特許第6237950号(P6237950)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6237950
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】クラッド材およびクラッド材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/04 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   B23K20/04 B
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-154123(P2017-154123)
(22)【出願日】2017年8月9日
【審査請求日】2017年8月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100153567
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐介
(72)【発明者】
【氏名】山本 晋司
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/010455(WO,A1)
【文献】 米国特許第4467954(US,A)
【文献】 特開2008−123964(JP,A)
【文献】 特開2014−1449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼により構成される第1層と、
CuまたはCu合金により構成され、前記第1層に圧延接合された第2層と、を備え、
JIS H 0501の比較法により測定される前記第2層の結晶粒度が、0.150mm以下である、クラッド材。
【請求項2】
前記第2層の結晶粒度が、0.130mm以下である、請求項1に記載のクラッド材。
【請求項3】
ステンレス鋼により構成され、前記第2層の前記第1層とは反対側に圧延接合された第3層をさらに備える、請求項1または2に記載のクラッド材。
【請求項4】
前記ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のクラッド材。
【請求項5】
ステンレス鋼により構成される第1金属板を軟化させ、CuまたはCu合金により構成される第2金属板を軟化させる、軟化焼鈍と、
前記軟化焼鈍を経た前記第1金属板と前記第2金属板とを互いに積層させた状態で圧延して接合することにより圧接材を作製するクラッド圧延と、
前記圧接材に対して拡散処理を行う拡散焼鈍と、を含み、
前記拡散焼鈍前の前記圧接材における前記第2金属板の厚みを前記軟化焼鈍後の前記第2金属板の厚みの20%以上とすることにより、ステンレス鋼により構成される第1層と、CuまたはCu合金により構成され、前記第1層に圧延接合された第2層と、を備え、JIS H 0501の比較法により測定される前記第2層の結晶粒度が0.150mm以下となるクラッド材を作製する、クラッド材の製造方法。
【請求項6】
前記拡散焼鈍前の前記圧接材における前記第2金属板の厚みを前記軟化焼鈍後の前記第2金属板の厚みの25%以上50%以下とする、請求項5に記載のクラッド材の製造方法。
【請求項7】
前記拡散焼鈍を850℃以上1000℃以下の温度条件下で行う、請求項5または6に記載のクラッド材の製造方法。
【請求項8】
前記拡散焼鈍を900℃以上1000℃以下の温度条件下で行う、請求項7に記載のクラッド材の製造方法。
【請求項9】
前記軟化焼鈍後、前記クラッド圧延前に、前記第2金属板を硬化させる調質圧延を行うことによって、前記調質圧延後の前記第2金属板の厚みを前記軟化焼鈍後の前記第2金属板の厚みの60%以上100%未満にする、請求項5〜8のいずれか1項に記載のクラッド材の製造方法。
【請求項10】
前記調質圧延後の前記第2金属板の厚みを前記軟化焼鈍後の前記第2金属板の厚みの80%以上100%未満にする、請求項9に記載のクラッド材の製造方法。
【請求項11】
前記第2層の結晶粒度が0.130mm以下となる前記クラッド材を作製する、請求項5〜10のいずれか1項に記載のクラッド材の製造方法。
【請求項12】
前記軟化焼鈍においては、ステンレス鋼により構成される第3金属板を軟化させ、
前記クラッド圧延においては、前記軟化焼鈍を経た前記第1金属板と前記第2金属板と前記第3金属板とをこの順で積層させた状態で圧延して接合することにより圧接材を作製することにより、
ステンレス鋼により構成される第1層と、CuまたはCu合金により構成され、前記第1層に圧延接合された第2層と、ステンレス鋼により構成され、前記第2層の前記第1層とは反対側に圧延接合された第3層と、を備え、前記第2層の結晶粒度が0.150mm以下となるクラッド材を作製する、請求項5〜11のいずれか1項に記載のクラッド材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クラッド材およびそのクラッド材の製造方法に関し、特に、CuまたはCu合金とステンレス鋼とが圧延接合されたクラッド材およびそのクラッド材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステンレス鋼とCuまたはCu合金とが圧延接合されたクラッド材が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ステンレス鋼からなる芯材の表裏両面に、銅からなる表皮材を圧延・圧着(クラッディング)することにより形成されたステンレス鋼/銅クラッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−134073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたステンレス鋼/銅クラッドでは、具体的な圧延・圧着方法の詳細について記載されていない。しかしながら、一般的には、上記特許文献1のステンレス鋼/銅クラッドは、冷間圧延が行われてステンレス鋼と銅とが接合された後に拡散焼鈍させることによって、圧延・圧着されていると考えられる。ここで、本願発明者は、種々検討した結果、冷間圧延と拡散焼鈍とが行われてステンレス鋼(第1層)と銅(第2層)とが圧延接合されたクラッド材において、クラッド材の伸びが低下することに起因して、クラッド材の加工性が低下するという問題点があることを発見した。
【0006】
本発明は、CuまたはCu合金とステンレス鋼とが圧延接合されたクラッド材における上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の1つの目的は、伸びが低下するのを抑制することによって、加工性が低下するのを抑制することが可能なクラッド材およびそのクラッド材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、CuまたはCu合金により構成される第2層の結晶が粗大化することに起因して、クラッド材の伸びが低下することをさらに見出した。そして、本発明を完成させた。つまり、本発明の第1の局面によるクラッド材は、ステンレス鋼により構成される第1層と、CuまたはCu合金により構成され、第1層に圧延接合された第2層と、を備え、JIS H 0501の比較法により測定される第2層の結晶粒度が、0.150mm以下である。なお、「ステンレス鋼」とは、Fe(鉄)を主成分として50質量%以上含むとともに、少なくともCr(クロム)を10.5質量%以上さらに含む合金を意味する。また、「Cu合金」とは、Cu(銅)を主成分として50質量%以上含む合金を意味する。
【0008】
本発明の第1の局面によるクラッド材では、上記のように、JIS H 0501の比較法により測定される第2層の結晶粒度が、0.150mm以下である。このように構成すれば、第2層を構成するCuまたはCu合金の結晶が、結晶粒度が0.150mmを超えるほど過度に粗大化されていないので、第2層に起因してクラッド材の伸びが低下するのが抑制される。この結果、クラッド材の加工性が低下するのを抑制することができる。
【0009】
また、第1の局面によるクラッド材は、上記のように、ステンレス鋼により構成される第1層と、CuまたはCu合金により構成され、第1層に圧延接合された第2層と、を備える。これにより、クラッド材において、ステンレス鋼により構成される第1層により機械的強度および第2層の一方表面の耐食性を確保しつつ、CuまたはCu合金により構成される第2層により導電性および熱伝導性を確保することができる。この結果、電池用の導電部材およびヒートシンクを兼ねるシャーシなどに好適なクラッド材を提供することができる。
【0010】
上記第1の局面によるクラッド材において、第2層の結晶粒度が、0.130mm以下である。このように構成すれば、第2層を構成するCuまたはCu合金の結晶の粗大化がより抑制されているので、第2層に起因してクラッド材の伸びが低下するのがより抑制される。
【0011】
上記第1の局面によるクラッド材において、好ましくは、ステンレス鋼により構成され、第2層の第1層とは反対側に圧延接合された第3層をさらに備える。このように構成すれば、クラッド材において、ステンレス鋼により構成される第1層および第3層により機械的強度および第2層の両表面の耐食性を確実に確保しつつ、CuまたはCu合金により構成される第2層により導電性および熱伝導性を確保することができる。また、共にステンレス鋼により構成される第1層および第3層により第2層を挟み込んだ状態で圧延することができるので、圧延方向の反りが抑制されやすく安定的に圧延による接合を行うことができる。
【0012】
上記第1の局面によるクラッド材において、好ましくは、ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼である。このように構成すれば、オーステナイト系ステンレス鋼とCuまたはCu合金とが共に非磁性であることにより、クラッド材全体を非磁性にすることができる。これにより、たとえば、ヒートシンクを兼ねるシャーシにクラッド材を用いる際に、シャーシが磁化することで他部品(たとえば電子部品)に悪影響を与えないようにすることができる。
【0013】
本発明の第2の局面によるクラッド材の製造方法は、ステンレス鋼により構成される第1金属板を軟化させ、CuまたはCu合金により構成される第2金属板を軟化させる、軟化焼鈍と、軟化焼鈍を経た第1金属板と第2金属板とを互いに積層させた状態で圧延して接合することにより圧接材を作製するクラッド圧延と、圧接材に対して拡散処理を行う拡散焼鈍と、を含み、拡散焼鈍前の圧接材における第2金属板の厚みを軟化焼鈍後の第2金属板の厚みの20%以上とすることにより、ステンレス鋼により構成される第1層と、CuまたはCu合金により構成され、第1層に圧延接合された第2層と、を備え、JIS H 0501の比較法により測定される第2層の結晶粒度が0.150mm以下となるクラッド材を作製する。
【0014】
本発明の第2の局面によるクラッド材の製造方法では、上記のように、拡散焼鈍前の圧接材における第2金属板の厚みを軟化焼鈍後の第2金属板の厚みの20%以上とする。これにより、拡散焼鈍前の圧接材における第2金属板の厚みを軟化焼鈍後の第2金属板の厚みの20%未満に小さくする場合と比べて、軟化焼鈍後から拡散焼鈍前までの圧延に起因する第2金属板に蓄積される内部応力(歪み)を小さくすることができるとともに、第2金属板に蓄積される内部応力(歪み)のばらつき状態を均等的にすることができると考えられる。この結果、拡散焼鈍時の回復・再結晶・粒成長の過程で内部応力(歪み)の大きさやそのばらつき状態に起因して再結晶が不均等的に進行するのが抑制され、第2金属板の結晶(CuまたはCu合金の結晶)が過度に成長するのを抑制することができるので、クラッド材の第2層を構成するCuまたはCu合金の結晶が過度に成長するのを抑制することができる。したがって、クラッド材において、JIS H 0501の比較法により測定される第2層の結晶粒度を確実に0.150mm以下にすることができるので、第2層に起因してクラッド材の伸びが低下するのを抑制することができる。つまり、クラッド材の加工性が低下するのを抑制することができる。
【0015】
上記第2の局面によるクラッド材の製造方法において、好ましくは、拡散焼鈍前の圧接材における第2金属板の厚みを軟化焼鈍後の第2金属板の厚みの25%以上50%以下とする。このように構成すれば、拡散焼鈍前の圧接材における第2金属板の厚みを軟化焼鈍後の第2金属板の厚みの25%以上にすることにより、拡散焼鈍時に第2金属板の結晶が過度に成長するのを確実に抑制することができる。また、拡散焼鈍前の圧接材における第2金属板の厚みを軟化焼鈍後の第2金属板の厚みの50%以下にすることにより、クラッド圧延時に圧接材の厚みが小さくなるように第1金属板と第2金属板とに対して十分な圧接荷重を印加することができるので、第1金属板と第2金属板とを十分に接合させることができる。
【0016】
上記第2の局面によるクラッド材の製造方法において、好ましくは、拡散焼鈍を850℃以上1000℃以下の温度条件下で行う。また、より好ましくは、拡散焼鈍を900℃以上1000℃以下の温度条件下で行う。このように構成すれば、拡散焼鈍を850℃以上(好ましくは、900℃以上)の温度条件下で行うことにより、CuまたはCu合金により構成される第2金属板だけでなく、ステンレス鋼により構成される第1金属板も確実に焼鈍することができる。また、拡散焼鈍を1000℃以下の温度条件下で行うことにより、温度が過度に高いことに起因して、第2金属板の結晶の成長速度が過度に大きくなるのを抑制することができる。これにより、第2金属板の結晶が過度に成長するのを確実に抑制することができる。
【0017】
上記第2の局面によるクラッド材の製造方法において、好ましくは、軟化焼鈍後、クラッド圧延前に、第2金属板を硬化させる調質圧延を行うことによって、調質圧延後の第2金属板の厚みを軟化焼鈍後の第2金属板の厚みの60%以上100%未満にする。また、より好ましくは、調質圧延後の第2金属板の厚みを軟化焼鈍後の第2金属板の厚みの80%以上100%未満にする。このように構成すれば、調質圧延によって第2金属板に内部応力(歪み)を蓄積させることによって、CuまたはCu合金により構成された第2金属板の機械的強度(0.2%耐力等)を向上させることができる。これにより、ステンレス鋼により構成される第1金属板と比べて機械的強度が低い第2金属板の機械的強度を、第1金属板の機械的強度に近づけることができる。この結果、クラッド圧延時に、機械的強度を近づけた金属板同士を圧延して接合することができるので、第1金属板と第2金属板とを確実に接合させることができる。
【0018】
また、調質圧延後の第2金属板の厚みを軟化焼鈍後の第2金属板の厚みの60%以上(より好ましくは80%以上)にする。このように構成すれば、調質圧延によって第2金属板の厚みを小さくすることに起因して、拡散焼鈍前の圧接材における第2金属板の厚みを軟化焼鈍後の第2金属板の厚みの20%以上に大きく確保することと、調質圧延後のクラッド圧延時に第1金属板と第2金属板とを十分に接合させることとの両方を満たせなくなるのを抑制することができる。
【0019】
上記第2の局面によるクラッド材の製造方法において、好ましくは、第2層の結晶粒度が0.130mm以下となるクラッド材を作製する。このように構成すれば、第2層(第2金属層)を構成するCuまたはCu合金の結晶が粗大化するのがより抑制されることによって、第2層に起因してクラッド材の伸びが低下するのをより抑制することができる。
【0020】
上記第2の局面によるクラッド材の製造方法において、好ましくは、軟化焼鈍においては、ステンレス鋼により構成される第3金属板を軟化させ、クラッド圧延においては、軟化焼鈍を経た第1金属板と第2金属板と第3金属板とをこの順で積層させた状態で圧延して接合することにより圧接材を作製することにより、ステンレス鋼により構成される第1層と、CuまたはCu合金により構成され、第1層に圧延接合された第2層と、ステンレス鋼により構成され、第2層の第1層とは反対側に圧延接合された第3層と、を備え、第2層の結晶粒度が0.150mm以下となるクラッド材を作製する。このように構成すれば、クラッド材において、ステンレス鋼により構成される第1層および第3層により機械的強度および第2層の両表面の耐食性を確実に確保しつつ、CuまたはCu合金により構成される第2層により導電性および熱伝導性を確保することができる。また、クラッド圧延時に、共にステンレス鋼により構成される第1金属板および第3金属板により第2金属板を挟み込んだ状態で圧延することができるので、圧延方向の反りが抑制されやすく安定的に圧延による接合を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、伸びが低下するのを抑制することによって、加工性が低下するのを抑制することが可能なクラッド材およびそのクラッド材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態によるクラッド材をシャーシとして用いた携帯機器の模式的な分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるクラッド材(シャーシ)の構造を示した断面図である。
図3】本発明の一実施形態によるクラッド材の製造プロセスを説明するための模式図である。
図4】本発明の一実施形態によるクラッド材の製造プロセスを説明するための模式図である。
図5】SUS316Lの軟化曲線である。
図6】本発明の効果を確認するために行った結晶粒度測定に用いた断面写真である。
図7】本発明の効果を確認するために行った結晶粒度測定に用いたCu層の断面写真である。
図8図2に示す構造とは異なる本発明の一実施形態によるクラッド材を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(携帯機器の構成)
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態(第1実施形態)による携帯機器100の概略的な構成について説明する。
【0025】
本実施形態による携帯機器100では、図1に示すように、上側筐体1aと、ディスプレイ2と、シャーシ3と、基板4と、電池5と、下側筐体1bとを備えている。ディスプレイ2と、シャーシ3と、基板4および電池5とは、上方(Z1側)からこの順に下側筐体1b内に配置されている。そして、下側筐体1bは、上方から上側筐体1aに覆われている。
【0026】
ディスプレイ2は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどからなり、Z1側の上面に画像を表示する機能を有する。
【0027】
シャーシ3は、携帯機器100の機械的強度を確保する機能と、ディスプレイ2、基板4(電子部品4a)および電池5からの熱を外部に放出する機能とを有している。つまり、シャーシ3はヒートシンクを兼ねる。
【0028】
下側筐体1bのX1側には基板4が、X2側には電池5が、それぞれ配置されている。基板4のZ1側の上面には、アプリケーションを駆動させるためのCPU(Central Processing Unit)などの電子部品4aが配置されている。
【0029】
(シャーシ(クラッド材)の構成)
シャーシ3は、図2に示すように、ステンレス鋼により構成されるSUS層31と、CuまたはCu合金により構成されるCu層32と、ステンレス鋼により構成されるSUS層33とがこの順に積層された3層構造のクラッド材30から構成されている。Cu層32は、SUS層31のZ2側の下面に圧延接合されているとともに、SUS層33のZ1側の上面に圧延接合されている。なお、SUS層31とCu層32との界面IaおよびCu層32とSUS層33との界面Ibにおいて、互いの層は拡散焼鈍により原子間接合を形成して強固に接合している。なお、SUS層31、Cu層32およびSUS層33は、それぞれ、本発明の「第1層」、「第2層」および「第3層」の一例である。
【0030】
クラッド材30のZ方向の厚みt1は特に限定されない。なお、本実施形態では、携帯機器100の軽量化やコンパクト化を考慮してZ方向の厚みの増加を抑制するために、シャーシ3の厚みt1は、0.5mm以下であるのが好ましい。また、シャーシ3の機械的強度を確保するために、シャーシ3の厚みt1は、0.1mm以上であるのが好ましい。
【0031】
また、クラッド材30におけるSUS層31の厚みt2、Cu層32の厚みt4およびSUS層33の厚みt3の比率(t2:t4:t3)は、特に限定されない。なお、圧延時の延び具合をZ方向の両側で均等化させるために、共にステンレス鋼により構成されるSUS層31の厚みt2とSUS層33の厚みt3とは、略等しい方が好ましい。
【0032】
また、本実施形態では、シャーシ3において要求される特性(熱伝導性および機械的強度)に応じて厚み比率を異ならせるのが好ましい。たとえば、シャーシ3において機械的強度が特に要求される場合には、機械的強度の大きいステンレス鋼により構成されるSUS層31の厚みt2およびSUS層33の厚みt3を大きくするのが好ましい。なお、クラッド材30の機械的強度を確実に確保するためには、Cu層32の厚みt4は、クラッド材30の厚みt1の60%以下であるのが好ましい。一方、シャーシ3において熱伝導性が特に要求される場合には、Cu層32の厚みt4を大きくするのが好ましい。なお、クラッド材30の熱伝導性を確実に確保するためには、Cu層32の厚みt4は、クラッド材30の厚みt1の33%以上であるのが好ましい。なお、上記した厚みt1〜t4は、複数箇所でそれぞれ測定した複数の厚みの平均である。
【0033】
また、クラッド材30の伸びは、8%以上であるのが好ましく、10%以上であるのがより好ましい。
【0034】
SUS層31およびSUS層33を構成するステンレス鋼は、ステンレス鋼であれば、オーステナイト系、フェライト系およびマルテンサイト系など、特に限定されない。ここで、本実施形態では、電子部品4a(図1参照)を備える携帯機器100においてシャーシ3が磁性を帯びるのは好ましくない。そこで、SUS層31およびSUS層33を構成するステンレス鋼は、好ましくはオーステナイト系ステンレス鋼であり、いわゆるSUS300系(JIS規格)のオーステナイト系ステンレス鋼により構成されるのがより好ましい。
【0035】
さらに、SUS層31およびSUS層33を構成するステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼のうち、C(炭素)の含有量が少なく、磁性をより帯びにくいSUS316L(JIS規格)であるのが特に好ましい。なお、SUS316Lとは、18質量%のCrと、12質量%のNiと2.5質量%のMoと、Cを含む不可避不純物等と、残部鉄とを含有するSUS316(JIS規格)において、Cの含有量を低下させたオーステナイト系ステンレス鋼である。また、SUS層31とSUS層33とは、同じ組成に限定されないが、圧延の安定性などを考慮して同じ組成を有するステンレス鋼により構成されるのが好ましい。
【0036】
Cu層32は、C1000系(JIS規格)のCuまたはC2000系(JIS規格)などのCu合金により構成されている。なお、Cuとしては、いわゆる、無酸素銅、りん脱酸銅、タフピッチ銅などがある。また、Cu合金としては、結晶の粗大化を抑制するためにC1050(JIS規格)のZr−Cu合金などが好ましい。なお、Cu層32を構成するCuまたはCu合金は、一般的に、SUS層31およびSUS層33を構成するステンレス鋼よりも熱伝導性が高いとともに、延性が大きい。
【0037】
ここで、本実施形態では、Cu層32(CuまたはCu合金)の結晶粒度は、0.150mm以下である。これにより、Cu層32を構成するCuまたはCu合金の結晶が粗大化するのが抑制されることによって、Cu層32の伸び(延性)が低下するのが抑制されている。この結果、クラッド材30をシャーシ3に加工する際の加工性が低下するのが抑制される。なお、Cu層32の結晶粒度は、0.130mm以下であるのが好ましい。また、Cu層32の結晶粒度は、0.120mm以下であるのがより好ましく、0.110mm以下であるのがさらに好ましい。なお、クラッド材30の伸び(延性)の低下を抑制する目的においては、Cu層32の結晶粒度が小さいほど好ましい。その観点においてCu層32の結晶粒度の下限臨界(下限値)を設けることに意義はないと考えるが、たとえば管理水準として、Cu層32の結晶粒度の下限値をたとえば0.050mmとしてもよい。
【0038】
本発明において、Cu層32の結晶粒度は、JIS H 0501の比較法により測定される。具体的には、クラッド材30を切断し、切断した断面に対して研磨等を行ってCu層32の組織を露出させる。そして、露出させたCu層32の組織を顕微鏡を用いて断面写真を取得する。その後、取得した断面写真において、所定の大きさ(たとえば、2mm×2mm)の観察領域におけるCu層32の結晶粒度を、JIS H 0501の付図の標準写真に最もよく対応する写真を比較によって定め、実際の結晶粒度に換算することにより、Cu層32の結晶粒度が取得される。なお、Cu層32の組織の断面写真は、クラッド材30を圧延方向に対して平行に切断した断面(圧延方向断面)から得たものを使用する。また、互いに重複しない複数の観察領域を選んで、各々の観察領域において、Cu層32の結晶粒度を取得するのが好ましい。
【0039】
また、Cu層32の結晶粒度が0.150mm以下であることにより、クラッド材30のSUS層31および33の露出する表面において、Cu層32の粗大化した結晶に起因して現れる模様がほとんど生じない。これにより、クラッド材30の見た目を向上させることが可能である。
【0040】
(シャーシ(クラッド材)の製造方法の概要)
次に、図2図5を参照して、本発明の一実施形態によるシャーシ3を構成するクラッド材30の製造方法を説明する。
【0041】
まず、図3に示すように、CuまたはCu合金により構成された帯状のCu板132を準備する。そして、Cu板132に対して、Cu板132を構成するCuまたはCu合金の再結晶温度(たとえば、220℃)を超える温度に内部が設定された焼鈍炉101を用いて軟化焼鈍を行う。これにより、Cu板132は加工硬化による内部の歪みが取り除かれて組織が十分に軟化された状態となる。なお、Cu板132は、特許請求の範囲の「第2金属板」の一例である。
【0042】
そして、軟化焼鈍を経たCu板132に対して、圧延ローラ102を用いて調質圧延を行う。調質圧延により、Cu板132は厚みがt4aからt4bに小さくされるとともに、内部応力(歪み)が蓄積されて加工硬化される。なお、厚みt4aおよび厚みt4bは、複数箇所で測定したCu板132の複数の厚みの平均である。また、調質圧延のパス数は、適宜選択可能である。
【0043】
また、図4に示すように、調質圧延を経た帯状のCu板132に加えて、ステンレス鋼により構成される帯状のSUS板131および帯状のSUS板133を準備する。また、SUS板131および133は、共に十分に焼鈍されている。なお、SUS板131の厚みと、調質圧延を経たCu板132の厚みと、SUS板133の厚みとは、作製されるクラッド材30におけるSUS層31、Cu層32およびSUS層33の厚み比率(t2:t4:t3)に合わせて適宜選択される。なお、SUS板131およびSUS板133は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1金属板」および「第3金属板」の一例である。
【0044】
そして、SUS板131と、調質圧延を経たCu板132と、SUS板133とを、この順に積層した状態で、圧延ローラ103を用いて圧延して接合するクラッド圧延を行う。この際、帯状のSUS板131、Cu板132およびSUS板133の長手方向が、圧延方向になる。これにより、SUS板131と、Cu板132と、SUS板133とがこの順に積層された状態で互いに接合(圧延接合)された圧接材130が作製される。なお、クラッド圧延によって、Cu板132は厚みがt4b(図3参照)からt4cに小さくされるとともに、内部応力(歪み)が蓄積されて加工硬化される。なお、厚みt4cは、複数箇所で測定したCu板132の複数の厚みの平均である。また、クラッド圧延のパス数は、適宜選択可能である。
【0045】
その後、必要に応じて、端部切断機104を用いて圧接材130の幅方向の端部を切断することによって、圧接材130の幅方向の長さを調整してもよい。そして、圧接材130に対して、圧延ローラ105を用いて中間圧延を行うことにより、圧接材130の厚みを調整する。これにより、圧接材130(クラッド材30)毎の厚みのばらつきを小さくすることが可能である。なお、中間圧延によっても、Cu板132は厚みがt4cからt4dに小さくされるとともに、内部応力(歪み)が蓄積されて加工硬化される。なお、厚みt4dは、複数箇所で測定したCu板132の複数の厚みの平均である。また、中間圧延のパス数は、適宜選択可能である。
【0046】
そして、SUS板131を構成するステンレス鋼の再結晶温度を超える温度に内部が設定された焼鈍炉106を用いて拡散焼鈍を行う。これにより、SUS板131、Cu板132およびSUS板131のすべてが材質に応じて組織が軟化された状態となる。また、SUS板131とCu板132との界面IcおよびCu板132とSUS板133との界面Idにおいて、拡散処理により互いの層が原子間接合を形成して強固に接合する。この結果、図2に示すSUS層31と、SUS層31に圧延接合されたCu層32と、Cu層32のSUS層31とは反対側に圧延接合されたSUS層33とを備えるクラッド材30が作製される。
【0047】
その後、クラッド材30に対して、必要に応じて、仕上げ圧延、形状矯正、スリット切断、プレス加工等の仕上げ工程が適宜行われる。その結果、図2に示す、クラッド材30から構成されるシャーシ3が作製される。本実施形態では、図4に示すように、少なくともクラッド圧延から仕上げ工程のスリット切断までの工程を連続的に行うように構成されているため、クラッド材30のタクトタイムを効果的に短縮することが可能である。なお、本発明の製造方法は、クラッド圧延から仕上げ工程のスリット切断までの工程を連続的に行う構成に限定されない。
【0048】
(本実施形態における具体的な圧延条件)
ここで、本実施形態の製造方法では、拡散焼鈍前(中間圧延後)のCu板132における厚みt4d(図4参照)を、軟化焼鈍後(調質圧延前)のCu板132における厚みt4a(図3参照)の20%以上にする。つまり、厚みt4dが厚みt4aの20%以上になるように、調質圧延、クラッド圧延および中間圧延での各々の圧下率が設定されている。言い換えると、調質圧延、クラッド圧延および中間圧延での合計の圧下率((t4a−t4d)/t4a×100(%))が、80%以下になるように、調質圧延、クラッド圧延および中間圧延の圧下率が各々設定されている。なお、厚みt4dが厚みt4aの20%以上になるのであれば、調質圧延、クラッド圧延および中間圧延の圧下率は適宜変更することが可能である。また、厚みt4dは厚みt4aの20%以上であればよいが、厚みt4dと厚みt4aとの差がより大きくなるとクラッド材30の圧延効率が高まるため、実用上の観点において、厚みt4dは厚みt4aの25%以上50%以下であるのが好ましい。
【0049】
(調質圧延における具体的な圧延条件)
ここで、ステンレス鋼により構成されるSUS板131およびSUS板133は機械的強度が大きく延性が低く、CuまたはCu合金により構成されるCu板132は機械的強度が小さく延性が高いので、クラッド圧延を行う前に、SUS板131およびSUS板133とCu板132との延性を近づけておくのが好ましい。これにより、クラッド圧延時に、SUS板131および133の厚みが圧延方向で不均一になるのを抑制することができるとともに、十分に接合された圧接材130を容易に作製することが可能である。したがって、焼鈍されていない場合と比べて組織が軟化されて機械的強度が小さくなったSUS板131および133を用いるとともに、焼鈍されている場合と比べて組織が加工硬化されて機械的強度が大きくなったCu板132を用いるのが好ましい。そこで、調質圧延を行ってCu板132の厚みをある程度小さくすることにより、Cu板132の組織を加工硬化させるのが好ましい。一方で、調質圧延の後にクラッド圧延および中間圧延を行う必要があるため、調質圧延において過度に圧延を行うのはクラッド材30のCu層32の結晶の粗大化を抑制する観点から好ましくない。
【0050】
したがって、クラッド材30のCu層32の結晶の粗大化への影響を抑制しつつ機械的強度を大きくするために、調質圧延後のCu板132における厚みt4bが、調質圧延前のCu板132における厚みt4aの60%以上100%未満になるように調質圧延するのが好ましい。言い換えると、調質圧延における圧下率((t4a−t4b)/t4a×100(%))は、0%を超えて40%以下であるのが好ましい。なお、クラッド材30のCu層32の結晶の粗大化を抑制する観点からは、厚みt4bは厚みt4aの70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがさらに好ましい。また、Cu板132の機械的強度を大きくする観点からは、厚みt4bは厚みt4aの90%以下であるのがより好ましい。
【0051】
(クラッド圧延における具体的な圧延条件)
また、クラッド圧延において、圧下率が小さすぎると、SUS板131、Cu板132およびSUS板133が十分に接合されない虞がある。そこで、クラッド材30のCu層32の結晶の粗大化への影響を抑制しつつ、クラッド材30に十分な接合強度を得るために、クラッド圧延において、クラッド圧延後のCu板132における厚みt4cが、クラッド圧延前のCu板132における厚みt4bの35%以上50%以下になるようにクラッド圧延するのが好ましい。言い換えると、クラッド圧延における圧下率((t4b−t4c)/t4b×100(%))は、50%以上65%以下であるのが好ましい。なお、クラッド材30のCu層32の結晶の粗大化を抑制する観点からは、厚みt4cは厚みt4bの40%以上であるのが好ましい。また、クラッド材30に十分な接合強度を得る観点からは、厚みt4cは厚みt4bの40%以下であるのがより好ましい。
【0052】
また、クラッド圧延において、SUS板131、Cu板132およびSUS板133を十分に接合するために、圧延ローラ103によりSUS板131、Cu板132およびSUS板133に加えられる荷重(圧接荷重)は、4.4kN/mm以上であるのが好ましい。これにより、クラッド圧延後のSUS板131、Cu板132およびSUS板133のそれぞれにおいて、その厚みが均等化されやすい。
【0053】
(中間圧延における具体的な圧延条件)
また、中間圧延では、クラッド材30のCu層32の結晶の粗大化への影響を抑制しつつ厚みの調整が可能なように、圧下率が適宜設定される。つまり、中間圧延では、調質圧延およびクラッド圧延を経たCu板132が、最終的に、所定の範囲(t4d≧t4a×0.2)を満たす厚みt4dになるように圧下率が適宜設定される。
【0054】
(拡散焼鈍)
また、拡散焼鈍では、圧接材130に対して850℃以上1000℃以下の温度条件下で拡散焼鈍を行う。たとえば、図5に一例として示すSUS316Lの軟化曲線においては、温度条件が750℃の場合に比べて、温度条件が800℃の場合にはSUS316Lの断面の硬さがほとんど低下していないものの、温度条件が850℃の場合にはSUS316Lの断面の硬さが十分に低下している。したがって、圧接材130に対して850℃以上の温度条件下で拡散焼鈍を行うことにより、ステンレス鋼により構成されるSUS板131およびSUS板133と、ステンレス鋼よりも再結晶温度が低いCuまたはCu合金により構成されるCu板132とにおいて、共に組織が十分に軟化すると考えられる。また、850℃の温度条件下ではSUS板131および133の軟化の速度が小さく、組織の十分な軟化および元素の適度な拡散に時間がかかり、タクトタイムが長くなると考えられる。このため、タクトタイムの短縮の観点から、900℃以上の温度条件下で拡散焼鈍を行うのが好ましい。なお、SUS316L以外のステンレス鋼であっても同様の軟化曲線が得られると考えられるので、SUS316L以外のステンレス鋼であっても850℃以上1000℃以下の温度条件下で拡散焼鈍を行うのがよいと考えられる。
【0055】
上記した製造方法によって、Cu層32の結晶粒度が、0.150mm以下(好ましくは0.130mm以下)であるクラッド材30が作製される。
【0056】
<本実施形態の効果>
本実施形態(第1実施形態)では、以下のような効果を得ることができる。
【0057】
本実施形態では、上記のように、クラッド材30において、JIS H 0501の比較法により測定されるCu層32の結晶粒度が、0.150mm以下である。このように構成すればCu層32を構成するCuまたはCu合金の結晶が、結晶粒度が0.150mmを超えるほど過度に粗大化されていないので、Cu層32に起因してクラッド材30の伸びが低下するのが抑制される。この結果、クラッド材30の加工性が低下するのを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、クラッド材30が、ステンレス鋼により構成されるSUS層31と、CuまたはCu合金により構成され、SUS層31に圧延接合されたCu層32と、を備える。これにより、クラッド材30において、ステンレス鋼により構成されるSUS層31により機械的強度およびCu層32の一方表面(Z1側の表面)の耐食性を確保しつつ、CuまたはCu合金により構成されるCu層32により導電性および熱伝導性を確保することができる。この結果、ヒートシンクを兼ねるシャーシ3などに好適なクラッド材30を提供することができる。
【0059】
また、本実施形態では、好ましくは、Cu層32の結晶粒度が、0.130mm以下である。このように構成すれば、Cu層32を構成するCuまたはCu合金の結晶の粗大化がより抑制されているので、Cu層32に起因してクラッド材30の伸びが低下するのがより抑制される。
【0060】
また、本実施形態では、クラッド材30が、ステンレス鋼により構成され、Cu層32のSUS層31とは反対側に圧延接合されたSUS層33を備える。これにより、クラッド材30において、SUS層31およびSUS層33により機械的強度およびCu層32の両表面の耐食性を確実に確保しつつ、Cu層32により導電性および熱伝導性を確保することができる。また、共にステンレス鋼により構成されるSUS層31およびSUS層33によりCuまたはCu合金により構成されるCu層32を挟み込んだ状態で圧延することができるので、圧延方向の反りが抑制されやすく安定的に圧延による接合を行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、好ましくは、ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼である。このように構成すれば、オーステナイト系ステンレス鋼とCuまたはCu合金とが共に非磁性であることにより、クラッド材30全体を非磁性にすることができる。この結果、ヒートシンクを兼ねるシャーシ3にクラッド材30を用いる際に、シャーシ3が磁化することで基板4(電子部品4a)に悪影響を与えないようにすることができる。
【0062】
また、本実施形態の製造方法では、拡散焼鈍前の圧接材130におけるCu板132の厚みt4dを軟化焼鈍後のCu板132の厚みt4aの20%以上とする。これにより、拡散焼鈍前の圧接材130におけるCu板132の厚みt4dを軟化焼鈍後のCu板132の厚みt4aの20%未満に小さくする場合と比べて、軟化焼鈍後から拡散焼鈍前までの圧延に起因するCu板132に蓄積される内部応力(歪み)を小さくすることができるとともに、Cu板132に蓄積される内部応力(歪み)のばらつき状態を均等的にすることができると考えられる。この結果、拡散焼鈍時の回復・再結晶・粒成長の過程で内部応力(歪み)の大きさやそのばらつき状態に起因して再結晶が不均等的に進行するのが抑制され、Cu板132の結晶(CuまたはCu合金の結晶)が過度に成長するのを抑制することができるので、クラッド材30のCu層32を構成するCuまたはCu合金の結晶が過度に成長するのを抑制することができる。したがって、クラッド材30において、JIS H 0501の比較法により測定されるCu層32の結晶粒度を確実に0.150mm以下にすることができる。この結果、Cu層32に起因してクラッド材30の伸びが低下するのを抑制することができるので、クラッド材30は8%以上さらには10%以上の伸びを有するもの(後述する実施例1における伸びは13.5%である)となる。つまり、クラッド材30の加工性が低下するのを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態の製造方法では、好ましくは、拡散焼鈍前の圧接材130におけるCu板132の厚みt4dを軟化焼鈍後のCu板132の厚みt4aの25%以上50%以下とする。このように構成すれば、拡散焼鈍前の圧接材130におけるCu板132の厚みt4dを軟化焼鈍後のCu板132の厚みt4aの25%以上にすることにより、拡散焼鈍時にCu板132の結晶が過度に成長するのを確実に抑制することができる。また、拡散焼鈍前の圧接材130におけるCu板132の厚みt4dを軟化焼鈍後のCu板132の厚みt4aの50%以下にすることにより、クラッド圧延時に圧接材130の厚みが小さくなるようにSUS板131とCu板132とに対して十分な圧接荷重を印加することができるので、SUS板131とCu板132とを十分に接合させることができる。
【0064】
また、本実施形態の製造方法では、拡散焼鈍を850℃以上1000℃以下の温度条件下(好ましくは、900℃以上1000℃以下の温度条件下)で行う。これにより、拡散焼鈍を850℃以上(好ましくは、900℃以上)の温度条件下で行うことにより、CuまたはCu合金により構成されるCu板132だけでなく、ステンレス鋼により構成されるSUS板131および133も確実に焼鈍することができる。また、拡散焼鈍を1000℃以下の温度条件下で行うことにより、温度が過度に高いことに起因して、Cu板132の結晶の成長速度が過度に大きくなるのを抑制することができる。これにより、Cu板132の結晶が過度に成長するのを確実に抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態の製造方法では、軟化焼鈍後、クラッド圧延前に、Cu板132を硬化させる調質圧延を行うことによって、調質圧延後のCu板132の厚みを軟化焼鈍後のCu板132の厚みの60%以上(好ましくは80%以上)100%未満にする。これにより、調質圧延によってCu板132に内部応力(歪み)を蓄積させることによって、CuまたはCu合金により構成されたCu板132の機械的強度(0.2%耐力等)を向上させることができる。この結果、ステンレス鋼により構成されるSUS板131および133と比べて機械的強度が低いCu板132の機械的強度を、SUS板131および133の機械的強度に近づけることができる。したがって、クラッド圧延時に、機械的強度を近づけた金属板同士を圧延して接合することができるので、SUS板131および133とCu板132とを確実に接合させることができる。
【0066】
また、調質圧延後のCu板132の厚みを軟化焼鈍後のCu板132の厚みの60%以上(好ましくは80%以上)にする。これにより、調質圧延によってCu板132の厚みを小さくすることに起因して、拡散焼鈍前の圧接材におけるCu板132の厚みを軟化焼鈍後のCu板132の厚みの20%以上に大きく確保することと、調質圧延後のクラッド圧延時にSUS板131および133とCu板132とを十分に接合させることとの両方を満たせなくなるのを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態の製造方法では、好ましくは、Cu層32の結晶粒度が0.130mm以下となるクラッド材30を作製する。このように構成すれば、Cu層32(第2金属層)を構成するCuまたはCu合金の結晶が粗大化するのがより抑制されていることによって、Cu層32に起因してクラッド材30の伸びが低下するのをより抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態の製造方法では、軟化焼鈍においては、ステンレス鋼により構成されるSUS板133を軟化させ、クラッド圧延においては、軟化焼鈍を経たSUS板131とCu板132とSUS板133とをこの順で積層させた状態で圧延して接合することにより圧接材130を作製する。これにより、クラッド材30において、SUS層31およびSUS層33により機械的強度およびCu層32の両表面の耐食性を確実に確保しつつ、Cu層32により導電性および熱伝導性を確保することができる。また、クラッド圧延時に、共にステンレス鋼により構成されるSUS板131および133によりCuまたはCu合金により構成されるCu板132を挟み込んだ状態で圧延することができるので、圧延方向の反りが抑制されやすく安定的に圧延による接合を行うことができる。
【0069】
(実施例)
次に、図2図4図6および図7を参照して、本発明の効果を確認するために行った、加工性、機械的強度および磁気特性の測定について説明する。
【0070】
加工性、機械的強度および磁気特性の測定を行うために、まず、図2に示す上記実施形態(第1実施形態)のクラッド材30を、図3および図4に示す製造方法により作製した。具体的には、まず、無酸素銅(C1020、JIS規格)により構成され、0.5mmの厚みt4aのCu板132を準備した。そして、Cu板132に対して、Cu板132を構成するCuの再結晶温度を超える温度で軟化焼鈍を行った後、調質圧延を行った。これにより、調質圧延後のCu板132における厚みt4bを0.4mm(厚みt4aの80%)にするとともに、Cu板132を加工硬化させた。つまり、20%の圧下率で調質圧延を行った。なお、加工硬化による硬さは調質圧延前後のCu板132の厚み(t4a、t4b)の関係に応じて定まるものである。また、調質圧延によるCu板132の硬さは、たとえば1/2Hや1/4Hとなる調整が行われていてもよい。
【0071】
また、SUS316L(JIS規格)により構成され、0.2mmの厚みのSUS板131および133を準備した。また、SUS板131および133は、焼鈍によって十分に軟化された状態のものを用いた。
【0072】
そして、SUS板131と、加工硬化させたCu板132と、SUS板133とをこの順に積層した状態で、クラッド圧延を行った。この際、圧接荷重は、4.4kN/mm以上の値に設定した。これにより、SUS板131と、Cu板132と、SUS板133とがこの順に積層された状態で互いに接合(圧延接合)された圧接材130を作製した。なお、クラッド圧延において、クラッド圧延後のCu板132における厚みt4cを0.175mm(厚みt4bの44%)にした。つまり、56%の圧下率でクラッド圧延を行った。
【0073】
その後、圧接材130に対して中間圧延を行った。なお、中間圧延において、中間圧延後のCu板132における厚みt4dを0.117mm(厚みt4cの67%)にした。つまり、33%の圧下率で中間圧延を行った。
【0074】
そして、中間圧延後の圧接材130に対して、950℃で所定の時間、拡散焼鈍を行うことによって、実施例1のクラッド材30を作製した。なお、実施例1では、中間圧延後(拡散焼鈍前)のCu板132における厚みt4d(=0.117mm)が、調質圧延前(軟化焼鈍後)のCu板132における厚みt4a(=0.5mm)の23%(=0.117/0.5×100(%))になるように調質圧延、クラッド圧延および中間圧延の圧下率を設定した。これにより、厚みが0.4mmの調質圧延後のCu板132と、厚みが0.2mmの軟化焼鈍後のSUS板131および133とから、クラッド圧延および中間圧延と拡散焼鈍を経て、厚みが0.234mmのクラッド材30を作製した。
【0075】
次に、実施例2のクラッド材を作製した。具体的には、無酸素銅により構成され、0.4mmの厚みのCu板を準備した。そして、Cu板に対して軟化焼鈍を行った後、調質圧延を行わずに、上記実施例1と同様の条件で、クラッド圧延、中間圧延および拡散焼鈍(950℃)を行うことによって、実施例2のクラッド材を作製した。なお、実施例2では、拡散焼鈍前のCu板の厚み(=0.117mm)を、軟化焼鈍後のCu板の厚み(=0.4mm)の29%(=0.117/0.4×100(%))にした。
【0076】
また、比較例1のクラッド材を作製した。具体的には、無酸素銅により構成され、2.1mmの厚みのCu板を準備した。そして、Cu板に対して、軟化焼鈍を行った後、調質圧延を行うことにより、調質圧延後のCu板の厚みを0.4mm(調質圧延前の厚みの19%)にした。つまり、81%の圧下率で調質圧延を行った。そして、上記実施例1と同様の条件で、クラッド圧延および中間圧延を行った。その後、中間圧延後の圧接材に対して、1050℃で所定の時間,拡散焼鈍を行うことによって、比較例1のクラッド材を作製した。なお、比較例1では、拡散焼鈍前のCu板の厚み(=0.117mm)を、軟化焼鈍後のCu板の厚み(=2.1mm)の6%(=0.117/2.1×100(%))にした。
【0077】
また、比較例2のクラッド材を作製した。具体的には、比較例1と同様に、無酸素銅により構成され、2.1mmの厚みのCu板を準備した。そして、Cu板に対して、軟化焼鈍を行った後、調質圧延を行うことにより、調質圧延後のCu板の厚みを0.4mm(調質圧延前の厚みの19%)にした。そして、上記実施例1と同様の条件で、クラッド圧延、中間圧延および拡散焼鈍(950℃)を行うことによって、比較例2のクラッド材を作製した。なお、比較例2においても、拡散焼鈍前のCu板の厚みを、軟化焼鈍後のCu板の厚みの6%にした。
【0078】
また、比較例3のクラッド材を作製した。具体的には、無酸素銅により構成され、0.8mmの厚みのCu板を準備した。そして、Cu板に対して、軟化焼鈍を行った後、調質圧延を行うことにより、調質圧延後のCu板の厚みを0.4mm(厚みの50%)にした。つまり、50%の圧下率で調質圧延を行った。そして、上記実施例1と同様の条件で、クラッド圧延、中間圧延および拡散焼鈍(950℃)を行うことによって、比較例3のクラッド材を作製した。なお、比較例3では、拡散焼鈍前のCu板の厚み(=0.117mm)を、軟化焼鈍後のCu板の厚み(=0.8mm)の15%(=0.117/0.8×100(%))にした。
【0079】
その後、作製した実施例1、2および比較例1〜3のクラッド材に対して、上記したように、JIS H 0501の比較法に基づいて、Cu層の結晶粒度を測定した。なお、複数のクラッド材を作製し、各々のCu層の結晶粒度を測定する断面はクラッド材を圧延方向に対して平行に切断した断面(圧延方向断面)とした。また、1つのクラッド材から圧延方向に15mmの長さの試験体を採取し、その圧延方向断面を100倍に拡大した視野下で断面の観察を行った。1つの試験体におけるCu層の断面の観察領域は、SUS層を含まない2mm×2mm(正方形状)の領域とし、互いに重複しない5つの領域を任意に選んだ。そして、上記の5つの領域それぞれの結晶粒度を比較法で測定し、その平均値を求めてクラッド材のCu層の結晶粒度とした。実施例1、2および比較例1〜3のクラッド材における断面写真を図6および図7に示し、各々のCu層の結晶粒度を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
各々のCu層の結晶粒度の測定結果としては、拡散焼鈍前のCu板の厚みが、軟化焼鈍後のCu板の厚みの20%以上である実施例1および2では、複数のクラッド材のいずれにおいても、Cu層の結晶粒度は0.150mm以下(ASTM規格の結晶粒度番号で2.5以上に相当)の0.076mm〜0.150mm(ASTM規格の結晶粒度番号で2.5〜4.5程度に相当)になった。一方で、拡散焼鈍前のCu板の厚みが、軟化焼鈍後のCu板の厚みの6%(20%以下)である比較例1および2では、複数のクラッド材のいずれにおいても、Cu層の結晶粒度は0.200mmを超えて大きくなった。また、拡散焼鈍前のCu板の厚みが、軟化焼鈍後のCu板の厚みの15%(20%以下)である比較例3では、複数のクラッド材のうち、Cu層の結晶粒度が0.150mmを超えて大きくなるものが存在した。これにより、拡散焼鈍前のCu板の厚みを、軟化焼鈍後のCu板の厚みの20%以上にすることによって、確実に、Cu層の結晶粒度を0.150mm以下にすることができることが確認できた。
【0082】
なお、調質圧延を行った実施例1も、調質圧延を行わない実施例2も、共にCu層の結晶粒度が0.150mm以下になった。このことから、調質圧延を行うことにより、ステンレス鋼とCuとの延性を近づけて安定的にクラッド圧延による接合を行うことができる実施例1の製造方法の方が、調質圧延を行わずに、ステンレス鋼とCuとの延性を近づけない実施例2の製造方法よりも、製造方法として優れていると考えられる。
【0083】
また、拡散焼鈍時の温度を異ならせた比較例1および2において、拡散焼鈍時の温度が950℃であり、比較例1の温度(1050℃)よりも低い比較例2においては、比較例1と比べて、Cu層の結晶粒度は小さくなった。しかしながら、比較例2において、依然、Cu層の結晶粒度が0.150mmを超えて大きいものになった。この結果、Cu層の結晶粒度は、拡散焼鈍時の温度よりも、軟化焼鈍後のCu板の厚みに対する拡散焼鈍前のCu板の厚みの変化率の影響がより大きいと考えられる。
【0084】
また、実施例1のクラッド材および比較例1のクラッド材に対して、JIS Z 2241に基づいて引張強さ試験を行うことによって、機械的強度としての引張強さ(破断時における力)および0.2%耐力(伸びが0.2%の際の力)と、加工性としての伸び((破断時長さ−試験前長さ)/試験前長さ×100(%))とを測定した。また、磁気特性として、実施例1および比較例1のクラッド材の比透磁率を測定した。これらの測定結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
加工性としては、Cu層の結晶粒度が0.150mm以下(0.108mm)の実施例1では、クラッド材の伸びは13.5%になり、好ましい8%を超え、より好ましいと考える10%をも超える値になった。つまり、実施例1のクラッド材は、十分な加工性(変形しやすさ)を有していることが確認できた。一方、Cu層の結晶粒度が0.250mmを超える比較例1では、クラッド材の伸びは5.3%になり、好ましい8%にも至らない値になった。つまり、比較例1のクラッド材は、十分な加工性を有していないことが確認できた。この結果、Cu層の結晶粒度を0.150mm以下にすることによって、クラッド材に十分な加工性を付与することができることが確認できた。
【0087】
機械的強度としては、引張強さおよび0.2%耐力のいずれも、実施例1および比較例1で大きな差はなく、機械的強度としては満足できる水準であり、シャーシなどの構造体に用いることが可能であることが確認できた。また、磁気特性としての比透磁率は、実施例1および比較例1で大きな差はなく、ほとんど磁化しない水準であり、磁化して他部品(たとえば電子部品)に悪影響を与えないようにすることが可能であることが確認できた。
【0088】
なお、今回開示された実施形態および実施例(いずれも第1実施形態)は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0089】
たとえば、第1実施形態においては、クラッド材30が、ステンレス鋼により構成されるSUS層31(第1層)と、CuまたはCu合金により構成されるCu層32(第2層)と、ステンレス鋼により構成されるSUS層33(第3層)とがこの順に積層された3層構造のクラッド材30から構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、第1実施形態とは異なる図8に示す実施形態(第2実施形態)のクラッド材230のように、ステンレス鋼により構成されるSUS層31と、CuまたはCu合金により構成され、SUS層31に圧接接合されたCuとからなる2層構造のクラッド材230であってもよい。また、クラッド材が、ステンレス鋼により構成される第1層と、CuまたはCu合金により構成され、第1層に圧接接合された第2層とを備えるならば、クラッド材は4層構造以上であってもよい。
【0090】
また、第1実施形態においては、クラッド材30を作製するために、軟化焼鈍後から拡散焼鈍までに、調質圧延、クラッド圧延および中間圧延を行った例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、クラッド材を作製するためには、軟化焼鈍後から拡散焼鈍までに、少なくともクラッド圧延が行われればよい。なお、クラッド圧延を容易かつ確実に行うためには、調質圧延を行うのが好ましい。また、クラッド材の厚みの製品毎の差を小さくするためには、中間圧延を行うのが好ましい。
【0091】
また、第1実施形態においては、クラッド材30を携帯機器100のシャーシ3として用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、クラッド材を携帯機器のシャーシ以外の用途に用いてもよい。たとえば、本発明のクラッド材を電池の導電部材に用いてもよい。なお、本発明のクラッド材は、機械的強度および耐食性のいずれか1つまたは2つと、導電性および熱伝導性のいずれか1つまたは2つとを満たす必要のある用途に好適である。
【符号の説明】
【0092】
30、230 クラッド材
31 SUS層(第1層)
32 Cu層(第2層)
33 SUS層(第3層)
130 圧接材
131 SUS板(第1金属板)
132 Cu板(第2金属板)
133 SUS板(第3金属板)
【要約】
【課題】伸びが低下するのを抑制することによって、加工性が低下するのを抑制することが可能なクラッド材を提供する。
【解決手段】本発明のクラッド材30は、ステンレス鋼により構成されるSUS層31と、CuまたはCu合金により構成され、SUS層31に圧延接合されたCu層32と、を備える。また、JIS H 0501の比較法により測定されるCu層32の結晶粒度が、0.150mm以下である。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8