(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反射膜は、前記凹部の側壁の内面に前記リードとの境界まで形成され、かつ、前記第2樹脂体の上面及び下面に前記リードとの境界まで形成されている請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のパッケージ。
前記第1樹脂体及び前記第2樹脂体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のパッケージ。
凹部の底面に配置される一対のリードと、前記凹部の側壁を形成する第1樹脂体と、前記一対のリード間に配置される第2樹脂体と、を備える樹脂成形体を準備する工程と、
少なくとも前記凹部の底面及び前記凹部の側壁の内面の全面に反射膜を形成する工程と、
前記反射膜が形成された樹脂成形体において前記凹部内の前記一対のリードに形成された前記反射膜を剥離する工程と、を有し、
前記反射膜を剥離する工程は、前記反射膜が形成された樹脂成形体を電解液に浸漬して前記樹脂成形体に電流を通電するパッケージの製造方法。
凹部の底面に配置される一対のリードと、前記凹部の側壁を形成する第1樹脂体と、前記一対のリード間に配置される第2樹脂体と、を備える樹脂成形体を準備する工程と、
少なくとも前記凹部の底面及び前記凹部の側壁の内面の全面に反射膜を形成する工程と、
前記反射膜が形成された樹脂成形体において前記凹部内の前記一対のリードに形成された前記反射膜を剥離する工程と、
前記反射膜が剥離された前記一対のリードの少なくとも一方に発光素子を載置する工程と、を備え、
前記反射膜を剥離する工程は、前記反射膜が形成された樹脂成形体を電解液に浸漬して前記樹脂成形体に電流を通電する発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態の一例を示すパッケージの製造方法及び発光装置の製造方法、並びにパッケージ及び発光装置を説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、本実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係等が誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略することとする。
【0014】
(第1実施形態)
<発光装置の構成>
図面を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る発光装置の概略を示す図であり、発光装置を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る発光装置の概略を示す図であり、発光装置の上面図である。
図3は、第1実施形態に係る発光装置の概略を示す図であり、
図2のIII−III断面矢視図である。
第1実施形態に係る発光装置1は、第1樹脂体24及び第2樹脂体25を含むパッケージ20と、発光素子30と、第3樹脂体40と、ワイヤ50と、を備えている。
【0015】
<パッケージの構成>
パッケージ20は、リード23と、第1樹脂体24と、第2樹脂体25と、反射膜27とを備え、リード23と第1樹脂体24及び第2樹脂体25と、は一体成形されている。
パッケージ20の全体の形状は、上面側が正方形状の略直方体である。パッケージ20は、外側の面として、下面20a、側面20b及び上面20cを有している。パッケージ20の高さ、長さ、幅は特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜選択することができる。パッケージ20の形状は、略立方体、略六角柱等の多角形形状としてもよい。
【0016】
ここで、パッケージ20の下面20aは、外部の実装基板等に対して実装面となる。下面20aは、第1樹脂体24の下面及び第2樹脂体25の下面25bに形成された反射膜27と、反射膜27から露出するリード23と、で構成されている。下面20aにおけるリード23は、パッケージ20の周縁側部分(第1樹脂体24の下面)及び離間して第2樹脂体25の設けられている部分以外では反射膜27から露出している。
【0017】
パッケージ20の側面20bは、第1樹脂体24と、第1樹脂体24の隅部において露出するリード23と、から構成されている。側面20bにおけるリード23は、パッケージ20の四隅において、矩形状に露出している。なお、側面20bにおいて第1樹脂体24とリード23とは略同一面に形成されている。
【0018】
パッケージ20の上面20cは、平面視では矩形状に形成され中央に、上方に開口した凹部26を備えている。上面20cの側では、凹部26の開口部26cの周縁上面、凹部26の内面26b及び、凹部26の底面26aにおいて一対のリード23,23間に配置される第2樹脂体25の上面25aに、反射膜27が設けられている。
【0019】
[凹部]
凹部26の底面26aにはリード23が露出しており、このリード23に発光素子30が載置されている。凹部26の側壁26dは第1樹脂体24で構成されている。側壁26dの外面は、パッケージ20の側面20bを構成する。
側壁26dの内面26bには滑らかな傾斜を設けてもよいし、表面に細かい凹凸を設け、光を散乱させる形状としてもよい。
凹部26は、平面視で円形状の開口部26cを有している。開口部26cの形状としては、円形として示しているが、略楕円形状、略多角形形状等を採ることができる。また、凹部26は、側壁26dの内面26bが開口部26cの側に拡がる形状となっている。
【0020】
[リード]
リード23は、凹部26の底面26aに配置される。リード23は、正負一対となるように離間させて配置されている。一対のリード23,23は、アノード電極、カソード電極にそれぞれ相当し、それぞれ導電性が異なることを意味する。
【0021】
リード23の長さ、幅、厚さは特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜選択することができる。リード23の材質は、例えば銅や銅合金が好ましい。リード23の最表面は、例えば、銀やアルミニウム等の反射率の高い金属材料にて被覆されていることが好ましい。
【0022】
本実施形態では、凹部26の底面26aに露出したリード23及びパッケージ20の下面20aのリード23にはメッキが施されている。
リード23の上面(凹部26の底面26a)にはメッキが施されているので、発光素子30からの光の反射率を高めることができる。
また、リード23は、底面(パッケージ20の下面20a)がメッキされているため、半田等の導電性部材との接合強度が増す。
なお、本実施形態では、リード23は、側面20bから露出した面がメッキされていない。メッキされていない理由として、この面は、後記するようにパッケージ20を個片化した際に現れた切断面の状態をそのまま使用しているからである。
【0023】
[第1樹脂体、第2樹脂体]
第1樹脂体24は、リード23を固定すると共に凹部26の側壁26dを構成している。第2樹脂体25は、一対のリード23,23間に配置される。第1樹脂体24及び第2樹脂体25は、同じ樹脂で一体成形されている。以下では、第1樹脂体24及び第2樹脂体25を構成する樹脂のことを第1樹脂という。
第1樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を挙げることができる。
熱可塑性樹脂の場合、例えば、ポリフタルアミド樹脂、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、不飽和ポリエステル等を用いることができる。
熱硬化性樹脂の場合、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリレート樹脂等を用いることができる。
凹部26の側壁26dの内面26bにおいて光を効率よく反射するために、第1樹脂に光反射部材が含有されていても構わない。例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ガラスフィラー、シリカ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムは、水分等に対して比較的安定でかつ高屈折率であり、また熱伝導性にも優れるため好ましい。
【0024】
[反射膜]
反射膜27は、第1樹脂体24及び第2樹脂体25の上面側と、下面側とに設けられている。反射膜27は、具体的には、凹部26の側壁26dの内面26bと、第2樹脂体25の上面25a及び下面25bとを少なくとも覆うように設けられている。反射膜27の形成範囲の部分では、発光素子30からの光量が比較的多いため、反射膜27を設けることで、発光装置1の正面方向からの光取り出し効率の向上に特に貢献することができる。なお、露出する一対のリード23は、反射膜27に覆われていない。
【0025】
本実施形態では、パッケージ20の側面20bにおいて、第1樹脂体24は反射膜27に覆われていない。その理由として、この面は、後記するようにパッケージ20を個片化した際に現れた切断面の状態をそのまま使用しているからである。
【0026】
反射膜27は、光反射部材の粒子を含有した薄膜である。この反射膜27は、有機溶媒に光反射部材の粒子を分散させた分散液を乾燥させて形成することができる。分散液における光反射部材の含有率は、例えば、1〜30重量%とすることができる。
【0027】
有機溶媒は、特に限定されないが、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、トルエン、アセトン、タービネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ヘキサン、トリデカン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン等を挙げることができる。有機溶剤は基材との濡れ性を調整するために1種類以上の混合溶液として用いても良い。
【0028】
光反射部材は、例えば、TiO
2(酸化チタン)、Al
2O
3(酸化アルミニウム)、ZrO
2(酸化ジルコニウム)、ZnO(酸化亜鉛)等の金属酸化物や、ガラスフィラー、SiO
2(酸化ケイ素)等の白色顔料等の可視光領域で屈折率が高い材料が好ましい。屈折率は1.4〜2.8が好ましく、1.5〜2.8がより好ましい。なかでも、屈折率の高い酸化チタンは、可視光領域で良好な反射性が得られるため好ましい。光反射部材で反射膜が形成された第1樹脂体24と第2樹脂体25の反射率は、可視光の反射率が70%以上、若しくは80%以上が好ましい。特に、発光素子の出射する波長域において反射率が70%以上、若しくは80%以上が好ましい。光反射部材に含まれる酸化チタン等の白色顔料の配合量は50重量%以上、95重量%以下であればよく、60重量%〜95重量%が好ましいが、これに限定されない。
【0029】
また、光反射部材の粒子は、平均粒径が1〜1000nm、好ましくは5〜300nm、さらに好ましくは10〜200nmであるナノ粒子であることが更に好ましい。ナノ粒子を用いることで、薄膜で反射率の高い反射膜27を形成することができるため、発光装置1を薄型とするためには好適である。ナノ粒子の分散液を乾燥させて反射膜27を形成することで、第1樹脂体24及び第2樹脂体25の表面から剥がれにくい緻密な膜とすることができるため、信頼性の高い発光装置1を構成することができる。
【0030】
ナノ粒子の粒径としては、良好な光反射性及び第1樹脂体24及び第2樹脂体25との良好な密着性が得られるように、平均粒径が1〜100nmとすることが好ましく、1〜50nmとすることが特に好ましい。
【0031】
なお、本明細書において、ナノ粒子の粒子径は、レーザー回折法を用いた測定で、粒子径の平均値とする。粒子の大きさは測定する個数基準(個数分布)を用いる。
また、反射膜27に含有させる光反射部材と、第1樹脂体24及び第2樹脂体25に含有させる光反射部材とは、同種の物質であってもよく、異なる種類の物質であってもよく、また、これらの物質の粒径も、同じであってもよく、異なるものであってもよい。
【0032】
パッケージの平面視の外縁の短辺の長さが、例えば100〜200μm程度の発光装置において、発光素子を載置する凹部に設ける反射膜の膜厚が仮に10μm程度もの厚みがあると、反射膜によって凹部が狭くなる。そのため、凹部には相対的に小型で低出力の発光素子しか載置できず、結果として、この発光装置が相対的に暗く発光することになる。
また、発光素子を載置する凹部の底面でリード間を跨ぐワイヤ50は、このリード間に配置される樹脂部の上に反射膜を設ける場合、反射膜が厚いと、ワイヤ50の形状が滑らかに設けることができなくなる。反射膜が仮に10μm程度もの厚みを有していると、ワイヤ50が尖って曲がった形状になるため、熱により第3樹脂体40が収縮したり膨張したりすることで、応力によりワイヤ50の破断、断線、接続部の剥がれ等が懸念される。
そのため、本実施形態のパッケージ20において、反射膜27の平均厚みTは、安定した膜厚で形成することができ、かつ良好な反射性が得られるように、10〜1000nm、好ましくは10〜500nm、さらに好ましくは50〜200nmとすることが特に好ましい。これにより、発光装置1は、パッケージ20の凹部26に、相対的に大型で高出力の発光素子30を載置できるため、相対的に明るく発光することができる。また、第2樹脂体25の上面25aに形成する反射膜27を、上記範囲内の膜厚に設定することにより、凹部26の底面26aでリード23,23間を跨ぐワイヤ50の形状を、滑らかに折り曲げた形状に維持することができる。なお、反射膜27を形成する際に、ナノ粒子を高濃度で含有する分散液を乾燥させることで、10〜500nm程度の薄膜を容易に形成することができる。
【0033】
パッケージ20は、外部の実装基板に例えば半田接合されると、パッケージ20の下面20aに半田層が接着される。仮に、第2樹脂体25の表面に反射膜27を備えていなかった場合、第2樹脂体25を透過した光は、半田層に吸収され外部に取り出すことができなくなる。これに対して、本実施形態のパッケージ20は、第2樹脂体25の上面25a及び下面25bに反射膜27を備えているので、第2樹脂体25に光が吸収されることを抑制することができ、かつ、第2樹脂体25に僅かな光が吸収されたとしても、第2樹脂体25の下面25bの反射膜27で上方に反射するので、光取り出し効率を上げることができる。
【0034】
[発光素子]
発光素子30は、パッケージ20の凹部26の底面26aにおいて一対のリード23の少なくとも一方に配置される。発光素子30は、ワイヤ50を介してリード23と電気的に接続している。ここで用いられる発光素子30は形状や大きさ等が特に限定されない。発光素子30の発光色としては、用途に応じて任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色(波長430〜490nmの光)の発光素子としては、GaN系やInGaN系を用いることができる。InGaN系としては、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y<1)等を用いることができる。なお、発光素子30は、フェイスアップ構造のものを使用することができる他、フェイスダウン構造のものも使用することができる。
【0035】
[第3樹脂体]
第3樹脂体40は、パッケージ20の凹部26内に実装された発光素子30等を覆うものである。第3樹脂体40は、発光素子30等を、外力、埃、水分等から保護すると共に、発光素子30等の耐熱性、耐候性、耐光性を良好なものとするために設けられている。
第3樹脂体40を構成する樹脂のことを以下では第3樹脂と呼ぶ。第3樹脂としては、熱硬化性樹脂、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂等の透明な材料を挙げることができる。このような材料に加えて、所定の機能を持たせるために、蛍光体や光反射率が高い物質等のフィラーを含有させることもできる。
【0036】
第3樹脂は、例えば蛍光体を混合することで、発光装置1の色調調整を容易にすることができる。
【0037】
第3樹脂に含有させるフィラーとしては、例えば、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、MgO等の光反射率が高い物質を好適に用いることができる。また、所望外の波長をカットする目的で、例えば、有機や無機の着色染料や着色顔料を用いることができる。
【0038】
[ワイヤ]
ワイヤ50は、発光素子30や保護素子等の電子部品と、リード23とを電気的に接続するための導電性の配線である。ワイヤ50の材質としては、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、Pt(白金)、Al(アルミニウム)等の金属、及び、それらの合金を用いたものが挙げられるが、特に、熱伝導率等に優れたAuを用いるのが好ましい。なお、ワイヤ50の太さは特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜選択することができる。
【0039】
[その他]
発光装置1には、保護素子としてツェナーダイオードを設けることもできる。ツェナーダイオードは、発光素子30と離れて凹部26の底面26aのリード23に載置することができる。また、ツェナーダイオードは、凹部26の底面26aのリード23に載置され、その上に発光素子30を載置する構成を採ることもできる。
【0040】
本実施形態に係るパッケージ20及び発光装置1は、高精度に配置された反射膜27を備えるので、発光素子や蛍光体からの光を、従来よりも反射させて、発光上面の方に光を取り出すことができる。発光装置1は、光取り出し効率を上げることができ、光束を向上させることができる。
【0041】
[発光装置の製造方法]
以下では、複数の発光装置に対応した複数の基板がアレイ状に配置された集合基板の形態で製造する場合について説明する。第1実施形態に係る発光装置の製造方法は、集合基板としての樹脂成形体を準備する工程と、反射膜を形成する工程と、一部の反射膜を剥離する工程と、発光素子を載置する工程と、第3樹脂で発光素子を覆う工程と、個片化工程と、を行うこととしている。
【0042】
<樹脂成形体を準備する工程>
図4は、第1実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、リードフレームの平面図である。
図5は、第1実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、樹脂成形体の平面図である。
図6は、第1実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、
図5のVI−VI断面矢視図である。
【0043】
樹脂成形体21は、リードフレーム22と、樹脂部29とを備えており、複数の発光装置に対応した複数の凹部26を備えている。リードフレーム22には、所定のパターンで貫通孔22aが形成されている。所定のパターンは、個片化した際に異種電極となるように2つのリード領域に分かれており、かつ、この2つのリードを保持しつつリード領域を囲むようになっている。貫通孔22aに沿って個片化するため、直線形状が好ましい。リードフレーム22は、平板状の金属板を用いることができるが、段差や凹凸を設けた金属板も用いることができる。リードフレーム22は、平板状の金属板に打ち抜き加工やエッチング加工等を行ったものである。
【0044】
貫通孔22aは、樹脂成形体21を個片化してパッケージ20とした際、リード23が正負一対となるように形成されている。また、貫通孔22aは、樹脂成形体21を切断する際に、リード23を切断する面積を少なくするように形成されている。例えば、正負一対のリード23となるように横方向に貫通孔22aを設ける。細長い貫通孔の幅(一対のリード23,23間の幅W)は、1mm以下、例えば500〜800μmであると、パッケージを小型化できるので好ましい。また、樹脂成形体21を個片化する際の切り出し部分に相当する位置に貫通孔22aを設ける。ただし、リードフレーム22の一部が脱落しないように、又は、パッケージ20の側面20bにリード23を露出させるためにリードフレーム22の一部を連結しておく。例えばダイシングブレード90(
図14参照)を用いて樹脂成形体21をダイシングするため、貫通孔22aは、縦及び横若しくは斜めに直線的に形成されていることが好ましい。このダイシングされる部分に相当する位置の貫通孔22a,22a間が1つのパッケージ20の構成となる。
【0045】
リードフレーム22は、例えば、銅や銅合金等の電気良導体を用いて形成される。また、発光素子30からの光の反射率を高めるために、銀やアルミニウム等の金属メッキを施すことができる。貫通孔22aを設けた後やエッチング処理を行った後等、上金型と下金型とで挟み込む前に金属メッキを施すことが好ましいが、リードフレーム22が樹脂部29と一体成形される前に金属メッキを施すこともできる。
【0046】
リードフレーム22におけるリード23は、成型後のリード23に相当する部分を意味し、個片化する後の状態をいう。リード23は、個片化されたときの凹部26の底面26aに配置される。樹脂部29は、成型後の第1樹脂体24と第2樹脂体25に相当する部分を意味し、個片化する前の状態をいう。このうち、第1樹脂体24は、個片化されたときの凹部26の側壁26dを形成する。第2樹脂体25は、個片化されたときの一対のリード23間に配置される。
【0047】
樹脂成形体21を製造する工程は、例えば下記(1)から(5)の工程を有する。
(1)貫通孔22aを有する平板状のリードフレーム22を準備する。
(2)リードフレーム22を上下に分割されたモールド金型の上金型と下金型で挟み込む。
(3)樹脂部29の材料、すなわち酸化チタン等の光反射部材が含有された第1樹脂を金型に注入する。
(4)注入された第1樹脂を硬化又は固化する。
(5)金型から成形体を取り出して第1樹脂の注入痕を切除する。
なお、第1樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合、トラスファーモールドにより製造することが好ましい。この場合、熱硬化性樹脂を硬化させるために、オーブンで加熱処理する。なお、樹脂成形体21を射出成形、圧縮成形、押出成形で形成させることもできる。
【0048】
<反射膜を形成する工程>
図7は、第1実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、反射膜の形成方法の一例を示す図である。
図8は、第1実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、反射膜を備える成形基板の平面図である。
図9は、第1実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、
図8のIX−IX断面矢視図である。
【0049】
反射膜27を形成する工程では、個片化されたときのパッケージ20において少なくとも凹部26の底面26a及び凹部26の側壁26dの内面26bの全面に反射膜27を形成する。ここで、凹部26の底面26aとは、個片化されたときのパッケージ20において第2樹脂体25の上面25aに相当する部分である。
【0050】
本実施形態では、準備された樹脂成形体21を、光反射部材の分散液である有機溶剤71に浸漬し、その後、乾燥させることで、反射膜27を形成する。浸漬時間や乾燥時間は、樹脂成形体21上に、平均厚みTが10〜300nmの反射膜27が形成されるように適宜設定することができる。この有機溶剤71として、光反射部材の粒子(ナノ粒子)が有機溶媒中に分散したスラリーを用いる。有機溶剤71には、1〜100nmの粒子径を持つ金属酸化物が主に含まれている。ナノ粒子は酸化チタンであることが好ましい。
【0051】
このようにナノ粒子が有機溶媒中に分散したスラリーで樹脂成形体21をコーティングすることで、パッケージの複雑形状に追従でき、高精度で、ち密な反射膜27が形成される。すなわち、光反射部材の分散液で樹脂成形体21に反射膜27を形成することにより、例えば、凹部26の内側の第2樹脂体25の上面25aや下面25b等の絶縁部に対して選択的に、光反射部材を含む反射膜27を成膜することができる。
【0052】
以下では、反射膜27が形成された後の樹脂成形体のことを樹脂成形体21bと表記する。樹脂成形体21bはその表面のすべてに反射膜27が形成されている。すなわち、個片化されたときのパッケージ20におけるリード23、第1樹脂体24及び第2樹脂体25の表面のすべてに反射膜27が形成されている。
【0053】
<一部の反射膜を剥離する工程>
図10は、第1実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、反射膜を剥離する方法の一例を示す図である。
図11は、第1実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、反射膜が剥離された成形基板の平面図である。
図12は、第1実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、
図11のXII−XII断面矢視図である。
【0054】
一部の反射膜27を剥離する工程は、樹脂成形体21bにおいて凹部26内の一対のリード23に形成された反射膜を剥離する工程である。この工程では、まず、樹脂成形体21bを電解液に浸漬して樹脂成形体21bに電流を通電する。例えば電解バリ取り装置を用いることができる。
【0055】
電解バリ取り装置は、電解槽80と電気回路とを備えており、電解槽80は所定の電解液81で満たされる。電源82の陰極には陰極板83が接続され、電源82の陽極には陽極板84が接続され、陰極板83及び陽極板84は電解液81の中に浸される。なお、複数の陰極板83及び陽極板84は、例えば絶縁された状態で格子状に配置されて、各陰極板83は電解処理対象物を保持する機能を兼用している。樹脂成形体21bは、そのリードフレーム22が陰極板83に電気的に接続される。樹脂成形体21bはその全体が電解液81の中に浸された状態で陰極板83に保持される。
【0056】
電解バリ取り装置のスイッチ85をオンすると、電気分解により、陰極側に水素が発生する。樹脂成形体21bに通電する電流値は、電解バリ取り装置の一般的な電流値でも構わないが、必要な反射膜27を残して不要な一部の反射膜27を効率よく除去するためには、500A/m
2〜3000A/m
2の電流密度で通電することが好ましい。より、好ましくは、1000A/m
2〜2500A/m
2である。
【0057】
電解バリ取りであれば、リード23の上に形成された反射膜27の部分には、電位が生じるので、水素が発生し、表面の反射膜27が剥離する。なお、第1樹脂体24及び第2樹脂体25の上に形成された反射膜27の部分には、電位が生じないので、水素が発生せず、表面の反射膜27が剥離しない。
【0058】
樹脂成形体21bには、直流電流と交流電流とを交互に通電させてもよい。この場合、直流電流を通電する期間は、交流電流を通電する期間よりも長くする。このように、水素を発生させる期間の途中に、水素を発生させない期間を設けることで、反射膜27を剥離させる力を抑制できる。その結果、必要な反射膜27がその近傍の不要な反射膜27に引っ張られて剥がされることを防止できる。
【0059】
一部の反射膜27を剥離する工程では、電解バリ取りを行った後、樹脂成形体21cの一対のリード23,23上に浮遊した反射膜を除去する工程を有する。この工程では、例えばウォータージェットを用いることができる。これにより、後述する、発光素子30等の電子部品の実装やワイヤボンディングの信頼性を向上させることができる。ここまでの工程により、複雑形状、高精度、ち密な高い反射率の反射膜27を樹脂部の表面に備えるパッケージ20の集合体を形成させることができる。なお、ここでは第1樹脂体24から露出しているリード23の形状は、円と直線とで構成されているが、平面視で湾曲状、波状、凹凸状などの複雑形状であっても、高精度で反射膜27を形成できる。
【0060】
以下では、不要な一部の反射膜27が除去された後の樹脂成形体のことを樹脂成形体21cと表記する。この樹脂成形体21cを個片化した場合、
図1のパッケージ20となる。このパッケージ20において、反射膜27は、凹部26の側壁26dの内面26bにリード23との境界まで形成され、かつ、第2樹脂体25の上面25a及び下面25bにリード23との境界まで形成されている。また、反射膜27は、パッケージ20の下面20aにおいて、第1樹脂体24の下面にリード23との境界まで形成されている。さらに、第1樹脂体24とリード23との境界に沿うように反射膜27が形成されている。
【0061】
<発光素子を載置する工程>
図13は、第1実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、発光素子が載置された成形基板の断面図である。発光素子30を載置する工程では、樹脂成形体21cの凹部26内に配置される一対のリード23,23の少なくとも一方に発光素子30を載置する。ここでは、発光素子30がフェイスアップ構造であるものとしているので、リード23上の発光素子30を実装する場所へ、ダイボンド樹脂を塗布して、発光素子30を実装し、次に、ダイボンド樹脂を硬化するために、オーブンで加熱処理する。
【0062】
なお、発光装置1の製造方法は、保護素子を載置する工程を有してもよい。この場合、樹脂成形体21cの凹部26内で保護素子を実装する場所へ、Agペースト剤を塗布してから、保護素子を実装し、Agペースト剤を硬化させるために、オーブンで加熱処理する。
【0063】
発光装置1の製造方法では、続いて、ワイヤボンディング装置を用い、導電性のワイヤ50で、発光素子30とリード23とを電気的に接続させる。なお、保護素子を載置した場合、保護素子とリードとを電気的に接続させる。以下では、発光素子30が実装された後の樹脂成形体のことを樹脂成形体21dと表記する。
【0064】
<第3樹脂で発光素子を覆う工程>
図14は、第1実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、第3樹脂体で発光素子が覆われた樹脂成形体の断面図である。樹脂で発光素子を覆う工程は、樹脂成形体21dにおいて、発光素子30の上から、例えば樹脂塗布装置を用いて、第3樹脂を塗布する。第3樹脂は、熱硬化性樹脂のほか、蛍光体、無機フィラー、有機フィラーの少なくとも、1つを含有させることができる。塗布に続いて、第3樹脂を硬化させるために、オーブンで加熱処理を行う。
【0065】
第3樹脂の充填量は、発光素子30等の電子部品やワイヤ50等が被覆される量であればよい。この材料の充填量を必要最小限にする場合には、第3樹脂体40の表面を図示するようにほぼ平坦な形状とする。なお、第3樹脂体40にレンズ機能をもたせる場合には、第3樹脂体40の表面を盛り上がらせて砲弾型形状や凸レンズ形状としてもよい。以下では、第3樹脂体40が形成された後の樹脂成形体のことを樹脂成形体21eと表記する。
【0066】
<個片化工程>
個片化工程は、樹脂成形体21eを切断して、個片化した発光装置を得る工程である。樹脂成形体21eのリードフレーム22には、所定のパターンで貫通孔22aが形成されており、凹部26に配置された貫通孔22aを除くその他の貫通孔22aを通る位置で樹脂成形体21eを切断する。例えば、樹脂成形体21eをダイシングシートに張りつけ、ダイシングブレード90で、樹脂成形体21eの樹脂部29とリードフレーム22とを同時に切断する。
【0067】
本実施形態に係るパッケージ及び発光装置の製造方法によれば、マスクを使用することなく、準備された樹脂成形体21を、光反射部材の分散液である有機溶剤71に浸漬し、全体に反射膜27を形成した後で、一部の不要な反射膜27を除去するので、反射膜27を必要なエリアに形成することができる。
【0068】
また、上記製造方法において、表面全体に反射膜27が形成された樹脂成形体21Bを電解液に浸漬し、陰極に接続された樹脂成形体21bに直流電流を通電すれば、水素の発生によりリード23の上から不要な反射膜27を容易に除去することができる。そのため、例えばリード23,23間に配置される第2樹脂体25の上面25a及び下面25bといった微小エリアにもリード23との境界まで精度良く反射膜27を形成することができる。また、第1樹脂体24とリード23との境界に沿うように反射膜27を形成することができる。
【0069】
(第2実施形態)
図15は、第2実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、絶縁膜で発光素子が覆われた樹脂成形体の断面図である。本実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子を載置する工程の後、かつ、第3樹脂で発光素子を覆う工程の前に、絶縁膜で発光素子を覆う工程をさらに有してもよい。
【0070】
発光素子30を載置した後にワイヤ50を用いる場合、絶縁膜60は、ワイヤ50を設けた後に形成するのが好ましい。本実施形態では、発光素子30が実装された後の樹脂成形体21dにおいて、発光素子30及びワイヤ50の上から絶縁膜60を形成する。
【0071】
絶縁膜60は、樹脂成形体21dの上面のほぼ全域を被覆するように設けることが好ましい。絶縁膜60の材料としては、透光性のものが好ましく、また、主として無機化合物を用いることが好ましい。具体的には、Al
2O
3、SiO
2、TiO
2、ZrO
2、ZnO、Nb
2O
5、MgO、In
2O
3、Ta
2O
5、HfO
2、SeO、Y
2O
3等の酸化物や、SiN、AlN、AlON等の窒化物、MgF
2等のフッ化物が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、又は、混合して用いてもよい。もしくは、積層させるようにしてもよい。
【0072】
絶縁膜60の膜厚については、第3樹脂体40/絶縁膜60の界面や、絶縁膜60/リード23の界面において多重反射で光の損失が起きないように薄くすることが好ましい。
絶縁膜60の膜厚は第3樹脂体40の膜厚よりも薄い。絶縁膜60の膜厚は略一定である。絶縁膜60として用いる材料の種類によって膜厚の好ましい範囲は多少異なるが、絶縁膜60の膜厚は、約1nm〜300nmが好ましく、より好ましくは5nm〜100nmである。絶縁膜60を多層とする場合には、層全体の膜厚がこの範囲内となるようにすることが好ましい。
【0073】
このような絶縁膜60は、Atomic Layer Deposition(ALD)法、スパッタ法、蒸着法等によって形成することができる。なかでも、ALD法は、形成される被膜が緻密であり、段差(凹凸)を有する形状の被覆性が高く、均一な厚さの被膜を形成することができるため好ましい。特に、ALD法で形成したAl
2O
3からなる被膜は、水分等の雰囲気に対するバリア性が高く、好ましい。これにより、例えばリード23上の銀メッキの変色を効果的に抑制することができる。
【0074】
(第3実施形態)
図16は、第3実施形態に係る発光装置の製造工程の概略を示す図であり、他の樹脂成形体の平面図である。本実施形態に係るパッケージ及び発光装置の製造方法では、例えば
図16に示す樹脂成形体21Cを準備することとしてもよい。樹脂成形体21Cは、リードフレーム22Cと、個々のパッケージに相当する複数の樹脂部29Cとを備えており、各樹脂部29Cは凹部26を備えている。樹脂成形体21Cでは樹脂部29Cが個片化されているので、個片化工程では、リードフレーム22Cだけが切断される。
【0075】
リードフレーム22Cは、板状の部材であり、凹部26の周囲に所定形状の貫通孔223を有している。貫通孔223は、樹脂成形体21Cを個片化した際、リード23が正負一対となるように形成されている。リードフレーム22Cは、貫通孔223の周囲を取り囲む枠体220と、吊りリード221と、ハンガーリード222と、を備えている。
吊りリード221は、枠体220から貫通孔223の側に向かって突出しリード23に接続されている。この吊りリード221は、樹脂部29C及びリード23,23を枠体220に支持するための部位であって、個片化する際に切り離されるものである。
ハンガーリード222は、枠体220から貫通孔223の側に向かって突出し、吊りリード221とは直交するように配置されている。このハンガーリード222は、その先端部で樹脂部29Cを支持するための部位であって、切断されるものではない。また、個片化後に、ハンガーリード222の基端部を所定の治具で突くことで、パッケージを、リードフレーム22Cから容易に取り外すことができる。
【0076】
樹脂成形体21Cを用いて反射膜を形成する工程を行うと、樹脂部29Cの上面20cに加えて側面20bにも反射膜27が形成される。つまり、個片化されたときのパッケージにおいて、第1樹脂体24及び第2樹脂体25は、全面が反射膜27により覆われる。したがって、側面20bにも反射膜27が形成されたパッケージ及び発光装置を製造することができる。これにより、凹部26の側壁26dの内面26bから第1樹脂体24に僅かな光が吸収されたとしても、パッケージの側面20bの反射膜27で反射するので、光取り出し効率を上げることができる。
【0077】
(第4実施形態)
<発光装置の構成>
図17は、第4実施形態に係る発光装置の概略を示す図であり、発光装置を示す斜視図である。
図18は、第4実施形態に係る発光装置の概略を示す図であり、発光装置を示す正面図である。
図19は、第4実施形態に係る発光装置の概略を示す図であり、
図18のXIX−XIX断面矢視図である。発光装置1Bは、パッケージ20Bと、発光素子30Bと、第3樹脂体40と、ワイヤ50と、を備えている。この発光装置1Bでは、パッケージ20B及び発光素子30Bの形状が第1実施形態に係る発光装置1と相違している。以下では、第1実施形態に係る発光装置1と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。発光素子30Bは、平面視で横長の四角形に形成されている点が第1実施形態に係る発光素子30と異なっている。
【0078】
パッケージ20Bは、外形が、発光装置1Bの厚さ方向であるZ軸方向に扁平に形成された略直方体形状を有しており、液晶ディスプレイのバックライト用の光源などに好適に用いられるサイドビュー型の実装に適している。パッケージ20Bは、リード23と、第1樹脂体24と、第2樹脂体25と、反射膜27とを備え、リード23と第1樹脂体24及び第2樹脂体25と、は一体成形されている。第1樹脂体24は、発光装置1Bの正面側(Y軸のマイナス方向)に開口する凹部26を有している。つまり、凹部26の側壁26dは第1樹脂体24で構成されている。
【0079】
パッケージ20Bにおいて、凹部26は、正面視で、横長の開口部を有している。より具体的には、開口は、正面視で長方形の下辺の中央部が下方に台形状に膨らんだ八角形の形状をしている。また、凹部26の底面26aは、横長の八角形をした長尺形状を有している。凹部26の底面26aには、一対のリード23,23が露出するように設けられ、一方のリード23に発光素子30Bが搭載されている。
【0080】
凹部26の側壁26dの内面には滑らかな傾斜を設けてもよいし、表面に細かい凹凸を設け、光を散乱させる形状としてもよい。なお、傾斜を設けずに、凹部26の底面26aに対して略垂直な面で構成されてもよい。凹部26の側壁26dのうち、発光装置1Bの厚さ方向(Z軸方向)に互いに対向して設けられた上壁部26e及び下壁部26fは、他の壁部よりも薄く形成されている。すなわち、上壁部26e及び下壁部26fは、発光装置1Bの幅方向(X軸方向)に互いに対向して設けられた2つの側壁部よりも薄く形成されている。凹部26の底面26aに設けられた一対のリード23は、下壁部23dの外側面の側から突出し、さらに屈曲して第1樹脂体24の下面に沿って延伸するように設けられている。
【0081】
パッケージ20Bは、発光装置1Bの背面(Y軸のマイナス方向)側に、射出成形法で第1樹脂体24及び第2樹脂体25を形成する際の、金型内へ樹脂材料を注入するゲートの痕跡が形成されている。ゲート痕は第1樹脂体24により形成され、反射膜27により覆われている。第2樹脂体25は、一対のリード23,23間に配置されている。この第2樹脂体25において、発光装置1Bの正面(Y軸のプラス方向)の面(上面25a)には反射膜27が設けられている。また、第1樹脂体24においては、凹部26の側壁26dの内面26bと、凹部26の開口部26cの周囲の面を含むパッケージ20Bの表面とが、反射膜27に覆われている。なお、凹部26内には第3樹脂体40が充填されている。
この発光装置1Bは、第1実施形態と同様に集合基板の形態で製造することができる。なお、リードフレームは、モールドされた後、切断され、その後、リードフレームのうち、所定部位が屈曲され、パッケージ20Bのリード23,23の外部接続端子部が形成される。
【0082】
発光装置1Bは、サイドビュー型の実装に適するようにリード23,23が設けられている。また、サイドビュー型の発光装置1Bとして、より薄型となるようにパッケージ20Bが構成されている。サイドビュー型のパッケージは厚さ方向に設けられた側壁の厚みが薄いため、サイドビュー型の発光装置は厚さ方向に光が漏れやすい。しかしながら、発光装置1Bは、樹脂体全体が反射膜27で覆われており、上壁部26e及び下壁部26fの内面及び外面も反射膜27で覆われている。したがって、薄壁部分から漏れ出す光を低減し、光束を向上させることができる。
【0083】
(第5実施形態)
<発光装置の構成>
図20は、第5実施形態に係る発光装置の概略を示す図であり、発光装置の上面図である。
図21は、第5実施形態に係る発光装置の概略を示す図であり、
図20のXXI−XXI断面矢視図である。発光装置1Cは、パッケージ20Cと、発光素子30と、第3樹脂体40と、ワイヤ50と、を備えている。この発光装置1Cでは、パッケージ20Cの形状が第1実施形態に係る発光装置1と相違している。以下では、第1実施形態に係る発光装置1と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0084】
パッケージ20Cは、凹部26の底面26aに素子実装部28を備えている。このパッケージ20Cは、一対のリード23,23の他に素子実装部28を備えている。素子実装部28は、発光素子39が接合されるランド部(ダイパッド部)である。発光素子30は、素子実装部28に載置され、一対のリード23,23とそれぞれ電気的に接続される。
【0085】
本実施形態では、素子実装部28は、リード23と同じ導電材料で構成されている。ただし、一対のリード23,23から発光素子30に通電するので、素子実装部28には通電されない。このような素子実装部28は、例えば
図16に示すリードフレーム22Cにおいて、1つのパッケージに対応する1つのハンガーリード222を延伸して、一対のリード23,23の隙間に配置させる形状へ変形することで、形成することができる。
なお、素子実装部28を、例えばエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の樹脂部材で構成した場合、この素子実装部28を例えばいずれか一方のリード23の上に形成するようにしてもよい。
【0086】
(第6実施形態)
<発光装置の構成>
図22は、第6実施形態に係る発光装置の概略を示す断面図である。発光装置1Dは、セラミックスパッケージ20Dと、発光素子30と、第3樹脂体40と、ワイヤ50と、を備えている。この発光装置1Dでは、セラミックスパッケージ20Dの形状及び材料が第1実施形態に係る発光装置1と相違している。以下では、第1実施形態に係る発光装置1と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0087】
セラミックスパッケージ20Dは、全体の形状が略直方体であって、上面に凹部26が設けられている。このセラミックスパッケージ20Dは、第2セラミックス体140と、その上に設けられた第1セラミックス体130と、を有する。第1セラミックス体130及び第2セラミックス体140は、1又は複数の絶縁性のシートが積層されて成る。
【0088】
第1セラミックス体130及び第2セラミックス体140の材料としては、例えばセラミックスを挙げることができる。セラミックスは、主材料を、アルミナ(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、ムライトなどから選択することが好ましい。これらの主材料に焼結助剤などを加え焼結することでセラミックスの基材が得られる。低温同時焼成セラミックスも使用することができる。
【0089】
光を効率よく反射するために、セラミックスの基材には、光反射率の高い材料(例えば、酸化チタン等の白色フィラーなど)が含有されている。また、焼成前のグリーンシートの段階で種々のパターン形状の配線を施すことができる。セラミックスの材料を焼成した後、下地層の上に、金、銀、銅あるいはアルミニウムを材料として、めっき法やスパッタリングにより金属材料が配置される。
【0090】
第2セラミックス体140は略板状であり、第1セラミックス体130には孔が形成されている。これら第2セラミックス体140と第1セラミックス体130とが積層されて、凹部26が形成される。第1セラミックス体130は凹部26の側壁26dを形成する。凹部26には、その底面26aからセラミックスパッケージ20Dの下面に亘るように、一対の配線110,120が離間させて配置されている。一対の配線110,120間には第2セラミックス体140が配置される。発光装置1Dとして使用される際、配線110,120は、アノード電極、カソード電極に相当する。発光素子30は、例えば、配線110の上に載置される。また、発光素子30の上面に設けられた素子電極(図示せず)と、配線110,120と、はワイヤ50によりそれぞれ接続されている。そして、発光素子30は、第3樹脂体40により封止されている。
【0091】
セラミックスパッケージ20Dの下面の外側は、外部の基板に実装される側の面である。セラミックスパッケージ20Dの下面側には、配線110,120からそれぞれ配線111,121を介して連続する配線112,122が設けられている。つまり、配線112,122は、配線110,120を介して、発光素子30の2つの素子電極とそれぞれ接続されている。なお、凹部26に配置される配線110,120の最表面は、例えば、銀等の反射率の高い金属材料にて被覆されていることが好ましい。
【0092】
反射膜27は、凹部26の側壁26dの内面26bを覆っている。また、反射膜27は、第2セラミックス体140の上面、具体的には、凹部26の底面26aにおいて配線110と配線120との間に配置された部分を覆っている。また、反射膜27は、第2セラミックス体140の下面、具体的には、セラミックスパッケージ20Dの下面において配置配線112と配線122との間に配置された部分を覆っている。さらに、反射膜10は、第1セラミックス体130の上面、具体的には、凹部26の開口部26cの周囲の面を覆っている。この発光装置1Dは、第1実施形態と同様に集合基板の形態で製造することができる。
【実施例】
【0093】
本発明の発光装置の性能を確かめるために以下の実験を行った。発光装置1と同様の形状の発光装置(以下、実施例1という)を製造した。実施例1の発光装置の製造方法は以下の通りである。
【0094】
集合基板としての樹脂成形体21を準備した。樹脂成形体21のリードフレーム22は、銅合金で形成され、表面に銀のメッキが施されたものを用いた。第1樹脂体24の材料は、光反射部材として酸化チタンを10重量%含有したエポキシ樹脂を用いた。また、第2樹脂体25も、酸化チタンを10重量%含有したエポキシ樹脂を用いた。第1樹脂体24及び第2樹脂体25に使用する酸化チタンは0.2μmの平均粒径のものを使用する。また、反射膜のために、有機溶媒にトルエンを用いて、光反射部材として30nmの粒子径を持つ酸化チタンを用いた分散液(15重量%)のスラリーを用意した。
【0095】
反射膜を形成する工程では、このスラリーに樹脂成形体21を浸漬し、その後、乾燥させて、反射膜27が形成された樹脂成形体21bを生成した。そして、一部の反射膜を剥離する工程では、電解バリ取り装置を用意して、水を電解液として、樹脂成形体21bに1500A/m
2の電流密度で通電した。そして、電解槽80から取り出した樹脂成形体21c上に浮遊した樹脂バリ及び反射膜をウォータージェットで除去した。また、発光素子30として、ピーク波長450nmのGaN系の青色発光素子を用いた。さらに、第3樹脂体40として、YAG蛍光体を含有したシリコーン樹脂を用いた。金属部分であるリードフレーム22上には反射膜27が残っておらず、第1樹脂体24の部分にのみ反射膜27が配置されていた。
【0096】
完成した実施例1の発光装置の平面サイズは、3mm×3mmであり、一対のリード23,23間の幅Wは600μmである。また、以下では、反射膜を形成する工程を行わずに同様に製造した発光装置を比較例1と呼ぶ。
【0097】
<色調比較の結果>
色度測定装置を用いた実験の結果、比較例1及び実施例1の発光装置は、xy色度値におけるxの値及びyの値が共に0.34の色調を有していた。色調については反射膜27の有無による差異は無視できると結論できる。
【0098】
<光束比較の結果>
光束測定装置を用いた実験の結果、比較例1について測定された光束を100%としたときに、実施例1について測定された光束は101%となった。反射膜27によって光束を1%高める効果を確認した。
【0099】
【表1】
【0100】
以上、本開示の実施形態に係るパッケージ及び発光装置、並びにそれらの製造方法について、具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。