(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸2−メチルブチル、酢酸3−メチルブチル、カプロン酸エチル、酢酸ヘキシル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−メチル酪酸イソプロピル、3−メチル酪酸イソアミル、2−メチルペンタン酸エチル、2−メチルペンタン酸プロピル、2−メチルペンタン酸ブチル、ヘプタン酸アリル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4記載のパターン形成方法。
高エネルギー線による露光が、波長365nmのi線、波長248nmのKrFエキシマレーザー、波長193nmのArFエキシマレーザー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子ビームであることを特徴とする請求項4又は5記載のパターン形成方法。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスが量産された。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF
2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF
2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F
2リソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入され、これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低エッジラフネス(LER、LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
ラインパターンに比べてホールパターンは微細化が困難である。従来法で細かなホールを形成するために、ポジ型レジスト膜にホールパターンマスクを組み合わせてアンダー露光で形成しようとすると、露光マージンが極めて狭くなってしまう。そこで、大きなサイズのホールを形成し、サーマルフローやRELACS
TM法等で現像後のホールをシュリンクする方法が提案されている。しかしながら、現像後のパターンサイズとシュリンク後のサイズの差が大きく、シュリンク量が大きいほど制御精度が低下する問題がある。また、ホールシュリンク法ではホールのサイズは縮小可能であるがピッチを狭くすることはできない。
ポジ型レジスト膜を用いてダイポール照明によりX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト組成物を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンの隙間よりホールパターンを形成する方法(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5377, p.255(2004))が提案されている。高コントラストなダイポール照明によるX、Yラインを組み合わせることによって広いマージンでホールパターンを形成できるが、上下に組み合わされたラインパターンを寸法精度高くエッチングすることは難しい。X方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクとY方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクを組み合わせてネガ型レジスト膜を露光してホールパターンを形成する方法が提案されている(非特許文献2:IEEE IEDM Tech. Digest 61(1996))。但し、架橋型ネガ型レジスト膜は超微細ホールの限界解像度がブリッジマージンで決まるために、解像力がポジ型レジスト膜に比べて低い欠点がある。
【0008】
X方向のラインとY方向のラインの2回露光を組み合わせて露光し、これを画像反転によってネガパターンにすることによって形成されるホールパターンは、高コントラストなラインパターンの光を用いることによって形成が可能であるために、従来の方法よりもより狭ピッチでかつ微細なホールを開口できる。
【0009】
非特許文献3(Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N(2009))では、以下3つの方法による画像反転によるホールパターンの作製が報告されている。
即ち、ポジ型レジスト組成物のX、Yラインのダブルダイポールの2回露光によりドットパターンを作製し、この上にLPCVDでSiO
2膜を形成し、O
2−RIEでドットをホールに反転させる方法、加熱によってアルカリ可溶で溶媒不溶になる特性のレジスト組成物を用いて同じ方法でドットパターンを形成し、この上にフェノール系のオーバーコート膜を塗布してアルカリ現像によって画像反転させてホールパターンを形成する方法、ポジ型レジスト組成物を用いてダブルダイポール露光、有機溶剤現像による画像反転によってホールを形成する方法である。
【0010】
ここで、有機溶剤現像によるネガパターンの作製は古くから用いられている手法である。環化ゴム系のレジスト組成物はキシレン等のアルケンを現像液として用いており、ポリ−tert−ブトキシカルボニルオキシスチレンベースの初期の化学増幅型レジスト組成物はアニソールを現像液としてネガパターンを得ていた。
【0011】
近年、有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。ポジティブトーンでは達成できない非常に微細なホールパターンをネガティブトーンの露光で解像するために、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いた有機溶剤現像でネガパターンを形成するのである。
【0012】
従来型のアルカリ現像型のネガレジストは架橋反応を用いていた。架橋反応型のネガレジストでは、露光部未露光部の中間領域で中途半端に架橋が進行し、これによって膨潤が発生する。膨潤によって寸法均一性が低下したり、パターン間がくっついて倒れたりして解像性が低い問題があった。一方、有機溶剤現像では膨潤が発生しない。これがアルカリ現像の架橋型ネガレジストよりも有機溶剤現像ネガレジストの方が優れている点であり、有機溶剤現像ネガレジストの検討が加速された。
【0013】
有機溶剤によるネガティブトーン現像用のArFレジスト組成物としては、従来型のポジ型ArFレジスト組成物を用いることができ、特許文献1〜3(特開2008−281974号公報、特開2008−281975号公報、特許第4554665号公報)にパターン形成方法が示されている。
【0014】
これらの公知文献において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートを共重合、ノルボルナンラクトンメタクリレートを共重合、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を2種以上の酸不安定基で置換したメタクリレートを共重合した有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
【0015】
脱保護反応によってカルボキシル基が発生し、アルカリ水現像液との中和反応によって溶解速度が向上するポジティブ現像における未露光部と露光部の溶解速度の比率は1,000倍以上であり、大きな溶解コントラストを得ている。一方、有機溶剤現像によるネガティブ現像における溶媒和による未露光部分の溶解速度は遅く、露光部と未露光部の溶解速度の比率は100倍以下である。有機溶剤現像によるネガティブ現像においては、溶解コントラスト拡大のために、新たな材料開発が必要である。
【0016】
脱保護反応によって環式の保護基が脱離し、これに伴ってPEB後の膜厚が減少し、これらの現象によってエッチング耐性の低下が懸念されている。脱保護反応ではなく、架橋反応でもない極性変化型のネガレジストの開発が望まれている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、酸不安定基で置換又は非置換のカルボキシル基やヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含有するポリマーにヒドロキシ基、ラクトン環、ラクタム環、スルトン環、スルホン基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、カルボン酸アミド基、ニトロ基、シアノ基、チエニル基、フリル基、ピロール基、酸無水物基から選ばれる親水性基とオキシラン環又はオキセタン環の両方を有する化合物を添加したフォトレジスト組成物を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成し、高エネルギー線を露光し、露光後加熱し、有機溶剤現像液で現像してネガ型パターンを得ることを特徴とするパターン形成方法及びこれに用いるレジスト組成物を提案するものである。
【0028】
有機溶剤現像における溶解コントラストを向上させるには、未露光部分と露光部分のポリマーの極性差が大きくなるような材料設計が必要である。より脂溶性が高い酸不安定基で置換されたカルボキシル基又はヒドロキシ基を有するポリマーをベースとした場合、酸不安定基の脱保護によって大きく極性が変化することによって、より高い溶解コントラストのレジスト膜を得ることができる。しかしながら、より脂溶性が高い酸不安定基は、炭素数が多いバルキーな構造の酸不安定基であるため脱保護後の膜の収縮が大きいという問題が生じる。脱保護反応に頼らずに極性を変化させる有機溶剤現像型のネガティブトーンレジスト組成物の開発が必要である。
【0029】
本発明者らは、ヒドロキシ基、ラクトン環、ラクタム環、スルトン環、スルホン基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、カルボン酸アミド基、ニトロ基、シアノ基、チエニル基、フリル基、ピロール基、酸無水物基から選ばれる親水性基とオキシラン環又はオキセタン環の両方を有する化合物を添加することが有効であることを知見した。前記親水性基とオキシラン環又はオキセタン環の両方を有する化合物は、酸によってエポキシ基やオキセタン環が開環してカルボキシル基やヒドロキシ基と反応する。例えばベースポリマーの1つのカルボキシル基やヒドロキシ基と、親水性基とオキシラン環又はオキセタン環の両方を有する化合物との反応で親水性基がポリマーに付着するために、露光部分の不溶化能が向上する。親水性基とオキシラン環又はオキセタン環の両方を有する化合物自体は高極性であるが分子サイズが小さいために現像液に溶解する。よって親水性基とオキシラン環又はオキセタン環の両方を有する化合物の添加によって未露光部分の溶解速度が低下することはなく、むしろ向上する。以上の作用によってレジスト膜のコントラストが向上する。
【0030】
親水性基を有するオキシラン環化合物は特開2014−125462号公報に記載されている。ここでは、親水性基を有するオキシラン環化合物を酸発生剤の中間体に用いることが示唆されている。本発明ではここに示されるラクトン環、ラクタム環、スルトン環、スルホン基等の親水性化合物、更にはこれ以外の親水性基を有するオキシラン、オキセタン化合物そのものを添加した有機溶剤現像型ネガレジスト組成物を提案する。ヒドロキシ基、ラクトン環、ラクタム環、スルトン環、スルホン基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、カルボン酸アミド基、ニトロ基、シアノ基、チエニル基、フリル基、ピロール基、酸無水物基から選ばれる親水性基とオキシラン環又はオキセタン環の両方を有する化合物は、親水性が高い方がこのものが酸によってベース樹脂に付着したときの極性の変化が大きく、この場合有機溶剤現像において高い溶解コントラストを得ることができる。モノマー材料の極性を現す指標としてcLogPが用いられるが、本発明においては、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以下の親水性基とオキシラン環又はオキセタン環の両方を有するモノマー化合物を用いることができる。
【0031】
ヒドロキシ基、ラクトン環、ラクタム環、スルトン環、スルホン基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、カルボン酸アミド基、ニトロ基、シアノ基、チエニル基、フリル基、ピロール基、酸無水物基から選ばれる親水性基とオキシラン環又はオキセタン環の両方を有する化合物としては、下記一般式(1)に示されるものが好適である。
【化3】
(式中、R
1、R
2は単結合、又はメチレン基であるが、R
1とR
2の両方が単結合になることはない。R
3は水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基である。R
4はヒドロキシ基、ラクトン環、ラクタム環、スルトン環、スルホン基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、カルボン酸アミド基、ニトロ基、シアノ基、チエニル基、フリル基、ピロール基、酸無水物基から選ばれる親水性基を有する炭素数4〜20の1価又は2価の有機基である。mは1又は2である。)
【0032】
上記一般式(1)に示されるヒドロキシ基、ラクトン環、ラクタム環、スルトン環、スルホン基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、カルボン酸アミド基、ニトロ基、シアノ基、チエニル基、フリル基、ピロール基、酸無水物基から選ばれる親水性基とオキシラン環又はオキセタン環の両方を有するモノマー化合物は、具体的には下記に例示することができる。R
3は前述と同様である。
【0039】
ヒドロキシ基、ラクトン環、ラクタム環、スルトン環、スルホン基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、カルボン酸アミド基、ニトロ基、シアノ基、チエニル基、フリル基、ピロール基、酸無水物基から選ばれる親水性基とオキシラン環又はオキセタン環の両方を有するモノマー化合物の添加量は、ベース樹脂100質量部に対して2〜1,000質量部、好ましくは5〜200質量部、更に好ましくは7〜100質量部の範囲である。これよりも少ないと添加によるコントラスト向上効果が見られない場合があり、多すぎると酸拡散距離が過大となって解像性が劣化するおそれがある。
【0040】
ここで、ベース樹脂を構成する酸不安定基で置換又は非置換のカルボキシル基及び/又はαトリフルオロメチルヒドロキシ基を除く酸不安定基で置換又は非置換のヒドロキシ基を有する繰り返し単位は、それぞれ下記一般式(1)中の繰り返し単位a1、a2で表すことができる。
【化10】
(式中、R
5、R
7は水素原子又はメチル基、R
6、R
9は水素原子又は酸不安定基、X
1は単結合、フェニレン基、ナフチレン基、又は−C(=O)−O−R
10−であり、R
10は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であって、エーテル基、エステル基、ラクトン環、ヒドロキシ基のいずれかを有していてもよく、あるいはフェニレン基もしくはナフチレン基であり、X
2は単結合、又はフェニレン基もしくはナフチレン基で、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子のいずれかを有していてもよく、あるいは−C(=O)−O−R
11−、−C(=O)−NH−R
11−、又は−O−R
11−、又は−S−R
11−であり、R
11は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であって、エーテル基、エステル基、ラクトン環、ヒドロキシ基のいずれかを有していてもよく、あるいはフェニレン基もしくはナフチレン基であって、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、炭素数2〜6アルケニル基、アルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子のいずれかを有していてもよい。R
8は単結合、炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜3価の脂肪族炭化水素基、又はフェニレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。0≦a1≦1.0、0≦a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0の範囲であり、nは1又は2である。)
【0041】
ここで、繰り返し単位a1、a2を得るためのモノマーMa1、Ma2は、それぞれ下記式で示される。
【化11】
(式中、R
5〜R
9、X
1、X
2、nは前述と同様である。)
【0042】
モノマーMa1のX
1を変えた構造は、具体的には下記に例示することができる。R
5、R
6は前述と同様である。
【化12】
【0043】
モノマーMa2のX
2、R
8を変えた構造は、具体的には下記に例示することができる。R
7、R
9は前述と同様である。
【化13】
【0058】
一般式(1)中のカルボキシル基を置換した酸不安定基R
6、ヒドロキシ基を置換した酸不安定基R
9は種々選定され、互いに同一であっても異なっていてもよいが、特に下記式(AL−10)で示される基、下記式(AL−11)で示されるアセタール基、下記式(AL−12)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【化28】
【0059】
式(AL−10)、(AL−11)において、R
51、R
54は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R
52、R
53は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10、特に1〜5の整数である。R
52とR
53、R
52とR
54、又はR
53とR
54はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
R
55、R
56、R
57はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR
55とR
56、R
55とR
57、又はR
56とR
57はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0060】
式(AL−10)で示される基を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【化29】
【0061】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R
58は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R
59は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R
60は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。a5は上記の通りである。
【0062】
前記式(AL−11)で示されるアセタール基を下記式(AL−11)−1〜(AL−11)−112に例示する。
【化30】
【0068】
また、酸不安定基として、下記一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で示される基が挙げられ、該酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化36】
【0069】
上記式中、R
61、R
62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R
61とR
62は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR
61、R
62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R
63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10の整数、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、又は炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0070】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−113〜(AL−11)−120のものが挙げられる。
【化37】
【0071】
次に、前記式(AL−12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16で示される基を挙げることができる。
【化38】
【0072】
上記式中、R
64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R
64同士が結合して環を形成してもよい。R
65、R
67は水素原子、又はメチル基、エチル基を示す。R
66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0073】
更に、酸不安定基として、下記式(AL−12)−17に示す基が挙げられ、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR
68を含む該酸不安定基によってベース樹脂が分子内あるいは分子間架橋されていてもよい。式(AL−12)−17のR
64は前述と同様、R
68は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は0〜3の整数である。式(AL−12)−17は酸不安定基R
6、R
9の全てに適用される。
【化39】
【0074】
なお、上述したR
64、R
65、R
66、R
67は酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【化40】
【0075】
特に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−19に示されるエキソ体構造を有するものが好ましい。
【化41】
(式中、R
69は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R
70〜R
75及びR
78、R
79はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価炭化水素基を示し、R
76、R
77は水素原子を示す。あるいは、R
70とR
71、R
72とR
74、R
72とR
75、R
73とR
75、R
73とR
79、R
74とR
78、R
76とR
77、又はR
77とR
78は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環(特に脂環)を形成していてもよく、その場合には環の形成に関与するものは炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基等の2価炭化水素基を示す。またR
70とR
79、R
76とR
79、又はR
72とR
74は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0076】
ここで、一般式(AL−12)−19に示すエキソ体構造を有する下記繰り返し単位
【化42】
を得るためのエステル体のモノマーとしては、特開2000−327633号公報に示されている。R
5は上記の通りである。具体的には下記に示すものを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0078】
更に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−20に示されるフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基を挙げることができる。
【化44】
(式中、R
80、R
81はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。又は、R
80、R
81は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R
82はフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基から選ばれる2価の基を示す。R
83は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。)
【0079】
フランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基で置換された繰り返し単位
【化45】
を得るためのモノマーとしては、下記に例示される。なお、R
5は上記の通りである。また、下記式中Meはメチル基、Acはアセチル基を示す。
【化46】
【0081】
前記式(AL−12)に示される三級アルキル基の酸不安定基として、環に直結した分岐アルキル基を有する場合、有機溶剤への溶解性が高い。このような酸不安定基は下記に例示することができる。なお、下記例において、括弧内から外部に突出している手が結合手を示す。
【化48】
【0083】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物は、一般式(1)の繰り返し単位a1、a2の酸不安定基を有する繰り返し単位を有することが好ましいが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、スルホン酸エステル基、ジスルホン基、カーボネート基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位bを共重合させてもよい。これらの中で、ラクトン環を密着性基として有するものが最も好ましく用いられる。
繰り返し単位bを得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【0094】
更に、下記一般式で示されるスルホニウム塩(c1)〜(c3)のいずれかを共重合することもできる。
【化59】
(式中、R
20、R
24、R
28は水素原子又はメチル基、R
21は単結合、フェニレン基、−O−R
33−、又は−C(=O)−Y−R
33−である。Yは酸素原子又はNH、R
33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R
22、R
23、R
25、R
26、R
27、R
29、R
30、R
31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z
0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R
32−、又は−C(=O)−Z
1−R
32−である。Z
1は酸素原子又はNH、R
32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M
-は非求核性対向イオンを表す。0≦c1≦0.4、0≦c2≦0.4、0≦c3≦0.4、0≦c1+c2+c3≦0.4の範囲である。)
【0095】
上記繰り返し単位以外には、特開2008−281980号公報に記載の非脱離性炭化水素基を有する繰り返し単位dを挙げることができる。特開2008−281980号公報に記載されていない非脱離性炭化水素基としてはインデン類、アセナフチレン類、ノルボルナジエン類を重合体として挙げることができる。非脱離性炭化水素基を有する繰り返し単位dを共重合することによって、有機溶剤現像液への溶解性を向上させることができる。
【0096】
更には、オキシラン環又はオキセタン環を有する繰り返し単位eを共重合することもできる。オキシラン環又はオキセタン環を有する繰り返し単位eを共重合することによって、露光部が架橋するために、露光部分の残膜特性とエッチング耐性が向上する。
オキシラン環又はオキセタン環を有する繰り返し単位eは、具体的には下記に例示される。なお、下記例中、R
41は水素原子又はメチル基である。
【0099】
上記繰り返し単位a1、a2、b、c1、c2、c3、d、eにおいて、繰り返し単位の比率は、0≦a1≦1.0、0≦a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0、0≦b<1.0、0≦c1≦0.4、0≦c2≦0.4、0≦c3≦0.4、0≦c1+c2+c3≦0.4、0≦d<0.4、0≦e≦0.4、好ましくは0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0.1≦a1+a2≦0.9、0.1≦b≦0.9、0≦c1≦0.3、0≦c2≦0.3、0≦c3≦0.3、0≦c1+c2+c3≦0.3、0≦d<0.3、0≦e≦0.3の範囲である。なお、a1+a2+b+c1+c2+c3+d+e=1である。
【0100】
本発明に用いられるレジストベースポリマーの重合方法としては、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加えて加熱重合を行い、共重合体の高分子化合物を得ることができる。
【0101】
重合時に使用する有機溶剤としてはトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。
【0102】
ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンの代わりにアセトキシスチレン、アセトキシビニルナフタレンを用い、重合後上記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシポリビニルナフタレンにする方法もある。
【0103】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0104】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物は、テトラヒドロフラン(THF)溶液によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると有機溶剤現像時に膜減りを生じ易くなったり、大きすぎると有機溶剤への溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0105】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト組成物を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーや直線状のポリマーをブレンドしたりすることも可能である。
【0106】
これら高分子化合物を合成するには、一つの方法としては繰り返し単位a1、a2、b、c1、c2、c3、d、eを得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加えて加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0107】
更には、カルボキシル基あるいはヒドロキシ基が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有するポリノルボルネン、シクロオレフィン無水マレイン酸、ROMPなどをブレンドすることも可能である。
【0108】
上記ベース樹脂を含有するレジスト組成物は、基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線をこのレジスト膜の所用部分に照射、露光し、加熱処理後に有機溶剤の現像液を用いて上記レジスト膜の未露光部分を溶解、露光部分が膜として残りホールやトレンチ等のネガティブトーンのレジストパターンを形成する。
【0109】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤、アセチレンアルコール類、その他の成分を含有することができる。
【0110】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、特に化学増幅レジスト組成物として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。この場合、光酸発生剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部とすることが好ましい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0111】
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。酸発生剤から発生してくる酸としては、スルホン酸、イミド酸、メチド酸を挙げることができる。これらの中でα位がフッ素化されたスルホン酸が最も一般的に用いられるが、α位がフッ素化されている場合の方がエポキシ基の反応性が高くなるので好適である。更には特開平11−52562号公報に記載のテトラアリールボレート、又はヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロホスファートを発生させる酸発生剤は、発生酸がエポキシの反応性を高めるルイス酸触媒なので、特に好適に用いることができる。但し、ヘキサフルオロアンチモネートは毒性の問題がある。ベースポリマーとして酸発生剤の繰り返し単位c1、c2、c3を共重合している場合は、添加型の酸発生剤は必ずしも必須ではない。
【0112】
酸発生剤として、特開2011−16746号公報に示されるベタイン型の酸発生剤を添加することもできる。このものは光分解後もカチオン部分がアニオンに結合しているためにカチオン分解物由来のアウトガスの発生が無いことと、発生した酸が未分解のベタイン酸発生剤と衝突すると、発生したスルホン酸がベタインのスルホネートとイオン交換して、スルホニウム塩を有する巨大な酸が生成され、これによって酸拡散が抑えられる。ベタイン型酸発生剤から発生したスルホン酸が未分解のベタイン酸発生剤と衝突する前は、比較的酸が拡散するためにこれによってレジストの感度とコントラストが向上するが、ベタインPAGと衝突した後はスルホン酸の分子量が倍加するので、酸拡散が極めて小さくなり、これによってMEEF(Mask Error Enhancement Factor)が小さくなる。PEB温度を低くすることによっても酸拡散距離を小さくすることができ、これによってMEEFの値を小さくすることができるが、この場合は感度とレジストのコントラストが低下する。ベタインPAGの添加は、酸拡散距離を非線形にすることによって、低酸拡散かつ高感度高コントラストの特性を得ることができる。
【0113】
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられる。アセタール系の酸不安定基を用いる場合は、アセタールの脱保護反応を加速させるために高沸点のアルコール系溶媒、具体的にはジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等を加えることもできる。
【0114】
本発明のレジスト組成物には、アミン類などの塩基性化合物を添加することもできる。塩基性化合物としては、特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカルバメート基を有する化合物を挙げることができる。
また、特開2008−158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸、及び特許第3991462号公報に記載のカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩をクエンチャーとして併用することもできる。
【0115】
界面活性剤は特開2008−111103号公報の段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤は特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は特開2008−122932号公報の段落[0179]〜[0182]に記載のものを用いることができる。
【0116】
スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物を添加することもできる。この添加剤はトップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。このような添加剤は特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有し、特開2007−297590号公報、特開2008−111103号公報に例示されている。レジスト組成物に添加される撥水性向上剤は、現像液の有機溶剤に溶解する必要がある。前述の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性の添加剤として、アミノ基やアミン塩を繰り返し単位として共重合した高分子化合物は、PEB中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。撥水性向上剤の添加量は、レジスト組成物のベース樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0117】
スピンコート後のレジスト表面に配向させる材料として特開2014−67012号公報に記載の芳香族基を有する繰り返し単位と、フッ素を有する繰り返し単位を共重合させた高分子化合物を添加することもできる。このものは、EB露光やEUV露光の真空中の露光において、レジスト表面からのアウトガスの放出をブロックさせる機能を有する。
【0118】
なお、有機溶剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。また、塩基性化合物の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.0001〜30質量部、特に0.001〜20質量部とすることが好ましい。
【0119】
本発明に係るパターニング方法は、
図1に示される。この場合、
図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工基板20に直接又は中間介在層30を介してレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜40を形成する。レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO
2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層30としては、SiO
2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
【0120】
次いで、
図1(B)に示すように露光50を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、波長13.5nmのEUV、電子ビーム(EB)が挙げられるが、中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光、EUV、EBが最も好ましく用いられる。ArF露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶剤として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜を形成する材料としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料が好ましい。この場合、保護膜形成用組成物は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位等のモノマーから得られるものが挙げられる。保護膜は有機溶剤の現像液に溶解する必要があるが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位からなる高分子化合物は前述の有機溶剤現像液に溶解する。特に、特開2007−25634号公報、特開2008−3569号公報に例示の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する保護膜材料の有機溶剤現像液に対する溶解性は高い。
【0121】
EUV、EB露光用に、保護膜を用いることもできる。この場合の保護膜は、露光中にレジスト膜から発生するアウトガスの低減や、EUV露光の場合は波長13.5nmの露光波長以外のアウトオブバンド(OOB)低減、アミンコンタミによる形状変形防止を目的とする。また、帯電防止を目的としたポリチオフェンやポリアニリン系の水溶性保護膜を形成することもできる。
【0122】
保護膜形成用組成物にアミン化合物又はアミン塩を配合あるいはアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物を用いることは、フォトレジスト膜の露光部から発生した酸の未露光部分への拡散を制御し、ホールの開口不良を防止する効果が高い。アミン化合物を添加した保護膜材料としては特開2008−3569号公報に記載の材料、アミノ基又はアミン塩を共重合した保護膜材料としては特開2007−316448号公報に記載の材料を用いることができる。アミン化合物、アミン塩としては、上記フォトレジスト添加用の塩基性化合物として詳述したものの中から選定することができる。アミン化合物、アミン塩の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部、特に0.02〜8質量部が好ましい。
【0123】
ArF液浸リソグラフィーにおいて、フォトレジスト膜形成後に純水リンス(ポストソーク)を行うことによってレジスト膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。PEB中に露光部から蒸発した酸が未露光部に付着し、未露光部分の表面の保護基を脱保護させると、現像後のホールの表面がブリッジして閉塞する可能性がある。特にネガティブ現像におけるホールの外側は、光が照射されて酸が発生している。PEB中にホールの外側の酸が蒸発し、ホールの内側に付着するとホールが開口しないことが起きる。酸の蒸発を防いでホールの開口不良を防ぐために保護膜を適用することは効果的である。更に、アミン化合物又はアミン塩を添加した保護膜は、酸の蒸発を効果的に防ぐことができる。一方、カルボキシル基やスルホ基等の酸化合物を添加、あるいはカルボキシル基やスルホ基を有するモノマーを共重合したポリマーをベースとした保護膜を用いた場合は、ホールの未開口現象が起きることがあり、このような保護膜を用いることは好ましくない。
【0124】
このように、本発明においては、一般式(1)で示される親水性基を有するオキシラン基又はオキセタン基を有する化合物と、酸不安定基で置換又は非置換の一般式(2)で示されるカルボキシル基及び/又はヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含有する高分子化合物と、必要に応じて酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に保護膜を形成し、高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることが好ましく、この場合、保護膜を形成する材料として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとしてアミノ基又はアミン塩を有する化合物を添加した材料、あるいは前記高分子化合物中にアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した材料をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料を用いることが好ましい。
【0125】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位としては、[化56]、[化57]、[化58]で示したモノマーの内、ヒドロキシ基を有するモノマーを挙げることができる。
【0126】
アミノ基を有する化合物としては、フォトレジスト組成物に添加される特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載のアミン化合物を用いることができる。
アミン塩を有する化合物としては、前記アミン化合物のカルボン酸塩又はスルホン酸塩を用いることができる。
炭素数4以上のアルコール系溶剤としては、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールを挙げることができる。
炭素数8〜12のエーテル系溶剤としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルを挙げることができる。
【0127】
露光における露光量は1〜200mJ/cm
2程度、好ましくは10〜100mJ/cm
2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0128】
更に、
図1(C)に示されるように有機溶剤の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより未露光部分が溶解するネガティブパターンが基板上に形成される。このときの現像液としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノンのケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸2−メチルブチル、酢酸3−メチルブチル、カプロン酸エチル、酢酸ヘキシル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−メチル酪酸イソプロピル、3−メチル酪酸イソアミル、2−メチルペンタン酸エチル、2−メチルペンタン酸プロピル、2−メチルペンタン酸ブチル、ヘプタン酸アリル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルのエステル類を好ましく用いることができる。現像液は上記現像液の1種以上を用いることができ、複数種を任意の割合で混合することができる。現像液に界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤の種類としては、レジストに添加するものと同じ種類を適用することができる。
【0129】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0130】
具体的に、炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどが挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどが挙げられ、炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチンなどが挙げられ、炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールなどが挙げられる。
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤が挙げられる。
前述の溶剤に加えてトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。
リンスを行うことによってレジストパターンの倒れや欠陥の発生を低減させることができる。また、リンスは必ずしも必須ではなく、リンスを行わないことによって溶剤の使用量を削減することができる。
【0131】
反転後のホールパターンをRELACS
TM技術でシュリンクすることもできる。ホールパターン上にシュリンク剤を塗布し、ベーク中のレジスト層からの酸触媒の拡散によってレジストの表面でシュリンク剤の架橋が起こり、シュリンク剤がホールパターンの側壁に付着する。ベーク温度は70〜180℃、好ましくは80〜170℃で、時間は10〜300秒であり、余分なシュリンク剤を除去しホールパターンを縮小させる。
【0132】
ネガティブトーン現像によってホールパターンを形成する場合、X、Y方向の2回のラインパターンのダイポール照明による露光を行うことが最もコントラストが高い光を用いることができる。ダイポール照明に併せてs偏光照明を加えると、更にコントラストを上げることができる。
【0133】
特開2011−170316号公報の段落[0097]に記載のようにハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することもできる。格子状パターンが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることが好ましい。この場合、ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成すること、あるいはハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することが好ましい。
【0134】
以下、更に詳述すると、X、Y方向のラインを2回のダイポール照明と偏光照明を組み合わせた露光は、最も高コントラストの光が形成される方法であるが、2回の露光とその間のマスクの交換によってスループットが大幅に低下する欠点がある。マスクを交換しながら2回の露光を連続して行うためには、露光装置側のマスクのステージを2つ設ける必要があるが、現在の露光装置のマスクのステージは1つである。この場合、1枚露光する毎にマスクを交換するのではなく、FOUP(ウエハーケース)に入った25枚ウエハーをX方向のラインの露光を連続して行い、次にマスクを交換して同じ25枚のウエハーを連続してY方向のラインの露光を行う方がスループットを上げることができる。しかしながら、25枚のウエハーの最初のウエハーが次の露光されるまでの時間が長くなることによって環境の影響で現像後のレジスト膜の寸法や形状が変化してしまう問題が生じる。2回目の露光までのウエハー待機中の環境の影響を遮断するために、レジスト膜の上層に保護膜を敷くことが有効である。
マスクを1枚で済ませるために、格子状のパターンのマスクを用いてX、Y方向のそれぞれのダイポール照明で2回露光する方法が提案されている(前述非特許文献1)。この方法では、前述の2枚のマスクを用いる方法に比べると光学コントラストが若干低下するが、1枚のマスクを用いることができるためにスループットが向上する。前述の非特許文献1では、格子状のパターンのマスクを用いてX方向のダイポール照明によってX方向のラインを形成し、光照射によってX方向のラインを不溶化し、この上にもう一度フォトレジスト組成物を塗布し、Y方向のダイポール照明によってY方向のラインを形成し、X方向のラインとY方向のラインの隙間にホールパターンを形成している。この方法では、マスクは1枚で済むが、2回の露光の間に1回目のフォトレジストパターンの不溶化処理と2回目のフォトレジストの塗布と現像のプロセスが入るために、2回の露光間にウエハーが露光ステージから離れ、このときにアライメントエラーが大きくなる問題が生じる。2回の露光間のアライメントエラーを最小にするためには、ウエハーを露光ステージから離さずに連続して2回の露光を行う必要がある。ダイポール照明にs偏光照明を加えると更にコントラストが向上するので好ましく用いられる。格子状のマスクを用いてX方向のラインとY方向のラインを形成する2回の露光を重ねて行ってネガティブトーンの現像を行うと、ホールパターンが形成される。
格子状のマスクを用いて1回の露光でホールパターンを形成する場合は、4重極照明(クロスポール照明)を用いる。これにX−Y偏光照明あるいは円形偏光のAzimuthally偏光照明を組み合わせてコントラストを向上させる。
【0135】
本発明の組成物を用いたホールパターンの形成方法では、露光を2回行う場合、1回目の露光と2回目の露光の照明とマスクを変更して露光を行う方法が最も高コントラストで微細なパターンを寸法均一性よく形成できる。1回目の露光と2回目の露光に用いられるマスクは1回目のラインパターンと2回目のラインとが交差した交点に現像後のレジストのホールパターンを形成する。1回目のラインと2回目のラインの角度は直交が好ましいが、90度以外の角度でも構わなく、1回目のラインの寸法と2回目のラインの寸法やピッチが同じであっても異なってもよい。1回目のラインと、これと異なる位置に2回目のラインが1枚のマスクに有するマスクを用いて1回目の露光と2回目の露光を連続露光することも可能であるが、この場合露光できる最大の面積が半分になる。但し連続露光を行う場合は、アライメントエラーを最小にすることができる。もちろん1回の露光では、2回の連続露光よりもアライメントのエラーを小さくすることができる。
1枚のマスクを用いて、露光面積を縮小することなく2回の露光を行うためには、マスクパターンとしては、格子状のパターンを用いる場合、ドットパターンを用いる場合、ドットパターンと格子状パターンを組み合わせる場合がある。
格子状のパターンを用いる方が最も光のコントラストが向上するが、光の強度が低下するためにレジスト膜の感度が低下する欠点がある。一方ドットパターンを用いる方法は光のコントラストが低下するが、レジスト膜の感度が向上するメリットがある。
ホールパターンが水平と垂直方向に配列されている場合は前記の照明とマスクパターンを用いるが、これ以外の角度例えば45度の方向に配列している場合は、45度に配列しているパターンのマスクとダイポール照明あるいはクロスポール照明を組み合わせる。
2回の露光を行う場合はX方向ラインのコントラストを高めるダイポール照明に偏光照明を組み合わせた露光と、Y方向ラインのコントラストを高めるダイポール照明に偏光照明を組み合わせた2回の露光を行う。1枚のマスクを用いてX方向とY方向のコントラストを強調した2回の連続した露光は、現在の市販のスキャナーで行うことが可能である。
格子状のパターンのマスクを使って、X、Yの偏光照明とクロスポール照明を組み合わせる方法は、2回のダイポール照明の露光に比べると若干光のコントラストが低下するものの1回の露光でホールパターンを形成することができ、かなりのスループットの向上が見込まれるし、2回露光によるアライメントずれの問題は回避される。このようなマスクと照明を用いれば、実用的なコストで40nmクラスのホールパターンを形成することが可能になる。
【0136】
格子状のパターンが配されたマスクでは、格子の交点が強く遮光される。このようなパターンのマスクを用いて露光を行い、ポジネガ反転を伴う有機溶剤による現像を行うことによって微細なホールパターンを形成することができる。
ドットパターンが配置されたマスクにおける光学像コントラストは格子状パターンのマスクに比べて低くなるものの、黒い遮光部分が存在するためにホールパターンの形成は可能である。
ピッチや位置がランダムに配列された微細なホールパターンの形成が困難である。密集パターンは、ダイポール、クロスポール等の斜入射照明に位相シフトマスクと偏光を組み合わせた超解像技術によってコントラストを向上することができるが、孤立パターンのコントラストはそれほど向上しない。
【0137】
密集の繰り返しパターンに対して超解像技術を用いた場合、孤立パターンとの粗密(プロキシミティー)バイアスが問題になる。強い超解像技術を使えば使うほど密集パターンの解像力が向上するが、孤立パターンの解像力は変わらないために、粗密バイアスが拡大する。微細化に伴うホールパターンにおける粗密バイアスの増加は深刻な問題である。粗密バイアスを抑えるために、一般的にはマスクパターンの寸法にバイアスを付けることが行われている。粗密バイアスはフォトレジスト組成物の特性、即ち、溶解コントラストや酸拡散によっても変わるために、フォトレジスト組成物の種類毎にマスクの粗密バイアスが変化する。フォトレジスト組成物の種類毎に粗密バイアスを変えたマスクを用いることになり、マスク製作の負担が増している。そこで、強い超解像照明で密集ホールパターンのみを解像させ、パターンの上に1回目のポジ型レジストパターンを溶解させないアルコール溶剤のネガ型レジスト膜を塗布し、不必要なホール部分を露光、現像することによって閉塞させて密集パターンと孤立パターンの両方を作製する方法(Pack and unpack;PAU法)が提案されている(Proc. SPIE Vol. 5753 p.171(2005))。この方法の問題点は、1回目の露光と2回目の露光の位置ずれが挙げられ、この点については文献の著者も指摘している。また、2回目の現像で塞がれないホールパターンは2回現像されることになり、これによる寸法変化も問題として挙げられる。
【0138】
ランダムピッチのホールパターンをポジネガ反転の有機溶剤現像で形成するためには、特開2011−170316号公報の段落[0102]に記載の格子状のパターンが全面に配列され、ホールを形成する場所だけに格子の幅を太くしたマスクを用いる。
同じく格子状のパターンを全面に配列し、ホールを形成する場所だけに太いドットを配置したマスクを用いることもできる。
格子状パターンが配列されていないマスクを用いた場合はホールの形成が困難であるか、もし形成できたとしても光学像のコントラストが低いために、マスク寸法のバラツキがホールの寸法のバラツキに大きく反映する結果となる。
【実施例】
【0139】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、下記例において、分子量及び分散度はテトラヒドロフラン(THF)溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。なお、分子量及び分散度はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0140】
レジスト組成物の調製
下記高分子化合物(レジストポリマー)を用いて、下記表1,3,5に示す組成で溶解させた溶液を0.2μmサイズのフィルターで濾過してそれぞれレジスト溶液を調製した。
表中の各組成は次の通りである。
【0141】
親水性基含有オキシラン化合物又はオキセタン化合物:AA1〜AA9(下記構造式参照)
【化62】
【0142】
酸発生剤:PAG1〜PAG6(下記構造式参照)
【化63】
【0143】
レジストポリマー1
分子量(Mw)=9,600
分散度(Mw/Mn)=1.10
【化64】
【0144】
レジストポリマー2
分子量(Mw)=9,800
分散度(Mw/Mn)=1.66
【化65】
【0145】
レジストポリマー3
分子量(Mw)=9,300
分散度(Mw/Mn)=1.60
【化66】
【0146】
レジストポリマー4
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化67】
【0147】
レジストポリマー5
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化68】
【0148】
レジストポリマー6
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化69】
【0149】
レジストポリマー7
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.70
【化70】
【0150】
レジストポリマー8
分子量(Mw)=8,200
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化71】
【0151】
レジストポリマー9
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化72】
【0152】
レジストポリマー10
分子量(Mw)=7,900
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化73】
【0153】
レジストポリマー11
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.67
【化74】
【0154】
レジストポリマー12
分子量(Mw)=7,200
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化75】
【0155】
レジストポリマー13
分子量(Mw)=9,900
分散度(Mw/Mn)=1.91
【化76】
【0156】
比較レジストポリマー1
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化77】
【0157】
塩基性化合物:Quencher1、弱酸発生剤化合物:Quencher2,3(下記構造式参照)
【化78】
【0158】
撥水性ポリマー1(下記構造式参照)
【化79】
【0159】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
GBL(γ−ブチロラクトン)
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
PGEE(プロピレングリコールモノエチルエーテル)
【0160】
KrF露光評価
下記表1に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに日産化学工業(株)製反射防止膜DUV−42を61nmの膜厚で成膜したSi基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをKrFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S203B、NA0.68、σ0.73、通常照明)を用いて露光量を変化させながらオープンフレーム露光を行い、露光後表2に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、表2記載の現像液で静止パドル現像を30秒間行った。
溶剤現像の膜厚を光学式膜厚計で測定した。露光量を上げていったときに膜厚が増加し始める露光量を求め、膜厚が増加する領域の感度と膜厚の傾き(γ)を求めた。結果を表2に示す。
【0161】
【表1】
【0162】
【表2】
【0163】
ArF露光パターニング評価
表3に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを80nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ100nm,幅50nmのラインアンドスペースパターン)により露光量を変化させながら露光を行い、露光後表4に記載の温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから表4に記載の現像液を3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、4−メチル−2−ペンタノールでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させ、ネガ型のパターンを得た。
溶剤現像のイメージ反転されたスペースパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(CG−4000)で測定し、50nm±5nmになっているスペース部分のエッジラフネス(LWR)と、露光量を上げていった時にブリッジ無しで開口している最小スペース寸法を求めた。結果を表4に示す。
【0164】
【表3】
【0165】
【表4】
【0166】
電子ビーム描画評価
描画評価では、上記で合成した高分子化合物を用いて、表5に示される組成で溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してポジ型レジスト組成物を調製した。
得られたポジ型レジスト組成物を直径6インチφのSi基板上に、クリーントラックMark 5(東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコートし、ホットプレート上で110℃で60秒間プリベークして100nmのレジスト膜を作製した。これに、(株)日立製作所製HL−800Dを用いてHV電圧50keVで真空チャンバー内描画を行った。
描画後直ちにクリーントラックMark 5(東京エレクトロン(株)製)を用いてホットプレート上で60秒間ポストエクスポージャベーク(PEB)を行い、表6記載の現像液で20秒間パドル現像を行い、ネガ型のパターンを得た。
得られたレジストパターンを次のように評価した。
120nmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量における最小の寸法を解像力とした。レジスト組成とEB露光における感度、解像度の結果を表6に示す。
【0167】
【表5】
【0168】
【表6】