特許第6238140号(P6238140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238140
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】投影露光装置のための照明光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20171120BHJP
   G02B 19/00 20060101ALI20171120BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20171120BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   G03F7/20 503
   G03F7/20 521
   G02B19/00
   G02B5/08 A
   G02B5/30
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-561364(P2014-561364)
(86)(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公表番号】特表2015-511770(P2015-511770A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】EP2013054404
(87)【国際公開番号】WO2013135532
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2016年3月4日
(31)【優先権主張番号】102012203950.3
(32)【優先日】2012年3月14日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】61/610,532
(32)【優先日】2012年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】ゼンガー インゴ
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−506135(JP,A)
【文献】 特開2006−156857(JP,A)
【文献】 特開2009−290220(JP,A)
【文献】 特表2009−535827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィマスク(7)を配置することができる照明視野(5)に向けて照明光(16)を案内するための投影露光装置(1)のための照明光学ユニット(25;40)であって、
照明光部分ビーム(16i)を前記照明視野(5)に向けて案内するための照明チャネルを提供する複数の個々のミラー(26)を有する第1のファセットミラー(19)を含み、
前記個々のミラー(26)の各々が、多層反射コーティング(33)を有し
前記照明光(16)のビーム経路内で前記第1のファセットミラー(19)の下流に配置された第2のファセットミラー(20)を含み、該第2のファセットミラー(20)のそれぞれのファセット(35)が、該第1のファセットミラー(19)の前記個々のミラー(26)のうちの少なくとも1つと共に前記照明光部分ビーム(16i)を前記照明視野(5)に向けて案内するための前記照明チャネルを完成し、
前記個々のミラー(26)は、それぞれの前記照明光部分ビーム(16i)が該個々のミラー(26)上に入射角(I)で入射し、それによって入射平面が定められるように配置され、
前記入射角(I)は、
前記入射平面内で偏光された照明光(16)に対する反射率Rpと、
前記入射平面と垂直に偏光された照明光(16)に対する反射率Rsと、
の間の比Rp/Rsが0.7よりも小さいように予め定められ、
前記個々のミラー(26)は、前記第1のファセットミラー(19)上に入射する前記照明光(16)の入射軸(k)に関して回転対称に具現化された個々のミラーの支持体(27)上に配置される
ことを特徴とする照明光学ユニット。
【請求項2】
前記それぞれの照明光部分ビーム(16i)が前記個々のミラー(26)上に入射する前記入射角(I)は、前記多層反射コーティング(33)のブリュースター角IBから最大で20°だけずれることを特徴とする請求項1に記載の照明光学ユニット。
【請求項3】
前記第2のファセットミラー(20)の前記ファセット(35)は、前記第1のファセットミラー(19)上に入射する前記照明光(16)の入射軸(k)に関して回転対称に具現化されたファセット支持体(36)上に配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明光学ユニット。
【請求項4】
前記ファセット支持体(36)は、リング形態様に具現化されることを特徴とする請求項に記載の照明光学ユニット。
【請求項5】
照明光学ユニット(40)が、前記照明視野(5)全体の80%よりも小さい該照明視野(5)の区画(5i)が、前記照明光(16)が前記第2のファセットミラー(20)のファセット(35)を通じて案内される照明チャネルを通じて照明されるように実施されることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の照明光学ユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の照明光学ユニット(25;40)を含み、かつ
照明視野(5)に配置された物体視野がそれを通じて像視野(11)に結像される投影光学ユニット(10)を含む、
ことを特徴とする照明系(3)。
【請求項7】
請求項に記載の照明系(3)と、
EUV光源(3)と、
を含むことを特徴とする投影露光装置(1)。
【請求項8】
微細又はナノ構造化構成要素を生成する方法であって、
感光材料からなる層が少なくとも部分的に塗布されたウェーハ(13)を与える段階と、
結像される構造を有するレチクル(7)を与える段階と、
請求項に記載の投影露光装置(1)を与える段階と、
前記投影露光装置(1)の投影光学ユニット(10)を用いて前記レチクル(7)の少なくとも一部を前記層の領域上に投影する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ドイツ特許出願DE 10 2012 203 950.3の内容が引用によって組み込まれている。
【0002】
本発明は、リソグラフィマスクを配置することができる照明視野に向けて照明光を案内するための投影露光装置、特にEUV投影露光装置のための照明光学ユニットに関する。本発明は、更に、そのような照明光学ユニットを含む照明系、そのような照明系を含む投影露光装置、そのような投影露光装置を用いて微細又はナノ構造化構成要素を生成する方法、及び本方法によって生成される微細又はナノ構造化構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
EUV投影露光装置のための照明光学ユニットは、取りわけUS 2011/0001947 A1から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE 10 2012 203 950.3
【特許文献2】US 2011/0001947 A1
【特許文献3】US 2006/0132747 A1
【特許文献4】US 6,859,515 B2
【特許文献5】EP 1 225 481 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、照明が、投影露光中に最適な分解能性能を得るように適応可能であるような冒頭に示したタイプの照明光学ユニットを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に指定された特徴を含む照明光学ユニットを用いて達成される。
【0007】
本発明により、特に個々のミラーの多層反射コーティングに起因して、個々のミラーの反射幾何学形状を用いて照明光の偏光選択を行うことができることが認識されている。この偏光選択は、それぞれの個々のミラーにおける反射の入射平面と垂直に偏光された照明光が、この入射平面と平行に偏光された照明光に対して優先して反射されるということによって行われる。ファセットミラー装置上に実質的に非偏光方式で入射する照明光から、支配的方向に偏光された照明光部分ビームを有する照明光をこの手法で生成することができる。それによって特に照明角度に基づいて、厳しい分解能条件を満たすのに必要とされる偏光が各々目標を定めた方式に使用される照明視野の照明を可能にすることができる。比Rp/Rsは、0.7よりも小さくすることができ、0.6よりも小さくすることができ、0.5よりも小さくすることができ、0.4よりも小さくすることができ、0.3よりも小さくすることができ、0.2よりも小さくすることができ、0.1よりも小さくすることができ、0.05よりも小さくすることができ、0.02よりも小さくすることができ、0.01よりも小さくすることができ、1×10-3よりも小さくすることができ、1×10-4よりも小さくすることができ、1×10-5よりも小さくすることができる。特に、比Rp/Rsは、正確に0とすることができ、従って、入射平面内で偏光されたそれぞれの照明光部分ビームをそれぞれの個々のミラーにおける反射によって完全に抑制することができる。一般的に、第2のファセットミラーのファセットは、第1のファセットミラーの個々のミラー群と合わさって、第2ファセットミラーのこのファセットと第1のファセットミラーの個々のミラー群とが属する群照明チャネルを完成する。そのような配置の原理は、US 2011/0001947 A1から公知である。比Rp/Rsは、個々のミラー上のそれぞれの照明光部分ビームの入射角を用いて予め定めることができ、多層反射コーティングの構造に基づいて、この入射角に鋭敏に依存する。
【0008】
請求項2に記載の入射角は、入射平面と垂直に振動する偏光成分に優先度を与える比Rp/Rsを予め定めるのに特に適している。ブリュースター角からの入射角のずれは、20°よりも小さく、10°よりも小さく、5°よりも小さく、3°よりも小さく、2°よりも小さく、又は1°よりも小さいとすることができる。特に、入射角は、ブリュースター角に正確に対応することができる。
【0009】
請求項3及び請求項4に記載の回転対称に配置された支持体は、平均入射角から僅かしかずれない入射角が使用されるファセットミラーにおいて、照明光部分ビームに対して可能な反射幾何学形状を可能にし、この場合に、平均入射角は、望ましい比Rp/Rsを予め定めるのに使用されるものである。
【0010】
請求項5に記載のリング形ファセット支持体は、特に、照明視野の照明においてタンジェンシャル偏光を可能にし、この場合に、照明視野内の物体は、照明角度に関係なく物体上への照明光の入射平面と垂直に偏光される方式で照明することができる。
【0011】
請求項6に記載の照明視野の区画毎の照明は、偏光事前定義を除いて、例えば、US 2006/0132747 A1から公知のものである鏡面反射器の方式での照明光学ユニットの配置を可能にする。照明視野の照明区画は、全照明視野のうちの50%よりも小さいか又は更に小さいもの、例えば、1/3、1/4、1/6とすることができ、又は全照明視野のうちの更に小さい割合を含むことができる。
【0012】
請求項7に記載の照明系、請求項8に記載の投影露光装置、請求項9に記載の生成方法、及び請求項10に記載の構成要素の利点は、本発明による照明光学ユニットを参照して上述したものに対応する。構成要素は、極めて高い構造分解能で生成することができる。一例として、このようにして極めて高い集積密度又は記憶密度を有する半導体チップを生成することができる。
【0013】
図面を参照して本発明の例示的実施形態を以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明によらない照明光学ユニット内の照明光案内を略例示するEUV投影リソグラフィのための投影露光装置を通る略子午断面図である。
図2】照明視野に向けて照明光学ユニットの2つのファセットミラーを経由する照明光のビーム案内領域内の照明光学ユニットの本発明による実施形態からの抜粋部を示す同様の子午断面図である。
図3図2の詳細領域III内の抜粋拡大図である。
図4】最初に入射平面と垂直に偏光された照明光(S)、更に入射平面と平行に偏光された照明光(P)に関する図2に記載の照明光学ユニットの第1のファセットミラーの個々のミラー上への入射角Iへの反射Rの依存性のグラフである。
図5】照明光学ユニットの第2のファセットミラーのファセットを通して案内される照明光部分ビームが各々照明視野の区画を照明し、すなわち、全照明視野を照明するわけではない照明光学ユニットの更に別の実施形態を示す図2と類似の図である。
図6図2に記載の照明光学ユニットを示し、更に、照明角度に依存する照明視野の視野点の照明の偏光分布(タンジェンシャル偏光)を示す図である。
図7図6に記載の偏光分布の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、マイクロリソグラフィのための投影露光装置1を子午断面に略示している。投影露光装置1は、光源2又は放射線源2を含む。投影露光装置1の照明系3は、物体平面6の物体視野5と一致する照明視野を露光するための照明光学ユニット4を有する。照明視野は、物体視野5よりも大きいとすることができる。この場合に、物体視野5に配置され、物体ホルダ又はレチクルホルダ8によって保持されるレチクル7の形態にある物体が露光される。レチクル7をリソグラフィマスクとも表している。物体ホルダ8は、物体変位ドライブ9を用いて変位方向に沿って変位可能である。投影光学ユニット10は、物体視野5を像平面12の像視野11に結像するように機能する。レチクル7上の構造は、像平面12の像視野11の領域に配置されたウェーハ13の感光層上に結像される。ウェーハ13は、ウェーハホルダ14によって保持される。ウェーハホルダ14もまた、ウェーハ変位ドライブ15を用いて物体ホルダ8と同期する方式で変位方向に沿って変位可能である。
【0016】
放射線源2は、5nmと30nmの間の範囲の放出使用放射線を有するEUV放射線源である。EUV放射線源は、プラズマ光源、例えば、GDPP光源(ガス放電生成プラズマ)又はLPP光源(レーザ生成プラズマ)を含むことができる。シンクロトロン又は自由電子レーザ(FEL)に基づく放射線源を放射線源2に対して使用することができる。当業者は、そのような放射線源に関する情報を例えばUS 6,859,515 B2から求めることができるであろう。放射線源2から射出するEUV放射線16は、コレクター17によって集光される。対応するコレクターは、EP 1 225 481 Aから公知である。コレクター17の下流において、EUV放射線16は、中間焦点面18を通って伝播し、その後に、視野ファセットミラー19上に入射する。視野ファセットミラー19は、照明光学ユニット4の第1のファセットミラーである。視野ファセットミラー19は、複数の個々のミラー(図1には例示していない)を有する。視野ファセットミラー19は、物体平面6に対して光学的に共役である照明光学ユニット4の平面に配置される。
【0017】
以下では、EUV放射線16を照明光又は結像光とも表している。照明光16は、第1のファセットミラー19上に非偏光方式で、すなわち、均一に配分された偏光を有して入射する。従って、視野ファセットミラー19の上流では、照明光16の偏光ベクトルは、入射軸kと垂直にxy平面と平行な全ての方向に均一に配分された方式で振動する。
【0018】
視野ファセットミラー19の下流において、EUV放射線16は、瞳ファセットミラー20によって反射される。瞳ファセットミラー20は、照明光学ユニット4の第2のファセットミラーである。瞳ファセットミラー20は、中間焦点面18及び投影光学ユニット10の瞳平面に対して光学的に共役であり、又はこの瞳平面と一致する照明光学ユニット4の瞳平面に配置される。瞳ファセットミラー20は、複数の瞳ファセット(図1には例示してない)を有する。瞳ファセットミラー20の瞳ファセットと、ビーム経路の順序で表記しているミラー22、23、及び24を有する転送光学ユニット21の形態にある下流結像光学アセンブリとを用いて、視野ファセットミラー19の個々のミラー群が物体視野5に結像される。転送光学ユニット21の最後のミラー24は、かすめ入射のためのミラーである(「かすめ入射ミラー」)。
【0019】
位置関係の説明を容易にするために、図1は、物体平面6と像平面12の間にある投影露光装置1の構成要素の位置関係を説明するための広域座標系として直交xyz座標系を示している。図1では、x軸は、作図面と垂直に作図面に向けて延びている。図1では、y軸は、右に向けて物体ホルダ8及びウェーハホルダ14の変位方向と平行に延びている。図1では、z軸は下向きに、すなわち、物体平面6及び像平面12と垂直に延びている。
【0020】
物体視野5又は像視野11にわたるx寸法は、視野高さとも表している。
【0021】
図1に記載の投影露光装置1の場合に、ファセットミラー19は、照明光16のビーム経路内で第1のファセットミラーであり、瞳ファセットミラー20は第2のファセットミラーである。ファセットミラー19、20は、その機能を交換することができる。従って、第1のファセットミラー19は、この場合に投影光学ユニット10の瞳平面又はそれに対して共役な平面に配置された瞳ファセットミラーとすることができ、第2のファセットミラー20は、この場合に物体平面6に対して光学的に共役な視野平面に配置された視野ファセットミラーとすることができる。
【0022】
照明光学ユニット25の場合に、第1のファセットミラー19は、照明光部分ビーム16iを物体視野又は照明視野5に向けて案内するための照明チャネルを提供する複数の個々のミラー26を有する。個々のミラー26は、個々のミラーの支持体27上に配置される。個々のミラーの支持体27は、z軸と平行に延びる照明光16の入射軸kに関して回転対称に具現化される。個々のミラーの支持体27は、xy平面と平行に配置された円形支持体面28を用いて具現化される。個々のミラーの支持体27は、入射照明光16と物体視野5の間に位置する。
【0023】
個々のミラー26は、個々のミラーの支持体27上に高密充填方式で配置された正方形又は矩形の反射面を有することができる。いかなる間隙も持たずに可能な限り第1のファセットミラー19の反射面を占有することを可能にする他の形状の個々のミラーを使用することができる。そのような別の個々のミラー形状は、寄せ木細工の数学理論から公知である。この点に関しては、US 2011/0001947 A1に示されている引用文献を参照されたい。
【0024】
第1のファセットミラー19の実施形態に基づいて、個々のミラー26は、例えば100μm×100μmから例えば5mm×5mmまでの範囲のx/y広がりを有する。個々のミラー26は、照明光16に対して集中効果を有するように成形することができる。
【0025】
個々のミラー26は、照明光16の入射軸kに関して回転対称である配置を個々のミラーの支持体27上に有することができる。この配置は、例えば、個々のミラー装置の中心が支持体面28を通る照明光16の入射軸kの交点と一致する個々のミラーの支持体27上の個々のミラー26の複数の同心リングに具現化することができる。
【0026】
図2に記載の子午断面図は、個々のミラー26のうちの4つの例示している。第1のファセットミラー19の実際の実施形態において、個々のミラー26の個数は非常に多い。
【0027】
全体として、第1のファセットミラー19は、数百から数千個の個々のミラー26を有する。
【0028】
第1のファセットミラー19の個々のミラー26の反射面の全反射面は、第1のファセットミラー19に基づいて、例えば、300mm×300mm又は600mm×600mmの広がりを有する。
【0029】
個々のミラー26の各々は、入射照明光16を個々に偏向するために、図2に示す最上部の個々のミラー26に基づいて示すようにアクチュエータ29にそれぞれ接続される。アクチュエータ29は、個々のミラー26の反射側から離れる方向に面する個々のミラー26の各々の側に配置される。アクチュエータ29は、例えば、圧電アクチュエータとして具現化することができる。そのようなアクチュエータの構成は、マイクロミラーアレイの構造から公知である。
【0030】
個々のミラー26の各々は、第1のものがx軸と平行に延び、第2のものがy軸と平行に延びる2つの互いに垂直な傾斜軸の回りに独立して個々に傾斜させることができる。2つの傾斜軸は、それぞれの個々のミラー26の個別反射面内に位置する。
【0031】
個々のミラー26の反射面は、多層反射コーティングを有する図3は、個々のミラー26のうちの1つの反射面の領域内での抜粋拡大図を示している。個々のミラーの本体30上には、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)からなる交替層とすることができる反射層31、32が塗布される。図3は、一例として各々1つのMo層とSi層とを含む二重層31、32を示している。全体の反射コーティング33は、複数のそのような二重層31、32、例えば、5層、10層、20層、30層、又は更にそれよりも多くのこのタイプの二重層を有することができる。
【0032】
第1のファセットミラー19の個々のミラー26は、それぞれの照明光部分ビーム16iが、個々のミラー反射面に対する法線Nに対して、この個々のミラー26における照明光部分ビーム16iの反射時にp偏光と比較してs偏光に優先度を与える入射角Iを有して個々のミラー26上に入射するように配置される。s偏光は、個々のミラー26の入射平面(図3の作図面)と垂直に振動する照明光部分ビーム16iの偏光方向に関するものである。p偏光は、個々のミラー26の入射平面内で振動する照明光部分ビーム16iの偏光方向に関するものである。図2では、s偏光を十字円に示している。図2では、p偏光を入射軸kと垂直に配置された双方向矢印に示している。図3では、s偏光を照明光部分ビーム16iのビーム経路上の大きい点で表している。照明光部分ビーム16iのビーム経路上の双方向矢印でp偏光を表している。個々のミラー26における照明光部分ビーム16iの反射時にs偏光に与えられるp偏光に対する優先度は、p偏光照明光16に対する反射率Rpとs偏光照明光16に対する反射率Rsの間の比Rp/Rsが0.8よりも小さいようなものである。図3には、個々のミラー26における照明光部分ビーム16iの反射後のp偏光成分を入射照明光部分ビーム16iと比較して短い双方向矢印で表し、個々のミラー26における反射によってそれ程影響を受けないs偏光成分の強度を入射ビーム上の点と同じサイズのものである反射照明光部分ビーム16iの反射ビーム経路上の点で例示することにより、s偏光に与えられるこの優先度を示している。
【0033】
入射角Iへの反射率Rs、Rpの依存性を図4に例示している。
【0034】
Rsは、I=0°の入射角(法線入射)の場合の0.6R0という値から85°の実際の最大入射角の場合の最大値R0まで単調に増大する。
【0035】
反射率Rpは、最初にI=0°の入射角の場合の値0.6R0から、45°の入射角領域内にあるブリュースター入射角IBの場合の反射率Rp=0まで単調に低下する。I>IBの入射角では、反射率Rpは、約85°の実際の最大入射角の場合の約0.8R0という値まで再度単調に増大する。比Rp/Rsは、約I≧20°の値から始まる入射角Iの範囲で0.8よりも小さい。ブリュースター角IBの領域内の入射角Iでは、この比は、実入射角Iがブリュースター角IBにどれ程近いかに依存して連続的に小さくなる。ブリュースター角IB自体では、比Rp/Rsは0である。
【0036】
個々のミラー26の配置に基づいて、上述の個々のミラー26上の入射角Iは、0.7よりも小さく、0.6よりも小さく、0.5よりも小さく、0.4よりも小さく、0.3よりも小さく、0.2よりも小さく、0.1よりも小さく、0.05よりも小さく、0.02よりも小さく、0.01よりも小さく、1×10-3よりも小さく、1×10-4よりも小さく、1×10-5よりも小さく、又は更に一層小さい比Rp/Rsがもたらされるように予め定めることができる。
【0037】
それぞれの照明光部分ビーム16iがそれぞれの個々のミラー26上に入射する入射角Iに対して、個々のミラー26の向きに基づいて、絶対値が25°よりも小さく、20°よりも小さく、10°よりも小さく、5°よりも小さく、3°よりも小さく、2°よりも小さく、1°よりも小さく、特に厳密にブリュースター角IBであるブリュースター角IBに対する予め定められた値I−IB、すなわち、ブリュースター角IBに対するずれを達成することができる。
【0038】
入射角Iに対するこれらの予め定められた値は、例示していない方式で個々のミラー26のアクチュエータ29に信号接続した照明光学ユニット25の中央制御デバイス34上でモニタすることができる。ルックアップテーブルを使用することにより、これらの予め定められた値を得るべき反射率比Rp/Rsにおける望ましい値に関連付けることができる。
【0039】
第2のファセットミラー20は、照明光16のビーム経路内で第1のファセットミラー19の下流に配置される(図2を参照されたい)。第2のファセットミラー20のそれぞれのファセット35は、第1のファセットミラー19の個々のミラー26のうちの少なくとも1つと共に、照明光部分ビーム16iを照明視野5に向けて案内するための照明チャネルを完成する。一般的に、この配置は、第2のファセットミラー20のファセット35のうちの1つが、第1のファセットミラー19の個々のミラー26の群と共に、複数の部分ビーム16iに対して、第2のファセットミラー20のこのファセット35及び第1のファセットミラー19の個々のミラー26の群が属する群照明チャネルを完成するようなものである。従って、第1のファセットミラー19の個々のミラー26のこの群は、照明光部分ビーム16iを全て第2のファセットミラー20の正確に同じファセット35を通して照明視野5に向けて案内する。
【0040】
第2のファセットミラー20のファセット35での照明光部分ビーム16iの反射により、この場合にも大きく0とは異なる入射角Iによる反射が発生するので照明光部分ビーム16iのs偏光に優先度が再度与えられる。図2には、s偏光に与えられるこの優先度も示しており、照明光16のs偏光を十字円で例示しており、p偏光を入射軸kに対して垂直で図2の作図面内に位置する双方向矢印によって例示している。1度目には個々のミラー26のうちの1つで、かつ2度目には第2のファセットミラー20のファセット35のうちの1つでの二重反射は、照明視野5上に入射する照明光部分ビーム16iの場合にほぼ完全であるか又は更に全く完全なs偏光をもたらす。
【0041】
第2のファセットミラー20のファセット35は、図2に破線形式に示すファセット支持体36上に配置される。このファセット支持体36は、リング形態様に具現化される。ファセット支持体36は、照明光16の入射軸kに関して回転対称に具現化される。ファセット支持体36上での第2ファセットミラー20のファセット35の配置は、相応に回転対称である。
【0042】
照明光学ユニット25は、入射軸kに関して全体として回転対称に配置される。入射軸kは、照明視野5の中心を通過する。入射軸kは、物体平面6に対して垂直である。
【0043】
第1のファセットミラー19の個々のミラー26及び第2のファセットミラー20のファセット35の配置の回転対称性は、いかなる場合にも入射軸kに関して良好な近似で回転対称な照明光部分ビーム16iのビーム案内を可能にする。
【0044】
図2には、第1のファセットミラー19の個々のミラー26によって偏向された照明光部分ビーム16iをxz平面に反射するために設けられた第2のファセットミラー20のファセット35を入射軸kのレベルに破線形式で例示している。ファセット支持体36のリング形設計に起因して、これらの視野ファセット35は、当然ながら、入射軸kから図2の作図面に対して正のx方向と負のx方向の両方に対応して分離した方式で置かれる。対応するファセット35は、入射軸kの回りの円周方向に均一に配分された方式でファセット支持体36上に配置され、それによって照明光部分ビーム16iに対して根本的に回転対称な反射配置がもたらされる。照明視野5上の各点において、タンジェンシャル偏光照明光16による照明がもたらされる。図6及び図7において、この照明を照明視野点37に対してより詳細に例示している。
【0045】
全ての照明方向からの照明光16は、照明視野点37上にs偏光方式で入射する。視野ファセット35のリング形配置に起因して、照明視野点37は、リング形照明角度分布38で照明されるので(照明視野点37は、リング形光源を「見る」)、図7に円に示すこのリング形照明角度分布38の全ての場所に、補完されてタンジェンシャル偏光を形成するs偏光が生じる。リング形照明角度分布38の全ての場所において、偏光ベクトル39は、リング形照明角度分布38に対してタンジェンシャルに振動する。
【0046】
このタンジェンシャル偏光に起因して、照明視野5内のレチクル7は、照明角度に関係なくs偏光照明光16で照明することができる。この照明は、照明光学ユニット25が投影露光装置1の一部として使用される場合に最適な構造分解能を可能にする。
【0047】
照明光学ユニット25を使用する場合に、照明視野5は、個々のミラーの支持体27によって予め定められた照明光16のビーム経路の中心遮蔽によって予め定められる照明角度の下限値よりも大きい照明角度で照明することができる。
【0048】
照明光学ユニット25を使用する場合に、環状照明設定又は他に多重極照明設定、例えば、二重極照明設定又は四重極照明設定、例えば、C四重極照明設定を実現することが可能である。
【0049】
図5は、照明光学ユニット25の代わりに使用することができる照明光学ユニットの更に別の実施形態40を示している。図1から図4、並びに図6及び図7を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0050】
照明光学ユニット40の場合に、照明光16は、全照明視野5の80%よりも小さい照明視野5の区画5iが、照明光16を第2のファセットミラー20のファセット35のうちの1つを通して案内する照明チャネルを通して照明されるように案内される。照明視野区画5iは、全照明視野5のうちの50%、又は更に小さい割合、すなわち、例えば、1/3、1/4、1/6、又は他に全照明視野5のうちの更に小さい割合、例えば、1/10、1/20、又は1/50を網羅することができる。
【0051】
照明光学ユニット40は、2つのファセットミラー19、20の配置に関して、個々のミラー26及びファセット35の偏光効果を除いて、US 2006/0132747 A1から公知の鏡面反射器方式に具現化することができる。
【0052】
図5に記載の実施形態の場合に、照明視野区画5iは、y方向に全照明視野5のy広がりのうちの約4分の1を有する。
【0053】
投影露光装置1を用いた投影露光中に、微細又はナノ構造化構成要素、特に半導体構成要素、例えば、マイクロチップのリソグラフィ生成に向けて、物体視野5内のレチクル7の少なくとも一部は、像視野11内のウェーハ13上の感光層の領域上に結像される。この場合に、レチクル7とウェーハ13は、時間同期方式でスキャナ作動においてy方向に連続的に移動される。
【符号の説明】
【0054】
5 物体視野
16 照明光
25 照明光学ユニット
38 リング形照明角度分布
k 入射軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7