(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記現像装置で現像された画像を担持する前記感光体又は当該感光体から転写された画像を担持する転写ベルトにより構成される像担持体上に、前記濃度センサで検出可能な所定濃度のシェーディング補正用基準パターンを形成することを特徴とする請求項1の画像形成装置。
前記像担持体の主走査方向の所定位置に、前記濃度センサの主走査方向の位置情報の基準となるホームポジション検出手段を設けたことを特徴とする請求項2の画像形成装置。
前記処理装置は、前記濃度センサの主走査方向の位置情報を、前記駆動手段からの情報により算出する濃度センサ位置情報取得手段を有することを特徴とする請求項3の画像形成装置。
前記処理装置は、前記基準パターンの主走査方向の所定位置に検出濃度が不連続的に急変する指標部を形成し、前記濃度センサによる前記指標部の検出結果に基づいて前記濃度センサの主走査方向の位置を算出する第2の濃度センサ位置情報取得手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項の画像形成装置。
前記処理装置は、主走査方向で必要な分解能に対応した前記指標部を有する基準パターンを形成する基準パターン処理手段を有することを特徴とする請求項5の画像形成装置。
前記処理装置は、前記像担持体の副走査方向の移動速度と、前記濃度センサの主走査方向の移動速度とに基づいて、濃度センサの移動位置にかかわらず前記基準パターンが測定可能位置にあるように前記基準パターンを主走査方向に対して所定の角度で傾斜した傾斜方向に形成する第2の基準パターン処理手段を有することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項の画像形成装置。
前記像担持体の副走査方向に並んだ印刷領域相互間の非印刷領域に前記基準パターンを形成し、当該基準パターンを前記像担持体の移動中に前記濃度センサによって検出するようにしたことを特徴とする請求項2から7のいずれか1項の画像形成装置。
前記濃度センサを複数有し、そのうち少なくとも一つの濃度センサを主走査方向に移動可能な可動センサとし、他の濃度センサを固定センサとして画像濃度調整用としたことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより、一度説明した後ではその説明を省略する。
【0019】
本発明の実施形態に係る画像形成装置は、シェーディング補正用の濃度センサを、濃度センサ駆動機構により主走査方向に駆動することが特徴である。濃度センサを主走査方向に移動させながら、シェーディング補正のための濃度測定を行なうことで、同一のセンサで像担持体上の複数位置の濃度情報を連続的に測定することが出来る。
【0020】
(画像形成装置)
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1に示す画像形成装置1は、カラーレーザープリンタである。このカラーレーザープリンタの本体中央には、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kが設けられている。各作像部4Y,4M,4C,4Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
【0021】
具体的に、各作像部4Y,4M,4C,4Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6を有する。その他、各作像部4Y,4M,4C,4Kは、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8などを備える。なお、
図1では、ブラックの作像部4Kが備える感光体5、帯電装置6、現像装置7、クリーニング装置8のみに符号を付しており、その他の作像部4Y,4M,4Cにおいては符号を省略している。
【0022】
各作像部4Y,4M,4C,4Kの下方には、感光体5の表面を露光する露光装置(光走査装置)9が配設されている。露光装置9は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体5の表面へレーザー光Lbを照射するようになっている。
【0023】
また、各作像部4Y,4M,4C,4Kの上方には、転写装置3が配設されている。転写装置3は、中間転写体としての中間転写ベルト30と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ31と、二次転写手段としての二次転写ローラ36を備える。その他、転写装置3は、二次転写バックアップローラ32と、クリーニングバックアップローラ33と、テンションローラ34、ベルトクリーニング装置35を備える。
【0024】
中間転写ベルト30は、無端状のベルトであり、二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33及びテンションローラ34によって張架されている。ここでは、二次転写バックアップローラ32が回転駆動することによって、中間転写ベルト30は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するようになっている。
【0025】
4つの一次転写ローラ31は、それぞれ、各感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、各一次転写ローラ31には、図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が各一次転写ローラ31に印加されるようになっている。
【0026】
二次転写ローラ36は、二次転写バックアップローラ32との間で中間転写ベルト30を挟み込んで二次転写ニップを形成している。また、上記一次転写ローラ31と同様に、二次転写ローラ36にも図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ36に印加されるようになっている。
【0027】
ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードを有する。このベルトクリーニング装置35から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、図示しない廃トナー収容器の入り口部に接続されている。また転写ベルト30上を測定可能な位置に、後述する濃度センサ50が、図示しない支持部材や後述の濃度センサ駆動手段と共に配置されている。
【0028】
プリンタ本体の上部には、ボトル収容部2が設けられており、ボトル収容部2には、補給用のトナーを収容する4つのトナーボトル2Y,2M,2C,2Kが着脱可能に装着されている。各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kと上記各現像装置7との間には、図示しない補給路が設けてあり、この補給路を介して各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kから各現像装置7へトナーが補給されるようになっている。
【0029】
一方、プリンタ本体の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ10や、給紙トレイ10から用紙Pを搬出する給紙ローラ11等が設けてある。なお、記録媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等が含まれる。また、図示しないが、手差し給紙機構が設けてあってもよい。
【0030】
プリンタ本体内には、用紙Pを給紙トレイ10から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向上流側には、搬送タイミングを計って用紙Pを二次転写ニップへ搬送するタイミングローラとしての一対のタイミングローラ12が配設されている。
【0031】
また、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着トナー画像を定着するための定着装置20が配設されている。さらに、定着装置20よりも搬送路Rの用紙搬送方向下流側には、用紙を装置外へ排出するための一対の排紙ローラ13が設けられている。また、プリンタ本体の上面部には、装置外に排出された用紙をストックするための排紙トレイ14が設けてある。
【0032】
続いて、
図1を参照して、本実施形態に係るプリンタの基本的動作について説明する。作像動作が開始されると、各作像部4Y,4M,4C,4Kにおける各感光体5が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体5の表面が帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。
【0033】
帯電された各感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光Lbがそれぞれ照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0034】
また、作像動作が開始されると、二次転写バックアップローラ32が図の反時計回りに回転駆動し、中間転写ベルト30を図の矢印で示す方向に周回走行させる。また、各一次転写ローラ31に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ31と各感光体5との間の一次転写ニップN1において転写電界が形成される。
【0035】
その後、各感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色のトナー画像が一次転写ニップに達したときに、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、各感光体5上のトナー画像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。こうして、中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー画像が担持される。
【0036】
以下の説明において、「像担持体」の用語は、感光体5と中間転写ベルト30を含む概念で使用する。「像担持体」とは、光走査系によって作成された潜像を現像したトナー像を担持する機能を有する構成を指す。例えば感光体から紙などの印刷対象物へトナー像を転写する構成の画像形成装置であれば当該感光体自体が「像担持体」に相当する。また感光体から転写ベルトを介して印刷対象物へトナー像を転写する構成の画像形成装置であれば、感光体や転写ベルトが「像担持体」に相当する。
【0037】
図2に感光体5を拡大して示す。感光体5の周囲に、回転方向上流側から、クリーニング装置8、帯電ローラ、露光装置9のミラー9a、現像装置7が配設されている。現像装置7の現像ローラ7aによって感光体5上に形成されたトナー像が、感光体5と一次転写ローラ31との間の一次転写ニップNにおいて中間転写ベルト30に転写される。中間転写ベルト30に転写しきれなかった各感光体5上のトナーは、クリーニング装置8のクリーニングブレード8aによって除去される。そして、各感光体5の表面が図示しない除電装置によって除電され、表面電位が初期化される。
【0038】
プリンタの下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された用紙Pは、タイミングローラ12によって搬送が一旦停止される。
【0039】
その後、所定のタイミングでタイミングローラ12の回転駆動を開始し、中間転写ベルト30上のトナー画像が二次転写ニップN2に達するタイミングに合わせて、用紙Pを二次転写ニップN2へ搬送する。このとき、二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップN2に転写電界が形成されている。
【0040】
そして、この転写電界によって、中間転写ベルト30上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。また、このとき用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト30上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置35によって除去され、除去されたトナーは図示しない廃トナー収容器へと搬送されて回収される。
【0041】
その後、用紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー画像が当該用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
【0042】
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作である。本実施形態では
図1の構成を例に説明するが、本発明はこの構成の画像形成装置に限定されるものではない。画像形成装置としては
図1の構成以外にも、感光体5から印刷物へ画像を直接転写するものや、単色の現像装置のみを有するもの、2つ又は3つの作像部を使用して、2色又は3色の画像を形成したりするもの、逆に5つ以上の現像装置を有するものなど様々な装置が可能である。
【0043】
前記二次転写ローラ36は、
図3のようにバネ部材37と図示しない駆動手段によって、転写ベルト30と当接・離間可能に配設されている。これにより、後述する基準パターンのような印刷の必要がないトナー像は、転写されずに濃度センサ50の測定位置へ移動することが出来る。
【0044】
本発明の実施形態は、以下の各実施形態に示すように、少なくとも一つの濃度センサを主走査方向へ駆動させながら検知を行う。このため、シェーディング補正時の主走査方向の分解能を小さくして濃度変動を確実に抑えることが出来る。また、複数の濃度センサを用いると個々のセンサの出力値のバラツキを出力値調整手段によって調整処理する必要があるが、濃度センサを単一にするとそのような出力値調整処理も不要になる。
【0045】
一方、濃度センサを駆動しながら測定するので、センサの出力値とセンサの現在位置との相関を取ることが不可欠である。本発明の実施形態では、濃度センサ位置情報取得手段で取得した情報から光走査装置の駆動信号を補正することで、主走査方向の濃度変動を確実に抑えることが出来る。
【0046】
(第1実施形態)
以下、濃度センサを移動可能に配置した実施形態を、第1から第7実施形態まで順に説明する。
図4は第1実施形態を示すもので、像担持体として感光体5を例にしている。なお、以下の実施形態で感光体5に適用可能な構成は同様に中間転写ベルト30にも適用可能であり、またその反対も可能である。
【0047】
感光体5は左右1対の側板55、56に回転自在に支持され、図示しない駆動源によって駆動されるようになっている。当該感光体5の軸線と平行に、ネジを切った駆動軸60が側板55、56に回転自在に支持されている。この駆動軸60に濃度センサ50が取り付けられている。
【0048】
濃度センサ50は図示しない直線ガイド手段にスライド自在に係合され、駆動軸60の回転により駆動軸の長手方向に往復移動可能にされている。濃度センサ50は、後述するシェーディング補正処理手順に従って感光体5上に形成される基準パターンの濃度を測定する。
【0049】
駆動軸60の一端側に、濃度センサ50の駆動手段が配設されている。この駆動手段は、ステッピングモータ65とギヤ66、67で構成されている。ステッピングモータ65の回転軸にギヤ66が取り付けられ、駆動軸60の一端部にギヤ67が取り付けられている。
【0050】
ギヤ66と67が噛み合い、ステッピングモータ65の正転と逆転によって濃度センサ50が駆動軸60に沿って往復動するように構成されている。なお、濃度センサの駆動手段はこの方式に限らず、ベルト駆動によって濃度センサ50を移動させる方式や、特開2012−63560号公報に開示されているような、一方向の駆動源回転方向で往復運動が可能な構成を用いてもよい。
【0051】
一方の側板55に、感光体5の外周面の軸線方向延長線上にホームポジションマーク57が設けられている。このホームポジションマーク57は、ホームポジション検出手段を構成するもので、濃度センサ50の主走査方向の位置情報の精度を高めるためのものである。
【0052】
濃度センサ50がホームポジションマーク57の正面位置に到来して当該濃度センサ50がホームポジションマークの表面を測定すると、一定の出力値が出るように設定されている。これにより、濃度センサ50の出力値から当該センサ50がホームポジションマーク57の位置に到来したことが検知され、濃度センサ50の基準位置を正確に定めることが出来る。
【0053】
なお、ホームポジションマーク57は
図4のように感光体5の主走査方向外側に設置するほか、感光体5が画像形成装置の画像形成領域より大きい幅を有する場合、感光体5の幅内の画像形成領域外に設置してもよい。また、ホームポジションマーク57の代わりに、濃度センサ50の光路を遮蔽する光路遮蔽部を設け、濃度センサ50が基準位置にある場合に透過型フォトセンサの光路を当該光路遮蔽部で塞ぐことで、濃度センサ50の基準位置を検知するようにしてもよい。
【0054】
また本画像形成装置は、図示しない濃度センサ情報取得手段と光走査補正処理手段を有している。濃度センサ情報取得手段は、濃度センサ出力値取得手段と濃度センサ位置情報取得手段を有する。これら各手段は、後述の
図6のように画像形成装置に搭載された処理装置1000(走査制御装置)の記憶容量であるROM1200、RAM1300と、ROM1200に記憶されたプログラムをCPU1100で処理することで実現する。
【0055】
この第1実施形態では濃度センサ50の駆動源としてステッピングモータ65を使用しているが、当該駆動源は他の駆動源に代替することも可能である。例えば駆動源にDCモータを用い、このDCモータの軸上にロータリーエンコーダを配置する。そして濃度センサ情報取得手段が、ステッピングモータ65の回転量情報に代わって、ロータリーエンコーダの回転量情報を取得する構成としてもよい(濃度センサ位置情報取得手段)。
【0056】
(濃度センサ)
前記濃度センサ50としては、発光素子と受光素子を用いて光学的に検出するものが知られている。例えば、発光素子として発光ダイオード(LED)を、受光素子としてPD(フォトダイオード)又はPTr(フォトトランジスタ)を組み合わせた反射型フォトセンサが濃度センサ50として一般的に知られている。
【0057】
当該反射型フォトセンサの構成としては、
図5(a)に示すように、感光体5上に形成された基準パターン85(トナーパッチまたはトナーパターン)からの正反射光のみを検出するタイプ、
図5(b)に示すように、基準パターン85からの拡散反射光のみを検出するタイプ、
図5(c)に示すように、両者を検出するタイプ等がある。
図5(a)〜
図5(c)において、符号101A、101B、101Cは素子ホルダを、102はLEDを、103は正反射受光素子をそれぞれ示す。
【0058】
このような反射型フォトセンサは、使用するトナーの種類(黒トナー、カラートナー)や、使用する感光体5の地肌部の状態等により適宜選択される。例えば使用するトナーが黒トナーで感光体5の地肌部に対して正反射光の反射率の差が大きい場合は、
図5(a)に示す正反射光のみを検出するタイプでよいが、カラートナーの場合には感光体5の地肌部に対して正反射光の反射率の差が小さいため検出精度が落ちる。
【0059】
このため、カラートナーの場合は
図5(b)に示す拡散反射光を検出するタイプの方が好ましい。また、黒トナーとカラートナーの両方に対応するには、
図5(b)に示す拡散反射光を検出するタイプか、より好ましくは
図5(c)に示す正反射光と拡散反射光の両者を検出するタイプがよい。本形態に係る濃度センサ50は、光の入反射量の差で感光体5の表面状態を検知する光学式センサであり、
図5(c)に示すタイプを採用している。
【0060】
(処理装置)
画像形成装置は
図6の処理装置1000(走査制御装置)を搭載している。この処理装置(走査制御装置)1000は、前述したようにプログラム処理で実現される濃度センサ情報取得手段と光走査補正処理手段を有する。当該濃度センサ情報取得手段は、濃度センサ50の出力値情報、および駆動源であるステッピングモータ65の回転量情報を取得する。また、光走査補正処理手段は、後述するシェーディング補正処理手順に従って、露光装置9(光走査装置)の駆動信号を補正する。
【0061】
処理装置1000は、所定のタイミング毎に、各色のステーションで、主走査方向の濃度変動を抑制するための基準パターンから前記濃度センサ情報取得手段で得られた情報に基づいて、主走査方向の濃度変動を抑制するための発光パワー補正式を求める。そして、画像形成が行われる際に、各色のステーション毎に、前記光走査補正処理手段により発光パワー補正式を用いて光量補正信号を生成し、各発光部の駆動信号を補正する。
【0062】
(シェーディング補正処理)
本発明の実施形態におけるシェーディング補正処理は、
図7のフローのように実行される。シェーディング補正処理が開始されると、光走査装置は予め設定されたシェーディング補正用基準パターンを
図6のROM1200やRAM1300で実現される画像形成装置の記憶容量から読み込む。次に露光装置9は読み込んだ基準パターンに従って感光体5へ光を照射し、各色毎に潜像を形成する。当該潜像は現像装置7によって感光体5上へ現像される。なお、前記基準パターンは、所定均一濃度の基準白板の読取データから予め作成される。
【0063】
現像された基準パターンは、その後中間転写ベルト30上へ転写され、中間転写ベルト30を駆動することで濃度センサ50の測定位置まで移動する。基準パターンが当該測定位置まで移動したら中間転写ベルト30の駆動を停止し、濃度センサ50で基準パターンの画像濃度を測定する。
【0064】
濃度センサ情報取得手段は、測定された濃度情報と、ステッピングモータ65による回転量情報から算出される主走査方向の位置情報とを互いに関連付け、測定結果として取得する。最後に、光走査補正処理手段が当該測定結果に基づいて、光走査装置の駆動信号補正パターンを算出する。以降の作像は、この補正パターンを用いた光走査によって実行され、その結果、主走査方向の濃度変動を抑制することが出来る。
【0065】
図8は、本発明の第1実施形態によるシェーディング補正方法を説明する図である。
図7に示したフローにおいて、光走査補正処理部が光走査装置の駆動信号を補正することで、主走査方向の濃度変動を抑えることが出来る。
【0066】
以下、
図8を用いてその補正方法を説明する。
図8に示すように、濃度センサ50を濃度センサ駆動手段によって主走査方向へ移動しながら、感光体5上に作像された基準パターン85の濃度を濃度センサ50で連続的に測定する。濃度センサ50で測定された濃度情報は、濃度センサ情報取得手段によって取得される。
【0067】
濃度センサ情報取得手段は、同時に駆動源であるステッピングモータ65から回転量情報を取得する。ステッピングモータ65の回転量と濃度センサ50の移動量との関係は、あらかじめ測定されてROMに記憶されている。従って、ステッピングモータ65の回転量情報によって濃度センサ50の位置情報を推定することが出来る。
【0068】
そして、濃度情報と主走査方向の位置情報とを
図8(b)のグラフのように関連付ける。この濃度情報と主走査位置の関係から、光走査補正処理手段は
図8(c)のグラフのように光走査駆動信号を補正する。補正方法の原理は
図18に示した従来と同じである。
【0069】
ただし、本発明では単一のセンサ50が主走査方向に駆動しながら濃度を測定するため、
図18に示す従来方法と異なり、主走査方向の濃度情報を連続的に取得することが出来る。そのため
図19のように主走査方向のセンサ間で局所的な濃度変動が存在する場合でも、その情報を確実に検知することが出来る。
【0070】
また、同一の濃度センサ50で測定を行うためセンサ間のバラツキ対策(出力値調整手段)が不要であり、分解能に応じてセンサ数を増やす必要もないから、コストが増大することもない。
【0071】
図9は、本発明の第2実施形態に向けての課題について説明する図である。画像形成装置のなかには、
図9のように濃度検知センサを主走査方向へ複数個有するものがある。これは、機械の取り付け誤差や、現像器の構成によって、同じ画像形成条件でも、主走査方向位置で濃度が変動するためである。
【0072】
当該濃度変動は、経時や環境による機械の劣化やトナーの状態変化によっても生じる。この濃度変動を補正するため、感光体5上に所定の基準パターンを作成し、当該基準パターンを前記濃度検知センサ(画像濃度調整用センサ)で測定して画像形成条件(二成分現像におけるトナー濃度、現像バイアスなど)を変化させる。
【0073】
こうした目的で用いられる濃度検知センサには、
図5に示すセンサと同じ構成によるものが使われることが多い。そのため、こうした画像濃度調整用センサと、本発明の実施形態で使用する濃度センサ50は同一のセンサとすることが可能である。
【0074】
このようにセンサを兼用する場合、本発明の
図4の実施形態のような構成であれば、濃度センサ50を駆動することで主走査方向全域の基準パターンの濃度を測定出来る。従って、
図9の3つの濃度検知センサを単一のセンサへ統一することが可能である。
【0075】
一方で、画像形成装置のなかには画像形成条件を主走査方向に細かく調整することのできないものも多い。例えば複数センサによる濃度測定値の平均値が濃度目標値と一致するように、主走査方向の画像形成条件を一律に補正する画像形成装置が存在する。こうした画像形成装置における画像形成条件の補正では、
図9に示すように、3箇所程度の測定で十分な情報が取得出来ることも多い。
【0076】
その場合、濃度センサ駆動装置によるセンサ駆動速度には自ずと限界があるため、
図9の3つのセンサを1つに統一して
図4のような構成で駆動する場合、
図9のように複数センサを使用する場合に比べて測定時間の増大を招くという問題がある。
【0077】
一般に、画像形成条件の補正はシェーディング補正に比べて頻度が高い。このため、測定時間の増大はユーザが画像形成を行えない「お待たせ時間」となってしまう。この「お待たせ時間」は、例えば高速大量印刷を行うユーザ層などでは、コストより重大な問題となる場合がある。
【0078】
(第2実施形態)
前述した高速大量印刷の要求がある場合、画像形成装置を
図10のように構成してもよい。
図10の構成では、像担持体としての中間転写ベルト30の幅方向に、3つの濃度センサ51、52、53を配設している。
【0079】
そのうち2つのセンサ52、53は、中間転写ベルト30の幅方向に固定配置した支持部材70に取り付けられて位置が固定された固定センサである。もう1つのセンサ51は、濃度センサ駆動手段としての駆動軸60によって主走査方向に移動可能な可動センサである。
【0080】
駆動軸60は
図4に示したものと同じであり、モータやギヤは省略している。以降、移動可能な濃度センサを可動センサと呼称し、固定の濃度センサを固定センサと呼称する。また、可動センサと固定センサを総称する場合は単にセンサと呼称する。
【0081】
可動センサ51は、その移動時に他の2つの固定センサ52、53と干渉しないよう、副走査方向へずれた位置に配置されている。なお、この第2実施形態では副走査方向にずらして配置しているが、転写ベルト30の表面を測定可能であれば、可動センサ51を転写ベルト30から離間する高さ方向へずらすなど、他の構成を用いてもよい。
【0082】
こうした構成において、可動センサ51を
図10の位置で固定状態として測定を行えば、画像形成条件補正時のような主走査方向に細かい分解能を必要としない測定時には、短時間で測定を終えることが出来る。一方、シェーディング補正のように主走査方向に細かい分解能が必要とされる場合は、可動センサ51を移動させながら検知することで、
図8と同様の補正を行うことが可能になる。
【0083】
図10の構成ではセンサを複数用いるためコストメリットは低下するものの、ユーザの「お待たせ時間」を増大させることなく画像形成条件の補正が行え、シェーディング特性による主走査方向の濃度変動も確実に抑制することが出来る。なお
図10では3つのセンサ51〜53を用いる例を示したが、センサ51〜53の数は任意数に変更してもよいことは勿論である。
【0084】
(第3実施形態)
図10では可動センサ51を1つ使用したが、1つに限らず複数個用いてもよい。例えば
図11に示すように、3つのセンサ51〜53のうち2つのセンサ51、52を可動センサとしてもよい。
図11では2つのセンサ51、52のそれぞれが、濃度センサ駆動手段としてのネジを切った駆動軸61、62に取り付けられている。
【0085】
駆動軸61、62の端部に取り付けられたギヤ67、68に、ステッピングモータ65の回転軸に取り付けられたギヤ66が噛み合っている。従って、当該駆動軸61、62は、共通駆動源としてのステッピングモータ65からギヤ66〜68を介して駆動される。駆動軸61と62のネジはそれぞれ逆方向に切られているため、ステッピングモータ65が回転すると2つのセンサ51、52はそれぞれ逆方向へ移動する。
【0086】
このように可動センサ51、52の個数を増やすと、シェーディング補正時に2つの基準パターンを一度の駆動で測定することが可能になる。例えば複数色の現像装置を有する画像形成装置において、それぞれの可動センサ51、52の測定位置に異なる色の基準パターンを形成すれば、一度に2色分の情報を取得することができ、測定時間を短縮することが出来る。
【0087】
また
図11では各濃度センサ駆動手段の駆動軸61、62のネジを逆方向に切る構成を用いているが、特開2012−63560号公報に開示されているような、一方向の駆動源回転方向で往復運動が可能な構成を採用してもよい。このような構成では、駆動源の回転方向が一定であるが、それぞれのセンサを逆方向に移動することが出来る。
【0088】
(第4実施形態)
図12は、濃度センサ駆動手段を
図11のギヤ駆動からベルト駆動に変更した第4実施形態を示すものである。一つの固定センサ53は、
図10、
図11と同様に、支持部材70の中央部に取り付けられている。
【0089】
2つの可動センサ51、52は、
図12に示すようにガイドレール71、72上にスライド自在に配置されている。当該可動センサ51、52は、駆動源としてのステッピングモータ80で駆動される無端ベルト81に連結されている。
【0090】
ベルト81は複数の案内ローラ82によりガイドレール71、72に沿って矩形状に掛け渡されている。このように濃度センサ駆動手段はネジ付き駆動軸60、61、62による駆動に限らず、他の任意の駆動手段を採用することが出来る。
【0091】
(第5実施形態)
図13は第5実施形態を示すものである。
図4に示す第1実施形態では、駆動源のステッピングモータ65から得られる回転量の情報から、可動センサ50の位置情報を取得している。しかし、
図13のように、作像する基準パターン90自体に検出濃度が不連続的に急変する指標部90bを持たせることで、モータの回転量の情報なしに可動センサ50の位置情報を得ることも可能である(第2の濃度センサ位置情報取得手段)。
【0092】
ここでは、指標部90bを非画像部(隙間)で構成した不連続状の基準パターン90としている。このような基準パターン90を用いると、可動センサ50を主走査方向に駆動させながら得た出力値が、
図13(b)のグラフのように指標部90bで急激に小さくなる。
【0093】
画像部90aと指標部90bの境界となるような濃度センサ出力値の閾値は、予め測定して
図6の処理装置1000のROM1200等に格納しておく。可動センサ50による基準パターン90検出中に出力値が当該閾値を下回った回数を計測すれば、可動センサ50が現在主走査方向のどの画像部90aを測定しているかを判定することが出来る。
【0094】
このような構成で測定する場合、モータ65、80の回転量を取得する必要がなくなるため、駆動軸60の駆動源としてステッピングモータより一般的に安価なDCモータ等を用いることが出来る。そして、可動センサ50を基準位置へ移動する際に、こうした基準パターン90を転写ベルト30上の読取可能位置に形成するようにすれば、前述したホームポジションマーク57を不要化することも可能である。
【0095】
よって、第5実施形態によれば、第1実施形態に比べてさらに安価なシェーディング補正装置を実現することが出来る。また、指標部90bを非画像部(隙間)で構成することで、当該部分でのトナー使用量を節約する利点もある。
【0096】
前記指標部90bは、
図6の処理装置1000によって形成することが出来る。そして指標部90bの数は、処理装置1000の基準パターン処理手段により、例えば主走査方向のシェーディング補正に必要な濃度情報の分解能に応じて決定し、また指標部90bの間隔は例えば等間隔に作成することが出来る。
【0097】
(第6実施形態)
図8や
図13の実施形態に示す基準パターン85、90では、可動センサ50が主走査方向へ移動している間、像担持体としての感光体5や転写ベルト30の動作(副走査方向の移動)を停止させる必要がある。そのため、
図18の既存技術に比べて、像担持体の停止、再動作といった処理が増えてしまう。
【0098】
そこで、像担持体の副走査方向移動速度と、可動センサ50の主走査方向移動速度との関係に基づいて、シェーディング補正用の基準パターンを変更することが望ましい。この基準パターンの変更は、
図6の処理装置1000に基準パターン変更用の基準パターン処理手段を設けることで対応することが出来る。
【0099】
詳しくは、当該基準パターン処理手段は、
図6のROM1200に記録されたプログラムとCPU1100によって実現される。CPU1100に対して、像担持体の副走査方向移動速度と、可動センサ50の主走査方向移動速度が入力される。
【0100】
処理装置1000の第2の基準パターン処理手段は、この両速度に基づいて、
図14のように転写ベルト30が副走査方向に動作していても、常に基準パターン91が可動センサ50の測定可能位置にあるように、基準パターン91を主走査方向に対して所定の角度θで傾斜した傾斜方向に形成する。
【0101】
これにより、像担持体としての転写ベルト30を停止させることなく、主走査方向に連続移動させながら、シェーディング補正処理を行う事が出来る。なお、作成する基準パターン91は、
図13のように、所定箇所に指標部90bないし非画像部を有する不連続状の基準パターンとしてもよい。
【0102】
図15は、本発明の前記第6実施形態(
図14)のシェーディング補正手順について説明するフロー図である。基準パターン処理手段を用いて
図14のような傾斜状の基準パターン91を作成する場合、シェーディング補正手順は例えば
図15のようになる。
【0103】
図15のフローでは、シェーディング補正が開始されると、まずステップS1とS2において、基準パターン処理手段が像担持体の速度情報と、可動センサ50の移動速度情報を取得する。これらの情報は通常固定値であるから画像形成装置のROM1200、RAM1300にあらかじめ記録しておけばよい。
【0104】
また、像担持体の速度が可変である画像形成装置では、速度を変更する度にRAM1300へその速度情報を記録し、これを取得するようにすればよい。基準パターン処理手段は取得した各速度情報をもとに、作成する基準パターンを算出する。以降のステップS3〜S8は、
図7のステップS1〜S6と同様の処理を行う。
【0105】
(第7実施形態)
基準パターン処理手段を用いて
図14のような基準パターン91を形成する構成では、測定時に像担持体を停止する必要がない。このため、
図16のように、画像形成装置による印刷領域92の印刷中に、非印刷領域93を用いてシェーディング補正処理を実行することも可能である。
【0106】
また、印刷中に、濃度センサ50を主走査方向に移動させて、その移動中に必要であればシェーディング補正処理を実行しながら、濃度センサを主走査方向の最初の基準位置に戻すことも可能である。これによりユーザの「お待たせ時間」を短縮化することが出来る。
【0107】
図16のように、非印刷領域93でシェーディング補正を行う際の手順は、
図17のフロー図のようになる。左側(a)のフロー図が全体フローを示し、右側(b)のフロー図がシェーディング補正処理の詳細を示す。
【0108】
左側(a)のフロー図のステップS1で印刷が開始されると、ステップS2でまずシェーディング補正が必要かどうかを判断する。シェーディング補正が必要と判断される場合は、例えば、1)初回起動時、2)温湿度が前回より所定値以上変化したとき、3)前回シェーディング補正から所定時間以上経過したとき、4)前回シェーディング補正から所定枚数以上印刷したとき、5)ユーザがシェーディング補正を指示したとき等である。
【0109】
これらの1)〜5)の条件は、あらかじめROM1200やRAM1300に記録しておく。そしてCPU1100で解釈されるプログラムによって、シェーディング補正の要否判断を行う。また各条件は、画像形成装置の使用環境に応じて、任意に設定すればよい。シェーディング補正が不要と判断された場合は、ステップS4でそのまま印刷を行い、ステップS5を経由して、印刷が終了するまでこの処理を繰り返す。
【0110】
一方、シェーディング補正が必要と判断された場合、ステップS3でシェーディング補正処理を実行する。このシェーディング補正処理は、
図17(b)に示すように、基本的に
図15のフローと同じであるが、基準パターン作像前に、ステップS4で非印刷領域か否かの判断を行う。そして、非印刷領域が到来した場合に、ステップS5以降のフローを実行する。
【0111】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。