(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導光板の少なくとも一方の側面側に一次光源が設置され、前記導光板は、出射面、該出射面に対向する底面、及び少なくとも一側面に設けられた前記一次光源から出射された光を入射させる入射端面を有するエッジライト方式の照明装置であって、
X軸と、X軸に直交するY軸で構成されるX−Y平面の法線をZ軸として、前記一次光源はX軸に平行に配置しており、前記導光板は前記X−Y平面に平行に配置しており、前記導光板の入射端面はX−Z平面に平行であり、
前記導光板は、前記底面に所定ピッチで形成されたX軸方向に平行な複数の凹条パターンと、前記出射面に所定ピッチで形成されたY軸方向に平行な複数の凸条パターンを有しており、
前記凹条パターンは、Y−Z平面に平行な断面において、内側の第1斜面と、この第1斜面と連続して外側に開口する第2斜面を有し、向かい合う前記第1斜面で形成される頂角を95°〜110°内に設定し、向かい合う前記第2斜面で形成される見かけ上の頂角を60°〜75°内に設定した段付きのV字形状であり、
Y−Z平面に平行な断面において、前記第1斜面の一辺を第1斜辺とし、前記第2斜面の一辺を第2斜辺として、連続する前記第1斜辺と前記第2斜辺の全長を全斜辺長と定義したときに、この全斜辺長に対する前記第2斜辺の斜辺長の比率が40〜65%に設定されていることを特徴とする照明装置。
前記導光板の底面側には光を反射する反射シートを有し、前記導光板の出射面側には光を均一に拡散する拡散シートを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施形態の一例に係るエッジライト方式の照明装置を示す分解斜視図、
図2は、
図1のA−A線断面図である。なお、本実施形態に係るエッジライト方式の照明装置1では、X軸と、X軸に直交するY軸で構成されるX−Y平面の法線をZ軸とし、Z軸方向が光の出射方向としている。
【0021】
図1、
図2に示すように、本実施形態に係るエッジライト方式の照明装置1は、透明樹脂(例えば、アクリル樹脂)などから形成された透明構造体である導光板2、この導光板2のY軸方向の両側の端面(以下、「入射端面」という)2a,2b側にそれぞれ配置された発光ユニット3a,3b、導光板2の背面(以下、「底面」という)2c側に設置された反射シート4、導光板2の前面(以下、「出射面」という)2d側に設置された光学シートとしての拡散シート5を主構成部材として備えている。
【0022】
なお、この照明装置1をオフィスや住宅等の天井面に設置した場合には、
図3に示すように、反射シート4側が天井面10に位置し、拡散シート5側(出射面2d側)から下方(床面側)に向けて光が出射される。
【0023】
導光板2の底面2cには、X軸方向に延びる断面形状がV字状(V溝状)の凹条6が所定のピッチで複数形成されている。また、導光板2の出射面2dには、Y軸方向に延びる断面形状が台形状の凸条7が所定のピッチで複数形成されている(導光板2の詳細については後述する)。
【0024】
一次光源としての発光ユニット3a,3bは、導光板2のY軸方向の両側端面(入射端面2a,2b)にX軸方向に沿ってそれぞれ配置されており、発光ユニット3a,3b内には、導光板2のX軸方向に沿って直線状に所定間隔で光源としてのLED(発光ダイオード)8が複数配置されている。LED8の配置間隔は、例えば数mm〜20mm程度である。なお、光源としてはLED以外にも、冷陰極管などの連続的な光源であってもよい。
【0025】
発光ユニット3a,3bの各LED8から発せられた光は、導光板2の両側の入射端面2a,2bから導光板2内のY軸方向へ
入射される。なお、本実施形態では、導光板2のY軸方向の両側端面(入射端面2a,2b)に発光ユニット3a,3bを配置した構成であったが、どちらか一方側の端面に発光ユニットを配置する構成であってもよい。
【0026】
反射シート4は、導光板2の入射端面2a,2bから入射された光のうちの導光板2の底面2cから外へ出射した光を、再度導光板2へ入射させる機能を有している。この反射シート4は、反射率95%以上のものが光の利用効率が高く望ましい。反射シート4の材質としては、アルミ、銀、ステンレスなどの金属箔や、白色塗装、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂などが挙げられる。
【0027】
導光板2の前面側(正面側)である出射面2d側に設置された拡散シート5は、導光板2の出射面2dから出射された光を適度に均一化させて、明暗ムラを抑制して外観を向上させる機能を有している。
【0028】
オフィスや住宅等の天井面に用いられる照明装置は、直接、照明装置の発光面(出射面)が視認されるので外観品位が重視されるため、拡散シートを1枚ないしは複数枚使用することがある。この拡散シート5は、拡散性を有する樹脂で作製された板状物(たとえばPMMA、PC等)でもよく、これらの板を熱成形して3次元形状に加工した保護カバー状であってもよい。なお、導光板2の出射面2d側への拡散シート5の設置は必須ではなく、照明装置1の設置場所や用途等に応じては拡散シート5を省略してもよい。
【0029】
(導光板2の底面2cの構成)
図1に示したように、導光板2の底面2cには、所定のピッチで形成された凹条6が形成されている。これらの凹条6は断面形状がV字形状(V溝状)に形成されており、X軸方向に延びている。詳細には、
図4の拡大図に示すように、凹条6は、断面形状が段付きのV字状(以下、単に「V字状」という)に形成されている。
【0030】
この断面形状がV字状の凹条6は、頂角θ1が95°〜110°内で例えば100°に設定されている内側の第1斜面6aと、この第1斜面6aと連続する見かけ上の頂角θ2が60°〜75°内で例えば70°に設定された外側に開口した第2斜面6bによって形成されている(凹条6を形成する第1斜面6aと第2斜面6bの詳細については後述する)。
【0031】
なお、
図4に示す断面形状がV字形状の凹条6において、第1斜面6aの一辺を第1斜辺6a’とし、第2斜面6bの一辺を第2斜辺6b’とする。
【0032】
そして、本実施形態では、連続するこの第1斜辺6a’と第2斜辺6b’の全長を全斜辺長と定義したときに、この全斜辺長(第1斜辺6a’+第2斜辺6b’の斜辺長)に対する第2斜辺6b’の斜辺長の比率(以下、「斜辺長比率」という)が40〜65%程度に設定されている。
【0033】
(導光板2の出射面2dの構成)
図2に示すように、導光板2の出射面2dには、所定のピッチで複数形成されたX−Z平面に平行な断面形状が台形状の凸条7がY軸方向に延びている。この台形状の凸条7の一般的な高さは、例えば0.001〜0.1mmの範囲内に設定されており、断面が台形状の凸条7の一般的な傾斜角度は、例えば30〜60°の範囲内に設定されている。
【0034】
なお、導光板2の出射面2dに形成した凸条7は、本実施形態では断面形状が台形状であったが、これ以外にも断面が円弧状、双曲線状または放物線状であるいわゆるレンチキュラーレンズ形状でもよい。
【0035】
次に、導光板2の底面2cに断面がV字状の凹条(第1斜面6aの頂角θ1が100°)6が形成され、導光板2の出射面2dに断面が台形状の凸条7(断面を構成する斜辺と出射面2dとのなす傾斜角度が55°)が形成されている場合に、正面方向(Z軸方向)の輝度が向上する原理を、
図5を参照して説明する。なお、断面がV字状の凹条6の第2斜面6b(見かけ上の頂角θ2が70°)においても、略同様である。
【0036】
図1に示した照明装置1において、導光板2の入射端面2a,2bから入射した光は、導光板2の底面2cに形成されたV字状の凹条6にて所定の方向に反射されて出射面2dから出射したり、V字状の凹条6を透過して一旦導光板2の底面2cから出て、下部に配設されている反射シート4で拡散され、再度導光板2に入射して出射面2dから出射したりするが、正面方向に出射する光は、底面2cのV字状の凹条6にて所定の方向に反射されたものが主たるものである。
【0037】
導光板2の出射面2d(凸条7)と底面2c(凹条6)において、X−Y平面に平行な面で全反射しながら伝播している光のうちには、
図5に示す光線Cのように、導光板2の底面2cに設けられたV字状の凹条6の斜面に入射する場合がある。なお、
図5では、光線Cの凹条6の斜面に対する仰角は10°であり、Y軸となす角度が23°である。
【0038】
前記光線Cは、V字状の凹条6の斜面にて、入射端面(X−Z平面)と平行な面上においてZ軸となす角度が22°の方向に反射光C'として全反射される。この反射光の一部は、出射面
2dに形成されている断面が台形状の凸条(
図5では凸条7')の斜面から出射した場合には、正面方向(Z軸方向)に出射される。このため、正面方向に出射する光の光度を向上させることができる。
【0039】
更に、導光板2の内部を伝播している光のうち、光線Dは出射面2dに形成されている断面が台形状の凸条(
図5では凸条7)の斜面において全反射されることにより、光線Cに偏向される。即ち、出射面2dに形成されている断面が台形状の凸条(
図5では凸条7)の斜面によって、光線Cが倍増されることになり、正面方向に出射する光の光度をより向上させることができる。
【0040】
なお、
図5では、光線DはX−Y平面となす角度が19°であり、Y軸となす角度が16°である。
【0041】
本実施形態の照明装置1では、上記したように、導光板2の底面2cに形成した断面形状がV字状の凹条6を、頂角θ1が95°〜110°内に設定された第1斜面6aと、該第1斜面6aと連続する見かけ上の頂角θ2が60°〜75°内に設定された第2斜面6bとで形成して、出射面2dを斜め視したときに部分的に輝度が大きく変化することを抑制するようにした。
【0042】
θ1が95°未満であると、導光板2の出射面2dから出射される光の角度依存性が強く、画面品位を整えるために拡散性の高い拡散シート5が必要となり、エネルギー効率の観点から好ましくない。θ1が110°を超えると、導光板2のY軸方向に沿った中心付近の輝度勾配が強くなり、第2斜面6bの偏向作用によって打ち消すことができなくなる。
【0043】
θ2が60°未満では、導光板を作製するときに、金型から離型させることが難しくなる。θ2が75°を超えた場合、出射面2dから出射される最大出射角度は法線方向となるため、導光板2の発光ユニット3b側の下方から斜め視すると、導光板2の入射端面2a(発光ユニット3a)側を低く、入射端面2b(発光ユニット3b)側を高くする効果が弱くなる。
【0044】
以下、導光板2の底面2cに形成した断面がV字状の凹条6を、頂角θ1が95°〜110°内に設定された第1斜面6aと、該第1斜面6aと連続する見かけ上の頂角θ2が60°〜75°内に設定された第2斜面6bとで形成することで、出射面2dを斜め視したときに部分的に輝度が大きく変化することを抑制できる理由について説明する。
【0045】
なお、本説明に用いる照明装置は、
図6に示すような構成であり、導光板2は一辺が600mmの正方形状で、厚みが3mmで、対向する2つの入射端面2a,2b、出射面2dおよび底面2cを有する。
図6示した照明装置1の構成は、
図1に示した照明装置1と同様である。なお、導光板2の出射面2dには、
図1に示した照明装置1の台形状の凸条7に変えて、アスペクト比が20%の断面形状が円弧であるレンチキュラーレンズを51μmの一定ピッチで形成されたものとした。
【0046】
このアスペクト比は、レンチキュラーレンズの垂直断面をトレースする円の半径をRとし、レンチキュラーレンズを形成する円弧の頂点から弦までの距離をrとすると、r/2R(%)で定義される。また、出射面2d上には、株式会社ツジデン製の拡散シート5(商品名:D124)を有する構成とした。
【0047】
そして、導光板2の底面2cに形成した断面がV字状の凹条6を、頂角θ1が100°に設定された第1斜面6aと、該第1斜面6aと連続する見かけ上の頂角θ2が70°に設定された第2斜面6bとで形成し、深さ7μm、ピッチは入光端面側570μmから導光板2の中央100μmに向けて緩やかな分布をもたせたもの(実施形態1)、または、頂角θ1が110°に設定された第1斜面6aと、該第1斜面6aと連続する見かけ上の頂角θ2が60°に設定された第2斜面6bとで形成し、深さ7μm、ピッチは入光端面側840μmから導光板2の中央120μmに向けて緩やかな分布をもたせたもの(実施形態2)とした。
【0048】
最初に比較のため、導光板2の底面2cに、断面形状が単純なV字状で、頂角が100°の凹条(
図4に示した本実施形態の凹条6の第1斜面6aに相当)を形成した場合について説明する。
【0049】
図7は、導光板2の底面2cに、断面形状が単純なV字状で、頂角が100°の凹条を形成したときの、発光ユニット3a側の入射端面2aから60mm入った位置での出射面2dから出射された光(出射光)の光度分布(実線)の測定結果である。
【0050】
図7に示した光度分布の測定結果において、導光板2の出射面2dの正面方向(Z軸方向)を出射角度0°とし、Z−Y平面において、入射端面2a(発光ユニット3a)側が−90°、入射端面2b(発光ユニット3b)側が+90°である。
【0051】
なお、
図6、
図7において、矢印A方向は、発光ユニット3a側の入射端面2aから60mm入った位置での出射面2dから出射された光(出射光)の出射方向である。
【0052】
図7に示した出射光の光度分布(実線)において、発光ユニット3a側の入射端面2aから60mm入った位置では、導光板2の出射面2dの法線方向であるZ軸に対して、導光板2の中心側への出光が多い。
【0053】
更に、導光板2の出射面2dからより大きな光を取り出すため、導光板2の底面2cには、断面形状がV字状の凹条6を多数形成している。このため、入射端面2aから入射して導光板2の内部を伝播する光のエネルギーは、導光板2の中心部付近を透過するあたりまでに、導光板2の出射面から出射されるため、A方向に代表される出射光のように導光板2の中心側へ出射する出射光が多く存在する。
【0054】
しかしながら、入射端面2aから入射して導光板2の内部を伝播する光のエネルギーは、導光板2の中心部付近を透過した、さらに先の領域では非常に小さくなる。このため、入射端面2aから導光板2の中心部までの領域におけるA方向に代表されるような出射光は、導光板2の中心を越えた領域では、入射端面2aから入射した伝播光で発生させようとしても、かなり弱くなってしまう。
【0055】
逆に、この領域は、入射端面2bからの伝播光が多く存在するが、
図7に示したように、この伝播光によるA’方向の出光分布(点線)が強くなるため、いくら入射端面2bからの伝播光が多く存在しても、A方向への出射を増やすことはできない。
【0056】
このため、導光板2の入射端面2b(発光ユニット3b)側の下方から斜め視した場合、導光板2の入射端面2aをY軸原点として、Y軸方向に沿った輝度分布は、
図8に示すように、入射端面2aから導光板2の中心部までの輝度は高く、中心部から入射端面2b側の輝度は低く、導光板2の中心部付近で輝度勾配が大きくなっている。
【0057】
図8は、斜め視角度α(
図3参照)が10°と20°のときの輝度分布の測定結果を示している。横軸は、導光板2のY軸方向に沿った中央部の一方の端面(0mm:入射端面2a(発光ユニット3a)側の端面)から他方の端面(600mm:入射端面2b(発光ユニット3b)側の端面)間での位置(mm)であり、縦軸は輝度である。
【0058】
このように、導光板2の底面2cに頂角が100°の凹条6が形成されている場合、導光板2の発光ユニット3b側の下方から斜め視すると、導光板2のY軸方向に沿った中心部付近での輝度勾配が大きい。このため、導光板2の発光ユニット3b側の下方から斜め視した場合、導光板2の中心部付近で輝度が大きく変化するために、ユーザは、導光板2のY軸方向に沿った中心部付近がその周囲よりも暗く見えてしまう(明暗むらとして見える)。
【0059】
次に、導光板2の底面2cに、断面形状が単純なV字状で、頂角が70°の凹条(
図4に示した本実施形態の凹条6の第2斜面6bに相当)を形成した場合について説明する。
【0060】
図9は、導光板2の底面2cに、断面形状が単純なV字状で、頂角が70°の凹条を形成したときの、発光ユニット3a側の入射端面2aから60mm入った位置での出射面2dから出射された光(出射光)の光度分布(実線)の測定結果である。
【0061】
図9に示した光度分布(実線)の測定結果において、
図6の導光板2の出射面2dの正面方向(Z軸方向)を出射角度0°とし、Z−Y平面において、入射端面2a(発光ユニット3a)側が−90°、入射端面2b(発光ユニット3b)側が+90°である。
【0062】
この測定では、導光板2の底面2cに頂角が70°の凹条6を形成している。なお、
図9において、矢印B方向は、発光ユニット3a側の入射端面2aから60mm入った位置での出射面2dから出射された光(出射光)の出射方向である。
【0063】
図9に示した出射光の光度分布(実線)において、導光板2の出射面2dの法線方向であるZ軸に対して、上記の頂角が100°の凹条6の場合よりも入射端面2a(発光ユニット3a)側への出光が多い。これは、出射面2dから出射する光のうち、入射端面2a(発光ユニット3a)側に出光する光のエネルギーが大きいことを示している。
【0064】
このため、入射端面2a側の発光ユニット3a(LED8)から出射されて導光板2の内部に入った光は、導光板2の中心部付近までは伝播光が多く存在しているが、
図9のように出射面2dからB方向に光を出射するため、導光板2の入射端面2b(発光ユニット3b)側の下方から斜め視した場合では、導光板2の中心部付近までは輝度が上がらない。
【0065】
そして、導光板2のY軸方向に沿って中心部付近を超えると、導光板2内のY軸方向に沿って入射端面2b側に伝播する光の量が極めて少なくなるが、入射端面2b側の発光ユニット3bから導光板2内に入射した伝播光によって、出射面2dからB’方向に光(点線で示した出射光の光度分布)を出射できる。
【0066】
よって、導光板2の入射端面2b(発光ユニット3b)側の下方から斜め視した場合、
図10に示すように、導光板2の入射端面2aをY軸原点として、導光板2の入射端面2a(発光ユニット3a)側が低く、入射端面2b(発光ユニット3b)側が高くなる単純な輝度勾配となっている。
【0067】
図10は、斜め視角度α(
図3参照)が10°と20°のときの輝度分布の測定結果である。横軸は、導光板2のY軸方向に沿った中心部の一方の端面(0mm:入射端面2a(発光ユニット3a)側の端面)から他方の端面(600mm:入射端面2b(発光ユニット3b)側の端面)間での位置(mm)であり、縦軸は輝度である。
【0068】
このように、導光板2の底面2cに頂角が70°の凹条6が形成されている場合、導光板2の発光ユニット3b側の下方から斜め視すると、導光板2の入射端面2a(発光ユニット3a)側が低く、入射端面2b(発光ユニット3b)側が高くなる単純な輝度勾配となる。
【0069】
よって、
図8と
図10に示した各輝度分布を合成することで、斜め視した場合の導光板2のY軸方向に沿った入射端面2a(発光ユニット3a)から入射端面2b(発光ユニット3b)間での輝度勾配を、斜め視する側の輝度を高く、これと対向する側の輝度を低くすることができる。これにより、局所的に輝度が大きく変化することのない単調な輝度勾配にすることができるため、ユーザ(視認者)が出射面2dを斜め視したときの輝度むらが低減されて、外観上の見栄えを良くすることができる。
【0070】
即ち、
図4に示したように、導光板2の底面2cに形成した断面形状がV字状の凹条6を、頂角θ1が100°に設定された第1斜面6aと、該第1斜面6aと連続する見かけ上の頂角θ2が70°に設定された第2斜面6bとで形成するようにした実施形態1において、出射面2dを斜め視した場合での、導光板2のY軸方向に沿った中心付近の入射端面2b(発光ユニット3b)から入射端面2a(発光ユニット3a)間での輝度分布の変化を小さくすることができる。
【0071】
次に、実施形態1に係る導光板2を有する照明装置1に対して、導光板2の入射端面2b(発光ユニット3b)側の下方から斜め視した場合における、導光板2のY軸方向に沿った輝度分布を測定した。
【0072】
図11は、斜め視角度α(
図3参照)が10°で、発光ユニット3b側から斜め視したときの出射面2dの輝度分布の測定結果であり、
図12は、斜め視角度α(
図3参照)が20°で発光ユニット3b側から斜め視したときの出射面2dの輝度分布の測定結果である。
【0073】
なお、
図11、
図12において、横軸は、導光板2のY軸方向に沿った中央部の一方の端面(0mm:入射端面2a(発光ユニット3a)側の端面)から他方の端面(600mm:入射端面2b(発光ユニット3b)側の端面)間での位置(mm)であり、縦軸は輝度である。
【0074】
この測定に用いた導光板2は、一辺が600mmの正方形状で、厚みが3mmであり、底面2cに断面がV字状の凹条(第1斜面6aの頂角θ1が100°、第2斜面6bの見かけ上の頂角θ2が70°)6を形成し、導光板2の出射面2dに断面がレンチキュラーレンズ形状(アスペクト比:20%)を形成している。なお、このアスペクト比は、レンチキュラーレンズの垂直断面をトレースする円の半径をRとし、レンチキュラーレンズを形成する円弧の頂点から弦までの距離をrとすると、r/2R(%)で定義される。
【0075】
図11、
図12の測定結果から明らかなように、斜め視角度α(
図3参照)が10°と20°の場合において、斜辺長比率(全斜辺長に対する第2斜面6bの斜辺長の比率(%))が44%、50%、65%(
図11、
図12のd,c,b)に設定されているときは、輝度分布の変化が小さく(特に、中心部付近(
図11、
図12の横軸の200mm〜400mm付近
)での輝度勾配が小さく)、出射面2dの輝度分布の均一性は実用上問題のないレベルであった。
【0076】
なお、斜め視角度αが10°と20°の場合において、斜辺長比率(全斜辺長に対する第2斜面6bの斜辺長の比率(%))が40%程度に設定されているときでも、出射面2dの輝度分布の均一性は実用上問題のないレベルであった。
【0077】
図11、
図12の測定結果において、斜辺長比率(全斜辺長に対する第2斜面6bの斜辺長の比率(%))が65%の場合(
図11、
図12のb)では、斜め視した側からその反対側に向けて輝度が少しずつ低下していることによって、輝度分布の見た目上の不均一性は目立たないレベルであった。
【0078】
また、
図11、
図12の測定結果において、斜辺長比率(全斜辺長に対する第2斜面6bの斜辺長の比率(%))が30%、0%(
図11、
図12のe,f)に設定されているときは、出射面2dの中央領域で輝度が大きく変化し、明暗むらが発生した。
【0079】
そして、
図11、
図12の測定結果において、斜辺長比率(全斜辺長に対する第2斜面6bの斜辺長の比率(%))が100%(
図11、
図12のa)に設定されているときは、出射面2dの両端での輝度差が大きくなり、見かけ上、入射端面2a側の輝度が暗く感じた。
【0080】
このように、実施形態1に係る導光板2を有する照明装置1によれば、導光板2の底面2cに形成した断面がV字状の凹条(第1斜面6aの頂角θ1が100°、第2斜面6bの見かけ上の頂角θ2が70°)6において、全斜辺長(第1斜辺6a’+第2斜辺6b’の斜辺長)に対する第2斜辺6b’の斜辺長の比率(斜辺長比率)を40〜65%に設定することで、斜め視したときにおける出射面2dの輝度分布の大きな変化を抑制することができる。
【0081】
よって、出射面2dから出射される光で照明装置1の直下を高い照度で照らすことができ、かつ斜め視したときにおける出射面の明暗むらを解消して、外観上の見栄えが悪くなることを防止することができる。
【0082】
次に、前記実施形態2に係る導光板2を有する照明装置1の詳細について説明する。なお、照明装置1の基本的な構成は、前記実施形態1の照明装置1(
図6)と同様であり、重複する説明は省略する。
【0083】
実施形態2では、
図4に示した導光板2の底面2cに形成した断面形状がV字状の凹条6を、頂角θ1が110°に設定された第1斜面6aと、該第1斜面6aと連続する見かけ上の頂角θ2が60°に設定された第2斜面6bとで形成している。それ以外は、上記した実施形態1と同じ形態であり、出射面2dを斜め視したときに部分的に輝度が大きく変化することを抑制するようにした。
【0084】
そして、実施形態1と同様に、
図13は、導光板2の底面2cに、断面形状が単純なV字状で、頂角が110°の凹条6を形成したとき、
図14は、頂角が60°の凹条6を形成したときにおいて、斜め視角度α(
図3参照)が10°と20°のときの輝度分布の測定結果を示している。
【0085】
図13、
図14において、横軸は、導光板2のY軸方向に沿った中央部の一方の端面(0mm:入射端面2a(発光ユニット3a)側の端面)から他方の端面(600mm:入射端面2b(発光ユニット3b)側の端面)間での位置(mm)であり、縦軸は輝度である。
【0086】
実施形態1と同様に、
図13と
図14に示した各輝度分布を合成することで、斜め視した場合の導光板2のY軸方向に沿った入射端面2a(発光ユニット3a)から入射端面2b(発光ユニット3b)間での輝度勾配を、単調増加から単調減少となるにすることができる。このように、、局所的に輝度が大きく変化することのない輝度勾配にすることができるため、ユーザ(視認者)が出射面2dを斜め視したときの輝度むらが低減されて、外観上の見栄えを良くすることができる。
【0087】
次に、実施形態2に係る導光板2を有する照明装置1に対して、導光板2の入射端面2b(発光ユニット3b)側の下方から斜め視した場合における、導光板2のY軸方向に沿った輝度分布を測定した。
【0088】
図15は、斜め視角度α(
図3参照)が10°で、発光ユニット3b側から斜め視したときの出射面2dの輝度分布の測定結果であり、
図16は、斜め視角度α(
図3参照)が20°で、発光ユニット3b側から斜め視したときの出射面2dの輝度分布の測定結果である。
【0089】
図15、
図16の測定結果から明らかなように、斜め視角度αが10°と20°の場合において、斜辺長比率(全斜辺長に対する第2斜面6bの斜辺長の比率(%))が40%、50%、65%(
図15、
図16のd,c,b)に設定されているときは、輝度分布の変化が小さく(特に、中心部付近(
図15、
図16の横軸の200mm〜400mm付近
)での輝度勾配が小さく)、出射面2dの輝度分布の均一性は実用上問題のないレベルであった。
【0090】
また、
図15、
図16の測定結果において、斜辺長比率(全斜辺長に対する第2斜面6bの斜辺長の比率(%))が30%、0%(
図15、
図16のe,f)に設定されているときは、出射面2dの中央領域で輝度が大きく変化し、明暗むらが発生した。
【0091】
そして、
図15、
図16の測定結果において、斜辺長比率(全斜辺長に対する第2斜面6bの斜辺長の比率(%))が100%(
図15、
図16のa)に設定されているときは、出射面2dの両端での輝度差が大きくなり、見かけ上、入射端面2a側の輝度が暗く感じた。
【0092】
このように、実施形態2に係る導光板2を有する照明装置1においても、出射面2dから出射される光で照明装置1の直下を高い照度で照らすことができ、かつ斜め視したときにおける出射面の明暗むらを解消して、外観上の見栄えが悪くなることを防止することができる。
【0093】
本願は、2013年6月13日に日本国特許庁に出願された特願2013−124441号に基づく優先権を主張し、その全ての開示は完全に本明細書で参照により組み込まれる。