【実施例】
【0068】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例において、用いた薬品に関する説明、及び用いた手法を以下に示す。
化学品(用いた材料)
AR27の高純度化学品;2、7−ナフタレンスルホン酸、3-ヒドロキシ-4-[(4-スルホ-1-ナフタレニル)アゾ]−、三Na塩(2,7-Naphthalenedisulfonic acid, 3-hydroxy-4-[(4-sulfo-1-naphthalenyl) azo]-, trisodium salt)は、シグマ(SIGMA)社からから購入した(カタログ番号87612)。
【0069】
ニューコクシン(new coccine,本明細ではcompound 2と呼ぶ)は、和光純薬工業(Wako pure chemical industries)社から購入した(カタログ番号1147-06542)。
赤色13号(acid red 13、compound 3、カタログ番号A1243)、赤色88号(acid red 88、compound 4、カタログ番号F0087)、ボルドーレッド(bordeaux red、compound 5、カタログ番号B0779)、β−ナフトールバイオレット(β-naphthol violet、compound 6
、カタログ番号N0037)、二ナトリウム 1−ニトロソ−2−ナフトール−3,6−ジスルホネート一水和物(disodium 1-nitroso-2-naphthol-3, 6-disulfonate monohydrate、compound 7、カタログ番号N0268)、二ナトリウム 3−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジスルホン酸(disodium 3-hydroxy-2, 7-naphthalenedisulfonate、compound 8、N0029)、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(4-amino-1-naphthalenesulfonic acid、compound 9、カタログ番号A0344)、ナトリウム−1−ナフタレンスルホン酸塩(sodium 1-naphthalenesulfonate、compound 10、カタログ番号N0015)は、東京化成工業(Tokyo chemical industry)社から購入した。
【0070】
A 発現プラスミド及び組み換え酵素
ヒト由来のPTPRZ(ジーンバンクアクセッションナンバー(GenBank accession no.)M93426)、ヒト由来のPTPRA(M34668)、ヒト由来のPTPRM(X58288)、ヒト由来のPTPRG(NM_002841)、ヒト由来のPTPRS(NM_002850)、ヒト由来のPTPN1(NM_002827)及び、ヒト由来のPTPN6(NM_002831)をコードするcDNAは、ヒト全RNAを鋳型とした逆転写PCR(RT-PCR)によって取得した。
【0071】
これらの取得したcDNAを鋳型とし、それぞれのPTPドメインを含む領域をコードする部分、すなわち、PTPRZの細胞内全領域に相当するアミノ酸残基1698番目から2315番目まで、PTPRAの細胞内全領域に相当する218番目から807番目、PTPRMの細胞内全領域に相当する765番目から1452番目まで、PTPRGの細胞内全領域に相当する790番目から1445番目、PTPRSの細胞内全領域に相当する1304番目から1948番目、PTPN1のPTPドメインに相当する1番目から321番目及び、PTPN6のPTPドメインに相当する220番目から523番目をPCR法によって増幅し、そのcDNA断片を取得した。PTPRBに関しては、マウス由来の細胞内領域をコードするcDNA(J. Biol. Chem. 288, 23421-23431, 2013)を用いた。
【0072】
それらのcDNAは、大腸菌発現ベクターpGEX-6P(ジーイーヘルスケア(GE Healthcare)社製)に挿入し、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現、これらをグルタチオンアフィニティー精製法によって精製し、組み換えPTP酵素標品として取得した。
PTPRZ酵素ドメインの点変異体の作成は、市販のクイックチェンジマルチサイト−ディレクテド突然変異生成キット(Quikchange multisite-directed mutagenesis kit、ストラタジーン社(Stratagene))を用いて実施した。
【0073】
EGFP融合PTPRZ−ICR(野生型またはそのPTP不活性CS変異体)タンパク質を発現するpEGFP−PTPRZICR(WT)もしくはpEGFP−PTPRZICR(CS)は、その対応するcDNAを公知のプラスミドより増幅(J. Biol. Chem. 286, 37137-37146, 2011)し、pEYFP-C1ベクター(クローンテク社(Clontech)製)へ挿入して作成した。
【0074】
マウス・ラットPTPRZ shRNAプラスミド(TRC番号:TRCN0000081069)、ラットPTPRZ siRNAs(siRNA ID:SASI_Rn01_00053281)、およびその混合された(scrambled)siRNAは、シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)社から購入できる。
【0075】
B IC
50の決定
酵素アッセイの溶媒は、100 μg/mlの牛血清アルブミン、5 mMのDTT、0.01%のBrij35(登録商標)を含んだ100 mMの酢酸、50 mMのトリスと50 mMのビス・トリス(Bis-Tris)がアッセイ用緩衝液(pH6.5)を用いた。PTP酵素のホスファターゼ活性に対する化合物の阻害効果は、DiFMUP(6,8-Difluoro-4-Methylumbelliferyl Phosphate、ライフテクノロジー社)などの人工基質を用いた。100 μlの酵素を含むアッセイ用緩衝液に評価検体となる阻害物質を加えて、室温にて2時間程度静置する。ここで用いる酵素量は、使用する評価機器に合わせて適当な速度なるように調整することが望ましい。酵素反応は、100 μlの40 μM DiFMUPを含むアッセイ用緩衝液を加えることで開始させる。DiFMUPの加水分解の速度は、分光蛍光計(FI-4500、日立社製)を使用し、蛍光強度(検出は455 nm、励起波長は358 nm)の増加としてモニターした。阻害活性(%)は、(1−阻害検体を添加した際の蛍光強度の増加速度/溶媒添加した際の蛍光強度の増加速度)×100で算出した。IC
50は、50%阻害を挟むに2点のデータから公知の計算手法によって算出した。
【0076】
PTPRZに対するAR27及び化学的類似体の阻害活性及びPTPRZの変異体を用いた阻害活性の評価には、ホスホチロシン模倣のホスホクマリル(phosphotyrosine-mimic phosphocoumaryl)アミノ・プロピオン酸(pCAP)を結合したペプチド基質配列(特開2011-178697; J. Biol. Chem. 286, 37137-37146, 2011)を含むpCAP-GIT1
549-556はPTPRZの基質として生理的な基質タンパク質のものに近くより適している。pCAP残基の加水分解は、分光蛍光計(FI-4500、日立社製)により460 nmの蛍光(334 nmの励起波長)の増加として定量評価した。阻害効果は溶媒のコントロールとの相対値として示した。
【0077】
C AR27/リポソーム複合体の調製
AR27と混合するリポソーム及びリポソーム原料は、カチオン性のものが適当である。本発明では、インビトロゲン社(Invitrogen)製のリポフェクタミン2000(Lipofectamine 2000、登録商標、(Cat no. 11668-027)を用いた。リポフェクタミン2000溶液を適当な溶媒で25倍に希釈した後、室温で5分間インキュベートした。このリポソーム溶液に対して、同じ溶媒で2 mMに希釈したAR27を等容積で加え、30分間インキュベートした。この反応液を1 mMのAR27を含むAR27/リポソーム複合体とした。リポソーム試薬及び化合物の希釈に用いる溶媒は、培養細胞実験用の場合は、培地と同等の成分が望ましく、本発明では、Opti-MEM(x1)+GlutaMAX培地(Cat no. 51985-034、インビトロゲン(Invitrogen、登録商標))を使用した結果である。また脳室内投与実験では、脳室内に安全に投与できる溶媒が望ましく、本発明では、0.9%のNaCl(生理食塩水)をした。
【0078】
D 細胞培養と遺伝子導入法
ラットC6グリオブラストーマ細胞は、5%のCO
2、37℃の加湿インキュベーター中で、10%のウシ胎児血清(FBS)と100 U/ml ペニシリン−ストレプトマイシンを含む、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco's modified Eagle's medium)(DMEM、cat no. 11995-065、ライフテクノロジー(Life technologies))で培養、継代維持した。遺伝子導入には、Amaxa Nucleofector(Amaxa社製)を用い、メーカ推奨のプログラムを用いて、2×10
6個の細胞あたり、プラスミドであれば1 μg程度、siRNAであれば100 pmol程度でエレクトロポレーション(electroporated)法によって実施した。遺伝子導入操作後の細胞は、24〜36時間の培養した後、移動移動能や細胞増殖試験のために使用できる。PTPRZの発現を安定的にノックダウンしたC6細胞系統は、PTPRZに対するshRNAプラスミドを導入後に、薬剤耐性マーカーであるピューロマイシン(puromycin)の存在下(5 μg/ml)で、限界希釈法によって選別し、取得した。
【0079】
E AR27/リポソーム複合体の細胞内取り込み量の評価
AR27やAR27/リポソーム複合体の細胞内への直接導入は、微量試薬注入装置(フェムトジェットB5247とインジェクトマンNI2、エッペンドルフ社製)を用いて実施した。AR27/リポソーム複合体は要事調製が望ましい。C6細胞(1ウエルあたり1.5×10
4セル程度)を、24ウエルのプラスチック製の培養皿に播種し、10%のFBSを含む500 μlのDMEMで細胞培養した。翌日、ウエル内の培地を500 μl のOpti-MEMに交換した後、同じ培地で適時希釈したAR27/リポソーム複合体を100 μl添加し、それぞれのアッセイにおいて適切な時間インキュベーションした。
【0080】
細胞内に取り込まれたAR27の観察は、AR27を直接注入した場合、その直後から、AR27/リポソーム複合体の場合は、添加して3時間後、培地中に含まれるAR27/リポソーム複合体を新しいOpti-MEM培地と交換してから実施した。蛍光顕微鏡(BZ-8000、キーエンス社製)を用い、励起波長、560/40 nm、蛍光波長、630/60 nmのフィルターを用いて蛍光観察した。
【0081】
細胞内へ取り込まれたAR27の定量評価は以下のように実施した。500 μlのC6細胞懸濁液(1×10
6個の細胞がOpti-MEM培地に懸濁された)に対して、Opti-MEM培地で適時希釈されたAR27/リポソーム複合体を含む溶液を100 μl添加し、37℃で1時間インキュベートした。一般的なリン酸緩衝液で細胞を遠心洗浄した後、細胞中に取り込まれたAR27を100 μlのメタノールで抽出した。遠心分離後により不要物を取り除いた後、抽出されたAR27量を525 nmの吸光度で測定した。吸光度計にはマイクロプレートリーダー(SH-9000Lab、コロナ電気会社製)を用いた。
【0082】
E ボイデンチャンバー分析(細胞移動能の評価)
ボイデンチャンバー分析は、8 μm孔サイズの膜(ケモタクシセル、クラボー(Chemotaxicell、Kurabo)社製)と24ウエルのプラスチック製組織培養プレート(BD Falcon社製)でトランスウエル・インサート(transwell inserts)を使って常法に従い実施した。具体的には、検体となる細胞を100 μg/mlのBSAを含むOpti-MEM培地中に懸濁し、ラミニン(10 μg/ml)で被覆されたトランスウエル・インサートに、1ウエルあたり1.5×10
5細胞で播種した。下部チャンバーは、細胞遊誘引物質として上皮細胞増殖因子(EGF、10ng/ml)を含有する培地で満たした。細胞播種の3時間後、10%の中性のホルマリンにより細胞を固定し、DAPI(4'、6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)により細胞核を蛍光染色した。蛍光顕微鏡観察下の観察では、まず、トランスウエルに存在する全細胞数をDAPIの蛍光シグナルとしてカウントし、次に、ウエル上部に存在する細胞を綿棒を用いて除去し、ウエル下部の表面まで移動した細胞のみの細胞数を計測し、これを細胞移動能として評価した。
【0083】
AR27/リポソーム複合体は、同じ培地で適切な濃度に希釈した後、検体細胞の懸濁液(1 mlにつき6×10
5細胞)に対して、体積比で5分の1量を添加した。この細胞懸濁液を37℃で1時間インキュベーションした後、トランスウエル・インサートに播種し、2時間後に細胞数の計測を実施した。
【0084】
F 細胞増殖能の評価
細胞増殖の評価は常法に従って実施した。具体的には、一般的な24ウエルのプラスチック製細胞培養皿(1ウエルにつき1.5×10
5細胞)に検体細胞を播種し、10%のFBSを含む500 μlのDMEMで適当時間まで培養し、細胞数をカウントした。AR27/リポソーム複合体の評価においては、検体細胞をウエルに播種して1時間後に、2%のFBSを含む500 μlのOpti-MEMに培地交換し、この培地で希釈したAR27/リポソーム複合体を100 μl添加し、指定時間まで培養した。培養皿上で生育した細胞は、トリプシン処理によって剥離・回収し、一般的な血球計盤を用いて顕微鏡下で計数した。
【0085】
G 免疫沈降とウエスタンブロット解析を用いた評価
免疫沈降とウエスタンブロット解析は常法に従い実施した。具体的には、細胞タンパク質の抽出には、20 mMのトリス-HCl、pH 7.4、1%のNP-40、150 mMのNaCl、10 mMのNaF、1 mMのオルトバナジウム酸ナトリウム塩(sodium orthovanadate)、及びプロテアーゼ阻害剤カクテル(EDTAフリー(complete EDTA-free)、ロシュ(Roche)社製)を溶解緩衝液として用いた。細胞抽出物中に混在する抗体成分は、プロテインG(Protein G)セファロース(GEヘルスケア社製)を用いた吸着処理により除去した。この抽出物に対して、マウス抗パキシリン(paxillin)抗体(BDバイオサイエンス社製)とプロテインG(Protein G)セファロースを加えた。プロテインGセファロースに吸着・回収されたパキシリンの免疫複合体は、SDS-PAGEにより分離した後、電気的ブロッティング法を用いて重合ビニリデン・ジフルオリド(PVDF)膜上に転写した。ウエスタン解析のために、タンパク質が転写されたPVDF膜は、ブロッキング溶液(10 mMのトリス-HCl、pH 7.4、150 mMのNaCl中に4%の脱脂粉ミルクと0.1%のトリトンX-100が含まれる)でブロッキングの前処理を行った。リン酸化されたタンパク質を検出する場合のブロッキング溶液には、10 mMのトリス-HCl、pH 7.4、150 mMのNaCl中に1%のBSAと0.1%のトリトンX-100が含まれる溶液を用いた。その後、PVDF膜は、同じブロッキング溶液で希釈した特異抗体で一晩静置し、ECLウエスタンブロット検出試薬(GEヘルスケア社製)を用いて検出した。
【0086】
H C6グリオブラストーマ細胞の脳内同種移植、AR27/リポソーム複合体の脳室内投与および、その組織学的な評価
この発明で行った動物実験は、大学共同利用機関法人自然科学研究機構動物実験規程に基づき設置された自然科学研究機構岡崎3機関動物実験委員会の承認を得て実施された。すべての手術はイソフルラン麻酔下で行われ、実験動物の苦しみを最小限にするよう細心の注意が払われて実施された。
【0087】
具体的には、イソフルラン麻酔下のWisterラット(オス、3週齢)を脳定位固定装置に固定し、検体グリオブラストーマ細胞を一般的なリン酸バッファーに懸濁(5 μlあたり 5×10
5細胞)し、ハミルトン注射器を用いて頭蓋表層から5 mmの深さにある線条体(striatum)の部位に移植した。脳定位手術では、検体化合物の脳室内(ICV)投与のために、ステンレス・ガイド・カニューレ(stainless guide cannula)(太さ22ゲージ、長さ7.4 mm)を左側脳室内に挿入した。
【0088】
グリオブラストーマ細胞を移植した翌日から、AR27/リポソーム複合体などの検体化合物を含む溶液をガイドカニューレを介して投与した。投与量は、5 μlであり、およそ5分間かけて注入した。術後すべての動物は、予期せぬ苦しみが生じていないか、異常な行動などがないかを毎日観察した。移植手術から7日後に、常法に従って、ホルマリン灌流固定した動物から全脳を取り出し、パラフィン包埋脳の連続冠状切片(切片圧7 μm)を作成した。ヘマトキシリン染色した連続切片を顕微鏡撮影し、その腫瘍巣の領域を一般的な画像ソフト上で目視にて特定し、その領域の面積を算出した。腫瘍体積は、全切片の腫瘍面積に切片厚を乗じて換算した。
【0089】
以下、図面による結果により本発明を説明する。
例1
図1A〜
図1Fは、PTPRZノックダウンによってC6グリオブラストーマ細胞の悪性度が低下したことを示す図である。
図1Aにおいては、PTPRZに対する特異的なsiRNA(SASI_Rn01_00053281、シグマ−アルドリッチ)及びコントロールsiRNA(scramble)をC6細胞に導入し、24から36時間培養した後、それらの細胞抽出物を、抗PTPRZ-S抗体(全てのPTPRZアイソフォームの細胞外領域を認識する特異抗体、非特許文献13参照)を用いてウエスタンブロット解析したもの(
図1Aの左側)と、クマシーブリリアントブルー(CBB)によりタンパク質染色したもの(
図1Aの右側)である。
図1Aの左側及び右側の図の縦方向は分子サイズ(単位はkDa)を示す。
図1Aの結果から、C6グリオブラストーマ細胞における主要な発現アイソフォームがPTPRZ-Bであること、そしてPTPRZに対するsiRNAによってノックダウンされたことが分かる。
【0090】
実験方法は、前記Dの細胞培養と遺伝子導入法と、Gの免疫沈降とウエスタンブロット法を参照。
【0091】
例2
図1Bにおいては、例1(
図1A)に示したPTPRZのsiRNAでノックダウンしたC6細胞とコントロールsiRNAで処理した細胞の運動能をボイデンチャンバー法によって評価した結果(
図1Bの左側)である。
【0092】
PTPRZのノックダウンによって細胞運動能は、scrambleコントロールに比して有意に低下した。すなわち、
図1Bの右側に配置したグラフにおいて「*」で示されるように、student t検定においてp < 0.05と有意差を示した。データは平均 ± 標準誤差(n = 5)である。
実験方法は、前記Eのボイデンチャンバー分析を参照。
【0093】
例3
図1Cにおいては、shRNA含有プラスミドを用いてPTPRZを安定的にノックダウンしたC6細胞株を作成、取得したことを示す(図中、RZ-KD#1及び#2として表示)。PTPRZが発現したものを抗RPTPβ抗体(PTPRZの細胞内領域を認識する特異抗体、非特許文献13参照)を用いたウエスタンブロットにより解析したもの(
図1Cの左側)とクマシーブリリアントブルー(CBB)により染色したもの(
図1Cの右側)を示す。RZ-KD#2では、PTPRZ-Bタンパク質とその細胞内タンパク質断片であるZ-ICFがほぼ消失していることが分かる。
【0094】
実験方法は、前記Gの免疫沈降とウエスタンブロット法を参照。
【0095】
例4
図1Dにおいては、例3(
図1C)に示した親細胞株(parent)のC6細胞及びC6細胞由来のPTPRZの安定的ノックダウン細胞株(RZ-KD#1及びRZ-KD#2)の細胞増殖能を評価した結果を示す。培養プレートに播種して1時間後の細胞数に違いはなく、PTPRZのノックダウンによって細胞接着性は変化していないことが分かる。一方、細胞播種して25及び49時間後の細胞数は、PTPRZのノックダウン細胞株で有意に低下した。すなわち、
図1Dのグラフにおいて「*」で示されるように、student t検定においてp < 0.05と有意差を示した。データは、平均 ± 標準誤差(n = 4)である。PTPRZの安定的ノックダウンによって細胞増殖が低下したことが分かる。
【0096】
実験方法は、前記Fの細胞増殖分析を参照。
【0097】
例5
図1Eにおいては、ボイデンチャンバー法による細胞運動能の評価の結果を示す。PTPRZの安定的ノックダウンによって細胞運動能は有意に低下したすなわち、
図1Eのグラフにおいて「**」で示されるように、student t検定においてp < 0.01と有意差を示した。データは、平均 ± 標準誤差(n = 5)である。
【0098】
実験方法は、前記Eのボイデンチャンバー分析を参照。
【0099】
例6
図1Fにおいては、C6細胞及びPTPRZのノックダウンC6細胞株の腫瘍形成を、同種同所移植モデルを用いて評価した結果を示す。ラットの脳内移植して1週間後の脳組織(冠状断面)における腫瘍形成部位のヘマトキリン染色像を示す。下側のパネルは、上側パネルの四角で囲った区域の拡大図である。スケール・バーは1 mm。右側のグラフは、脳の連続切片から測定される個々の腫瘍容積をプロットしたものである(n = 6)。グラフ中の水平バーは、それぞれのグループの平均値である。
図1Fのグラフにおいて「*」で示されるように、student t検定においてp < 0.05と有意差を示した。データは、平均 ± 標準誤差(n = 5)である。このことからPTPRZノックダウン細胞株の腫瘍サイズの成長は、親細胞株に比べて有意に抑制されることが分かる。
【0100】
実験方法は、前記HのC6グリオブラストーマ細胞の脳内同種移植、AR27/リポソーム複合体の脳室内投与および、その組織学的な評価を参照。
【0101】
例7
図2A〜
図2Bは、PTPRZノックダウンによるPTPRZの基質分子のチロシンリン酸化の上昇を示す図である。
【0102】
図2Aにおいては、C6細胞(parent)及びRZ-KD#2細胞株における全細胞タンパク質のチロシンリン酸化状態とpaxllin(PTPRZによって脱リン酸化される基質分子)の発現量をウエスタンブロットで解析した結果である。この結果より、全タンパク質のチロシンリン酸化とpaxillinの発現量に変化は認められないことが分かった。
【0103】
実験方法は、前記G 免疫沈降とウエスタンブロット法も参照)
【0104】
例8
図2Bにおいては、paxillinに対する特異抗体を用いて免疫沈降したpaxillinのチロシンリン酸化状態を評価した結果を示す。
図2Bの右側のグラフにおいて「*」で示されるように、student t検定においてp < 0.05と有意差を示した。データは、平均 ± 標準誤差(n = 3)である。このことからpaxillin上のPTPRZの脱リン酸化サイトのリン酸化は、RZ-KD#2 において有意に上昇したことが分かった。
【0105】
実験方法は、前記G 免疫沈降とウエスタンブロット法を参照。
【0106】
例9
図3A〜
図3Bは、ラットC6グリオブラストーマ細胞のPTPRZの細胞内フラグメントの過剰発現によるC6細胞の悪性度の亢進を示す図である。
図3Aにおいては、C6細胞にチロシンホスファターゼ(PTP)ドメインを有するPTPRZの細胞内全域フラグメント(Z-ICR)と蛍光タンパク質(EGFP)との融合タンパク質(EGFP-Z-ICR(WT))及び、ホスファターゼ活性に必須のシステイン残基をセリン残基に置換した変異体(EGFP-Z-ICR(CS))を発現する細胞の抽出物をPTPRZの細胞内エピトープに対する抗RPTPβを用いてウエスタンブロット解析した結果(左側図)、また分析に用いたタンパク質の総量をクマシーブリリアントブルー(CBB)染色によって検証した結果(右側図)を示す。EGFP-Z-ICR(WT)及びEGFP-Z-ICR(CS)に由来するタンパク質のバンドは、EGFP-PTPRZ-ICRsと表示している。
【0107】
実験方法は、前記Dの細胞培養と遺伝子導入法と、前記G 免疫沈降とウエスタンブロット法を参照。
【0108】
例10
図3Bにおいては、例9(
図3A)に示したEGFP-Z-ICR(WT)、EGFP-Z-ICR(CS)それと、コントロールとしてEGFPを強制発現させたC6細胞の細胞運動性をボイデンチャンバー法によって評価した結果を示す(左側の図)。
図3Bの右側のグラフは、ウエル下部に移動した細胞数を示す(前記E ボイデンチャンバー分析も参照)。「*」で示されるように、Z-ICR(WT)は、EGFP対照細胞に比べてstudent t検定においてp < 0.05と有意差を示した。このことからPTPRZの細胞内フラグメントの発現によってC6細胞の運動能は有意に亢進することが分かった。また「##」で示されるように、Z-ICR(WT)は、student t検定においてp < 0.01とZ-ICR(CS)に比べて有意な差を示した。すなわちホスファターゼ活性が運動能の亢進に必要であることが初めて分かった。データは、平均 ± 標準誤差(n = 5)である。
【0109】
実験方法は、前記Eのボイデンチャンバー分析を参照。
【0110】
例11
図4A〜
図4Bは、PTPRZ及びそのほかのPTP分子に対するAR27の阻害作用を示す図である。
図4Aにおいては、AR27の化学構造を示す。
【0111】
例12
図4Bにおいては、AR27がPTPRZ及びそのほかのPTP分子の細胞内チロシンホスファターゼ活性に与える影響のIC
50を示す。PTPZ(○)、PTPN1(●、PTP1B、NT1サブファミリー)、PTPN6(×、SHP1、NT2サブファミリー)、PTPRB(▼、PTPβ、R3サブファミリー)、PTPRS(■、PTPσ、R2Aサブファミリー)、PTPRM(▲、PTPμ、R2Bサブファミリー)、PTPRA(◆、PTPα、R4サブファミリー)、PTPRG(◇、PTPγ、R5サブファミリー)。PTP酵素の基質特異性の影響を排除するため、低分子人工基質であるDiFMUPを最終濃度20μMでアッセイ用の基質して用いた。AR27は、PTPRZおよびPTPRGに対して選択的に強く阻害することを示すことが明らかになった。
【0112】
実験方法は、前記BのIC
50の決定を参照。
【0113】
例13
図5A〜
図5Bは、AR27及びAR27の類似化合物によるPTPRZの阻害を示す図である。
図5Aにおいては、AR27(compound 1)及びその類似化合物(compound 2〜10)の化学構造を示す。
【0114】
例14
図5Bにおいては、PTPRZに最適化された基質ペプチドであるpCAP-GIT1
549-556を用いて化合物(各々10μM)の阻害活性を評価した結果を示す。化合物番号は例13に示した
図5A内に付された番号に対応している。図の縦軸は残存酵素活性を示し、DMSOコントロールとの相対値として表記されている。
図5Bの下側のグラフにおいて「**」で示されるように、ANOVAとScheffe's post hoc検定においてp < 0.01と有意な差を示した。データは、平均 ± 標準誤差(n = 3)。このことからcompound 2からcompound 6の阻害活性は、AR27に比べて低いものの有意な阻害活性は認められること、一方、compound 7からcompound 10には全く阻害活性を持たないことが初めて明らかになった。
【0115】
実験方法は、前記BのIC
50の決定を参照。
【0116】
例15
図6A〜
図6Cは、AR27の阻害に関わるPTPRZ中のアミノ酸残基の特定を示す図である。
図6Aと例16の
図6Bでは、PTPRZの触媒活性に関する部位特異的変異誘発の効果を示す。
【0117】
図6Aにおいては、PTPRZの酵素活性ドメインの各種変異体を作成し、そのタンパク質(精製されたGST融合タンパク質(白矢頭で示す))の精製度(SDS-PAGEによる)をクマシーブリリアントブルー(CBB)染色で確認した結果を示す(アミノ酸残基の表示は一文字表記による)。
実験方法は、前記Aの発現プラスミド及び組み換え酵素を参照。
【0118】
例16
図6Bにおいては、それぞれのPTPRZ変異体の同一タンパク量あたりの酵素活性(比活性)は、5nMの酵素を20μMのpCAP-GIT1
549-556を基質として用いて評価した結果を示す。データは、野生型酵素との相対値として提示したものである。その結果、「*」および「**」で示されるように、ANOVAとScheffe's post hoc検定においてp < 0.05(*)、p < 0.01(**)と有意な差を示した。データは、平均 ± 標準誤差 (n = 3〜5)。このことから、野生型に比べて、ほとんどの変異体で、酵素活性は有意に低下していたことが分かった。
【0119】
実験方法は、前記BのIC
50の決定を参照。
例17
図6Cにおいては、野生型と変異型酵素の酵素活性を同程度に調整した後、AR27、その類似化合物(例13の
図5Aに示したcompound 3からcompound 5)及び非特異的PTP阻害剤として知られるバナジン酸(vanadate)に対する阻害感受性を評価した結果を示す)。阻害分析は、pCAP-GIT1
549-556を基質として阻害化合物(各々10 μM)またはvanadate(200 μM)の終濃度になるよう加えて実施した。残存酵素活性は、各々の酵素の溶媒コントロールとの相対値として表現した。その結果、「*」および「**」で示されるように、ANOVAとScheffe's post hoc検定においてp < 0.05(*)、p < 0.01(**)と有意な差を示した。データは、平均 ± 標準誤差(n = 3)。
【0120】
具体的には次の通りであった。N1758D変異体は、AR27およびcompound 5に対しては、野生型酵素に比べて有意に阻害抵抗性を示した。しかし、compound 3及びcompound 4に対しては、野生型酵素と同程度に阻害された。また、非特異的なPTP阻害剤vanadateに対する阻害感受性は、むしろ亢進していた。このことは、AR27のナフタレン-ジスルホン酸構造の2位のスルホン酸とPTPRZの活性ドメインのN1758残基との間に相互作用が存在することを示している。
【0121】
次にY1756F変異体であるが、AR27及びcompound 3からcompound 5の全てに対して抵抗性を示した。しかし、vanadateに対する阻害感受性に変化は認められなかった。このことは、AR27及びその類似化合物に共通する、例えば、アゾ結合部位とこのチロシン残基の相互作用の存在を推測させた。
実験方法は、前記BのIC
50の決定を参照。
【0122】
例18
図7A〜
図7Dは、リポソームを用いたAR27の細胞内導入法の開発を示す図である。
図7Aにおいては、マイクロインジェクション法を用いてAR27をC6細胞にインジェクションした。蛍光と明視野(BF)イメージは、矢頭によって示されるAR27の注射の前(before)後(after)における同一視野の顕微鏡観察像を示す。細胞内のAR27は、蛍光励起によって赤い蛍光を示すことが分かった(矢頭)。
【0123】
実験方法は、前記EのAR27/リポソーム複合体の細胞内取り込み量の評価を参照。
【0124】
例19
図7Bにおいては、AR27/リポソーム複合体の最適化条件を検討した結果を示す。この結果から、100μMのAR27を含むAR27とリポソームの混合比までは直線的に細胞内取り込みは増加するが、それ以降は減少することが分かった(AR27/リポソーム複合体、白丸○)。またリポソームと混合しないと、AR27単独処理ではほとんど細胞内に取り込まれない(黒丸●)ことが分かった。
【0125】
実験方法は、前記EのAR27/リポソーム複合体の細胞内取り込み量の評価を参照。
【0126】
例20
図7Cにおいては、AR27及びリポソームで処理したC6細胞を蛍光顕微鏡で観察した結果を示す。通常のプラスチック培養皿の上で培養したC6細胞を、無処理、AR27単独処理、リポソーム単独処理、AR27/リポソーム複合体処理の条件下で3時間インキュベートし、通常培地へ交換することで細胞を洗浄した後、蛍光と位相コントラスト(PhC)を撮影した。
図7C中の最も右のパネルは、AR27/リポソーム複合体で処理した細胞のみ赤色の蛍光が観察された。スケール・バーは20μmである。AR27/リポソーム複合体でのみ、細胞内にAR27が取り込まれていることが明確に示された。
【0127】
実験方法は、前記EのAR27/リポソーム複合体の細胞内取り込み量の評価を参照。
【0128】
例21
図7Dにおいては、C6細胞を用いてPTPRZの基質分子paxillinのリン酸化に対する複合体の効果を評価した結果を示す。C6細胞懸濁液は、図に示された組合せのAR27とリポソームで30分間インキュベートし、その後、ラミニンで被覆した培養シャーレに播種した。播種15分後の細胞からタンパク抽出を行い、PTPRZの基質サイトであるTyr118のパキシリンのリン酸化を分析した(右側の上図)。右下のグラフは、その定量結果を示している。データは、平均 ± 標準誤差(n = 3)である。その結果、「**」で示されるように、ANOVAとScheffe's post hoc検定においてp < 0.05(**)と有意差を示した。この結果は、AR27/リポソーム複合体処理した場合においてのみ、paxillinのチロシンリン酸化の有意な上昇を示している。一方、全細胞タンパク質のチロシンリン酸化のパターン(左上図)とpaxllinの発現量(左下図)に変化はしておらず、複合体の処理によってチロシンリン酸化シグナルが非特異的に損なわれた可能性が否定された。
【0129】
実験方法は、前記CのAR27/リポソーム複合体の調製と、前記Gの免疫沈降とウエスタンブロット法を参照。
【0130】
例22
図8A〜
図8Bは、AR27/リポソーム複合体によるC6細胞の細胞運動及び細胞増殖能の阻害作用を示す図である。
【0131】
図8Aにおいては、AR27/リポソーム複合体がC6及びRZ-KD#2細胞株の細胞運動能に与える効果をボイデンチャンバー分析で評価した結果を示す(上側)。下側のグラフは定量解析の結果である。データは、平均 ± 標準誤差(n = 5)である。その結果、「**」で示されるように、ANOVAとScheffe's post hoc検定においてp < 0.01と有意な差を示し、C6細胞では20μMのAR27/リポソーム複合体処理によって細胞運動能が有意に低下した。
【0132】
一方、p < 0.05(#)で示されるように、RZ-KD#2細胞株は、親細胞株に比べて運動能は低下していることが、例5に示した
図1Eの結果と同様に再現した。しかしRZ-KD#2の細胞運動性は、AR27/リポソーム複合体によって抑制されなかった。このことから、AR27/リポソーム複合体の細胞運動抑制作用はPTPRZに依存的であることが明らかになった。
【0133】
実験方法は、前記CのAR27/リポソーム複合体の調製と、Eのボイデンチャンバー分析を参照。
【0134】
例23
図8Bにおいては、AR27/リポソーム複合体がC6及びRZ-KD#2の細胞増殖に与える影響を評価した結果を示す。上側のグラフは、AR27/リポソーム複合体を加えてから1時間後の細胞数の定量評価である。データは、平均 ± 標準誤差(n = 4)である。有意差はなく、AR27/リポソーム複合体が細胞接着性に与えた影響はないと判断された。
【0135】
下側のグラフは、AR27/リポソーム複合体を加えて25時間後の細胞数の定量評価である。データは、平均 ± 標準誤差(n = 4)である。ANOVAとScheffe's post hoc検定においてp < 0.05(*)、p < 0.01(**)、p < 0.01(##)と有意差を示し、10 μM以上のAR27を含むリポソーム複合体によって低下することが明らかになった。また例4に示した
図1Dの結果と同様に、RZ-KD#2は親株のC6細胞に比べて細胞増殖が低下しているが、AR27/リポソーム複合体による増殖抑制は受けないことも明らかになった。すなわち、AR27/リポソーム複合体の細胞増殖抑制はPTPRZに依存的であることが明らかになった。
【0136】
実験方法は、前記CのAR27/リポソーム複合体の調製と、Fの細胞増殖能の評価を参照。
【0137】
例24
図9は、AR27類似化合物でPTPRZに対する阻害活性が弱いcompound 2が、C6細胞の増殖に与える影響を評価した結果を示す図である。下側のグラフは、リポソーム複合体による処理の1時間後と25時間後の細胞数をカウントし、24時間の細胞増殖を定量評価したものある。データは、平均 ± 標準誤差(n = 3)である。「**」で示されるようにstudent t検定においてp < 0.01(**)と有意差を示し、AR27/リポソーム複合体(40 μMのAR27を含む)処理でのみ、リポソーム(vehicle)単独処理に比べて有意に低下した。一方、compound 2/リポソーム複合体では、細胞増殖の抑制効果は検出されなかった。すなわち、AR27/リポソーム複合体によるC6細胞の増殖抑制効果は、PTPRZの活性阻害に起因することが明らかになった。
【0138】
実験方法は、前記CのAR27/リポソーム複合体の調製と、Fの細胞増殖能の評価を参照。
【0139】
例25
図10は、AR27/リポソーム複合体によるC6細胞の腫瘍形成の抑制を示す図である。
C6細胞をラットの脳内に移植し、移植手術の翌日から5 μlのAR27/リポソーム複合体(0.9%のNaCl中で1 mM)、compound 2/リポソーム複合体(0.9%のNaCl中で1 mM)もしくは5 μlの溶媒(0.9%のNaCl)を毎日脳内に投与した。脳内移植の1週間後の脳組織(冠状断面)における腫瘍形成部位のヘマトキリン染色像を示す。下側のパネルは、上側パネルの四角で囲った区域の拡大図である。スケール・バーは1 mm。右側のグラフは、脳の連続切片から測定される個々の腫瘍容積をプロットしたものである(n = 5〜8)。グラフ中の水平バーは、それぞれのグループの平均値である。「*」で示されるように、student t検定においてp < 0.05と有意差を示し、AR27/リポソーム複合体の投与群の腫瘍サイズが生理食塩水投与群に比べて有意に抑制されることが分かった。一方、compound 2/リポソーム複合体投与群では、腫瘍サイズの抑制はほとんど認められず、PTPRZの活性阻害によって腫瘍形成が抑制されることが明らかになった。
【0140】
実験方法は、前記CのAR27/リポソーム複合体の調製と、HのC6グリオブラストーマ細胞の脳内同種移植、AR27/リポソーム複合体の脳室内投与および、その組織学的な評価を参照。