(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0008】
[第1の実施形態]
(画素回路についての説明)
最初に、CMOS型固体撮像装置内の画素部を構成する画素PXについて簡単に説明する。
図10は、画素回路の構成を示す図であり、1つの画素PX、垂直信号線VL、及び定電流源TDを示す回路図である。
図10に示す画素回路は、光電変換部としてのフォトダイオードPDと、電荷を受け取って電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部としてのフローティングディフュージョンFDと、フローティングディフュージョンFDの電位をリセットするリセットトランジスタRSTと、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた信号を垂直信号線VLに供給する選択トランジスタSELと、フォトダイオードPDからフローティングディフュージョンFDに電荷を転送する電荷転送部としての転送トランジスタTXと、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた信号を出力する増幅部としての増幅トランジスタSFとを有している。
【0009】
図10において、VDDは電源電位である。なお、画素PXのトランジスタSF,TX,RST,SELは、全てnMOSトランジスタである。転送トランジスタTXのゲートは行毎に共通に接続され、そこには、転送トランジスタTXを制御する制御信号φTXが垂直走査回路3から供給される。リセットトランジスタRSTのゲートは行毎に共通に接続され、そこには、リセットトランジスタRSTを制御する制御信号φRSTが垂直走査回路3(
図9を参照)から供給される。選択トランジスタSELのゲートは行毎に共通に接続され、そこには、選択トランジスタSELを制御する制御信号φSELが垂直走査回路3から供給される。
【0010】
各画素PXのフォトダイオードPDは、入射光の光量(被写体光)に応じて信号電荷を生成する。各画素PXの転送トランジスタTXは、制御信号φTXのハイレベル期間にオンし、フォトダイオードPDの電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。リセットトランジスタRSTは、制御信号φRSTのハイレベル期間(電源電位VDDの期間)にオンし、フローティングディフュージョンFDをリセットする。
【0011】
増幅トランジスタSFは、そのドレインが電源電位VDDに接続され、そのゲートがフローティングディフュージョンFDに接続され、そのソースが選択トランジスタSELのドレインに接続されている。選択トランジスタSELのソースは、垂直信号線VLに接続されている。定電流源TDは、垂直信号線VLに対応する画素PXの選択トランジスタSELがオンされたときに、当該垂直信号線VLに電流を流す。
【0012】
各画素PXの増幅トランジスタSFは、フローティングディフュージョンFDの電圧値に応じて、選択トランジスタSELを介して垂直信号線VLに電圧を出力する。選択トランジスタSELは、制御信号φSELのハイレベル期間にオンし、増幅トランジスタSFのソースを垂直信号線VLに接続する。
【0013】
(第1実施形態のA/D変換回路の概要の説明)
最初に、第1実施形態のA/D変換回路(ADC12)の概要について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係わるA/D変換回路の構成を示す図である。この
図1に示す回路は、PGA11の後段に積分型のADC12Cが接続されて構成されており、このPGA11とADC12とは、
図9に示す固体撮像装置1において、各列の垂直信号線VLごとに設けられるものである。
【0014】
このPGA11およびADC12は、制御部21によりその動作が制御される。この制御部21は、PGA11およびADC12内の各スイッチのオン/オフ(接続/開放)(すなわち、導通状態と非導通状態との切り替え)を制御し、また、ADC12内で使用される各信号(VRT,VRB,VRAMP等)を供給する。また、制御部21では、ADC12内で行われるコース変換の処理動作を制御するコース変換制御部22と、ファイン変換の処理動作を制御するファイン変換制御部23を備えている。
【0015】
また、制御部21は、コース変換やファイン変換処理を行う際に使用されるカウンタ24と、A/D変換結果のデジタルデータを保持するレジズタ等を備えている。なお、カウンタ24は、画素信号を14ビットの分解能でデジタル値に変換する際に、コース変換で使用する上位3ビットの値を計数するための3ビットカウンタ24Aと、ファイン変換で使用する下位12ビットの値を計数するための12ビットカウンタ24Bとを備えている(コース変換およびファイン変換については後述する)。
【0016】
この
図1に示すADC12は、
図11に示す通常のADC12Cと比較して、コンデンサC1〜C4に対してスイッチS9、S10,S11,S12,S13を新たに追加した点が構成上異なる。また、ノードVcmにスイッチS13を追加し、ノードVcmとノードVcm’とを選択的に接続可能にした点が、構成上異なる。他の構成は、
図11に示すADC12Cと同様である。このため、対応する構成には同一の符号を付している。
なお、
図1に示すADC12において、スイッチS9、S10,S11,S12,S13の全てを定常的にオン(接続)にした状態においては、
図1に示すADC12と、
図11に示す通常のADC12Cとは、結果的に同様の構成(重み付け加算なしのADCの構成)となり、また、動作についても同様となる。
【0017】
上記スイッチS9は、画素信号Sig1をコンデンサC1に保持するためのスイッチであり、スイッチS10およびS11は、画素信号Sig2をコンデンサC2およびC3に保持するためのスイッチであり、スイッチS12は、画素信号Sig3をコンデンサC4に保持するためのスイッチである。例えば、画素信号Sig1がノードVcmに入力された状態において、スイッチS9をオンにすると(ただしスイッチS10,S11,S12,S13はオフ(開放)状態)、このスイッチS9を通して、画素信号Sig1によりコンデンサC1に電荷が充電され、このコンデンサC1に画素信号Sig1が保持される。
【0018】
そして、このコンデンサC1,C2,C3,C4を信号Sig1,Sig2,Sig3によりそれぞれ順に充電した後に、スイッチS9〜S12を同時にオンし(ただしスイッチS13はオフ)、ノードVcm上に電位を発生させることにより、信号Sig1,Sig2,Sig3の重み付け加算を行う。このときの重み付けの割合は、コンデンサC1、コンデンサC2+C3、コンデンサC4の静電容量比で決まる。
【0019】
ここで、コンデンサC1,C2,C3,C4の静電容量をC1,C2,C3,C4とし、信号Sig1,Sig2,Sig3の電圧レベルをSig1,Sig2,Sig3とする。そうすると、この例では、信号Sig1に対して、コンデンサC1に保持される電荷Q1は、
Q1=C1×Sig1、となる。
信号Sig2に対して、コンデンサC2およびC3に保持される電荷Q2は、コンデンサC2およびC3が並列接続されているため、
Q2=(C2+C3)×Sig2、となる。
信号Sig3に対して、コンデンサC4に保持される電荷Q3は、
Q3=C4×Sig2、となる。
【0020】
従って、コンデンサC1,C2,C3,C4に保持されている電荷の合計Qtotalは、
Qtotal=C1×Sig1+(C2+C3)×Sig2+C4×Sig3、
となる。
また、コンデンサC1,C2,C3,C4の合計容量Ctotalは、コンデンサC1,C2,C3,C4が並列接続されているため、
Ctotal=C1+(C2+C3)+C4、となる。
【0021】
従って、スイッチS9,S10,S11、およびS12を同時にオンにし、スイッチS13をオフにした場合のノードVcmの電位をVcmで表すと、
Vcm=Qtotal/(C1+C2+C3+C4)、となる。
【0022】
ここで、C1=C2=C3=C4=Cとすると、
Qtotal=C×Sig1+2×C×Sig2+C×Sig3、となる。
従って、Vcm=Qtotal/Ctotal、であるので、
Vcm={C×Sig1+2×C×Sig2+C×Sig3}/(4×C)、
【0023】
従って、Vcm={Sig1+2×Sig2+Sig3}/4、となる。
このようにして、信号Sig1と、Sig2と、Sig3に対して、「1:2:1」の重み付け加算を行うことができる。
【0024】
上記に説明したように、
図1に示すADC12では、PGA11から出力される画素信号を、アナログ信号のままで重み付け加算してノードVcmに電位を発生させ、このノードVcmに発生した電位に対してA/D変換を行う。このため、PGA11から出力される画素信号に対して重み付け加算を行う際に、ADC12における変換誤差(例えば、ノイズの影響による誤差や量子化誤差)が発生することなく、アナログにより重み付け加算を行うことができる。
また、ADC12内に設けられているコース変換用のコンデンサC1〜C4を利用して重み付け加算を行うため、レイアウト面積を増やすことなく、アナログによる重み付け加算を行うことができる。
【0025】
なお、上述した例では、3つの画素信号Sig1,Sig2,Sig3のそれぞれに対して、1個のコンデンサC1と、2個のコンデンサC2,C3と、1個のコンデンサC4とを割り当てることにより、重み付け加算の割合を「1:2:1」とする例を示したが、これに限定されない。例えば、「1:3:1」や、「1:5:1」や、「2:3:3」など所望の割合に設定することができる(但し、コース変換用に用意されたコンデンサC1〜C8の個数による制限がある)。さらには、重み付けの割合を「1:1:1」とすることにより、3つの画素信号Sig1,Sig2,Sig3の平均化を行うことも可能である。
また、重み付け加算する画素信号の数は、3つに限定されず、5つの画素信号や、7つの画素信号(基本的には奇数個号)に対して重み付け加算を行うこともできる(但し、コース変換用に用意されたコンデンサC1〜C8の個数による制限がある)。
【0026】
(重み付け加算機能を備えるADC12の構成の説明)
次に、
図1に示すADC12の構成について詳細に説明する。このADC12は、重み付け加算機能を備える積分型のA/D変換回路であり、このADC12は、固体撮像素子の垂直信号線VLから出力される画素信号をPGA11を介して読み込み、この画素信号に対してA/D変換を行うものである。
【0027】
PGA11は、差動増幅器(AM1)と、スイッチPGA_AZと、コンデンサC11と、可変コンデンサC12とを含む。差動増幅器AM1の正(+)入力にはリファレンス電圧VREFが接続され、負(−)入力にはコンデンサC11を介して画素信号入力が接続される。差動増幅器AM1の出力は、負帰還用の可変コンデンサC12およびスイッチPGA_AZに接続されると共に、ADC12内のスイッチSPLに接続される。また、可変コンデンサC12によってPGA11のゲインを変更可能である。なお、PGA11から出力される信号の最大値は、例えば、+1Vである。
【0028】
ADC12は、スイッチSPL,TSWを備える。また、ADC12は、コンデンサC1〜C8、スイッチS1a,S1b〜S8a,S8b,S9〜S13,SXと、コンパレータCP1とを含む。なお、スイッチSPL,TSWや、スイッチS1a,S1b〜S8a,S8b,S9〜S13,SXについては、接点式のスイッチの記号で示しているが、実際には、たとえば、MOSトランジスや半導体スイッチで構成されるものである。
コンパレータCP1の正(+)入力には、PGA11から出力される増幅された画素信号がスイッチSPLおよびスイッチS13を介して接続される。また、コンパレータCP1の負(−)入力にはコンパレータCP1の出力がスイッチADC_AZを介して接続されると共に、画素の暗状態の情報(ダーク電位Vdark)を保持するコンデンサC10が接続される。
【0029】
コンデンサC1〜C8は等しい静電容量のコンデンサである。このコンデンサC1〜C8は、ノードVcmまたはノードVcm’と容量結合されている。そして、後述するコース変換において、これらのコンデンサに接続されるスイッチS1a,S1b〜S8a,S8bを順次切替えることにより(例えば、スイッチS1aをオフにし、スイッチS1bをオンにする)、コンデンサC1〜C8の対極の電圧を信号VRTとVRBの間で切替え、ノードVcmの電位が8つのレンジのどこに属するかを判定する。なお、信号VRTは、例えば、+2Vの信号であり、信号VRTは、例えば、+1Vの信号である(なお、信号VRTの電圧を同じ符号VRTで示し、信号VRBの電圧を同じ符号VRBで示すことがある)。そして、この信号VRTとVRBにより、後述するように振幅1Vの信号(VRT−VRB)を生成する(PGA11の出力電圧1Vに対応する)。なお、前述の電位Vdarkは、ほぼ0Vである。
【0030】
そして、
図1に示すように、コンデンサC1の一端はスイッチS9を介してノードVcm(ノードVcmの電位を同じ符号Vcmで示すことがある)に接続される。また、コンデンサC1の他端はスイッチS1aを介して信号線VRT(信号VRTの信号線)に接続されるとともに、コンデンサC1の他端はスイッチS1bを介して信号線VRB(信号VRBの信号線)に接続される。
また、コンデンサC2の一端はスイッチS10を介してノードVcmに接続され、コンデンサC2の他端はスイッチS2aを介して信号線VRTに接続されるとともに、スイッチS2bを介して信号線VRBに接続される。
【0031】
また、コンデンサC3の一端はスイッチS11を介してノードVcmに接続され、コンデンサC3の他端はスイッチS3aを介して信号線VRTに接続されるとともに、スイッチS3bを介して信号線VRBに接続される。なお、スイッチS11とスイッチS10は、両方が同時にオン、または、同時にオフするスイッチである。
また、コンデンサC4の一端はスイッチS12を介してノードVcmに接続され、コンデンサC4の他端はスイッチS4aを介して信号線VRTに接続されるとともに、スイッチS4bを介して信号線VRBに接続される。
【0032】
また、コンデンサC5の一端はノードVcm’に接続され、コンデンサC5の他端はスイッチS5aを介して信号線VRTに接続されるとともに、スイッチS5bを介して信号線VRBに接続される。
また、コンデンサC6の一端はノードVcm’に接続され、コンデンサC6の他端はス
イッチS6aを介して信号線VRTに接続されるとともに、スイッチS6bを介して信号線VRBに接続される。
また、コンデンサC7の一端はノードVcm’に接続され、コンデンサC7の他端はス
イッチS7aを介して信号線VRTに接続されるとともに、スイッチS7bを介して信号線VRBに接続される。
また、コンデンサC8の一端はノードVcm’に接続され、コンデンサC8の他端はス
イッチS8aを介して信号線VRTに接続されるとともに、スイッチS8bを介して信号線VRBに接続される。さらに、コンデンサC8の他端はスイッチSXを介して信号線VRAMPに接続される。
そして、ノードVcmとノードVcm’とはスイッチS13により接続されており、このステップS13を介して、ノードVcmとノードVcm’とは選択的に接続状態または開放(切断)状態になる。
【0033】
そして、
図1に示すADC12は、スイッチS9〜S13を定常的にオン状態のままにすることで、通常のA/D変換回路(
図11に示す重み付け加算しないADC13C)として動作し、スイッチS9〜S13のオン/オフを制御することにより、重み付け加算機能を備えるA/D変換回路として動作するものである。
【0034】
(重み付け加算なしの場合のADC12の動作説明)
最初に、
図1に示すADC12において、スイッチS9〜S13を定常的にオン状態に
ままとすることにより、ADC12を通常のA/D変換回路(重み付け加算しないA/D変換回路)として動作させる場合の例について説明する。
【0035】
図2は、重み付け加算を行わない場合のADC12の動作を説明するためのタイムチャートである。なお、この
図2に示す処理は、通常の積分型のA/D変換処理(特許文献1に記載の固体撮像装置において行われるA/D変換処理)と同じ処理である。以下、
図2に示すタイムチャートを参照して、その処理の流れについて簡単に説明する(詳細については、特許文献1に記載の撮像装置を参照)。
【0036】
このADC12におけるA/D変換動作は、コース変換およびファイン変換の2段階のA/D変換動作により行われる。また、このA/D変換処理の動作中において、スイッチS9〜S13はオンのままである。また、コンデンサC1〜C8に繋がるスイッチS1〜S8は、最初は、スイッチS1a〜S8aがオン状態であり、スイッチS1b〜S8bがオフ状態である。
【0037】
そして、制御部21からの制御指令により、ADC12におけるA/D変換処理が開始されると、時刻T1においてダーク取込が開始され、PGAオートゼロ信号のスイッチPGA_AZ、オートゼロ信号のスイッチADC_AZ、およびサンプリング信号のスイッチSPLがオンになる。これにより、コンパレータCP1は、コンデンサC10の正極電位に画素の暗状態の情報を電位(ダーク電位Vdark)として保持する。そして、この時刻T1から開始されるダーク取込が完了すると、スイッチPGA_AZ、スイッチADC_AZ、およびスイッチSPLがオフになる。
その後、時刻T2において、シグナル取込(画素信号の読み込み)が開始され、再度スイッチSPLがオンになると、PGA11から出力される画素信号がノードVcmに電位Vcmとして保持される。そして、このダーク取込が完了すると、スイッチSPLがオフになる。
【0038】
そして、制御部21内のコース変換制御部22により、時刻T3からコース変換が開始される。この時刻T3において、コンデンサC8に繋がるスイッチS8aがオフになり、同じくコンデンサC8に繋がるスイッチS8bがオンになる。これにより、ノードVcm’(より正確には、スイッチS13がオンのためノードVcmおよびノードVcm’)と容量結合されたコンデンサC8の対極の電圧がVRT(2.0V)からVRB(1.0V)に変化する。このとき、ノードVcmの電位が「(VRT−VRB)/8」だけ下降する。また、コース変換用の3ビットカウンタ24Aの値が“001”となる。
【0039】
また、時刻T4において、コンデンサC1に繋がるスイッチS1aがオフになり、同じくコンデンサC1に繋がるスイッチS1bがオンになる。これにより、ノードVcmと容量結合されたコンデンサC1の対極がVRT(2.0V)からVRB(1.0V)に変化する。このとき、ノードVcmの電位がさらに「(VRT−VRB)/8」だけ下降する。また、3ビットカウンタ24Aの値が“010”となる。
【0040】
時刻T5〜T9において同様の動作が行なわれ、時刻T10においてノードVcmの電位がさらに「(VRT−VRB)/8」だけ下降したときに、ノードVcmの電位が電位Vdark(ほぼ0V)よりも低くなり、このとき、3ビットカウンタ24Aのカウント値(この例では、“111”)により、画素信号のA/D変換後のデジタル値の上位3ビットが決定される。
【0041】
上記コース変換が終了すると、時刻T11以降において、ファイン変換制御部23により、ファイン変換が開始され、下位12ビットの判定が開始される。このため、時刻T11において、スイッチSXをオン状態にすると共に、コンデンサC8の対極電位である信号VRAMPを、VRTに相当するレベルまで引き上げる。また、ノードVcmの電位を、コース変換終了時点よりも、1タイミング前に相当するレベルまで引き上げる。すなわち、「(VRT−VRB)/8」だけ引き上げる(詳細については、特許文献1を参照)。
【0042】
そして、時刻T11以降、信号VRAMPをスロープ状に変化(低下)させることにより、ノードVcmの電位をスロープ状に下降させ、ノードVcmの電位がダーク電位Vdark(ほぼ0V)の電位よりも低くなる点までの時間をクロック信号(図示せず)により計数する。また、このクロック信号の計数は12ビットカウンタ24Bにより行われ、この12ビットカウンタ24Bの計数値により、画素信号の下位12ビットのデジタル値が決定される。
【0043】
このように、ADC12では、コース変換において画素情報の上位ビット(上位3ビット)を決定し、ファイン変換において画素情報の下位ビット(下位12ビット)を決定するので、画素信号のA/D変換処理を高速に行なうことができる。
【0044】
(重み付け加算を行う場合のADC12の動作説明)
次に、
図3のタイムチャートを参照して、
図1に示すADC12が、重み付け加算ありのA/D変換回路として動作する場合の例について説明する。
【0045】
この
図3に示すフローチャートは、
図2に示すタイムチャートと比較して、時刻T2aから開始される信号Sig1の取り込みと、時刻T2bから開始される信号Sig2の取り込みと、時刻T2cから開始される信号Sig3の取り込みと、時刻T2dから開始される信号Sig1,Sig2,Sig3の重み付け加算との、それぞれの処理期間を新たに追加した点が異なる。また、
図2の時刻T2に開始されるシグナル取込を、
図3の時刻T2eに開始される重み付け信号取込に変更した点が異なる。その他については、
図2に示すタイムチャートと同様である。
【0046】
この
図3のタイムチャートに示すように、時刻T1において開始されるダーク取り込みが終了し、時刻T2aに至るとスイッチS9がオンになり、PGA11を介して入力される信号Sig1がコンデンサC1に取り込まれる(コンデンサC1が充電される)。また、時刻T2bに至るとスイッチS10およびS11がオンになり、PGA11を通して入力される信号Sig2がコンデンサC2およびC3に取り込まれる(コンデンサC2,C3が充電される)。また、時刻T2cに至るとスイッチS12がオンになり、PGA11を通して入力される信号Sig3がコンデンサC4に取り込まれる(コンデンサC4が充電される)。これにより、重み付け加算の対象となる信号Sig1,Sig2,Sig3のADC12内への取り込みが完了する。
【0047】
その後、時刻T2dに至ると、4つのスイッチS9,S10,S11,S12を一斉にオンにし、コンデンサC1,C2,C3,C4に蓄積された電荷をノードVcmに放出することにより、ノードVcm上に、信号Sig1,Sig2,Sig3が重み付け加算された電圧の信号が生成される。なお、信号Sig1,Sig2,Sig3に対する重み付けの比は、それぞれの信号が保持されるコンデンサ個数から「1:2:1」となる。
【0048】
そして、上記時刻T2dにおいて、信号Sig1,Sig2,Sig3が重み付け加算された電圧信号がノードVcmに生成されると、さらに、時刻T2eにおいて、スイッチS13をオンにし、ノードVcmとノードVcm’とを接続し、ノードVcm’上に重み付け加算された信号を取り込む。
そして、時刻T2e以降の波形Vcmは、ノードVcm’(コンデンサC5からC8が
接続されるノードVcm’)の電圧波形を示している。但し、時刻T2eから時刻T2fまでは、スイッチS13がオンになることにより、コンデンサC1,C2,C3の充電電荷がコンデンサC1〜C8の間で再分配されることを説明するために、スイッチS13がオンする前のコンデンサC1,C2,C3の充電電位(電圧レベルL1)を模式的に示している。
すなわち、時刻T2eから時刻T2fの間に、スイッチS13をオンにしてノードVc
mとノードVcm’とを接続する際に、ノードVcmの電位(電圧レベルL1)は、コンデンサC1,C2,C3の充電電荷がコンデンサC1〜C8の間で再分配されることにより、時刻T2fにおいて電圧レベルL2に低下する。
【0049】
その後、時刻T3においてコース変換が開始され、時刻T11においてファイン変換が開始される。このコース変換およびファイン変換については、
図2に示したタイムチャートと基本的に同じである。
ただし、
図3に示すタイムチャートでは、コース変換動作をスイッチS5,S6,S7
,S8の4つのスイッチを用いて行う点が、
図2に示すタイムチャートと異なる、すなわち、
図2に示すタイムチャートでは、コース変換動作をスイッチS1〜S8の8つのスイッチを用いて8段階で行うことにより、A/D変換値の上位ビットを決定するのに対して、
図3に示すタイムチャートでは、コース変換動作をスイッチS5〜S8の4つのスイッチを用いて4段階で行うことにより、A/D変換値の上位ビットを決定する。
これは、時刻T3以降のコース変換動作時において、スイッチS13がオフとなり、コ
ンデンサC1,C2,C3,C4がノードVcm’から切り離されており、このコンデンサC1〜C4のそれぞれに繋がるスイッチS1〜S4をコース変換用に使用できないためである。
なお、時刻T2d以降、スイッチS9〜S13をオンのままとすることにより、コース
変換動作をスイッチS1〜S8の8つのスイッチを用いて8段階で行うことも可能である。
【0050】
このように、本実施形態のA/D変換回路(ADC12)においては、垂直方向の画素信号の重み付け加算を、A/D変換を行う前のアナログ信号の段階で行うことにより、A/D変換を行う際に発生するノイズ成分や量子化誤差の影響を受けることなく、画素信号の重み付け加算を行うことができる。
【0051】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態のADC12においては、コース変換処理により画素信号のデジタル値の上位ビットを決定し、ファイン変換処理により画素信号のデジタル値の下位ビットを決定するようにして、A/D変換の高速化を図っている。しかしながら、その分、回路構成が複雑になる。本発明のA/D変換回路においては、コース変換処理を行うことは必ずしも必要ではなく、コース変換処理を行うことなく、ファイン変換処理のみを行う構成にすることもできる。これにより、A/D変換回路の回路構成を簡単化できる。本発明の第2の実施形態として、A/D変換回路において、ファイン変換のみを行う場合の例について説明する。
【0052】
図4は、本発明の第2の実施形態に係わるA/D変換回路の構成を示す図である。この
図4に示すA/D変換回路(ADC12A)は、
図1に示すA/D変換回路(ADC12)と比較して、
図1に示すADC12におけるコース変換処理に関係する構成を削除した点が異なる。すなわち、
図1に示すADC12において、コンデンサC5〜C7を削除し、またスイッチS1a,S1b〜S8a,S8b及びSXを削除した点が異なる。他の構成は、
図1に示すADC12と同様である。このため、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0053】
図5は、
図4に示すADC12Aの動作を説明するためのタイムチャートである。
図5に示すタイムチャートは、
図3に示す重み付け加算ありのタイムチャートと比較して、時刻T1において開始されるダーク取込から、時刻T2eにおいて開始される重み付け信号のノードVcm’への取込動作までは同じであり、時刻T3からファイン変換処理が開始される点が異なる(
図3のタイムチャートでは、時刻T3からコース変換処理が開始される)。
【0054】
このように、コンデンサC1,C2,C3,C4を用いて、信号Sig1,Sig2,Sig3の重み付け加算を行った後、コース変換処理を省略し、直ちに、ファイン変換を開始することができる。このため、ビット数(分解能)の低いA/D変換回路においては、アナログ信号による重み付け加算が行えるとともに、回路構成を簡単化できる。
【0055】
なお、
図6は、
図5に示すADC12Aにおいて、重み付け加算を行わない場合の動作を示すタイムチャートである。このADC12Aにおいて、重み付け加算を行わない場合は、スイッチS9からS13を全てオンのままとし、時刻T1から開始されるダーク取込と、時刻T2から開始されるシグナル取込とが完了した後に、時刻T3からファイン変換処理を開始する。
【0056】
[第3の実施形態]
上記第1および第2実施形態では、ノードVcmに接続されるコンデンサC1〜C8の全てを同じ静電容量のコンデンサとし、画素信号Sig1,Sig2,Sig3の重み付けに応じて、それぞれの信号を保持するコンデンサの個数を割り当てている。例えば、
図1に示す例では、画素信号Sig1に1個のコンデンサC1を割り当て、画素信号Sig2に2個のコンデンサC2,C3を割り当て、画素信号Sig3に1個のコンデンサC4を割り当てている。
これに対して、本発明の第3の実施形態では、画素信号Sig1,Sig2,Sig3のそれぞれに対して1個のコンデンサを割り当て、それぞれのコンデンサの静電容量を変更することにより重み付けを行う。
【0057】
図7は、本発明の第3の実施形態に係わるA/D変換回路の構成を示す図である。この
図7に示すADC12Bは、
図1に示すADC12と比較して、信号Sig2を保持するコンデンサを、1つのコンデンサC2のみとした点(
図1のADC12では、信号Sig2を2つのコンデンサC2,C3で保持)が異なる。また、信号Sig1,Sig2,Sig3のそれぞれに対する重み付けの大きさに応じて、コンデンサC1,C2,C3のそれぞれの静電容量の大きさを変化させる(すなわち、それぞれの静電容量の大きさをそれぞれ設定する、または、それぞれの静電容量の大きさを異なるようにする)点が異なる。
例えば、コンデンサC1,C2,C3の静電容量の比率を「1:2:1」などとする。その他の構成は、
図1に示すADC12と同様である。このため、同一の構成には同一の符号を付している。
【0058】
この
図7に示す例では、信号Sig1,Sig2,Sig3に対する重み付けに応じて、コンデンサC1,C2,C3のそれぞれの静電容量の大きさを変化させる。このため、コンデンサC1,C2,C3の静電容量と、コンデンサC4〜C8の静電容量とが異なることになる。すなわち、コンデンサC1〜C8において、静電容量が異なるコンデンサが存在することになる(
図1に示すADC12では、コンデンサC1〜C8の静電容量は全て同じである)。
【0059】
このため、コンデンサC1,C2,C3は、信号Sig1,Sig2,Sig3の重み付け加算を行う場合にだけ使用され、重み付け加算を行った後は、スイッチS9,S10,S11はオフ状態のままとし、コンデンサC1,C2,C3をADC12Bで行われるコース変換には使用しないようにする。すなわち、ADC12Bでは、5つのコンデンサC4,C5,C6,C7,C8を用いてコース変換処理を行うことになる。
【0060】
図8は、
図7に示すADC12Bの動作を説明するためのタイムチャートであり、重み付け加算ありの場合の動作を示すタイムチャートである。この
図8に示すタイムチャートは、
図3に示す第1の実施形態のADC12におけるタイムチャートと比較して、時刻T1から開始されるダーク取込と、時刻T2aから開始される信号Sig1の取込までは同じである。そして、
図8に示す時刻T2bに至るとスイッチS10がオンになり、PGA11を通して入力される信号Sig2がコンデンサC2に取り込まれる(コンデンサC2が充電される)。また、また、時刻T2cに至るとスイッチS11がオンになり、PGA11を通して入力される信号Sig3がコンデンサC3に取り込まれる(コンデンサC3が充電される)。これにより、重み付け加算の対象となる信号Sig1,Sig2,Sig3のADC12Bへの取り込みが完了する。
【0061】
その後、時刻T2dに至ると、3つのスイッチS9,S10,S11を一斉にオンにし、コンデンサC1,C2,C3に蓄積された電荷をノードVcmに放出する。そして、上記時刻T2dにおいて、信号Sig1,Sig2,Sig3が重み付け加算された電圧信号がノードVcmに生成されると、さらに、時刻T2eにおいて、スイッチS13をオンにし、ノードVcmとノードVcm’とを接続し、ノードVcm’上に重み付け加算された信号を取り込む。これにより、信号Sig1,Sig2,Sig3を重み付け加算した電圧信号が、ノードVcm’に生成される。
【0062】
そして、時刻T3においてコース変換が開始される。この
図8に示すタイムチャートでは、コース変換動作をスイッチS4,S5,S6,S7,S8の5つのスイッチを用いて行い、A/D変換値の上位ビットを決定する点が、
図3に示すタイムチャートと異なる。
すなわち、
図3に示すタイムチャートでは、コース変換動作をスイッチS5〜S8の4つのスイッチを用いて4段階で行うことにより、A/D変換値の上位ビットを決定するのに対し、
図8に示すタイムチャートでは、コース変換動作をスイッチS4〜S8の5つのスイッチを用いて5段階で行うことにより、A/D変換値の上位ビットを決定する。
これは、時刻T3以降のコース変換動作時において、スイッチS13がオフとなり、コ
ンデンサC1,C2,C3がノードVcm’から切り離されており、このコンデンサC1,C2,C3に繋がるスイッチS1,S2,S3をコース変換動作用に使用できず、残りのスイッチS4〜S8を用いてコース変換を行うためである。
このコース変換が終了すると、時刻T9においてファイン変換処理が開始されるが、このファイン変換処理は、
図2および
図3に示す場合と同様である。
【0063】
このように、第3の実施形態においては、コンデンサC1,C2,C3の容量を変化させることにより、信号Sig1,Sig2,Sig3に対する重み付けを細かく設定することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、ここで本発明と上記実施形態とにおける対応関係について補足して説明する。
本発明における固体撮像装置は、
図9に示す固体撮像装置1が対応し、本発明における
A/D変換回路は、
図1に示すADC12等が対応する。また、本発明における画素信号は、
図9に示す画素PXで生成され垂直信号線VLを介してADC(A/D変換回路)に入力される画素信号(例えば、信号Sig1,Sig2,Sig3)対応する。また、本発明におけるノードは、ノードVcm(ノードVcmとノードVcm’の両方を含む場合がある)が対応する。また、本発明における所定電位は、暗状態の画素信号の電位(Vdark)であり、より正確には、コンパレータCP1に繋がるコンデンサC10に保持され電圧(ダーク電位Vdark)である。
また、本発明における制御手段は、制御部21が対応し、本発明におけるコース変換手段は、コース変換制御部22が対応し、本発明におけるファイン変換手段は、ファイン変換制御部23が対応する。また、本発明における第1群のコンデンサは、コンデンサC1〜C4が対応し、本発明における第2群のコンデンサは、コンデンサC5〜C8が対応し、本発明における第1群のスイッチは、スイッチS9〜S12が対応し、本発明における第2群のスイッチは、スイッチS13が対応する。
【0065】
(1)そして、上記実施形態において、ADC12は、固体撮像装置の垂直信号線VLを介して画素信号Sig1,Sig2,Sig3が入力されるノードVcmに容量結合される複数のコンデンサC1〜C8と、垂直信号線VLを介して入力される複数の画素信号Sig1,Sig2,Sig3のそれぞれを、複数のコンデンサC1〜C8中の一部のコンデンサC1〜C4を使用して予め保持する画素信号保持手段(コンデンサC1〜C4とスイッチS9〜S11)と、一部のコンデンサC1〜C4に保持されたそれぞれの画素信号を合成してノードVcmの電位を生成するノード電位生成手段(コンデンサC1〜C4とスイッチS9〜S11)と、複数のコンデンサC1〜C8の対極の電圧を変化させることにより、ノードVcmの電位を変化させ、ノードVcmの電位と所定電位(ダーク電位Vdark)とを比較することにより画素信号のデジタル値を生成する制御手段(制御部21)と、を備える。
【0066】
このような構成のADC12では、固体撮像装置の垂直信号線VLを介して入力される複数の画素信号Sig1,Sig2,Sig3のそれぞれを、ADC12内の複数のコンデンサC1〜C8中の一部のコンデンサC1〜C4を使用して予め保持する。そして、コンデンサC1〜C4に保持されたそれぞれの画素信号Sig1,Sig2,Sig3を合成してノードVcmの電位を生成する。その後、コンデンサC1〜C8の対極の電圧を変化させることにより、ノードVcmの電位を変化させ、ノードVcmの電位と所定電位(ダーク電位Vdark)とを比較することにより画素信号のデジタル値を生成する。
これにより、本実施形態のADC12では、垂直方向の画素信号Sig1,Sig2,
Sig3の重み付け加算をアナログ信号の段階で行うことにより、A/D変換の際に重畳されるノイズ成分による誤差や量子化誤差を含むことなく、重み付け加算を行うことができる。また、重み付け加算をADC12内のコンデンサC1〜C4を利用して行うため、固体撮像装置(チップ)のレイアウト面積を増大させることがない。
【0067】
(2)また、上記実施形態において、ADC12は、複数のコンデンサC1〜C8はそれぞれが同一の静電容量であり、画素信号Sig1,Sig2,Sig3の重み付け加算を行う場合に、制御部21は、それぞれの画素信号をコンデンサC1〜C4に保持する際に、それぞれの画素信号の重み付けに応じて、複数のコンデンサC1〜C8の中から1または複数個のコンデンサを割り当て、この割り当てられたコンデンサに充電を行うことにより当該画素信号を保持し、重み付け加算を行う画素信号の全ての入力が完了した後に、コンデンサC1〜C4に保持された充電電荷を加算することにより画素信号Sig1,Sig2,Sig3を重み付け加算し、この重み付け加算された画素信号によりノードVcmに電位を生成させる。
これにより、ADC12中のコンデンサC1〜C4を利用して、画素信号Sig1,Sig2,Sig3をアナログ信号の段階において容易に重み付けして加算することができる。また、重み付け加算をADC12内のコンデンサC1〜C4を利用して行うため、レイアウト面積を増大させることがない。
【0068】
(3)また、上記実施形態において、制御部21は、複数のコンデンサC1〜C8の対極の電圧を順次に切替えることによりノードVcmの電位を階段状に変化させ、ノードVcmの電位と所定電位(ダーク電位Vdark)とを比較して、デジタル値の所定のビット数の上位ビットを決定するコース変換制御部22と、コース変換の終了後に、コンデンサC1〜C8内の所定のコンデンサC8の対極の電圧VRAMPをスロープ状に変化させることにより、ノードVcmの電位をスロープ上に変化させ、ノードVcmの電位と所定電位(ダーク電位Vdark)とを比較してデジタル値の下位ビットを決定するファイン変換制御部23と、を備える。
これにより、A/D変換の際に重畳されるノイズ成分による誤差や量子化誤差を含むことなく、重み付け加算を行うことができるという効果に加えて、重み付け加算された画素信号をデジタル値に変換する際のA/D変換速度を速くすることができる。
【0069】
(4)また、上記実施形態において、制御部21は、コンデンサC1〜C8内の所定のコンデンサC8の対極の電圧VRAMPをスロープ状に変化させることにより、ノードVcmの電位をスロープ上に変化させ、ノードVcmの電位と所定電位(Vdark)とを比較してデジタル値を生成するファイン変換制御部23を、を備える。
これにより、コース変換処理を行うことなく、ファイン変換処理のみを行う構成にすることもできる。これにより、A/D変換回路の回路構成を簡単化できる。
【0070】
(5)また、上記実施形態において、複数のコンデンサC1〜C8の個数がn個(n=8)であり、画素信号を予め保持する第1群のコンデンサC1〜C4の個数がm個(m=4)であり、第1群の4個のそれぞれのコンデンサC1〜C4とノードVcmとの間を選択的に接続するm個の第1群のスイッチS9〜S12と、複数のコンデンサC1〜C8中の第1群のコンデンサを除く(n−m)個(4個)の第2群のコンデンサC5〜C8とノードVcmとの間を一括して選択的に接続する1個の第2群のスイッチS13と、を備え、制御部21は、重み付け加算を行う画素信号の数と、それぞれの画素信号の重み付けとに応じて、入力されるそれぞれの画素信号に対して第1群のスイッチS9〜S12の中から1または複数のスイッチを予め割り当て、垂直信号線VLを介して順次に入力される画素信号を重み付けして加算する際に、最初に、第1群のスイッチS9〜S12と第2群のスイッチS13とをオフにし、画素信号が入力されるごとに、第1群のスイッチS9〜S12中の当該画素信号に割り当てられたスイッチをオンにし、当該スイッチに繋がるコンデンサを充電することにより当該画素信号を保持した後に、当該スイッチをオフにし、重み付け加算を行う画素信号Sig1,Sig2,Sig3の全ての入力が完了した後に、第1群のスイッチS9〜S12を一括してオンにし、当該第1群のスイッチS9〜S12に繋がるコンデンサC1〜C4に保持された充電電荷を加算することにより画素信号を重み付け加算するとともに、この重み付け加算された画素信号によりノードVcmに電位を生成させる。
これにより、画素信号Sig1,Sig2,Sig3をアナログ信号の段階で重み付け加算することができるとともに、ADC12内のコンデンサC1〜C4を利用して重み付け加算を行うことができる。
【0071】
(6)また、上記実施形態において、制御部21は、第1群のスイッチS9〜S12と第2群のスイッチS13とを常時オンに制御することにより、入力される画素信号に対して重み付け加算なしのA/D変換を行う。
これにより、重み付け加算ありのA/D変換と、重み付け加算なしのA/D変換とを選択して実行することができる。
【0072】
(7)また、上記実施形態において、固体撮像装置1は、上記のADC12を備える固体撮像装置1であって、光信号を電気信号に変換する光電変換素子を含む画素PXが複数行列状に配置され、各画素PXを行ごとに順次走査しながら選択行の各画素PXの信号を列ごとに配線された複数の垂直信号線VLを介して出力する撮像手段(画素部2)を備え、ADC12は、複数の垂直信号線VLそれぞれに対応して設けられ、当該垂直信号線VLから出力される画素信号(例えば、信号Sig1,Sig2,Sig3)をアナログ信号からデジタル値に変換する。
これにより、本発明の固体撮像装置1では、垂直信号線VLから出力される画素信(例えば、信号Sig1,Sig2,Sig3)を重み付け加算してデジタル値(デジタルデータ)として出力する際に、この画素信号の重み付け加算をアナログ信号の段階で行うことができる。このため、画素信号をA/D変換する際に重畳されるノイズ成分等による誤差を含むことなく、重み付け加算されたデジタルデータを出力することができる。また、重み付け加算をADC12内のコンデンサC1〜C4を利用して行うため、レイアウト面積を増大させることがない。
【0073】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明のA/D変換回路は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。