特許第6238390号(P6238390)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6238390不活性粒子を使用して電池の安全性を向上させた電池セル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238390
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】不活性粒子を使用して電池の安全性を向上させた電池セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20171120BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20171120BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20171120BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20171120BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20171120BHJP
   H01M 10/058 20100101ALN20171120BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   H01M4/62 Z
   H01M4/13
   H01M4/02 Z
   H01M2/02 K
   !H01M10/058
【請求項の数】32
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-543656(P2016-543656)
(86)(22)【出願日】2015年1月5日
(65)【公表番号】特表2017-501549(P2017-501549A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】KR2015000059
(87)【国際公開番号】WO2015105304
(87)【国際公開日】20150716
【審査請求日】2016年6月29日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0003860
(32)【優先日】2014年1月13日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0042791
(32)【優先日】2014年4月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ク・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ス・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ファン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ピル・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ミン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ビン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ジン・リム
(72)【発明者】
【氏名】スンヘ・ウ
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0025968(KR,A)
【文献】 特開2003−059486(JP,A)
【文献】 特開2000−306611(JP,A)
【文献】 特開2009−054455(JP,A)
【文献】 特開2006−331874(JP,A)
【文献】 特開2003−132936(JP,A)
【文献】 特開2009−070797(JP,A)
【文献】 特開2002−008645(JP,A)
【文献】 特開2009−043536(JP,A)
【文献】 特開2008−226605(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/140709(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/014780(WO,A1)
【文献】 単位171の新知識,株式会社講談社,2005年,p.173
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/058
H01M 4/00−4/62
H01M 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体が電解液に含浸された状態で可変的なセルケースに内蔵された構造となっており、装着されるデバイスの形状に応じて柔軟に変形できる電池セルであって、
電極の積層方向を基準として電極組立体の最上端及び/又は最下端の電極は、セルケースの内面と対面する電極集電体上に、不活性粒子を含む電極合剤が塗布されており、前記不活性粒子の10%〜100%が電極合剤の表面に分布して、垂直断面視で電極合剤の表面に屈曲が形成されており、
前記セルケースは、前記不活性粒子によって屈曲形状を有することを特徴とする、電池セル。
【請求項2】
前記不活性粒子を含む電極合剤は、電極組立体の最上端及び最下端に位置する電極の電極集電体上に塗布されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記最上端又は最下端の電極は、電極活物質、バインダー、及び不活性粒子を含む電極スラリーをセルケースの内面と対面する電極集電体上に塗布した後、乾燥して製造されることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項4】
前記電極スラリーの粘度は500cP〜40000cPであることを特徴とする、請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記不活性粒子の比重は、電極スラリー全体の比重の30%〜95%であることを特徴とする、請求項3に記載の電池セル。
【請求項6】
前記不活性粒子は、内部に空隙を含んでいる多孔性粒子であることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項7】
前記不活性粒子の50%〜90%が電極合剤の表面に分布して、垂直断面視で電極合剤の表面に屈曲を形成することを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項8】
電極組立体が電解液に含浸された状態で可変的なセルケースに内蔵された構造となっており、装着されるデバイスの形状に応じて柔軟に変形できる電池セルであって、
電極の積層方向を基準として電極組立体の最上端及び/又は最下端の電極は、セルケースの内面と対面する電極合剤層上に、不活性粒子を含むコーティング部が形成されており、
前記セルケースは、前記不活性粒子によって屈曲形状を有することを特徴とする、電池セル。
【請求項9】
前記不活性粒子を含むコーティング部は、電極組立体の最上端及び最下端に位置する電極に形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の電池セル。
【請求項10】
前記不活性粒子を含むコーティング部は、電極合剤層上に部分的又は全体的に形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の電池セル。
【請求項11】
前記不活性粒子を含むコーティング部は、不活性粒子が電極合剤層上に散布されている不活性粒子層であることを特徴とする、請求項8に記載の電池セル。
【請求項12】
前記不活性粒子を含むコーティング部は、電極合剤層上に形成されたバインダー層、及び前記バインダー層に散布された不活性粒子を含むことを特徴とする、請求項8に記載の電池セル。
【請求項13】
前記バインダー層の厚さは、不活性粒子の大きさよりも薄いことを特徴とする、請求項12に記載の電池セル。
【請求項14】
前記バインダー層の厚さは、不活性粒子の大きさの10%〜95%の範囲であることを特徴とする、請求項13に記載の電池セル。
【請求項15】
前記不活性粒子を含むコーティング部は、不活性粒子とバインダーを含む混合物層であることを特徴とする、請求項8に記載の電池セル。
【請求項16】
前記混合物層の厚さは1μm〜150μmであることを特徴とする、請求項15に記載の電池セル。
【請求項17】
前記不活性粒子の比重は、コーティング部全体の比重の30%〜90%であることを特徴とする、請求項15に記載の電池セル。
【請求項18】
前記不活性粒子は、内部に空隙を含んでいる多孔性粒子であることを特徴とする、請求項8に記載の電池セル。
【請求項19】
前記不活性粒子は有機粒子及び/又は無機粒子であることを特徴とする、請求項1又は8に記載の電池セル。
【請求項20】
前記不活性粒子は有機粒子であることを特徴とする、請求項19に記載の電池セル。
【請求項21】
前記有機粒子は、高分子樹脂又はシラン系化合物からなることを特徴とする、請求項19に記載の電池セル。
【請求項22】
前記無機粒子は、SiO、Al、MgO、TiO、ZrO、CaO、Y及びSrOからなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合物であることを特徴とする、請求項19に記載の電池セル。
【請求項23】
前記不活性粒子の大きさは5μm〜1000μmであることを特徴とする、請求項1又は8に記載の電池セル。
【請求項24】
前記不活性粒子は、球形、楕円形、または多面体形状からなることを特徴とする、請求項1又は8に記載の電池セル。
【請求項25】
前記セルケースは、樹脂層と金属層を含むラミネートシートのパウチ型ケースであることを特徴とする、請求項1又は8に記載の電池セル。
【請求項26】
前記電極組立体は、所定サイズの単位に切り取った多数の正極と負極を分離膜が介在した状態で順次積層したスタック型電極組立体、または所定単位の正極と負極を分離膜が介在した状態で積層したバイセル又はフルセルを分離フィルムで巻き取った構造のスタック/フォールディング型電極組立体、またはバイセル又はフルセルを分離膜が介在した状態で積層したラミネート/スタック型電極組立体であることを特徴とする、請求項1又は8に記載の電池セル。
【請求項27】
請求項1に記載の電池セルを製造する方法であって、
(a)電極集電体の一面には、不活性粒子を含む電極スラリーを塗布し、電極集電体の他面には、不活性粒子を含まない電極スラリーを塗布した後、乾燥して、1つまたは2つの最外郭電極を製造する過程と、
(b)電極集電体の両面に、不活性粒子を含まない電極スラリーを塗布及び乾燥して、中間電極を製造する過程と、
(c)前記最外郭電極単独、または前記最外郭電極と中間電極を共に使用して、前記不活性粒子を含む電極合剤がセルケースの内面と対面するように最外郭電極を電極組立体の最上端及び/又は最下端に位置させて電極組立体を構成する過程と、
(d)前記電極組立体を可変的なセルケースの収納部に装着した後、セルケースを加圧して電極組立体に密着させる過程と、
を含むことを特徴とする、電池セルの製造方法。
【請求項28】
前記電極組立体は、最外郭電極及び中間電極を共に使用して構成されることを特徴とする、請求項27に記載の電池セルの製造方法。
【請求項29】
請求項8に記載の電池セルを製造する方法であって、
(a)電極集電体上に電極合剤を塗布し、乾燥して多数の電極を準備する過程と、
(b)前記多数の電極のうち1つまたは2つの電極を選択し、前記電極の電極合剤層の一面に、不活性粒子を含むコーティング部を形成する過程と、
(c)前記不活性粒子を含むコーティング部が電極合剤層の一面に形成された1つまたは2つの電極を、前記コーティング部がセルケースの内面と対面するようにして電極組立体の最上端及び/又は最下端に位置させて電極組立体を構成する過程と、
(d)前記電極組立体を可変的なセルケースの収納部に装着した後、セルケースを加圧して電極組立体に密着させる過程と、
を含むことを特徴とする、電池セルの製造方法。
【請求項30】
請求項1又は8に記載の電池セルを2つ以上含んでいることを特徴とする、電池パック。
【請求項31】
請求項30に記載の電池パックを電源として含んでいることを特徴とする、デバイス。
【請求項32】
前記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び電力貯蔵装置からなる群から選択されることを特徴とする、請求項31に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不活性粒子を使用して電池の安全性を向上させた電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
IT(Information Technology)技術の目覚ましい発達に伴い、様々な携帯型情報通信機器の拡散により、21世紀は、時間と場所にとらわれずに高品質の情報サービスが可能な‘ユビキタス社会’に発展している。
【0003】
このようなユビキタス社会への発展のベースには、リチウム二次電池が重要な位置を占めている。具体的には、充放電の可能なリチウム二次電池は、ワイヤレスモバイル機器のエネルギー源として広範囲に使用されているだけでなく、化石燃料を使用する既存のガソリン車両、ディーゼル車両などの大気汚染などを解決するための方案として提示されている電気自動車、ハイブリッド電気自動車などのエネルギー源としても使用されている。
【0004】
前記のように、リチウム二次電池が適用されるデバイスの多様化に伴い、リチウム二次電池は、適用されるデバイスに適した出力と容量を提供できるように多様化されている。なお、小型軽薄化が強力に要求されている。
【0005】
前記のリチウム二次電池は、その形状によって円筒型電池セル、角型電池セル、パウチ型電池セルなどに区分することができる。その中でも、高い集積度で積層可能であり、重量当たりのエネルギー密度が高く、低コストであり、変形が容易なパウチ型電池セルが多くの関心を集めている。
【0006】
図1及び図2には、従来の代表的なパウチ型二次電池の一般的な構造が分解斜視図として模式的に示されている。
【0007】
図1を参照すると、パウチ型二次電池10は、複数の電極タブ21,22が突出しているスタック型電極組立体20、電極タブ21,22にそれぞれ接続されている2つの電極リード30,31、及び電極リード30,31の一部が外部に露出するようにスタック型電極組立体20を収納及び密封する構造の電池ケース40を含む構成となっている。
【0008】
電池ケース40は、スタック型電極組立体20を装着できる凹状の収納部41を含む下部ケース42、及びそのような下部ケース42の蓋であって、スタック型電極組立体20を密封する上部ケース43からなっている。上部ケース43と下部ケース42は、スタック型電極組立体20を内蔵した状態で熱融着され、上端シーリング部44、側面シーリング部45,46、及び下端シーリング部47を形成する。
【0009】
図1では、上部ケース43と下部ケース42がそれぞれ別途の部材として示されているが、図2のように、一側端部が一体に連続しているヒンジ式構造も可能である。
【0010】
また、図1及び図2は、電極タブと電極リードとが接続された構造の電極端子が一端に共に形成されている構造のパウチ型電池セルを示しているが、電極端子が一端と他端にそれぞれ形成されている構造のパウチ型電池セルなども、前記のような方法で作製できることは勿論である。
【0011】
また、図1及び図2は、スタック型電極組立体を使用したパウチ型電池セルを示しているが、巻き取り型またはジェリーロール型電極組立体を使用する場合にも、前記のような方法で製造できることは勿論である。
【0012】
図1及び図2のように、パウチ型電池セルは、略直方体の形状に製造されることが一般的である。
【0013】
しかし、デバイスのデザインは直方体形状でなくてもよいだけでなく、曲がることができる形状であってもよい。例えば、スマートフォンの場合には、把持感の向上のために側面を曲線処理することができ、フレキシブルディスプレイのような場合には曲げたり、折り曲げたりすることができ、様々な形態に製作可能である。
【0014】
このように曲線処理された部分を有するようにデザインされたデバイス又は曲げられるデバイスの場合、直方体形状の電池セル又は電池パックをデバイス内部の空間に内蔵するのに限界があるという問題があるため、最近は、様々なデザインのデバイス内に容易に装着できる電池の柔軟な特性が要求されている。
【0015】
したがって、前記の問題を解決し、電池の形状の変形にも安全性を確保することができる技術に対する必要性が高い実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、前記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0017】
本出願の発明者らは、鋭意研究と様々な実験を重ねた結果、後述するように、不活性粒子を含む電極合剤が塗布されている電極、または不活性粒子を含むコーティング部が外面に形成されている電極を、電極の積層方向を基準として電極組立体の最上端及び/又は最下端に含む電池セルの場合、様々なデザインのデバイスに対応して電池の形状を変形する場合にも安全性を確保できることを確認し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このような目的を達成するための本発明に係る電池セルは、不活性粒子を使用して、電極の積層方向を基準として電極組立体の最上端及び/又は最下端の電極の表面に屈曲を形成させることによって、セルケースもまた、前記不活性粒子によって屈曲形状を有するようになることで、電極面積対比セルケースの表面積をさらに大きくして、様々なデザインのデバイスに対応して電池の形状を変形する場合にも、セルケースに意図せぬシワの発生を最小化することができ、したがって、セルケースの損傷によって生じる金属層の露出による絶縁破壊又は電解液の漏れ現象を効果的に防止し、電池の安全性を確保することができる。
【0019】
このような構造を有する一つの例として、
本発明に係る電池セルは、電極組立体が電解液に含浸された状態で可変的なセルケースに内蔵された構造となっており、装着されるデバイスの形状に応じて柔軟に変形できる電池セルであって、電極の積層方向を基準として電極組立体の最上端及び/又は最下端の電極は、セルケースの内面と対面する電極集電体上に、不活性粒子を含む電極合剤が塗布されており、前記不活性粒子の10%〜100%が電極合剤の表面に分布して、垂直断面視で電極合剤の表面に屈曲が形成されていることを特徴とする。
【0020】
このとき、前記セルケースもまた、電極組立体の最上端及び/又は最下端に位置する電極の電極合剤に含まれた不活性粒子によって屈曲形状を有することができる。
【0021】
一具体例において、前記不活性粒子を含む電極合剤は、電極組立体の最上端又は最下端の一側に位置する電極の電極集電体上にのみ塗布されていてもよいが、電池セルが両方向に柔軟に変形する場合にもシワの発生を防止し、安全性を確保できるように、詳細には、最上端及び最下端に位置する両電極の電極集電体上に塗布されていてもよい。
【0022】
このような構成の前記最上端又は最下端の電極は、電極活物質、バインダー、及び不活性粒子を含む電極スラリーを、セルケースの内面と対面する電極集電体上に塗布した後、乾燥して製造することができる。
【0023】
このとき、電極の外面に凸凹状の屈曲を形成するためには、電極スラリーに含まれた不活性粒子が電極合剤の表面に分布しなければならず、不活性粒子が電極スラリー内である程度以上の流動性を有することができるように、電極スラリーの粘度は500cps〜40000cpsであってもよく、前記流動性を有する不活性粒子が塗布された後、電極の表面に浮かぶことができるように、前記不活性粒子の比重は、電極スラリー全体の比重よりも小さいことが好ましく、詳細には、電極スラリー全体の比重の30%〜95%であってもよい。
【0024】
電極スラリーの粘度が前記範囲を外れ、500cps未満である場合には、電極集電体上の塗布が難しく、40000cpsを超える場合には、不活性粒子が電極スラリー内で流動しにくいため混合された状態で固定され、電極の表面に浮かぶことができないため、好ましくない。
【0025】
また、不活性粒子の比重が前記範囲を外れ、30%未満である場合には、電極の表面に完全に浮かぶようになるため、接着力が低下し、90%を超える場合には、不活性粒子のほとんどが電極スラリーの内部に存在するため、セルケースに現れる程度の屈曲を電極の外面に形成しにくく、屈曲が形成されても、シワの発生を効果的に防止できる程度に表面積を大きくすることができないため、好ましくない。
【0026】
不活性粒子の比重を低下させる方法は、多様であるが、詳細には、不活性粒子をなす物質を適切に選択するか、または内部に空隙を含んでいる多孔性粒子を使用することができる。
【0027】
このように製造された最外郭電極において、前記不活性粒子は、ほとんど電極合剤の表面に分布し、上述したように、10%〜100%、より詳細には50%〜90%が電極合剤の表面に分布して、垂直断面視で電極合剤の表面に屈曲を形成することができる。
【0028】
このような構造の前記電池セルを製造する方法は、
(a)電極集電体の一面には、不活性粒子を含む電極スラリーを塗布し、電極集電体の他面には、不活性粒子を含まない電極スラリーを塗布した後、乾燥して、1つ又は2つの最外郭電極を製造する過程;
(b)電極集電体の両面に、不活性粒子を含まない電極スラリーを塗布及び乾燥して、中間電極を製造する過程;
(c)前記最外郭電極単独、または前記最外郭電極と中間電極を共に使用して、前記不活性粒子を含む電極合剤がセルケースの内面と対面するように、最外郭電極を電極組立体の最上端及び/又は最下端に位置させて電極組立体を構成する過程;及び
(d)前記電極組立体を可変的なセルケースの収納部に装着した後、セルケースを加圧して電極組立体に密着させる過程;
を含むことができる。
【0029】
前記のように、前記電極組立体は、最外郭電極単独からなってもよく、最外郭電極及び中間電極からなってもよいが、詳細には、最外郭電極及び中間電極を共に使用して構成することができる。
【0030】
一方、最外郭(‘最上端及び/又は最下端’を意味する。)電極の表面に屈曲が形成された構造を有する他の例として、
本発明に係る電池セルは、電極組立体が電解液に含浸された状態で可変的なセルケースに内蔵された構造となっており、装着されるデバイスの形状に応じて柔軟に変形できる電池セルであって、電極の積層方向を基準として電極組立体の最上端及び/又は最下端の電極は、セルケースの内面と対面する電極合剤層上に、不活性粒子を含むコーティング部が形成されていることを特徴とする。
【0031】
このとき、前記セルケースもまた、電極組立体の最上端及び/又は最下端の電極の電極合剤層上に形成されたコーティング部の不活性粒子によって屈曲形状を有することができる。
【0032】
一具体例において、前記不活性粒子を含むコーティング部は、最上端又は最下端の一側の電極にのみ形成されてもよいが、電池セルが両方向に柔軟に変形する場合にもシワの発生を防止し、安全性を確保できるように、詳細には、最上端及び最下端に位置する電極の両方に形成され得る。
【0033】
また、前記不活性粒子を含むコーティング部の形成範囲と関連して、前記不活性粒子を含むコーティング部は、電極合剤層上に部分的又は全体的に形成されていてもよく、詳細には、全体的に形成されていてもよい。前記不活性粒子を含むコーティング部が部分的に形成される場合には、その位置は、限定されないが、シワの発生が多い屈曲部分に形成されることが好ましい。
【0034】
このような前記不活性粒子を含むコーティング部の構成は、限定されず、様々な構成が可能であり、以下では、その構成について説明する。
【0035】
一例において、不活性粒子を含むコーティング部は、不活性粒子が電極合剤層上に散布(scattering)されている不活性粒子層であってもよい。
【0036】
この場合、不活性粒子のみが前記コーティング部をなすので、前記不活性粒子は、電極合剤層上に規則的又は不規則的に散布された状態そのまま、セルケースの内面と対面する最外郭電極の外面に屈曲を形成する。
【0037】
このとき、前記不活性粒子は、電極合剤層に含まれたバインダーによって固定されてもよいが、前記不活性粒子の表面に、電極合剤層にさらに適切に固定されるためのバインダーがさらにコーティングされていてもよい。
【0038】
他の例において、前記不活性粒子を含むコーティング部は、電極合剤層上に形成されたバインダー層、及び前記バインダー層に散布された不活性粒子を含むことができる。
【0039】
すなわち、上述したように、バインダーがコーティングされた不活性粒子を使用する代わりに、不活性粒子を電極合剤層上に適切に固定させるために、まず、バインダー層を形成し、その上に不活性粒子を散布することによってコーティング部を形成することができる。
【0040】
このとき、前記バインダー層の厚さは、不活性粒子の大きさよりも薄いことが好ましい。これは、バインダー層の厚さがさらに厚い場合、不活性粒子がバインダー層の内部に沈んだり埋め込まれたりすることがあるため、本発明から結果的に得ようとする効果、すなわち、最外郭電極の外面に凸凹状の屈曲を形成し、前記屈曲形状が可変的なセルケースにそのまま現れるようにして、電極面積対比セルケースの表面積をさらに大きくすることによってシワの発生を防止しようとする効果を得ることができないためである。
【0041】
前記バインダー層の厚さは、詳細には、不活性粒子の大きさの10%〜95%であってもよい。
【0042】
バインダー層の厚さが前記不活性粒子の大きさの10%未満である場合、不活性粒子が電極合剤層上に適切に固定され得る程度の接着力を有することができず、95%を超える場合、不活性粒子のほとんどがバインダー層の内部に埋め込まれるため、セルケースに現れる程度の屈曲を形成しにくく、屈曲が形成されても、シワの発生を効果的に防止できる程度に表面積を大きくすることができないため、好ましくない。
【0043】
このように、バインダー層を不活性粒子の大きさよりも薄くすると、不活性粒子の比重などに関係なく、不活性粒子が電極の外面に屈曲を形成することができる。
【0044】
他の例において、前記不活性粒子を含むコーティング部は、不活性粒子とバインダーを含む混合物層であってもよい。
【0045】
すなわち、上述したように、不活性粒子を電極合剤層上に適切に固定させるために、バインダーがコーティングされた不活性粒子を使用したり、バインダー層を別途に形成したりする代わりに、不活性粒子をバインダーと混合して塗布することによってコーティング部を形成することができる。
【0046】
このとき、前記混合物層の厚さは、1μm〜150μmであってもよい。
【0047】
混合物層の厚さが1μm未満である場合、バインダーの含量が非常に少なく塗布され、不活性粒子の固定が難しく、150μmを超える場合には、必要以上に材料が使用されて非経済的であるだけでなく、不活性粒子を含むコーティング部が占める体積が大きくなるため、電池の全体的な大きさが大きくなり、効果対比空間効率性が低下するため、好ましくない。
【0048】
また、前記のように、不活性粒子を含むコーティング部が混合物層である場合には、電極の外面に凸凹状の屈曲を形成させるために、不活性粒子が混合物層の表面に位置しなければならないため、前記不活性粒子の比重は、混合物層全体の比重よりも小さいことが好ましく、詳細には、混合物層全体の比重の30%〜90%であってもよい。
【0049】
前記範囲を外れ、不活性粒子の比重が混合物層全体の比重の30%未満である場合には、バインダーからなる混合物層で完全に浮かぶようになるため、接着力が低下し、90%を超える場合には、不活性粒子のほとんどがバインダー層の内部に埋め込まれるため、セルケースに現れる程の屈曲を電極の外面に形成しにくく、屈曲が形成されても、シワの発生を効果的に防止できる程度に表面積を大きくすることができないため、好ましくない。
【0050】
このとき、不活性粒子の比重を低下させる方法は、不活性粒子をなす物質を適切に選択したり、内部に空隙を含んでいる多孔性粒子を使用するなどの様々な方法が可能である。
【0051】
前記コーティング部の構成の様々な例において、前記不活性粒子と共にコーティング部をなすバインダーは、限定されず、電極の形成時に使用されるものと同一であってもよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などを挙げることができる。
【0052】
このような構造の前記電池セルを製造する方法は、
(a)電極集電体上に電極合剤を塗布し、乾燥して多数の電極を準備する過程;
(b)前記多数の電極のうち1つまたは2つの電極を選択し、前記電極の電極合剤層の一面に、不活性粒子を含むコーティング部を形成する過程;
(c)前記不活性粒子を含むコーティング部が電極合剤層の一面に形成された1つまたは2つの電極を、前記コーティング部がセルケースの内面と対面するようにして電極組立体の最上端及び/又は最下端に位置させて電極組立体を構成する過程;及び
(d)前記電極組立体を可変的なセルケースの収納部に装着した後、セルケースを加圧して電極組立体に密着させる過程;
を含むことができる。
【0053】
一方、一具体例において、前記構造に関係なく、不活性粒子の種類は、限定されず、有機粒子及び/又は無機粒子であってもよく、詳細には有機粒子であってもよい。
【0054】
前記有機粒子は、例えば、高分子又はシラン系化合物からなることができ、前記高分子の例としては、PE、PP、PS、PVdF、PTFE、PET、PMMA、PANdlfなどを挙げることができ、前記シラン系化合物の例としては、HMDS(hexamethyldisilazane)、TMSCL(trimethylchlorosilane)、PDMS(polydimethylsiloxane)、DDS(dimethyldichlorosilane)などを挙げることができる。
【0055】
前記無機粒子は、例えば、SiO、Al、MgO、TiO、ZrO、CaO、Y及びSrOからなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合物からなることができる。
【0056】
前記不活性粒子が無機粒子である場合、通常、無機粒子の比重は電極スラリー又はバインダー全体の比重に比べて重いため、上述したように、不活性粒子は、内部に空隙を含んでいる多孔性粒子であることが好ましい。
【0057】
また、一具体例において、前記不活性粒子の形状は、所定の体積を有する範囲内で限定されず、例えば、球形、楕円形、または多面体形状であってもよく、その大きさは、粒子の形状などと粒子の塗布または散布の容易性などを考慮すると、詳細には5μm〜1000μm、より詳細には5μm〜200μmであってもよい。
【0058】
その他に、電極合剤に含まれる電極活物質、バインダー、及び導電材などの種類は、当業界に公知となっているので、本明細書ではこれを省略するが、公知の全ての物質が本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0059】
一方、様々なデザインのデバイス内に容易に装着できる柔軟な特性を有し、最外郭電極に形成された凸凹状の屈曲をセルケースの表面にまで反映させるために、前記セルケースは、樹脂層と金属層を含むラミネートシートのパウチ型ケースであってもよい。
【0060】
このとき、前記ラミネートシートは、アルミニウムラミネートシートであってもよく、詳細には、金属遮断層の一面(外面)に耐久性に優れた樹脂外郭層が付加されており、他面(内面)に熱溶融性の樹脂シーラント層が付加されている構造からなることができる。
【0061】
前記樹脂外郭層は、外部環境から優れた耐性を有しなければならないため、所定以上の引張強度及び耐候性を有することが必要である。そのような観点で樹脂外郭層の高分子樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及び延伸ナイロンフィルムを好ましく使用することができる。
【0062】
前記金属遮断層は、ガス、湿気などの異物の流入乃至漏出を防止する機能以外に、電池ケースの強度を向上させる機能を発揮できるように、詳細にはアルミニウムが使用されてもよい。
【0063】
前記樹脂シーラント層の高分子樹脂としては、熱融着性(熱接着性)を有し、電解液の浸透を抑制するために吸湿性が低く、電解液によって膨張又は腐食しないポリオレフィン(polyolefin)系樹脂を好ましく使用することができ、より詳細には、無延伸ポリプロピレン(CPP)を使用することができる。
【0064】
一般に、ポリプロピレンなどのようなポリオレフィン系樹脂は金属との接着力が低いため、前記金属遮断層との接着力を向上させるための方案として、詳細には、前記金属層と樹脂シーラント層との間に接着層をさらに含むことによって接着力及び遮断特性を向上させることができる。前記接着層の素材としては、例えば、ウレタン(urethane)系物質、アクリル(acryl)系物質、熱可塑性エラストマー(elastomer)を含有する組成物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
また、電解液に含浸された状態で可変的なセルケースに内蔵される前記電極組立体は、多数の電極タブを接続して正極と負極を構成する構造であれば特に限定されるものではないが、最外郭電極を別途の構成として含む構造であることが好ましいので、詳細には、所定サイズの単位に切り取った多数の正極と負極を分離膜が介在した状態で順次積層したスタック型電極組立体、または所定単位の正極と負極を分離膜が介在した状態で積層したバイセル(Bi−cell)又はフルセル(Full cell)を分離フィルムで巻き取った構造のスタック/フォールディング型電極組立体、またはバイセル又はフルセルを分離膜が介在した状態で積層したラミネート/スタック型電極組立体であってもよい。
【0066】
このとき、前記バイセルは、同じ種類の電極がセルの両側に位置するスタック型構造からなっており、例えば、正極−分離膜−負極−分離膜−正極または負極−分離膜−正極−分離膜−負極からなるセルである。前記フルセルは、異なる種類の電極がセルの両側に位置するスタック型構造からなっており、例えば、正極−分離膜−負極からなるセルである。
【0067】
前記からわかるように、本発明に係る不活性粒子を含む電極合剤またはコーティング部は、セルケースの内面と対面する最外郭電極に形成されるので、可変的なセルケースの収納部に電極組立体を装着した後、セルケースを加圧して電極組立体に密着させると、前記屈曲形状が可変的なセルケースにそのまま現れるので、電極面積対比セルケースの表面積がさらに大きくなり、様々なデザインのデバイスに対応して電池の形状を変形する場合にも、セルケース上に意図せぬシワの発生を最小化できるものである。
【0068】
本発明はまた、前記電池セルを2つ以上含む電池モジュールを提供し、前記電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0069】
本発明はまた、前記電池パックを電源として含んでいるデバイスを提供し、前記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び電力貯蔵装置などから選択されるものであってもよい。
【0070】
これらデバイスの構造及びその作製方法は当業界に公知となっているので、本明細書では、それについての詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】従来の代表的なパウチ型二次電池の分解斜視図である。
図2】従来の代表的なパウチ型二次電池の分解斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係る電池セルの平面図である。
図4図3の一実施例に係る電池セルの内部構造を示した電池セルの側面模式図である。
図5図3の他の実施例に係る電池セルの内部構造を示した電池セルの側面模式図である。
図6】本発明の更に他の実施例に係る、電池セルの内部構造を示した電池セルの側面模式図である。
図7】本発明の更に他の実施例に係る、電池セルの内部構造を示した電池セルの側面模式図である。
図8】電池セルの内部構造を示すための電池セルの側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下では、本発明の実施例に係る図面を参照して説明するが、これは、本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0073】
まず、図3には、本発明の一実施例に係る電池セル100の平面図が示されており、図4には、図3の電池セル100が有することができる一つの内部構造を示すための電池セル100の側面図が模式的に示されている。
【0074】
これら図面を参照すると、本発明に係る電池セル100は、正極111、負極112及び正極111と負極112との間に介在している分離膜113からなっている電極組立体110が電解液に含浸された状態でパウチ型ケース120に内蔵されている構造となっており、電極の積層方向を基準として電極組立体110の最上端及び最下端の電極には、パウチ型ケース120の内面と対面する電極合剤130に不活性粒子131が含まれている。
【0075】
このとき、不活性粒子131のほとんどは、図4のように、電極合剤130の表面に分布しているので、不活性粒子131を含む電極合剤130をセルケースの内面と対面するように構成した電極組立体110をパウチ型ケース120に装着した後、パウチ型ケース120を加圧して電極組立体110に密着させると、図3のようにパウチ型ケース120に屈曲150がそのまま現れるようになる。
【0076】
また、図5には、図3の電池セル100が有することができる他の内部構造を示すための電池セル100’の側面図が模式的に示されている。
【0077】
図5図3と共に参照すると、本発明に係る電池セル100’は、正極111’、負極112’及び正極111’と負極112’との間に介在している分離膜113’からなっている電極組立体110’が電解液に含浸された状態でパウチ型ケース120’に内蔵されている構造となっており、電極の積層方向を基準として電極組立体110’の最上端及び最下端の電極には、パウチ型ケース120’の内面と対面する電極合剤層(以下、‘最外郭電極合剤層’という。)上に、不活性粒子131’を含むコーティング部130’が形成されている。
【0078】
このとき、不活性粒子131’を含むコーティング部130’は、電極組立体110’の最外郭電極合剤層上に不活性粒子131’が散布(scattering)されている形態からなっている。
【0079】
このような不活性粒子131’は、電極合剤層に含まれたバインダーによって固定されてもよく、図示していないが、不活性粒子131’の表面には、最外郭電極合剤層上に散布された後、さらに適切に固定するために、バインダー(図示せず)がさらにコーティングされていてもよい。
【0080】
このように散布された不活性粒子131’は、電極組立体110’の最外郭電極合剤層上に規則的又は不規則的に散布された状態そのまま屈曲を形成し、電極組立体110’をパウチ型ケース120’に装着した後、パウチ型ケース120’を加圧して電極組立体110’に密着させると、図3のようにパウチ型ケース120に屈曲150がそのまま現れるようになる。
【0081】
図6及び図7には、本発明の更に他の実施例として、図5に対応する電池セル200,300の側面図が模式的に示されている。
【0082】
まず、図6を参照すると、図5のように、電極組立体210は、正極211、負極212、及び正極211と負極212との間に介在している分離膜213からなっており、電極の積層方向を基準として最外郭電極合剤層上には、不活性粒子231を含むコーティング部230が形成されている。
【0083】
ただし、図5とは異なり、不活性粒子231を含むコーティング部230は、電極合剤層上に形成されたバインダー層232、及びバインダー層232に散布された不活性粒子231を含む構造となっている。
【0084】
すなわち、図5の構成と比較すると、最外郭電極合剤層上に不活性粒子231を直接散布せず、不活性粒子231を電極合剤層上に適切に固定させるために、最外郭電極合剤層上にまずバインダー層232を形成し、その上に不活性粒子231を散布することによって、コーティング部230を形成した。
【0085】
このとき、バインダー層232の厚さは、不活性粒子231の大きさよりも薄いので、不活性粒子231の比重などに関係なく、不活性粒子231がバインダー層232の内部に沈んだり埋め込まれないため、最外郭電極の外面に凸凹状の屈曲を形成することができ、それによって、パウチ型ケース220の外面にも屈曲を形成することができる。
【0086】
一方、図7を参照すると、図5のように、電極組立体310は、正極311、負極312、及び正極311と負極312との間に介在している分離膜313からなっており、電極の積層方向を基準として最外郭電極合剤層上には、不活性粒子331を含むコーティング部330が形成されている。
【0087】
ただし、前記図5及び図6とは異なり、前記不活性粒子331を含むコーティング部330は、不活性粒子331とバインダー332を含む混合物層からなっている。
【0088】
すなわち、上述したように、不活性粒子331を最外郭電極合剤層上に適切に固定させるために、バインダーがコーティングされた不活性粒子を使用するか、またはバインダー層を別途に形成する代わりに、不活性粒子331をバインダー332と混合してコーティング部330を形成している。
【0089】
このとき、最外郭電極の外面及びパウチ型ケース320に凸凹状の屈曲を形成させるために、不活性粒子331の比重は、バインダー332を含む混合物層全体の比重よりも小さく、したがって、不活性粒子331は混合物層の表面に位置している。
【0090】
最後に、図8には、本発明の他の実施例として、図6と比較して、不活性粒子431を含むコーティング部430の形成範囲を異ならせた電池セル400の側面図が模式的に示されている。
【0091】
図8を参照すると、不活性粒子431を含むコーティング部430は、最外郭電極合剤層上に形成されたバインダー層432、及びバインダー層432に散布された不活性粒子431を含む構造となっているという点で、図6の電池セル200と同一であるが、不活性粒子431を含むコーティング部430が電極合剤層上の中心部分に部分的に形成されているという点で図6と異なる。
【0092】
勿論、この場合、別途に図示していないが、不活性粒子431を含むコーティング部430が形成された位置に対応する部分のパウチ型ケース420にのみ屈曲が形成される。
【0093】
図面を参照して説明したように、本発明に係る電池セルは、不活性粒子によって最上端及び最下端の電極の外面に凸凹状の屈曲を有し、前記屈曲形状が可変的なセルケースにそのまま現れることによって、電極面積対比セルケースの表面積をさらに大きくして、様々なデザインのデバイスに対応して電池の形状を変形する場合にも、既に形成されている屈曲にのみ影響を与えるため、セルケース上に意図せぬシワの発生を最小化することができ、結果的に、セルケースの損傷によって生じる金属層の露出による絶縁破壊又は電解液の漏れ現象を効果的に防止し、電池の安全性を確保することができる。
【0094】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、前記内容に基づいて本発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上で説明したように、本発明に係る電池セルは、セルが装着されるデバイスの形状に応じて柔軟に変形できる電池セルであって、不活性粒子を含む電極合剤が電極集電体上に塗布されている電極、または不活性粒子を含むコーティング部が電極合剤層上に形成されている電極を、セルケースの内面と対面する電極組立体の最上端及び/又は最下端に含むことによって、様々なデザインのデバイスに対応して電池の形状を変形する場合にも、セルケースに意図せぬシワの発生を最小化することができ、したがって、セルケースの損傷によって生じる金属層の露出による絶縁破壊又は電解液の漏れ現象を効果的に防止し、電池の安全性を確保することができる。
【符号の説明】
【0096】
20 スタック型電極組立体
21 電極タブ
22 電極タブ
30 電極リード
31 電極リード
40 電池ケース
41 収納部
42 下部ケース
43 上部ケース
44 上端シーリング部
45 側面シーリング部
46 側面シーリング部
47 下端シーリング部
100 電池セル
100’ 電池セル
110 電極組立体
110’ 電極組立体
111 正極
111’ 正極
112 負極
112’ 負極
113 分離膜
113’分離膜
120 パウチ型ケース
120’ パウチ型ケース
130 電極合剤
130’ コーティング部
131 不活性粒子
131’不活性粒子
150 屈曲
200 電池セル
210 電極組立体
211 正極
212 負極
213 分離膜
220 パウチ型ケース
230 コーティング部
231 不活性粒子
232 バインダー層
300 電池セル
310 電極組立体
311 正極
312 負極
313 分離膜
320 パウチ型ケース
330 コーティング部
331 不活性粒子
332 バインダー
400 電池セル
420 パウチ型ケース
430 コーティング部
431 不活性粒子
432 バインダー層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8