特許第6238344号(P6238344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6238344大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238344
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   G01T1/20 L
   G01T1/20 B
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-197916(P2013-197916)
(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-64272(P2015-64272A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】504151365
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100118670
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 泰嘉
(72)【発明者】
【氏名】海野 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】佐波 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慎一
(72)【発明者】
【氏名】萩原 雅之
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−500608(JP,A)
【文献】 特開2013−210317(JP,A)
【文献】 特開平05−034462(JP,A)
【文献】 特開昭63−308590(JP,A)
【文献】 A.Ringbom, et. al.,SAUNA-a system for automatic sampling, processing, and analysis of radioactive xenon,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A,NE,Science Direct,2003年 8月11日,Vol.508,pp.542-553
【文献】 Anders Ringbom,Development of detection techniques for the Swedish noble gas sampler,FOA-R--98-00905-861--SE,SW,Defence Research Establishment,1998年11月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/20
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガンマ線検出器は円筒状のガンマ線用シンチレータと前記ガンマ線用シンチレータを収納するガンマ線検出器ケースを有し
前記円筒状のガンマ線用シンチレータとその側面に対応する前記ガンマ線検出器ケースの側面に該円筒状のガンマ線用シンチレータの軸線と直交するように円筒状の貫通孔を設け、
前記貫通孔にベータ線用プラスチックシンチレータを有するベータ線用受光器を密接状態に挿通配置し、
前記ベータ線用受光器を上側ベータ線用受光器と下側ベータ線用受光器の一対とし、前記ベータ線用プラスチックシンチレータを前記一対のベータ線用受光器で挟んで受光器組立体とし、
前記ベータ線用プラスチックシンチレータを円板状とし、前記ベータ線用受光器を円筒状とし、
前記ベータ線用プラスチックシンチレータは、測定試料と、円板に凹型端面を設けた凹型ベータ線用プラスチックシンチレータと、円板に凸型端面を設けた凸型ベータ線用プラスチックシンチレータからなる組立体とし、
前記組立体は、前記上側ベータ線用受光器における上側ベータ線用受光器ケースの上側凹型端面の凹部と前記下側ベータ線用受光器における下側ベータ線用受光器ケースの下側凹型端面の凹部に嵌合させたことを特徴とする大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガンマ線・ベータ線同時検出装置であって、用途として化学分離を必要としない迅速な放射性物質の測定に用いることを想定している検出装置に関し、特にガンマ線とベータ線の測定精度を高めるとともに、装置全体を小さくしたガンマ線・ベータ線同時検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の放射能測定は、Ge(ゲルマニウム)検出器などによるガンマ線スペクトロメトリによる放射能測定が広く実施されている。それを補完する手法として、発明者らは、すでに下記特許文献1により化学分離を必要としない迅速な放射性ストロンチウムの絶対測定法を提案している。その方法では、セシウム134、セシウム137に加え、カリウム40の放射能をそれぞれ分離して測定した上で、放射性ストロンチウムを絶対測定できる。その測定法を実現するための装置として、従来考えられていた主な大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置(γ線検出器とβ線検出器の組合せ装置)の要件を下記に分類する。
【0003】
(1)β線検出器として下記(a)、(b)、(c)の要件:
(a)薄膜試料を内包した比例計数管
(b)試料を滴下混合した液体シンチレーションカウンタ
(c)試料を滴下乾燥したプラスチックシンチレータ
(2)γ線検出器として下記(d)、(e)の要件:
(d)材料:タリウム活性化ヨウ化ナトリウム(NaI(Tl))、タリウム活性化ヨウ化セシウム(CsI(Tl))などのシンチレータ。
(e)形状:(ア)円筒形状対向型、(イ)井戸円筒型。
これらの要件を備えた検出器の組合せの中で、一般検査での試料取扱では、(c)を用いたβ線検出器と、(d)または(e)のいずれかを用いたγ線検出器が測定への適用可能性があると考えられていた。
【0004】
上記適用可能性を備えた組み合わせのガンマ線・ベータ線同時検出装置に要求される要件は、主には、(1)ベータ線検出特性における要件、(2)機器配置における要件がある。
(1)ベータ線検出特性における要件として、以下の(a)、(b)、(c)がある。
(a)ベータ線の検出効率を大きくするために、測定試料を囲い込めるように検出素子(シンチレータ)を2枚の板状部材で構成し、測定試料を挟み込むように両板状部材を重ね合わせ状態に配置する。測定試料は、溶液を滴下乾燥させたもので、極めて薄い薄片で構成される。
(b)受光器個々のノイズを低減し、微弱な光を高感度で受光するために、1つのベータ線による発光イベントを複数の受光器で同時測定するように構成する。
(c)微弱な発光イベントを高感度で得るために、受光器を検出素子(シンチレータ)に近づけて大きな受光立体角で配置する。
【0005】
(2)機器配置における要件、即ち、ガンマ線の検出効率、ベータ線の検出効率の双方を大きくする要件として、以下の(d)、(e)がある。
(d)ガンマ線の検出効率を大きくするために、できるだけガンマ線検出器を測定試料に近づける。
(e)ベータ線の検出効率を大きくするために、検出素子(シンチレータ)の発光イベントを高感度・低ノイズで得られるように配置する。
【0006】
図2は、上記ベータ線測定における要件を満たすための前提条件として、試料を囲い込むようにベータ線用シンチレータを配置した構成を示すベータ線用シンチレータの概略断面図である。
シンチレータは、無機、有機種々あり適用可能であるが、後記する本発明のベータ線用は主にプラスチックシンチレータを用い、ガンマ線用は主にタリウム活性化ヨウ化ナトリウム(NaI(Tl))を用いることから、以後それぞれの例で説明する。
ベータ線用プラスチックシンチレータ2は、一対の上側ベータ線用プラスチックシンチレータ3および下側ベータ線用プラスチックシンチレータ5からなる。一対の上側ベータ線用プラスチックシンチレータ3および下側ベータ線用プラスチックシンチレータ5で溶液を滴下乾燥させた測定試料10を囲い込むように挟み込み、ベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7を構成する。一対の上側ベータ線用プラスチックシンチレータ3および下側ベータ線用プラスチックシンチレータ5の間には空気層が介在する。
【0007】
上側ベータ線用プラスチックシンチレータ3と下側ベータ線用プラスチックシンチレータ5の測定試料10とは反対側に接して一対の上側ベータ線用受光器12および下側ベータ線用受光器15を配置する。ベータ線用受光器11は、一対のベータ線用受光器12、15から構成し、上側ベータ線用プラスチックシンチレータ3および下側ベータ線用プラスチックシンチレータ5内の発光を最大限受光するように構成されている。測定試料10で発生したベータ線が上側ベータ線用プラスチックシンチレータ4および下側ベータ線用プラスチックシンチレータ5内でエネルギーを付与することにより有機発光物質が蛍光する。この蛍光は一対の上側および下側ベータ線用受光器12、15で受光される。
【0008】
ここで、プラスチックシンチレータの使用を前提とした従来の代表的なベータ線検出器とガンマ線検出器の組合せ検出装置を構造で分けてタイプ1及びタイプ2として説明する。
【0009】
タイプ1の検出装置は、プラスチックシンチレータおよびその周囲の導光部と、それらを挟むように設けた一対の円筒形状のガンマ線検出器と、ガンマ線検出器間に露出する導光部に連設するベータ線用受光器とから構成されるガンマ線・ベータ線同時検出装置である。
【0010】
図4に、タイプ1のガンマ線・ベータ線同時検出装置100を示す。
検出装置100は、試料104を一対の円板状のプラスチックシンチレータ106で挟み、この一対の板状のプラスチックシンチレータ106の厚み内の外側面に板状の導光部105を接して連設し、一対の円板状のプラスチックシンチレータ106およびその外側の導光部105を一対の円筒形状のガンマ線検出器101、101の円形状平面で構成される端面で挟むように一対の円筒形状のガンマ線検出器101を配置し、この一対のガンマ線検出器101、101間に露出する導光部105に互いに対向するベータ線用受光器103、103を接して設ける。以上述べた各構成要素は、その位置を保持するために、検出器配置冶具102に取り付け固定される。
【0011】
タイプ1の検出装置100は、対向配置したベータ線用受光器103、103におけるベータ線同時計数により個々のノイズを低減することができる。
タイプ2の検出装置は、一端から井戸構造となる円筒形の穴を開けたガンマ線検出器に、その井戸に底から順にプラスチックシンチレータとベータ線用受光器を挿入する構造のガンマ線・ベータ線同時検出装置である。
【0012】
図5に、タイプ2の検出装置110を示す。
検出装置110は、試料113を一対の円板状のプラスチックシンチレータ114で挟んでおき、一端から井戸構造となる円筒形の孔115を開けたガンマ線検出器111のその井戸に、底から順に試料113を挟んである一対の円板状のプラスチックシンチレータ114と円筒状のベータ線用受光器112を挿入配置する。
タイプ2の検出装置110は、プラスチックシンチレータ114の受光立体角を大きくすることができる。
これらタイプ1およびタイプ2の検出装置について、上記要求されている要件との関係について検討する。
【0013】
図4のタイプ1の検出装置100は、対向配置したベータ線用受光器103、103におけるベータ線同時計数により個々のノイズを低減するメリットを有するが、発光するプラスチックシンチレータ106、106の受光立体角が小さく、導光距離が長くなり、弱い発光すなわち低エネルギーのベータ線を測るためには不利となるデメリットがある。また、装置全体が大きくなるというデメリットもある。
【0014】
図5のタイプ2の検出装置110は、プラスチックシンチレータ114、114の受光立体角が大きいというメリットを有するが、受光器112自身のノイズが低エネルギーベータ成分と分離できないというデメリットがある。また、試料113は円板2枚のプラスチックシンチレータ114、114に挟まれているが、受光器112から遠い側のシンチレータでの発光が、受光器112まで届きにくいというデメリットもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特願2012−081420
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、プラスチックシンチレータの受光立体角を大きくすると共に、ベータ線用受光器個々のノイズを低減し、装置全体を小さくした大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記目的を達成するために以下の解決手段を採用する。
本発明のタイプ3の大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置は、上記目的を達成するために下記の解決手段を採用する。
(1)ガンマ線用シンチレータをガンマ線検出器ケースの貫通孔の周りに配置し、ガンマ線検出器の貫通孔にベータ線用プラスチックシンチレータを有するベータ線用受光器を挿通配置する。
【0018】
詳しくは、タイプ3の検出装置は、ガンマ線検出器の端面を除く側面に貫通孔を形成し、ガンマ線用シンチレータをこの貫通孔の周りに配置すると共に、この貫通孔に、前記一対のベータ線用受光器と一対のベータ線用プラスチックシンチレータからなるベータ線用受光器組立体を密接状態に挿通配置している。
特に、ガンマ線用シンチレータはガンマ線検出器の貫通孔の周りに配置され、貫通孔内に挿入されるベータ線用受光器組立体内の測定試料に対するガンマ線立体角は貫通孔方向を除く広角度に構成される。
【0019】
(2) 前記(1)において、前記貫通孔を前記ガンマ線検出器の側面に前記ガンマ線検出器の軸線と直交するように設ける。
詳しくは、タイプ3の検出装置は、ガンマ線検出器の端面を除く側面にガンマ線検出器の軸線と直行するように円筒状の貫通孔を形成し、この貫通孔にベータ線用受光器組立体を密接状態に挿通配置している。
【0020】
(3) 前記(1)または(2)において、前記ベータ線用受光器を上側ベータ線用受光器と下側ベータ線用受光器の一対とし、上側と下側のベータ線用プラスチックシンチレータを前記一対のベータ線用受光器で挟んでベータ線用受光器組立体とする。
詳しくは、検出時、測定試料を一対の上側と下側の円板状のベータ線用プラスチックシンチレータで挟んでベータ線用プラスチックシンチレータ組立体として組み立てておき、一対の円筒状の上側および下側ベータ線用受光器を、それらベータ線用受光器の各端面で前記ベータ線用プラスチックシンチレータ組立体を挟むように連設してベータ線用受光器組立体とし、円筒状のガンマ線検出器の円形状平面の端面を除く側面にガンマ線検出器の軸線と直行するように円筒状の貫通孔を形成し、この貫通孔に前記一対のベータ線用受光器と検出時、測定試料を収納する前記一対のベータ線用プラスチックシンチレータからなるベータ線用受光器組立体を隙間が少なくなるように挿通配置する。
但し、上記「上側」、「下側」は、絶対的な上下関係を意味せず、一対を構成するそれぞれを識別可能に表している。以下同様。
【0021】
(4) 前記(1)ないし(3)のいずれか1項において、前記貫通孔を円筒状とし、前記プラスチックシンチレータを円板状とし、前記ベータ線用受光器を円筒状とし、前記ガンマ線検出器を円筒状とする。
このように円板状、円筒状とすることにより、円筒状の貫通孔と共通の円形で整合させ、組立時の取り付け角度規制を無くし、組み立て容易な構成とする。
【0022】
上記解決手段を採用した本発明の検出装置は、検出時測定試料を一対の上側と下側の円板状のベータ線用シンチレータで挟んでベータ線用シンチレータ組立体として組み立てておき、一対の円筒状の上側および下側ベータ線用受光器を、そのベータ線用受光器の各端面でベータ線用シンチレータ組立体を挟むように連設してベータ線用受光器組立体とし、円筒状のガンマ線検出器の円形状平面の端面を除く側面にガンマ線検出器の軸線と直行するように円筒状の貫通孔を形成し、ガンマ線用シンチレータをガンマ線検出器ケースの貫通孔の周りに配置し、この貫通孔に前記ベータ線用受光器組立体を隙間が少なくなるように挿通配置する。
【0023】
シンチレータとして、本発明のベータ線用シンチレータはプラスチックシンチレータ、ガンマ線用シンチレータはタリウム活性化ヨウ化ナトリウム(NaI(Tl))を用いて説明する。
シンチレータで発光した光は非常に微弱な光なので、光を増幅するためにフォトマルチプライヤー(以下、PMT)を用いる。PMTは、光電子増倍管とも云い、光を電気信号に変換する。
【0024】
ガンマ線・ベータ線同時検出装置は、実施例では、中心位置に測定試料を配置するようになっているベータ線検出用の上側と下側の板状のプラスチックシンチレータと、このプラスチックシンチレータに接合され、このプラスチックシンチレータ内でベータ線に起因して発生する蛍光を検出し信号を発生する上側と下側のPMT(図示省略)等からなる一対の上側と下側のベータ線用受光器と、ガンマ線検出用のNaI(Tl)(タリウム活性化ヨウ化ナトリウムシンチレーション)検出器(図示省略)と、NaI(Tl)検出器で発生した蛍光を信号に変換して出力するPMT(図示省略)等からなるガンマ線検出器を備え、測定試料が発生したベータ(β)線を上側と下側のプラスチックシンチレータで捉えて信号に変換して出力すると共に、測定試料が発生したガンマ(γ)線を貫通孔の周りのNaI(Tl)検出器で捉え、信号に変換して出力する。
【0025】
測定試料を中心とし、おおよそ全方位的にベータ線用プラスチックシンチレータで包囲すると共に、貫通孔方向以外の方位をカバーするように円筒状のガンマ線用プラスチックシンチレータを配置する。この構成により、ベータ線およびガンマ線を正確且つ効率よくほとんど全方位で検出することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の効果について以下に詳述する。
(1)本発明の大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置は、ガンマ線用シンチレータをガンマ線検出器ケースの貫通孔の周りに配置し、ガンマ線検出器ケースの貫通孔にプラスチックシンチレータを有するベータ線用受光器を挿通配置する。
これを実施例に則して説明すると、本発明のタイプ3の検出装置は、ガンマ線検出器の端面を除く側面にガンマ線検出器の軸線と直行するように円筒状の貫通孔を形成し、ガンマ線用シンチレータをガンマ線検出器ケース内の貫通孔の周りに配置し、この貫通孔に前記一対のベータ線用受光器とプラスチックシンチレータからなる受光器組立体を密接状態に挿通配置している。
【0027】
このように構成したので、小型タイプのベータ線用受光器をガンマ線検出器内に配置して使用空間を小さくしていることに加え、ガンマ線検出器が1台になることにより、装置全体を小さくできる。
さらに、ベータ線用受光器とガンマ線検出器が貫通孔部分で測定試料を中心として交差配置されているので、測定試料から受光器および検出器までの距離を短くでき、その結果測定感度を向上させることができる。また、ガンマ線用シンチレータは、ガンマ線検出器ケース内の貫通孔の周りに配置され、貫通孔内に挿入されるベータ線用受光器組立体内の測定試料に対するガンマ線立体角を、貫通孔方向を除く広角度に構成することができる。
【0028】
(2) 前記(1)において、前記貫通孔を前記ガンマ線検出器の側面に前記ガンマ線検出器の軸線と直交するように設ける。
本発明の検出装置は、ガンマ線検出器の端面を除く側面にガンマ線検出器の軸線と直行するように円筒状の貫通孔を形成し、この貫通孔にベータ線用受光器組立体を密接状態に挿通配置している。
このように構成することにより、ベータ線用受光器とガンマ線検出器が貫通孔部分で測定試料を中心として直交配置されるので、感度を最大にできる。その結果、計数統計の不確かさを低減させることができる。
【0029】
また、ベータ線の導光方向とガンマ線の導光方向とが重ならずに測定することができると共に、検出器の配置の制約が少なくなり、外部からのノイズがガンマ線検出器に入ることを防ぐための遮蔽体(通常は鉛ブロックの積み上げ体)を含めた装置関連構成全体を小型にできる。更に、そのように小型化できるため、ハンドキャリーできるサイズおよび重さにすることができ、実験室以外でも測定可能となる。実施例では、例えば、直径100mm、中心軸方向長さ320mmの構成例がある。
【0030】
(3) 前記(1)または(2)において、前記ベータ線用受光器を上側ベータ線用受光器と下側ベータ線用受光器の一対とし、前記ベータ線用プラスチックシンチレータを前記一対のベータ線用受光器で挟んでベータ線用受光器組立体とする。
詳しくは、測定試料を一対の円板状のベータ線用プラスチックシンチレータで挟んでベータ線用プラスチックシンチレータ組立体として組み立てておき、一対の円筒状のベータ線用受光器を、そのベータ線用受光器の対向する各端面でベータ線用プラスチックシンチレータ組立体を挟むように連設して受光器組立体とし、円筒状のガンマ線検出器の円形状平面の端面を除く側面にガンマ線検出器の軸線と直行するように円筒状の貫通孔を形成し、この貫通孔に前記ベータ線用受光器組立体を隙間が少なくなるように挿通配置する。
【0031】
このように構成することにより、測定試料を一対の円板状のベータ線用プラスチックシンチレータで挟んでベータ線用プラスチックシンチレータ組立体として組み立てておくことができるので、簡単に組み立てることができる。
さらに、一対のベータ線用受光器の対向する各端面でベータ線用プラスチックシンチレータ組立体を挟むように連設してベータ線用受光器組立体を組み立てることができるので、簡単に組み立てることができる。
【0032】
(4) 前記(1)ないし(3)のいずれか1項において、前記貫通孔を円筒状とし、前記プラスチックシンチレータを円板状とし、前記ベータ線用受光器を円筒状とし、前記ガンマ線検出器を円筒状とする。
このように円板状、円筒状とすることにより、円筒状の貫通孔と共通の円形で整合させ、組立時の取り付け角度規制を無くし、組み立て容易とできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明のβ線検出器とγ線検出器を組み合わせた大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置の概略図である。
図2】試料を囲い込むように配置したベータ線用プラスチックシンチレータの概略断面図である。
図3】本発明の大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置の実施例の構成図である。
図4】従来の、プラスチックシンチレータおよびその周囲の導光部を挟む向きに一対の円筒形状のガンマ線検出器を設け、導光部に連設しガンマ線検出器を囲周するように環状のベータ線用検出器を設けたガンマ線・ベータ線同時検出装置の断面図(中心で切った図)である。
図5】従来の、一端から井戸構造となる円筒形の穴を開けたガンマ線検出器に、その井戸に底から順にプラスチックシンチレータとベータ線用受光器を挿入する構造のガンマ線・ベータ線同時検出装置の断面図(中心で切った図)である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明のガンマ(γ)線検出器とベータ(β)線検出器を組み合わせた大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置を図面に基づいて詳述する。
【実施例1】
【0035】
図1に、本発明のタイプ3の大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置1の実施例1の概略図を示す。図1(a)は鳥瞰図、図1(b)は図1(a)のB−B断面図(図1(a)におけるガンマ線検出器4の円筒軸並びに上側ベータ線用受光器3aおよび下側ベータ線用受光器3bの円筒軸を含む断面図である。)、図1(c)は図1(a)のA−A平面図である。
【0036】
本発明のタイプ3の検出装置1は、ベータ線用プラスチックシンチレータ2、ベータ線用受光器11および、貫通孔32を設けたガンマ線検出器30から構成される。
ベータ線用プラスチックシンチレータ2は、上側ベータ線用プラスチックシンチレータ3と、下側ベータ線用プラスチックシンチレータ5の一対から構成されている。上側と下側のベータ線用プラスチックシンチレータ3、5で測定試料10を挟持する。測定試料10は、溶液を滴下乾燥させたもので、極めて薄い薄片で構成される。
【0037】
実用上、測定試料10を収納したシンチレータ3、5は光学セメントにより封止される。上側ベータ線用プラスチックシンチレータ3、測定試料10および下側ベータ線用プラスチックシンチレータ5でベータ線用プラスチックシンチレータ組立体2を形成する。
両ベータ線用プラスチックシンチレータ3,5は、全体形状として板状、好ましくは円板状に形成されている。上側と下側のベータ線用プラスチックシンチレータ3,5は、その対向する端面の中央領域、好ましくは径方向中心領域に測定試料10を囲い込む構成が形成されている。
【0038】
ベータ線用受光器11は、上側ベータ線用受光器12、下側ベータ線用受光器15の一対から構成されている。ベータ線用受光器11は、ベータ線用プラスチックシンチレータ2と、このベータ線用プラスチックシンチレータ2内でベータ線に起因して発生するシンチレータ蛍光を検出し信号を発生するベータ線用PMT(図示省略)と、ベータ線用PMT駆動・検出回路(図示省略)を有する。
【0039】
上側ベータ線用受光器12は、上側ベータ線用受光器ケース13およびそのケース13内に収納される上側ベータ線用PMT(図示省略)および上側ベータ線用PMT駆動・検出回路(図示省略)を有する。
上側ベータ線用PMT駆動・検出回路は、PMTのための高圧印加回路、PMTからの信号を出力する回路等から構成される。
【0040】
ケース13は、上下に蓋がある筒体状、好ましくは円筒状に形成される。この蓋の一方は、上側ベータ線用プラスチックシンチレータ3の端部を位置決め固定するように形成される。この蓋の端面は、シンチレータ3を位置決め固定するために、好ましくは、凹型の溝を有する端面構造とする(図示省略)。この凹型の溝にシンチレータ3を嵌合固定する。凹型の溝の深さはシンチレータ3を位置決め収納できる程度の微小な寸法とする。実用上、シンチレータ3は凹型の溝内に収納され、受光器11および受光器12への外部からの光の侵入を防ぐための遮光性テープで封止される。
【0041】
上側ベータ線用PMTの端面であるベータ線用受光面は、上記受光器ケース13の蓋を介して、上側ベータ線用プラスチックシンチレータ3の端面と近接状態に対向配置される(図示省略)。この構成により、測定試料からのベータ線を広角度且つ近接状態で検出できるようになる。
下側ベータ線用受光器15は、下側ベータ線用受光器ケース16およびそのケース16内に収納される下側ベータ線用PMT(図示省略)および下側ベータ線用PMT駆動・検出回路(図示省略)を有する。
【0042】
下側ベータ線用PMT駆動・検出回路は、PMTのための高圧印加回路、PMTからの信号を出力する回路等から構成される。
ケース16は、上下に蓋がある筒体状、好ましくは円筒状に形成される。この蓋の一方は、下側ベータ線用プラスチックシンチレータ5の端部を位置決め固定するように形成される。この蓋の端面は、シンチレータ5を位置決め固定するために、好ましくは、凹型の溝を有する端面構造とする(図示省略)。この凹型の溝にシンチレータ5を嵌合固定する。凹型の溝の深さはシンチレータ5を位置決め収納できる程度の微小な寸法とする。実用上、シンチレータ5は凹型の溝内に収納され、受光器11および受光器12への外部からの光の侵入を防ぐための遮光性テープで封止される。
【0043】
下側ベータ線用PMTの端面であるベータ線用受光面は、上記受光器ケース16の蓋を介して、下側ベータ線用プラスチックシンチレータ5の端面と近接状態に対向配置される(図示省略)。この構成により、測定試料からのベータ線を広角度且つ近接状態で検出できるようになる。
【0044】
上側と下側のベータ線用受光器12、15でベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7を嵌合固定並びに挟持して、上側ベータ線用受光器12、ベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7および下側ベータ線用受光器15でベータ線用受光器組立体28を形成する。その際、各受光器12、15のケース13、16の対向する各端面にベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7の各端面を外形形状が整合した状態で固定し、最終的に受光器12、15でベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7を挟むように密接状態に連設する。
【0045】
ガンマ線検出器30は、ガンマ線検出器ケース31、そのケース31内に収納されるガンマ線用シンチレータ(例えば、NaI(TI)検出器)(図示省略)35、ガンマ線用PMT(図示省略)およびそのPMTのための高圧印加回路およびPMTからの信号を出力する回路等から構成されるガンマ線用PMT駆動・検出回路(図示省略)から構成される。
【0046】
ガンマ線用シンチレータ35は、主に、測定試料10を内包するベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7を挿通配置するケース31の貫通孔32に近接してケース31内に配置される。ガンマ線用PMTおよびガンマ線用PMT駆動・検出回路はガンマ線用シンチレータ35よりも貫通孔32からその径方向外方に離間して配置される。
【0047】
ケース31は、両端にガンマ線検出器端面33を構成する蓋がある筒体状、好ましくは円筒状に形成されると共に、この端面33を除くガンマ線検出器側面34にガンマ線検出器30の円筒方向軸線と直行するように貫通孔32を形成する。
この貫通孔32に前記一対の上側および下側ベータ線用受光器12、15とベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7からなるベータ線用受光器組立体28を挿通配置する。
【0048】
ガンマ線用シンチレータ35およびガンマ線用PMT(図示省略)の受光面はベータ線用プラスチックシンチレータ3、5の導光方向と直交する面、換言すると貫通孔32の軸線方向に沿った面に位置決めされる。この位置決め配置により、ベータ線の受光感度を高い値に保ちながら、ガンマ線を広角度且つ近接状態で検出できる。
【0049】
以上、図1の概略図に基づいて説明したように、本発明の大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置1は、中心位置に測定試料10を位置決め配置するようになっている上側および下側ベータ線用プラスチックシンチレータ3、5と、このプラスチックシンチレータ3、5に接合され、プラスチックシンチレータ3、5内でベータ線に起因して発生するシンチレータ蛍光を検出し信号を発生する上側および下側のベータ線用PMT(図示省略)と、そのPMTのための高圧印加回路およびPMTからの信号を出力する回路等から構成される上側および下側のベータ線用PMT駆動・検出回路と、ガンマ線検出用のガンマ線用プラスチックシンチレータ35と、このシンチレータ35で発生した蛍光を信号に変換して出力するガンマ線用PMT(図示省略)と、そのPMTのための高圧印加回路およびPMTからの信号を出力する回路等から構成されるガンマ線用PMT駆動・検出回路(図示省略)とを備える。
【0050】
測定試料10が発生したベータ線をベータ線用プラスチックシンチレータ3、5で捉え、ベータ線用PMTで信号に変換し、ベータ線用PMT駆動・検出回路で信号処理して出力すると共に、測定試料10が発生したガンマ線をガンマ線用シンチレータ35で捉え、このガンマ線用シンチレータ35で発生した蛍光をガンマ線用PMT(図示省略)で信号に変換し、ガンマ線用PMT駆動・検出回路で処理して出力する。信号は所定の大きさの波高信号になる。
【0051】
図1の場合、両ベータ線用受光器12、15の直径に対するガンマ線検出器30の直径の比は1:3.7程度になっているが、前記比はこれに限定されない。
【0052】
本発明のタイプ3のガンマ線・ベータ線同時検出装置1は、以上のように構成されているので、測定試料10を一対の上側と下側のプラスチックシンチレータ3,5で挟み込むだけで簡単に測定試料10をセットでき、上側および下側のベータ線用受光器12、15を構成するベータ線の検出効率が大きい小型のPMTをそれぞれのベータ線用プラスチックシンチレータ3,5に近づけて設けることができるので、上側および下側のベータ線用受光器2個で同時測定できると共にこの受光器12、15を測定試料10に近づけることができ、その結果、ガンマ線検出器30を貫通孔32内の測定試料10に近接して設けることができるので、測定試料との距離が近くなり、ガンマ線の検出効率を大きくすることができる。さらに、ベータ線の導光方向とガンマ線の導光方向とが重ならずに測定することができる。
【0053】
また、上記のように構成しているので、測定試料10を中心としてベータ線用プラスチックシンチレータ3、5の大きな受光立体角を得つつ、対向配置したベータ線用受光器12、15により個々の受光器のノイズを低減する機能を保持する。また、貫通孔32によりガンマ線検出器30とベータ線用受光器12、15を交差して配置したので別々に設ける場合と比べて検出装置全体を小さくできる。
【0054】
他のタイプの検出装置と比べると、タイプ3のガンマ線・ベータ線同時検出装置1は、
タイプ1の検出装置100の場合の、発光するプラスチックシンチレータの受光立体角が小さく、導光距離が長くなることによる、弱い発光すなわち低エネルギーのベータ線を計るときの不利を解消し、
タイプ2の検出装置110の場合の、受光器自身のノイズが低エネルギーベータ成分と分離できないと共に、受光器から遠い側のプラスチックシンチレータでの発光が、受光器まで届きにくいという不利を解消している。
【0055】
図1の概略図の例では、ベータ線検出のためにベータ線用プラスチックシンチレータ2を用いているが、例えば、無機シンチレータ、液体シンチレータ、比例計数管、GM計数管等でもよい。また、ガンマ線検出のためにガンマ線用シンチレータ、例えば、NaI(Tl)検出器(図示省略)を用いているが、例えば、他の有機シンチレータ、無機シンチレータ等でもよい。
【0056】
上記解決手段を採用した本発明の検出装置1は、測定試料10を一対の円板状の上側および下側ベータ線用プラスチックシンチレータ3、5で挟んでベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7として組み立てておき、一対の円筒状の上側および下側ベータ線用受光器12、15を、そのベータ線用受光器12、15の対向する端面でベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7を挟むように連設してベータ線用受光器組立体28とし、円筒状のガンマ線検出器30の円形状平面の端面23を除く側面34にガンマ線検出器30の軸線と直行するように円筒状の貫通孔32を形成し、この貫通孔32に前記一対のベータ線用受光器12、15とベータ線用プラスチックシンチレータ3、5からなるベータ線用受光器組立体28を隙間が少なくなるように挿通配置する。
【0057】
このように構成しているので、本発明のタイプ3の検出装置1は、下記の(a)〜(j)記載の作用・効果を奏する。
(a)測定試料10を一対の上側と下側のベータ線用プラスチックシンチレータ3、5で挟み込むだけで簡単にセットでき、
(b)測定試料10を中心位置に収納する上側と下側のベータ線用プラスチックシンチレータ3、5を平板、特に円板とし、この円板を上側および下側ベータ線用受光器12、15のケース13、16の端部に密接状態に位置決め配置するので、測定試料10からベータ線用受光器12、15までの距離が従来のものより近くなり、しかも測定試料10からほぼ全方位の広角度でベータ線を計測できる。
【0058】
(c)逆の見方をすると、上側および下側ベータ線用受光器12、15をベータ線用プラスチックシンチレータ3、5に近づけて設けることができる。このことは、例えば、上側および下側ベータ線用受光器12、15を構成するPMT,すなわちベータ線の検出効率が大きく小型のPMTを、上側と下側のベータ線用プラスチックシンチレータ3、5に近づけて設けることができるので、受光器2個で同時測定できると共に受光器12、15を測定試料10に近づけて配置できる。同時に、ガンマ線検出器30を測定試料10に対しベータ線用プラスチックシンチレータ3、5以外に介在物が無く近接対向配置することができるので、測定試料10との距離が近くなり、ガンマ線の検出効率を大きくすることができる。
【0059】
(d)ベータ線用プラスチックシンチレータ3、5で大きな受光立体角を得つつ、互いに対向配置した上側および下側ベータ線用受光器12、15により個々の受光器のノイズを低減することができる。
(e)ガンマ線用シンチレータをガンマ線検出器ケースの貫通孔の周りに配置し、ガンマ線検出器の貫通孔にベータ線用プラスチックシンチレータを有するベータ線用受光器を挿通配置しているので、小型タイプのベータ線用受光器をガンマ線検出器内に配置して使用空間を小さくしていることに加え、ガンマ線検出器が1台になることにより、装置全体を小さくできる。
【0060】
さらに、ベータ線用受光器とガンマ線検出器が貫通孔部分で測定試料を中心として交差配置されているので、測定試料から受光器および検出器までの距離を短くでき、その結果測定感度を向上させることができる。また、ガンマ線用シンチレータは、ガンマ線検出器ケースの貫通孔の周りに配置され、貫通孔内に挿入されるベータ線用受光器組立体内の測定試料に対するガンマ線立体角を、貫通孔方向を除く広角度に構成することができる。
【0061】
(f)ガンマ線検出器30に設けた貫通孔32に上側および下側ベータ線用受光器12、15を連結した組立体として配置しているので、連結した分だけ装置全体を小さくできる。さらに、測定試料10に対しベータ線用受光器12、15を連結しているので、ベータ線の測定感度を向上させることができると共に、測定試料10に対し貫通孔32を介してガンマ線検出器30を近接配置したので、測定試料10に対し近くなった分測定精度の不確かさを低減させることができる。
【0062】
(g)タイプ1やタイプ2の検出装置と比べると、本発明のタイプ3のガンマ線・ベータ線同時検出装置1は、上記構成を備えることにより、
タイプ1の検出装置100の場合の発光するプラスチックシンチレータの受光立体角が小さく、導光距離が長くなることによる、弱い発光すなわち低エネルギーのベータ線を計るときの不利を解消し、
タイプ2の検出装置110の場合の受光器自身のノイズが低エネルギーベータ成分と分離できないと共に、受光器から遠い側のプラスチックシンチレータでの発光が、受光器まで届きにくいという不利を解消している。
【0063】
(h)本発明のガンマ線・ベータ線同時検出装置1は、ガンマ線検出器30に貫通孔32を設け、測定試料10を収納する上側と下側のベータ線用プラスチックシンチレータ3、5の重ね合わせ方向にベータ線に起因するシンチレータ蛍光を検出し信号を発生するPMT(図示省略)からなるベータ線用受光器12および15を設け、この上側と下側のベータ線用プラスチックシンチレータ3、5の重ね合わせ方向と直交する方向にNaI(Tl)(タリウム活性化ヨウ化ナトリウムシンチレーション)検出器35を含むガンマ線検出器30を設けた。
【0064】
これにより、ベータ線による上側と下側のベータ線用プラスチックシンチレータ3、5でのエネルギー付与により発生される上側と下側のベータ線用プラスチックシンチレータ3、5内の蛍光は、シンチレータ3、5内を透過して重ね合わせ方向のベータ線PMTで測定される。
【0065】
一方、この上側と下側のベータ線用プラスチックシンチレータ3、5の重ね合わせ方向と直交する方向にNaI(Tl)(タリウム活性化ヨウ化ナトリウムシンチレーション)検出器35を設けた。これにより、ベータ線の導光方向とガンマ線の導光方向とが重ならずに測定することができると共に、受光器12、15と検出器30の配置の制約が少なくなり、測定しやすくなる。この結果、従来のように液体の人為的な処理を必要とせず、機械的に且つ簡単に、しかも精度よく放射線を検出することができる。また、構成を携帯可能で、コンパクトにできる。
【0066】
(i)ガンマ線検出器30に貫通孔32を設け、ベータ線の検出部とガンマ線の検出部を測定試料に対して異なる方向、即ち直交する方向に配置して、容易な測定試料交換を可能としながらも効率的に測定の立体角を張るようにしたので、計測の手間を大幅に軽減しつつ、正確な計測ができる。
(j)従来のガンマ線スペクトロメトリによる放射能測定よりも感度が高く、用意する測定試料量を低減することができ、測定時間の短縮、コストの低減を図ることができる。
【実施例2】
【0067】
本発明の実施例2を図3に基づいて詳述する。
図3は本発明の大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置の実施例の構成図である。
図3(a)は実施例の場合の図1(b)に対応する断面図である。図3(b)は図3(a)の丸印の部分の分解拡大図である。
【0068】
図3の大立体角ガンマ線・ベータ線同時検出装置1は、図1に概略的に示した、ベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7およびベータ線用受光器11からなるベータ線用受光器組立体28と、ガンマ線検出器30の具体的な構成からなる。
ベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7は、図3(b)に示すように、測定試料10と、円板に凹型端面4を設けた凹型ベータ線用プラスチックシンチレータ8と、円板に凸型端面6を設けた凸型ベータ線用プラスチックシンチレータ9からなる。
【0069】
組立時、凹型端面4の凹部内に測定試料10を配置すると共に凸型端面6の凸部を凹凸嵌合する。凹型端面4と凸型端面6は円形状の外周形状が好ましい。測定試料10は、溶液を滴下乾燥させたもので、極めて薄い薄片で構成される。実用上、測定試料10を収納したシンチレータ8、9は光学セメントにより封止される。
【0070】
このように組み立てたベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7は、図3(b)に示すように、上側ベータ線用受光器ケース13の上側凹型端面14の凹部と下側ベータ線用受光器ケース16の下側凹型端面17の凹部に嵌合する。上側および下側の凹型端面14,17は、換言すると、環状凸壁で形成されていると云える。この環状凸壁は、上側ベータ線用受光器ケース13または上側ベータ線用PMT22、および、下側ベータ線用受光器ケース16または下側ベータ線用PMT23で構成される。
【0071】
このような嵌合構造をとることにより、測定試料10を中心として、ベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7、上側ベータ線用PMT22および下側ベータ線用PMT23の中心を合わせる位置合わせを行う。
【0072】
ベータ線用受光器11は、上側ベータ線用受光器12と下側ベータ線用受光器15からなる。上側ベータ線用受光器12は、筒型の上側ベータ線用受光器ケース13内に上側ベータ線用PMT22と上側ベータ線用PMT駆動・検出回路24を収納すると共に該ケース13から信号用や高圧給電用等の上側ベータ線用ケーブル26を引き出した構造に構成されている。下側ベータ線用受光器15は、同様に、筒型の下側ベータ線用受光器ケース16内に下側ベータ線用PMT23と下側ベータ線用PMT駆動・検出回路25を収納すると共に該ケース16から信号用や高圧給電用等の下側ベータ線用ケーブル27を引き出した構造に構成されている。
【0073】
上側および下側ベータ線用PMT駆動・検出回路24、25は、PMTのための高圧印加回路、PMTからの信号を出力する回路等から構成される。
【0074】
ガンマ線検出器30は、円筒状のガンマ線検出器ケース31に、その円筒の長さ方向軸線と直交する方向に貫通孔32が設けられている。貫通孔32は両端面を除く側面の円筒面に開口する。貫通孔32には、開口間に0.5mm程度の薄いアルミニウム等の金属筒体37が設けられている。金属筒体37はガンマ線検出器ケース31に固定されている。光学窓39で仕切られたガンマ線検出器ケース31内で且つ金属筒体37内を除く空間には、ガンマ線用シンチレータ35が設けられている。ガンマ線検出器ケース31とガンマ線用シンチレータ35の間には反射材36が貼り付けられている。
【0075】
光学窓39で仕切られた残りのガンマ線検出器ケース31には、磁気シールド38が埋め込まれ、その内部にガンマ線用PMT40とガンマ線用PMT駆動・検出回路41が光学窓39から順に収納されている。
ガンマ線用PMT駆動・検出回路41は、PMTのための高圧印加回路、PMTからの信号を出力する回路等から構成される。
【0076】
ガンマ線用PMT駆動・検出回路41に接するガンマ線検出器ケース31には、信号用や高圧給電用等のガンマ用ケーブル43を備えたコネクタ42が設けられている。
ベータ線用受光器組立体28をガンマ線検出器30に組み合わせる際、測定試料10の位置を特定するために、例えば図3(a)に示すような、任意の位置合わせを伴う固定装置50を用いる。固定装置50は、貫通孔32のいずれかの開口側に、少なくとも一対設けられる。
【0077】
図3(a)の固定装置50は、上側と下側の両面にテーパー面を有する両側テーパー部材51と、下側にテーパー面を設けた下側テーパー部材52と、上側にテーパー面を設けた上側テーパー部材53と、加圧用コイルバネを備えたバネ付きボルト54からなる。ベータ線用受光器組立体28の上側ベータ線用受光器ケース13(又は、下側ベータ線用受光器ケース16)に、軸線方向と直交する外向きに両側テーパー部材51を凸設する。この両側テーパー部材51に対向するガンマ線用筐体31の対応位置に、上側テーパー部材53を固定し、その上に下側テーパー部材52を載せ、両部材をバネ付きボルト54で弾圧状態に固定する。
【0078】
ボルト54を螺合する際、両側のテーパー部材のテーパー面のスライド動作によりベータ線用受光器組立体28が所定の中心位置に移動され加圧状態に固定される。
このボルト54の螺合操作に先行して、上述したように、ベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7を上記のように凹凸嵌合による位置決めにより構成し、上側ベータ線用受光器12と下側ベータ線用受光器15の連結を前記組立体7と上側および下側凹型端面14、17の凹凸嵌合により構成する。
【0079】
図3の実施例のように構成したので、以下のような作用・効果を奏する。
(1)測定試料10は、凹型ベータ線用プラスチックシンチレータ8の凹型端面4内に凸型ベータ線用プラスチックシンチレータ9の凸型端面6で適切に位置決め固定できる。
(2)凹型および凸型のベータ線用プラスチックシンチレータ8と9は、凹型端面4内に凸型端面6を嵌合することで固定できる。
【0080】
(3)ベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7は、上側および下側のベータ線用受光器12、15の上側凹型端面14および下側凹型端面17の凹部内に嵌合固定できる、
(4) 前記(3)のように嵌合固定することで、上側および下側のベータ線用受光器12、15を中心位置で位置合わせして連結できる、
【0081】
(5)貫通孔32内にその両側からベータ線用受光器組立体28を挿通できるので、測定試料10に対して凹型端面14を備えた上側ベータ線用PMT22と凹型端面17を備えた下側ベータ線用PMT24を対向配置でき、測定試料料10からのベータ線をほとんど全方位的に検出可能とできる、
【0082】
(6)測定試料10を固定したベータ線用受光器組立体28を貫通孔32内に挿通配置し、貫通孔32の半径方向の周囲にガンマ線用シンチレータ35を設けるので、ベータ線の検出が高効率に行えると共に、ガンマ線の検出も高効率に行える。
(7)ベータ線用プラスチックシンチレータ組立体7は、測定試料10を包囲するように構成してあるので、ベータ線をおおよそ全方位で検出可能となる。
また、ガンマ線用シンチレータは、ガンマ線検出器ケースの貫通孔の周りに配置され、貫通孔内に挿入されるベータ線用受光器組立体内の測定試料に対するガンマ線立体角を、貫通孔方向を除く広角度に構成することができる。
以上述べた図3の実施例は図1の本発明の概略図で説明した技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1 ガンマ線・ベータ線同時検出装置
2 ベータ線用プラスチックシンチレータ
3 上側ベータ線用プラスチックシンチレータ
4 凹型端面
5 下側ベータ線用プラスチックシンチレータ
6 凸型端面
7 ベータ線用プラスチックシンチレータ組立体
8 凹型ベータ線用プラスチックシンチレータ
9 凸型ベータ線用プラスチックシンチレータ
10 測定試料
11 ベータ線用受光器
12 上側ベータ線用受光器
13 上側ベータ線用受光器ケース
14 上側凹型端面
15 下側ベータ線用受光器
16 下側ベータ線用受光器ケース
17 下側凹型端面
22 上側ベータ線用PMT
23 下側ベータ線用PMT
24 上側ベータ線用PMT駆動・検出回路
25 下側ベータ線用PMT駆動・検出回路
26 上側ベータ線用ケーブル
27 下側ベータ線用ケーブル
28 ベータ線用受光器組立体
30 ガンマ線検出器
31 ガンマ線検出器ケース
32 貫通孔
33 ガンマ線検出器端面
34 ガンマ線検出器側面
35 ガンマ線用シンチレータ
36 反射材
37 金属筒体
38 磁気シールド
39 光学窓
40 ガンマ線用PMT
41 ガンマ線用PMT駆動・検出回路
42 コネクタ
43 ガンマ線用ケーブル
50 固定装置
51 両側テーパー部材
52 上側テーパー部材
53 下側テーパー部材
54 バネ付きボルト



図1
図2
図3
図4
図5