(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(B)成分がアクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性基を2つ有する化合物である、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のインプリント材料。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来提案されているインプリント材料には無溶剤タイプの材料が使用されているが、インプリント後の膜と基材フィルムとの好適な密着性が構築できない場合がある。
またナノインプリントリソグラフィにおいて高価なモールドを使用する場合、モールドの長寿命化が求められるが、離型の際、硬化された樹脂膜をモールドから引き剥がすのに要する力(以下、本明細書では「離型力」と略称する。)が大きいとモールドへ樹脂が付着しやすくなり、モールドが使用不可能となりやすくなる。このためインプリント材料には低離型力性(硬化された樹脂膜をモールドから容易に剥離出来る特性)が求められることとなる。
また、固体撮像装置、太陽電池、LEDデバイス、ディスプレイなどの製品では、その内部又は表面に光学部材として作製した構造物に対して、耐擦傷性が求められることがある。
しかしながら、従来種々のインプリント材料が開示されているものの、フィルム基材に十分な密着性を有し、且つ、離型力(硬化された樹脂膜をモールドから容易に剥離出来る特性)が小さく、しかも耐擦傷性に優れる材料について具体的な検討や報告はなされていない。
【0006】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、インプリント材料を用いて樹脂膜を形成した時、フィルム基材に対して十分な密着性を有し且つ耐擦傷性に優れ、離型時においてモールドから樹脂膜を容易に剥離できるインプリント材料を提供することであり、当該材料から作製され、パターンが転写された膜を提供することである。
具体的には、塗膜の密着性を評価するクロスカットテスト試験において剥離がなく、かつ離型力が0.5g/cm以下、なおかつパターンを転写した後の膜に対してスチールウール擦傷試験を行ったときに傷が殆ど発生しない(発生した傷が1本以下)の膜を形成するインプリント材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、プロピレンオキサイドユニット及び/又はエチレンオキサイドユニットを有しかつ重合性基を末端に有する化合物と所定の(メタ)アクリルアミド化合物及び光重合開始剤を含有する材料をインプリント材料として使用することにより、モールド面上において該材料の光硬化によりモールドパターンが転写された硬化被膜を、モールド面から剥離する際に計測される離型力が格段に小さく、また該材料より作製したパターン転写された膜と基材との密着性に優れ、該パターン上でスチールウール擦傷試験を行っても傷が殆ど発生しないという驚くべき知見を得、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、第1観点として、下記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有するインプリント材料に関する。
(A)下記式(1)で表される化合物
(B)アルキレンオキサイドユニットを有しかつ重合性基を末端に2つ乃至6つ有する化合物であって、該アルキレンオキサイドユニットがエチレンオキサイドユニット、プロピレンオキサイドユニット、又はそれらの組み合わせである化合物
(C)光重合開始剤
【化1】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、R
2は水素原子又は炭素原子数1乃至3のアルキル基を表し、nは1又は2を表し、
nが1の場合、
R
3は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アセチル基、1つ又は2つの水素原子がメチル基で置換されていてもよいアミノ基、スルホ基、及び炭素原子数1乃至4のアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい、炭素原子数1乃至12のアルキル基を表し、
nが2の場合、
R
3は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アセチル基、1つ又は2つの水素原子がメチル基で置換されていてもよいアミノ基、スルホ基、及び炭素原子数1乃至4のアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい、炭素原子数1乃至12のアルキレン基を表す。)
第2観点として、(A)成分が、(A)成分及び(B)成分の合計質量に基づいて0.05質量%以上10質量%以下の量にて含まれてなる、第1観点に記載のインプリント材料に関する。
第3観点として、(D)成分としてシリコーン化合物を更に含有する、第1観点又は第2観点に記載のインプリント材料に関する。
第4観点として、(E)成分として界面活性剤を更に含有する、第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載のインプリント材料に関する。
第5観点として、(F)成分として溶剤を更に含有する、第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載のインプリント材料に関する。
第6観点として、(B)成分が重合性基を2つ有する化合物である、第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載のインプリント材料に関する。
第7観点として、(B)成分がアクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性基を2つ有する化合物である、第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載のインプリント材料に関する。
第8観点として、第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載のインプリント材料から作製され、パターンが転写された膜に関する。
第9観点として、第8観点に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた光学部材に関する。
第10観点として、第8観点に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた固体撮像装置に関する。
第11観点として、第8観点に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えたLEDデバイスに関する。
第12観点として、第8観点に記載のパターンが転写された膜を備えた半導体素子に関する。
第13観点として、第8観点に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた太陽電池に関する。
第14観点として、第8観点に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えたディスプレイに関する。
第15観点として、第8観点に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた電子デバイスに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のインプリント材料は、分子中にプロピレンオキサイドユニット及び/又はエチレンオキサイドユニットを有しかつ重合性基を末端に2つ乃至6つ有する化合物とともに上記式(1)で表される化合物を含有させることにより、当該インプリント材料から作製された硬化膜はフィルム基材への十分な密着性を獲得し、且つ、該硬化膜は低離型力性を有するとともに高擦傷耐性を有する。
また本発明のインプリント材料は、光硬化が可能であり、かつモールド面からの剥離時にパターンの一部に剥がれが生じないため、所望のパターンが正確に形成された膜が得られる。したがって、良好な光インプリントのパターン形成が可能である。
【0010】
また、本発明のインプリント材料は、任意の基材上に製膜することができ、また形成された膜とフィルム基材とは十分な密着性を有し、且つ当該膜は低い離型力と耐擦傷性を有する。このためインプリント後に形成されるパターンが転写された膜は、固体撮像装置、太陽電池、LEDデバイス、ディスプレイなどの、耐擦傷性が求められる光学部材の製造に好適に用いることができる。
【0011】
さらに、本発明のインプリント材料は、上記(B)成分の化合物の種類及び含有割合を変更することで、硬化速度、動的粘度、膜厚をコントロールすることができる。したがって、本発明のインプリント材料は、製造するデバイス種と露光プロセス及び焼成プロセスの種類に対応した材料の設計が可能であり、プロセスマージンを拡大できるため、光学部材の製造に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[(A)成分:式(1)で表される化合物]
(A)成分の化合物は、下記式(1)で表される化合物であり、すなわちその構造内に(メタ)アクリルアミド構造を有する化合物である。
【化2】
式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、R
2は水素原子又は炭素原子数1乃至3のアルキル基を表し、nは1又は2を表す。
nが1の場合、R
3は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アセチル基、1つ又は2つの水素原子がメチル基で置換されていてもよいアミノ基、スルホ基、及び炭素原子数1乃至4のアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい、炭素原子数1乃至12のアルキル基を表す。
またnが2の場合、R
3は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アセチル基、1つ又は2つの水素原子がメチル基で置換されていてもよいアミノ基、スルホ基、及び炭素原子数1乃至4のアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい、炭素原子数1乃至12のアルキレン基を表す。
【0013】
上記炭素原子数1乃至12のアルキル基としては、直鎖状、分枝鎖状、環状のいずれのアルキル基であってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基、2−メチル−シクロプロピル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、シクロペンチル基、1−メチル−シクロブチル基、2−メチル−シクロブチル基、3−メチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロプロピル基、2,3−ジメチル−シクロプロピル基、1−エチル−シクロプロピル基、2−エチル−シクロプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基、シクロヘキシル基、1−メチル−シクロペンチル基、2−メチル−シクロペンチル基、3−メチル−シクロペンチル基、1−エチル−シクロブチル基、2−エチル−シクロブチル基、3−エチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロブチル基、1,3−ジメチル−シクロブチル基、2,2−ジメチル−シクロブチル基、2,3−ジメチル−シクロブチル基、2,4−ジメチル−シクロブチル基、3,3−ジメチル−シクロブチル基、1−n−プロピル−シクロプロピル基、2−n−プロピル−シクロプロピル基、1−i−プロピル−シクロプロピル基、2−i−プロピル−シクロプロピル基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基が挙げられる。
なお炭素原子数1乃至3のアルキル基の具体例としては、上記炭素原子数1乃至12のアルキル基として挙げた基のうち、炭素原子数が1乃至3の基を挙げることができる。
【0014】
また炭素原子数1乃至12のアルキレン基の具体例としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル基、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−2,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−2,3−ジイル基、2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイル基、ペンタン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ペンタン−2,3−ジイル基、ペンタン−2,4−ジイル基、2−メチルペンタン−2,3−ジイル基、3−メチルペンタン−2,3−ジイル基、4−メチルペンタン−2,3−ジイル基、2,3−ジメチルペンタン−2,3−ジイル基、3−メチルペンタン−2,4−ジイル基、3−エチルペンタン−2,4−ジイル基、3,3−ジメチルペンタン−2,4−ジイル基、3,3−ジメチルペンタン−2,4−ジイル基、2,4−ジメチルペンタン−2,4−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘキサン−1,2−ジイル基、ヘキサン−1,3−ジイル基、ヘキサン−2,3−ジイル基、ヘキサン−2,4−ジイル基、ヘキサン−2,5−ジイル基、2−メチルヘキサン−2,3−ジイル基、4−メチルヘキサン−2,3−ジイル基、3−メチルヘキサン−2,4−ジイル基、2,3−ジメチルヘキサン−2,4−ジイル基、2,4−ジメチルヘキサン−2,4−ジイル基、2,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジイル基、2−メチルヘキサン−2,5−ジイル基、3−メチルヘキサン−2,5−ジイル基、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジイル基が挙げられる。
【0015】
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−ドデシル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、6−(メタ)アクリルアミドへキサン酸、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドが挙げられる。なお本明細書において、(メタ)アクリルアミド化合物はアクリルアミド化合物とメタクリルアミド化合物の双方の意味を表す。
中でも、上記式(1)で表される化合物は、極少量の添加量で密着性を発現させる観点から、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミドが好ましく、これらの中でもアクリルアミド化合物が最も好ましい。
【0016】
上記(A)成分の化合物は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0017】
[(B)成分:アルキレンオキサイドユニットを有し、かつ重合性基を末端に2つ乃至6つ有する化合物]
(B)成分の化合物は、一分子内にプロピレンオキサイドユニットを1つ以上、エチレンオキサイドユニットを1つ以上、又はプロピレンオキサイドユニット及びエチレンオキサイドユニットをそれぞれ1つ以上有し、かつ重合性基を末端に2つ乃至6つ有する化合物を指す。
なお、上記プロピレンオキサイドユニットとは例えば(−CH(CH
3)CH
2O−)、(−CH
2CH
2CH
2O−)を表し、上記エチレンオキサイドユニットとは例えば(−CH
2CH
2O−)を表す。
また当該重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基が挙げられる。ここで、アクリロイルオキシ基はアクリロキシ基と、メタアクリロイルオキシ基はメタアクリロキシ基と表現されることがある。
【0018】
上記(B)成分である化合物のうち、一分子内にエチレンオキサイドユニットを1つ以上有し、かつ重合性基を末端に2つ乃至6つ有する化合物としては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、本明細書では(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方を指す。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸を指す。
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、AM−30G、AM−90G、AM−130G、AM−230G、AMP−10G、AMP−20GY、AMP−60G、PHE−1G、A−200、A−400、A−600、A−1000、1G、2G、3G、4G、9G、14G、23G、ABE−300、A−BPE−4、A−BPE−6、A−BPE−10、A−BPE−20、A−BPE−30、BPE−80N、BPE−100N、BPE−200、BPE−500、BPE−900、BPE−1300N、A−GLY−3E、A−GLY−9E、A−GLY−20E、A−TMPT−3EO、A−TMPT−9EO、ATM−4E、ATM−35E、A−DPH−12E(以上、新中村化学工業株式会社製)、KAYARAD(登録商標)DPEA−12、同PEG400DA、同THE−330、同RP−1040(以上、日本化薬株式会社製)、M−210、M−350(以上、東亞合成株式会社製)が挙げられる。
【0019】
上記(B)成分である化合物のうち、一分子内にプロピレンオキサイドユニットを1つ以上有し、かつ重合性基を末端に2つ乃至6つ有する化合物としては、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール♯400ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール♯700ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが挙げられる。
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、APG−100、APG−200、APG−400、APG−700、3PG、9PG、A−DPH−6P(以上、新中村化学工業株式会社製)、ファンクリル(登録商標)FA−P240A、同FA−P270A、(以上、日立化成工業株式会社製)が挙げられる。
【0020】
上記(B)成分である化合物のうち、一分子内にエチレンオキサイドユニットとプロピレンオキサイドユニットをそれぞれ1つ以上有し、かつ重合性基を末端に2つ乃至6つ有する化合物としては、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体ジ(メタ)アクリル酸エステル、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコール♯700ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、A−1000PER、A−B1206PE(以上、新中村化学工業株式会社製)、ファンクリル(登録商標)FA−023M(以上、日立化成工業株式会社製)が挙げられる。
【0021】
上記(B)成分の化合物は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0022】
本発明における(B)成分は、パターン転写後の膜に対して耐擦傷性を付与することができる。またインプリント時の硬化時において、後述する(D)成分のシリコーン化合物をブリードアウトさせる一助を担い、得られた樹脂膜(硬化被膜)においてモールド面から剥離した際に計測される離型力を低下させることができる。
また上記(B)成分の化合物の種類及び含有割合を変更することで、インプリント材料の動的粘度、インプリント時の硬化速度及び形成される膜厚をコントロールすることができる。
【0023】
本発明のインプリント材料における上記(A)成分の含有割合は、上記(A)成分及び上記(B)成分の総質量に基づいて、又は後述する(G)成分を含む場合には(A)成分及び(B)成分及び(G)成分の総質量に基づいて、0.05質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
(A)成分の割合が0.05質量%未満であると、光インプリントにより得られる膜の基板に対する密着性が低下し、一方、10質量%を超えて添加すると、耐擦傷性が急激に低下する。
【0024】
[(C)成分:光重合開始剤]
(C)成分である光重合開始剤は、光硬化時に使用する光源に吸収をもつものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、tert−ブチルペルオキシ−iso−ブタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルジオキシ)ヘキサン、1,4−ビス[α−(tert−ブチルジオキシ)−iso−プロポキシ]ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルジオキシ)ヘキセンヒドロペルオキシド、α−(iso−プロピルフェニル)−iso−プロピルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルジオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルジオキシ)バレレート、シクロヘキサノンペルオキシド、2,2’,5,5’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)−4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルジペルオキシイソフタレート等の有機過酸化物;9,10−アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン等のアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物が挙げられる。
【0025】
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、IRGACURE(登録商標)651、同184、同500、同2959、同127、同754、同907、同369、同379、同379EG、同819、同819DW、同1800、同1870、同784、同OXE01、同OXE02、同250、Darocur(登録商標)1173、同MBF、同4265、Lucirin(登録商標)TPO(以上、BASFジャパン株式会社製)、KAYACURE(登録商標)DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA(以上、日本化薬株式会社製)、VICURE−10、同55(以上、STAUFFER Co.LTD製)、ESACURE(登録商標)KIP150、同TZT、同1001、同KTO46、同KB1、同KL200、同KS300、同EB3、トリアジン−PMS、トリアジンA、トリアジンB(以上、日本シイベルヘグナー株式会社製)、アデカオプトマーN−1717、同N−1414、同N−1606(株式会社ADEKA製)が挙げられる。
【0026】
上記光重合開始剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0027】
本発明のインプリント材料における(C)成分の含有量は、上記(A)成分及び上記(B)成分の総質量に基づいて、又は後述する(G)成分を含む場合には(A)成分及び(B)成分及び(G)成分の総質量に基づいて、0.1phr乃至30phrであることが好ましく、1phr乃至20phrであることがより好ましい。
(C)成分の含有量の割合が0.1phr未満の場合には、十分な硬化性が得られず、パターニング特性の悪化及び耐擦傷性の低下が起こるからである。本明細書において“phr”とは、例えば(A)成分及び(B)成分の総質量100gに対する、又は後述する(G)成分を含む場合には(A)成分及び(B)成分及び(G)成分の総質量100gに対する、光重合開始剤の質量を表す。
【0028】
[(D)成分:シリコーン化合物]
本発明においては、任意成分としてシリコーン化合物を含んでいてもよい。(D)成分であるシリコーン化合物は、分子内にシリコーン骨格(シロキサン骨格)を有する化合物を表し、特にジメチルシリコーン骨格を有することが好ましい。
【0029】
上記化合物としては市販品として入手が可能であり、その具体例としては、BYK−302、BYK−307、BYK−322、BYK−323、BYK−330、BYK−333、BYK−370、BYK−375、BYK−378、BYK−UV 3500、BYK−UV 3570(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、X−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−164E、X−22−163、X−22−169AS、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−9002、X−22−2475、X−22−4952、KF−643、X−22−343、X−22−2404、X−22−2046、X−22−1602(以上、信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
【0030】
上記シリコーン骨格を有する化合物は単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0031】
本発明のインプリント材料における(D)成分の含有量は、上記(A)成分及び上記(B)成分の総質量に基づいて、又は後述する(G)成分を含む場合には(A)成分及び(B)成分及び(G)成分の総質量に基づいて、0.2phr乃至4phrであることが好ましく、0.5phr乃至2phrであることがより好ましい。この割合が0.2phrを下回る場合には、添加しても十分な低離型力性を得ることができず、4phrを上回る場合には硬化が不十分になることがあり、パターニング特性が悪化する。
【0032】
[(E)成分:界面活性剤]
本発明においては任意成分として界面活性剤を含んでいてもよい。(E)成分である界面活性剤は、得られる塗膜の製膜性を調整する役割を果たす。
【0033】
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤;商品名エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成株式会社)、商品名メガファック(登録商標)F−171、同F−173、同F−477、同F−486、同F−554、同F−556、同R−08、同R−30、同R−30N、(DIC株式会社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム株式会社製)、商品名アサヒガード(登録商標)AG710、サーフロン(登録商標)S−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子株式会社製)等のフッ素系界面活性剤;及びオルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業株式会社製)を挙げることができる。
【0034】
上記界面活性剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
界面活性剤が使用される場合、その割合は、上記(A)成分及び上記(B)成分の総質量に基づいて、又は後述する(G)成分を含む場合には(A)成分及び(B)成分及び(G)成分の総質量に基づいて、好ましくは0.01phr乃至40phr、より好ましくは0.01phr乃至10phrである。
【0035】
[(F)成分:溶剤]
本発明においては(F)成分として溶剤を含有してもよい。任意成分である(F)溶剤は、前記(A)成分及び(B)成分、並びに、又は後述する(G)成分を含む場合には(A)成分及び(B)成分及び(G)成分の粘度調節の役割を果たす。
【0036】
上記溶剤としては、例えば、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、スチレン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコ−ルジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、1−オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、アリルアルコール、n−プロパノール、2−メチル−2−ブタノール、イソブタノール、n−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチルヘキサノール、トリメチレングリコール、1−メトキシ−2−ブタノール、イソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、N−シクロヘキシル−2−ピロリジンが挙げられ、上記(A)成分及び(B)成分、そして(G)成分の粘度を調節することができるものであれば、特に限定されるものではない。
【0037】
上記溶剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
溶剤が使用される場合、本発明のインプリント材料の全成分、すなわち前述の(A)成分乃至(C)成分、並びに後述するその他添加剤を含む全成分から(F)成分の溶剤を除いたものとして定義される固形分の割合が前記インプリント材料の総質量に対して20質量%乃至80質量%、好ましくは40質量%乃至60質量%となる量になるように、溶剤を含有することが好ましい。
【0038】
[(G)成分:重合性基を末端に3つ以上有しアルキレンオキサイドユニットは有さない化合物]
本発明においては、その効果を損なわない限りにおいて、(G)成分として重合性基を末端に3つ以上有しアルキレンオキサイドユニットは有さない化合物を添加してもよい。(G)成分である重合性基を末端に3つ以上有しアルキレンオキサイドユニットは有さない化合物は、光インプリントにより得られる膜の硬度を調整する役割を果たす。当該重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基が挙げられる。
【0039】
上記(G)成分である化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーが挙げられる。
【0040】
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、NKエステル A−TMM−3LMN、同A−TMPT、同TMPT、同A−TMMT、同AD−TMP、同A−DPH、同A−9550、同A−9530、同ADP−51EH、同ATM−31EH、(以上、新中村化学工業株式会社製)、KAYARAD(登録商標)T−1420、同D−330、同D−310、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120、同TMPTA、同PET−30、同DPHA(以上、日本化薬株式会社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、UA−510H(以上、共栄社化学株式会社製)が挙げられる。
【0041】
上記重合性基を末端に3つ以上有しアルキレンオキサイドユニットは有さない化合物は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。重合性基を3つ以上有しアルキレンオキサイドユニットは有さない化合物が使用される場合、その割合は、上記(B)成分の質量に対して、10phr乃至70phrであることが好ましく、10phr乃至60phrであることがより好ましい。
【0042】
[その他添加剤]
本発明のインプリント材料は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、エポキシ化合物、光酸発生剤、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、密着補助剤又は離型性向上剤を含有することができる。
【0043】
上記エポキシ化合物としては、例えば、エポリード(登録商標)GT−401、同PB3600、セロキサイド(登録商標)2021P、同2000、同3000、EHPE3150、同EHPE3150CE、サイクロマー(登録商標)M100(以上、株式会社ダイセル製)、EPICLON(登録商標)840、同840−S、同N−660、同N−673−80M(以上、DIC株式会社製)が挙げられる。
【0044】
上記光酸発生剤としては、例えば、IRGACURE(登録商標)PAG103、同PAG108、同PAG121、同PAG203、同CGI725(以上、BASFジャパン株式会社製)、WPAG−145、WPAG−170、WPAG−199、WPAG−281、WPAG−336、WPAG−367(以上、和光純薬工業株式会社製)、TFEトリアジン、TME−トリアジン、MP−トリアジン、ジメトキシトリアジン、TS−91、TS−01(株式会社三和ケミカル製)が挙げられる。
【0045】
上記光増感剤としては、例えば、チオキサンテン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3−置換クマリン系、3,4−置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系、フェノチアジン系、アントラセン系、コロネン系、ベンズアントラセン系、ペリレン系、ケトクマリン系、クマリン系、ボレート系が挙げられる。
光増感剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。当該光増感剤を用いることによって、UV領域の吸収波長を調整することもできる。
【0046】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、TINUVIN(登録商標)PS、同99−2、同109、同328、同384−2、同400、同405、同460、同477、同479、同900、同928、同1130、同111FDL、同123、同144、同152、同292、同5100、同400−DW、同477−DW、同99−DW、同123−DW、同5050、同5060、同5151(以上、BASFジャパン株式会社)が挙げられる。
紫外線吸収剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。当該紫外線吸収剤を用いることによって、光硬化時に膜の最表面の硬化速度を制御することができ、離型性を向上できる場合がある。
【0047】
上記酸化防止剤としては、例えば、IRGANOX(登録商標)1010、同1035、同1076、同1135、同1520L(以上、BASFジャパン株式会社)が挙げられる。
酸化防止剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。当該酸化防止剤を用いることで、酸化によって膜が黄色に変色することを防止することができる。
【0048】
上記密着補助剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。当該密着補助剤を用いることによって、基材との密着性が向上する。
当該密着補助剤の含有量は、上記(A)成分及び上記(B)成分の総質量に基づいて、又は前述の(G)成分を含む場合には(A)成分及び(B)成分及び(G)成分の総質量に基づいて、好ましくは5phr乃至50phr、より好ましくは10phr乃至50phrである。
【0049】
上記離型性向上剤としては、例えば、フッ素含有化合物が挙げられる。フッ素含有化合物としては、例えば、R−5410、R−1420、M−5410、M−1420、E−5444、E−7432、A−1430、A−1630(以上、ダイキン工業株式会社製)が挙げられる。
【0050】
[インプリント材料の調製]
本発明のインプリント材料の調製方法は、特に限定されないが、(A)成分、(B)成分、(C)成分、並びに任意成分である(D)成分、(E)成分、(F)成分及び(G)成分並びに所望によりその他添加剤を混合し、インプリント材料が均一な状態となっていればよい。
また、(A)成分乃至(G)成分並びに所望によりその他添加剤を混合する際の順序は、均一なインプリント材料が得られるなら問題なく、特に限定されない。当該調製方法としては、例えば、(A)成分に(B)成分を所定の割合で混合する方法が挙げられる。また、これに更に(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、(G)成分を適宜混合し、均一なインプリント材料とする方法も挙げられる。さらに、この調製方法の適当な段階において、必要に応じて、その他の添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
【0051】
[光インプリント及びパターンが転写された膜]
本発明のインプリント材料は、基材上に塗布し光硬化させることで所望の被膜を得ることができる。塗布方法としては、公知又は周知の方法、例えば、スピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法を挙げることができる。
【0052】
本発明のインプリント材料を塗布するための基材としては、例えば、シリコン、インジウム錫酸化物(ITO)が成膜されたガラス(以下、本明細書では「ITO基板」と略称する。)、シリコンナイトライド(SiN)が成膜されたガラス(SiN基板)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)が成膜されたガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、アクリル、プラスチック、ガラス、石英、セラミックス等からなる基材を挙げることができる。また、可撓性を有するフレキシブル基材、例えばトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、シクロオレフィン(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルフォン、並びにこれらポリマーを組み合わせた共重合体からなる基材を用いることも可能である。
【0053】
本発明のインプリント材料を硬化させる光源としては、特に限定されないが、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、無電極ランプ、メタルハライドランプ、KrFエキシマーレーザー、ArFエキシマーレーザー、F
2エキシマーレーザー、電子線(EB)、極端紫外線(EUV)を挙げることができる。また、波長は、一般的には、436nmのG線、405nmのH線、365nmのI線、又はGHI混合線を用いることができる。さらに、露光量は、好ましくは、30乃至2000mJ/cm
2、より好ましくは30乃至1000mJ/cm
2である。
【0054】
なお、前述の(F)成分である溶剤を用いる場合には、光照射前の塗膜及び光照射後の被膜の少なくとも一方に対し、溶剤を蒸発させる目的で、焼成工程を加えてもよい。焼成機器としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホットプレート、オーブン、ファーネスを用いて、適切な雰囲気下、すなわち大気、窒素等の不活性ガス、又は真空中で焼成することができるものであればよい。焼成温度は、溶剤を蒸発させる目的では、特に限定されないが、例えば、40℃乃至200℃で行うことができる。
【0055】
光インプリントを行う装置は、目的のパターンが得られれば特に限定されないが、例えば、東芝機械株式会社製のST50、Obducat社製のSindre(登録商標)60、明昌機工株式会社製のNM−0801HB等の市販されている装置にて、基材とモールドをローラー圧着し、光硬化後に離型する方法を用いることができる。
【0056】
また、本発明で用いる光インプリント用に使用するモールド材としては、例えば、石英、シリコン、ニッケル、アルミナ、カルボニルシラン、グラッシーカーボンを挙げることができるが、目的のパターンが得られるなら、特に限定されない。また、モールドは、離型性を高めるために、その表面にフッ素系化合物等の薄膜を形成する離型処理を行ってもよい。離型処理に用いる離型剤としては、例えば、ダイキン工業株式会社製のオプツール(登録商標)HD、同DSXが挙げられるが、目的のパターンが得られるなら、特に限定されない。
【0057】
光インプリントのパターンサイズはナノメートルオーダーであり、具体的には1ミクロン未満のパターンサイズに準ずる。
【0058】
なお、本発明において、離型力を評価する90°剥離試験とは、一般に接着物(本発明ではインプリント材料より形成された硬化被膜に相当する)を被着物(本発明ではフィルムに相当する)に貼付し、所定時間後に所定の剥離速度で90°方向に引き剥がす際に生じる抵抗力(張力)を測定する試験であり、通常、測定はJIS Z0237を参考にした評価法にて実施される。ここで測定された抵抗力を被着物の幅あたりに換算した値を離型力として評価することができる。
そして本発明のインプリント材料をフィルム上に塗布し、これをモールド面に接着させ、続いて該塗膜をモールド面を接着させたまま光硬化させ、その後フィルム上に硬化被膜をモールド面から90°剥離する試験において計測された離型力、すなわち、該フィルム上の被膜をモールド面から完全に剥離したときの荷重を該フィルムの横幅1cmあたりに換算した値が0g/cmより大きく0.5g/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.4g/cm以下である。
【0059】
こうして本発明のインプリント材料から作製され、パターンが転写された膜、また該膜を備えた半導体素子並びに該膜を基材上に備えた光学部材、固体撮像素子、LEDデバイス、太陽電池、ディスプレイ及び電子デバイスも本発明の対象である。
【実施例】
【0060】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
【0061】
[インプリント材料の調製]
<実施例1>
KAYARAD(登録商標)DPEA−12(以下、本明細書では「DPEA−12」と略称する。)(日本化薬株式会社製)9.9g及びN,N’−ジメチルアクリルアミド(東京化成工業株式会社製)0.1gを混合し、その混合物にLucirin(登録商標)TPO(BASFジャパン株式会社製)(以下、本明細書では「Lucirin TPO」と略称する。)を0.25g(DPEA−12、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a1を調製した。
【0062】
<実施例2>
NKエステル A−200(以下、本明細書では「A−200」と略称する。)(新中村化学工業株式会社製)9.995g及びN,N’−ジメチルアクリルアミド0.005gを混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a2を調製した。
【0063】
<実施例3>
A−200を9g及びN,N’−ジメチルアクリルアミド1gを混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a3を調製した。
【0064】
<実施例4>
KAYARAD(登録商標)PET30(以下、本明細書では「PET30」と略称する。)(日本化薬株式会社製)1.5g、A−200を8g及びN,N’−ジメチルアクリルアミド0.5gを混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(PET30、A−200、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a4を調製した。
【0065】
<実施例5>
A−200を6.5g、NKエコノマー A−1000PER(以下、本明細書では「A−1000PER」と略称する。)(新中村化学工業株式会社製)3g、N,N’−ジメチルアクリルアミドを0.5g及びBYK−333(ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.1g(A−200、A1000PER、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して1phr)を混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、A−1000PER、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a5を調製した。
【0066】
<実施例6>
A−200を5.5g、A−1000PERを4g、N,N’−ジメチルアクリルアミドを0.5g及びBYK−333を0.1g(A−200、A1000PER、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して1phr)混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、A−1000PER、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a6を調製した。
【0067】
<実施例7>
DPEA−12を9.9g及びN,N’−ジエチルアクリルアミド(東京化成工業株式会社製)0.1gを混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(DPEA−12、N,N’−ジエチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a7を調製した。
【0068】
<実施例8>
DPEA−12を3.9g、A−200を3g、A−1000PERを3g、N,N’−ジエチルアクリルアミドを0.1g及びBYK−333を0.1g(DPEA−12、A−200、A1000PER、N,N’−ジエチルアクリルアミドの総質量に対して1phr)混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(DPEA−12、A−200、A−1000PER、N,N’−ジエチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a8を調製した。
【0069】
<実施例9>
A−200を5g、NKエステル APG−700(以下、本明細書では「APG−700」と略称する。)(新中村化学工業株式会社製)を4.5g及びN,N’−ジエチルアクリルアミドを0.5g混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、APG−700、N,N’−ジエチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a9を調製した。
【0070】
<実施例10>
A−200を7.99g、A1000PERを2g、N,N’−ジエチルアクリルアミドを0.01g及びBYK−333を0.1g(A−200、A1000PER、N,N’−ジエチルアクリルアミドの総質量に対して1phr)混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、A−1000PER、N,N’−ジエチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a10を調製した。
【0071】
<実施例11>
A−200を7.5g、A1000PERを2g、N,N’−ジエチルアクリルアミドを0.5g及びBYK−333を0.1g(A−200、A1000PER、N,N’−ジエチルアクリルアミドの総質量に対して1phr)混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、A−1000PER、N,N’−ジエチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a11を調製した。
【0072】
<実施例12>
DPEA−12を9.9g及びN,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド(東京化成工業株式会社製)0.1gを混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(DPEA−12、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a12を調製した。
【0073】
<実施例13>
A−200を5g、APG−700を4.5g、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドを0.5及びBYK−333を0.1g(A−200、APG−700、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドの総質量に対して1phr)混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、A−1000PER、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a13を調製した。
【0074】
<実施例14>
A−200を7.5g、A−1000PERを2g、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドを0.5g及びBYK−333を0.1g(A−200、A−1000PER、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドの総質量に対して1phr)混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、A−1000PER、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a14を調製した。
【0075】
<実施例15>
A−200を8.5g、A−1000PERを0.5g、N,N’−ジメチルアクリルアミドを1g及びBYK−333を0.1g(A−200、A−1000PER、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して1phr)混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、A−1000PER、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a15を調製した。
【0076】
<実施例16>
A−200を8.9g、A−1000PERを0.1g、N,N’−ジメチルアクリルアミドを1g及びBYK−333を0.1g(A−200、A−1000PER、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して1phr)混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、A−1000PER、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a16を調製した。
【0077】
<比較例1>
PET30を10g用意し、それにLucirin TPOを0.25g(PET30の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−b1を調製した。
【0078】
<比較例2>
PET30を2g及びA−200を8g混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(PET30、A−200の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−b2を調製した。
【0079】
<比較例3>
A−200を6.5g及びA−1000PERを3.5g混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、A−1000PERの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−b3を調製した。
【0080】
<比較例4>
A−200を5.5g及びAPG−700を4.5g混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、APG−700の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−b4を調製した。
【0081】
<比較例5>
A−200を8.7g及びN,N’−ジメチルアクリルアミドを1.3g混合し、Lucirin TPOを0.25g(A−200、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−b5を調製した。
【0082】
<比較例6>
A−200を5g、APG−700を3.7g及びN,N’−ジメチルアクリルアミドを1.3g混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、APG−700、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−b6を調製した。
【0083】
<比較例7>
A−200を5g、APG−700を3.7g、N,N’−ジメチルアクリルアミドを1.3g及びBYK−333を0.1g(A−200、APG−700、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して1phr)混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、APG−700、N,N’−ジメチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−b7を調製した。
【0084】
<比較例8>
A−200を5g、APG−700を3.7g及びN,N’−ジエチルアクリルアミドを1.3g混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、APG−700、N,N’−ジエチルアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−b8を調製した。
【0085】
<比較例9>
A−200を5g、APG−700を3.7g及びN,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドを1.3g混合し、その混合物にLucirin TPOを0.25g(A−200、APG−700、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−b9を調製した。
【0086】
[モールドの離型処理]
ニッケル製のピッチ250nm、高さ250nmのモスアイパターンモールド(株式会社イノックス製)及びシリコンウエハを、オプツール(登録商標)DSX(ダイキン工業株式会社製)をノベック(登録商標)HFE−7100(ハイドロフルオロエーテル、住友スリーエム株式会社)(以下、本明細書では「ノベックHFE−7100」と略称する。)で0.1質量%に希釈した溶液へ浸漬し、温度が90℃、湿度が90RH%の高温高湿装置を用いて1時間処理し、ノベックHFE−7100でリンス後、エアーで乾燥させた。
【0087】
[光インプリント及び離型力試験]
実施例1乃至実施例16及び比較例1乃至比較例9で得られた各インプリント材料を、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム株式会社製 フジタック(登録商標)を使用)(以下、本明細書では「TACフィルム」と略称する。)上にバーコーター(全自動フィルムアプリケーター KT−AB3120 コーテック株式会社製)を用いて塗布し、そのTACフィルム上の塗膜を前述の離型処理を施したモスアイパターンモールドへローラー圧着させた。続いて該塗膜に対し、TACフィルム側から無電極均一照射装置(QRE−4016A、株式会社オーク製作所製)にて、350mJ/cm
2の露光を施し、光硬化を行った。そしてJIS Z0237を参考にして90°剥離試験を行い、モールドの凹凸形状を有する面と接着している、TACフィルム上に形成された硬化被膜が、モールドの凹凸形状を有する面から完全に剥がれたときの荷重を測定した。そしてフィルムの幅1cm当たりの荷重を算出し、離型力(g/cm)とした。結果を表1に示す。
【0088】
[スチールウール擦傷試験]
上記離型力試験後に得られた硬化被膜について、スチールウール擦傷試験を行った。試験機は大栄精機(有)製を使用し、♯0000のスチールウールを使用した。単位面積当たりの荷重は15g/cm
2とし、上記スチールウールを10往復させ、擦傷後の傷本数を確認した。本擦傷試験を3回繰り返し、擦傷後の傷本数の平均値を算出し、以下のように評価した。
0〜1本:A
2〜5本:B
6〜10本:C
11本以上:D
【0089】
[密着性試験]
上記離型力試験後に得られた硬化被膜について、パターン形成膜とTACフィルムとの密着性試験を行った。密着性試験はJIS K5400に従い、以下の手順にて行った。
まず、パターン形成膜を、カッターを用いてTACフィルムに達する碁盤目状の切り傷を1mm間隔にて100マス付けた。約50mmの長さのセロハン粘着テープを碁盤目の上に粘着し、膜面に対して90°の角度で瞬間的に引き剥がした。
テープ剥離後のマス目を観察し、100マスに対して剥離しなかったマス目数をxとし、密着性をx/100として評価した。本密着性試験を3回繰り返し、各評価の平均値を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1の結果より、実施例1乃至実施例16で得られたインプリント材料を用いた場合は、いずれも離型力が0.4g/cm以下と非常に低く、得られた硬化被膜はスチールウール擦傷試験後に発生する傷の本数が0〜1本とほぼ傷が発生していないと認められ、耐擦傷性が確認され、また密着性にも優れるとする結果を得た。
一方、アクリルアミド化合物を含有せず、また、アルキレンオキサイドユニットを有しない重合性化合物を用いた比較例1で得られたインプリント材料を用いた場合は、離型力が大きく、密着性に欠け、またスチールウール擦傷試験後に傷が多数発生した。
またアクリルアミド化合物を含有せずに調製した比較例2乃至比較例4で得られたインプリント材料を用いた場合は密着性に欠ける結果となった。
そしてアクリルアミド化合物の含有量を増やした比較例5乃至比較例9で得られたインプリント材料を用いた場合はスチールウール擦傷試験後に傷が多数発生した。
以上、本発明のインプリント材料により得られる膜は、低離型力性を有し、またインプリント後も耐擦傷性を有し、しかも基板に対する密着性に優れるものとなる。