(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年の光通信では、一つの波長に一つの光信号を対応させて波長多重するWDM(Wavelength Division Multiplexing)技術により、一本の光ファイバを使って大容量の光伝送が行えるようになっている。そして、このWDM技術とパス管理の技術を組み合わせることにより、超高速・大容量の伝送ネットワークを実現するROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop multiplexer)システムが注目を浴びている。このROADMシステムは、ネットワークをリング型として各ノードで光信号のアド・ドロップを行うと共にその必要がないものは光信号のまま通過させるため、ノード装置の小型化と低消費電力化が実現できる。このようなROADMシステムの基幹デバイスの一つに、波長選択スイッチ(WSS(Wavelength Selective Switch))がある。
【0003】
従来の波長選択スイッチの一例を
図7に示す。この
図7に示す波長選択スイッチ100は、入力用のアレイ導波路回折格子(AWG(Arrayed Waveguide Grating))111と出力用のAWG112を含む平面光回路(PLC(Planar Lightwave Circuit))110と、AWG111,112と対向配置された集光レンズ120と、この集光レンズ120と対向配置された液晶スイッチ130とを備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
入力用のAWG111から一斉出力された光信号は、波長毎に異なる同位相面を備えているので、波長毎に伝搬する方向が異なる。よって、入力用のAWG111は波長毎に出射角度が異なる角度分散特性を備えた分光器として作用する。したがって、入力用のAWG111によって分光された光信号が集光レンズ120を通って液晶スイッチ130上に結像する位置は波長毎に異なる。そして、液晶スイッチ130上で集光された光信号が液晶スイッチ130の底面に設けられた反射板で反射され、液晶スイッチ130が備える複屈折機能によってその反射角度が変化する。これによって、光信号をある特定の出力用のAWG112へと選択的に光結合させることが可能となる。これら一連の作用によって、光信号を波長毎に任意の出力用のAWG112へと光結合させ、光学系全体として波長選択スイッチ(WSS)としての機能を得ることができる。このとき、出力用のAWG112の数をN個とすると、1入力N出力の機能を有する1×N−WSSが実現できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、入力用のAWGから出射される光信号の出射角度は、波長毎に異なるものその大きさに限界があった。このため、液晶スイッチ面上において波長毎に焦点位置を分離させるためには比較的焦点距離が長い集光レンズを必要とするので、結果として、光学系全体の小型化に限界があった。
【0007】
また、平面光回路に集積できるAWGの数量は平面光回路の基板や波長選択スイッチ本体の大きさに依存するので、光学系全体の小型化と共にポートの数量を増加することが困難であった。
さらに、集光レンズは、AWGに対応して設けられるのでAWGの数が増えると大きくしなければならないが、集光レンズの屈折率の温度依存性により、レンズの大形化には限界がある。このため、実用レベルでの波長選択スイッチのポート数の拡大には限界があり、1入力N出力の機能を有する1×N−WSSにおけるN値は9に留まるのがこれまで一般的であった。また、AWGの代わりに多芯光ファイバとプリズムを用いた場合でも、この限界は不可避のままであった。
【0008】
そこで、本発明は、小型化を実現できる波長選択スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る波長選択スイッチは、
板状の第1の反射鏡と、この第1の反射鏡と所定間隔離間して対向配置され、第1の反射鏡よりも反射率が高い第2の反射鏡とを有する少なくとも一つの中空光導波路と、中空光導波路の第1の反射鏡と対向配置されている反射部と、中空光導波路の第1の反射鏡と反射部との間に配設され、焦点距離がf1であり、
中空光導波路の第1の反射鏡と反射部とを結ぶ第1の軸に対して垂直な第2の軸の方向に集光する第1のレンズと、
中空光導波路の第1の反射鏡と反射部との間に配設され、焦点距離がf1と異なるf2であり、第1の軸および第2の軸に対して垂直な第3の軸の方向に集光する第2のレンズとを備え、
中空光導波路が有する第1の反射鏡の、反射部に対向する側の面には、光信号をこの光信号の波長に応じた出射角度で出射する出射部と、反射部により反射された光信号を受光する受光部とが形成され、中空導波路が有する第1の反射鏡の一側端に、外部から光信号が入力される光信号入力ポートおよび光信号を外部に出力する光信号出力ポートが形成され、出射部は、
光信号入力ポートに入力された光信号をこの光信号の波長に応じた出射角度で第2の軸の方向に変化させて出射し、
反射部は、出射部から入射した光信号を所定の方向に反射し、受光部は、受光した光信号を光信号出力ポートに導波させ、第1のレンズは、出射部および受光部からf1の位置に配設され、第2のレンズは、出射部、受光部および反射部からf2の位置に配設されることを特徴とするものである。
【0010】
上記波長選択スイッチにおいて、出射部および受光部は、第2の軸の方向に並設されるようにしてもよい。
【0013】
また、上記波長選択スイッチにおいて、中空光導波路は、内部に設けられた活性領域と、この活性領域に電流を供給する電極とをさらに備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、出射部を第1のレンズの焦点距離f1と異なる位置に配置するので、出射部と第1のレンズとの距離を短くすることができ、結果として、小型化を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
<波長選択スイッチ1の構成>
図1〜
図3に示すように、本実施の形態に係る波長選択スイッチ1は、複数の光信号入力ポート2と、この光信号入力ポート2毎に設けられた出射部3と、この出射部3と対向配置された第1のレンズ4と、この第1のレンズ4と対向配置された第2のレンズ5と、この第2のレンズ5と対向配置された反射部6と、出射部3と並設された受光部7と、この受光部7毎に設けられた光信号出力ポート8とを備えている。
ここで、光信号入力ポート2、出射部3、第1のレンズ4、第2のレンズ5および反射部6は、
図2,
図3に示すように、この順番でZ軸方向に沿って配置されている。また、光信号入力ポート2と光信号出力ポート8とは、Z軸に垂直なX軸の方向に並設されている。同様に、出射部3と受光部7も、X軸の方向に併設されている。
【0018】
光信号入力ポート2は、例えば光ファイバ等を介して外部から光信号が入力される光入力端子である。光信号入力ポート2の数量は、外部から波長選択スイッチ1に入力される光信号の数量に対応する。このような光信号入力ポート2は、外部から入力された光信号を出射部3に導波させる。
【0019】
出射部3は、入射した光信号を波長に応じて出射角を変化させて出射する偏向素子である。このような出射部3は、光信号入力ポート2から導波してきた光信号を、その光信号の波長に応じてY軸の方向に変化させる。
【0020】
第1のレンズ4は、焦点距離がf1であり、X軸方向のみに集光するシリンドリカルレンズからなる。この第1のレンズ4は、出射部3から焦点距離f1の位置に配置される。
【0021】
第2のレンズ5は、焦点距離がf2であり、Y軸方向のみに集光するシリンドリカルレンズからなる。その焦点距離f2は、第1のレンズ4の焦点距離f1とは異っており、本実施の形態では焦点距離f1よりも長くなっている。このような第2のレンズ5は、出射部3および受光部7と反射部6との間に、それぞれから焦点距離f2の位置に配置される。
【0022】
反射部6は、入射した光信号を所定の方向に反射する反射装置である。この反射部6としては、例えば、入射した光信号の位相を変調して所定の方向に反射する液晶スイッチ(例えば、特許文献1参照。)やMEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーなどからなる。本実施の形態において、反射部6は、
図4に示すように、X軸およびY軸方向に沿って2次元的に配列された複数の反射素子61から構成されている。各反射素子61は、入射した単一波長の信号光または所定の波長帯の光信号を、任意の方向に反射する。
ここで、反射素子61のX軸(光入出力ポート軸)方向の配置は、光信号入力ポート2および光信号出力ポート8の位置に対応するように設定されてる。一方、反射素子61のY軸(波長軸)方向の配置は、入射する光信号の波長に対応するように設定されている。
このような反射部6は、第1のレンズ4からこの第1のレンズ4の焦点距離f1とは異なる位置であり、かつ、第2のレンズ5からこの第2のレンズ5の焦点距離f2の位置に配設される。
【0023】
受光部7は、光信号を受光する受光素子である。このような受光部7は、入射した光信号を対応する光信号出力ポート8へと導波させる。
【0024】
光信号出力ポート8は、受光部7から導波してきた光信号を外部へと伝達する光出力端子である。
【0025】
<波長選択スイッチの動作>
次に、本実施の形態に係る波長選択スイッチ1の動作について説明する。なお、以下においては、光信号入力ポート2および光信号出力ポート8をそれぞれ複数設け、光信号入力ポート2aに光信号α、光信号入力ポート2bに光信号β、光信号入力ポート2cに光信号γが入力された場合を例に説明する。ここで、光信号α〜γは、それぞれ波長が異なる単一の波長の光信号である。
【0026】
まず、外部から光信号入力ポート2(2a〜2c)に入力された光信号α〜γは、光信号入力ポート2から出射部3に導波し、第1のレンズ4に向かって出射される。このとき、光信号α〜γは、
図3に示すように、出射部3により波長に応じてY軸の方向に出射角度が変化させられる。これにより、それぞれ波長が異なる光信号α〜γは、
図3に示すようにYZ平面においては異なる方向に偏向して進行する一方、
図2に示すXZ平面ではZ軸に沿って進行する。
【0027】
出射部3から第1のレンズ4に入射した光信号α〜γは、第1のレンズ4が出射部3から焦点距離f1の位置に配置されているので、
図2に示すように第1のレンズ4によってXZ平面方向において平行光とされて、第1のレンズ4の反射部6側に位置する焦点に向かって第2のレンズ5へと進行する。ここで、第1のレンズ4はX軸方向に集光するものなので、YZ平面において光信号α〜γは、第1のレンズ4によって偏向されず、出射部3から第2のレンズ5に向かって直進する。
【0028】
第1のレンズ4によって平行光とされて第2のレンズ5に入射した光信号α〜γは、
図3に示すように、第2のレンズ5によって集光されて反射部6に入射する。
ここで、反射部6は、第2のレンズ5から焦点距離f2の位置に配置されている。したがって、光信号α〜γは、反射部6上に集光されることとなる。なお、第2のレンズ5はY軸方向に集光するものなので、XZ平面においては、光信号α〜γは第2のレンズ5によって集光されず、第1のレンズ4から反射部6に向かって直進する。
【0029】
反射部6に入射した光信号α〜βは、光信号出力ポート2と波長に基づいて特定の反射素子61に集光し、この反射素子61によって所定の方向に光信号α’〜γ’として反射される。
【0030】
光信号が入射する反射部6の反射素子61は、光信号の波長と光信号入力ポート2および光信号出力ポート8の位置とにより決定される。
上述したように、光信号は、出射部3により波長に応じてY軸の方向に偏向させられる。したがって、反射部6におけるY軸方向の位置は、光信号の波長に対応している。
また、光信号入力ポート2それぞれから出射された光信号は、第1のレンズ4により平行光とされるときにX軸の方向に偏向し、第1のレンズ4の反射部6側の焦点に向かって進行する。そして、光信号入力ポート2および光信号出力ポート8は、1つの軸(X軸)方向に併設されている。したがって、反射部6におけるX軸方向の位置は、光信号入力ポート2および光信号出力ポート8の位置に対応している。
【0031】
したがって、反射部6の各反射素子61には、特定の光信号入力ポート2から特定の波長の光信号が入射する。そして、各反射素子61は、その特定の光信号入力ポート2から入射した特定の波長の光信号を、出力させる光信号出力ポート8に応じて任意のX軸の方向に変化させて反射させる。
【0032】
反射部6で反射された光信号α’〜γ’は、第2のレンズ5、第1のレンズ4を通過してそれぞれ所定の受光部7に入射し、この受光部7を伝播して光信号出力ポート8から外部に出力される。
これにより、特定の光信号入力ポート2に入力された特定の波長の光信号は、任意の光信号出力ポート8から出力されることとなる。
【0033】
本実施の形態において反射部6は、第1のレンズ4から焦点距離f1よりも離れた位置に設けているが、第1のレンズ4から焦点距離f1よりも近づいた位置に設けるようにしてもよいことは言うまでもない。これにより、反射部6を第1のレンズ4から焦点距離f1よりも近い位置に設けることにより、第1のレンズ4と反射部6との距離を短くすることができるので、結果として、波長選択スイッチ1の小型化を実現することができる。
【0034】
また、反射部6は、第2のレンズ5からこの第2のレンズ5の焦点距離f2の位置に配設されており、この第2のレンズ5は出射部3および受光部7から焦点距離f2の位置に配置されている。ここで、受光部7は、出射部3とY軸方向において同じ位置に配設されている。したがって、光信号α’〜γ’は、
図3に示すように受光部7に入射することとなる。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態によれば、反射部6は、第1のレンズ4から焦点距離f1とは異なる位置に配設することにより、波長選択スイッチ1の小型化を実現することができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、第1のレンズ4を第2のレンズ5よりも出射部3側に設ける場合を例に説明したが、第2のレンズ5を第1のレンズ4よりも出射部3側に設けるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0037】
また、本実施の形態では、単一の波長の光信号が光信号入力ポート2に入力された場合を例に説明したが、複数の波長が多重された光信号が光信号入力ポート2に入力されるようにしてもよいことは言うまでもない。この場合、光信号は、出射部3により波長毎にY軸の方向に偏向させられることにより、複数の光信号に分光される。例えば、3つの波長が多重された光信号が光信号入力ポート2に入力された場合、その光信号は、
図5に示すように、出射部3により波長毎にY軸の方向に偏向させられることにより、3つの光信号δ1〜δ3に分光されることとなる。そして、この分光された各光信号は、光信号入力ポート2および波長に応じて特定の反射素子61に入射し、この反射素子61によって任意の方向に反射させられることにより、特定の光信号出力ポート8から出力されることとなる。
【0038】
また、上述した光信号入力ポート2、出射部3、受光部7および光信号出力ポート8は、1つの中空光導波路に集積して構成することができる。この場合について、
図6を参照して説明する。
【0039】
図6に示すように、中空光導波路10は、下部反射鏡11と、この下部反射鏡11と所定間隔離間して対向配置された上部反射鏡12とを備えており、下部反射鏡11と上部反射鏡12との間に中空の導波路13が形成されている。
【0040】
下部反射鏡11および上部反射鏡12は、例えば、シリコンとガラスを積層した多重反射膜から構成されている。ここで、上部反射鏡12の反射率は、下部反射鏡11の反射率よりも低く設定されている。また、下部反射鏡11と上部反射鏡12との間隔は、光信号の波長程度、例えば1μm程度に設定される。導波路13の長手方向の長さは、例えば約200μmに設定される。
【0041】
このような下部反射鏡11および上部反射鏡12は、例えばそれらの平面方向に対して垂直な板状の壁部材をX軸方向に所定間隔離間して複数埋設することによって、X軸方向に複数の領域に分離されている。この分離された各領域は、出射部3または受光部7として機能する。したがって、出射部3と受光部7とは、X軸方向(
図6の紙面に対して奥行き方向)に並設されることとなる。なお、
図6では、出射部3として機能する1つの領域が図示されている。
【0042】
また、上部反射鏡12のX軸方向に沿った一側部12aは、他の部分よりも薄く形成されている。この部分は、光信号入力ポートまたは光信号出力ポートとして機能する。なお、
図6においては、出射部3として機能する領域が表されているので、一側部12aに光信号入力ポート2’が形成されている。この光信号入力ポート2’には、対向配置されたマイクロレンズ21を介して光ファイバ22から光信号が入射する。
なお、下部反射鏡11および上部反射鏡12には、上述したようにX軸方向に出射部3または受光部7として機能する領域が並設されており、それぞれの領域における一側部12aには対応する光信号入力ポートまたは光信号出力ポートが形成されている。そして、光信号入力ポート2’と同様、光信号出力ポートにもマイクロレンズおよび光ファイバが対向配置されており、光信号出力ポートから出力された光信号は、マイクロレンズ21を介して光ファイバ22から外部へと出力される。
【0043】
このように、配設可能な光信号入力ポート2’や光信号出力ポートの数量は、上部反射鏡12の一側部12aの長さと、並設できるマイクロレンズ21および光ファイバ22の数量とに依存する。したがって、平面光回路にAWGを集積する場合よりもポートの数量を容易に増加させることができる。
【0044】
出射部として機能する中空光導波路10において、光信号は、マイクロレンズ21を介して光ファイバ22の先端から光信号入力ポート2’に入り、導波路13をその長手方向に伝播する際に、下部反射鏡11と上部反射鏡12との間でジグザグに反射を複数繰り返す。このとき、上部反射鏡12の反射率は下部反射鏡11の反射率よりも低いので、光信号は、ジグザグに導波路13内を伝搬しながら、上部反射鏡12から一部が中空光導波路10外部へと出射され、第1のレンズ4に向かって進行する。このとき、光信号は、スネルの法則に従って波長ごとに異なる角度で中空光導波路10の外部に出射される。ここで、光信号の上部反射鏡12への入射角をθ
i、上部反射鏡12から出射された光信号の空気との屈折角をθ、導波路13の等価屈折率をn
wg、空気の屈折率をn
air(=1)とすると、スネルの法則により下式(1)が成り立つ。
【0045】
n
air×sinθ =n
wg×sinθ
i ・・・(1)
【0046】
また、導波路13のカットオフ波長をλ
c、使用波長をλとすると、屈折角θは下式(2)で表される。
【0047】
θ=sin
-1[n
wg・{1−(λ/λ
c)
2}
1/2] ・・・(2)
【0048】
ここで、
図6に示すように、各屈折点aの間隔dは、d=2×λ×sinθ
iで表わされ、1〜数μm程度の値となる。他の光学的な角度分散器として、VIPA(Virtually Imaged Phased Array)やAWGがあげられるが、dに対応する値はそれぞれ10〜20μmであり、中空光導波路10よりも約10程度大きい。これにより、第1のレンズ4や第2のレンズ5に焦点距離が短いレンズを用いることが可能となるので、波長選択スイッチの小型化を実現することができる。
【0049】
また、中空光導波路10による角度分散特性は、下式(3)で表すことができる。なお、下式(3)において、n
gは中空光導波路の群屈折率、n
cは中空光導波路の実行屈折率、mは回折時数を示している。
【0050】
dθ/dλ=−n
g・{m/(d・n
c)} ・・・(3)
【0051】
上式(3)に示すように、間隔dは分母に表れるので、中空光導波路10によって大きな角度分散特性が得られることが分かる。また、導波路13の垂直方向の長さが波長程度であるいわゆるλキャビティ構造であり、FSR(Free Spectral Range)が100nmに達しているので、約100nmの波長帯域全てに渡って、角度分散が得られる。したがって、本実施の形態では、これまでにない広範な波長範囲での使用が可能である。
【0052】
なお、中空光導波路10には、活性領域14を設けるようにしてもよい。この場合、下部反射鏡11の下面と上部反射鏡12の上面に電極15を設け、活性領域14に所望の電流を供給することにより、出射部や受光部で光増幅を行うことが可能となり、光損失を補償することができる。
【0053】
また、中空光導波路10が受光部として機能する場合は、上述した出射部と光信号の向きを逆向きにすればよい。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態によれば、光信号入力ポート、出射部、受光部および光信号出力ポートを中空光導波路から構成することにより、光信号を大きな角度で分散させることができるので、波長選択スイッチの小型化を実現することができる。