特許第6237563号(P6237563)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱レイヨン株式会社の特許一覧

特許6237563易重合性化合物の貯蔵タンク設備及び貯蔵方法
<>
  • 特許6237563-易重合性化合物の貯蔵タンク設備及び貯蔵方法 図000002
  • 特許6237563-易重合性化合物の貯蔵タンク設備及び貯蔵方法 図000003
  • 特許6237563-易重合性化合物の貯蔵タンク設備及び貯蔵方法 図000004
  • 特許6237563-易重合性化合物の貯蔵タンク設備及び貯蔵方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237563
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】易重合性化合物の貯蔵タンク設備及び貯蔵方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/42 20060101AFI20171120BHJP
   C07C 57/07 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C07C51/42
   C07C57/07
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-208025(P2014-208025)
(22)【出願日】2014年10月9日
(65)【公開番号】特開2016-79093(P2016-79093A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】小川 寧之
【審査官】 鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−063070(JP,A)
【文献】 特開2003−183218(JP,A)
【文献】 特開2001−233820(JP,A)
【文献】 特開昭61−275231(JP,A)
【文献】 特開2014−144926(JP,A)
【文献】 実開平06−003895(JP,U)
【文献】 実開昭54−155624(JP,U)
【文献】 特開昭61−275232(JP,A)
【文献】 特開昭60−048938(JP,A)
【文献】 特開昭55−107679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 51/42
C07C 57/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
易重合性化合物の液を貯蔵するための貯蔵タンク設備であって、
円筒状のタンク本体と、
該タンク本体内の液を流入口から吸引し、少なくとも1つの流出口から該タンク本体内に流出させる循環ラインと、
該循環ライン内に設けられたポンプ及び冷却器と
を有する貯蔵タンク設備において、
前記流出口として、前記タンク本体の底部において上方を指向して開口する第1の流出口と、前記タンク本体の内周面近傍に配置された第2の流出口とを備えており、
該第2の流出口は、前記液をタンク本体の内周面に沿う方向に流出させる方向を指向して開口していることを特徴とする易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【請求項2】
前記第1の流出口はタンク本体の底部の中心部に設置されている請求項1に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【請求項3】
前記第1の流出口はジェットノズルを具備する請求項1又は2に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【請求項4】
前記タンク本体に、設置高さが異なる複数の温度センサが設置されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【請求項5】
前記タンク本体の容量が500m以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【請求項6】
前記易重合性化合物が(メタ)アクリル酸である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【請求項7】
前記第2の流出口の指向方向は水平方向であり、かつ該第2の流出口の先端と前記タンク本体の中心とを結ぶ線の延長線が該タンク本体内周面に交わる点における該タンク本体内周面の接線と、該第2の流出口からの液の流出方向との交差角度が−30°〜30°である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【請求項8】
前記第2の流出口はジェットノズルを具備する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【請求項9】
前記流入口と前記第2の流出口とは前記タンク本体の周方向において互いに逆方向に開口しており、該流入口の先端と前記タンク本体の中心とを結ぶ線と、該第2の流出口の先端と該タンク本体の中心とを結ぶ線との交差角度が90°以下である請求項乃至のいずれか1項に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【請求項10】
前記流入口の指向方向は水平方向であり、かつ該流入口の先端と前記タンク本体の中心とを結ぶ線の延長線が該タンク本体内周面に交わる点における該タンク本体内周面の接線と、該流入口への液の流入方向との交差角度が−30°〜30°である請求項に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【請求項11】
前記流入口は、先端側ほど拡開した構造である請求項又は10に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【請求項12】
請求項乃至11のいずれか1項に記載の貯蔵タンク設備によって、前記タンク本体内の易重合性化合物の液を前記循環ラインで循環させながら貯蔵する易重合性化合物の貯蔵方法であって、該タンク本体内の易重合性化合物の液面が前記第2の流出口よりも上にある易重合性化合物の貯蔵方法。
【請求項13】
前記タンク本体内の易重合性化合物の液高に応じて、前記第1の流出口における流出量を調整する請求項12に記載の易重合性化合物の貯蔵方法。
【請求項14】
前記第1の流出口はジェットノズルを具備するものであり、該ジェットノズル出口における圧力損失が30〜500kPaである請求項12又は13に記載の易重合性化合物の貯蔵方法。
【請求項15】
前記易重合性化合物が(メタ)アクリル酸である請求項12乃至14のいずれか1項に記載の易重合性化合物の貯蔵方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリル酸類等の易重合性化合物の貯蔵タンク設備及び該貯蔵タンク設備を用いた易重合性化合物の貯蔵方法に関する。
尚、本明細書において、(メタ)アクリル酸類とは、(メタ)アクリル酸及びこれらの酸とアルコールとから得られる(メタ)アクリル酸エステルを総称するものであり、そのうち少なくとも一種を指す。
【背景技術】
【0002】
易重合性化合物、例えば(メタ)アクリル酸類を貯蔵タンク等で貯蔵する際には、その重合を防止するために、重合禁止剤の添加や、酸素含有ガスの吹き込みが行われている。また、貯蔵中の(メタ)アクリル酸類を貯蔵タンクから抜き出して再び戻す循環ラインを設け、この循環ラインで(メタ)アクリル酸類を冷却して温度を均一化させたり、添加した重合禁止剤の濃度を均一化させたりすることも行われている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、アクリル酸やそのエステル化合物にフェノチアジン、ヒドロキノン等の重合防止剤を添加することにより安定化させ、酸素含有ガスの存在下に保存することが記載されている。
【0004】
特許文献1では、貯蔵タンク内の熱重合性モノマーの熱重合を防止するため、貯蔵タンク内に冷却パイプを設け、貯蔵タンク外部より冷却用熱媒体を循環させて、熱重合性モノマーを冷却している。
【0005】
また、特許文献2、特許文献3には、循環ラインを具備した(メタ)アクリル酸等を貯蔵する貯蔵タンクが開示されており、循環ラインの中途で熱交換器により循環液を冷却している。
【0006】
特許文献4には、アクリル酸等を含む高粘度液を貯蔵する貯蔵タンクの内液を循環ラインにより循環させるとともに、貯蔵タンク内液をプロペラ式撹拌機により撹拌することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−48938号公報
【特許文献2】特開2003−183218号公報
【特許文献3】特開2001−233820号広報
【特許文献4】特開2001−233396号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、5版A1巻、P169
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、以下の通り、これら従前の技術は、いずれも、十分に満足し得るものとは言えない。
【0010】
非特許文献1の方法では、保存時間が長くなると、重合防止剤の継時的な消費等により重合反応が起こり易くなる。この非特許文献1には、重合反応発生の主要因である液温上昇を抑制することについては記載されていない。
特許文献1には、熱重合性モノマーを冷却することの記載はあるが、タンク内の熱重合性モノマー全体をいかに均一に冷却するかについては記載も示唆もない。特許文献1における冷却パイプからの伝熱で冷却された周囲のタンク内保存液は、冷却に伴う液比重の増加によりタンク底部に沈降する。貯蔵タンクへの入熱は太陽光照射が最たるものであり、これによりタンク内液面付近の液が最も温められる。温められて比重の小さくなった液は液面付近に留まり、更に温められる。つまり保存液の温度差は拡大することとなる。冷却パイプをタンク内の高い位置にも設置することで、液面付近の冷却も可能だが、保存液量が少なくなると該冷却パイプ及びそれを固定する部材の一部がタンク内気相部に露出し、該露出部に付着した液がその長い滞留時間により重合物を生じることになる。特に揮発した重合性モノマーが該露出部で冷却された場合、凝縮液は重合防止剤を含んでおらず、より短時間で重合物を生じることになる。
【0011】
特許文献2も特許文献1と同様に、易重合性化合物を冷却することの記載はあるが、貯蔵タンクの内液を均一に冷却することの開示がない。単に循環ラインでタンク内の液を冷却して循環させても、タンク内の液温を均一化することは難しい。
【0012】
特許文献3では、貯蔵タンクに対する循環ラインの液導入管と液抜出管の位置を離すことで、タンク内における循環液のショートパスを防ぎ、液混合性を高めることが記載されているが、貯蔵タンク内に循環ラインからの戻り液の上昇流を形成してタンク内液を均一に冷却することの開示はない。
【0013】
特許文献4では、撹拌により貯蔵タンク内液の均一化を図っている。タンク容量が小さい場合には、貯蔵タンク内の液を撹拌することで均一化が可能である。しかし、貯蔵タンク容量が大きい場合には、撹拌のみでは、均一化を図ることは難しい。タンクの容量に応じた撹拌動力とすることにより、撹拌翼近傍では撹拌効果を得ることは可能であるが、撹拌翼外周部に滞留部が生じることは避けられない。また、貯蔵タンク容量が増大すると、撹拌のみでは貯蔵タンク内液の上層部と下層部とを効率的に混合することは困難となる。更に、容量500m以上の大容量の貯蔵タンクでは、翼長が6mを超える撹拌翼の設計となり、費用及び維持管理の点から現実的ではない。
【0014】
本発明は上記従来の問題点を解決し、(メタ)アクリル酸類等の易重合性化合物を貯蔵タンク内に貯蔵するに際し、タンク液面高さやタンク容量によらず、タンク内液及びその液温の均一化を促進し、局所的な滞留部分の発生を抑制することにより重合反応を防止し、長期間安定的に易重合性化合物を保存することができる易重合性化合物の貯蔵タンク設備と、この貯蔵タンク設備を用いた易重合性化合物の貯蔵方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、(メタ)アクリル酸類等の易重合性化合物の液を貯蔵する、循環ラインを具備した貯蔵タンク設備において、循環ライン出口(即ち、循環ラインにより循環した液をタンク本体内に流出させる流出口)の設置位置と開口の指向方向を特定の構成とすることにより、貯蔵容量の大きい貯蔵タンク設備であっても、タンク本体内液の局所的な滞留を防止して容易に液温を均一化することが可能となり、易重合性化合物を長期間安定的に貯蔵できることを見出した。
【0016】
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0017】
[1] 易重合性化合物の液を貯蔵するための貯蔵タンク設備であって、円筒状のタンク本体と、該タンク本体内の液を流入口から吸引し、少なくとも1つの流出口から該タンク本体内に流出させる循環ラインと、該循環ライン内に設けられたポンプ及び冷却器とを有する貯蔵タンク設備において、前記流出口として、前記タンク本体の底部において上方を指向して開口する第1の流出口と、前記タンク本体の内周面近傍に配置された第2の流出口とを備えており、該第2の流出口は、前記液をタンク本体の内周面に沿う方向に流出させる方向を指向して開口していることを特徴とする易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【0018】
[2] 前記第1の流出口はタンク本体の底部の中心部に設置されている[1]に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【0019】
[3] 前記第1の流出口はジェットノズルを具備する[1]又は[2]に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【0020】
[4] 前記タンク本体に、設置高さが異なる複数の温度センサが設置されている[1]乃至[3]のいずれかに記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【0021】
[5] 前記タンク本体の容量が500m以上である[1]乃至[4]のいずれかに記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【0022】
[6] 前記易重合性化合物が(メタ)アクリル酸である[1]乃至[5]のいずれかに記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【0024】
] 前記第2の流出口の指向方向は水平方向であり、かつ該第2の流出口の先端と前記タンク本体の中心とを結ぶ線の延長線が該タンク本体内周面に交わる点における該タンク本体内周面の接線と、該第2の流出口からの液の流出方向との交差角度が−30°〜30°である[乃至[6]のいずれかに記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【0025】
] 前記第2の流出口はジェットノズルを具備する[乃至のいずれかに記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【0026】
] 前記流入口と前記第2の流出口とは前記タンク本体の周方向において互いに逆方向に開口しており、該流入口の先端と前記タンク本体の中心とを結ぶ線と、該第2の流出口の先端と該タンク本体の中心とを結ぶ線との交差角度が90°以下である[]乃至[]のいずれかに記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【0027】
10] 前記流入口の指向方向は水平方向であり、かつ該流入口の先端と前記タンク本体の中心とを結ぶ線の延長線が該タンク本体内周面に交わる点における該タンク本体内周面の接線と、該流入口への液の流入方向との交差角度が−30°〜30°である[]に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【0028】
11] 前記流入口は、先端側ほど拡開した構造である[]又は[10]に記載の易重合性化合物の貯蔵タンク設備。
【0029】
12] []乃至[11]のいずれかに記載の貯蔵タンク設備によって、前記タンク本体内の易重合性化合物の液を前記循環ラインで循環させながら貯蔵する易重合性化合物の貯蔵方法であって、該タンク本体内の易重合性化合物の液面が前記第2の流出口よりも上にある易重合性化合物の貯蔵方法。
【0030】
13] 前記タンク本体内の易重合性化合物の液高に応じて、前記第1の流出口における流出量を調整する[12]に記載の易重合性化合物の貯蔵方法。
【0031】
14] 前記第1の流出口はジェットノズルを具備するものであり、該ジェットノズル出口における圧力損失が30〜500kPaである[12]又は[13]に記載の易重合性化合物の貯蔵方法。
【0032】
15] 前記易重合性化合物が(メタ)アクリル酸である[12]乃至[14]のいずれかに記載の易重合性化合物の貯蔵方法。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、(メタ)アクリル酸類等の易重合性化合物をタンク内に貯蔵するに際し、貯蔵容量の大きい貯蔵タンク設備であっても、またタンク内の液高によらず、局所的な滞留部分の発生を抑制することが可能となり、タンク本体内の液及びその液温の均一化を促進することができるため、易重合性化合物の重合反応を抑制して、長期間安定的に貯蔵することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の貯蔵タンク設備の実施の形態の一例を示す模式的な系統図である。
図2図1の貯蔵タンク設備の第1の流出口と第2の流出口の設置位置を示すタンク本体下部の断面斜視図である。
図3図1の貯蔵タンク設備の第2の流出口と流入口の設置位置を示すタンク本体の水平断面の模式図である。
図4】本発明の貯蔵タンク設備の実施の形態の別の例を示す循環ライン部分の模式的な系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の易重合性化合物の貯蔵タンク設備及び貯蔵方法の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明するが、本発明は、何ら以下の説明の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変更して実施することができる。
また、以下において、易重合性化合物としてアクリル酸を貯蔵する態様について説明するが、本発明は、アクリル酸に限らず、(メタ)アクリル酸類等の易重合性化合物の貯蔵に適用することができる。
【0036】
図1は、本発明の貯蔵タンク設備の実施の形態の一例を示す模式的な系統図であり、図2は、図1の貯蔵タンク設備の第1の流出口と第2の流出口の設置位置を示すタンク本体下部の断面斜視図である。図3は、図1の貯蔵タンク設備の第2の流出口と流入口の設置位置を示すタンク本体の水平断面の模式図である。
【0037】
図1において、1はタンク本体であり、該タンク本体1には循環ライン2が接続されている。この循環ライン(第1の循環ライン)2には循環ポンプ3と冷却器(熱交換器)4が組み込まれており、配管2A,2B,2Cで構成される。
6は貯蔵液の受け入れライン、7は貯蔵液の送り出しラインであり、それぞれバルブ6A,7Aが設けられている。バルブ6Aの吐出側とバルブ7Aの吸入側直近で各々ライン6,7から分岐する第2の循環ライン5が設けられている。図1中、Lは貯蔵液の液面である。
以下、循環ライン2の循環配管2Aを経てタンク本体1から抜き出される液を「循環流出液」と称し、循環ライン2を経てタンク本体1に戻される液を「循環戻り液」と称す場合がある。
【0038】
タンク本体1の形状は円筒状である。円筒状であることにより、大量のアクリル酸を貯蔵しても、タンク本体に局所的な負荷を与えることなく、長期間耐用が可能となる。
【0039】
アクリル酸製造工程等で得られた易重合性化合物であるアクリル酸は、受け入れライン6のバルブ6Aを通過してタンク本体1に供給される。タンク本体1に供給されたアクリル酸は、貯蔵中の重合、品質の劣化を防止するために、循環ポンプ3により、循環ライン2を介して循環される。貯蔵後のアクリル酸は、送り出しライン7のバルブ7Aを通過して次工程に移送される。また、受け入れライン6や送り出しライン7で液が滞留するのを防ぐ為、第2の循環ライン5によりタンク本体1内の液が循環される。受け入れライン6や送り出しライン7が複数ある場合も同様である。図1では、第2の循環ライン5の循環は、第1の循環ライン2の循環ポンプ3により行われ、第1の循環ライン2と第2の循環ライン5とで、1台の循環ポンプ3を供用する構成とされているが、各々、別の循環ポンプを用いる場合もある。
【0040】
タンク本体1内のアクリル酸の循環流出液は、循環配管2A、循環ポンプ3、循環配管2B、冷却器4、循環配管2Cを経由した後、循環戻り液は、タンク本体1の底部に設置された循環ライン出口である第1の流出口よりタンク本体1内に戻される。好ましくは、循環戻り液は、配管2Cから分岐する配管2Caと2Cbを経てタンク本体1の底部に設置された第1の流出口11と、タンク本体1の内周面(壁面)近傍に設けられた第2の流出口12との2つの流出口からそれぞれタンク本体1内に戻される。この際、循環ライン2に設けられた冷却器4による冷却温度は、易重合性化合物に応じて適宜決定されるが、(メタ)アクリル酸類であれば、タンク本体1内の液温が15〜25℃に保たれるように、冷却器4で循環液が冷却される。
【0041】
第1の流出口11は、図2に示すように、タンク本体1の底部において、上方を指向し、好ましくは鉛直上向きに開口するものである。この第1の流出口11は、好ましくはタンク本体1の底部の中心部に設けられる。また、第1の流出口11は、ジェットノズルを具備することが好ましい。
ここでいうジェットノズルとは、吐出液の流速を速める為の装置であり、該装置内におけるプロセス流体の圧力損失を運動エネルギー、つまり吐出速度に変換するものを指す。
【0042】
第1の流出口11は、貯蔵液量が少ない場合でも液面上に露出することがないよう、また支持部材による滞留部を最小化するために、可能な限りタンク本体1の底面近傍に設けることが好ましく、例えば、その吐出開口部がタンク本体1の底面から10〜60cm程度の高さ位置となるように設けられることが好ましい。また、第1の流出口11は、タンク本体1の底部の中心部、即ち、タンク本体1の底部の中心から、底面の半径の1/5以下の半径の円で囲まれた範囲内に設けられていることが好ましい。
【0043】
このように、タンク本体1の底部において上方を指向して開口する第1の流出口11より循環戻り液をタンク本体1内に流出させることにより、タンク本体1内に貯蔵液の良好な上昇流を形成することができ、温度差による液比重の違いから循環戻り液が底部に留まることを防止し、上下方向の液温差を低減することが可能となる。
【0044】
この第1の流出口11からの上昇流によって、液温が低く液比重の大きい循環戻り液を上方へ押し上げる効果をより良好なものとするために、第1の流出口11にジェットノズルを設け、ジェットノズルにおける圧力損失を30〜500kPa、特に30〜300kPa程度に制御することが好ましい。この圧力損失が低すぎると吐出液の運動エネルギーが不十分となり、タンク本体1内の液深による圧力に打ち勝って循環戻り液を上方に押し上げることが出来ず、上下方向の温度差を充分に低減することが出来ない。反対に圧力損失が高すぎると液面を激しく波立たせ、生じた液滴がタンク本体1内の気相部に面したタンク本体内壁面に付着し、やがて重合物を生じることとなる。
【0045】
第1の流出口11からの循環戻り液の流出量は、タンク本体内の貯蔵液の液量、即ち、液高(タンク本体底面からの高さ)に応じて調整することが好ましい。図1の貯蔵タンク設備では、例えば、タンク本体1内に設置したレベル計等により、タンク本体1内の貯蔵液の液高を常時監視し、該液高に応じて、ライン2Caと2Cbの分岐点に設けられたバルブ(図示無し)を調節することにより、第1の流出口11からの循環戻り液の流出量を調整することができる。このように、タンク本体1内の液高に応じて、第1の流出口11からの循環戻り液の流出量を調整することにより、例えば液高が高い場合には、第1の流出口11からの循環戻り液の流出量を増加させて、第1の流出口11からの流出液による上昇流を高い液高の全体にわたって形成することができるようになり、貯蔵液量が多い場合でも、液及び液温の均一化を容易に図ることが可能となる。
【0046】
第2の流出口12は、図2に示されるように、タンク本体1の内周面(壁面)近傍に設けられる。この第2の流出口12は、循環戻り液をタンク本体1の内周面に沿う方向に流出させる方向を指向して開口している。好ましくは、第2の流出口の指向方向は水平方向乃至は水平方向に対して上下角30°未満であり、かつ、図3に示されるように第2の流出口12の先端12Aとタンク本体1の中心1Aとを結ぶ線L12の延長線がタンク本体1の内周面に交わる点lにおけるタンク本体1の内周面の接線L(その平行線Lx’)と、第2の流出口12からの循環戻り液の流出方向(矢印R12)との交差角度θが±30°以内であることが好ましい。この交差角度θはより好ましくは±25゜以内、更に好ましくは±20゜以内である。第2の流出口12における該交差角度θが上記範囲であることにより、第2の流出口12から吐出した循環液の循環戻り液が、タンク本体1内でタンク本体1の内周面に沿う良好な旋回流を効率よく形成することができる。このような旋回流は、流体の内壁面への衝突や流体同士の衝突が少なく、吐出液による運動エネルギーが効率良く蓄積される為、安定した大きな流れが形成され、局所的な滞留部分の発生を防止することが可能となる。
【0047】
また、第2の流出口12の開口は、タンク本体1の内周面から、タンク本体1の半径の1/4以下の領域に設けられること(即ち、図3において、線分LとLx’との距離がタンク本体1の半径の1/4以下)が、タンク本体1内に大きな旋回流を形成できる点において好ましい。
また、第2の流出口12は、タンク本体1の底面から5〜60cm程度の高さ位置に設けることが好ましい。即ち、第2の流出口12は、この流出口12からの循環戻り液の流出で、タンク本体1内の貯蔵液中に撹拌効果に優れた旋回流を形成するために、タンク本体1内の貯蔵液の液面より下に位置する(即ち、液面が流出口12より上)ことが好ましい。貯蔵液量が少ない場合でも液面下に位置する為、第2の流出口12はより低位置の設置が望ましいが、底面に近づくことで床面と流出液との抵抗が増加し、効率が下がる為、ある程度の高さ位置に設けるか、あるいは流出口を、水平方向に対して30°未満の範囲で上方へ向けることが好ましい。旋回流形成時の上向きの運動ベクトルは、下向きのベクトルと干渉して局所的な混合に費やされてしまい、全体的な混合である旋回流形成の効率は下がる為である。
【0048】
この第2の流出口12もまたジェットノズルを具備することが好ましく、第2の流出口12のジェットノズルにおける圧力損失は20〜400kPaとすることが好ましい。旋回流の形成は水平方向の運動であり、タンク内液量に応じた運動エネルギーが供給されれば、流速や流量に理論的制約はないが、機器仕様や運転時の負荷等、経済性において上記範囲が好ましい。ジェットノズルには、エジェクタと同様の原理によって、周囲の流体を吸引し、プロセス流体と合わせて吐出するタイプがある。圧力損失の一部が吸引に費やされる為、吐出の流速が低下する点で不利だが、流量が増加する点で有利であり、状況に応じて選択される。吸引によりジェットノズル近傍に形成される渦を軽減する為、吸引口は吐出口の反対側に位置し、吸引口の線速度は吐出口の線速度の1/5以下とすることが好ましい。
【0049】
図1の貯蔵タンク設備のように、第1の流出口11と第2の流出口12を設けることにより、第1の流出口11からの上昇流によるタンク本体1内の上下方向の撹拌効果と、第2の流出口12からの旋回流によるタンク本体1内の水平方向の撹拌効果で、タンク本体1内の液及び液温の均一化をより一層促進することができる。
【0050】
このように、第1の流出口11と第2の流出口12とを設ける場合、各々の流出口からの循環戻り液の流出流量の比については、上記の上昇流による撹拌効果と旋回流による撹拌効果とをバランスよく得るために、第1の流出口11からの流出量と第2の流出口12からの流出量との流量比は、1:0.5〜20とすることが好ましい。
液滞留部を最小化する為、第1及び第2の流出口ともに単数が最良であるが、配管の太さやジェットノズルの大きさを下げる等の理由により分岐配管2Caや2Cbを2〜8の範囲で更に分岐してもよい。このとき、タンク本体内液に触れる分岐配管の合計長は、できるだけ短くすることが好ましい。
【0051】
本発明において、タンク本体1内の貯蔵液を吸引して循環ライン2に送出する流入口13(図1における配管2Aの基端側)は、タンク本体1内の液を抜き出す際、残存する液を最小とする為、極力低い位置にあることが望ましい。タンク設置地域における法規上の問題がなければ、流入口13の最も単純な構成としては、タンク底面近傍の壁面か、床面に設けられた開孔である。
該流入口13の設置位置や形状を変えることで、旋回流の形成を更に高めることが可能であるが、循環ポンプ3の吸引側であるため許容圧力損失が小さく、吐出に比べて吸引で形成される流体のベクトルは拡散し易いため、流出口12に比べて得られる効果は限定的であり、採用の是非は経済性に照らし合わせて決められる。
【0052】
旋回流形成を意図した流入口13の設置位置は、図3に示すように、タンク本体1の周方向において、第2の流出口12の開口と逆方向に開口していることが好ましく、互いの先端開口の距離が、前述の線分L12と後述の線分L13との交差角度θが90゜以下、特に60゜以下となるように設けられていることが好ましい。このように、流入口13を互いに開口が逆方向となるように設けることにより、第2の流出口12からの循環戻り液の流出液に、流入口13を介して循環ポンプ3の吸引力が作用し、撹拌効果に優れた旋回流を形成することができるようになる。また、その際、θが90゜以下となるように第2の流出口12と流入口13とを近接して設けることにより、流入口13の近傍に形成される小さな渦を抑制し、タンク本体1内全体の大きな渦である旋回流の発生を高めることができ、全体的な撹拌効果を得ることができる。なお、交差角度θの下限は通常3°である。
【0053】
また、流入口13は、図3に示されるように、タンク本体1の内円周(壁面)近傍に、その指向方向が水平方向となるように設けられていることが好ましく、流入口13の先端13Aとタンク本体1の中心1Aとを結ぶ線L13の延長線がタンク本体1の内周面に交わる点lにおけるタンク本体1の内周面の接線L(その平行線Ly’)と、流入口13への循環ライン流入液の流入方向(矢印R13)との交差角度θが±30゜以下であることが好ましい。この交差角度θはより好ましくは±25゜以下、更に好ましくは±20゜以下である。流入口13における該交差角度θが上記範囲であることにより、流入口13の近傍に形成される小さな渦が減り、タンク全体の大きな渦である旋回流の形成が高まり、滞留部分を形成することのない良好な旋回流の流路を形成することができ、優れた撹拌効果でタンク本体内の貯蔵液及びその液温の均一化効果をより一層高めることができる。
【0054】
また、流入口13の開口は、タンク本体1の内周面から、タンク本体1の半径の1/20以下の領域に設けられること(即ち、図3において、線分LとLy’との距離がタンク本体1の半径の1/20以下)が、タンク本体1内に大きな旋回流を形成できる点において好ましく、更には、該開口部の一端がタンク内周面に接した構造とすることも出来る。
【0055】
また、流入口13は、先端側ほど拡開した構造であることが好ましく、開口部の形状は横に長い楕円形や長方形、長辺を下側に有する三角形、扇型等が好ましい。このような流入口13であれば、流入口13に吸入される液流速が下がり、近傍での小さな渦の形成が抑制され、旋回流の形成が促進される。また、より低い位置の液まで吸引することが可能となる。
【0056】
図4は、本発明の別形態を示し、冷却器4の上流側で循環配管2Bを配管2Ba、2Baに分岐させ、冷却器4を分岐配管2Baに設け、冷却器4で冷却された液を配管2Caより第1の流出口11に循環し、第2の流出口12には、冷却器4を通過しない液を配管2Bb、2Cbを経て循環させている。
【0057】
なお、タンク本体1には、タンク本体1の底面からの設置高さが異なる複数の温度センサを設け、液高毎に液温をモニタリングすることが好ましい。液温のモニタリングで、液温に差異があり、タンク本体1内の貯蔵液の液温が十分に均一化されていないと判断された場合には、第1の流出口11からの流出量や流出速度を高め、第1の流出口11からの循環戻り液の上昇流による撹拌効果を高め、均一化を促進することが好ましい。
【0058】
本発明において、タンク本体1の容量は特に制限はないが、本発明によれば、貯蔵液量が多い場合であっても、滞留部分の形成を防止して、容易に貯蔵液の均一化、液温の均一化を図ることができることから、容量の大きい貯蔵タンク設備に有効であり、タンク本体1の容量は、例えば、500m以上、好ましくは800m以上である。このような容量のタンク本体では、通常、貯蔵液の最大液高は10m以上となる。
タンク本体1の容量を大きくすることにより、貯蔵量に幅広く対応することが可能となる。また、その際に、貯蔵液量が変化して、タンク本体1内の液高が変化しても、本発明の貯蔵タンク設備であれば、それに応じて第1の流出口11からの吐出流量や流速を制御することにより、液高に応じた上昇流を形成することができる。
このようなことから、本発明によれば、液高によらず、タンク内液及びその液温の均一化を促進し、局所的な滞留部分の発生を抑制することにより重合反応を防止し、貯蔵液を長期間安定的に保存することが可能となる。
【0059】
本発明の貯蔵タンク設備で貯蔵する易重合性化合物とは、反応または蒸留などの取扱の際に容易に重合して重合体を形成する化合物を意味し、その代表例としては、(メタ)アクリル酸およびそのエステル、例えばメチル、エチル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシエチルエステル等を挙げることができる。
【0060】
本発明の貯蔵タンク設備は、出荷用の製品を貯蔵する製品タンク、製品タンクへ送液する前に製品のスペックを確認するための検査タンク、誘導体を製造するための原料を貯蔵する原料タンク、蒸留塔間を結ぶバッファータンク等に適用することができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明は何ら以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
[実施例1]
プロピレンを原料として、接触気相酸化反応を行う反応工程、反応工程で得られるアクリル酸含有ガスを水で吸収しアクリル酸水溶液を得る捕集工程、得られたアクリル酸水溶液から水、酢酸、無水マレイン酸、アクリル酸ダイマーなどの不純物を分離し、製品アクリル酸を得る精製工程からなるアクリル酸の製造工程により、純度99.8重量%のアクリル酸を得た。このアクリル酸を図1〜3に示すアクリル酸エステル製造用原料貯蔵タンク設備で貯蔵した。
【0063】
タンク本体1にアクリル酸を供給する際、及び抜き出す際のみ各々、バルブ6A、7Aを開けて送液を行った。
循環ポンプ3は常時作動させてタンク本体1内のアクリル酸を冷却器4で冷却しながら循環ライン2及び5を経て循環させた。タンク本体1内の液量は平均550mであり、タンク本体1内のアクリル酸の液高は7.1〜9.3mの範囲であった。
この貯蔵タンク設備の各部の仕様は次の通りである。
【0064】
<第1の流出口11>
タンク本体1の底部中心部に鉛直上方を指向して開口する、先端にジェットノズルを具備する流出口。
吐出開口部:タンク本体1の底面から15cmの高さ位置
ジェットノズルの圧力損失:180kPa
流出口11からの吐出流量:12m/h
<第2の流出口12>
水平方向に対して15°上方を指向して、タンク本体1の内周面から、タンク本体1の半径の1/12の位置に開口するように、タンク本体1の底面から10cmの高さ位置に設けられた、先端にジェットノズルを具備する流出口。
ジェットノズルの圧力損失:120kPa
流出口12からの吐出流量:30m/h
交差角度θ:5゜
流入口との角度θ:10゜
<流入口13>
開口部の上端が床面から10cmに設けられた、先端側ほど拡開する扇型の流入口。
交差角度θ:0゜
【0065】
このような貯蔵タンク設備にアクリル酸を循環させながら7日間貯蔵し、その間、タンク本体1内に、タンク本体1の底面から10cmの位置から垂直方向に0.5m毎に温度センサを有する多点式温度計を挿入し、各液高における液温を測定したところ、一時間毎の平均データとして、液温の差異は最大値で1.2℃、平均値で0.5℃であり、タンク本体1内のアクリル酸は均一な液温に維持されたことが確認された。尚、該期間中の日中最高気温は33℃であった。
【0066】
[比較例1]
実施例1と同様にして、但し第1の流出口を閉止し、第2の流出口のみから循環戻り液を吐出流量42m/h(実施例1の双方の流出量に相当する分)で流出させたところ、最も上位の温度センサと最も下位の温度センサとで、液温の差は一時間毎の平均データとして最大で2.4℃、平均で1.4℃であり、タンク本体1内のアクリル酸の液温は実施例1に比べ不均一であることが確認された。尚、該期間中の日中最高気温は31℃であった。
【0067】
[実施例2]
実施例1と同様にして、但し3日間、第2の流出量を1/5の6m/hとし、第1の流出量を2倍の24m/hとしたところ、全循環液量が実施例1の約70%と少なかったため、各温度センサによる液温の差異は一時間毎の平均データとして最大で1.8℃、平均で0.9℃であり、実施例1よりも劣るものとなったが、比較例1よりも改善されていた。尚、該期間中の日中最高気温は31℃であった。
【符号の説明】
【0068】
1 タンク本体
2 循環ライン(第1の循環ライン)
3 循環ポンプ
4 冷却器(熱交換器)
5 第2の循環ライン
11 第1の流出口
12 第2の流出口
13 流入口
図1
図2
図3
図4