【文献】
Proceedings of ECSOC-4,Sept.1-30,1999 and 2000,2000年,Meeting Date 1999-2000,[A0080]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のアルコキシシラン化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
【化7】
【0011】
ここで、R
1は、ヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基又はアラルキレン基である。ヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄等が例示される。R
1の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、イソブチレン基等のアルキレン基、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基等の酸素原子含有基、アミノアルキレン基、ポリアミノアルキレン基等のアミノ原子含有基、チオアルキレン基等の硫黄原子含有基等が挙げられる。原料の入手性から、アルキレン基、オキシアルキレン基が好ましい。
【0012】
R
2は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基であり、直鎖状又は分岐状のアルキレン基、アラルキレン基等が挙げられる。具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、イソブチレン基等が例示される。
【0013】
R
3は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等の直鎖状の炭化水素基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐状の炭化水素基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基、ビニル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が例示される。
【0014】
Xはハロゲン原子であり、具体的には、塩素、臭素、ヨウ素等が例示され、入手のしやすさの点で塩素が好ましい。
【0015】
Yは反応性基であり、アクリル基、メタクリル基、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基等の付加重合性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基、アミノ基、N−トリアルキルシリルアミノ基、N,N−ビストリアルキルシリルアミノ基等のシリル基により活性水素が保護されていても良いアミノ基が挙げられる。中でも高い反応性を有する点で、付加重合性基及び開環重合性基が好ましい。
【0016】
また、Y−R
1−で表される基としては、例えば、3−アクリルオキシプロピル基、3−メタクリルオキシプロピル基、3−グリシ
ドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル基、3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル基、3−アミノプロピル基等が例示される。
【0017】
上記一般式(1)で示されるハロアルキル基等のハロゲン置換炭化水素基と反応性基を有するアルコキシシラン化合物の具体例としては、例えば、
(3−クロロプロピル)(3−アクリルオキシプロピル)ジメトキシシラン、
(3−クロロプロピル)(3−アクリルオキシプロピル)ジエトキシシラン、
(3−クロロプロピル)(3−メタクリルオキシプロピル)ジメトキシシラン、
(3−クロロプロピル)(3−メタクリルオキシプロピル)ジエトキシシラン、
(3−クロロプロピル)(3−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、
(3−クロロプロピル)(3−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、
(3−クロロプロピル)[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジメトキシシラン、
(3−クロロプロピル)[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジエトキシシラン、
(3−クロロプロピル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジメトキシシラン、
(3−クロロプロピル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジエトキシシラン、
(3−クロロプロピル){3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジメトキシシラン、
(3−クロロプロピル){3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジエトキシシラン、
(3−クロロプロピル)(3−アミノプロピル)ジメトキシシラン、
(3−クロロプロピル)(3−アミノプロピル)ジエトキシシラン、
クロロメチル(3−アクリルオキシプロピル)ジメトキシシラン、
クロロメチル(3−アクリルオキシプロピル)ジエトキシシラン、
クロロメチル(3−メタクリルオキシプロピル)ジメトキシシラン、
クロロメチル(3−メタクリルオキシプロピル)ジエトキシシラン、
クロロメチル(3−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、
クロロメチル(3−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、
クロロメチル[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジメトキシシラン、
クロロメチル[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジエトキシシラン、
クロロメチル[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジメトキシシラン、
クロロメチル[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジエトキシシラン、
クロロメチル{3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジメトキシシラン、
クロロメチル{3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジエトキシシラン、
クロロメチル(3−アミノプロピル)ジメトキシシラン、
クロロメチル(3−アミノプロピル)ジエトキシシラン、
(2−クロロエチル)(3−アクリルオキシプロピル)ジメトキシシラン、
(2−クロロエチル)(3−アクリルオキシプロピル)ジエトキシシラン、
(2−クロロエチル)(3−メタクリルオキシプロピル)ジメトキシシラン、
(2−クロロエチル)(3−メタクリルオキシプロピル)ジエトキシシラン、
(2−クロロエチル)(3−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、
(2−クロロエチル)(3−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、
(2−クロロエチル)[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジメトキシシラン、
(2−クロロエチル)[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジエトキシシラン、
(2−クロロエチル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジメトキシシラン、
(2−クロロエチル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジエトキシシラン、
(2−クロロエチル){3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジメトキシシラン、
(2−クロロエチル){3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジエトキシシラン、
(2−クロロエチル)(3−アミノプロピル)ジメトキシシラン、
(2−クロロエチル)(3−アミノプロピル)ジエトキシシラン
等が挙げられる。
【0018】
また、本発明における上記一般式(1)で示されるオルガノオキシシラン化合物の製造方法は、例えば、下記一般式(2)
【化8】
(式中、R
2は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基であり、R
3は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の1価炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
で表されるジオルガノオキシシシラン化合物と、下記一般式(3)
【化9】
(式中、Yは反応性基を有する基であり、R
4はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキレン又はアラルキレン基であり、R
5は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の1価炭化水素基又は水素原子であり、R
4及びR
5の炭素数は合わせて18以下である。)
で表される反応性基を有するオレフィン化合物を反応させて製造する方法が挙げられる。
【0019】
ここで、上記一般式(2)中のR
2及びR
3は、上記と同じ置換基が例示される。
【0020】
また、上記一般式(2)で表されるジオルガノオキシシラン化合物としては、具体的には、3−クロロプロピルジメトキシシラン、3−クロロプロピルジエトキシシラン、2−クロロエチルジメトキシシラン、2−クロロエチルジエトキシシラン、クロロメチルジメトキシシラン、クロロメチルジエトキシシラン、4−クロロブチルジメトキシシラン、4−クロロブチルジエトキシシラン、3−ブロモプロピルジメトキシシラン、3−ブロモプロピルジエトキシシラン、2−ブロモプロピルジメトキシシラン、2−ブロモプロピルジエトキシシラン、ブロモメチルジメトキシシラン、ブロモメチルジエトキシシラン、4−ブロモブチルジメトキシシラン、4−ブロモブチルジエトキシシラン、3−ヨードプロピルジメトキシシラン、3−ヨードプロピルジエトキシシラン、2−ヨードプロピルジメトキシシラン、2−ヨードプロピルジエトキシシラン、ヨードメチルジメトキシシラン、ヨードメチルジエトキシシラン、4−ヨードブチルジメトキシシラン、4−ヨードブチルジエトキシシラン等が例示される。
【0021】
ここで、上記一般式(3)中、R
4はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜18、好ましくは1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基又はアラルキレン基である。ヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄等が例示される。具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、イソブチレン基等のアルキレン基、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基等の酸素原子含有基、アミノアルキレン基、ポリアミノアルキレン基等のアミノ原子含有基等が挙げられる。
【0022】
また、R
5は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の直鎖状又は分岐状の1価炭化水素基又は水素原子であり、R
4及びR
5の炭素数は合わせて18以下、好ましくは10以下である。直鎖状又は分岐状の1価炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等の直鎖状の炭化水素基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐状の炭化水素基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基、ビニル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が例示される。
【0023】
Yは上記と同様、反応性基を有する基である。
【0024】
また、上記一般式(3)で表される反応性基を有するオレフィン化合物としては、具体的には、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、3−エチル−3−アリロキシメチルオキセタン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミン、アルルアミン等が挙げられる。
【0025】
更に、本発明における上記一般式(1)で示されるオルガノキシシラン化合物の別な製造方法としては、下記一般式(4)
【化10】
(式中、R
2は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基であり、X、X’はハロゲン原子であり、互いに同一でも異なっていても良い。)
で表されるシラン化合物と、上記一般式(3)で表されるオレフィン化合物とを、触媒存在下に反応して、下記一般式(5)
【化11】
(式中、R
1はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基又はアラルキレン基であり、R
2は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基であり、Yは反応性基を有する基、X、X’はハロゲン原子であり、互いに同一でも異なっていても良い。)
で表される化合物を製造し、この化合物を下記一般式(6)
R
3OH (6)
で表されるアルコールと反応させて製造する方法が挙げられる。
【0026】
ここで、上記一般式(4)中のR
2は、上記と同じ置換基等が例示される。
【0027】
X及びX’は、ハロゲン原子であり、上記Xと同様のものが挙げられる。
【0028】
上記一般式(4)で表されるシラン化合物としては、具体的には、3−クロロプロピルジクロロシラン、3−クロロプロピルジブロモシラン、3−クロロプロピルジヨードシラン、2−クロロエチルジクロロシラン、2−クロロエチルジブロモシラン、2−クロロエチルジヨードシラン、クロロメチルジクロロシラン、クロロメチルジブロモシラン、クロロメチルジヨードシラン、4−クロロブチルジクロロシラン、4−クロロブチルジブロモシラン、4−クロロブチルジヨードシラン、3−ブロモプロピルジクロロシラン、3−ブロモプロピルジブロモシラン、3−ブロモプロピルジヨードシラン、2−ブロモプロピルジクロロシラン、2−ブロモプロピルジブロモシラン、2−ブロモプロピルジヨードシラン、ブロモメチルジクロロシラン、ブロモメチルジブロモシラン、ブロモメチルジヨードシラン、4−ブロモブチルジクロロシラン、4−ブロモブチルジブロモシラン、4−ブロモブチルジヨードシラン、3−ヨードプロピルジブロモシラン、3−ヨードプロピルジヨードシラン、2−ヨードエチルジクロロシラン、2−ヨードエチルジブロモシラン、2−ヨードエチルジヨードシラン、ヨードメチルジクロロシラン、ヨードメチルジブロモシラン、ヨードメチルジヨードシラン、4−ヨードブチルジクロロシラン、4−ヨードブチルジブロモシラン、4−ヨードブチルジヨードシラン等が挙げられる。
【0029】
上記一般式(5)中のR
1,R
2、X、X’は、上記と同じ置換基が挙げられる。
【0030】
上記一般式(5)で表される化合物の具体例としては、
(3−クロロプロピル)(3−アクリルオキシプロピル)ジクロロシラン、
(3−クロロプロピル)(3−アクリルオキシプロピル)ジブロモシラン、
(3−クロロプロピル)(3−アクリルオキシプロピル)ジヨードシラン、
(3−クロロプロピル)(3−メタクリルオキシプロピル)ジクロロシラン、
(3−クロロプロピル)(3−メタクリルオキシプロピル)ジブロモシラン、
(3−クロロプロピル)(3−メタクリルオキシプロピル)ジヨードシラン、
(3−クロロプロピル)(3−グリシドキシプロピル)ジクロロシラン、
(3−クロロプロピル)(3−グリシドキシプロピル)ジブロモシラン、
(3−クロロプロピル)(3−グリシドキシプロピル)ジヨードシラン、
(3−クロロプロピル)[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジクロロシラン、
(3−クロロプロピル)[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジブロモシラン、
(3−クロロプロピル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジクロロシラン、
(3−クロロプロピル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジブロモシラン、
(3−クロロプロピル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジヨードシラン、
(3−クロロプロピル){3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジクロロシラン、
(3−クロロプロピル){3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジブロモシラン、
クロロメチル(3−アクリルオキシプロピル)ジクロロシラン、
クロロメチル(3−アクリルオキシプロピル)ジブロモシラン、
クロロメチル(3−アクリルオキシプロピル)ジヨードシラン、
クロロメチル(3−メタクリルオキシプロピル)ジクロロシラン、
クロロメチル(3−メタクリルオキシプロピル)ジブロモシラン、
クロロメチル(3−メタクリルオキシプロピル)ジヨードシラン、
クロロメチル(3−グリシドキシプロピル)ジクロロシラン、
クロロメチル(3−グリシドキシプロピル)ジブロモシラン、
クロロメチル(3−グリシドキシプロピル)ジヨードシラン、
クロロメチル[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジクロロシラン、
クロロメチル[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジブロモシラン、
クロロメチル[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジクロロシラン、
クロロメチル[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジブロモシラン、
クロロメチル[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジヨードシラン、
クロロメチル{3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジクロロシラン、
クロロメチル{3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジブロモシラン、
(2−クロロエチル)(3−アクリルオキシプロピル)ジクロロシラン、
(2−クロロエチル)(3−アクリルオキシプロピル)ジブロモシラン、
(2−クロロエチル)(3−アクリルオキシプロピル)ジヨードシラン、
(2−クロロエチル)(3−メタクリルオキシプロピル)ジクロロシラン、
(2−クロロエチル)(3−メタクリルオキシプロピル)ジブロモシラン、
(2−クロロエチル)(3−メタクリルオキシプロピル)ジヨードシラン、
(2−クロロエチル)(3−グリシドキシプロピル)ジクロロシラン、
(2−クロロエチル)(3−グリシドキシプロピル)ジブロモシラン、
(2−クロロエチル)(3−グリシドキシプロピル)ジヨードシラン、
(2−クロロエチル)[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジクロロシラン、
(2−クロロエチル)[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジブロモシラン、
(2−クロロエチル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジクロロシラン、
(2−クロロエチル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジブロモシラン、
(2−クロロエチル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジヨードシラン、
(2−クロロエチル){3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジクロロシラン、
(2−クロロエチル){3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジブロモシラン
等が挙げられる。
【0031】
上記一般式(6)中のR
3としては、上記と同じ置換基が例示される。
【0032】
上記一般式(6)で表される化合物の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等が挙げられる。
【0033】
上記一般式(2)で表されるジオルガノオキシシラン化合物と上記一般式(3)で示される反応性基を有するオレフィン化合物との反応及び上記一般式(4)で表されるシラン化合物と上記一般式(3)で示される反応性基を有するオレフィン化合物の反応(以下、「付加反応」という。)のシラン化合物とオレフィン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(3)で示される反応性基を有するオレフィン化合物1モルに対して、式(2)のジオルガノオキシシラン化合物又は式(4)のシラン化合物を好ましくは0.5〜3.0モル、更に好ましくは0.7〜2.0モル、特に好ましくは0.8〜1.5モルである。
【0034】
本発明の付加反応に用いる触媒としては、白金含有触媒を用いることが好ましく、白金化合物含有触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン又はキシレン溶液、テトラキストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、ジクロロシクロオクタジエン白金、ビス(アセチルアセトナト)白金、白金−炭素、白金−アルミナ、白金−シリカ等の担持触媒等が例示される。選択性の点から、好ましくは、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン又はキシレン溶液が挙げられる。
【0035】
本発明の付加反応に用いる触媒の使用量は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(3)で示される反応性基を有するオレフィン化合物に対して好ましくは0.000001〜0.01モル、更に好ましくは0.000005〜0.005モル、特に好ましくは0.00001〜0.001モルである。白金含有触媒の使用量が0.000001モル未満だと触媒の効果が十分に発現しない可能性があり、0.01モルを超えると触媒量に見合うだけの反応促進効果が見られない可能性がある。
【0036】
本発明の付加反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることも出来る。用いられる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、これらの溶媒は単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0037】
本発明の付加反応の反応温度は特に限定されないが、常圧又は加圧下で0〜200℃、好ましくは10〜120℃である。なお、反応時間は、通常1〜100時間、好ましくは1〜20時間である。また、反応雰囲気としては、特に限定されないが、安全上、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスが好ましい。
【0038】
上記一般式(6)で表されるアルコールの使用量は、ハロゲン原子1モルに対して好ましくは0.8〜2.0モル、更に好ましくは1.0〜1.3モルである。
【0039】
アルコールとの反応は、副生する塩化水素を系外に除去しながら行うか又は塩基存在下に反応を行い、副生する塩化水素と反応させて除去することもできる。塩化水素を系外に除去しながら反応させる場合には、塩化水素が除去される前に未反応のアルコールが反応して水と塩化アルキルが副生し、水とクロロシラン又はアルコキシシランが反応してシロキサンを副生し、収率が低下する場合があるため、塩基を用いて反応を行うことが好ましい。
【0040】
用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ピリジン等が挙げられる。塩基の使用量は、X’で表されるハロゲン原子1モルに対して好ましくは0.8〜2.0モル、更に好ましくは1.0〜1.3モルである。反応温度は特に限定されないが、常圧又は加圧下で0〜150℃、好ましくは10〜100℃である。
【0041】
また、塩基を用いる場合は、対応する塩酸塩が副生するため、溶媒を用いて行うことが好ましい。用いられる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンメシチレン等の炭化水素系溶媒を用いることが好ましい。
【0042】
反応時間は、通常0.5〜100時間、好ましくは1〜20時間である。また、反応雰囲気としては、特に限定されないが、安全上、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスが好ましい。また、溶媒と、塩基を含有する混合液中に、アルコールを添加して反応を行うことが好ましい。
【0043】
本発明の製造方法により得られるハロアルキル基と反応性基を有するアルコキシシラン化合物は、蒸留や、カラムクロマトグラフィーにより精製することができる。精製せずにそのまま用いることもできる。触媒等の微量不純物を取り除き、高純度にするためには、蒸留により精製することが好ましい。
【0044】
本発明において、例えば、アクリル基やメタクリル基、エポキシ基、オキセタニル基等の重合性基と、ハロアルキル基を有するオルガノオキシシラン化合物を、重合性を有する化合物と共重合を行った後の化合物は、分子内に反応性のハロアルキル基を有している。
【0045】
ハロアルキル基は、アミノ化合物や金属アルコキシド、チオール金属塩、カルボン酸金属塩等と反応させることにより、窒素や硫黄原子含有基等の各種官能基を導入することができる。従って、ハロアルキル基と重合性基を有するアルコキシシラン化合物をアクリル基やメタクリル基、エポキシ基、オキセタニル基等の重合性を有する化合物と共重合したり、加水分解縮合を行った後又は共重合や加水分解縮合前に、ハロアルキル基部分に窒素や硫黄原子含有基等の各種官能基を導入することにより、塗料や接着剤、コーティング剤として用いた場合に、密着性等の性能を向上させることができる。
【0046】
また、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物は、アミノ基の反応性を利用して、アクリル基やメタクリル基、オキセタニル基等の重合性基を導入することが可能であり、上記重合性基とハロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物と同様に使用可能である。この場合も、重合性の反応性基以外の反応性基を有していれば、重合性基以外の官能基を導入することが可能であり、密着性の向上等の特性向上が期待される。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
(3−クロロプロピル)(3−グリシドキシプロピル)ジメトキシシランの製造
100mLの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、アリルグリシジルエーテル14.3g(0.125mol)と白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の3質量%キシレン溶液48.8mg(7.5×10
-6mol)を仕込んだ。内温を60〜70℃に温調しながら3−クロロプロピルジメトキシシラン16.9g(0.1mol)を3時間掛けて滴下した後、そのままの温度で1時間熟成した。
得られた反応液を減圧蒸留して(3−クロロプロピル)(3−グリシドキシプロピル)ジメトキシシランを123℃/0.2kPaの留分として23.7g(0.838mol)得た。収率は、83.8%(3−クロロプロピルジメトキシシラン基準)であった。
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 282,251,235,207,193,167,125
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム)
図1にスペクトルチャートを示す。
IRスペクトル
図2にチャートを示す。
以上の結果より、得られた化合物は(3−クロロプロピル)(3−グリシドキシプロピル)ジメトキシシランであることが確認された。
【0049】
[実施例2]
(3−クロロプロピル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジメトキシシランの製造
100mLの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、3−エチル−3−アリロキシメチルオキセタン28.5g(0.17mol)と白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の3質量%キシレン溶液48.8mg(7.5×10
-6mol)を仕込んだ。内温を55〜70℃に温調しながら3−クロロプロピルジメトキシシラン25.3g(0.15mol)を3時間掛けて滴下した後、そのままの温度で2時間熟成した。
得られた反応液を減圧蒸留して(3−クロロプロピル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジメトキシシランを145℃/0.2kPaの留分として37.1g(0.114mol)得た。収率は、76.1%(3−クロロプロピルジメトキシシラン基準)であった。
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 324,293,233,193,167,125
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム)
図3にスペクトルチャートを示す。
IRスペクトル
図4にチャートを示す。
以上の結果より、得られた化合物は(3−クロロプロピル)[3−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)プロピル]ジメトキシシランであることが確認された。
【0050】
[実施例3]
(3−クロロプロピル){3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジメトキシシランの製造
100mLの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミン40.3g(0.2mol)と白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の3質量%キシレン溶液0.39g(6.0×10
-5mol)を仕込んだ。内温を60〜80℃に温調しながら3−クロロプロピルジメトキシシラン33.7g(0.2mol)を6時間掛けて滴下した後、そのままの温度で4時間熟成した。
得られた反応液を減圧蒸留して(3−クロロプロピル){3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジメトキシシランを129℃/0.2kPaの留分として50.4g(0.136mol)得た。収率は、68.1%(3−クロロプロピルジメトキシシラン基準)であった。
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 369,310,234,208,174,125,73
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム)
図5にスペクトルチャートを示す。
IRスペクトル
図6にチャートを示す。
以上の結果より、得られた化合物は(3−クロロプロピル){3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}ジメトキシシランであることが確認された。
【0051】
[実施例4]
(3−クロロプロピル)(3−アクリルオキシプロピル)ジメトキシシランの製造
300mLの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、アリルメタクリレート37.8g(0.3mol)と白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の3質量%キシレン溶液0.39g(6.0×10
-5mol)を仕込んだ。内温を60〜70℃に温調しながら3−クロロプロピルジクロロシラン53.3g(0.3mol)を4時間掛けて滴下した後、そのままの温度で2時間熟成した。得られた反応液に、トルエン90mLとトリエチルアミン66.8g(0.66mol)を添加した。内温を50〜60℃に温調しながらメタノール39.1g(0.72mol)を1時間で滴下し、そのままの温度で1時間熟成した。生成したトリエチルアミン塩酸塩をろ過により除去した後、得られた反応液を減圧蒸留して(3−クロロプロピル)(3−アクリルオキシプロピル)ジメトキシシランを135℃/0.2kPaの留分として65.4g(0.222mol)得た。収率は、73.9%であった。
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 293,217,175,125,95,69
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム)
図7にスペクトルチャートを示す。
IRスペクトル
図8にチャートを示す。
以上の結果より、得られた化合物は(3−クロロプロピル)(3−アクリルオキシプロピル)ジメトキシシランであることが確認された。