
(5)自動分析装置における測定が正常であることを確認するために使用する、精度管理試料(コントロール)
前記(1)から(5)の試薬は、それぞれ液状品、凍結品または凍結乾燥品の態様で供給され、試薬の性能、安定性、操作性、運搬性等を考慮し、供給態様が適宜選択されている。特許文献1には、1回分の測定に必要な(1)反応試薬の全ての構成成分を一つの容器に収容し、当該容器を複数載置したトレイの状態で供給する、試薬の供給形態が開示されている。
【0003】
特許文献1では、一つのトレイに対し同じ種別の試薬を収容した容器のみが載置されており、当該トレイ上面の外周部には当該容器に収容された試薬を識別する識別コードが付されている。前記トレイを自動分析装置の所定の場所に載置し測定を開始すると、自動分析装置に備えた読取手段により前記容器の有無を識別し、前記容器の配置情報を認識する。その後自動分析装置に備えた搬送手段により、前記配置情報と別途与えられた測定プログラムとに基づき、必要な容器を選択し把持後、試料分注手段へ搬送される。
【0004】
また特許文献2では、(2)希釈試薬や(3)前処理試薬や(4)標準試薬(較正試薬)や(5)精度管理試料を、(1)反応試薬を収容した容器と同一の外形および寸法を有した容器に分注し、当該分注した容器を(1)反応試薬を収容した容器を載置するトレイと同一形状のトレイに載置した状態で供給する、試薬の供給形態が開示されている。特許文献2の供給形態も、特許文献1の供給形態と同様、一つのトレイに対し同じ種別の試薬を収容した容器のみが載置されており、当該トレイ上面の外周部には当該容器に収容された試薬を識別する識別コードが付されている。したがって、前記トレイを自動分析装置の所定の場所に載置する際は、測定項目(または試薬)毎にトレイ単位で載置する。測定の際は、自動分析装置に備えた読取手段により前記トレイに付された識別コードを読み取り、容器に収容された試薬の情報を装置が認識する。特許文献2の供給形態により、試薬キット製造を合理的に行なうことができる。また当該試薬キットを利用した自動分析装置は、当該装置に備える試薬供給手段に収容できる容器数を最大化でき、当該容器を搬送する手段も共通化できるため、自動分析装置を小型化かつ簡素化できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献2の供給形態では、容器を測定項目(または試薬)毎にトレイ単位で自動分析装置に載置する必要がある。つまり1つの測定項目に対し、(1)反応試薬、(2)希釈試薬、(3)前処理試薬、(4)標準試薬(較正試薬)、(5)精度管理試料を収容する試薬を載置するためのトレイがそれぞれ必要であり、自動分析装置で測定する項目が多数ある場合、装置上のスペースが足りなくなる問題点があった。また(2)希釈試薬や(4)標準試薬(較正試薬)は使用頻度が低いため、当該試薬を収容した容器の装置上に長時間滞留させることを避ける目的でトレイ上に当該容器を必要量のみ載置する場合があるが、この場合トレイ上に空きが生じるため、試薬製造、運搬、保管上の効率を低下させる点で好ましくない。
【0007】
そこで本発明の目的は、試薬を収容した容器を複数載置可能な容器収納トレイを複数載置可能な試薬供給手段を備えた自動分析装置において、前記試薬供給手段のスペースを有効に利用するために、使用頻度の低い試薬を収容した容器を、測定項目および/または試薬間で混在させた状態で載置可能なトレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するためになされた本発明は、以下の発明を包含する:
すなわち本発明の第一の態様は、
試薬を収容した容器を保持するための保持座を複数有したホルダと、前記ホルダを着脱可能に複数装着可能なフレームとからなる、容器収納トレイであって、
前記ホルダに前記試薬を識別する識別コードが付された、前記容器収納トレイである。
【0009】
また本発明の第二の態様は、ホルダの一端に持ち手部を設けており、かつ当該持ち手部に識別コードが付された、前記第一の態様に記載の容器収納トレイである。
【0010】
また本発明の第三の態様は、ホルダが有する複数の保持座が、同一の外形および寸法を有した容器を保持可能な保持座である、前記第一または第二の態様に記載の容器収納トレイである。
【0011】
また本発明の第四の態様は、フレームの上面および下面に、当該フレーム同士を垂直方向に連結可能な嵌合部をさらに有した、前記第一から第三の態様のいずれかに記載の容器収納トレイである。
【0012】
また本発明の第五の態様は、容器が二つのウェルを連結した二連容器である、前記第一から第四の態様のいずれかに記載の容器収納トレイである。
【0013】
また本発明の第六の態様は、フレームに、当該フレームに装着するホルダで保持された容器に収容した試薬を識別する識別コード、または試薬を収容した容器を保持したホルダを複数種類装着していることを表す識別コードが付された、前記第一から第五の態様のいずれかに記載の容器収納トレイである。
【0014】
さらに本発明の第七の態様は、
試薬を収容した同一の外形および寸法を有した容器を複数保持した容器収納トレイを複数載置可能な試薬供給手段を備えた自動分析装置であって、
前記試薬供給手段が、
同じ種別の試薬を収容した容器を複数保持し、かつ前記容器を保持するための保持座が一体成形された容器収納トレイと、
同じ種別の試薬を収容した容器を複数保持し、かつ前記試薬を識別する識別コードが付されたホルダと、前記識別コードが同じホルダのみを複数装着可能なフレームとからなるトレイと、
同じ種別の試薬を収容した容器を複数保持し、かつ前記試薬を識別する識別コードが付されたホルダと、前記識別コードが異なる複数種類のホルダを装着可能なフレームとからなるトレイと、
が混在可能な手段である、前記自動分析装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明の容器収納トレイ、以下の(1)および(2)の効果を有する。
【0016】
(1)容器を保持するためのホルダと当該ホルダを装着可能なフレームとを着脱自在に分割できるため、試薬を収容した容器を自動分析装置の試薬供給手段に載置する際は、トレイ単位ではなくホルダ単位で載置することができる。したがって、自動分析装置で測定する項目が多数の場合、従来のトレイ(例えば、特許文献1および2で開示のトレイ)と比較し、試薬供給手段内のスペースの無駄を低減でき、自動分析装置の小型化に貢献できる。
【0017】
(2)ホルダに容器に収容した試薬を識別するコードが付されているため、前記トレイに収納された容器をホルダ単位に分割し、測定項目および/または試薬間で混在させた状態でフレームに装着したトレイを自動分析装置の試薬供給手段に載置したとしても、容器に収容された試薬の情報取得やトレーサビリティの確保も容易である。
【0018】
さらに本発明の容器収納トレイの好ましい態様である、フレームの上面および下面に、当該フレーム同士を垂直方向に連結可能な嵌合部をさらに有した容器収納トレイは、未使用のフレームおよびホルダが散在することなく、組み立てた状態でコンパクトに整理することができる。したがって、従来のトレイと同様の運搬性が確保され、製造設備の小型化や安定製造の点において有用といえる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明において試薬とは、試料中に含まれる目的成分を測定するために使用する試薬(反応試薬)の他に、試料中に含まれる目的成分の濃度が測定範囲を超える場合または試料中に多量の妨害成分を含む場合に当該試料を希釈するための試薬(希釈試薬)や、試料中に含まれる目的成分の測定を効率よく実施するために当該試料を前処理するための試薬(前処理試薬)や、既知濃度の目的成分を含んだ検量線を作成するための標準試薬や、当該検量線を補正するための較正試薬や、測定が正常であることを確認するために使用する精度管理試料(コントロール)も本発明の試薬に含まれる。
【0022】
本発明の容器収納トレイに載置する、試薬を収容した容器の一例として、一端に開口部を有した、チューブ、カップ、キュベット等の凹状のウェルからなる容器や、当該ウェルを複数連結した容器があげられる。なお当該容器がウェルを複数連結した容器の場合、当該容器の外壁に一つ以上の突起または切込を設ける一方、本発明の容器収納トレイの保持座に前記突起または切込と係合可能な切込または突起を設けると、当該突起と当該切込とが係合するように載置した場合と、係合しないように載置した場合とで、保持座に載置した容器の載置高さが変化するため、方向性を有した状態で容器を保持座に載置することができる点で好ましい(特開2011−058869号公報)。なお載置高さの変化は3mm以上あると目視または触覚で容易に感知できるため好ましい。
【0023】
本発明において同一の外形および寸法を有した容器とは、容器の高さ、外周、底面、その他外部寸法が同じ試薬容器を意味する。なお容器の内部形状は同一形状であってもよいし、同一形状でなくてもよい。容器内部の底面は、一般に、平面、球面、円錐面、放物面等種々の形状をとることができる。容器の内部形状は、液体の注入、吸引、撹拌等の各操作において、それぞれ適否があるため、目的に応じて適切な内部形状を採用すればよい。例えば、微量の液体を効果的に吸引する必要がある場合は容器内部の底面を円錐面にすると好ましく、効率的な撹拌が目的の場合は容器内部の底面を球面にすると好ましく、液体を分注する場合は容器内部の底面を平面とするに好ましい。つまり、本発明の容器収納トレイに載置する、反応試薬を収容した容器、希釈試薬を収容した容器、前処理試薬を収容した容器、標準試薬を収容した容器、較正試薬を収容した容器、および精度管理試料を収容した同一の外形および寸法を有した容器は、外部形状および外部寸法が同一であればよく、内部形状については各容器毎に最も好ましい形状を採用すればよい。
【0024】
本発明の容器収納トレイに載置する、試薬を収容した容器の材質は特に限定はないが、同一形状のものを大量に製造可能な点で樹脂製が好ましい。一例として、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、カーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂といった熱可塑性樹脂があげられる。
【0025】
本発明の容器収納トレイに載置する、試薬を収容した容器を製造する際、反応試薬、希釈試薬、前処理試薬、標準試薬、較正試薬、または精度管理試料を、液状で容器に分注し、液状のまま、または凍結乾燥後、上端の開口部を、ヒートシール用アルミ箔やポリマーフィルム等のシール部材で密封して製造すればよい。なお、前記シール部材の表面に、容器に収容した試薬の内容(測定項目や試薬種類)を識別可能な識別コード(バーコード、二次元コード等)をレーザマーカやインクジェットプリンタ等で付すると、自動分析装置に備えた読取手段により、試薬を収容した容器の載置ミスを防止できる点で好ましい(特許文献2、特開2012−103097号公報)。
【0026】
本発明の容器収納トレイを構成するホルダ(以下、単に本発明のホルダという)は、試薬を収容した容器を保持可能な複数の保持座を有し、かつ保持座に載置した容器に収容した試薬を識別する識別コードが付されている。本発明のホルダが有する保持座の数はトレイの大きさや容器の大きさに合わせて適宜選択すればよく、2以上であればよいが、4から8が好ましい。なお本発明のホルダの一端に持ち手部を設けてもよく、当該持ち手部に前記識別コードを付するとさらに好ましい。本発明のホルダが有する保持座の形状は、載置した容器が自動分析装置に備えた容器把持移送手段により容易に把持および吊持できるよう、容器の外形および寸法に合わせて決定すればよい。本発明のホルダに付される保持座に載置した容器に収容した試薬を識別するコードは、具体的には試薬の種別、測定項目名、測定項目コード・ロット番号、製造日、有効期限、ホルダID等に関する情報が記録されている。
【0027】
本発明の容器収納トレイを構成するフレーム(以下、単に本発明のフレームという)は、前述した本発明のホルダを着脱可能に複数装着可能なフレームである。本発明のフレームは本発明のホルダを2個以上装着できればよいが、ホルダを3から6個装着できると好ましい。
【0028】
本発明の容器収納トレイを垂直方向に重ねる際、本発明のホルダが有する保持座を介して重ねると、本発明の容器収納トレイを外すときに本発明のホルダが本発明のフレームから外れる危険性がある。そのため、本発明のホルダを介さずに本発明の容器収納トレイを垂直方向に重ねることができれば好ましい。一例として、本発明のフレームの上面および下面に、当該フレーム同士を垂直方向に連結可能な嵌合部をさらに設けることで、本発明の容器収納トレイを垂直方向に容易に連結/分離させることができる。前記嵌合部の具体例として、先端が凹構造または凸構造を有した突起があげられる。なお前記嵌合部による嵌合強度は、本発明の容器収納トレイを垂直方向に容易に連結/分離可能な強度であればよい。
【0029】
試薬を収容した容器を載置した本発明の容器収納トレイの一例として、
(1)同じ種別の反応試薬、希釈試薬、前処理試薬、標準試薬、較正試薬または精度管理試料を収容した容器を複数載置した本発明のホルダと、同じ種別の前記ホルダを複数装着可能な本発明のフレームとからなるトレイや、
(2)同じ種別の反応試薬、希釈試薬、前処理試薬、標準試薬、較正試薬または精度管理試料を収容した容器を複数載置した本発明のホルダと、異なる種別の前記ホルダを複数装着可能な本発明のフレームとからなるトレイ、
があげられる。なお、ここでいう同じ種別とは、同一測定項目における反応試薬、希釈試薬、前処理試薬、標準試薬、較正試薬または精度管理試料のことをいい、前処理試薬、標準試薬、較正試薬等、当該測定項目を測定する際、組み合わせた態様で使用する試薬(例えば複数の異なる濃度レベルの試薬)については、当該組み合わせた態様で本発明のホルダに載置してもよい。
【0030】
前記(2)のトレイは、前記(1)のトレイのうち測定に必要な試薬を収容した容器が載置されているホルダをフレームから分離後、ホルダが装着されていないフレーム(載せ替え用フレーム)に当該ホルダを装着することで作製することができる。なお前記(1)のトレイの場合、本発明のフレームに、容器に収容した試薬を識別する識別コードが付されると好ましく、具体的には当該コードに、内容物の種別、測定項目名、測定項目コード・ロット番号、製造日、有効期限、トレイ番号等に関する情報が記録されていればよい。また前記(2)のトレイの場合、本発明のフレームに、試薬を収容した容器を保持したホルダを複数種類装着していることを表す識別コードが付されると好ましく、具体的には当該コードに、フレームの種別等に関する情報が記録されていればよい。本発明のフレームに付される識別コードは、例えば、当該フレームの上面外周部に付せばよい。
【0031】
本発明のホルダを本発明のフレームに装着させる際、本発明のホルダと本発明のフレームとの当接部に相互に嵌合可能な嵌合部をさらに設けると好ましい。例えば、一端に突起を設け他端に開口部を設けた本発明のホルダを、一端に開口部を設け他端に突起を設けた本発明のフレームに装着する際は、本発明のホルダに設けた突起を本発明のフレームに設けた開口部に挿入して位置決めを行なった後、本発明のホルダに設けた開口部に本発明のフレームに設けた突起を嵌合させることで装着すればよい。なお本発明のホルダを装着した状態から分離する際は、本発明のフレームの側壁を固定しながら、本発明のホルダの一端(開口部側)を持ち上げて分離すればよい。
【0032】
また本発明のフレームの上面および下面に、当該フレーム同士を垂直方向に連結可能な嵌合部をさらに有している場合、当該フレームの上面にある嵌合部と嵌合可能な嵌合部を本発明のホルダに有してもよく、さらに当該フレームの上面に有する嵌合部を異なる形状の複数の嵌合部とすると、本発明のホルダを逆向きに装着されるミスが防止できるため好ましい。
【0033】
本発明のホルダおよび本発明のフレームの材質は、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、カーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリアミド系樹脂等の一般的な射出成形に用いられる熱可塑性樹脂の他、ステンレス、アルミニウム、チタンなどの金属を例示することができるが、これらに限定されるものではなく、装着性、耐久性、コストなどの面を考慮し、適宜選択すればよい。
【0034】
試薬を収容した容器を載置した本発明の容器収納トレイは、自動分析装置の試薬供給手段に載置することで試料中に含まれる目的成分の測定が可能となるが、当該試薬供給手段が、
同じ種別の試薬を収容した容器のみを複数保持し、かつ前記容器を保持するための保持座が一体成形された容器収納トレイ(固定式トレイ)と、
同じ種別の試薬を収容した容器のみを複数保持し、かつ前記試薬を識別する識別コードが付されたホルダと、前記識別コードが同じホルダのみを複数装着可能なフレームとからなるトレイ(前記(1)のトレイ)と、
単一種類の試薬を収容した容器のみを複数保持し、かつ前記試薬を識別する識別コードが付されたホルダと、前記識別コードが異なる複数種類のホルダを装着可能なフレームとからなるトレイ(前記(2)のトレイ)と、
が混在可能な手段であると好ましい。なお固定式トレイは、通常は使用頻度の高い反応試薬を収容した容器や、前記容器と同数使用する前処理試薬を収容した容器を載置するときに用いられ、トレイ上面の外周部に、収納した容器に収容した試薬を識別する識別コードが付される。また前述したように、前記(1)のトレイを構成するフレームに容器に収容した試薬を識別する識別コードを、前記(2)のトレイを構成するフレームに試薬を収容した容器を保持したホルダを複数種類装着していることを表す識別コードを、それぞれ付すると好ましい。
【0035】
自動分析装置に備える試薬供給手段に、
(A)標準試薬を収容した容器を載置した本発明の容器収納トレイと、
(B)希釈試薬を収容した容器を載置した本発明の容器収納トレイと、
(C)精度管理用試料を収容した容器を載置した本発明の容器収納トレイと、
(D)載せ替え用フレームに複数種類のホルダを装着した本発明の容器収納トレイと、
(E)反応試薬を収容した固定式トレイと、
が混在し、かつ本発明の容器収納トレイを構成するフレームに識別コードが付された場合における、自動分析装置に備えた読み取り手段による識別コードの読み取り方法の一例として、まず前記(E)のトレイの識別コードおよび前記(A)から(D)のトレイのフレームに付されている識別コードを読取り、本発明の容器収納トレイが載置されていることが検知されると、前記(A)から(D)のトレイのホルダに付された識別コードを読取り、前記(A)から(D)のトレイのフレームに付された識別コード情報を破棄する方法があげられる。試薬収納部に複数列のトレイが収納されている場合は、上記の一連の読取操作を列毎に繰り返せばよい。
【0036】
さらに容器収納トレイに載置する試薬を収容した容器の上面に識別コードを付し、前述した読み取り手段によって前記識別コードを読取り、自動分析装置に備えた容器把持・移送手段による移送後、再び前記識別コードを読取ることで、例えば、分割したホルダを載せ替え用フレームに再装着することで本発明の容器収納トレイを作製する際に、ホルダに載置した、試薬を収容した容器がこぼれたり、試薬容器単位でホルダに載置する際にミスが生じたとしても、装置側で試薬の載置ミスの検知が可能となり、目的の検体の測定値がどの標準試薬を用いた検量線によるものか、のトレーサビリティの確保も容易になるため好ましい。
【0037】
以下、図面を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明の試薬収容トレイに載置する、試薬を収容する容器の一態様を示している。
図1に示す容器10は、開口部の内径6mm、高さ20mmの円柱状凹部(ウェル)12を最小部分が1mm程度の肉厚の隔壁を介して並設した樹脂製の二連容器である。なお
図1に示す容器10には、載置方向を決定するための突起11(長さ8mm、高さ1mm)を、方向性を示す半円形の鍔の直下に設けている。
【0039】
図2は、
図1に示す容器を載置可能な固定式トレイの一態様を示している。
図2に示す固定式トレイ20は縦100mm×横92mm×高さ21mmの樹脂製(肉厚1mm)トレイであり、
図1に示す容器を4行×8列(32個)保持可能な保持座21を有している。なお固定式トレイ20の保持座21側面には、切込22(上面から8mmの深さまで)を設けており、
図1に示す容器に設けた突起と係合することで、当該容器の載置方向を決定する。また固定式トレイ20の保持座21底面には、
図1に示す容器を載置した際に保持座21内の空気を逃がすための空気穴23(直径5mm)を設けている。固定式トレイ20の上面外周部にはラベル24が貼付されており、測定項目名24a、測定項目コードおよびロット番号24b、識別コード(二次元コード)24c、試薬の種別24d、有効期限24e、メーカ名24f、トレイ番号(連番)24gが印字されている。
【0040】
図3は、
図1に示す容器の一方のウェルにアルカリホスファターゼを結合した抗甲状腺刺激ホルモン(TSH)抗体を、他方のウェルに抗TSH抗体を固定化した磁性微粒子を、それぞれ分注し、凍結乾燥後、各ウェルの開口部をアルミ箔シール13でヒートシールして製造した、TSH反応試薬を収容した容器を、
図2に示す固定式トレイに載置した態様を示している。アルミ箔シール13には、測定項目名13a、測定項目コードおよびロット番号13b、識別コード(二次元コード)13cが印字されている。なお
図2に示す固定式トレイに設けた保持座のラベル24側には切込が入っているため、試薬を収容した容器は、半円形の鍔部がラベル24側に向くように32個載置される。
【0041】
図4は本発明の容器収納トレイを構成するホルダの一態様を、
図5は本発明の容器収納トレイを構成するフレームの一態様を、それぞれ示している。
図4に示すホルダ30の外形は縦17mm×横92mm×高さ21mmである。
図5に示すフレーム40の外形は縦100mm×横92mm×高さ21mmであり、
図2に示す固定式トレイと同じサイズである。
【0042】
図4に示すホルダ30は、
図1に示す容器を6個保持可能な保持座31を有している。保持座31側面には
図1に示す容器に設けた突起と係合可能な切込32(上面から8mmの深さまで)を設けており、当該容器に設けた突起と係合することで、当該容器の方向性を決定する。ホルダ30の左端には
図5に示すフレーム40左端に設けた開口部47と係合可能な突起35を、ホルダ30の右端には
図5に示すフレーム40右端に設けた突起41と嵌合可能な開口部37を、それぞれ設けており、これにより、ホルダ30を着脱可能に
図5に示すフレーム40に装着できる。なおホルダ30右端には、
図5に示すフレーム40に装着したホルダ30をフレーム40から容易に分離するための突起36をさらに設けている。保持座31の底面には、
図2に示す固定式トレイと同様、
図1に示す容器を載置した際に保持座31内の空気を逃がすための空気穴33(直径5mm)を設けている。ホルダ右側の持ち手部上面にはラベル34が貼付されており、測定項目名34a、ホルダID34b、識別コード(二次元コード)34c、試薬の種別34dが印字されている。
【0043】
図5に示すフレーム40には、
図4に示すホルダ30を着脱可能に4本装着することができる。フレーム40右端には装着させる
図4に示す各ホルダ30の開口部37と嵌合可能な突起41を設けており、フレーム40左端には
図4に示す各ホルダ30の突起35と係合可能な開口部47を設けている。またフレーム40上面には先端形状が凹状の突起42および先端形状が平坦状の突起43を、フレーム40下面には先端形状が凸状の突起44および先端形状が平坦状の突起45を、それぞれ2箇所設けており、対応する突起42と突起44とが嵌合し、かつ対応する突起43と突起45とが接触することで、フレーム40同士を垂直方向に連結させることができる。なおホルダ40を装着していない状態でもフレーム40自身が自立可能なように、フレーム40下面右端には自立用突起46をさらに2箇所設けている。フレーム40の上面外周にはラベル48が貼付されており、測定項目名48a、測定項目コードおよびロット番号48b、識別コード(二次元コード)48c、試薬の種別48d、有効期限48e、メーカ名48f、トレイ番号(連番)48gが印字されている。
【0044】
本発明の容器収納トレイの一態様である、
図4に示すホルダ30を
図5に示すフレーム40に装着した容器収納トレイ(分割式トレイ)50を
図6に示す。また
図6に示す分割式トレイ50を垂直方向に10枚連結した態様を
図7に示す。
図5に示したフレームの上面に設けた先端形状が凹状の突起と下面に設けた凸状の突起44とが嵌合することで、最下段の1枚の分割式トレイ50を分離したとしても、残りの9枚の分割式トレイ50は分離することなく連結状態を維持することができる。
【0045】
図6に示す分割式トレイに同じ種別の試薬を収容した容器を載置した態様の具体例を
図8に示す。
図8(a)はTSH測定用較正試薬を収容した容器を、
図8(b)は遊離トリヨードサイロニン(FT3)測定用較正試薬を収容した容器を、
図8(c)はTSH測定用希釈試薬を収容した容器を、
図8(d)は癌胎児性抗原(CEA)測定用希釈試薬を収容した容器を、それぞれ
図6に示す本発明の容器収納トレイに載置した態様を示している。
図8(a)で載置されているTSH測定用較正試薬を収容した容器61、および
図8(b)で載置されているFT3測定用較正試薬を収容した容器62の上面には、濃度の高低を示す数字(「1」、「2」または「3」)、測定項目名、測定項目コードおよびロット番号、識別コード(二次元コード)が印字されており、
図8(c)で載置されているTSH測定用希釈試薬を収容した容器63、および
図8(d)で載置されているCEA測定用希釈試薬を収容した容器64の上面には、希釈液であることを示す記号(「D」)、測定項目名、測定項目コードおよびロット番号、識別コード(二次元コード)が印字されている。
【0046】
図6に示す本発明の容器収納トレイ(分割式トレイ)50は、
図4に示す4本のホルダ30と、
図5に示すフレーム40とに分割することができる。したがって、
図6に示す本発明の容器収納トレイ50から任意のホルダ30を分割し、ホルダを装着していないフレーム(載せ替え用フレーム)に再装着することで、同じ種別の試薬を収容した容器を載置したホルダをフレームに複数種類装着した、本発明の容器収納トレイを作製することができる。具体例を
図9に示す。
図9に示す本発明の容器収納トレイは、
図8(a)から(d)に示す、同じ種別の試薬を収容した容器を載置したトレイから、ホルダを1本ずつ分離し、載せ替え用フレーム70に再装着した態様である。なお
図8(a)の容器収納トレイに装着したホルダに載置した容器61については、
図8(b)の容器収納トレイに装着したホルダに載置した容器62で行なう測定のn数(二重測定)と合わせるため、当該ホルダに容器61を4つのみ(二濃度二重測定分)載置している。載せ替え用フレーム70の上面外周部にはラベル71が貼付されており、載せ替え用フレームであることを示す記号(「STRIP」)、同じ種別の試薬を収容した容器を載置したホルダを複数種類装着していることを示す情報(例えば、本フレームが載せ替え用フレームであることを示す情報)等を記録した識別コード(二次元コード)71cが印字されている。従来の固定式トレイ(例えば
図2に示すトレイ)では各試薬に対し容器収納トレイが必要(本例では4枚必要)となるが、本発明の容器収納トレイでは1枚で済む。すなわち、トレイ3枚分の設置スペースが無駄にならずに有効に使えることになる。