(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
環状アンモニウムヒドロキシドが、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムヒドロキシド、1−プロピル−1−メチルピロリジニウムヒドロキシド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムヒドロキシド、1−プロピル−1−メチルピペリジニウムヒドロキシド、メピクアトヒドロキシドから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の現像液。
前記化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂としての高分子化合物が、酸不安定基を有する繰り返し単位、及びヒドロキシ基及び/又はラクトン環の密着性基を有する繰り返し単位を含むものであることを特徴とする請求項4に記載のパターン形成方法。
化学増幅ポジ型レジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、高エネルギー線で露光する工程と、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
前記高エネルギー線が、波長248nmのKrFエキシマレーザー、波長193nmのArFエキシマレーザー、電子ビーム、又は波長3〜15nmの範囲の軟X線であることを特徴とする請求項9に記載のパターン形成方法。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。特にフラッシュメモリー市場の拡大と記憶容量の増大化が微細化を牽引している。最先端の微細化技術としては、ArFリソグラフィーによる65nmノードのデバイスの量産が行われており、次世代のArF液浸リソグラフィーによる45nmノードの量産準備が進行中である。次世代の32nmノードとしては、水よりも高屈折率の液体と高屈折率レンズ、高屈折率レジスト膜を組み合わせた超高NAレンズによる液浸リソグラフィー、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィー、ArFリソグラフィーの2重露光(ダブルパターニングリソグラフィー)などが候補であり、検討が進められている。
【0003】
電子ビーム(EB)やX線などの非常に短波長な高エネルギー線においてはレジスト材料に用いられている炭化水素のような軽元素は吸収がほとんどなく、ポリヒドロキシスチレンベースのレジスト材料が検討されている。
EB用レジスト材料は、実用的にはマスク描画用途に用いられてきた。近年、マスク製作技術が問題視されるようになってきた。露光に用いられる光がg線の時代から縮小投影露光装置が用いられており、その縮小倍率は1/5であったが、チップサイズの拡大と、投影レンズの大口径化と共に1/4倍率が用いられるようになってきたため、マスクの寸法ズレがウエハー上のパターンの寸法変化に与える影響が問題になっている。パターンの微細化と共に、マスクの寸法ズレの値よりもウエハー上の寸法ズレの方が大きくなってきていることが指摘されている。マスク寸法変化を分母、ウエハー上の寸法変化を分子として計算されたMask Error Enhancement Factor(MEEF)が求められている。45nm級のパターンでは、MEEFが4を超えることも珍しくない。縮小倍率が1/4でMEEFが4であれば、マスク製作において実質等倍マスクと同等の精度が必要であることが言える。
【0004】
マスク製作用露光装置は線幅の精度を上げるため、レーザービームによる露光装置から電子ビーム(EB)による露光装置が用いられてきた。更にEBの電子銃における加速電圧を上げることによってより一層の微細化が可能になることから、10keVから30keV、最近は50keVが主流であり、100keVの検討も進められている。
【0005】
ここで、加速電圧の上昇と共に、レジスト膜の低感度化が問題になってきた。加速電圧が向上すると、レジスト膜内での前方散乱の影響が小さくなるため、電子描画エネルギーのコントラストが向上して解像度や寸法制御性が向上するが、レジスト膜内を素抜けの状態で電子が通過するため、レジスト膜の感度が低下する。マスク露光機は直描の一筆書きで露光するため、レジスト膜の感度低下は生産性の低下につながり好ましいことではない。高感度化の要求から、化学増幅型レジスト材料が検討されている。
【0006】
マスク製作用EBリソグラフィーのパターンの微細化と共に、高アスペクト比による現像時のパターン倒れ防止のためにレジスト膜の薄膜化が進行している。光リソグラフィーの場合、レジスト膜の薄膜化が解像力向上に大きく寄与している。これはCMPなどの導入により、デバイスの平坦化が進行したためである。マスク作製の場合、基板は平坦であり、加工すべき基板(例えばCr、MoSi、SiO
2)の膜厚は遮光率や位相差制御のために決まってしまっている。薄膜化するためにはレジスト膜のドライエッチング耐性を向上させる必要がある。
【0007】
ここで、一般的にはレジスト膜の炭素の密度とドライエッチング耐性について相関があるといわれている。吸収の影響を受けないEB描画においては、エッチング耐性に優れるノボラックポリマーをベースとしたレジスト材料が開発されている。
特許第3865048号公報(特許文献1)に示されるインデン共重合、特開2006−169302号公報(特許文献2)に示されるアセナフチレン共重合は炭素密度が高いだけでなく、シクロオレフィン構造による剛直な主鎖構造によってエッチング耐性の向上が示されている。
【0008】
波長5〜20nmの軟X線(EUV)露光において、炭素原子の吸収が少ないことが報告されている。炭素密度を上げることがドライエッチング耐性の向上だけでなく、軟X線波長領域における透過率向上にも効果的である。
微細化の進行と共に、酸の拡散による像のぼけが問題になっている。寸法サイズ45nm以降の微細パターンでの解像性を確保するためには、従来提案されている溶解コントラストの向上だけでなく、酸拡散の制御が重要であることが提案されている。しかしながら、化学増幅型レジスト材料は、酸の拡散によって感度とコントラストを上げているため、ポストエクスポージャベーク(PEB)温度や時間を短くして酸拡散を極限まで抑えようとすると感度とコントラストが著しく低下する。酸不安定基の種類と酸拡散距離とは密接な関係があり、極めて短い酸拡散距離で脱保護反応が進行する酸不安定基の開発が望まれている。
【0009】
感度とエッジラフネスと解像度のトレードオフの関係が報告されている。感度を上げるとエッジラフネスと解像度が劣化し、酸拡散を抑えると解像度が向上するがエッジラフネスと感度が低下する。
バルキーな酸が発生する酸発生剤を添加して酸拡散を抑えることは有効であるが、前述の通りエッジラフネスと感度が低下する。そこで、ポリマーに重合性オレフィンを有するオニウム塩の酸発生剤を共重合することが提案されている。特開平4−230645号公報(特許文献3)、特開2005−84365号公報(特許文献4)、特開2006−45311号公報(特許文献5)には、特定のスルホン酸が発生する重合性オレフィンを有するスルホニウム塩、ヨードニウム塩が提案されている。重合性の酸発生剤を共重合したベースポリマーを用いたフォトレジストは、酸拡散が小さくかつ酸発生剤がポリマー内に均一分散しているためにエッジラフネスも小さく、解像度とエッジラフネスの両方の特性を同時に向上させることができる。
【0010】
EUVリソグラフィーにおいて、パターン倒れが深刻な問題となっている。現像液中の膨潤がパターン倒れを引き起こしていると考えられており、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液中での膨潤を低減させるためにテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)水溶液の現像液が検討されているが、16nm以降のパターン形成においてはまだ不十分であり、更なる現像液による膨潤を防ぐことができる現像液の開発が望まれている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、感光性レジスト材料、特に酸によってアルカリ溶解性が向上するベース樹脂を有するポジ型レジスト材料に、環状アンモニウムヒドロキシドを0.1〜20質量%含有する水溶液の現像液を適用することによってパターンの倒れやブリッジ欠陥の発生を抑えることができる現像液及びこれを用いたパターン形成方法を提案する。
【0017】
即ち、本発明は、特には酸によってアルカリ溶解性が向上する高分子化合物をベース樹脂とする化学増幅ポジ型レジスト材料に、下記一般式(1)で示される環状アンモニウムヒドロキシドを0.1〜20質量%含有する水溶液の現像液を適用する。
【化5】
(式中、R
1、R
2は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数2〜10のアルケニル基もしくはアルキニル基であり、R
3はメチレン基、エチレン基、−O−CH
2−、−S−CH
2−、又は−NH−CH
2−である。)
【0018】
上記一般式(1)で示される環状アンモニウムヒドロキシドは、具体的には下記に例示することができる。
【化6】
【0019】
これらの中で、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムヒドロキシド、1−プロピル−1−メチルピロリジニウムヒドロキシド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムヒドロキシド、1−プロピル−1−メチルピペリジニウムヒドロキシド、メピクアトヒドロキシドが最も好ましく用いることができる。
【0020】
一般式(1)で示される環状アンモニウムの4級アンモニウムのアニオンが塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子の場合は、イオン交換によってヒドロキシ基に変換する。
【0021】
ここで、一般的にはアルカリ水による現像液にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)が用いられている。以前には水酸化カリウムが用いられていたこともあったが、アルカリ金属がデバイス動作に悪影響を与えることが判明し、4級アンモニウムのヒドロキシ塩が用いられた。4級アンモニウム塩は前述のTMAH以外には、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド(以下、コリンという)、テトラエタノールアンモニウムヒドロキシド、メチルトリエタノールアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。
【0022】
TMAH水溶液の現像液は広く一般的に用いられているが、特に脱保護後にカルボン酸が発生するポリメタクリレート系レジストに適用した場合、膨潤によるパターン倒れが発生するという問題を有している。このため、アルキル基の鎖長を長くしたテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)が検討されている。アルキル基が長くなることによって分子量が増大し、現像液のレジスト膜への浸透が減少し、膨潤が低減してパターン倒れが改善される。しかしながら、パターンサイズ20nm以下のラインパターンを形成しようとする場合、TBAH現像液を用いても十分にパターン倒れを防ぐことができない。
【0023】
本発明の環状のアルキルアンモニウムヒドロキシド水溶液の現像液を用いると、鎖状のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを用いた場合よりも現像液中の膨潤を低減することによってパターン倒れやブリッジ欠陥を抑えることができる。環状のアルキルアンモニウムヒドロキシドの水溶液中の割合は、0.1〜20質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜8質量%、更に好ましくは1.0〜7質量%である。
【0024】
本発明の置換又は非置換の環状のアルキルアンモニウムヒドロキシド水溶液類に加えて、下記一般式(AA−1)で示されるアセチレンアルコールを0.0001〜5質量%含有することもできる。
【化7】
(式中、R
4〜R
7は互いに同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基を示し、R
8、R
9は互いに同一又は異種の炭素数1〜10のアルキレン基を示し、a及びbはそれぞれa+b=0〜60となる整数である。)
【0025】
なお、アセチレンアルコールとしては市販品を使用することができ、かかる市販品としては、日信化学工業(株)製サーフィノール104シリーズ、400シリーズ等が挙げられる。
【0026】
アセチレンアルコールの割合は、水溶液中0.0001〜5質量%であり、好ましくは0.001〜3質量%であり、更に好ましくは0.01〜1質量%である。アセチレンアルコールは消泡性と界面活性効果の両方の効果を併せ持つ。現像液中にマイクロバブルが存在すると、バブルがレジスト表面に接触した部分が現像されないために現像欠陥となる。マイクロバブルを発生させないために消泡剤が必要である。水は表面張力が高いためにレジスト表面に濡れにくい。レジスト表面に濡れ易くするために表面張力を低下させる必要があり、界面活性剤の添加は効果的である。しかしながら、一般的な界面活性剤の添加は表面張力を低下させるが泡立ち易くなる。泡立ちを抑えてかつ表面張力を低くすることができるのがアセチレンアルコールである。
【0027】
本発明のパターン形成方法に用いるフォトレジスト材料は好適には化学増幅ポジ型レジスト材料であり、下記一般式(2)で示されるカルボキシル基又はフェノール基の水酸基の水素原子が酸不安定基で置換されている繰り返し単位a1及び/又はa2を有していることが好ましい。
【化8】
(式中、R
10、R
12はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
11、R
13は酸不安定基を表す。Y
1は単結合、エステル基,ラクトン環,フェニレン基又はナフチレン基のいずれか1種又は2種以上を有する炭素数1〜12の2価の連結基、フェニレン基、又はナフチレン基である。Y
2は単結合、エステル基、又はアミド基である。0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0<a1+a2<1.0である。)
【0028】
本発明に係る高分子化合物に含まれる繰り返し単位のうち、上記一般式(2)中の繰り返し単位a1で表される酸不安定基を有する繰り返し単位は、カルボキシル基、特には(メタ)アクリレートの水酸基の水素原子を置換したものであり、これを得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化9】
(式中、R
10は水素原子又はメチル基を表し、R
11は酸不安定基を表す。)
【0029】
上記一般式(2)中の繰り返し単位a2で表される酸不安定基を有する繰り返し単位は、フェノール性水酸基、好ましくはヒドロキシスチレン、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートの水酸基の水素原子を置換したものであり、これを得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化10】
(式中、R
12は水素原子又はメチル基を表し、R
13は酸不安定基を表す。)
【0030】
R
11、R
13で示される酸不安定基は種々選定されるが、同一でも異なっていてもよく、特に下記一般式(A−1)〜(A−3)で示される置換基が挙げられる。
【化11】
【0031】
式(A−1)において、R
30は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は式(A−3)で示される基を示し、3級アルキル基として具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、トリアルキルシリル基として具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられ、オキソアルキル基として具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。A1は0〜6の整数である。
【0032】
式(A−2)において、R
31、R
32は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。R
33は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0034】
R
31とR
32、R
31とR
33、R
32とR
33とは結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するR
31、R
32、R
33はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、好ましくは環の炭素数は3〜10、特に4〜10である。
【0035】
上記式(A−1)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0036】
更に、下記式(A−1)−1〜(A−1)−10で示される置換基を挙げることもできる。
【化13】
【0037】
ここで、R
37は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基、R
38は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基である。
また、R
39は互いに同一又は異種の炭素数2〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
A1は上記の通りである。
【0038】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、下記式(A−2)−1〜(A−2)−69のものを例示することができる。
【化14】
【0042】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
【0043】
また、下記式(A−2a)あるいは(A−2b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化18】
【0044】
式中、R
40、R
41は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R
40とR
41は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するR
40、R
41は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R
42は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、B1、D1は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、C1は1〜7の整数である。Aは、(C1+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
この場合、好ましくは、Aは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、C1は好ましくは1〜3の整数である。
【0045】
上記式(A−2a)、(A−2b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(A−2)−70〜(A−2)−77のものが挙げられる。
【化19】
【0046】
次に、上記式(A−3)においてR
34、R
35、R
36は、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、R
34とR
35、R
34とR
36、R
35とR
36とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に、炭素数3〜20の脂環を形成してもよい。
式(A−3)で示される3級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
【0047】
また、3級アルキル基としては、下記に示す式(A−3)−1〜(A−3)−18を具体的に挙げることもできる。
【化20】
【0048】
式(A−3)−1〜(A−3)−18中、R
43は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。R
44、R
46は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R
45は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。
【0049】
更に、下記式(A−3)−19、(A−3)−20に示すように、2価以上のアルキレン基、アリーレン基であるR
47を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。
【化21】
【0050】
上記式(A−3)−19、(A−3)−20中、R
43は前述と同様、R
47は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、又はフェニレン基等のアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。E1は1〜3の整数である。
【0051】
特に式(A−3)の酸不安定基としては、繰り返し単位a1として下記式(A−3)−21に示されるエキソ体構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位が好ましく挙げられる。
【化22】
(式中、R
10、a1は前述の通り、R
c3は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R
c4〜R
c9及びR
c12、R
c13はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示し、R
c10、R
c11は水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示す。R
c4とR
c5、R
c6とR
c8、R
c6とR
c9、R
c7とR
c9、R
c7とR
c13、R
c8とR
c12、R
c10とR
c11又はR
c11とR
c12は互いに環を形成していてもよく、その場合には環の形成に関与する基は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。またR
c4とR
c13、R
c10とR
c13又はR
c6とR
c8は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0052】
ここで、式(A−3)−21に示すエキソ構造を有する繰り返し単位を得るためのエステル体のモノマーとしては特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0054】
次に、式(A−3)に示される酸不安定基としては、繰り返し単位a1として下記式(A−3)−22に示されるフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの酸不安定基を挙げることができる。
【化24】
(式中、R
10、a1は前述の通りである。R
c14、R
c15はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。又は、R
c14、R
c15は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R
c16はフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基から選ばれる2価の基を示す。R
c17は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
【0055】
フランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基で置換された繰り返し単位を得るためのモノマーは下記に例示される。なお、Acはアセチル基、Meはメチル基を示す。
【0058】
繰り返し単位a1の酸不安定基R
11としては、下記一般式(A−3)−23で示されるものであってもよい。
【化27】
(式中、R
23-1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。m23は1〜4の整数である。)
【0059】
式(A−3)−23で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化28】
【0060】
繰り返し単位a1の酸不安定基R
11は、下記一般式(A−3)−24で示される酸不安定基であってもよい。
【化29】
(式中、R
24-1、R
24-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは水素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、又は炭素数6〜10のアリール基である。R
24-3、R
24-4、R
24-5、R
24-6は水素原子、あるいはR
24-3とR
24-4、R
24-4とR
24-5、R
24-5とR
24-6が結合してベンゼン環を形成してもよい。m24、n24は1〜4の整数である。)
【0061】
式(A−3)−24で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化30】
【0064】
繰り返し単位a1の酸不安定基R
11は、下記一般式(A−3)−25で示される酸不安定基であってもよい。
【化33】
(式中、R
25-1は同一又は異種で、水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、m25が2以上の場合、R
25-1同士が結合して炭素数2〜8の非芳香環を形成してもよく、円は炭素C
AとC
Bとのエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基から選ばれる結合を表し、R
25-2は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは式(A−3)−24のRと同様の意味を示す。円がエチレン基、プロピレン基のとき、R
25-1が水素原子となることはない。m25、n25は1〜4の整数である。)
【0065】
式(A−3)−25で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化34】
【0070】
繰り返し単位a1の酸不安定基R
11は、下記一般式(A−3)−26で示される酸不安定基であってもよい。
【化39】
(式中、R
26-1、R
26-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは式(A−3)−24のRと同様の意味を示す。m26、n26は1〜4の整数である。)
【0071】
式(A−3)−26で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化40】
【0073】
繰り返し単位a1の酸不安定基R
11は、下記一般式(A−3)−27で示される酸不安定基であってもよい。
【化42】
(式中、R
27-1、R
27-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは式(A−3)−24のRと同様の意味を示す。m27、n27は1〜4の整数である。Jはメチレン基、エチレン基、ビニレン基、又は−CH
2−S−である。)
【0074】
式(A−3)−27で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化43】
【0077】
繰り返し単位a1の酸不安定基R
11は、下記一般式(A−3)−28で示される酸不安定基であってもよい。
【化46】
(式中、R
28-1、R
28-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは式(A−3)−24のRと同様の意味を示す。m28、n28は1〜4の整数である。Kはカルボニル基、エーテル基、スルフィド基、−S(=O)−、又は−S(=O)
2−である。)
【0078】
式(A−3)−28で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化47】
【0083】
更には、酸発生剤として下記一般式(3)で示されるスルホニウム塩を持ついずれかの繰り返し単位b1〜b3を共重合していることが好ましい。このような酸発生剤をポリマー主鎖にバインドしているポリマーをベース樹脂としたレジスト材料は、現像後のパターンのエッジラフネス(LWR)が小さいメリットがある。
【0084】
【化52】
(式中、R
020、R
024、R
028は水素原子又はメチル基、R
021は単結合、フェニレン基、−O−R
033−、又は−C(=O)−Y−R
033−である。Yは酸素原子又はNH、R
033は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R
022、R
023、R
025、R
026、R
027、R
029、R
030、R
031は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。A
1は単結合、−A
0−C(=O)−O−、−A
0−O−又は−A
0−O−C(=O)−であり、A
0は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよい。A
2は水素原子又はCF
3基又はカルボニル基である。Z
1は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R
032−、又は−C(=O)−Z
2−R
032−である。Z
2は酸素原子又はNH、R
032は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M
-は非求核性対向イオンを表す。0≦b1≦0.3、0≦b2≦0.3、0≦b3≦0.3、0≦b1+b2+b3≦0.3である。)
【0085】
上記一般式(3)中のスルホニウム塩を有する繰り返し単位b1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化53】
(式中、M
-は非求核性対向イオンを表す。)
【0086】
M
-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸を挙げることができる。
【0087】
更には、下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα,β位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【化54】
【0088】
一般式(K−1)中、R
102は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環、又はフッ素原子を有していてもよい。
一般式(K−2)中、R
103は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよい。
【0089】
上記一般式(3)中のスルホニウム塩を有する繰り返し単位b2を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化55】
【0094】
上記一般式(3)中のスルホニウム塩を有する繰り返し単位b3を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化60】
【0096】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料の高分子化合物のベース樹脂としては、酸不安定基を有する繰り返し単位、特に酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する繰り返し単位a1及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有する繰り返し単位a2を含み、場合によっては主鎖に結合したスルホン酸のスルホニウム塩の酸発生剤を有する繰り返し単位b1〜b3のいずれかとを共重合したポリマーを使用することを特徴とするが、更に、酸不安定基を有する繰り返し単位a1及び/又はa2に加えて、密着性基としてフェノール性水酸基を有する繰り返し単位cを共重合することができる。
【0097】
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位cを得るためのモノマーは、具体的には下記に示すことができる。
【化62】
【0103】
更には他の密着性基として、上記ヒドロキシ基を有する繰り返し単位以外のヒドロキシ基を持つ繰り返し単位、及びカルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−G−(Gは硫黄原子又はNHである)、特にラクトン環を密着性基とする繰り返し単位dを共重合することができる。dを得るためのモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。
【0111】
ヒドロキシ基を有するモノマーの場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基などの酸によって脱保護し易いアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0112】
更に、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン及びこれらの誘導体eを共重合することもでき、具体的には下記に例示することができる。
【0114】
上記繰り返し単位以外に共重合できる繰り返し単位fとしては、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、メチレンインダンなどが挙げられる。
【0115】
本発明のパターン形成方法に用いるレジストポリマーに用いられるa1、a2、b1、b2、b3、c、d、e、fの共重合比率は、
0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0<a1+a2<1.0、
0≦b1≦0.3、0≦b2≦0.3、0≦b3≦0.3、0≦b1+b2+b3≦0.3、
0≦c<1.0、0≦d<1.0、0<c+d<1.0、0≦e<1.0、0≦f<1.0、
0.7≦a1+a2+b1+b2+b3+c+d≦1.0であり、
好ましくは
0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0.1≦a1+a2≦0.8、
0≦b1≦0.3、0≦b2≦0.3、0≦b3≦0.3、0≦b1+b2+b3≦0.3、
0≦c≦0.8、0≦d≦0.8、0.2≦c+d≦0.9、0≦e≦0.5、0≦f≦0.5、
0.8≦a1+a2+b1+b2+b3+c+d≦1.0であり、
更に好ましくは
0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0.1≦a1+a2≦0.7、
0≦b1≦0.3、0≦b2≦0.3、0≦b3≦0.3、0.02≦b1+b2+b3≦0.3、
0≦c≦0.7、0≦d≦0.7、0.28≦c+d≦0.88、0≦e≦0.4、0≦f≦0.4、
0.85≦a1+a2+b1+b2+b3+c+d≦1.0である。
また、a1+a2+b1+b2+b3+c+d+e+f=1.0である。
【0116】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては、例えば繰り返し単位a1及び/又はa2、及び必要に応じb1、b2、b3、c、d、e、fに対応するモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加え加熱重合を行い、共重合体の高分子化合物を得ることができる。
【0117】
重合時に使用する有機溶剤としてはトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。
【0118】
ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンの代わりにアセトキシスチレン、アセトキシビニルナフタレンを用い、重合後上記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシポリビニルナフタレンにする方法もある。
【0119】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0120】
レジスト材料に用いられる高分子化合物は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、好ましくは2,000〜30,000であるのが望ましい。重量平均分子量が1,000以上であれば、レジスト材料が耐熱性に優れるものとなり、500,000以下であれば、アルカリ溶解性が低下することもなく、パターン形成後に裾引き現象が生じることもない。
【0121】
更に、レジスト材料に用いられる高分子化合物においては、多成分共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりする。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0122】
ここに示される高分子化合物は、特にポジ型レジスト材料のベース樹脂として好適で、このような高分子化合物をベース樹脂とし、これに有機溶剤、酸発生剤、溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤、アセチレンアルコール等を目的に応じ適宜組み合わせて配合してポジ型レジスト材料を構成することによって、露光部では前記高分子化合物が触媒反応により現像液に対する溶解速度が加速されるので、極めて高感度のポジ型レジスト材料とすることができ、レジスト膜の溶解コントラスト及び解像性が高く、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、より優れたエッチング耐性を示し、特に酸拡散を抑制できることから粗密寸法差が小さく、これらのことから実用性が高く、特に超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることができる。特に、酸発生剤を含有させ、酸触媒反応を利用した化学増幅ポジ型レジスト材料とすると、より高感度のものとすることができると共に、諸特性が一層優れたものとなり極めて有用なものとなる。
【0123】
本発明のパターン形成方法に用いられるポジ型レジスト材料には、本発明のパターン形成方法に用いる化学増幅ポジ型レジスト材料を機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。なお、ベース樹脂として上述した繰り返し単位b1〜b3を共重合した高分子化合物を用いた場合、酸発生剤の配合を省略し得る。
【0124】
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられ、塩基性化合物としては段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物を挙げることができ、界面活性剤は段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載されている。特開2008−239918号公報に記載のポリマー型のクエンチャーを添加することもできる。このものは、コート後のレジスト表面に配向することによってパターン後のレジスト膜の矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0125】
なお、酸発生剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し0.01〜100質量部、特に0.1〜80質量部とすることが好ましく、有機溶剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し50〜10,000質量部、特に100〜5,000質量部であることが好ましい。また、ベース樹脂100質量部に対し、溶解制御剤は0〜50質量部、特に0〜40質量部、塩基性化合物は0〜100質量部、特に0.001〜50質量部、界面活性剤は0〜10質量部、特に0.0001〜5質量部の配合量とすることが好ましい。
【0126】
本発明のパターン形成方法に用いられるポジ型レジスト材料には、例えば有機溶剤と、一般式(2)で示される酸脱離基を有する高分子化合物と、酸発生剤、塩基性化合物を含む化学増幅ポジ型レジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、特に限定されないが公知のリソグラフィー技術を適用することができる。
【0127】
例えば、本発明のポジ型レジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si、SiO
2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi、SiO
2等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.1〜2.0μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間プリベークする。次いで、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線、真空紫外線(軟X線)等の高エネルギー線から選ばれる光源で目的とするパターンを所定のマスクを通じてもしくは直接露光を行う。露光量は1〜200mJ/cm
2程度、好ましくは10〜100mJ/cm
2、又は0.1〜100μC/cm
2程度、好ましくは0.5〜50μC/cm
2となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0128】
次に、本発明の環状アンモニウムヒドロキシド水溶液で現像を行う。現像時間は1〜300秒、好ましくは3〜100秒、温度は0〜30℃、好ましくは5〜25℃の範囲である。
【0129】
現像後のリンスは、通常純水を用いてその後スピンドライによって乾燥を行うが、界面活性剤入りリンスを行うこともできる。界面活性剤入りリンスを行うことによって、スピンドライ時のパターンの応力が低減し、パターン倒れが低減する。純水を超臨界二酸化炭素に置き換え、固体の二酸化炭素から液体状態を経ることなくこれを蒸発させることもできる。この場合、表面張力が全くない状態で乾燥を行うので、パターン倒れがほとんど発生しなくなる。但し、高圧の超臨界状態にするための特別なチャンバーが必要であり、スループットの低下が顕著である。
【実施例】
【0130】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
【0131】
[実施例及び比較例]
(現像液の調製)
表1に示される組成で現像液1〜6を調製した。
【化76】
【0132】
【表1】
【0133】
【化77】
【0134】
(レジスト材料の調製)
EUV評価
通常のラジカル重合で得られた下記レジスト用ポリマーを用いて、表2に示される組成で溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してポジ型レジスト材料を調製した。
得られたポジ型レジスト材料を直径4インチφのSi基板上に、膜厚35nmで積層された信越化学工業(株)製の珪素含有SOG膜SHB−A940上に塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間プリベークして35nmのレジスト膜を作製した。NA0.3、Pseudo PSMを使ってEUV露光し、表3に記載の温度条件でPEBを行い、表1記載の現像液で30秒間現像し、リンス後スピンドライしてレジストパターンを形成した。20nmラインアンドスペースを形成している感度とこの時に解像している最小寸法の限界解像度と、エッジラフネス(LWR)をSEMにて測定した。リンス液としては、純水又はAZエレクトロニックマテリアルズ(株)のExtreme10を用いた。結果を表3に示す。ここで、限界解像度はパターン倒れによって決まっており、限界解像度が高い場合程、パターン倒れが起きにくいということを示している。
【0135】
【化78】
【0136】
【化79】
【0137】
【化80】
【0138】
【化81】
【0139】
【表2】
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
FC−4430:フッ素系界面活性剤、住友3M社製
【0140】
【表3】
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
TBAH:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド