(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、請求項1乃至9のいずれかに記載のトナーを用いて、該静電潜像を現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の前記(1)に記載の「トナー」は、つぎの(2)〜(9)に記載される「トナー」を好ましい態様の一部として包含する。また本発明は、つぎの(10)に記載の「画像形成装置」を提供するものでもある。
(2)「前記樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)が50〜80℃であることを特徴とする前記(1)に記載の静電荷現像用トナー。」
(3)「前記樹脂微粒子の酸価(AV)が45〜90mgKOH/gであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の静電荷現像用トナー。」
(4)「前記樹脂微粒子の粒径が30nm〜100nmであることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。」
(5)「前記結着樹脂が、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂及び非晶質ポリエステル樹脂のいずれかを含む前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のトナー。」
(6)「少なくとも変性ポリエステル系樹脂から成る結着樹脂前駆体を有機溶媒中に含む油相を、前記微粒子を添加した水系媒体中に分散させてなる乳化分散液から、前記有機溶剤を除去することにより得られたものであることを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の電子写真用トナー。」
(7)「前記離型剤がワックスを含むものであり、該トナーの定着前トナーのFTIR−ATR測定により得られる表面ワックス量P(A)と定着後トナーの表面ワックス量P(B)の差が0.10≦P(B)−P(A)≦0.40であることを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の電子写真用トナー。」
(8)「前記離型剤がワックスを含むものであり、該トナーの定着前トナーのFTIR−ATR測定により得られる表面ワックス量P(A)が0.10≦P(A)≦0.25であることを特徴とする前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の電子写真用トナー。」
(9)「該樹脂微粒子がポリエステル系樹脂からなることを特徴とする前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の電子写真用トナー。」
(10)「電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記(1)乃至(9)のいずれかに記載のトナーを用いて、該静電潜像を現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。」
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、樹脂微粒子は主に、造粒性のため、すなわち適正な粒径制御、および円形度の作りこみを成すために用いられる。そのため、樹脂微粒子の特性として、耐溶剤溶解性であることや高分子量であることなどが必要となっている。したがって、樹脂微粒子の貯蔵弾性率としては高い値を示すこととなり、低温定着性を阻害する物質となっていた。
本発明は、トナーの昇温1回目の貯蔵弾性率G’A(Pa)および樹脂微粒子の昇温1回目の貯蔵弾性率G’B(Pa)の値が一定範囲を満たし、かつ、トナーと樹脂微粒子の高温域および低温域の貯蔵弾性率の差分が一定値以下、すなわちトナーと樹脂微粒子の貯蔵弾性率が近くすることを意味している。これにより、樹脂微粒子により、低温定着性を阻害することを抑制することができる。
ここで、昇温1回目とは粉体状態のトナーに熱履歴を与え、溶融状態になっていく過程、すなわち、トナー内部の非晶性樹脂と結晶性樹脂が相溶していない状態からの貯蔵弾性率を示している。トナーの昇温1回目の低温域の貯蔵弾性率が低い、すなわち昇温1回目60℃における貯蔵弾性率G’A(60)が5.0×10^5を下回ると、高温環境下での保存性が悪化し、固化あるいは凝集などの問題が発生する。一方で、低温域の貯蔵弾性率が高い、すなわち5.0×10^6を上回ると低温定着性を阻害する。
また、樹脂微粒子の昇温1回目の低温域の貯蔵弾性率が高い、すなわち昇温1回目60℃における貯蔵弾性率G’B(60)が1.0×10^7を下回ると、トナーの貯蔵弾性率が低すぎるとき同様に、高温環境下での保存性が悪化し、固化あるいは凝集などの問題が発生する。一方で、低温域の貯蔵弾性率が高い、すなわち1.0×10^10を上回ると低温定着性を阻害する。
トナーの昇温1回目の高温域の貯蔵弾性率が低い、すなわち昇温1回目100℃における貯蔵弾性率G’A(100)が1.0×10^4を下回ると、弾性が維持できていないため、ホットオフセットを発生する懸念がある。一方、1.0×10^6を上回ると低温定着性に懸念が残る。
また、樹脂微粒子の高温域の貯蔵弾性率が高い、すなわち昇温1回目100℃における貯蔵弾性率G’B(100)が1.0×10^4を下回ると、弾性が維持できていないため、ホットオフセットを発生する懸念がある。一方、1.0×10^6を上回ると低温定着性に懸念が残る。
さらに、本発明のトナーと樹脂微粒子の低温および高温時の貯蔵弾性率の差分、すなわちG’A(60)−G’B(60)およびG’A(100)−G’B(100)が、それぞれ5.0×10^9以下、および5.0×10^5以下でなくてはならない。それぞれ前記値を超えると、樹脂微粒子の弾性率が高くなりトナーの貯蔵弾性率との乖離が大きくなることから、低温定着性を阻害する要因となってしまう。
静電荷潜像現像用トナーの低温定着性は、結着樹脂或いはトナーのTgや溶融温度だけでなく、定着温度以上に加熱された後の結着樹脂或いはトナーが示す粘性や流動性等の物性にも依存することは知られている。ホットオフセット発生についても同様である。そして、加熱された後の結着樹脂或いはトナーの粘性や流動性等の物性を示す手段として貯蔵弾性率(の低さ)、すなわちゴム材料のような弾力性(のなさ)、を用いて表現することも知られている。
しかしながら、この貯蔵弾性率は、その測定目的から理解されるように、常温での保存性の程度を示すための尺度を意味するものではなかった。ましてや、トナー粒子とその外側に位置する樹脂微粒子との双方について、加熱前のそれぞれの貯蔵弾性率にまで着目するものではなかった。
【0013】
なお、貯蔵弾性率(G’)の測定は例えば以下の方法を用いて行なうことができる。即ち、トナー0.10gを錠剤成型器により400kgfの圧力で加圧することで、直径8mm、高さ1.0〜1.2mmの円柱状試料に成型し、測定用ペレットを作成する。
粘弾性測定装置(レオメーター)ARES(Rheometrics Scientific社製)を用いて直径8mmのパラレルプレートに測定用ペレットを固定し周波数1Hz、温度50〜180℃、歪み0.1、昇温速度2℃/minで測定し、トナーの各温度におけるトナーの貯蔵弾性率G’を測定することができる。
【0014】
また、本発明のトナーに用いられる樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)は、50〜80℃であることが好ましい。Tgが50℃より低いと、低温域での貯蔵弾性率が確保できず、耐熱保存性が悪化しやすくなる。一方で、Tgが80℃を超えると高温域での貯蔵弾性率が下がらず、低温定着性を阻害する可能性が高まる。
【0015】
本発明に使用するトナーや樹脂微粒子などのTgの測定としては、例えば示差走査熱量計(例えばDSC−6220R:セイコーインスツル社)を用いて、まず、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して、ガラス転移点以下のベースラインと、ガラス転移点以上のベースラインの高さが1/2に相当する曲線部分から求めることができる。
【0016】
さらに、この樹脂微粒子の酸価(AV)は45〜90mgKOH/gであることが好ましい。AVが45mgKOH/gを下回ると、トナー構成材料である結着樹脂との親和性が下がるため、トナー表面に適正に付着せず、造粒性に課題が出やすくなる。一方で、AVが90mgKOH/gを上回ると、樹脂としての極性基が増え、大気中の水と反応しやすくなるため、保存性への懸念が発生する。
【0017】
本発明のトナー組成物の酸価は、以下の方法により求め、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。
例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する(前記有機溶媒に難溶なポリエステル樹脂(L)はこのトルエン系のエタノール混媒には実質的に不溶であるので、この時点で分離)。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)このときのKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、このときのKOH溶液の使用量をB(ml)とし、以下の計算式(1)で算出する。ただしfはKOHのファクターである。
【0018】
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W・・・・・計算式(1)
【0019】
本発明のトナーに用いられる樹脂微粒子の粒径は、30〜100nmであることが好ましい。30nm未満だと、樹脂微粒子としての機能を果たしにくく、造粒が難しくなる。
一方で、100nmを超えると、トナー母体表面に付着しにくくなり、こちらも造粒が難しくなる。樹脂微粒子の粒径の測定方法としては、ナノトラック粒度分布測定装置 UPA−EX150(日機装製、動的光散乱法/レーザードップラー法)で測定することができる。具体的な測定方法としては、樹脂微粒子が分散された分散液を測定濃度範囲に調整して測定する。その際、あらかじめ分散液の分散溶媒のみでバッククラウンド測定をしておく。
【0020】
定着前トナーのFTIR−ATR測定により得られる表面ワックス量P(A)と定着後トナーの表面ワックス量P(B)の差が0.10≦P(B)−P(A)≦0.40であることが望ましい。P(B)−P(A)が0.10を下回ると、定着時のワックス染みだし量が少なく、コールドオフセットが起こりやすくなる。一方で、0.40を超えると定着時のワックスの染みだしが多く、揮発したワックスによる機内汚染を起こす可能性がある。
また、P(A)は0.10≦P(A)≦0.25であることが望ましい。P(A)が0.10を下回る場合、トナー粒子表面に存在するワックス量が少なすぎるため、定着時に離型剤としての機能を果たしえない。一方で、0.25を超える場合、現像工程でのキャリアとの攪拌時にキャリア汚染を引き起こす可能性がある。
本発明において「定着前トナー」とは、定着器を通過した後などの高温熱履歴を受けない状態のトナーを意味する。
【0021】
トナーの表面ワックス量は、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法で得られる。
測定原理から分析深さは0.3μm程度であり、この分析により、トナー粒子の表面から0.3μmの深さ領域における相対的なワックス量を求めることができる。定着前トナーの測定方法は以下のとおりである。
先ず、試料として、トナー3gを自動ペレット成型器(Type M No.50 BRP−E;MAEKAWA TESTING MACHINE CO.製)で6tの荷重で1分間プレスして40mmφ(厚さ約2mm)ペレットを作製した。そのトナーペレット表面をFTIR−ATR法により測定した。用いた顕微FTIR装置は、PERKIN ELMER社製Spectrum OneにMultiScope FTIR ユニットを設置したもので、直径100μmのゲルマニウム(Ge)結晶のマイクロATRで測定した。赤外線の入射角41.5°、分解能4cm
−1、積算20回で測定した。
得られたワックス由来のピーク(2850cm
−1)とバインダ樹脂由来のピーク(828cm
−1)との強度比(P2850/P828)をトナー粒子表面近傍の相対的なワックス量とした。値は測定場所を変えて4回測定した後の平均値を用いた。
一方、「定着後トナー」とは、用紙などの被転写体にオフセットの発生がない状態で十分に定着される条件で定着されたトナーを意味する。
具体的には、以下のように定義される。
前期定着前トナーを(株)リコー社製複写機(Imagio Neo C355)で付着量4.0mg/cm
2の未定着画像を作成し、次に(株)リコー社製複写機(Imagio Neo C355)の定着装置(オイルレス方式)を改造したローラ温度を自由に設定できる外部定着機を用い、紙送りを120mm/secに固定し、100℃〜140℃まで温度を5℃ずつ変更した時、十分に溶融しきれずに未画像部に画像が再転写するオフセット現象について定着ローラ上および紙上を観察し、画像が再転写していない状態となった最低温度の定着画像上のトナーとする。
定着後トナーの表面ワックス量は、前記定着画像を上述のFTIR−ATR法により測定した。測定方法、解析方法については定着前トナーと同様である。
【0022】
また、本発明のトナーとしては、有機溶媒中に、少なくとも、ポリエステル樹脂、着色剤、離型剤を含むトナー材料を溶解乃至分散させて得られる油相を水系媒体中に分散させて、得られたO/W型分散液から有機溶剤を除去して得られるトナーが好ましい。
前記トナー材料は、結晶性ポリエステル樹脂、変性ポリエステル系樹脂からなる結着樹脂前駆体、及びこれら以外の結着樹脂成分を含むことが好ましい。また、前記O/W型分散液(乳化分散液)を得る際には、前記油相に、前記結着樹脂前駆体と伸長または架橋する化合物を溶解させた後、前記油相を微粒子分散剤の存在する水系媒体中に分散させることが好ましい。更に、前記乳酸分散液中で前記結着樹脂成分を架橋反応及び/又は伸長反応させることが好ましい。
前記結着樹脂成分としては、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂と非晶質ポリエステル樹脂を少なくとも1種類以上含んでいることが好ましい。
【0023】
本発明の二成分現像剤は前記の本発明のトナーを備えることを特徴としており、現像剤に含まれるキャリアは特に限定されるものではない。
【0024】
本発明の画像形成装置は、前記の本発明のトナーを備えることを特徴としており、静電潜像形成手段(帯電手段と露光手段)と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、クリーニング手段の各手段を有していればよく、必要に応じて、除電工程、リサイクル工程、制御工程等の工程を行う手段をさらに有してもよい。
【0025】
静電潜像形成手段は、像担持体上に静電潜像を形成する手段である。像担持体の材質、形状、構造、大きさ等は、公知のものの中から適宜選択することができる。材質は、アモルファスシリコン、セレン等の無機物質、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機物質等が挙げられるが、長寿命であることからアモルファスシリコンが好ましい。また、形状は、ドラム状であることが好ましい。静電潜像は、像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより形成することができ、静電潜像形成手段により行うことができる。
静電潜像形成手段は、像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器(帯電手段)と、像担持体の表面を露光する露光器(露光手段)を有することが好ましい。
【0026】
帯電は、帯電手段(帯電器)を用いて像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。帯電器は、目的に応じて適宜選択することができるが、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器等が挙げられる。
【0027】
露光は、露光手段(露光器)を用いて像担持体の表面を露光することにより行うことができる。露光器は、目的に応じて適宜選択することができるが、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光器を用いることができる。
なお、像担持体の裏面側から露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0028】
現像手段は、静電潜像を、本発明のトナーを用いて現像することにより、可視像を形成する手段である。可視像は、現像手段を用いて形成することができる。現像手段は、公知のものの中から適宜選択することができ、本発明のトナーを収容し、静電潜像にトナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を有することが好ましい。現像器は、乾式現像方式であってもよいし、湿式現像方式であってもよい。また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよい。具体的には、現像剤を摩擦攪拌することにより帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラを有する現像器等が挙げられる。現像器に収容される現像剤は、本発明のトナーを用いた現像剤であるが、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
二成分現像剤を有する現像器内では、トナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、像担持体の近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって像担持体の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて像担持体の表面にトナーによる可視像が形成される。
【0029】
転写手段は、可視像を記録媒体に転写する手段であるが、中間転写体を用い、中間転写体上に可視像を一次転写した後、可視像を記録媒体上に二次転写することが好ましい。このとき、用いられるトナーは、モノクロ、フルカラー、あるいは透明トナーを用いることができる。通常二色以上同時に重ねて現像するため、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程を有することがより好ましい。
転写は、転写手段を用いて像担持体を帯電することにより行うことができる。転写手段は、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段を有することが好ましい。なお、中間転写体は、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、転写ベルト等を用いることができる。
転写手段は、像担持体上に形成された可視像を記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を有することが好ましい。転写手段は、一つであってもよいし、複数であってもよい。転写器の具体例としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器等が挙げられる。なお、記録媒体は、公知の記録媒体の中から適宜選択することができ、記録紙等を用いることができる
【0030】
定着手段は、定着手段を用いて記録媒体に転写された可視像を定着させる手段であり、各色のトナーが記録媒体に転写される毎に定着してもよいし、各色のトナーを積層した状態で一度に定着してもよい。定着手段は、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段を用いることができる。加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトの組み合わせ等が挙げられる。加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃であることが好ましい。なお、目的に応じて、定着手段と共に、又は、これらに代えて、公知の光定着器を用いてもよい。
【0031】
除電手段は、像担持体に除電バイアスを印加することにより除電する手段であり、除電手段を用いて行うことができる。除電手段は、公知の除電器の中から適宜選択することができ、除電ランプ等を用いることができる。
【0032】
クリーニング手段は、像担持体上に残留するトナーを除去する手段である。クリーニング手段は、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等を用いることができる。ブレードクリーナを用いることが好ましい。
【0033】
リサイクル工程は、クリーニング手段(工程)により除去したトナーを現像手段でリサイクルする工程であり、リサイクル手段を用いて行うことができる。リサイクル手段は、目的に応じて適宜選択することができ、公知の搬送手段等を用いることができる。
制御工程は、各工程を制御する工程であり、制御手段を用いて行うことができる。制御手段は、目的に応じて適宜選択することができ、シークエンサー、コンピュータ等の機器を用いることができる。
【0034】
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の画像形成装置に用いるものであり、像担持体と、少なくとも帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる一つの手段を一体に支持し、本発明の画像形成装置本体に着脱自在である。
【0035】
図1に、本発明で用いられる画像形成装置の一例を示す。画像形成装置100Aは、像担持体としてのドラム状の感光体10と、帯電手段としての帯電ローラ20と、露光手段としての露光装置30と、現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、除電手段としての除電ランプ70とを備える。
中間転写体50は、無端ベルトであり、矢印方向に移動することができるように3個のローラ51で張架されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することができる転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50の近傍には、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。また、記録媒体としての記録紙95に可視像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加することができる転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部の間に配置されている。
【0036】
現像装置40は、現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像器45K、イエロー現像器45Y、マゼンタ現像器45M及びシアン現像器45Cとから構成されている。なお、ブラック現像器45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kを備えている。イエロー現像器45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えている。マゼンタ現像器45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mを備えている。シアン現像器45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、矢印方向に移動することができるように複数のベルトローラで張架され、一部が感光体10と接触している。
【0037】
画像形成装置100Aにおいて、帯電ローラ20は、感光体10を一様に帯電させた後、露光装置30を用いて感光体10に露光を行い、静電潜像を形成する。次に、感光体10上に形成された静電潜像に、現像装置40から現像剤を供給することにより現像し、トナー像を形成する。さらに、トナー像がローラ51により印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、さらに記録紙95上に転写(二次転写)される。この結果、記録紙95上に転写像が形成される。なお、感光体10上に残存したトナーは、クリーニングブレードを有するクリーニング装置60により除去され、感光体10の帯電電荷は、除電ランプ70により除去される。
【0038】
図2に、本発明で用いられる画像形成装置の他の例を示す。画像形成装置100Bは、現像ベルト41を備えず、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが対向して配置されている。それ以外は、画像形成装置100Aと同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、
図2において、
図1におけるものと同じものは、同符号で示した。
【0039】
図3に、本発明で用いられる画像形成装置の他の例を示す。画像形成装置100Cは、タンデム型カラー画像形成装置である。画像形成装置100Cは、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置400とを備えている。複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、図中、時計回りに移動することができるように、支持ローラ14、15及び16に張架されている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上に残留したトナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14、15及び16により張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色の画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。
タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50のタンデム型現像器120が配置された側と反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22は、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写体50は、互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧して配置された加圧ローラ27を備えている。
【0040】
なお、画像形成装置100Cにおいては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙を反転させるシート反転装置28が配置されている。これにより、記録紙の両面に画像を形成することができる。
【0041】
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。まず、原稿自動搬送装置400の原稿台130上に原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0042】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿がコンタクトガラス32上へ搬送された後でスキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は、直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により照射された光の原稿面からの反射光は、第2走行体34におけるミラーで反射され、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に受光される。これにより、カラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像情報とされる。各色の画像情報は、タンデム型現像器120における各色の画像形成手段18にそれぞれ伝達され、各色のトナー像が形成される。
【0043】
ブラック用感光体10K上のトナー像、イエロー用感光体10Y上のトナー像、マゼンタ用感光体10M上のトナー像及びシアン用感光体10C上のトナー像は、中間転写体50上に、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上で各色のトナー像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0044】
図4に示すように、タンデム型現像器120における各色の画像形成手段18は、それぞれ、感光体10と、感光体10を一様に帯電させる帯電器59と、各色の画像情報に基づいて感光体10を露光(図中、L)することにより、感光体10上に静電潜像を形成する露光装置と、各色のトナーを用いて静電潜像を現像することにより、感光体10上に各色のトナー像を形成する現像器61と、各色のトナー像を中間転写体50上に転写する転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64を備えている。
【0045】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142aの一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出す。
分離ローラ145aで1枚ずつ分離して給紙路146に送り出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ142bを回転させて手差しトレイ52上の記録紙を繰り出し、分離ローラ145bで1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用してもよい。
【0046】
そして、中間転写体50上に形成されたカラー転写像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間に記録紙を送り出すことにより、記録紙上にカラー転写像が形成される。なお、転写後の中間転写体50上に残留するトナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
【0047】
カラー転写像が形成され記録紙は、二次転写装置22により定着装置25に搬送されて、熱と圧力によりカラー転写像が記録紙上に定着される。その後、記録紙は、切り換え爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。または、切り換え爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を形成した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0048】
本発明の製造方法によるトナーの平均円形度は、0.93〜0.98であることが好ましく、0.94〜0.96であることがさらに好ましい。0.93よりも低い場合には、現像時の画像均一性が悪化したり、電子写真感光体から中間転写体もしくは中間転写体から記録材へのトナー転写効率が低下し均一転写が得られなくなる。また、本発明の製造方法によるトナーは、水系媒体中で乳化処理をして作成されたものであり、特にカラートナーにおける小粒径化や、平均円形度が上記の範囲の形状を得るために効果的である。
【0049】
本発明の製造方法において製造したトナーにおける体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)としては、例えば、1.25以下が好ましく、1.00〜1.20がより好ましい。個数平均粒径と個数平均粒径との比(Dv/Dn)が、1.00未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力の低下や、クリーニング性の悪化につながり易い。
【0050】
[本発明のトナー製造に用いる原料]
(樹脂微粒子)
本発明に用いられる樹脂微粒子はポリエステル系樹脂であることが好ましい。樹脂微粒子は乳化ポリエステル分散液として使用し、そのポリエステル樹脂の原材料としては次のものを挙げることができる。
アルコール成分としてはポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の次の一般式(I)で表わされるジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソペンチルグリコール、水添ビスフェノールA、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、トリス−(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、2,2,4−トリメチロールペンタン−1,3−ジオールなどがあり、更にヒドロキシカルボン酸成分を加えることができる。
【0051】
【化1】
(式中、R1及びR2はエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyは各々1以上の整数であり、且つ、その和の平均値は2〜7である)
【0052】
例えば、p−オキシ安息香酸、バニリン酸、ジメチロールプロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等である。
酸成分の具体例としてはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸モノメチルエステル、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンヘキサヒドロフタル酸、ナフタレンテトラカルブン酸、ジフェノール酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シクロペンタンジカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、2,2−ビス−(4−カルボキシフェニル)プロパン、トリメリット酸無水物と4,4−ジアミノフェニルメタンから得られるジイミドカルボン酸、トリス−(β−カルボキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌレート環含有ポリイミドカルボン酸、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートの三量化反応物とトリメリット酸無水物から得られるイソシアネート環含有ポリイミドカルボン酸などであり、これらの1種又は2種以上が使用される。これらの中で、3価以上の多価カルボン酸、多価アルコールなどの架橋成分を用いると、定着強度、耐オフセット性などの安定性の点で好ましい場合がある。
【0053】
これらの原材料から得られるポリエステル樹脂は通常の方法で製造される。
例えば、酸成分とアルコール成分を所定の割合で反応容器に仕込み、窒素ガスなどの不活性ガスの存在下、150〜190℃の温度で反応を開始する。副生する低分子化合物は連続的に反応系外に除去される。その後、更に反応温度を200〜250℃に上げて反応を促進し、目的とするポリエステル樹脂を得る。
ポリエステル樹脂を製造する際、使用するカルボン酸成分がエステル基を含まない遊離のカルボン酸である場合はエステル化触媒、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイドのような有機金属やテトラブチルチタネートに代表される金属アルコキシドなどを全原材料仕込み量に対して0.1〜1重量%用いるのが好ましく、カルボン酸成分が低級アルキルエステルである場合はエステル交換触媒、例えば酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸マグネシウムのような金属酢酸塩や酸化亜鉛、酸化アンチモンのような金属酸化物、テトラブチルチタネートのような金属アルコキシドなどを全原料仕込み量に対して0.005〜0.05重量%用いるのが好ましい。
【0054】
本発明においては上記のポリエステル樹脂を2種以上合わせて使用してもよいし、更に他の樹脂を加えて使用してもよい。他の樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ジエン系樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン・アクリル樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミド樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂等がある。
【0055】
(アニオン性界面活性剤)
本発明の製造方法で用いられるアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤が好適に挙げられる。フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
【0056】
フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)、等が挙げられる。
【0057】
(結着樹脂)
説明の都合上、結着樹脂からこれ以降説明する磁性材料までをトナー材料と呼ぶことがある。
本発明のトナーの製造方法に用いる結着樹脂としては、特に制限はなく、少なくとも2種類以上の樹脂を含むことが好ましい。ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂等、公知の結着樹脂を用いることができる。
この中でも本発明のトナーの製造方法用の樹脂相には、定着時にシャープメルトし、画像表面を平滑化できる点で、低分子量化しても十分な可とう性を有しているポリエステル樹脂が好ましく、ポリエステル系樹脂にさらに他の樹脂を組み合せて用いても良い。
【0058】
本発明で好ましく用いることができるポリエステル系樹脂とは、下記一般式(1)で表される1種若しくは2種以上のポリオールと、下記一般式(2)で表される1種若しくは2種以上のポリカルボン酸とをポリエステル化したものである。
【0059】
A−(OH)m ・・・一般式(1)
[式中、Aは炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基若しくはヘテロ環芳香族基を表す。mは2〜4の整数を表す。]
【0060】
B−(COOH)n ・・・一般式(2)
[式中、Bは炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基若しくはヘテロ環芳香族基を表す。nは2〜4の整数を表す。]
【0061】
一般式(1)で表される具体的なポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA酸化プロピレン付加物等が挙げられる。
【0062】
一般式(2)で表される具体的なポリカルボン酸としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(トリメリット酸)等が挙げられる。
【0063】
(活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)
活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」)としては、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができる。例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂、等を用いることができる。
これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
なお、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
プレポリマーにおける活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、酸クロリド基、等が挙げられる。これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が特に好ましい。プレポリマーの中でも、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない場合でも良好な離型性及び定着性を確保できる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)が特に好ましい。
【0064】
ウレア結合生成基としては、例えば、イソシアネート基、等が挙げられる。ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)における該ウレア結合生成基が該イソシアネート基である場合、該ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)としては、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)等が特に好適である。イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物であり、かつ活性水素基含有ポリエステル樹脂をポリイソシアネート(PIC)と反応させてなるもの、等が挙げられる。ポリオール(PO)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール(DIO)、3価以上のポリオール(TO)、ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジオール(DIO)単独、又はジオール(DIO)と少量の3価以上のポリオール(TO)との混合物、が好ましい。ジオール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。また、脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。また、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物としたもの等が挙げられる。また、ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。また、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物としたもの等が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が好ましい。また、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。また、3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。また、3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノール体(本州化学工業株式会社製のトリスフェノールPAなど)、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。また、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、3価以上のポリフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物におけるジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合質量比(DIO:TO)としては、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
【0065】
ポリカルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジカルボン酸(DIC)単独、又はジカルボン酸(DIC)と少量の3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物が好ましい。
ジカルボン酸(DIC)としては、例えば、アルキレンジカルボン酸、アルケニレンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、等が挙げられる。また、アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。また、アルケニレンジカルボン酸としては、炭素数4〜20のものが好ましく、例えば、マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、芳香族ポリカルボン酸、等が挙げられる。また、芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20のものが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、及び、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステル物を用いることもできる。低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物におけるジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
【0066】
ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)とを重縮合反応させる際の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリオール(PO)における水酸基[OH]と、ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1であるのが好ましく、1.5/1〜1/1であるのがより好ましい。1.3/1〜1.02/1であるのが特に好ましい。
【0067】
ポリオール(PO)のイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。何故なら、含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがあるからである。
【0068】
ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの、などが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
また、脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
また、芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。また、芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、イソシアヌレート類としては、例えば、トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、1種単独でも使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
ポリイソシアネート(PIC)と、活性水素基含有ポリエステル樹脂(例えば水酸基含有ポリエステル樹脂)とを反応させる際の混合比率としては、ポリイソシアネート(PIC)におけるイソシアネート基[NCO]と水酸基含有ポリエステル樹脂における水酸基[OH]との混合当量比([NCO]/[OH])が、通常、5/1〜1/1であるのが好ましい。4/1〜1.2/1であるのがより好ましい。3/1〜1.5/1であるのが特に好ましい。何故なら、イソシアネート基[NCO]が、5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、1未満であると、耐オフセット性が悪化することがあるからである。
【0070】
ポリイソシアネート(PIC)のイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。何故なら、含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化するからである。
【0071】
イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がより好ましい。何故なら、イソシアネート基の平均数が1未満であると、ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化するからである。
【0072】
活性水素基含有化合物と反応可能な重合体の重量平均分子量(Mw)としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、3,000〜40,000が好ましく、4,000〜30,000がより好ましい。何故なら、重量平均分子量(Mw)が、3,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、40,000を超えると、低温定着性が悪化することがあるからである。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度でカラム溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度を0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のテトラヒドロフラン試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料における分子量の測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.又は東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10
2、2.1×10
2、4×10
2、1.75×10
4、1.1×10
5、3.9×10
5、8.6×10
5、2×10
6、及び4.48×10
6のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが好ましい。なお、検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いることができる。
【0073】
(その他の成分)
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、離型剤、帯電制御剤、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
【0074】
(着色剤)
本発明に使用するトナー用の着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤のトナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。着色剤の含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力が低下することがあり、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
【0075】
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエステル、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレンービニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレンーアクリロニトリルーインデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、等が挙げられる。
【0076】
マスターバッチは、マスターバッチ用樹脂と、着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練して製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶媒成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。着色剤は2樹脂に対する親和性の差を利用することで、第一の樹脂相、第二の樹脂相いずれにも任意に含有させることができる。着色剤はトナー表面に存在した際にトナーの帯電性能を悪化させることが良く知られている。そのため内層に存在する第一の樹脂相に選択的に着色剤を含有させることで、トナーの帯電性能(環境安定性、電荷保持能、帯電量等)を向上させることができる。
【0077】
(離型剤)
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、融点が50〜120℃の低融点の離型剤が好ましい。低融点の離型剤は、前記樹脂と分散されることにより、離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これによりオイルレス(定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布しない)でもホットオフセット性が良好である。
離型剤としては、例えば、ロウ類、ワックス類、等が好適に挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;などの天然ワックスが挙げられる。また、これら天然ワックスのほか、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス;などが挙げられる。更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子、などを用いてもよい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜120℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。融点が、50℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、120℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
離型剤は2樹脂に対する親和性の差を利用することで、第一の樹脂相、第二の樹脂相いずれにも任意に含有させることができる。トナー外層に存在する第二の樹脂相に選択的に含有させることで、離型剤の染み出しが定着時の短い加熱時間でも充分生じるため、充分な離型性を得ることができる。また、離型剤を内層に存在する第一の樹脂相に選択的に含有させることで、感光体、キャリア等の他の部材への離型剤のスペントを抑制させることができる。本発明では、離型剤の配置を比較的自由に設計することがあり、各々の画像形成プロセスに応じて任意の配置を取ることができる。
【0078】
(帯電制御剤)
帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
帯電制御剤は、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、等が挙げられる。
【0079】
帯電制御剤を内層に存在するトナー粒子本体中の樹脂相に選択的に含有させることで、感光体、キャリア等の他の部材への帯電制御剤のスペントを抑制させることができる。本発明のトナーの製造方法では、帯電制御剤の配置を比較的自由に設計することがあり、各々の画像形成プロセスに応じて任意の配置を取ることができる。
帯電制御剤のトナーに対する含有量としては、前記樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。帯電制御剤の含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
【0080】
(非晶質ポリエステル樹脂)
本発明において、前記結着樹脂成分として非晶質の未変性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。変性ポリエステル系樹脂からなる結着樹脂前駆体を架橋及び/又は伸長反応させて得られる変性ポリエステル樹脂と未変性のポリエステル樹脂は、少なくとも一部が相溶していることが好ましい。これにより、低温定着性及び耐ホットオフセット性を向上させることができる。このため、変性ポリエステル樹脂と未変性のポリエステル樹脂のポリオールとポリカルボン酸は、類似の組成であることが好ましい。また、未変性ポリエステル樹脂として、結晶性ポリエステル分散液に用いた非結晶性ポリエステル樹脂も未変性であれば、用いることができる。
【0081】
未変性のポリエステル樹脂の酸価は、通常、1〜50KOHmg/gであり、5〜30KOHmg/gが好ましい。これにより、酸価が1KOHmg/g以上であるため、トナーが負帯電性となりやすく、さらには、紙への定着時に、紙とトナーの親和性が良くなり、低温定着性を向上させることができる。しかしながら、酸価が50KOHmg/gを超えると、帯電安定性、特に環境変動に対する帯電安定性が低下することがある。本発明において、未変性のポリエステル樹脂は、酸価が1〜50KOHmg/gであることが好ましい。
未変性のポリエステル樹脂の水酸基価は、5KOHmg/g以上であることが好ましい。
【0082】
水酸基価は、JIS K0070−1966に準拠した方法を用いて測定される。具体的には、まず、試料0.5gを100mlのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mlを加える。次に、100±5℃の温浴中で1〜2時間加熱した後、フラスコを温浴から取り出して放冷する。さらに、水を加えて振り動かして無水酢酸を分解する。次に、無水酢酸を完全に分解させるために、再びフラスコを温浴中で10分以上加熱して放冷した後、有機溶剤でフラスコの壁を十分に洗う。
さらに、電位差自動滴定装置DL−53 Titrator(メトラー・トレド社製)及び電極DG113−SC(メトラー・トレド社製)を用いて、23℃で水酸基価を測定し、解析ソフトLabX Light Version 1.00.000を用いて解析する。なお、装置の校正には、トルエン120mlとエタノール30mlの混合溶媒を用いる。
このとき、測定条件は、以下の通りである。
Stir
Speed[%] 25
Time[s] 15
EQP titration
Titrant/Sensor
Titrant CH3ONa
Concentration[mol/L] 0.1
Sensor DG115
Unit of measurement mV
Predispensing to volume
Volume[mL] 1.0
Wait time[s] 0
Titrant addition Dynamic
dE(set)[mV] 8.0
dV(min)[mL] 0.03
dV(max)[mL] 0.5
Measure mode Equilibrium controlled
dE[mV] 0.5
dt[s] 1.0
t(min)[s] 2.0
t(max)[s] 20.0
Recognition
Threshold 100.0
Steepest jump only No
Range No
Tendency None
Termination
at maximum volume[mL] 10.0
at potential No
at slope No
after number EQPs Yes
n=1
comb.termination conditions No
Evaluation
Procedure Standard
Potential1 No
Potential2 No
Stop for reevaluation No
【0083】
なお、ウレア変性ポリエステル樹脂は、未変性のポリエステル樹脂以外に、ウレア結合以外の化学結合で変性されているポリエステル樹脂、例えば、ウレタン結合で変性されているポリエステル樹脂と併用することができる。
トナー組成物がウレア変性ポリエステル樹脂等の変性ポリエステル樹脂を含有する場合、変性ポリエステル樹脂は、ワンショット法等により製造することができる。
【0084】
一例として、ウレア変性ポリエステル樹脂を製造方法について説明する。
まず、ポリオールとポリカルボン酸を、テトラブトキシチタネート、ジブチルスズオキサイド等の触媒の存在下で、150〜280℃に加熱し、必要に応じて、減圧しながら生成する水を除去して、水酸基を有するポリエステル樹脂を得る。次に、水酸基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートを40〜140℃で反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを得る。さらに、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン類を0〜140℃で反応させ、ウレア変性ポリエステル樹脂を得る。
ウレア変性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、通常、1000〜10000であり、1500〜6000が好ましい。
【0085】
なお、水酸基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートを反応させる場合及びイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン類を反応させる場合には、必要に応じて、溶剤を用いることもできる。
溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等);エーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート基に対して不活性なものが挙げられる。
【0086】
なお、未変性のポリエステル樹脂を併用する場合は、水酸基を有するポリエステル樹脂と同様に製造したものを、ウレア変性ポリエステル樹脂の反応後の溶液に混合してもよい。
本発明において、油相に含有される結着樹脂成分としては、結晶性ポリエステル樹脂、非晶質ポリエステル樹脂、結着樹脂前駆体、未変性樹脂を併用してもよいが、更にこれらの樹脂以外の結着樹脂成分を含有してもよい。結着樹脂成分としては、ポリエステル樹脂を含有することが好ましく、ポリエステル樹脂を50重量%以上含有することがさらに好ましい。ポリエステル樹脂の含有量が50重量%未満であると、低温定着性が低下することがある。結着樹脂成分のいずれもがポリエステル樹脂であることが特に好ましい。
なお、ポリエステル樹脂以外の結着樹脂成分としては、ポリスチレン、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリビニルトルエン等のスチレン又はスチレン置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。
【0087】
(流動性向上剤)
流動性向上剤は、表面処理を行って疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止する剤である。例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、等が挙げられる。シリカ、酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが特に好ましい。
【0088】
(クリーニング性向上剤)
クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加される剤のことである。例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
【0089】
(層状無機鉱物)
必要に応じてトナー中に層状無機鉱物を含有させてもよい。層状無機鉱物は厚さ数nmの層が重ね合わさってできている無機鉱物のことを言い、有機物イオンで変性するとはその層間に存在するイオンに有機物イオンを導入することを言う。具体的には、特表2003−515795号公報、特表2006−500605号公報及び特表2006−503313号公報に述べられている。これを広義にはインターカレーションという。
層状無機鉱物としては、スメクタイト族(モンモリロナイト、サポナイトなど)、カオリン族(カオリナイトなど)、マガディアイト、カネマイトが知られている。変性層状無機鉱物はその変性された層状構造により親水性が高い。そのため、層状無機鉱物を変性すること無しに水系媒体中に分散して造粒するトナーに用いると、水系媒体中に層状無機鉱物が移行し、トナーを異形化することができないが、変性することにより、親水性が高くなり、かかる変性層状無機鉱物は、トナーの製造時に微細化すると共に異形化し、トナー粒子の表面部分に特に多く存在し、電荷調節機能を果たすと共に、低温定着にも貢献する。このとき、トナー材料中の変性層状無機鉱物の含有量は、0.05〜5重量%であることが好ましい。
本発明に用いる変性層状無機鉱物は、スメクタイト系の基本結晶構造を持つものを有機カチオンで変性したものが望ましい。また、層状無機鉱物の2価金属の一部を3価の金属に置換することにより、金属アニオンを導入することができる。しかし、金属アニオンを導入すると親水性が高いため、金属アニオンの少なくとも一部を有機アニオンで変性した層状無機化合物が望ましい。
前記層状無機鉱物が有するイオンの少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物の、有機物イオン変性剤としては第4級アルキルアンモニウム塩、フォスフォニウム塩やイミダゾリウム塩などが挙げられるが、第4級アルキルアンモニウム塩が望ましい。
前記第4級アルキルアンモニウムとしては、トリメチルステアリルアンモニウム、ジメチルステアリルベンジルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム、オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムなどが挙げられる。
前記有機物イオン変性剤としては、さらに分岐、非分岐または環状アルキル(C1〜C44)、アルケニル(C1〜C22)、アルコキシ(C8〜C32)、ヒドロキシアルキル(C2〜C22)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を有する硫酸塩、スルフォン酸塩、カルボン酸塩、またはリン酸塩が挙げられる。エチレンオキサイド骨格を持ったカルボン酸が望ましい。
層状無機鉱物を、少なくとも一部を有機物イオンで変性することにより、適度な疎水性を持ち、トナー組成物及び/又はトナー組成物前駆体を含む油相が非ニュ−トニアン粘性を持ち、トナーを異形化することができる。このとき、トナー材料中の一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物の含有量は、0.05〜5重量%であることが好ましい。
一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物は、適宜選択することができるが、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、セピオライト及びこれらの混合物等が挙げられる。中でも、トナー特性に影響を与えず、容易に粘度調整ができ、添加量を少量とすることができることから有機変性モンモリロナイト又はベントナイトが好ましい。
一部を有機物カチオンで変性した層状無機鉱物の市販品としては、Bentone 3、Bentone 38、Bentone 38V(以上、レオックス社製)、チクソゲルVP(United catalyst社製)、クレイトン34、クレイトン40、クレイトンXL(以上、サザンクレイ社製)等のクオタニウム18ベントナイト;Bentone27(レオックス社製)、チクソゲルLG(United catalyst社製)、クレイトンAF、クレイトンAPA(以上、サザンクレイ社製)等のステアラルコニウムベントナイト;クレイトンHT、クレイトンPS(以上、サザンクレイ社製)等のクオタニウム18/ベンザルコニウムベントナイトが挙げられる。特に好ましいのはクレイトンAF、クレイトンAPAがあげられる。また一部を有機アニオンで変性した層状無機鉱物としてはDHT−4A(協和化学工業社製)に下記一般式(3)で表される有機アニオンで変性させたものが特に好ましい。下記一般式(3)は例えばハイテノール330T(第一工業製薬社製)が挙げられる。
【0090】
R1(OR2)nOSO3M ・・・ 一般式(3)
[式中、R1は炭素数13を有するアルキル基、R2は炭素数2から6を有するアルキレン基を表す。nは2から10の整数を表し、Mは1価の金属元素を表す]
【0091】
変性層状無機鉱物を用いることにより、適度な疎水性を持ち、これを有するトナーの製造過程においてトナー組成物を含む油相が非ニュートニアン粘性を持ち、トナーを異形化することができる。
【0092】
(無機微粒子)
無機微粒子は、トナー粒子に流動性、現像性、帯電性等を付与するための外添剤として使用する。この無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【実施例】
【0093】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、例中の「部」は特に断わらない限り「重量部」である。
【0094】
[実施例1;トナー1の製造]
(乳化樹脂微粒子分散液の製造例)
〜乳化樹脂微粒子分散液1の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・・95部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・87部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸85部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、樹脂微粒子(I)を得た。得られたポリエステル(I)の分子量は3700、ガラス転移温度は47℃であった。
得られたポリエステル(I)のガラス転移温度は65℃、酸価は81mgKOH/gであった。
このポリエステル(I)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液1200mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂微粒子分散液1を得た。
この乳化樹脂微粒子分散液1の粒径は体積平均粒径50nmであった。
【0095】
(水相の調整)
水990部、[乳化ポリエステル分散液1]83部、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。
これを[水相1]とする。
【0096】
<樹脂合成例>
(非晶質ポリエステル樹脂の合成例1)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物67部、ビスフェノールAのプロピオンオキシド3モル付加物84部、テレフタル酸270部、イソフタル酸120部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、270℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下、7時間反応させて、ポリエステル樹脂を合成した。得られたポリエステル樹脂R1は、酸価が19.8mgKOH/g、重量平均分子量Mwは4200であった。
【0097】
(結晶性樹脂C1の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸241部、アジピン酸55部、1,4−ブタンジオール314部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.75部を入れ、窒素気流下、180℃で生成する水を留去しながら4時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しつつ、窒素気流下、生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら3時間反応させたのち、更に5〜20mmHgの減圧下で、Mw(重量平均分子量)が約1200に達するまで反応させた。
得られた結晶性樹脂218部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル250部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)40部、無水マレイン酸25部を加え、窒素気流下、80℃で5時間反応させた。次いで減圧下で酢酸エチルを留去し、表1に示す結晶性樹脂C1を得た。
【0098】
(中間体ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。
[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価51であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。
【0099】
<ケチミン化合物(活性水素基含有化合物)の合成>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(活性水素基含有化合物)を合成した。
得られたケチミン化合物のアミン価は418であった。
【0100】
〔着色剤マスターバッチの製造〕
非晶性樹脂Aを100部、シアン顔料(C.I.Pigment blue 15:3)100部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)により1000rpmで5分間混合した後、オープンロール混練機(三井鉱山社製)で混練し、ロートプレックス粉砕機で2mm大の顔料分散体粉末を作製してマスターバッチとした。
【0101】
〔ワックス分散液1の製造〕
カルナウバワックス20部、非晶性樹脂A80部及び酢酸エチル120部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却した後、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)を用い、40℃に加温して、送液速度1.0Kg/hr、fディスク周速度:10m/秒、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕し、ワックス分散液1を作製した。
【0102】
(トナー1の製造)
温度計及び攪拌機を装備した容器に、結晶性樹脂C1を20部、酢酸エチル24部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、非晶性樹脂Aの50%酢酸エチル溶液を102部、[ワックス分散液1]を66部、着色剤マスターバッチ10部、[プレポリマー1]12部を加え、50℃でTK式ホモミキサー(特殊機化社製)により回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相1]を得た。
次に、[水相1]に、50℃に保たれた[油相1]を50部加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)により回転数13,000rpmで1分間混合して、[スラリー1]を得た。
次いで、得られたトナー母体粒子の[複合粒子スラリー1]100部を減圧濾過した後、以下の(1)〜(4)の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後、濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後、濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後、濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
得られた[濾過ケーキ1]を、循風乾燥機により45℃で48時間乾燥した。その後、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体粒子1を作製した。
次に、得られた[トナー母体粒子1]100部に、疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)1.0部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、体積平均粒径5.6μmの[トナー1]を作製した。
【0103】
[実施例2;トナー2の製造]
実施例1の乳化樹脂微粒誌分散液1を以下のように作製する乳化樹脂微粒子分散液2に変更する以外は、実施例1の場合と同様に作製し、トナー2を得た。
【0104】
〜乳化樹脂微粒子分散液2の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・・90部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・90部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸60部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(II)を得た。得られたポリエステル(II)のガラス転移温度は52℃、酸価は50mgKOH/gであった。
このポリエステル(II)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液1800mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂微粒子分散液2を得た。
この乳化樹脂微粒子分散液2の粒径は体積平均粒径44nmであった。
【0105】
[実施例3;トナー3の製造]
実施例1の乳化樹脂微粒誌分散液1を以下のように作製する乳化樹脂微粒子分散液3に変更する以外は、実施例1と同様に作製し、トナー3を得た。
【0106】
〜乳化樹脂微粒子分散液3の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・・・98部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・・92部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸80部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(III)を得た。得られたポリエステル(III)のガラス転移温度は78℃、酸価は75mgKOH/gであった。
このポリエステル(III)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液1200mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂微粒子分散液3を得た。
この乳化樹脂微粒子分散液3の粒径は体積平均粒径80nmであった。
【0107】
[実施例4;トナー4の製造]
実施例1の乳化樹脂微粒誌分散液1を、以下のように作製する乳化樹脂微粒子分散液4に変更する以外は、実施例1と同様に作製し、トナー4を得た。
【0108】
〜乳化樹脂微粒子分散液4の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・・80部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・85部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸80部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(IV)を得た。得られたポリエステル(IV)のガラス転移温度は46℃、酸価は75mgKOH/gであった。
このポリエステル(IV)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液1400mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂微粒子分散液4を得た。
この乳化樹脂微粒子分散液4の粒径は体積平均粒径60nmであった。
【0109】
[実施例5;トナー5の製造]
実施例1の乳化樹脂微粒誌分散液1を以下のように作製する乳化樹脂微粒子分散液5に変更する以外は、実施例1と同様に作製し、トナー5を得た。
【0110】
〜乳化樹脂微粒子分散液5の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・102部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・96部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸80部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(V)を得た。得られたポリエステル(V)のガラス転移温度は85℃、酸価は75mgKOH/gであった。
このポリエステル(V)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液1400mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂微粒子分散液5を得た。
この乳化樹脂微粒子分散液5の粒径は体積平均粒径65nmであった。
【0111】
[実施例6;トナー6の製造]
実施例1の乳化樹脂微粒誌分散液1を以下のように作製する乳化樹脂微粒子分散液6に変更する以外は実施例1と同様に作製し、トナー6を得た。
【0112】
〜乳化樹脂微粒子分散液6の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・・・82部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・・75部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸52部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(VI)を得た。得られたポリエステル(VI)のガラス転移温度は60℃、酸価は40mgKOH/gであった。
このポリエステル(VI)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液1500mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂微粒子分散液6を得た。
この乳化樹脂微粒子分散液6の粒径は体積平均粒径55nmであった。
【0113】
[実施例7;トナー7の製造]
実施例1の乳化樹脂微粒誌分散液1を以下のように作製する乳化樹脂微粒子分散液7に変更する以外は、実施例1と同様に作製し、トナー7を得た。
【0114】
〜乳化樹脂微粒子分散液7の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・・・76部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・・68部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸88部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(VII)を得た。得られたポリエステル(VII)のガラス転移温度は70℃、酸価は92mgKOH/gであった。
このポリエステル(VII)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液1500mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂微粒子分散液7を得た。
この乳化樹脂微粒子分散液7の粒径は体積平均粒径60nmであった。
【0115】
[実施例8;トナー8の製造]
実施例1の乳化樹脂微粒誌分散液1を以下のように作製する乳化樹脂微粒子分散液8に変更する以外は、実施例1と同様に作製し、トナー8を得た。
【0116】
〜乳化樹脂微粒子分散液8の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・・・68部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・・62部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸56部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(VIII)を得た。得られたポリエステル(VIII)のガラス転移温度は60℃、酸価は60mgKOH/gであった。
このポリエステル(VIII)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液2000mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂微粒子分散液8を得た。
この乳化樹脂微粒子分散液8の粒径は体積平均粒径22nmであった。
【0117】
[実施例9;トナー9の製造]
実施例1の乳化樹脂微粒誌分散液1を以下のように作製する乳化樹脂微粒子分散液9に変更する以外は、実施例1と同様に作製し、トナー9を得た。
【0118】
〜乳化樹脂微粒子分散液9の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・・・70部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・・63部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸62部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(IX)を得た。得られたポリエステル(IX)のガラス転移温度は65℃、酸価は70mgKOH/gであった。
このポリエステル(IX)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液900mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂微粒子分散液9を得た。
この乳化樹脂微粒子分散液9の粒径は体積平均粒径115nmであった。
【0119】
[比較例1;トナー10の製造]
実施例1の乳化樹脂微粒誌分散液1を以下のように作製する乳化樹脂微粒子分散液10に変更する以外は、実施例1と同様に作製し、トナー10を得た。
【0120】
〜乳化樹脂微粒子分散液10の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・・52部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・48部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸62部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(X)を得た。得られたポリエステル(X)のガラス転移温度は46℃、酸価は70mgKOH/gであった。
このポリエステル(X)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液900mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂微粒子分散液10を得た。
この乳化樹脂微粒子分散液10の粒径は体積平均粒径120nmであった。
【0121】
[比較例2;トナー11の製造]
乳化樹脂微粒誌分散液1を以下のように作製する乳化樹脂微粒子分散液11に変更する以外は同様に作製し、トナー11を得た。
【0122】
〜乳化樹脂微粒子分散液11の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・・・52部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・・48部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸36部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(11)を得た。得られたポリエステル(11)のガラス転移温度は45℃、酸価は40mgKOH/gであった。
このポリエステル(11)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液1200mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂微粒子分散液11を得た。
この乳化樹脂微粒子分散液11の粒径は体積平均粒径80nmであった。
【0123】
[比較例3;トナー12の製造]
実施例1の乳化樹脂微粒誌分散液1を以下のように作製する乳化樹脂微粒子分散液12に変更する以外は、実施例1と同様に作製し、トナー12を得た。
【0124】
〜乳化樹脂微粒子分散液12の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・・・82部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・・76部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸56部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(12)を得た。得られたポリエステル(12)のガラス転移温度は85℃、酸価は60mgKOH/gであった。
このポリエステル(12)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液2000mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂微粒子分散液12を得た。
この乳化樹脂微粒子分散液12の粒径は体積平均粒径20nmであった。
【0125】
[比較例4;トナー13の製造]
実施例1の乳化樹脂微粒誌分散液1を以下のように作製する乳化樹脂微粒子分散液13に変更する以外は、実施例1と同様に作製し、トナー13を得た。
【0126】
〜乳化樹脂微粒子分散液13の製造〜
温度計、撹拌機を備えたオートクレープ中に、
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物・・・・・562部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物・・・・・66部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物・・・・・59部
テレフタル酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143部
アジピン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126部、及び
ジブチルチンオキサイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸36部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(13)を得た。得られたポリエステル(13)のガラス転移温度は70℃、酸価は42mgKOH/gであった。
このポリエステル(13)200gをテトラヒドロフラン300gに室温で溶解させた。
次いで40重量%のKOH水溶液10gを加えた。
この混合物を攪拌しながら、室温で1%のノニオン界面活性剤(ノイゲンEM230D第1工業製薬(株)製)水溶液800mlを加えた。テトラヒドロフランを除去するため窒素フローをしながら65℃に昇温し、1時間保持した。これを室温に冷却し、乳化樹脂
この乳化樹脂微粒子分散液13の粒径は体積平均粒径200nmであった。
【0127】
[比較例5;トナー14の製造]
トナー製造の際に、添加する[プレポリマー1]の量を18部に変更した以外は、実施例1と同様に製造し、トナー14を得た。
実施例及び比較例の各トナーおよび使用した樹脂微粒子の特性を纏めて表1に示す。
【0128】
【表1-1】
【0129】
【表1-2】
【0130】
【表1-3】
【0131】
[トナーの特性測定方法]
(体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn))
トナーの体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Multisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。具体的にはガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用いて、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター製)を用いて測定を行なった。測定は装置が示す濃度が8±2%に成るように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
【0132】
(平均円形度)
トナーの平均円形度は、平均円形度SR=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)×100%で定義される。フロー式粒子像分析装置(「FPIA−3000」;シスメックス社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA−3000 Data Processing Program for FPIA version00−10)を用いて解析を行なった。具体的には、ガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.1〜0.5ml添加し、各トナー0.1〜0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(本多電子社製)で3分間分散処理した。前記分散液を前記FPIA−3000を用いて濃度を5000〜15000個/μlが得られるまでトナーの形状及び分布を測定した。本測定法は平均円形度の測定再現性の点から前記分散液濃度が5000〜15000個/μlにすることが重要である。前記分散液濃度を得るために前記分散液の条件、すなわち添加する界面活性剤量、トナー量を変更する必要がある。界面活性剤量は前述したトナー粒径の測定と同様にトナーの疎水性により必要量が異なり、多く添加すると泡によるノイズが発生し、少ないとトナーを十分にぬらすことができないため、分散が不十分となる。またトナー添加量は粒径のより異なり、小粒径の場合は少なく、また大粒径の場合は多くする必要があり、トナー粒径が3〜7μmの場合、トナー量を0.1〜0.5g添加することにより分散液濃度を5000〜15000個/μlにあわせることが可能となる。
【0133】
(造粒性評価)
上記、粒径(Dv)、粒度分布(Dv/Dn)、平均円形度について以下のように判定する。
Dv;
5.0〜5.4μmは◎、
4.7〜4.9μmおよび5.5〜5.7μmは○、
4.4〜4.6μmおよび5.8〜6.0μmは△、
それ以外の範囲は×、とする。
Dv/Dn;
1.00〜1.15は◎、
1.16〜1.20は○、
1.21〜1.25は△、
それ以外の範囲は×、とする。
平均円形度;
0.95〜0.96は◎、
0.93〜0.94および0.97〜0.98は○、
それ以外の範囲は×、とする。
【0134】
(定着性評価)
−低温定着性評価
上記で得られた二成分現像剤を(株)リコー社製複写機(Imagio Neo C355)で付着量4.0mg/cm
2、未定着画像を作成し、次に(株)リコー社製複写機(Imagio Neo C355)の定着装置(オイルレス方式)を改造したローラ温度を自由に設定できる外部定着機を用い、紙送りを120mm/secに固定し、100℃〜140℃まで温度を1℃ずつ変更した。この時、十分に溶融しきれずに未画像部に画像が再転写するオフセット現象について定着ローラ上および紙上を観察し、画像が再転写しない温度を低温側の非オフセット温度とした。このとき、非オフセットの温度が、
110℃未満ものを◎、
110℃以上120℃未満を○、
120℃以上130℃未満を△、
130℃以上を×、とした。
【0135】
(保存性評価)
上記トナー10gを200CCスクリューバイアルに秤量し、35℃/80%環境下に1ヶ月放置し、評価用トナーとした。評価用トナーを目開き75μ上に散布し、1分間振るって振るい上に残ったトナーの状態を観察した。
凝集したトナー多く散見されたものを×、
やや見られたものを△、
全く観察されなかったものを○、とした。
評価結果を表2に示す。
【0136】
【表2】
【0137】
上記結果から分かるように、実施例のトナーは、その程度には差はあるがそれぞれ良好な結果が得られた。