【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な硬化性組成物は、ヒドロシリル化反応(hydrosilylation)、例えば、脂肪族不飽和結合とケイ素原子に結合された水素原子との反応によって硬化する成分を含むことができる。例えば、硬化性組成物は、脂肪族不飽和結合を含む架橋型ポリオルガノシロキサン及びケイ素原子に結合された水素原子を含むポリオルガノシロキサンを含むことができる。
【0007】
本明細書で用語「M単位」は、当業界で式(R
3SiO
1/2)で表示される場合があるいわゆる1官能性シロキサン単位を意味し、用語「D単位」は、当業界で式(R
2SiO
2/2)で表示される場合があるいわゆる2官能性シロキサン単位を意味し、用語「T単位」は、当業界で式(RSiO
3/2)で表示される場合があるいわゆる3官能性シロキサン単位を意味し、用語「Q単位」は、式(SiO
4/2)で表示される場合があるいわゆる4官能性シロキサン単位を意味することができる。上記Rは、ケイ素(Si)に結合されている官能基であり、例えば、水素原子、エポキシ基または1価炭化水素基であることができる。
【0008】
硬化性組成物は、脂肪族不飽和結合を含むポリオルガノシロキサンであって、架橋型ポリオルガノシロキサンを含むことができる。本明細書で用語「架橋型ポリオルガノシロキサン」は、TまたはQ単位を必須に含み、且つ該ポリオルガノシロキサンに含まれているD単位のD、T及びQ単位モル数の比率(D/(D+T+Q))が0.7未満、0.65以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下または0.3以下のポリオルガノシロキサンを意味することができる。架橋型ポリオルガノシロキサンの上記モル数の比率(D/(D+T+Q))の下限は、特に制限されず、例えば、0であることができる。
【0009】
硬化性組成物は、例えば、架橋型ポリオルガノシロキサンであって、低屈折架橋型ポリオルガノシロキサン(以下、ポリオルガノシロキサン(A)という)及び高屈折架橋型ポリオルガノシロキサン(以下、ポリオルガノシロキサン(B)という)を含むことができる。本明細書で用語「低屈折ポリオルガノシロキサン」は、分子内にアリール基を少ない量で含むか、または実質的に含まないポリオルガノシロキサンを意味することができる。例えば、本明細書で低屈折ポリオルガノシロキサンというのは、上記ポリオルガノシロキサンの全ケイ素原子(Si)に対してアリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)が0.3以下、0.2以下、約0.15以下、約0.1以下または約0.06以下であるか、実質的に0であるポリオルガノシロキサンを意味することができる。本明細書で用語「高屈折ポリオルガノシロキサン」は、分子内にアリール基を所定の比率以上に含むポリオルガノシロキサンを意味することができる。例えば、本明細書で高屈折ポリオルガノシロキサンというのは、上記ポリオルガノシロキサンの全ケイ素原子(Si)に対してアリール基(Ar)の比率(Ar/Si)が0.25以上、0.3以上、0.4以上または0.45以上のポリオルガノシロキサンを意味することができる。高屈折ポリオルガノシロキサンにおいて上記比率(Ar/Si)は、2.0以下、1.5以下、1以下、約0.8以下または約0.7以下であることができる。低屈折架橋型ポリオルガノシロキサン(A)は、Q単位を含むポリオルガノシロキサンであり、高屈折架橋型ポリオルガノシロキサン(B)は、T単位を含むポリオルガノシロキサンであることができる。
【0010】
本明細書で用語「アリール基」は、特に別途規定しない限り、ベンゼン環または2個以上のベンゼン環が連結されているか、1個または2個以上の炭素原子を共有しながら縮合または結合された構造を含む化合物またはその誘導体から由来する1価残基を意味することができる。本明細書で言うアリール基の範囲には、通常、アリール基と呼称される官能基はもちろん、いわゆるアルアルキル基(aralkyl group)またはアリールアルキル基などをも含まれることができる。アリール基は、例えば、炭素数6〜25、炭素数6〜21、炭素数6〜18または炭素数6〜12のアリール基であることができる。アリール基として、フェニル基、ジクロロフェニル、クロロフェニル、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基(xylyl group)またはナフチル基などを例示することができる。
【0011】
架橋型ポリオルガノシロキサン(A)は、例えば下記化学式1の平均組成式を有する架橋型ポリオルガノシロキサンであり、架橋型ポリオルガノシロキサン(B)は、下記化学式2の平均組成式を有する架橋型ポリオルガノシロキサンであることができる。
【0012】
[化学式1]
(R
13SiO
1/2)
a(R
22SiO
2/2)
b(R
3SiO
3/2)
c(SiO
4/2)
d(OR)
e
【0013】
化学式1で、R
1〜R
3は、それぞれ独立に、エポキシ基または1価炭化水素基であり、且つR
1〜R
3のうち少なくとも1つは、アルケニル基であり、Rは、水素または1価炭化水素基であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立に、0または正の数であり、d/(c+d)は、0.3以上であり、e/(c+d)は、0.2以下である。 1つの例示で、化学式 1の1価炭化水素基は、アリール基を除いた1価炭化水素基であることができる。
【0014】
[化学式2]
(R
43SiO
1/2)
f(R
52SiO
2/2)
g(R
6SiO
3/2)
h(SiO
4/2)
i(OR)
j
【0015】
化学式2で、R
4〜R
5は、それぞれ独立に、エポキシ基または1価炭化水素基であり、且つR
4〜R
5のうち少なくとも1つは、アルケニル基であり、R
4〜R
5のうち少なくとも1つは、アリール基であり、Rは、水素または1価炭化水素基であり、f、g、h、i及びjは、それぞれ独立に、0または正の数であり、i/(h+i)は、0.7以上であり、j/(h+i)は、0.2以下である。
【0016】
本明細書で「特定の平均組成式を有するポリオルガノシロキサン」は、その平均組成式で表示される単一の成分であるポリオルガノシロキサンまたは2個以上の成分の混合物であり、且つ上記混合物の成分の組成の平均を取れば、その平均組成式で現われる混合物形態のポリオルガノシロキサンである。
【0017】
本明細書で用語「エポキシ基」は、特に別途規定しない限り、3個の環構成原子を有する環形エーテル(cyclic ether)または上記環形エーテルを含む化合物から誘導された1価残基を意味することができる。エポキシ基として、グリシジル基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基または脂環式エポキシ基などを例示することができる。上記で脂環式エポキシ基は、脂肪族炭化水素環構造を含み、上記脂肪族炭化水素環を形成している2個の炭素原子がまたエポキシ基を形成している構造を含む化合物から由来する1価残基を意味することができる。脂環式エポキシ基として、6個〜12個の炭素原子を有する脂環式エポキシ基を例示することができ、例えば、3、4−エポキシシクロヘキシルエチル基などを例示することができる。
【0018】
本明細書で用語「1価炭化水素基」は、特に別途規定しない限り、炭素と水素よりなる化合物またはそのような化合物の誘導体から誘導される1価残基を意味することができる。例えば、1価炭化水素基は、1個〜25個の炭素原子を含むことができる。1価炭化水素基として、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基などを例示することができる。1つの例示で、上記化学式1の1価炭化水素基は、アリール基を除いた1価炭化水素基のうち選択することができる。
【0019】
本明細書で用語「アルキル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を意味することができる。上記アルキル基は、直鎖形、分岐鎖形または環形であることができる。また、上記アルキル基は、任意的に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0020】
本明細書で用語「アルケニル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4のアルケニル基を意味することができる。上記アルケニル基は、直鎖形、分岐鎖形または環形であることができ、任意的に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0021】
本明細書で用語「アルキニル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4のアルキニル基を意味することができる。上記アルキニル基は、直鎖形、分岐鎖形または環形であることができ、任意的に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0022】
本明細書でエポキシ基または1価炭化水素基に任意的に置換されていてもよい置換基として、塩素またはフッ素などのハロゲン、グリシジル基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基または脂環式エポキシ基などのエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、チオール基または1価炭化水素基などを例示することができるが、これに制限されるものではない。
【0023】
化学式1で、R
1〜R
3のうち1個または2個以上は、アルケニル基であることができる。1つの例示で、アルケニル基は、化学式1のポリオルガノシロキサンに含まれる全ケイ素原子のモル数(Si)に対する上記アルケニル基のモル数(Ak)の比率(Ak/Si)が0.01〜0.4または0.01〜0.35となる量で存在することができる。上記モル比(Ak/Si)を0.01以上に調節して、反応性を適切に維持し、未反応の成分が硬化物の表面に染み出る現象を防止することができる。また、上記モル比(Ak/Si)を0.4以下または0.35以下に調節して、硬化物の硬度、亀裂耐性及び耐熱衝撃性などを優秀に維持することができる。
【0024】
化学式1の平均組成式で、a、b、c及びdは、各シロキサン単位のモル比率を示し、その総和を1に換算すれば、aは、0.2〜0.8、0.3〜0.8、0.35〜0.8、0.35〜0.7または0.35〜0.65であり、bは、0〜0.5、0〜0.4、0〜0.3または0〜0.2であり、cは、0〜0.5、0〜0.4、0〜0.3、0〜0.2または0〜0.1であり、dは、0.1〜0.8、0.1〜0.7、0.1〜0.6、0.1〜0.5、0.2〜0.5または0.2〜0.45である。硬化物の強度、亀裂耐性及び耐熱衝撃性を極大化するために、上記で(a+b)/(a+b+c+d)は、0.2〜0.8、0.3〜0.8、0.4〜0.8または0.45〜0.8となるように調節することができる。化学式1で、d/(c+d)は、0.3以上、0.5以上または0.7以上となるように調節することができる。上記でd/(d+c)の上限は、特に制限されず、例えば、1であることができる。
【0025】
化学式1で、eは、ポリオルガノシロキサンに含まれている縮合性官能基、例えば、ヒドロキシ基またはアルコキシ基の量を示す。化学式1で、eは、0または正の数であり、例えば、上記化学式1で、e/(c+d)が0.2以下、0.15以下、0.1以下または実質的に0になる範囲で決定されることができる。これを通じて、硬化性組成物の各成分間の相溶性を維持し、硬化した後に透明度に優れた硬化物を形成することができ、また、上記硬化物の耐湿性などをも優秀に維持することができ、上記硬化物が例えば半導体素子などに適用されれば、素子の長期信頼性をも確保することができる。
【0026】
化学式2で、R
4〜R
6のうち1個または2個以上は、アルケニル基であることができる。1つの例示で、アルケニル基は、化学式2の組成式のポリオルガノシロキサンに含まれる全ケイ素原子のモル数(Si)に対する上記アルケニル基のモル数(Ak)の比率(Ak/Si)が0.01〜0.4または0.01〜0.35となる量で存在することができる。上記モル比(Ak/R)を0.01以上に調節して、反応性を適切に維持し、未反応の成分が硬化物の表面に染み出る現象を防止することができる。また、上記モル比(Ak/R)を0.4以下または0.35以下に調節して、硬化物の硬度、亀裂耐性及び耐熱衝撃性などを優秀に維持することができる。
【0027】
化学式2で、R
4〜R
6のうち1個または2個以上は、アリール基であることができる。1つの例示で、アリール基は、上記架橋型ポリオルガノシロキサン(B)に含まれる全ケイ素原子のモル数(Si)に対するアリール基のモル数(Ar)の比率(Ar/Si)が上記高屈折ポリオルガノシロキサンのモル比率(Ar/Si)を満足する範囲内に存在することができる。
【0028】
化学式2の平均組成式で、f、g、h及びiは、各シロキサン単位のモル比率を示し、その総和を1に換算すれば、fは0〜0.7、0〜0.6、0〜0.5、0〜0.4または0〜0.3であり、gは、0〜0.7、0〜0.6、0〜0.5、0〜0.4または0〜0.3であり、hは、0〜0.85、0.1〜0.85、0.2〜0.85、0.3〜0.85、0.4〜0.85または0.5〜0.85であり、iは、0〜0.3、0〜0.2または0〜0.1の範囲内である。硬化物の屈折特性、強度、亀裂耐性及び耐熱衝撃性を極大化するために、上記で(f+g)/(f+g+h+i)は、0.1〜0.7、0.1〜0.6、0.1〜0.5または0.2〜0.5となるように調節することができる。化学式2で、h/(h+i)は、0.7以上、0.8以上または0.9以上となるように調節することができる。上記でh/(h+i)の上限は、特に制限されず、例えば、1.0であることができる。
【0029】
化学式2で、jは、ポリオルガノシロキサンに含まれている縮合性官能基、例えば、ヒドロキシ基またはアルコキシ基の量を示す。化学式2で、jは、0または正の数であり、例えば、上記化学式2で、j/(h+i)が0.2以下、0.15以下、0.1以下または0.05以下になる範囲で決定することができる。これを通じて、硬化性組成物の各成分間の相溶性を維持し、硬化した後に透明度に優れた硬化物を形成することができ、また、上記硬化物の耐湿性などをも優秀に維持することができ、上記硬化物が例えば半導体素子などに適用されれば、素子の長期信頼性をも確保することができる。
【0030】
硬化性組成物は、上記架橋型低屈折ポリオルガノシロキサン(A)及び架橋型高屈折ポリオルガノシロキサン(B)を適正の比率で含むことができ、例えば、上記架橋型低屈折ポリオルガノシロキサン(A)と上記架橋型高屈折ポリオルガノシロキサンの重量比(B/A)が1〜99、1〜98、1〜80、1〜70、1〜60、1〜50、1〜40、1〜30、1〜20または1〜10になる比率で存在することができる。
【0031】
硬化性組成物で上記架橋型ポリオルガノシロキサン(A)及び(B)それぞれは、25℃における粘度が500cP以上または5,000cP以上または50,000cp、または1,000,000cP以上であることができ、これによって、硬化前の加工性と硬化後の硬度特性などを適切に維持することができる。また、上記架橋型ポリオルガノシロキサン(A)及び(B)それぞれは、例えば、500〜20,000または500〜10,000の重量平均分子量(Mw)を有することができる。本明細書で用語「重量平均分子量」は、GPC(GelPermeation Chromatograph)で測定された標準ポリスチレンに対する換算数値を意味することができる。特に別途規定しない限り、用語「分子量」は、重量平均分子量を意味することができる。ポリオルガノシロキサン(A)の分子量を500以上に調節して、硬化前の成形性や、硬化後の強度を効果的に維持することができ、分子量を20,000または10,000以下に調節して、粘度などを適切な水準に維持することができる。
【0032】
架橋型ポリオルガノシロキサン(A)及びポリオルガノシロキサン(B)を製造する方法は、特に制限されず、この分野で公知されている通常の方式を適用することができる。
【0033】
硬化性組成物は、ケイ素原子に結合している水素原子を含むポリオルガノシロキサン(以下、ポリオルガノシロキサン(C)という)をさらに含むことができる。ポリオルガノシロキサン(C)は、例えば、ケイ素原子に結合した水素原子を1個または2個以上有することができる。ポリオルガノシロキサン(C)は、例えば、高屈折ポリオルガノシロキサンであることができる。ポリオルガノシロキサン(C)は、固体または液体であることができる。また、ポリオルガノシロキサン(C)は、線形構造、すなわちM及びD単位だけよりなる構造であるか、またはTまたはQ単位を含む構造を有することができる。特に制限されるものではないが、線形構造の場合に、上記水素原子は、上記線形構造の末端に存在するケイ素原子と結合していてもよい。ポリオルガノシロキサン(C)は、低分子形または単分子形の化合物であることができる。これによって、ポリオルガノシロキサン(C)は、ケイ素原子を3個〜10個、3個〜9個、3個〜8個、3個〜7個、3個〜6個または3個〜5個含むことができる。このようなポリオルガノシロキサン(C)は、脂肪族不飽和結合と優れた反応性を示すことができる。また、硬化物の耐クラック性を向上させ、ガス透過性を低い水準に維持することができる。
【0034】
ポリオルガノシロキサン(C)は、脂肪族不飽和結合と反応して組成物を架橋させる架橋剤であることができる。例えば、ポリオルガノシロキサン(C)の水素原子は、上記記述したポリオルガノシロキサン(A)及び/またはポリオルガノシロキサン(B)のアルケニル基などの脂肪族不飽和結合と付加反応して、架橋及び硬化を進行させることができる。
【0035】
ポリオルガノシロキサン(C)において全ケイ素原子のモル数(Si)及びケイ素原子結合水素原子のモル数(H)の比率(H/Si)は、例えば、1.0以下、0.9以下、0.8以下または0.75以下であることができる。上記モル比(H/Si)は、また、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上または0.5以上であることができる。このような範囲で硬化性を優秀に維持し、亀裂耐性及び耐熱衝撃性などを優秀に維持することができる。
【0036】
ポリオルガノシロキサン(C)が高屈折ポリオルガノシロキサンの場合には、上記ポリオルガノシロキサン(C)に含まれる全ケイ素原子のモル数(Si)に対する、上記アリール基のモル数(Ar)の比率(Ar/Si)は、前述した高屈折ポリオルガノシロキサンのモル比(Ar/Si)と同じ範囲内であることができる。
【0037】
ポリオルガノシロキサン(C)は、固体または液体であることができる。ポリオルガノシロキサン(B)が液体なら、その25℃における粘度が300mPa・s以下または300mPa・s以下であることができるポリオルガノシロキサン(C)の粘度を上記のように制御することによって、組成物の加工性及び硬化物の硬度特性などを優秀に維持することができる。ポリオルガノシロキサン(C)は、例えば、1,000未満または800未満の分子量を有することができる。ポリオルガノシロキサン(C)の分子量が1,000以上なら、硬化物の強度が劣るおそれがある。ポリオルガノシロキサン(C)の分子量の下限は、特に制限されず、例えば、250であることができる。
【0038】
ポリオルガノシロキサン(C)として、上記のような特性を満足する限り、多様な種類のポリオルガノシロキサンをすべて使用することができる。例えば、ポリオルガノシロキサン(C)として、下記化学式3または4の化合物を使用することができる。
【0039】
【化1】
【0040】
化学式3でRは、それぞれ独立に、水素、エポキシ基または1価炭化水素基であり、且つRのうち1つ以上は、アリール基であり、nは、1〜10の数である。
化学式3でnは、例えば、1〜8、1〜6、1〜4、1〜3または1〜2であることができる。
【0041】
[化学式4]
(HR
12SiO
1/2)
3(R
2SiO
3/2)
【0042】
化学式4でR
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素または1価炭化水素基であり、且つR
1及びR
2のうち1つ以上は、アリール基である。
【0043】
ポリオルガノシロキサン(C)の含量は、硬化性組成物に含まれる全ての脂肪族不飽和結合含有官能基、例えば、上記ポリオルガノシロキサン(A)及びポリオルガノシロキサン(B)などに含まれるアルケニル基のモル数(Ak)に対するポリオルガノシロキサン(C)の水素原子のモル数(H)の比率(H/Ak)が0.5〜3.0または0.7〜2になる範囲で選択することができる。
【0044】
このようなモル比(H/Ak)で配合することによって、硬化前に優れた加工性と作業性を示し、硬化して優れた亀裂耐性、硬度特性、耐熱衝撃性及び接着性を示し、苛酷条件での白濁や、表面のべたつきなどを誘発しない組成物を提供することができる。
【0045】
硬化性組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子を含むポリオルガノシロキサンであって、例えば、低屈折の高分子形の化合物をさらに含むことができる。例えば、硬化性組成物は、ケイ素原子に結合している水素原子を含み、10個〜50個または20個〜40個の範囲内でケイ素原子を含むポリオルガノシロキサンをさらに含むことができる。上記ポリオルガノシロキサンは、低屈折ポリオルガノシロキサンであることができ、このような場合に、上記記述した範囲のアリール基モル比(Ar/Si)を有することができる。上記ポリオルガノシロキサンが含むケイ素原子の数は、他の例示で、25個以上、27個以上または約30個以上であることができ、38個以下または36個以下程度であることができる。このような化合物は、例えば上記化学式2で表示され、且つ1価炭化水素基であるRのうちアリール基が上記低屈折ポリオルガノシロキサンのアリール基モル比(Ar/Si)を満足することができるように含まれ、nが18〜38の範囲内の化合物であることができる。また、このような場合に、nは、23以上、25以上または28以上であることができ、36以下または34以下であることができる。このような化合物の硬化性組成物においての包含比率は、特に制限されず、例えば、上記ポリオルガノシロキサン(B)100重量部に対して5重量部〜30重量部、5重量部〜25重量部、5重量部〜20重量部または5重量部〜15重量部の範囲内であることができる。本明細書で特に別途規定しない限り、単位重量部は、各成分間の重量の比率であることができる。
【0046】
硬化性組成物は、水素原子を含む化合物であって、例えば、下記化学式5の平均組成式を有する化合物(以下、化合物(C)という)をさらに含むことができる。
【0047】
[化学式5]
(HR
2SiO)
a(RSiO
3/2)
b(R
2SiO
2/2)
c
【0048】
化学式5でRは、それぞれ独立に、1価の炭化水素基であり、Rのうち少なくとも1つは、アリール基であり、a、b及びcの総和(a+b+c)は、1であり、aは、0.3〜0.8であり、bは、0.2〜0.7または0.2〜0.5であり、cは、0〜0.5または0〜0.3である。
【0049】
上記化合物(C)において全ケイ素原子のモル数(Si)に対するケイ素原子結合水素原子のモル数(H)の比率(H/Si)は、例えば、0.2〜1.0または0.3〜1程度であることができる。
【0050】
また、上記化合物(C)において全ケイ素原子のモル数(Si)に対するケイ素原子結合アリール基のモル数(Ar)の比率(Ar/Si)は、例えば、0.3〜1または0.4〜1程度であることができる。
【0051】
化合物(C)が使用される場合に、その含量は、例えば、上記ポリオルガノシロキサン(B)の比率や、脂肪族不飽和結合の量などを考慮して適切に選択することができる。
【0052】
硬化性組成物は、水素原子を含む他の化合物であって、例えば、下記化学式6の化合物(以下、化合物(D)という)をさらに含むことができる。
【0053】
[化学式6]
R
3SiO(HRSiO)
r(R
2SiO)
sOSiR
3
【0054】
化学式6でRは、それぞれ独立に、水素、エポキシ基または1価の炭化水素基であり、rは、5〜100の数であり、sは、0〜100または5〜100の数である。化学式6で、1価炭化水素基は、例えば、アリール基を除いた1価炭化水素基であることができる。
【0055】
化合物(D)に含まれる全ケイ素原子のモル数(Si)に対するケイ素原子結合水素原子のモル数(H)の比率(H/Si)は、0.2〜1または0.3〜1であることができる。モル比(H/Si)を上記のように調節して、硬化性を優秀に維持することができる。化合物(D)は、また、25℃における粘度が0.1cP〜100,000cP、0.1cP〜10,000cP、0.1cP〜1,000cPまたは0.1cP〜300cPであることができる。上記粘度を有する場合、組成物の加工性及び硬化体の硬度特性などを優秀に維持することができる。
【0056】
化合物(D)の全ケイ素原子のモル数(Si)に対するケイ素原子結合アリール基のモル数(Ar)の比率(Ar/Si)は、例えば、0〜0.8または0〜0.7程度であることができる。
【0057】
化合物(D)の含量は、例えば、硬化性組成物に含まれる全ての脂肪族不飽和結合含有官能基、例えば、ポリオルガノシロキサン(A)に含まれるアルケニル基の量とポリオルガノシロキサン(B)に含まれるケイ素原子結合水素原子の量を考慮して適正な含量に調節することができる。
【0058】
硬化性組成物は、脂肪族不飽和結合を含むポリオルガノシロキサンであって、例えば、線形または部分架橋型のポリオルガノシロキサン(以下、ポリオルガノシロキサン(E)という)をさらに含むことができる。本明細書で用語「線形ポリオルガノシロキサン」は、M単位とD単位だけよりなるポリオルガノシロキサンを意味することができ、用語「部分架橋型のポリオルガノシロキサン」は、D単位から由来する線形構造が充分に長く、且つTまたはQ単位、例えば、T単位が部分的に導入されているポリオルガノシロキサンを意味することができる。1つの例示で、部分架橋構造のポリオルガノシロキサンは、ポリオルガノシロキサンに含まれる全てのD、T及びQ単位に対するD単位の比率(D/(D+T+Q))が0.7以上、0.75以上、0.8以上または0.85以上のポリオルガノシロキサンを意味することができる。上記の比率(D/(D+T+Q))は、また、1未満または約0.95以下であることができる
【0059】
ポリオルガノシロキサン(E)は、低屈折ポリオルガノシロキサンまたは高屈折ポリオルガノシロキサンであることができる。 高温耐熱性などを考慮して、ポリオルガノシロキサン(E)として、低屈折ポリオルガノシロキサンを使用することができる。
【0060】
ポリオルガノシロキサン(E)は、脂肪族不飽和結合を含む官能基、例えば、アルケニル基を1つ以上含むことができる。例えば、ポリオルガノシロキサン(E)は、ポリオルガノシロキサン(E)に含まれる全ケイ素原子(Si)に対する上記脂肪族不飽和結合を含む官能基(Ak)、例えば、アルケニル基のモル比(Ak/Si)が0.001〜0.4,0.005〜0.4,0.007〜0.4,0.01〜0.4または0.01〜0.35となる量で上記脂肪族不飽和結合を含む官能基を含むことができる。モルビ(Ak/Si)を0.001,0.005,0.007,0.01または0.05以上に調節して、反応性を適切に維持し、未反応の成分が硬化物の表面に染み出る現象を防止することができる。また、モル比(Ak/Si)を0.4または0.35以下に調節して、硬化物の亀裂耐性を優秀に維持することができる。
【0061】
ポリオルガノシロキサン(E)は、例えば、下記化学式7の平均組成式を有することができる。
【0062】
[化学式7]
(R
13SiO
1/2)
a(R
22SiO
2/2)
b(R
31SiO
3/2)
c(SiO
4/2)
d
【0063】
化学式7でR
1〜R
3は、それぞれ独立に、エポキシ基または1価炭化水素基であり、且つR
1〜R
3のうち1個または2個以上は、アルケニル基であり、a、c及びdは、それぞれ独立に、0または正の数であり、bは、正の数である。
【0064】
化学式7で1価炭化水素基は、ポリオルガノシロキサン(A)が低屈折ポリオルガノシロキサンなら、アリール基を除いた1価炭化水素基であることができる。
【0065】
化学式7でR
1〜R
3のうち1個または2個以上は、アルケニル基であり、例えば、上記記述したモル比(Ak/Si)を満足する範囲内でアルケニル基が存在することができる。特に制限されるものではないが、例えば、アルケニル基は、R
3の位置に存在することができる。
【0066】
化学式7の平均組成式でa、b、c及びdは、ポリオルガノシロキサン(E)の各シロキサン単位のモル比率を示す。その総和(a+b+c+d)を1に換算すれば、aは、0.001〜0.2、0.01〜0.2、0.02〜0.2、0.03〜0.2、0.04〜0.2または0.04〜0.1であり、bは、0.7〜0.999または0.7〜0.95であり、cは、0〜0.3または0超過且つ0.2以下であるか、0超過且つ0.1以下であり、dは、0〜0.3、0〜0.2または0〜0.1であることができる。
【0067】
化学式7で各シロキサン単位は、例えば、(c+d)/(a+b+c+d)が0〜0.3、0〜0.2または0〜0.1になるように存在することができる。また、ポリオルガノシロキサン(A)が部分架橋型なら、b/(b+c+d)は、上記部分架橋型のD/(D+T+Q)の範囲を満足する範囲内で調節することができる。シロキサン単位の比率をこのように調節して、適用用途によって適した物性を確保することができる。
【0068】
ポリオルガノシロキサン(E)は、例えば、環形ポリオルガノシロキサンを含む混合物の開環重合反応物に含まれていてもよい。上記反応物は、例えば、重量平均分子量(Mw)が800以下、750以下または700以下の環形化合物、例えば、環形ポリオルガノシロキサンを含み、その比率が7重量%以下、5重量%以下または3重量%以下であることができる。上記環形化合物の比率の下限は、例えば、0重量%または1重量%であることができる。上記の比率への調節を通じて長期信頼性及び亀裂耐性に優れた硬化物の提供が可能であることができる。
【0069】
ポリオルガノシロキサン(E)またはそれを含む反応物は、
1H NMRで求められるスペクトルでケイ素原子に結合されたアルコキシ基から由来するピークの面積がケイ素に結合された脂肪族不飽和結合含有官能基、例えば、ビニル基のようなアルケニル基から由来するピークの面積に対して0.01以下、0.005以下または0であることができる。上記範囲で適切な粘度特性を示しながら、他の物性をも優秀に維持することができる。
【0070】
ポリオルガノシロキサン(E)またはそれを含む反応物は、KOH滴定によって求められる酸価(acid value)が0.02以下、0.01以下または0であることができる。上記範囲で適切な粘度特性を示しながら、他の物性をも優秀に維持することができる。
【0071】
ポリオルガノシロキサン(E)またはそれを含む重合反応物は、25℃における粘度が500cP以上、1,000cP以上、2,000cP以上、5,000cP以上であることができる。このような範囲で加工性及び硬度特性などを適切に維持することができる。上記粘度の上限は、特に制限されるものではないが、例えば、上記粘度は、500,000cP以下、400,000cP以下、300,000cP以下、200,000cP以下、100,000cP以下、80,000cP以下、70,000cP以下または65,000cP以下であることができる
【0072】
ポリオルガノシロキサン(E)またはそれを含む重合反応物は、分子量が500〜100,000または1,500〜50,000であることができる。このような範囲で成形性、硬度及び強度特性などを適切に維持することができる。
【0073】
ポリオルガノシロキサン(E)を含む重合反応物は、例えば、環形ポリオルガノシロキサンを含む混合物の開環重合反応物であることができる。ポリオルガノシロキサン(E)が部分架橋構造の場合には、上記混合物は、例えば、ケージ構造または部分ケージ構造を有するか、またはT単位を含むポリオルガノシロキサンをさらに含むことができる。環形ポリオルガノシロキサン化合物として、例えば、下記化学式8で表示される化合物を使用することができる。
【0074】
【化2】
【0075】
化学式8でR
d及びR
eは、それぞれ独立に、エポキシ基または1価炭化水素基であり、oは、3〜6である。
【0076】
環形ポリオルガノシロキサンは、また下記化学式9の化合物及び下記化学式10の化合物を含むことができる。
【0077】
【化3】
【0078】
【化4】
【0079】
化学式9及び10でR
f及びR
gは、エポキシ基またはアルキル基であり、R
h及びR
iは、エポキシ基または1価炭化水素基であり、pは、3〜6の数であり、qは、3〜6の数である。
化学式8〜10で、R
f〜R
iの具体的な種類やo、p及びqの具体的な数値、そして混合物内での各成分の比率は、目的するポリオルガノシロキサン(E)の構造によって定められることができる。
【0080】
ポリオルガノシロキサン(E)が部分架橋構造の場合に、上記混合物は、ケージ構造のポリオルガノシロキサンであって、例えば、下記化学式11の平均組成式を有する化合物または部分ケージ構造を有するか、T単位を含むポリオルガノシロキサンであって、下記化学式12の平均組成式を有する化合物をさらに含むことができる。
【0081】
[化学式11]
[R
jSiO
3/2]
【0082】
[化学式12]
[R
kR
l2SiO
1/2]
p[R
mSiO
3/2]
q
【0083】
化学式11及び12で、R
j、R
k及びR
mは、それぞれ独立に、エポキシ基または1価炭化水素基であり、R
lは、エポキシ基または炭素数1〜4のアルキル基であり、pは、1〜3であり、qは、1〜10である。
【0084】
化学式11及び12で、R
j〜R
mの具体的な種類やp及びqの具体的な数値、そして混合物内での各成分の比率は、目的するポリオルガノシロキサン(E)の構造によって定められることができる。
【0085】
環形ポリオルガノシロキサンをケージ構造及び/または部分ケージ構造を有するか、T単位を含むポリオルガノシロキサンと反応させれば、目的する部分架橋構造を有するポリオルガノシロキサンを十分な分子量で合成することができる。また、上記方式によれば、ポリオルガノシロキサンまたはそれを含む重合反応物内でケイ素原子に結合しているアルコキシ基やヒドロキシ基のような官能基を最小化し、優れた物性を有する目的物を製造することができる。
【0086】
1つの例示で、上記混合物は、下記化学式13で表示される化合物をさらに含むことができる。
【0087】
[化学式13]
(R
nR
o2Si)
2O
【0088】
化学式13で、R
n及びR
oは、エポキシ基または1価炭化水素基である。
化学式13で、1価炭化水素基の具体的な種類や混合物内での配合比率は、目的するポリオルガノシロキサン(E)によって定められることができる。
【0089】
上記混合物内の各成分の反応は、適切な触媒の存在の下で行われることができる。したがって、上記混合物は、触媒をさらに含むことができる。
【0090】
混合物に含まれることができる触媒として、例えば、塩基触媒をあげることができる。適切な塩基触媒として、KOH、NaOHまたはCsOHなどのような金属水酸化物;アルカリ金属化合物とシロキサンを含む金属シラノレート(metal silanolate)またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammonium hydroxide)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(tetraethylammonium hydroxide)またはテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(tetrapropylammonium hydroxide)などのような4級アンモニウム化合物などを例示することができるが、これに制限されるものではない。
【0091】
混合物内で上記触媒の比率は、目的する反応性などを考慮して適切に選択することができ、例えば、混合物内の反応物の合計重量100重量部に対して0.01重量部〜30重量部または0.03重量部〜5重量部の比率で含まれることができる。本明細書で特に別途規定しない限り、単位重量部は、各成分間の重量の比率を意味する。
【0092】
1つの例示で、上記混合物の反応は、溶媒を使用しない無溶媒の下または適切な溶媒の存在の下に行われることができる。溶媒として、上記混合物内の反応物、すなわちジシロキサンまたはポリシロキサンなどと触媒を適切に混合することができ、反応性に大きい差し支えを与えないものなら、いずれの種類も使用することができる。溶媒として、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、2、2、4−トリメチルペンタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼンまたはメチルエチルベンゼンなどの芳香族系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンまたはアセチルアセトンなどのケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチルエーテル、n−プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジグライム、ジオキシン、ジメチルジオキシン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルまたはプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、メチルアセテート、エチルアセテート、エチルラクテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはエチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒;N−メチルピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミドまたはN、N−ジエチルアセトアミドなどのアミド系溶媒を例示することができるが、これに制限されるものではない。
【0093】
混合物の反応、例えば、開環重合反応は、例えば、触媒を添加して行い、例えば、0℃〜150℃または30℃〜130℃の範囲内の反応温度で行われることができる。また、上記反応時間は、例えば、1時間〜3日の範囲内で調節することができる。
【0094】
硬化性組成物は、ヒドロシリル化触媒をさらに含むことができる。ヒドロシリル化触媒は、ヒドロシリル化反応を促進させるために使用することができる。ヒドロシリル化触媒として、この分野で公知された通常の成分をすべて使用することができる。このような触媒の例として、白金、パラジウムまたはロジウム系触媒などを挙げることができる。本出願では、触媒効率などを考慮して、白金系触媒を使用することができ、このような触媒の例として、塩化白金酸、四塩化白金、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体または白金のカルボニル錯体などを挙げることができるが、これに制限されるものではない。
【0095】
ヒドロシリル化触媒の含量は、いわゆる触媒量、すなわち触媒として作用することができる量で含まれる限り、特に制限されない。通常、白金、パラジウムまたはロジウムの原子量を基準として0.1ppm〜200ppmまたは0.2ppm〜100ppmの量で使用することができる。
【0096】
硬化性組成物は、また、各種基材に対する接着性のさらなる向上の観点から、接着性付与剤をさらに含むことができる。接着性付与剤は、組成物または硬化物に自己接着性を改善することができる成分であって、特に金属及び有機樹脂に対する自己接着性を改善することができる。
【0097】
接着性付与剤として、ビニル基などのアルケニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ヒドロシリル基(SiH基)、エポキシ基、アルコキシ基、アルコキシシリル基、カルボニル基及びフェニル基よりなる群から選択される1種以上または2種以上の官能基を有するシラン;または2〜30または4〜20個のケイ素原子を有する環状または直鎖状シロキサンなどの有機ケイ素化合物などを例示することができるが、これに制限されるものではない。本出願では、上記のような接着性付与剤の一種または二種以上をさらに混合して使用することができる。
【0098】
1つの例示で、接着性付与剤として、ケイ素原子に結合されたアルケニル基とエポキシ基を含み、全ケイ素原子(Si)に対してアルケニル基(Ak)のモル比(Ak/Si)が
0.02〜0.5,0.08〜0.5,0.1〜0.5または0.1〜0.4の範囲内であり、全ケイ素原子(Si)に対してアリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)が0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、0.1以下または0.05以下であり、全ケイ素原子(Si)に対してエポキシ基(Ep)のモル比(Ep/Si)が0.01〜0.5,0.05〜0.5,0.1〜0.5または0.1〜0.45の範囲内のポリオルガノシロキサンであることができる。
【0099】
例えば、上記接着性付与剤は、下記化学式14の平均組成式を有することができる。
【0100】
[化学式14]
(R
13SiO
1/2)
a(R
22SiO
2/2)
b(R
3SiO
3/2)
c(SiO
4/2)
d(OR)
e
【0101】
化学式14でR及びR
1〜R
3は、それぞれ独立に、1価炭化水素基またはエポキシ基であり、且つR
1〜R
3のうち少なくとも1つは、アルケニル基またはエポキシ基であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ0または正の数であり、c/(c+d)は、0.3以上であり、e/(c+d)は、0.2以下であることができる。但し、上記でc及びdのうち少なくとも1つは、正の数であることができる。
【0102】
接着性付与剤がアリール基を実質的に含まない低屈折成分なら、上記R及びR
1〜R
3は、それぞれアリール基を除いた上記置換基であることができる。接着性付与剤が低屈折成分の場合に、上記化学式14でアリール基は、前述したアリール基のモル比(Ar/Si)が、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、0.1以下または0.05以下となるように含まれることができる。
【0103】
化学式14でR
1〜R
3のうち1個または2個以上は、アルケニル基であることができる。1つの例示で、化学式14でアルケニル基は、上記言及したモル比(Ak/Si)を満足するように含まれることができる。また、化学式14でR
1〜R
3のうち1つ以上は、エポキシ基であることができる。1つの例示で、化学式14でエポキシ基は、上記言及したモル比(Ep/Si)を満足するように含まれることができる。
【0104】
化学式14の平均組成式でa、b、c及びdは、各シロキサン単位のモル比率を示し、その総和(a+b+c+d)を1に換算すれば、aは、0.2〜0.8、0.3〜0.8、0.3〜0.7または0.3〜0.6であり、bは、0〜0.5、0〜0.4、0〜0.3または0〜0.2であり、cは、0〜0.8、0.1〜0.7、0.1〜0.65、0.1〜0.6または0.1〜0.5であり、dは、0〜0.5、0〜0.4、0〜0.3または0〜0.2であることができる。化学式14の平均組成式でc/(c+d)は、0.3以上、0.5以上、0.65以上または0.7以上であることができる。接着性付与剤の各シロキサン単位のモル比を上記のように調節すれば、硬化体の接着性を優秀に維持しながら、信頼性に優れた半導体素子を提供することができる。上記c/(c+d)の上限は、特に制限されず、例えば、1、0.9、0.8または0.75であることができる。
【0105】
化学式14でeは、ポリオルガノシロキサンに含まれている縮合性官能基、例えば、ヒドロキシ基またはアルコキシ基の量を示す。化学式14でeは、0または正の数であり、例えば、化学式14でe/(c+d)が0.2以下、0.15以下、0.1以下または0.05以下になる範囲で存在することができる。このような調節を通じて、硬化性組成物の各成分間の相溶性を維持して、硬化した後に透明度に優れた硬化体を形成することができ、また、上記硬化体の耐湿性などをも優秀に維持することができ、上記硬化体が例えば半導体素子などに適用されれば、素子の長期信頼性をも確保することができる。ポリオルガノシロキサンにおいて上記縮合性官能基は、なるべく存在しないことが良く、したがって上記e/(c+d)の下限は、特に制限されない。
【0106】
このような接着性付与剤は、例えば、500〜20,000または500〜10,000の分子量を有することができる。
【0107】
接着性付与剤は、例えば、硬化性組成物の固形分100重量部に対して0.1重量部〜20重量部の比率で含まれることができるが、上記含量は、目的する接着性改善効果などを考慮して適切に変更することができる。
【0108】
接着性付与剤が組成物に含まれる場合、例えば、硬化性組成物の固形分100重量部に対して0.1重量部〜20重量部の比率で含まれることができるが、上記含量は、目的する接着性改善効果などを考慮して適切に変更することができる。
【0109】
硬化性組成物は、必要に応じて、2−メチル−3−ブチン−2−オル、2−フェニル−3−1−ブチン−2オル、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3、5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、1、3、5、7−テトラメチル−1、3、5、7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサンまたはエチニルシクロヘキサンなどの反応抑制剤;シリカ、アルミナ、ジルコニアまたはチタニアなどの無機充填剤;エポキシ基及び/またはアルコキシシリル基を有する炭素官能性シラン、その部分加水分解縮合物またはシロキサン化合物;ポリエーテルなどと併用できる煙霧状シリカなどの揺変性付与剤;フィラー;螢光体;銀、銅またはアルミニウムなどの金属粉末や、各種カーボン素材などのような導電性付与剤;顔料または染料などの色調調整剤などの添加剤を一種または二種以上をさらに含むことができる。
【0110】
本出願は、また、半導体素子、例えば、光半導体素子に関する。例示的な半導体素子は、上記硬化性組成物の硬化物を含む封止材によって封止されたものであることができる。封止材で封止される半導体素子として、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ、フォトカップラー、CCD、固体撮像装置、一体式IC、混成IC、LSI、VLSI及びLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)などを例示することができる。1つの例示で、上記半導体素子は、発光ダイオードであることができる。
【0111】
発光ダイオードとして、例えば、基板上に半導体材料を積層して形成した発光ダイオードなどを例示することができる。上記半導体材料として、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaAlNまたはSiCなどを例示することができるが、これに制限されるものではない。また、上記基板として、サファイア、スピンネル、SiC、Si、ZnOまたはGaN単結晶などを例示することができる。
【0112】
発光ダイオードの製造時には、必要に応じて、基板と半導体材料との間にバッファー層を形成してもよい。バッファー層として、GaNまたはAlNなどが使用することができる。基板上への半導体材料の積層方法は、特に制限されず、例えば、MOCVD法、HDVPE法または液相成長法などを使用することができる。また、発光ダイオードの構造は、例えば、MIS接合、PN接合、PIN接合を有するモノ接合、ヘテロ接合、二重ヘテロ接合などであることができる。また、単一または多重量子井戸構造で上記発光ダイオードを形成することができる。
【0113】
1つの例示で、発光ダイオードの発光波長は、例えば、250nm〜550nm、300nm〜500nmまたは330nm〜470nmであることができる。発光波長は、主発光ピーク波長を意味することができる。発光ダイオードの発光波長を上記範囲に設定することによって、より長い寿命で、エネルギー効率が高くて、色再現性が高い白色発光ダイオードを得ることができる。
【0114】
発光ダイオードは、上記組成物を使用して封止することができる。発光ダイオードの封止は、上記組成物だけで行われることができ、場合によっては、他の封止材を上記組成物と併用することができる。2種の封止材を併用する場合、上記混合物を使用した封止後に、その周囲を他の封止材で封止してもよく、他の封止材でまず封止した後、その周囲を上記混合物で封止してもよい。他の封止材として、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ユレア樹脂、イミド樹脂またはガラスなどが挙げられる。
【0115】
硬化性組成物で発光ダイオードを封止する方法として、例えば、モールド型鋳型に上記混合物をあらかじめ注入し、そこに発光ダイオードが固定されたリードフレームなどを浸漬させ、混合物を硬化させる方法、発光ダイオードを挿入した鋳型の中に混合物を注入し、硬化させる方法などを使用することができる。混合物を注入する方法として、ディスペンサーによる注入、トランスファー成形または射出成形などを例示することができる。また、その他の封止方法として、混合物を発光ダイオード上に滴下、孔版印刷、スクリーン印刷またはマスクを媒介で塗布し、硬化させる方法、底部に発光ダイオードを配置したカップなどに混合物をディスペンサーなどによって注入し、硬化させる方法などが使用することができる。
【0116】
硬化性組成物は、必要に応じて、発光ダイオードをリード端子やパッケージに固定するダイボンド材や、発光ダイオード上のパッシベーション(passivation)膜またはパッケージ基板などに利用することができる。
【0117】
上記組成物の硬化が必要な場合、硬化方法は、特に制限されず、例えば、60℃〜200℃の温度で10分〜5時間上記組成物を維持して行うか、適正温度及び時間での2段階以上の過程を経て段階的な硬化工程を進行してもよい。
【0118】
封止材の形状は、特に限定されず、例えば、砲弾型のレンズ形状、板状または薄膜状などで構成することができる。
【0119】
また、従来の公知の方法によって発光ダイオードのさらなる性能向上を図ることができる。性能向上の方法として、例えば、発光ダイオードの背面に光の反射層または集光層を設置する方法、補色着色部を底部に形成する方法、主発光ピークより短波長の光を吸収する層を発光ダイオード上に設置する方法、発光ダイオードを封止した後、さらに硬質材料でモールディングする方法、発光ダイオードを貫通ホールに挿入して固定する方法、発光ダイオードをフリップチップ接続などによってリード部材などと接続して基板方向から光を取り出す方法などが挙げられる。
【0120】
上記光半導体、例えば、発光ダイオードは、例えば、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)のバックライト、照明、各種センサー、プリンター、コピー機などの光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾または各種ライトなどに効果的に適用することができる。