(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記渦流によって前記貯留空間を旋回して流れる、前記薬液の成分が凝集して形成される塊を砕くために、当該塊に対して衝突する衝突部材が、当該貯留空間に設けられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の薬液排出機構。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の薬液排出機構を含む液処理装置の一実施形態であるレジスト塗布装置1について、
図1の縦断側面図と、
図2の平面図とを参照して説明する。レジスト塗布装置1は、基板であるウエハWにレジスト液を供給してレジスト膜を形成し、処理部1A、1B、ノズル機構1C及び排液システム4により構成される。
【0012】
処理部1Aについて説明すると、処理部1Aは、ウエハWの裏面中央部を真空吸着することにより、当該ウエハWを水平に保持する基板載置部であるスピンチャック11を備えている。図中12は回転機構であり、軸部13を介してスピンチャック11に接続されており、当該スピンチャック11を鉛直軸回りに回転させる。図中14は軸部13を囲む環状板であり、図中15は、環状板14を上下に貫く昇降ピンである。図中16は昇降機構であり、昇降ピン15を昇降させる。昇降ピン15は、スピンチャック11と、
図2に示すレジスト塗布装置1の外部の搬送機構17との間でウエハWの受け渡しを行う。
【0013】
前記スピンチャック11に載置されたウエハWの側方を取り囲むように、上方が開口したカップ2が設けられている。カップ2は、回転するウエハWより飛散したり、こぼれ落ちた廃液を受け止め、当該カップ2の底部へとガイドする。図中21はカップ2を構成するガイド部材であり、環状板14の外側に設けられる。ガイド部材21は上記のように廃液をガイドするために、ウエハWの周に沿って設けられると共に、その縦断側面が山型に形成されている。このガイド部材21には、シンナーをウエハWの裏面に吐出して洗浄する裏面洗浄ノズル22が設けられている。
【0014】
カップ2の下方側は、断面で見て凹部状の液受け部23として構成され、この液受け部23が軸部13を囲むように環状に設けられ、カップ2の底部を構成している。液受け部23の底面には液受け部23に流れた廃液を除去するための排液口24が開口している。前記排液口24にはカップ2の外側から排液管25の一端が接続される。排液管25の他端はカップ2の下方へ伸び、前記排液システム4を構成する後述のカップ排液機構41Aに接続される。図中26は、液受け部23を上下に貫くように設けられる排気管であり、2本設けられるが
図1では1本のみ表示している。排気管26は図示しない排気ダンパに接続され、所望の排気量でカップ2内を排気する。
【0015】
また、処理部1Aは膜除去用シンナーノズル31を備えており、膜除去用シンナーノズル31はレジスト膜が形成されたウエハWの周縁部にシンナーを局所的に供給して、当該周縁部のレジスト膜を除去する。図中32は、膜除去用シンナーノズル31が接続されるノズルアームである。
図2中33は移動機構であり、ノズルアーム32を、スピンチャック11に載置されたウエハWの周縁部上とカップ2の外側との間で移動させる。34は、移動機構33を移動させるためのガイドである。
処理部1Bは、カップ2の排液管25が、排液システム4を構成する後述のカップ排液機構41Bに接続されることを除いて、以上に説明した処理部1Aと同様に構成されている。
【0016】
続いて、ノズル機構1Cについて説明する。ノズル機構1Cは、4本のレジスト液ノズル35と、1本のシンナーノズル36とを備えている。各レジスト液ノズル35は、個別にレジスト液供給管を介して互いに異なるレジスト液供給源に接続される。そして、互いに異なる種類のレジスト液をウエハWに供給する。前記レジスト液供給管及びレジスト液供給源の図示は省略している。後述の制御部10により、ウエハWのロットに応じて使用するレジスト液ノズル35が選択される。
【0017】
レジスト液ノズル35及びシンナーノズル36は、ノズルアーム37において水平方向に一列に配列されて設けられ、鉛直下方にレジスト液、シンナーを夫々供給する。このシンナーは、レジスト液の供給前のウエハWに供給され、ウエハWのレジスト液に対する濡れ性を向上させるプリウエット処理を行うために用いられる。レジスト液及びシンナーは、ウエハWの中心部に供給され、ウエハWの回転による遠心力によってウエハWの周縁部へと展伸される、いわゆるスピンコーティングによりウエハW全体に塗布される。
【0018】
図2中38はノズルアーム37を移動させる移動機構であり、当該移動機構38により、ノズルアーム37はレジスト液ノズル35及びシンナーノズル36の配列方向及び上下方向に移動することができる。それによって各レジスト液ノズル35及びシンナーノズル36は、排液システム4を構成する後述のノズルバス51内と、スピンチャック11に載置されたウエハWの中心部上との間で移動することができる。
図2中39は、ノズルアーム37を水平方向に移動させるためのガイドである。
以上に説明したノズル機構1Cは、上記の処理部1A、1Bに共用され、処理部1A、1Bで個別にウエハWへの処理が行われる。
【0019】
続いて、排液システム4について説明する。上記のレジスト液ノズル35から供給されるレジスト液は比較的粘度が高く、排液システム4は廃液となった当該レジスト液を希釈して、その粘度を低下させてレジスト塗布装置1から排出する役割を有する。
図3には排液システム4の斜視図を示しており、排液システム4は、シンナー供給機構40と、カップ排液機構41A、41Bと、ノズルバス51と、排気排液タンク61と、を備えている。カップ排液機構41A、41B及びノズルバス51は、夫々本発明の薬液排出機構を構成する。
【0020】
シンナー供給機構40について説明すると、シンナー供給機構40は、カップ排液機構41A、41B、ノズルバス51に夫々個別のシンナー供給管50を介して接続され、各シンナー供給管50にシンナーを供給する。このシンナーはレジスト液の溶剤であり、当該レジスト液を希釈し、その粘度を下げる希釈液である。後述の制御部10からの制御信号に従って、各シンナー供給管50へのシンナーの供給量が、独立して調整される。
【0021】
続いてカップ排液機構41A、41Bについて説明する。これらカップ排液機構41A、41Bは、処理部1Aのカップ2の下方、処理部1Bのカップ2の下方に夫々設けられるレジスト液貯留部42により構成される。レジスト液貯留部42が設けられる場所を除いて、カップ排液機構41A、41Bは互いに同様に構成されており、以降は代表してカップ排液機構41Aについて説明する。
【0022】
図4、
図5は、カップ排液機構41Aのレジスト液貯留部42の縦断側面図、横断平面図を夫々示している。レジスト液貯留部42はその内部に貯留空間43を備え、この貯留空間43の上側には、前記カップ2の排液管25の下流端が開口しており、廃液としてカップ2の液受け部23に流れたレジスト液は、排液管25からこの貯留空間43に流入する。貯留空間43は、
図5に示すように平面視円形に構成されており、その中心には貯留空間43の下端から上方に向かう軸部44が設けられている。後述するように貯留空間43内にはシンナーにより渦流(旋回流)が形成され、当該シンナーとレジスト液との撹拌が行われるが、平面で見た貯留空間43の中心では周縁に比べて、液の流速が遅くなることで、この撹拌度合が低い。そのため、当該中心に軸部44を設けてレジスト液及びシンナーが供給されない構成とし、前記撹拌度合を高めている。つまり軸部44は、貯留空間43におけるレジスト液及びシンナーの流れを規制する規制部材として構成されている。
【0023】
貯留空間43の下端部には、シンナーを当該貯留空間43の底面に沿って供給するシンナー供給口45が側方に向かって開口している。シンナー供給口45は、
図5に示すように、平面で見た貯留空間43の接線方向に開口することで、渦流を形成することができるように構成される。図中46はシンナーの流路であり、レジスト液貯留部42においてシンナー供給口45に接続されるように形成される。当該流路46に、上記のシンナー供給管50が接続される。また、貯留空間43においてシンナー供給口45の上方には、排液口47が当該貯留空間43の外側に向かうように斜め下方に開口しており、この排液口47にはレジスト液貯留部42の外側から、排液管48の上流端が接続されている。排液管48の下流端は斜め下方へ向かい、前記排気排液タンク61に接続される。
【0024】
ここで、カップ排液機構41Aの動作の概要を
図6〜
図8を用いて説明する。
図6〜
図8ではシンナーを20、レジスト液を30、シンナー20とレジスト液30との混合液(希釈されたレジスト液)を39として表示する。この例では、シンナー供給機構40から貯留空間43へ常時シンナー20が供給されるものとし、先ずシンナー20が例えば100mL/分で供給されている状態になっているものとする。この状態においては、供給されるシンナー20の流量が比較的小さいため、このとき貯留空間43に渦流は形成されていない。貯留空間43に供給された余剰のシンナー20は、排液口47から排液管48に流れ込む。上記のように排液管48は下方に傾いており、シンナー20の粘度は低いため排液管48に流入したシンナー20は、重力により排液管48を下流へと流れて貯留空間43から除去される。
【0025】
そして、処理部1Aにおいて、ウエハWにレジスト液30の塗布が行われ、ウエハWからこぼれ落ちたり、飛散したレジスト液30がカップ2から貯留空間43に供給されて貯留されると(
図6)、シンナー供給機構40から貯留空間43へ供給されるシンナー20の流量が増加し、例えば400mL/分となる。このように比較的大きい流量で供給口45から貯留空間43に吐出されたシンナー20が、貯留空間43の側周面に沿って、当該貯留空間43を平面で見た周方向に流れることで渦流を形成する(
図7)。
図7及び
図5では矢印により、渦流の向きを示している。
【0026】
貯留空間43においては、このように渦流を形成するシンナー20によりレジスト液30が撹拌され、この渦流を形成するシンナー20とレジスト液30との混合が速やかに進行する。つまり、シンナー20により貯留空間43に貯留されたレジスト液30が希釈され、前記渦流は、前記混合液39により構成されることになる。そして、貯留空間43の下部側から続けてシンナー20が供給されているため、当該混合液39の渦流は当該シンナー20により上部側へと押し流され、排液口47から排液管48に流れ込む。この混合液39は、シンナー20を含むため、その粘度はレジスト液30の粘度よりも低い。そのため、排液管48に流れた混合液39はシンナー20と同様に、重力により排液管48を下流側へ流れてレジスト液貯留部42から除去される。ウエハWへのレジスト液30の供給が停止し、貯留空間43へのレジスト液30の供給が停止した後、シンナー20の流量が低下して再び100mL/分となり、渦流の形成が停止する(
図8)。シンナーの流量が変化するタイミングについては、後に例を示してさらに説明する。
【0027】
ところで、貯留空間43へのレジスト液30の供給が停止しているときにシンナー20を比較的低い流量で供給するのは、シンナー20の無駄な消費を抑えると共に、貯留空間43にレジスト液30が残留した場合にこのレジスト液30が乾燥、固化して貯留空間43が閉塞されてしまうことを防ぐためである。つまり、渦流の形成停止後に貯留空間43にレジスト液30が残留していても、次に貯留空間43へのシンナーの供給量が増加して貯留空間43に渦流が形成されるまでの間、シンナーが供給されているために貯留空間43は乾燥せず、当該レジスト液30の流動性が保たれる。そして、次に渦流が形成されるときに当該レジスト液30はシンナー20と混合されて貯留空間43から除去される。
【0028】
このように、比較的大きい流量(第1の流量)でのシンナーの供給と、比較的小さい流量(第2の流量)でのシンナーの供給とを繰り返し行うことで、貯留空間43におけるレジスト液30が、より確実に排出されるようにしている。シンナーの流量としては、上記の例に限られない。また、このように渦流を形成できる第1の流量と、第1の流量よりも小さい第2の流量との間でシンナーの流量を変化させる場合、第2の流量は、渦流を形成できる流量であってもよい。
【0029】
排液システム4の構成の説明に戻って、液受け部であるノズルバス51について説明する。
図1〜
図3に示すようにノズルバス51は、処理部1A、1Bのカップ2の外側に、これらカップ2に挟まれるように設けられ、概ね直方体形状に構成されている。ノズルバス51は、カップ排液機構41A、41Bと同様に、シンナーによって渦流が形成され、当該シンナーとレジスト液との撹拌が行われる貯留空間43を備えており、撹拌されて希釈されたレジスト液が当該貯留空間43から排出される。ノズルバス51には貯留空間43が3つ設けられ、各貯留空間43にはレジスト液ノズル35からレジスト液が吐出される。
【0030】
3つのうちの貯留空間43の1つは、例えばレジスト塗布装置1のメンテナンスを行う際にレジスト液が吐出される空間であり、レジスト液ノズル35内及び当該レジスト液ノズル35の上流側に接続されるレジスト液供給管(図示は省略している)内に貯留されたレジスト液を排出する、ダミーディスペンスを行うために用いられる。このダミーディスペンスは、例えばレジスト塗布装置1のユーザーが、後述の制御部10から指示することで行われる動作であり、レジスト液ノズル35からのレジスト液の吐出状態、レジスト液の吐出後のレジスト液ノズル35からの液切れの状態、レジスト液ノズル35の汚れなどを確認するために行われる。
【0031】
貯留空間43の他の2つは、レジスト液ノズル35がウエハWにレジスト液を供給する直前に、レジスト液ノズル35内の古いレジスト液を排出するプリディスペンスを行うために設けられる。プリディスペンスを行うための1つの貯留空間43は、2本のレジスト液ノズル35に共用される。
【0032】
説明の便宜上、ダミーディスペンス用の貯留空間を43A、プリディスペンス用の貯留空間を43B、43Bとして、
図9、
図10も参照しながらノズルバス51について説明を続ける。
図9はノズルバス51の縦断斜視図であり、
図10はノズルバス51の正面図である。これら貯留空間43A、43Bについて、カップ排液機構41A、41Bの貯留空間43と同様に構成された箇所については、貯留空間43に付した符号と同じ符号を付して説明を省略する。
【0033】
ノズルバス51には、横方向に貯留空間43A、43B、43Bが一列に設けられており、これら貯留空間43A、43B、43Bの配列方向は、レジスト液ノズル35及びシンナーノズル36の配列方向に一致する。1つの貯留空間43Bの上方には、当該貯留空間43Bに連通するように2つの円形の開口部52が設けられ、ノズルバス51の上方に開口している。つまり、ノズルバス51には4つの開口部52が設けられており、各レジスト液ノズル35は、各開口部52にその先端部(下端部)が進入した状態で待機する。また、ノズルバス51には、当該ノズルバス51の上方に開口した、円形の開口部53が設けられている。レジスト液ノズル35が開口部52内で待機しているときに、シンナーノズル36が、その先端部が開口部53内に進入した状態で待機する。
図9、
図10では、開口部52、53内で夫々待機しているレジスト液ノズル35及びシンナーノズル36を示している。
【0034】
また、貯留空間43Aの上方には円形の開口部54が設けられ、当該貯留空間43Aに連通すると共にノズルバス51の上方に開口している。上記のダミーディスペンスは、当該開口部54の上方位置においてレジスト液ノズル35の一つが、当該開口部54を介して貯留空間43Aにレジスト液を吐出することにより行われ、当該位置から吐出されるレジスト液の飛散を防ぐために、開口部54の径は、開口部52、53の径よりも大きく形成される。
【0035】
貯留空間43A、43B、43Bには、既述のカップ排液機構41A、41Bの貯留空間43と同様に、軸部44、シンナー供給口45、排液口47が各々設けられている。また、各シンナーの供給口45に接続される流路46がノズルバス51に形成されている。各流路46にはシンナー供給管50が各々接続され、シンナー供給機構40から貯留空間43A、43B、43Bに各々シンナーを供給することができる。
【0036】
ところで、ノズルバス51の正面側には流路形成部材55が設けられている(
図1〜
図3参照)。
図11は、この流路形成部材55及び貯留空間43Bの縦断側面を示しており、当該
図11も参照しながら説明を続ける。貯留空間43Bの排液口47は、流路形成部材55に設けられる排液路56の一端に接続され、排液路56の他端は斜め下方に向かって形成されている。この排液路56の他端には排液管57の一端が接続され、排液管57の他端は鉛直下方に向かい、排気排液タンク61に接続される。貯留空間43Bから排液口47に流入した既述のシンナー及び希釈されたレジスト液は、重力により自動的に排液路56及び排液管57を下流へ流れ、排気排液タンク61に流入する。
【0037】
また、
図12は貯留空間43Aの縦断側面を示している。この
図12に示すように、貯留空間43Aの排液口47には排液管58の一端が接続されている。排液管58の他端は、斜め下方に向かった後、屈曲されて鉛直下方に向かい、排気排液タンク61に接続されている。このように排液管58が形成されることで、上記の貯留空間43Bの排液路56に流入したシンナー及び希釈されたレジスト液と同様、貯留空間43Aから前記排液口47に流入したこれらの液は、重力により自動的に当該排液管58を下流へ流れ、排気排液タンク61に流入する。
【0038】
続いて、排気排液タンク61について、上記の
図11、
図12を参照しながら説明する。
図11、
図12は、排気排液タンク61の互いに異なる位置における縦断側面を各々示している。排気排液タンク61は、その内部に空間62を備える。上記のダミーディスペンス用の貯留空間43Aに接続される排液管58の下流端は、この空間62にて開口する(
図12)。また、上記のカップ排液機構41A、41Bの排液管48の下流端は、排気排液タンク61の側方に接続され、当該排気排液タンク61に形成された開口部63を介して、排液管48内と空間62とが連通している。前記開口部63は、カップ排液機構41A、41Bについて、夫々設けられるが、図ではカップ排液機構41Aに接続される開口部63のみ示している。
【0039】
また、排気排液タンク61の側方には排液口64が形成され、空間62の下端部の側面に開口している。排気排液タンク61内の底面は傾斜面として形成されている。開口部63に接続されるカップ排液機構41A、41B、ノズルバス51に接続される排液管58から、排気排液タンク61の底面に夫々流れた、上記の希釈されたレジスト液及びシンナーの廃液は、この排液口64にガイドされる。また、この排液口64には排気排液タンク61の外側から、排液管65の一端が接続されており(
図1〜
図3参照)、排液管65の他端は斜め下方に伸び、レジスト塗布装置1が設置される工場の排液路へ接続される。前記排気排液タンク61内の底面から排液口64へとガイドされた廃液は、重力により自動的に排液管65を下流へ流れ、前記工場の排液路に流れて除去される。
【0040】
また、排気排液タンク61の空間62には排気路66の一端が開口し、この排気路66の他端は排気管67を介して、排気機構68に接続されており、当該排気機構68により空間62は常時排気されている。
図11、
図12では、点線の矢印を用いて、この排気機構68の排気により各部に形成される排気流を示している。
【0041】
さらに、
図11に示すように、上記のプリディスペンス用の貯留空間43Bに接続される排液管57の端部が、前記空間62を下方に向かうように設けられている。この排液管57の端部を囲むように、有底の筒部材69が設けられており、筒部材69の上端は排気排液タンク61内の天井に接している。筒部材69の側方には、前記排液管57の下端よりも高い位置に排液口71が形成されている。筒部材69の内部において排液口71の下方は、液貯留部72として構成され、排液管57を流れる廃液、即ちシンナー及び希釈されたレジスト液(混合液)は、この液貯留部72に貯留され、排液管57から続いて流れる廃液により筒部材69の外部に押し流されて、排気排液タンク61内の底面へ落下する。そして、傾斜した前記底面により排液口64へとガイドされて、上記のカップ排液機構41A、41Bに接続される開口部63及び貯留空間43Aに接続される排液管58から流れる廃液と共に、排気排液タンク61から除去される。
【0042】
このように排気排液タンク61に液貯留部72を形成している理由を説明する。ノズルバス51の貯留空間43A、43Bには、例えばカップ排液機構41A、41Bの貯留空間43と同様に常時シンナーが供給される。詳しくは、貯留空間43に供給されるシンナーの流量と同様に、貯留空間43A、43Bに供給されるシンナーの流量が例えば100mL/分と400mL/分との間で切り替わり、それによって渦流が形成される状態と、形成されない状態とが切り替わる。そのようにノズルバス51の貯留空間43Bに常時シンナーが供給されることで、
図11で説明した液貯留部72には常時廃液が流れ、当該廃液が貯留されている状態となる。
【0043】
従って、排気機構68により排気排液タンク61の空間62が排気されても、この貯留された廃液により排液管57の下端はシールされ、当該排液管57に接続される第1の薬液排出機構を構成する貯留空間43B及びレジスト液ノズル35が待機する開口部52内は、排気されない。そのため、貯留空間43Bに供給されるシンナーによりノズルの待機領域となる開口部52内は常時シンナー雰囲気に保たれるので、レジスト液ノズル35が待機している間に、当該レジスト液ノズル35内のレジスト液が乾燥して、当該レジスト液ノズル35が詰まることが防がれる。その一方で、第2の薬液排出機構を構成するノズルバス51の貯留空間43A及び開口部53内は、排気機構68による空間62の排気によって、排液管58を介して排気される(
図12参照)。従って、シンナー雰囲気が開口部53からノズルバス51の外部に拡散することが抑えられ、結果としてウエハWの周囲が当該シンナー雰囲気により汚染されることを抑えることができる。
【0044】
図1に示すように、レジスト塗布装置1にはコンピュータである制御部10が設けられている。制御部10には、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)及びメモリーカードなどの記憶媒体に格納されたプログラムがインストールされる。インストールされたプログラムは、レジスト塗布装置1の各部に制御信号を送信してその動作を制御するように命令(各ステップ)が組み込まれている。具体的には、回転機構12によるスピンチャック11を介してのウエハWの回転、レジスト液ノズル35及びシンナーノズル36の移動、シンナー供給機構40による各シンナー供給管50へ供給されるシンナーの流量の切り替え、昇降ピン15の昇降などの動作が、前記プログラムにより制御される。
【0045】
続いて、ウエハWの処理時における上記のレジスト塗布装置1の動作について説明する。
図13は当該動作を説明するためのチャートであり、ウエハWに対する一連の処理中に、レジスト液ノズル35からレジスト液が供給される期間を実線の棒グラフとして示している。また、このチャートでは、カップ排液機構41Aの貯留空間43、ノズルバス51の貯留空間43Bに供給されるシンナーの流量が夫々400mL/分となる期間を渦流形成期間として、前記レジスト液の供給期間と対応付けて棒グラフで示している。また、貯留空間43Bの状態を示す
図14〜
図16も適宜参照する。
図14〜
図16では、
図6〜
図8と同様、シンナーを20、レジスト液を30、シンナー20とレジスト液30との混合液(希釈されたレジスト液)を39として示す。
【0046】
先ず、レジスト液ノズル35、シンナーノズル36が開口部53内、54内にて夫々待機し、ノズルバス51の貯留空間43A、43B、及びカップ排液機構41A、41Bの貯留空間43にシンナー20が100mL/分で供給されている状態となっているものとする。既述の
図11は、このときの貯留空間43Bを示している。このような状態において、ロットの先頭のウエハWが、例えば処理部1Aのカップ2に搬入され、その裏面中央部がスピンチャック11に保持される。当該ロットを処理するように設定されているレジスト液ノズル35から、当該レジスト液ノズル35に含まれる古いレジスト液30が貯留空間43Bに供給され、プリディスペンスが開始される(チャート中時刻t1、
図14)。
【0047】
レジスト液ノズル35からレジスト液30の供給が停止してプリディスペンスが終了すると共に、当該レジスト液30が供給された貯留空間43Bへ供給されるシンナーの流量が増加して400mLになる(時刻t2)。それによって、
図7で説明した、貯留空間43に供給されるシンナー20の流量が400mLになった場合と同様に、当該貯留空間43Bにおいて渦流が形成される。この渦流により、シンナー20とレジスト液30とが撹拌されて、レジスト液30が希釈されて混合液39となり、当該混合液39が廃液として排液口47に流れ込む。この排液口47に流入した混合液39は、
図11で説明したように排気排液タンク61に供給されて、レジスト塗布装置1から除去される。このように、混合液39の排出が進む一方で、シンナーノズル36及びレジスト液ノズル35が処理部1Aに搬入されたウエハW上へ移動する(
図15)。
【0048】
そして、ウエハWの中心部上にシンナーノズル36が位置し、ウエハWの中心部にシンナーが供給され(時刻t3)、ウエハWが回転してシンナーがウエハW表面全体に展伸され、プリウエット処理が行われる。その一方で貯留空間43Bではシンナー20とレジスト液30とが撹拌、及びこれらの混合液39の排出が続けられる。シンナーノズル36からウエハWへのシンナーの供給が停止し、プリウエット処理が終了すると(時刻t4)、プリディスペンスを行ったレジスト液ノズル35がウエハWの中心部上に位置し、ウエハWの中心部にレジスト液が供給される(時刻t5)。当該レジスト液はウエハWの回転の遠心力によって、ウエハWの周縁部に展伸され、ウエハW表面全体にレジスト液が塗布される。このウエハWから飛散したり、こぼれ落ちたレジスト液30がカップ2にガイドされて、
図6で説明したように、カップ排液機構41Aの貯留空間43に供給されて貯留される。
【0049】
ウエハWへのレジスト液30の供給が続けられる一方で、ノズルバス51では貯留空間43Bへ供給されるシンナーの流量が100mL/分に低下し、渦流の形成が停止する(時刻t6)。然る後、カップ排液機構41Aの貯留空間43へ供給されるシンナー20の流量が400mL/分になるように増加し(時刻t7)、
図7で説明したように渦流が形成されてシンナー20及びレジスト液30が撹拌され、これらシンナー20により希釈されたレジスト液30からなる混合液39が廃液として貯留空間43から排液口47に流入し、
図11、
図12で説明したように排気排液タンク61に供給されて、レジスト塗布装置1から除去される。その後、ウエハWへのレジスト液の供給が停止し(時刻t8)、カップ排液機構41Aの貯留空間43へのレジスト液30の供給も停止する。然る後、当該貯留空間43へのシンナーの供給量が100mLに低下し、渦流の形成が停止される(時刻t9)。
【0050】
レジスト液ノズル35、シンナーノズル36がノズルバス51の開口部52、53内に戻り、待機する。処理部1Aのカップ2ではウエハWの回転が続けられ、塗布されたレジスト液の乾燥が進行し、レジスト膜が形成される。然る後、裏面洗浄ノズル22から回転するウエハWの裏面にシンナーが供給されて裏面の洗浄が開始され(時刻t10)、続いて膜除去用シンナーノズル31からウエハWの周縁部へのシンナーの供給が開始されて(時刻t11)、ウエハWの周縁部においてレジスト膜が局所的に除去される。然る後、膜除去用シンナーノズル31からのシンナーの供給が停止し(時刻t12)、続いて、裏面洗浄ノズル22からのシンナーの供給が停止する(時刻t13)。シンナーの供給停止後もウエハWの回転が続けられ、ウエハWに供給されたシンナーの乾燥が進行する。
【0051】
その一方で例えば、処理部1Bのカップ2に、後続のウエハWが搬送される。処理部1Aのカップ2では処理済みのウエハWの回転が停止し、当該ウエハWがカップ2から搬出される一方で、処理部1BのウエハWを処理するために、ノズルバス51では上記のプリディスペンスが開始される(時刻t14)。つまり、既述の時刻t1と同様の動作が行われる。以降は、既述の時刻t2〜t14で説明した動作と同様の動作が、処理部1AのウエハWを処理する場合と同様のタイミングで順次行われる。それによって、処理部1Bに搬送されたウエハWが、処理部1Aに搬送されたウエハWと同様に処理を受ける一方で、ノズルバス51、処理部1Bのカップ2に対応するカップ排液機構41Bにおいては、当該ウエハWの処理に並行して、シンナー20による渦流の形成、レジスト液30の希釈による混合液39の形成及び当該混合液39の排出が行われる。その後は、処理部1A、処理部1Bに交互にウエハWが搬送され、同様にウエハWの処理と、塗布装置1からのレジスト液の排出とが行われる。
【0052】
続いて、ダミーディスペンスを行う場合について、
図13と同様にレジスト液が吐出される期間と、渦流が形成される期間とを表したタイミングチャートである
図17を参照しながら、プレディスペンスを行う場合との差異点を中心に説明する。例えばユーザーが制御部10により、ダミーディスペンスを行うレジスト液ノズル35と、ダミーディスペンスを行うタイミングとを指定する。指定したタイミングで、開口部52内で待機しているレジスト液ノズル35が当該開口部52から上昇し、指定したレジスト液ノズル35がノズルバス51の開口部54へレジスト液を吐出できる位置に移動する。この位置は、ノズルバス51とレジスト液ノズル35及びシンナーノズル36とが干渉しないように、当該開口部54の上方とされ、上記の
図12では、この位置に移動したレジスト液ノズル35を示している。このように指定したレジスト液ノズル35が、開口部54上に移動したときには、貯留空間43Aに供給されるシンナーの流量は100mL/分であり、貯留空間43Aには渦流が形成されていない。
【0053】
然る後、指定したレジスト液ノズル35からレジスト液が吐出され(チャート中時刻s1)、レジスト液ノズル35内とレジスト液ノズル35に接続されるレジスト液の供給管内の古いレジスト液が前記開口部54を介して、ノズルバス51の貯留空間43Aに貯留される。古いレジスト液が排出されたレジスト液ノズル35内及び供給管内には新しいレジスト液が、レジスト液の供給源から供給される。
【0054】
然る後、貯留空間43Aへ供給されるシンナーの流量が400mL/分に増加し、既述の貯留空間43、43Bにおいて供給されるシンナーが増加した場合と同様に、当該貯留空間43Aに渦流が形成され、それによって、レジスト液がシンナーとの混合液となって貯留空間43Aから排出される(時刻s2)。上記のレジスト液ノズル35内及びレジスト液の供給管内の古いレジスト液が全て排出され、新しいレジスト液に置き換わると、レジスト液の吐出が停止し(時刻s3)、その後、シンナーの流量が低下して再び100mL/分となり、渦流の形成が停止する(時刻s4)。続いて、このようなレジスト液の置換後に、正常に吐出が行われるか否かを確認するための動作として、再びレジスト液の吐出が開始され(時刻s5)、然る後、貯留空間43Aへ供給されるシンナーの流量が再び400mL/分となり、渦流が形成される(時刻s6)。所定の量のレジスト液が吐出されると、レジスト液の吐出が停止し(時刻s7)、その後、シンナーの流量が100mL/分に低下して、渦流の形成が停止する(時刻s8)。
【0055】
このレジスト塗布装置1によれば、カップ排液機構41A、41B、ノズルバス51の各貯留空間43、43A、43Bに、カップ2またはレジスト液ノズル35から供給されたレジスト液が貯留される。そして、各貯留空間43、43A、43Bにはシンナーが渦流を形成するように供給され、このシンナーの供給によってレジスト液が撹拌されてシンナーにより希釈され、その粘度が低下する。この希釈されたレジスト液は、貯留空間43の下方側からシンナーが供給されることによって、貯留空間43、43A、43Bの上方側の排液口47へと押し流されて、当該排液口47から除去される。このように排液口47には粘度が低下したレジスト液が供給されるので、この排液口47の下流側の各排液管48、58、65、排液路56及び排気排液タンク61内の底面について、水平面に対する傾斜を大きくしなくても、レジスト液は当該傾斜に従って自然に流れて排液される。従って、レジスト塗布装置1の大型化を防ぐことができる。
【0056】
続いて、カップ排液機構41Aの他の構成例について、既述の例との差異点を中心に説明する。
図18は、上記のカップ排液機構41Aに、エア供給口81を設けた例を示している。エア供給口81は、シンナー供給口45と同様に、レジスト液貯留部42の内壁において、平面で見て貯留空間43の接線方向に開口するように形成され、当該貯留空間43の底面に沿ってエアを吐出する。図中82はレジスト液貯留部42に形成されたエアの供給路である。図中83はエア供給源であり、供給路82を介してエア供給口81にエアを供給する。図中エアの気泡を84として示している。
【0057】
貯留空間43にレジスト液とシンナー供給口45から供給されたシンナーとが貯留された状態で、エア供給口81からエアを供給することにより、シンナー供給口45からシンナーの供給を停止している状態であっても、貯留されたシンナー及びレジスト液に渦流を形成し、撹拌を行うことができる。この例では、エア供給口81から吐出されるエアによって形成される渦流の向きは、シンナー供給口45から吐出されるシンナーによって形成される渦流の向きと同じである。そのため、既述のようにシンナー供給口45からシンナーを供給することに並行して、エア供給口81からエアを供給することで、貯留空間43により高い流速の渦流を形成し、より確実にシンナーとレジスト液との撹拌を行うことができる。
【0058】
この
図18に示すカップ排液機構41Aを用いた処理例について説明する。既述の
図13のチャートで示した処理例において、吐出するシンナーの流量が100mL/分であるものと説明した期間を待機期間、シンナーの流量が400mL/分である期間を処理期間として説明すると、前記処理期間においては、上記のようにシンナーとエアとを共に貯留空間43に供給して渦流を形成する。そして、待機期間においてはシンナーの吐出を停止した状態で、エアのみを吐出し、貯留空間43に貯留されたシンナーに渦流を形成する。つまり、処理部1Aのカップ2でウエハWを繰り返し処理するにあたり、シンナー及びエアによる渦流の形成と、エアのみによる渦流の形成とが交互に繰り返し行われる。このように処理を行うことで、待機期間において貯留空間43に残留したレジスト液とシンナーとを撹拌し、既述したレジスト液の乾燥、固化により貯留空間43が詰まってしまうことをより確実に防ぐことができる。また、待機期間においてはシンナーの吐出を停止するため、シンナーの使用量を削減することができるので、処理の低コスト化を図ることができる。
【0059】
ところで、前記処理期間において、シンナーは渦流を形成できる流量で供給してもよいし、渦流が形成されない流量でシンナーを供給し、エアの供給の作用によって渦流が形成されてもよい。その場合、例えば渦流の形成停止後にシンナーを貯留空間43に供給することによって、撹拌されたシンナー及びレジスト液の混合液を排液口49へ押し流して貯留空間43から除去する。つまり渦流の形成は液体によって行うことに限られず、気体によって行ってもよい。即ち、渦流の形成は、流体によって行うことができる。
【0060】
また、上記のレジスト液としては、その成分が凝固して塊を形成する場合があり、この塊はシンナーと混合されにくい。そこで、
図19に示すカップ排液機構41Aの貯留空間43には、この塊を砕くために当該塊と衝突させる衝突部材85を備えている。衝突部材85は起立した板状であり、軸部44からレジスト液貯留部42の内側壁に亘って設けられ、その面方向に多数の穴を備えた網として構成されている。渦流が形成されたときに、塊はこの渦流に乗って平面で見て貯留空間43を周方向に流れる。そして、この網に衝突し、砕かれ、微細化して網の目を通り抜ける。このように微細化した塊が、シンナーと混合されて排液口47を介して貯留空間43から排出される。なお、
図19のカップ排液機構41Aでは、既述の各例と貯留空間43の周方向における排液口47の位置とシンナーの流路46の位置とが異なっているが、既述の各例と同様に渦流が形成される。
【0061】
前記衝突部材85は、
図19のように起立するように設けることに限られず、
図20に示すように、排液口47の下方に横方向に広がるように設けてもよい。既述のように渦流は上方へ向かうので、レジスト液の塊はこの渦流に流されて貯留空間43を上方へ向かうにあたり、衝突部材85に衝突し、砕かれて微細化され、シンナーと混合されて貯留空間43から排出される。この
図19、
図20に示すような衝突部材85を設けることで、より確実にレジスト液とシンナーとを撹拌し、レジスト液の粘度を下げることができる。
【0062】
図21、22は、夫々カップ排液機構41Aさらに他の構成例についての縦断側面図、横断平面図である。このカップ排液機構41Aでは、シンナー供給口45に加えて、シンナー供給口86が形成されている。シンナー供給口86は、貯留空間43の周方向における開口位置がシンナー供給口45と異なることを除いて、シンナー供給口45と同様に構成されている。つまり、シンナー供給口86は、シンナー供給口45と同様に貯留空間にシンナーを供給して、渦流を形成することができる。
図22では、矢印により各シンナー供給口45、86から供給されるシンナーの流れを示しており、シンナー供給口45、86から供給されるシンナーは、貯留空間43の周方向を同じ方向に流れ、同じ向きの渦流を形成する。なお、
図18で説明したエア供給口81は、例えば平面で見てこの供給口86と同様に開口する。
【0063】
図21中、87は供給口86に接続されるシンナーの流路であり、シンナー供給口45に接続される流路46と同様に、シンナー供給管50を介してシンナー供給機構40に接続される。例えばシンナー供給口45から吐出されるシンナーの流量が比較的大きい第1の流量となるとき、供給口86から吐出されるシンナーの流量も前記第1の流量となり、貯留空間43に渦流が形成される。例えばシンナー供給口45からのシンナーの供給量が比較的小さい第2の流量となるとき、供給口86からのシンナーの供給量も前記第2の流量となり、渦流の形成が停止する。このように、渦流を形成可能なシンナーの供給口を複数形成することで、形成される渦流の流速を高めることができ、それによってシンナーとレジスト液との撹拌をより確実に行うことができる。
【0064】
カップ排液機構41Aにおいて、前記シンナー供給口86は
図23に示すように形成してもよい。
図23では、シンナー供給口45から吐出されるシンナーの流れを実線の矢印で、シンナー供給口86から吐出されるシンナーの流れを点線の矢印で夫々示しており、シンナー供給口45から吐出されるシンナーと、シンナー供給口86から吐出されるシンナーとは、貯留空間43の周方向において互いに逆向きに流れる。シンナー供給口45から渦流を形成できる流量でシンナーが吐出されているときには、シンナー供給口86からはシンナーの吐出が行われず、逆にシンナー供給口86から渦流を形成できる流量でシンナーが吐出されているときには、シンナー供給口45からはシンナーの吐出が行われない。つまり、シンナー供給口45、86から交互にシンナーが供給されて、互いに逆向きの渦流が形成される。より具体的には、上記の
図13のタイミングチャートでカップ排液機構41Aにおける渦流形成期間である時刻t7〜t9の間に、1回または複数回、渦流の向きの切り替えが行われる。それによって、貯留空間43に乱流を発生させ、シンナーとレジスト液との撹拌効果の向上を図ることができる。
【0065】
図24には、更に他のカップ排液機構41Aの構成例を示している。この例では、起立した筒部材91が軸部44を囲うように、軸部44の軸周りに回転自在に設けられている。この筒部材91から4つの立て板が放射状に貯留空間43の周縁に向けて伸びており、各々羽部材92として構成されている。シンナー供給口45から供給されるシンナーによって、羽部材92が押され、羽部材92が貯留空間43の周方向に回転し、貯留空間43により確実に渦流を形成する。それによって、貯留空間43におけるシンナーとレジスト液との撹拌を、より確実に行うことができる。
【0066】
図25には、更に他のカップ排液機構41Aの構成例を示している。この例では、貯留空間43内の周縁部に板状部材93が設けられている。板状部材93は軸部44を囲み、貯留空間43を下方から上方へ向かう螺旋状に形成されている。なお、
図25は縦断面図であるため、板状部材93の一部は切り欠いて示している。板状部材93は、シンナーが貯留空間43に供給されたときにシンナー及び希釈されたレジスト液をガイドし、より確実に渦流を形成する。つまり、軸部材44と共に貯留空間43における液流れを規制する規制部材として構成され、撹拌効果の向上を図るために設けられている。
【0067】
さらに他のカップ排液機構41Aについて説明する。例えば貯留空間43を囲うように当該貯留空間43を加熱するヒーターが設けられ、このヒーターへの供給電力は制御部100からの制御信号に従って制御される。つまり、当該ヒーターの温度が当該制御信号に基づいて変化し、このようにヒーターの温度を制御するために当該ヒーターへの供給電力を制御する制御信号を温度制御信号とする。また、制御部100からシンナー供給機構40に出力される制御信号に従って、シンナー供給機構40からのシンナーの流量が例えば既述の各例のように切り替わる。このシンナーの流量を切り替えるための制御信号をシンナー供給信号とすると、シンナー供給信号の出力に同期するように前記温度制御信号が出力され、前記ヒーターへの供給電力の制御が行われる。
【0068】
より具体的には、制御部100がシンナー供給信号を出力し、シンナー供給機構40から供給されるシンナーの流量が100mL/分から400mL/分に切り替わると共に、制御部100は温度制御信号を出力して前記ヒーターの温度が所定の温度から例えば80度になるように上昇する。シンナー供給機構40から貯留空間43に供給されるシンナーの温度は、ヒーターの温度である80度よりも低い温度であるものとし、例えば23度である。そして、貯留空間43に供給されて旋回するシンナーの温度は、前記ヒーターにより加熱され、例えば40度程度に上昇する。このようにシンナーの温度が上昇することで、貯留空間43においてレジスト液のシンナーに対する溶解速度が大きくなり、速やかに撹拌が進行する。然る後、制御部100がシンナー供給信号を出力し、シンナー供給機構40から供給されるシンナーの流量が400mL/分から100mL/分に切り替わると共に、制御部100は温度制御信号を出力して、前記ヒーターの温度が80度よりも低い所定の温度に低下する。このように貯留空間43でシンナーを加熱する構成とする代わりに、シンナー供給機構40にてシンナーを加熱できるような構成とし、貯留空間43へ供給されるシンナーの温度が予め例えば40度になっているようにしてもよい。
【0069】
カップ排液機構41Aの構成例、処理例として説明した既述の各例は互いに組み合わせることができる。また、カップ排液機構41B及びノズルバス51にも、カップ排液機構41Aの構成として説明した各例を適用することができる。さらに、薬液としてウエハWにレジスト液を供給する液処理装置について説明したが、薬液としてはレジスト液に限られない。例えば絶縁膜形成用のポリイミドなどをウエハWに供給する場合も、薬液の粘度が比較的高いため、本発明の構成が有効である。また、ウエハWに対して処理を行う装置に本発明は適用されることには限られず、他の半導体製造用の液処理装置にも適用することができる。具体的には、例えば背景技術の項目で説明したようにウエハWを切断して形成されるチップに対してパッケージを形成するための薬液を供給する液処理装置にも本発明を適用することができる。また、撹拌された液を希釈液の供給によって貯留空間43から排液できれば、排液口47は上記のように貯留空間42の側方に開口していなくてもよく、例えば貯留空間42から上方に向かって開口してもよい。