【文献】
Masatomo Kawano, et al.,"A Three-Dimensional Binocular Range Sensor LSI with a 106 dB Wide Dynamic Range Pixel",TENCON 2010 -2010 IEEE Region 10 Conference- ,2010年11月19日,p.2469-2473,ISBN: 978-1-4244-6890-4, DOI: 10.1109/TENCON.2010.5685919
【文献】
Masatomo Kawano, et al.,"Three-Dimensional Binocular Range Sensor LSI with Enhanced Correlation Signal",Japanese Journal of Applied Physics,2010年 4月20日,Vol.49, No.4S,04DE05-1 - 04DE05-6
【文献】
Norihito Kawaguchi, et al.,"Three-Dimensional Binocular Range Sensor Large Scale Integration with a 410 μs/Frame Output Time High-Speed Data Output Method",Japanese Journal of Applied Physics,2010年 4月20日,Vol.49, No.4S,04DE06-1 - 04DE06-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の視差センサにおいて、前記相関検知回路マトリックスは、コンデンサと、前記第1、第2の差分パルス信号の論理積の真理値の変化に合わせて、前記コンデンサを、充放電しない状態から、充放電する状態に切り替える電流スイッチ回路部と、前記コンデンサと前記電流スイッチ回路部を接続する連結部に配され、特定の大きさの電流が流れている状態で前記コンデンサに充放電させる電流制御用トランジスタとを備えた複数の相関検知回路を有することを特徴とする視差センサ。
請求項2記載の視差センサにおいて、前記電流スイッチ回路部は、前記第1、第2の論理回路にそれぞれ接続された第1、第2のトランジスタを備え、該第1、第2のトランジスタ及び前記電流制御用トランジスタは、同型であることを特徴とする視差センサ。
第1の撮像素子で距離を計測する対象となる被写体を撮像し、複数の第1のアナログ電圧信号を出力すると同時に、第2の撮像素子で前記第1の撮像素子とは異なる角度から前記被写体を撮像し、複数の第2のアナログ電圧信号を出力する工程と、
前記複数の第1のアナログ電圧信号を、電圧値に比例するパルス幅を有した複数の第1のパルス幅画素信号に、並列に配された複数の第1のアナログ/パルス幅変調回路によって、それぞれ同時に変換する処理、及び、前記複数の第2のアナログ電圧信号を、電圧値に比例するパルス幅を有した複数の第2のパルス幅画素信号に、並列に配された複数の第2のアナログ/パルス幅変調回路によって、それぞれ同時に変換する処理を同時に行う工程と、
隣り合う前記第1のアナログ/パルス幅変調回路からそれぞれ出力される2つの前記第1のパルス幅画素信号の差異を第1の比較パルス信号として出力する処理を、前記複数の第1のアナログ/パルス幅変調回路全てに対して行い、隣り合う前記第2のアナログ/パルス幅変調回路からそれぞれ出力される2つの前記第2のパルス幅画素信号の差異を第2の比較パルス信号として出力する処理を、前記複数の第2のアナログ/パルス幅変調回路全てに対して行う工程と、
前記各第1の比較パルス信号と第1の制御パルス信号の排他論理和の値、もしくは、該排他論理和の否定値を、第1の差分パルス信号として出力し、前記各第2の比較パルス信号と第2の制御パルス信号の排他論理和の値、もしくは、該排他論理和の否定値を、第2の差分パルス信号として出力する工程と、
前記複数の第1の差分パルス信号それぞれと前記複数の第2の差分パルス信号それぞれの各組み合わせに対し、前記第1、第2の差分パルス信号の相関の大きさに比例もしくは対応する相関アナログ信号を出力する工程とを有し、
前記第1、第2の制御パルス信号の各値は、一方が0で、他方が1であることを特徴とする相関信号の生成方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、
図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る視差センサ10は、距離を計測する対象となる被写体を撮像し、複数の第1のアナログ電圧信号を出力する第1の撮像素子(第1の画像素子)11と、第1の撮像素子11とは異なる角度から被写体を撮像し、複数の第2のアナログ電圧信号を出力する第2の撮像素子(第2の画像素子)12と、並列に配され、複数の第1のアナログ電圧信号を、複数の第1のパルス幅画素信号にそれぞれ変換する複数の第1のアナログ/パルス幅変調回路13と、並列に配され、複数の第2のアナログ電圧信号を、複数の第2のパルス幅画素信号にそれぞれ変換する複数の第2のアナログ/パルス幅変調回路14と、隣り合う第1のアナログ/パルス幅変調回路13からそれぞれ出力される2つの第1のパルス幅画素信号の差異を第1の比較パルス信号として、それぞれ出力する複数の第1のパルス信号比較回路15と、隣り合う第2のアナログ/パルス幅変調回路14からそれぞれ出力される2つの第2のパルス幅画素信号の差異を第2の比較パルス信号として、それぞれ出力する複数の第2のパルス信号比較回路16とを備えて、第1、第2の撮像素子11、12の各画像中の被写体の位置を特定する。以下、これらについて詳細に説明する。
【0017】
第1、第2の撮像素子11、12は、
図1、
図2に示すように、左右方向の異なる位置に配され、それぞれ左眼及び右眼の役割を担うイメージセンサである。第1、第2の撮像素子11、12は、従来のイメージャーと同様の回路構成を有し、m行×n列(m≧3、n≧3)の画素17の行列(以下、画素行列とも言う)をそれぞれ備えている。
第1、第2の撮像素子11、12には、共通のシーケンサ18が接続され、第1、第2の撮像素子11、12の各画素行列は、シーケンサ18によって、それぞれ、同じ行にあるn個(複数)の画素17が選択される。
【0018】
第1の撮像素子11において、シーケンサ18により選択されたn個の画素17からn個の第1のアナログ電圧信号がそれぞれ同時に出力され、第2の撮像素子12においても、第1の撮像素子11からn個の第1のアナログ電圧信号が出力されるタイミングで、シーケンサ18により選択されたn個の画素17から、合計、n個の第2のアナログ電圧信号が出力される。
【0019】
第1の撮像素子11には、n個の第1のアナログ電圧信号を、n個の第1のパルス幅画素信号(パルス信号の一例)にそれぞれ変換する第1のアナログ/パルス幅変調回路アレイ19が接続されている。第2の撮像素子12にも、n個の第2のアナログ電圧信号を、n個の第2のパルス幅画素信号(パルス信号の一例)にそれぞれ変換する第2のアナログ/パルス幅変調回路アレイ20が接続されている。
【0020】
第1のアナログ/パルス幅変調回路アレイ19は、第1の撮像素子11の画素17のn個の列にそれぞれ連結されたn個の第1のアナログ/パルス幅変調回路13を備えている。各第1のアナログ/パルス幅変調回路13は、連結された第1の撮像素子11の画素17から出力される第1のアナログ電圧信号を、その電圧値に比例するパルス幅を有した第1のパルス幅画素信号に変換して出力する。なお、第1のパルス幅画素信号を出力するとは、信号値が1であることを意味し、反対に、第1のパルス幅画素信号を出力しないとは、信号値が0であることを意味し、これは、本実施の形態における他のパルス信号についても同じことがいえる。
【0021】
第2のアナログ/パルス幅変調回路アレイ20も、第2の撮像素子12の画素17のn個の列にそれぞれ連結されたn個の第2のアナログ/パルス幅変調回路14を備え、各第2のアナログ/パルス幅変調回路14は、連結された第2の撮像素子12の画素17から出力される第2のアナログ電圧信号を、その電圧値に比例するパルス幅を有した第2のパルス幅画素信号に変換して出力する。
【0022】
n個の第1のアナログ/パルス幅変調回路13、及び、n個の第2のアナログ/パルス幅変調回路14には、
図2、
図3(A)に示すように、ランプ信号を生成する同期制御回路20aが接続されている。同期制御回路20aは、n個の第1のアナログ/パルス幅変調回路13、及び、n個の第2のアナログ/パルス幅変調回路14それぞれに対してランプ信号を間欠的に出力する。各第1のアナログ/パルス幅変調回路13、及び、各第2のアナログ/パルス幅変調回路14は、ランプ信号が入力されたタイミングで同時に(実質的に同時に)、それぞれ、第1のアナログ電圧信号の第1のパルス幅画素信号への変換、及び、第2のアナログ電圧信号の第2のパルス幅画素信号への変換を行う。
なお、各第1のアナログ/パルス幅変調回路13(各第2のアナログ/パルス幅変調回路14についても同じ)は、MOSFETを備えた周知のコンパレータによって構成することができる。
【0023】
ランプ信号は、
図3(B)に示すように、時間軸を横軸にとったグラフにおいて、最も高い値が所定時間保たれた後に、一定の割り合いで値が低下するというパターンを繰り返す。
図3(B)で「Vref」と記された波形が、ランプ信号を示している。
各第1のアナログ/パルス幅変調回路13は、第1の撮像素子11から与えられる第1のアナログ電圧信号の電圧値が、ランプ信号の値を上回っている間、第1のパルス幅画素信号を出力し、第1のアナログ電圧信号の電圧値が、ランプ信号の値以下の間、第1のパルス幅画素信号の出力を行わない。従って、第1のアナログ電圧信号の電圧値が大きいほど、第1のアナログ/パルス幅変調回路13から出力される第1のパルス幅画素信号のパルス幅は広くなる。
【0024】
各第2のアナログ/パルス幅変調回路14も、各第1のアナログ/パルス幅変調回路13と同様に、第2のアナログ電圧信号の電圧値がランプ信号の値を上回っている間にのみ、第2のパルス幅画像信号の出力を行う。第2のパルス幅画像信号のパルス幅も、第2のアナログ電圧信号の電圧値が大きいほど、パルス幅が広くなる。
第1のパルス幅画像信号を出力中の第1のアナログ/パルス幅変調回路13、及び、第2のパルス幅画像信号を出力中の第2のアナログ/パルス幅変調回路14は、最も小さくなったランプ信号の値が最も大きくなるタイミングで、第1、第2のパルス幅画像信号の出力をそれぞれ終える。
【0025】
第1、第2のアナログ/パルス幅変調回路アレイ19、20には、
図1、
図2に示すように、それぞれ第1、第2のパルス信号比較回路アレイ21、22が接続されている。
第1のパルス信号比較回路アレイ21は、
図2に示すように、n−1個(複数)の並列に配置された第1のパルス信号比較回路15を備え、各第1のパルス信号比較回路15には、隣り合う2つの第1のアナログ/パルス幅変調回路13が接続されている。
各第1のパルス信号比較回路15は、
図4(A)に示すように、2つの入力端子と、4つのインバータ23、24、25、26と、2つのNANDゲート27、28と、2つの出力端子を備えている。以下、一側からi番目の第1のパルス信号比較回路15が備える2つの入力端子をそれぞれ、入力端子INi、及び、入力端子INi+1とし、その第1のパルス信号比較回路15が備える出力端子をそれぞれ、出力端子OUTi+、及び、出力端子OUTi−とする。なお、1≦i≦n−1である。
【0026】
一側からi番目の第1のアナログ/パルス幅変調回路13と一側からi+1番目の第1のアナログ/パルス幅変調回路13(即ち、隣り合って配置された第1のアナログ/パルス幅変調回路13)は、一側からi番目の第1のパルス信号比較回路15の入力端子INi及び入力端子INi+1にそれぞれ接続されている。その入力端子INi及び入力端子INi+1には、一側からi番目の第1のアナログ/パルス幅変調回路13から出力された第1のパルス幅画素信号、及び、一側からi+1番目の第1のアナログ/パルス幅変調回路13から出力された第1のパルス幅画素信号がそれぞれ入力する。
【0027】
一側からi番目の第1のパルス信号比較回路15は、入力端子INi及び入力端子INi+1にそれぞれ入力した第1のパルス幅画素信号を基に、式1から、出力端子OUTi+に対応する第1の比較パルス信号(パルス信号の一例)を算出して出力し、式2から、出力端子OUTi−に対応する第1の比較パルス信号を算出して出力する。
【0028】
OUTi+=(INi)∧(/INi+1) ・・・・・(式1)
OUTi−=(INi+1)∧(/INi) ・・・・・(式2)
なお、(/INi+1)及び(/INi)は、それぞれINi+1及びINiの反転信号、∧は論理積を意味する。
【0029】
従って、入力端子INiに第1のパルス幅画素信号が入力し、入力端子INi+1に第1のパルス幅画素信号が入力していないとき、
図4(B)に示すように、出力端子OUTi+から第1の比較パルス信号が出力され、出力端子OUTi−から第1の比較パルス信号は出力されない。
一方、入力端子INiへの第1のパルス幅画素信号の入力が無く、入力端子INi+1に第1のパルス幅画素信号が入力しているとき、出力端子OUTi+からは第1の比較パルス信号が出力されず、出力端子OUTi−から第1の比較パルス信号が出力される。
【0030】
そして、入力端子INi及び入力端子INi+1それぞれへの信号入力の状態がそれ以外であれば、出力端子OUTi+又は出力端子OUTi−から第1の比較パルス信号は出力されない。
その結果、入力端子INi及び入力端子INi+1それぞれへの信号入力の状態に相関があるほど、出力端子OUTi+及び出力端子OUTi−からそれぞれ出力される第1の比較パルス信号のパルス幅は狭くなる。
【0031】
第2のパルス信号比較回路アレイ22が、n−1個(複数)の並列に配された第2のパルス信号比較回路16を備えている点は第1のパルス信号比較回路アレイ21と同じであり、一側からi番目の第2のパルス信号比較回路16が、入力端子INi、入力端子INi+1、4つのインバータ、2つのNANDゲート、及び、出力端子OUTi+、出力端子OUTi−を備えている点と、一側からi番目の第2のパルス信号比較回路16が、式1、式2を基に、出力端子OUTi+及び出力端子OUTi−それぞれからの第2の比較パルス信号の出力制御を行う点は、第1のパルス信号比較回路15と共通するため、これらについての詳しい説明は省略する。
【0032】
また、第1、第2のパルス信号比較回路アレイ21、22には、
図1、
図2に示すように、第1のパルス信号比較回路アレイ21から出力された複数の第1の比較パルス信号、及び、第2のパルス信号比較回路アレイ22から出力された複数の第2の比較パルス信号を基に、複数の相関アナログ信号を出力する相関検知回路マトリックス(相関検知回路アレイ)30が接続されている。
相関検知回路マトリックス30は、(n−1)×(n−1)個(複数)の相関検知回路31を備え、その(n−1)×(n−1)個の相関検知回路31は、菱形状に並べられている。
【0033】
菱形の相関検知回路マトリックス30は、その外縁をなす4つの直線部のうち、左上側の直線部30aが第1のパルス信号比較回路アレイ21に接続され、右上側の直線部30bが第2のパルス信号比較回路アレイ22に接続されている。
左上側の直線部30aに平行に配された相関検知回路31の列は、n−1列あり、1列あたりn−1個の相関検知回路31が並べられている。そして、右上側の直線部30bに平行に配された相関検知回路31の行は、n−1行あって、1行あたりn−1個の相関検知回路31が配列されている。
【0034】
以下、直線部30bの左上端から右下端に向かってj番目に位置する相関検知回路31の列を「j番目の列」、直線部30aの左下端から右上端に向かってi番目に位置する相関検知回路31の行を「i番目の行」ともいう。
一側からi番目の第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUTi+及び出力端子OUTi−は、
図5に示すように、それぞれXNOR回路32、33を介して、i番目の行にある各相関検知回路31に接続されている。
図5では、一側からi番目の第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUTi+及び出力端子OUTi−を、それぞれ「OUTi+(L)」及び「OUTi−(L)」と記している。以下、「OUTi+(L)」、「OUTi−(L)」と記載したときは、i番目の第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUTi+、及び、出力端子OUTi−をそれぞれ意味する。
【0035】
一側からj番目の第2のパルス信号比較回路16(以下、単に「j番目の第2のパルス信号比較回路16」ともいう)の出力端子OUTj+及び出力端子OUTj−は、それぞれXNOR回路34、35を介して、j番目の列にある各相関検知回路31に接続されている。
なお、
図5では、j番目の第2のパルス信号比較回路16の出力端子OUTj+及び出力端子OUTj−を、それぞれ「OUTj+(R)」及び「OUTj−(R)」と記載している。以下、「OUTj+(R)」、「OUTj−(R)」と記載したときは、j番目の第2のパルス信号比較回路16の出力端子OUTj+、及び、出力端子OUTj−をそれぞれ意味する。
【0036】
OUTi+(L)が一方の入力端子に接続されたXNOR回路32(第1の論理回路の一例)には、他方の入力端子に、第1の制御パルス信号(パルス信号の一例)を出力する第1の信号発信回路36が接続されている。第1の信号発信回路36は、一方の入力端子にOUTi−(L)が接続されたXNOR回路33(第1の論理回路の一例)の他方の入力端子にも接続されている。
【0037】
OUTj+(R)が一方の入力端子に接続されたXNOR回路34(第2の論理回路の一例)には、他方の入力端子に、第2の制御パルス信号(パルス信号の一例)を出力する第2の信号発信回路37が接続されている。第2の信号発信回路37は、一方の入力端子にOUTj−(R)が接続されたXNOR回路35(第2の論理回路の一例)の他方の入力端子にも接続されている。
なお、
図1、
図2においては、XNOR回路32〜35、及び、第1、第2の信号発信回路36、37が省略されている。
【0038】
XNOR回路32(XNOR回路33ついても同じ)は、(n−1)個あって、それぞれが相関検知回路31の各行に接続され、XNOR回路34(XNOR回路35についても同じ)は、(n−1)個あって、それぞれが相関検知回路31の各列に接続されている。
一方、本実施の形態では、視差センサ10全体で、第1、第2の信号発信回路36、37は1つずつあって、第1の信号発信回路36は、(n−1)個のXNOR回路32及び(n−1)個のXNOR回路33に接続され、第2の信号発信回路37は(n−1)個のXNOR回路34及び(n−1)個のXNOR回路35に接続されている。
【0039】
また、各相関検知回路31は、電荷を蓄積するコンデンサ38と、コンデンサ38の充放電状態を切り替える2つの電流スイッチ回路部39、40と、バイアス電圧Vbが与えられて電流量を制御する電流制御用トランジスタの一例であるトランジスタ41(本実施の形態ではMOSFET)と、コンデンサ38の電圧値に比例もしくは対応する大きさの電流を流す出力回路部42とを備えている。
【0040】
電流スイッチ回路部39は、XNOR回路32、34にそれぞれ接続され、直列に配された2つのトランジスタ43、44を備え、トランジスタ43、44には、XNOR回路32から出力される第1の差分パルス信号(パルス信号の一例)、及び、XNOR回路34から出力される第2の差分パルス信号(パルス信号の一例)がそれぞれ与えられる。
電流スイッチ回路部39は、XNOR回路32、34からそれぞれ出力される第1、第2の差分パルス信号の論理積の真理値が1であるとき、導通状態となって、コンデンサ38に蓄積されている電荷を一定の電流値で放電させ、その論理積の真理値が0であるとき、非導通状態となる。
【0041】
電流スイッチ回路部40も、XNOR回路33、35にそれぞれ接続され、直列に配された2つのトランジスタ45、46を備え、トランジスタ45、46には、XNOR回路33から出力される第1の差分パルス信号、及び、XNOR回路35から出力される第2の差分パルス信号がそれぞれ与えられる。なお、トランジスタ43、45は第1のトランジスタの一例であり、トランジスタ44、46は第2のトランジスタの一例である。
電流スイッチ回路部40も、電流スイッチ回路部39と同様に、XNOR回路33、35からそれぞれ出力される第1、第2の差分パルス信号の論理積の真理値が1であるとき、導通状態となって、コンデンサ38に放電させ、その論理積の真理値が0であるとき、非導通状態となる。
【0042】
従って、コンデンサ38は、電流スイッチ回路部39、40の少なくとも一方が導通状態の際に放電し、電流スイッチ回路部39、40がいずれも非導通状態の際は、放電しない。
本実施の形態では、トランジスタ41、43〜46は全て、同型(具体的には、n型)のMOSFETである。
【0043】
トランジスタ41は、コンデンサ38と電流スイッチ回路部39、40とを接続する連結部に配され、バイアス電圧Vbがゲートに与えられることによって、定電流源として機能して、コンデンサ38からの電荷の放電量を特定(一定)の大きさに保つ。即ち、トランジスタ41は、特定の大きさの電流が流れている状態でコンデンサ38に放電させることができる。
また、コンデンサ38には、電源47に連結されたリセットスイッチ48、及び、読出スイッチ49に連結された出力回路部42が接続されている。
【0044】
リセットスイッチ48は、p型のMOSFETであり、インバータ48aを介してリセット信号発信回路48bに接続されている。リセットスイッチ48は、リセット信号発信回路48bが信号を発信しているときに、リセット信号が入力されて、電源47からコンデンサ38に電荷を供給し、コンデンサ38の電圧(両端電圧)を電源47の電圧Vdにする。なお、リセット信号発信回路48bが信号を発信していないとき、リセットスイッチ48へのリセット信号の入力はない。
【0045】
出力回路部42は、MOSFETを備え、そのMOSFETのゲートにコンデンサ38の電圧が入力されることによって、その電圧値に比例もしくは対応した大きさの電流信号(相関アナログ信号の一例)を出力することができる。
読出スイッチ49は、読み出し信号が与えられることによって、出力回路部42に電流信号を出力させないオフ状態から、出力回路部42に電流信号を出力させるオン状態に切り替わる。
そして、相関検知回路31には、出力回路部42から出力された電流信号をその電流値に比例もしくは対応した大きさの電圧値の電圧信号に変換して出力する電流電圧変換回路51が接続されている。
【0046】
以下、相関検知回路31の動作について説明する。
まず、リセット信号がリセットスイッチ48に入力され、
図6に示すように、コンデンサ38の電圧(
図6では、「Vc」と記す)が、Vdに上昇する。そして、第1の信号発信回路36が第1の制御パルス信号を出力し、第2の信号発信回路37が第2の制御パルス信号を出力していない状態(以下、この状態を、「不一致降下モードM1の状態」ともいう)で、第1のパルス信号比較回路15は、出力端子OUT+から第1の比較パルス信号(
図6では、「OUT+(L)」と記す)を出力し、第2のパルス信号比較回路16は、出力端子OUT+から第2の比較パルス信号(
図6では、「OUT+(R)」と記す)を出力する。
【0047】
なお、
図6においては、第1の信号発信回路36による第1の制御パルス信号の出力の様子が「Po(L)」として記され、第2の信号発信回路37による第2の制御パルス信号の出力の様子が「Po(R)」として記されている。
第1の比較パルス信号が出力されているときに、トランジスタ43に対し、XNOR回路32から第1の差分パルス信号(
図6では、「L+」と記す)が入力し、第2の比較パルス信号が出力されていないときに、トランジスタ44に対し、XNOR回路34から第2の差分パルス信号(
図6では、「R+」と記す)が入力する。
【0048】
電流スイッチ回路部39は、トランジスタ43への第1の差分パルス信号の入力とトランジスタ44への第2の差分パルス信号の入力とが共になされている(第1、第2の差分パルス信号がいずれも1である)時間帯で、導通状態となって、コンデンサ38の電圧を低下させ、それ以外の時間帯で、コンデンサ38の電圧を増減させない非導通状態となる。
トランジスタ43、44に第1、第2の差分パルス信号がそれぞれ入力されるのは、第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUT+から第1の比較パルス信号が出力され(第1の比較パルス信号の値が1であり)、第2のパルス信号比較回路16の出力端子OUT+から第2の比較パルス信号が出力されていない(第2の比較パルス信号の値が0である)ときである。このため、第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUT+から第1の比較パルス信号が出力され、第2のパルス信号比較回路16の出力端子OUT+から第2の比較パルス信号が出力されていない状態の時間が長いほど、コンデンサ38の電圧は低くなる。
【0049】
そして、不一致降下モードM1の状態では、第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUT−から第1の比較パルス信号(
図6では、「OUT−(L)」と記す)が出力されているときに、トランジスタ45に対してXNOR回路33から第1の差分パルス信号(
図6では、「L−」と記す)が与えられ、第2のパルス信号比較回路16の出力端子OUT−から第2の比較パルス信号(
図6では、「OUT−(R)」と記す)が出力されていないときに、トランジスタ46に対してXNOR回路35から第2の差分パルス信号(
図6では、「R−」と記す)が入力される。
【0050】
電流スイッチ回路部40が、トランジスタ45への第1の差分パルス信号の入力とトランジスタ46への第2の差分パルス信号の入力とが共になされている(第1、第2の差分パルス信号がいずれも1である)時間帯でのみ、コンデンサ38の電圧を低下させるのは、電流スイッチ回路部39と同じである。
そして、トランジスタ45、46にそれぞれ第1、第2の差分パルス信号が入力されるのは、第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUT−から第1の比較パルス信号が出力され、第2のパルス信号比較回路16の出力端子OUT−から第2の比較パルス信号が出力していない時間帯であるので、第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUT−から第1の比較パルス信号が出力され、第2のパルス信号比較回路16の出力端子OUT−から第2の比較パルス信号が出力されていない時間帯が長いほど、コンデンサ38の電圧は低くなる。
【0051】
ランプ信号が最も高い値になると、第1、第2のパルス信号比較回路15、16は出力端子から比較パルス信号を出力しないことから、ランプ信号が最も高い値となっている間、コンデンサ38の電圧は増減しないことになる。
【0052】
また、第1の信号発信回路36が第1の制御パルス信号を出力せず、第2の信号発信回路37が第2の制御パルス信号を出力している状態(以下、「不一致降下モードM2の状態」ともいう)においては、
図7に示すように、第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUT+から第1の比較パルス信号が出力されず、第2のパルス信号比較回路16の出力端子OUT+から第2の比較パルス信号が出力されている時間帯、あるいは、第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUT−から第1の比較パルス信号が出力されず、第2のパルス信号比較回路16の出力端子OUT−から第2の比較パルス信号が出力されている時間帯に、コンデンサ38の電圧は低下する。
【0053】
以上より、不一致降下モードM1では、第1の比較パルス信号が出力され、第2の比較パルス信号が出力されていない時間が長いほど、コンデンサ38の電圧が低くなり、不一致降下モードM2の状態では、第1の比較パルス信号が出力されず、第2の比較パルス信号が出力されている時間が長いほど、コンデンサ38の電圧が低くなる。
従って、不一致降下モードM1の状態と不一致降下モードM2の状態とをそれぞれ経ることによって、第1のパルス信号比較回路15の信号出力と第2のパルス信号比較回路16の信号出力の相関レベルが低い(即ち、第1、第2のパルス信号比較回路15、16のいずれか一方のみが信号を出力している状態が長い)ほど、コンデンサ38の電圧が低下する仕組みを設けることができる。
【0054】
また、相関検知回路マトリックス30には、
図2に示すように、各相関検知回路31による電流電圧変換回路51からの電圧信号の出力のタイミングを制御するシーケンサ53が接続されている。シーケンサ53は、相関検知回路31に電圧信号を出力させるための読み出し信号を発信する複数のシフトレジスタ54を備えている。
複数のシフトレジスタ54は、左右方向に並べられ、それそれ、外部から信号が入力されたタイミングで読み出し信号を出力する。複数のシフトレジスタ54には、左から順に、所定の時間間隔で、外部から信号が入力される。
【0055】
複数のシフトレジスタ54の一から出力された読み出し信号は、左右方向において同じ位置にある各相関検知回路31の読出スイッチ49に送られる。読出スイッチ49は、読み出し信号が入力されたタイミングで、出力回路部42に、電流電圧変換回路51への電流出力を行わせる。
本実施の形態では、複数の電流電圧変換回路51が、
図2に示すように、縦方向に並べられ、各電流電圧変換回路51は、縦方向の同じ位置において左右方向に並んだ相関検知回路31それぞれから電流出力を受信することができる。
【0056】
このため、左右方向の一の位置で、縦に並んだ複数の相関検知回路31それぞれから同じタイミング(実質的に同じタイミング)で出力された複数の電流信号は、それぞれ別個の電流電圧変換回路51に送られる。
なお、視差センサ10は、電流電圧変換回路51から出力される電圧信号を基にして、第1の撮像素子11の各画素17と第2の撮像素子12の各画素17の相関レベルを求め、第1、第2の撮像素子11、12における被写体の各位置を特定する図示しない演算回路を備えている。
【0057】
次に、視差センサ10全体の動作について説明する。
第1の撮像素子11の特定の行にあるn個の画素17から、第1のアナログ電圧信号がそれぞれ出力され、これと同じ行にある第2の撮像素子12のn個の画素17から、第2のアナログ電圧信号がそれぞれ出力されている状態で、
図8に示すように、相関検知回路31にリセット信号が与えられ、コンデンサ38の電圧はVdに上昇する。
図8においては、第1の撮像素子11の一側からi番目、i+1番目の各画素17から出力される第1のアナログ電圧信号をそれぞれ、「画素出力(L)i」及び「画素出力(L)i+1」と記し、第2の撮像素子12の一側からj番目、j+1番目の各画素17からそれぞれ出力される第2のアナログ電圧信号を、「画素出力(R)j」及び「画素出力(R)j+1」と記している。そして、一側からi番目の第1のパルス信号比較回路15に対応し、かつ、一側からj番目の第2のパルス信号比較回路16に対応する相関検知回路31が有するコンデンサ38の電圧が、
図8では、「Vc(i、j)」と記されている。
【0058】
同期制御回路20aは、コンデンサ38の電圧がVdに上昇した時点で最大値であったランプ信号(
図8において、「Ramp」と記されている)の値を、時間の経過と共に一定の割り合いで低下させ、最小値にした後、再び最大値に上昇させる。ランプ信号の値が最大値から最小値に低下するまでの間、不一致降下モードM1の状態が継続され、次にランプ信号の値が最大値から最小値に低下するまでの間、不一致降下モードM2の状態が継続される。
なお、
図8において、Po(L)がオンで、Po(R)がオフの時間帯が、不一致降下モードM1の時間帯を示し、逆に、Po(L)がオフで、Po(R)がオンの時間帯が、不一致降下モードM2の時間帯を示している。
【0059】
まず、不一致降下モードM1の状態において、各第1のアナログ/パルス幅変調回路13は、対応する第1の撮像素子11の画素17から与えられる第1のアナログ電圧信号を第1のパルス幅画素信号に変換する。そして、各第1のパルス信号比較回路15は、接続されている2つの第1のアナログ/パルス幅変調回路13からそれぞれ出力される第1のパルス幅画素信号を基に、出力端子OUT+及び出力端子OUT−からそれぞれ第1の比較パルス信号の出力を行う。
図8では、一側からi番目の第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUT+及び出力端子OUT−からの各信号出力の様子が、「OUTi+(L)」及び「OUTi−(L)」にそれぞれ記されている。
【0060】
不一致降下モードM1の状態において、各第2のアナログ/パルス幅変調回路14、及び、各第2のパルス信号比較回路16も、それぞれ、第1のアナログ/パルス幅変調回路13、及び、第1のパルス信号比較回路15と同様に信号出力の制御を行う。なお、
図8では、一側からj番目の第2のパルス信号比較回路16の出力端子OUT+及び出力端子OUT−からの各信号出力の様子が、「OUTj+(R)」及び「OUTj−(R)」にそれぞれ記されている。
【0061】
そして、不一致降下モードM1の状態が終了した後の不一致降下モードM2の状態においても、不一致降下モードM1の状態と同様に、各第1、第2のアナログ/パルス幅変調回路13、14、及び、各第1、第2のパルス信号比較回路15、16において、それぞれ信号出力の制御が行われる。
また、不一致降下モードM1の状態、及び、不一致降下モードM2の状態を経て低下した、各相関検知回路31のコンデンサ38の電圧値は、不一致降下モードM2でランプ信号の値が最小値に低下した時点で確定する。
本実施の形態では、各相関検知回路31のコンデンサ38の電圧値を確定するまでの期間を、相関処理期間といい、相関処理期間においては、第1、第2の信号発信回路36、37はいずれか一方のみが信号出力を行う(即ち、第1、第2の制御パルス信号の各値は、一方が0で、他方が1である)。
【0062】
相関処理期間が終了後、コンデンサ38の電圧値を基に、第1の撮像素子11の画素17と第2の撮像素子12の画素17の相関レベルを検出する読み出し期間に移行する。
読み出し期間では、複数のシフトレジスタ54に対して、左のシフトレジスタ54から右に向かって順番に、1クロックの時間間隔で信号が与えられる。なお、
図8では、シフトレジスタ54に与えられる信号の様子が「CLK」として記されている。
各相関検知回路31は、シフトレジスタ54から読み出し信号を与えられたタイミングで、接続された各電流電圧変換回路51に電流信号を送信し、電流電圧変換回路51は、受信した電流信号を電圧信号に変換して、演算回路に出力する。
【0063】
以上説明した視差センサ10全体の動作は、第1、第2の撮像素子11、12の画素17の一の行について相関レベルを算出するものであり、これを、画素17の全ての行を対象に、順次、行うことで、第1、第2の撮像素子11、12の画素の各行について、各相関検知回路31から電流信号が出力される。
その結果、相関検知回路マトリックス30は、複数の第1の差分パルス信号それぞれと複数の第2の差分パルス信号それぞれの各組み合わせに対し、第1、第2の差分パルス信号の相関の大きさに比例もしくは対応するパルス幅の電流信号(相関アナログ信号)を出力することができる。
【0064】
また、第1、第2の撮像素子11、12の画素17の複数の行ごとに、相関処理期間と読み出し期間とを交互に設けてもよいが、
図9に示すように、第1、第2の撮像素子11、12の画素17の全ての行それぞれに対して、連続して相関処理期間を設け、その後に、読み出し期間を設けて電圧信号を出力し、相関レベルを算出するようにしてもよい(以下、この処理の方法を「相関積分処理」という)。
相関積分処理を採用する場合、一の相関処理期間が終了した時点で得られる相関結果に、次の相関処理期間で得られる相関結果が加えられ、最後の相関処理期間が終了した時点で、最終的な相関結果が得られる(即ち、各相関検知回路31のコンデンサ38の電圧が確定し、出力される)。
【0065】
ここで、相関検知回路31は、
図5に示すように、定電流源として機能するトランジスタ41が電流スイッチ回路部39、40に接続され、電流スイッチ回路部39、40が備えるMOSFETの数は、それぞれ2つである。このため、相関検知回路31は、第1、第2の撮像素子11、12の各画素17の相関とは関係なくコンデンサ38からリークする電荷量を抑制することができる。
【0066】
以下、コンデンサ38からリークする電荷量を抑制可能な理由を、
図10に示す比較例と比較して説明する。
比較例に係る相関検知回路100は、
図10に示すように、2つの電流スイッチ回路部101、102がそれぞれ2つのパスを備え、電流スイッチ回路部101、102それぞれの一方のパスに2つのMOSFET103、104があり、電流スイッチ回路部101、102それぞれの他方のパスに2つのMOSFET105、106がある。
定電流源として機能するトランジスタ107は、電流スイッチ回路部101、102にドレインが接続され、ソースがグランドに接続されている。
なお、トランジスタ107はMOSFETである。また、相関検知回路31と同様の構成については、相関検知回路31と同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
【0067】
相関検知回路100は、相関検知回路31と異なり、電流スイッチ回路部101のMOSFET103、105に対し、第2のパルス信号比較回路16が、直接、接続され、電流スイッチ回路部101のMOSFET104、106に対し、第1のパルス信号比較回路15が、直接、接続され、電流スイッチ回路部102のMOSFET103、105に対し、第2のパルス信号比較回路16が、直接、接続され、電流スイッチ回路部102のMOSFET104、106に対し、第1のパルス信号比較回路15が、直接、接続されている。
【0068】
電流スイッチ回路部101は、第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUT+、及び、第2のパルス信号比較回路16の出力端子OUT+のいずれか一方のみから比較パルス信号が出力されている際に導通状態となって、トランジスタ107の電圧値を低下させる。
そして、電流スイッチ回路部102は、第1のパルス信号比較回路15の出力端子OUT−、及び、第2のパルス信号比較回路16の出力端子OUT−のいずれか一方のみから比較パルス信号が出力されている際に導通状態となって、トランジスタ107の電圧値を低下させる。
【0069】
相関検知回路31、100を比較すると、相関検知回路31では、
図5に示すように、定電流源として機能するトランジスタ41が、電流スイッチ回路部39、40とコンデンサ38の間にあるのに対し、相関検知回路100では、
図10に示すように、電流スイッチ回路部101、102に接続されたトランジスタ107が、グランドに接続されている。
更に、相関検知回路31では、
図5に示すように、電流スイッチ回路部39、40がそれぞれ、2つのMOSFETを備え、そのMOSFETが全てn型であるのに対し、相関検知回路100では、
図10に示すように、電流スイッチ回路部101、102がそれぞれ、4つのMOSFETを備え、しかも、その4つのMOSFETは、2つがp型で、残りの2つがn型である。
【0070】
ここで、トランジスタ107はソースがグランドに接続されているので、トランジスタ107のドレインの電圧は、電流スイッチ回路部101、102が共に非導通状態でグランドレベルまで低下している。
このため、共に非導通状態であった電流スイッチ回路部101、102の少なくとも一方が導通状態となってコンデンサ38の電圧低下が一定の速度になったときの、トランジスタ107のドレインの電圧値をVsとすると、電流スイッチ回路部101、102の少なくとも一方が導通状態となってから、トランジスタ107のドレインの電圧値がVsになるまでの間、第1、第2の撮像素子11、12の各画素17の相関とは関係なく、コンデンサ38から電荷がリークすることになる。
【0071】
コンデンサ38から電荷がリークする前のコンデンサ38の電圧と、Vsとの差をVonとすると、リセットスイッチ48にリセット信号を与えた直後は、以下の式3が成立する。
Von<<Vc≒Vd ・・・・・(式3)
【0072】
従って、Vs≒Vdとみなせる。なお、Vdは、電源47の電圧値である。
そして、トランジスタ107のドレインノードの寄生容量をCs、第1、第2の撮像素子11、12の各画素17の相関とは関係なくコンデンサ38からリークする電荷量をQsとすると、Qs=Cs×Vsであるので、リセットスイッチ48にリセット信号を与えた直後のQsは、Qs≒Cs×Vdとなる。
【0073】
コンデンサ38の容量をC、リセットスイッチ48にリセット信号を与えた直後のコンデンサ38の電荷量をQとすると、Q≒C×Vdであるから、Qs≒Q×(Cs/C)となる。
よって、電荷リークが相関処理期間ごとに生じることを鑑みれば、この電荷リークが、第1の撮像素子11の画素17と第2の撮像素子12の画素17の相関レベルの導出精度に及ぼす影響は大きいといえる。
【0074】
これに対し、本実施の形態の相関検知回路31は、定電流源として機能する
図5に示すトランジスタ41の閾値電圧をVtとすると、電流スイッチ回路部39、40に接続されているトランジスタ41のソースノードの電圧値は、電流スイッチ回路部39、40が共に非導通状態のとき、Vb−Vtとなる。なお、Vbはトランジスタ41のゲートに与えられる電圧値である。
【0075】
ここで、Vbには、他の周知の定電流源の場合と同様に、Vtより少し高い値(例えば、1ボルト高い値)が設定されているので、Vb−Vtは小さい値である。
従って、非導通状態であった電流スイッチ回路部39、40の少なくとも一方が導通状態になってから、トランジスタ41のソースノードの電圧値がVb−Vtになるまでの間に、第1、第2の撮像素子11、12の各画素17の相関とは関係なくコンデンサ38からリークする電荷量を抑制することができる。その理由を、以下に記す。
【0076】
相関検知回路31において、第1、第2の撮像素子11、12の各画素17の相関とは関係なくコンデンサ38からリークする電荷量をQm、トランジスタ41のソースノードの寄生容量をCmとすると、以下の式4が成立する。
Qm=Cm×{(Vb−Vt)−Von} ・・・・・(式4)
そして、(Vb−Vt)−VonとVdには、以下の式5の関係がある。
(Vb−Vt)−Von<<Vd ・・・・・(式5)
【0077】
相関検知回路31の電流スイッチ回路部39、40は、相関検知回路100の電流スイッチ回路部101、102に対し、電流制御用のトランジスタ41に接続されたMOSFETの数がそれぞれ半分であるので、CmとCsには、以下の式6の関係が成り立つ。
Cm<Cs ・・・・・(式6)
式4〜式6、及び、Qs≒Cs×Vdより、Qm<<Qsといえる。
即ち、相関検知回路31は、相関検知回路100に比べ、相関積分処理において、電荷リークが、第1の撮像素子11の画素17と第2の撮像素子12の画素17の相関レベルの導出精度に及ぼす影響を小さくすることができる。
【0078】
また、相関検知回路31を採用した視差センサ10では、相関検知回路100を採用する視差センサに比べ、全体で、4×(n―1)個のXNOR回路32〜35が追加になるが、相関検知回路100を採用した視差センサでは、視差センサ10に比べて、電流スイッチ回路部全体に用いられるMOSFETの数が、4×(n―1)×(n―1)個も多いことから、相関検知回路31は、相関検知回路100に比べ、視差センサの高集積化を可能とする。
【0079】
そして、相関検知回路31は、相関検知回路100と異なり、電流スイッチ回路部39、40それぞれに設けられた4つのMOSFET(トランジスタ43〜46)が全て同型であり、電流スイッチ回路部39、40に異なったウエルを形成する必要がないことから、相関検知回路31は、相関検知回路100に比べ、更なる視差センサの高集積化が可能である。
また、本実施の形態では、リセットスイッチ48にp型のMOSFETを用いているが、これをトランジスタ41、43〜46、読出スイッチ49と同じn型にして、相関検知回路31が備えるMOSFETの型を統一することで、高集積化の効果をより高めることができる。
【0080】
次に、視差センサ10に適用される相関アナログ信号を生成する相関信号の生成方法を説明する。
その相関信号の生成方法は、(1)第1の撮像素子11で被写体を撮像し、複数の第1のアナログ電圧信号を出力すると同時に、第2の撮像素子12で、第1の撮像素子11が撮像する被写体を異なる角度から撮像し、複数の第2のアナログ電圧信号を出力する工程と、(2)複数の第1のアナログ電圧信号を、複数の第1のパルス幅画素信号に、並列に配された複数の第1のアナログ/パルス幅変調回路13によって、それぞれ同時に変換する処理、及び、複数の第2のアナログ電圧信号を、複数の第2のパルス幅画素信号に、並列に配された複数の第2のアナログ/パルス幅変調回路14によって、それぞれ同時に変換する処理を同時に行う工程と、(3)隣り合う第1のアナログ/パルス幅変調回路13からそれぞれ出力される2つの第1のパルス幅画素信号の差異を第1の比較パルス信号として出力する処理を、複数の第1のアナログ/パルス幅変調回路13全てに対して行い、隣り合う第2のアナログ/パルス幅変調回路14からそれぞれ出力される2つの第2のパルス幅画素信号の差異を第2の比較パルス信号として出力する処理を、複数の第2のアナログ/パルス幅変調回路14全てに対して行う工程と、(4)各第1の比較パルス信号と第1の制御パルス信号の排他論理和の否定値(排他論理和の値であってもよい)を、第1の差分パルス信号として出力し、各第2の比較パルス信号と第2の制御パルス信号の排他論理和の否定値(排他論理和の値であってもよい)を、第2の差分パルス信号として出力する工程と、(5)複数の第1の差分パルス信号それぞれと複数の第2の差分パルス信号それぞれの各組み合わせに対し、第1、第2の差分パルス信号の相関の大きさに比例もしくは対応する相関アナログ信号を出力する工程とを有している。
【0081】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、第1、第2の論理回路は、XNOR回路(排他的論理和の否定値を出力する回路)に限定されず、XOR回路(排他的論理和の値を出力する回路)にすることもでき、第1、第2の論理回路にXOR回路を採用する場合、相関検知回路の電流スイッチ回路部にp型のMOSFETを用いればよい。
また、相関検知回路から出力される相関アナログ信号は、電流信号である必要はなく、電圧信号であってもよい。相関検知回路にコンデンサの電圧値に比例した大きさの電圧値を出力する出力部を設けることで、相関アナログ信号として電圧信号を出力することができる。
そして、相関検知回路は、第1、第2の差分パルス信号に相関がある時間帯で、コンデンサから電荷を放電させて電圧を低下させる設計になっているが、第1、第2の差分パルス信号に相関がある時間帯で、コンデンサに電荷を一定の速度で充電して電圧を上昇させる設計であってもよい。
【0082】
更に、第1、第2のパルス信号比較回路は、それぞれ第1、第2の論理回路に直接接続されている必要はなく、第1のパルス信号比較回路と第1の論理回路の間、及び、第2のパルス信号比較回路と第2の論理回路の間に、それぞれ特定の回路を配置してもよい。
ここで、特定の回路とは、例えば、第1のパルス信号比較回路から出力される第1の比較パルス信号が所定のパルス幅未満の場合に、予め定められたパルス幅を有するパルス信号を第1の論理回路に送信し、第1のパルス信号比較回路から出力される第1の比較パルス信号が所定のパルス幅以上の場合、第1の比較パルス信号をそのまま、第1の論理回路に送るものである。この特定の回路を設けることによって、距離を計測する対象となる被写体を特定する検出処理の簡素化を期待することができる。なお、これと同様に機能する回路が、第2のパルス信号比較回路と第2の論理回路の間にも必要となる。
この特定の回路を設けた場合でも、所定の条件で、第1の比較パルス信号が第1の論理回路に入力し、第2の比較パルス信号が第2の論理回路に入力することになるため、この特定の回路を設けた視差センサも、本発明の適用範囲であることはいうまでもない。