【課題を解決するための手段】
【0018】
このような目的を達成するための本発明に係る電池セルは、不活性粒子を使用して、電極の積層方向を基準として電極組立体の最上端及び/又は最下端の電極の表面に屈曲を形成させることによって、セルケースもまた、前記不活性粒子によって屈曲形状を有するようになることで、電極面積対比セルケースの表面積をさらに大きくして、様々なデザインのデバイスに対応して電池の形状を変形する場合にも、セルケースに意図せぬシワの発生を最小化することができ、したがって、セルケースの損傷によって生じる金属層の露出による絶縁破壊又は電解液の漏れ現象を効果的に防止し、電池の安全性を確保することができる。
【0019】
このような構造を有する一つの例として、
本発明に係る電池セルは、電極組立体が電解液に含浸された状態で可変的なセルケースに内蔵された構造となっており、装着されるデバイスの形状に応じて柔軟に変形できる電池セルであって、電極の積層方向を基準として電極組立体の最上端及び/又は最下端の電極は、セルケースの内面と対面する電極集電体上に、不活性粒子を含む電極合剤が塗布されており、前記不活性粒子の10%〜100%が電極合剤の表面に分布して、垂直断面視で電極合剤の表面に屈曲が形成されていることを特徴とする。
【0020】
このとき、前記セルケースもまた、電極組立体の最上端及び/又は最下端に位置する電極の電極合剤に含まれた不活性粒子によって屈曲形状を有することができる。
【0021】
一具体例において、前記不活性粒子を含む電極合剤は、電極組立体の最上端又は最下端の一側に位置する電極の電極集電体上にのみ塗布されていてもよいが、電池セルが両方向に柔軟に変形する場合にもシワの発生を防止し、安全性を確保できるように、詳細には、最上端及び最下端に位置する両電極の電極集電体上に塗布されていてもよい。
【0022】
このような構成の前記最上端又は最下端の電極は、電極活物質、バインダー、及び不活性粒子を含む電極スラリーを、セルケースの内面と対面する電極集電体上に塗布した後、乾燥して製造することができる。
【0023】
このとき、電極の外面に凸凹状の屈曲を形成するためには、電極スラリーに含まれた不活性粒子が電極合剤の表面に分布しなければならず、不活性粒子が電極スラリー内である程度以上の流動性を有することができるように、電極スラリーの粘度は500cps〜40000cpsであってもよく、前記流動性を有する不活性粒子が塗布された後、電極の表面に浮かぶことができるように、前記不活性粒子の比重は、電極スラリー全体の比重よりも小さいことが好ましく、詳細には、電極スラリー全体の比重の30%〜95%であってもよい。
【0024】
電極スラリーの粘度が前記範囲を外れ、500cps未満である場合には、電極集電体上の塗布が難しく、40000cpsを超える場合には、不活性粒子が電極スラリー内で流動しにくいため混合された状態で固定され、電極の表面に浮かぶことができないため、好ましくない。
【0025】
また、不活性粒子の比重が前記範囲を外れ、30%未満である場合には、電極の表面に完全に浮かぶようになるため、接着力が低下し、90%を超える場合には、不活性粒子のほとんどが電極スラリーの内部に存在するため、セルケースに現れる程度の屈曲を電極の外面に形成しにくく、屈曲が形成されても、シワの発生を効果的に防止できる程度に表面積を大きくすることができないため、好ましくない。
【0026】
不活性粒子の比重を低下させる方法は、多様であるが、詳細には、不活性粒子をなす物質を適切に選択するか、または内部に空隙を含んでいる多孔性粒子を使用することができる。
【0027】
このように製造された最外郭電極において、前記不活性粒子は、ほとんど電極合剤の表面に分布し、上述したように、10%〜100%、より詳細には50%〜90%が電極合剤の表面に分布して、垂直断面視で電極合剤の表面に屈曲を形成することができる。
【0028】
このような構造の前記電池セルを製造する方法は、
(a)電極集電体の一面には、不活性粒子を含む電極スラリーを塗布し、電極集電体の他面には、不活性粒子を含まない電極スラリーを塗布した後、乾燥して、1つ又は2つの最外郭電極を製造する過程;
(b)電極集電体の両面に、不活性粒子を含まない電極スラリーを塗布及び乾燥して、中間電極を製造する過程;
(c)前記最外郭電極単独、または前記最外郭電極と中間電極を共に使用して、前記不活性粒子を含む電極合剤がセルケースの内面と対面するように、最外郭電極を電極組立体の最上端及び/又は最下端に位置させて電極組立体を構成する過程;及び
(d)前記電極組立体を可変的なセルケースの収納部に装着した後、セルケースを加圧して電極組立体に密着させる過程;
を含むことができる。
【0029】
前記のように、前記電極組立体は、最外郭電極単独からなってもよく、最外郭電極及び中間電極からなってもよいが、詳細には、最外郭電極及び中間電極を共に使用して構成することができる。
【0030】
一方、最外郭(‘最上端及び/又は最下端’を意味する。)電極の表面に屈曲が形成された構造を有する他の例として、
本発明に係る電池セルは、電極組立体が電解液に含浸された状態で可変的なセルケースに内蔵された構造となっており、装着されるデバイスの形状に応じて柔軟に変形できる電池セルであって、電極の積層方向を基準として電極組立体の最上端及び/又は最下端の電極は、セルケースの内面と対面する電極合剤層上に、不活性粒子を含むコーティング部が形成されていることを特徴とする。
【0031】
このとき、前記セルケースもまた、電極組立体の最上端及び/又は最下端の電極の電極合剤層上に形成されたコーティング部の不活性粒子によって屈曲形状を有することができる。
【0032】
一具体例において、前記不活性粒子を含むコーティング部は、最上端又は最下端の一側の電極にのみ形成されてもよいが、電池セルが両方向に柔軟に変形する場合にもシワの発生を防止し、安全性を確保できるように、詳細には、最上端及び最下端に位置する電極の両方に形成され得る。
【0033】
また、前記不活性粒子を含むコーティング部の形成範囲と関連して、前記不活性粒子を含むコーティング部は、電極合剤層上に部分的又は全体的に形成されていてもよく、詳細には、全体的に形成されていてもよい。前記不活性粒子を含むコーティング部が部分的に形成される場合には、その位置は、限定されないが、シワの発生が多い屈曲部分に形成されることが好ましい。
【0034】
このような前記不活性粒子を含むコーティング部の構成は、限定されず、様々な構成が可能であり、以下では、その構成について説明する。
【0035】
一例において、不活性粒子を含むコーティング部は、不活性粒子が電極合剤層上に散布(scattering)されている不活性粒子層であってもよい。
【0036】
この場合、不活性粒子のみが前記コーティング部をなすので、前記不活性粒子は、電極合剤層上に規則的又は不規則的に散布された状態そのまま、セルケースの内面と対面する最外郭電極の外面に屈曲を形成する。
【0037】
このとき、前記不活性粒子は、電極合剤層に含まれたバインダーによって固定されてもよいが、前記不活性粒子の表面に、電極合剤層にさらに適切に固定されるためのバインダーがさらにコーティングされていてもよい。
【0038】
他の例において、前記不活性粒子を含むコーティング部は、電極合剤層上に形成されたバインダー層、及び前記バインダー層に散布された不活性粒子を含むことができる。
【0039】
すなわち、上述したように、バインダーがコーティングされた不活性粒子を使用する代わりに、不活性粒子を電極合剤層上に適切に固定させるために、まず、バインダー層を形成し、その上に不活性粒子を散布することによってコーティング部を形成することができる。
【0040】
このとき、前記バインダー層の厚さは、不活性粒子の大きさよりも薄いことが好ましい。これは、バインダー層の厚さがさらに厚い場合、不活性粒子がバインダー層の内部に沈んだり埋め込まれたりすることがあるため、本発明から結果的に得ようとする効果、すなわち、最外郭電極の外面に凸凹状の屈曲を形成し、前記屈曲形状が可変的なセルケースにそのまま現れるようにして、電極面積対比セルケースの表面積をさらに大きくすることによってシワの発生を防止しようとする効果を得ることができないためである。
【0041】
前記バインダー層の厚さは、詳細には、不活性粒子の大きさの10%〜95%であってもよい。
【0042】
バインダー層の厚さが前記不活性粒子の大きさの10%未満である場合、不活性粒子が電極合剤層上に適切に固定され得る程度の接着力を有することができず、95%を超える場合、不活性粒子のほとんどがバインダー層の内部に埋め込まれるため、セルケースに現れる程度の屈曲を形成しにくく、屈曲が形成されても、シワの発生を効果的に防止できる程度に表面積を大きくすることができないため、好ましくない。
【0043】
このように、バインダー層を不活性粒子の大きさよりも薄くすると、不活性粒子の比重などに関係なく、不活性粒子が電極の外面に屈曲を形成することができる。
【0044】
他の例において、前記不活性粒子を含むコーティング部は、不活性粒子とバインダーを含む混合物層であってもよい。
【0045】
すなわち、上述したように、不活性粒子を電極合剤層上に適切に固定させるために、バインダーがコーティングされた不活性粒子を使用したり、バインダー層を別途に形成したりする代わりに、不活性粒子をバインダーと混合して塗布することによってコーティング部を形成することができる。
【0046】
このとき、前記混合物層の厚さは、1μm〜150μmであってもよい。
【0047】
混合物層の厚さが1μm未満である場合、バインダーの含量が非常に少なく塗布され、不活性粒子の固定が難しく、150μmを超える場合には、必要以上に材料が使用されて非経済的であるだけでなく、不活性粒子を含むコーティング部が占める体積が大きくなるため、電池の全体的な大きさが大きくなり、効果対比空間効率性が低下するため、好ましくない。
【0048】
また、前記のように、不活性粒子を含むコーティング部が混合物層である場合には、電極の外面に凸凹状の屈曲を形成させるために、不活性粒子が混合物層の表面に位置しなければならないため、前記不活性粒子の比重は、混合物層全体の比重よりも小さいことが好ましく、詳細には、混合物層全体の比重の30%〜90%であってもよい。
【0049】
前記範囲を外れ、不活性粒子の比重が混合物層全体の比重の30%未満である場合には、バインダーからなる混合物層で完全に浮かぶようになるため、接着力が低下し、90%を超える場合には、不活性粒子のほとんどがバインダー層の内部に埋め込まれるため、セルケースに現れる程の屈曲を電極の外面に形成しにくく、屈曲が形成されても、シワの発生を効果的に防止できる程度に表面積を大きくすることができないため、好ましくない。
【0050】
このとき、不活性粒子の比重を低下させる方法は、不活性粒子をなす物質を適切に選択したり、内部に空隙を含んでいる多孔性粒子を使用するなどの様々な方法が可能である。
【0051】
前記コーティング部の構成の様々な例において、前記不活性粒子と共にコーティング部をなすバインダーは、限定されず、電極の形成時に使用されるものと同一であってもよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などを挙げることができる。
【0052】
このような構造の前記電池セルを製造する方法は、
(a)電極集電体上に電極合剤を塗布し、乾燥して多数の電極を準備する過程;
(b)前記多数の電極のうち1つまたは2つの電極を選択し、前記電極の電極合剤層の一面に、不活性粒子を含むコーティング部を形成する過程;
(c)前記不活性粒子を含むコーティング部が電極合剤層の一面に形成された1つまたは2つの電極を、前記コーティング部がセルケースの内面と対面するようにして電極組立体の最上端及び/又は最下端に位置させて電極組立体を構成する過程;及び
(d)前記電極組立体を可変的なセルケースの収納部に装着した後、セルケースを加圧して電極組立体に密着させる過程;
を含むことができる。
【0053】
一方、一具体例において、前記構造に関係なく、不活性粒子の種類は、限定されず、有機粒子及び/又は無機粒子であってもよく、詳細には有機粒子であってもよい。
【0054】
前記有機粒子は、例えば、高分子又はシラン系化合物からなることができ、前記高分子の例としては、PE、PP、PS、PVdF、PTFE、PET、PMMA、PANdlfなどを挙げることができ、前記シラン系化合物の例としては、HMDS(hexamethyldisilazane)、TMSCL(trimethylchlorosilane)、PDMS(polydimethylsiloxane)、DDS(dimethyldichlorosilane)などを挙げることができる。
【0055】
前記無機粒子は、例えば、SiO
2、Al
2O
3、MgO、TiO
2、ZrO
2、CaO、Y
2O
3及びSrOからなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合物からなることができる。
【0056】
前記不活性粒子が無機粒子である場合、通常、無機粒子の比重は電極スラリー又はバインダー全体の比重に比べて重いため、上述したように、不活性粒子は、内部に空隙を含んでいる多孔性粒子であることが好ましい。
【0057】
また、一具体例において、前記不活性粒子の形状は、所定の体積を有する範囲内で限定されず、例えば、球形、楕円形、または多面体形状であってもよく、その大きさは、粒子の形状などと粒子の塗布または散布の容易性などを考慮すると、詳細には5μm〜1000μm、より詳細には5μm〜200μmであってもよい。
【0058】
その他に、電極合剤に含まれる電極活物質、バインダー、及び導電材などの種類は、当業界に公知となっているので、本明細書ではこれを省略するが、公知の全ての物質が本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0059】
一方、様々なデザインのデバイス内に容易に装着できる柔軟な特性を有し、最外郭電極に形成された凸凹状の屈曲をセルケースの表面にまで反映させるために、前記セルケースは、樹脂層と金属層を含むラミネートシートのパウチ型ケースであってもよい。
【0060】
このとき、前記ラミネートシートは、アルミニウムラミネートシートであってもよく、詳細には、金属遮断層の一面(外面)に耐久性に優れた樹脂外郭層が付加されており、他面(内面)に熱溶融性の樹脂シーラント層が付加されている構造からなることができる。
【0061】
前記樹脂外郭層は、外部環境から優れた耐性を有しなければならないため、所定以上の引張強度及び耐候性を有することが必要である。そのような観点で樹脂外郭層の高分子樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及び延伸ナイロンフィルムを好ましく使用することができる。
【0062】
前記金属遮断層は、ガス、湿気などの異物の流入乃至漏出を防止する機能以外に、電池ケースの強度を向上させる機能を発揮できるように、詳細にはアルミニウムが使用されてもよい。
【0063】
前記樹脂シーラント層の高分子樹脂としては、熱融着性(熱接着性)を有し、電解液の浸透を抑制するために吸湿性が低く、電解液によって膨張又は腐食しないポリオレフィン(polyolefin)系樹脂を好ましく使用することができ、より詳細には、無延伸ポリプロピレン(CPP)を使用することができる。
【0064】
一般に、ポリプロピレンなどのようなポリオレフィン系樹脂は金属との接着力が低いため、前記金属遮断層との接着力を向上させるための方案として、詳細には、前記金属層と樹脂シーラント層との間に接着層をさらに含むことによって接着力及び遮断特性を向上させることができる。前記接着層の素材としては、例えば、ウレタン(urethane)系物質、アクリル(acryl)系物質、熱可塑性エラストマー(elastomer)を含有する組成物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
また、電解液に含浸された状態で可変的なセルケースに内蔵される前記電極組立体は、多数の電極タブを接続して正極と負極を構成する構造であれば特に限定されるものではないが、最外郭電極を別途の構成として含む構造であることが好ましいので、詳細には、所定サイズの単位に切り取った多数の正極と負極を分離膜が介在した状態で順次積層したスタック型電極組立体、または所定単位の正極と負極を分離膜が介在した状態で積層したバイセル(Bi−cell)又はフルセル(Full cell)を分離フィルムで巻き取った構造のスタック/フォールディング型電極組立体、またはバイセル又はフルセルを分離膜が介在した状態で積層したラミネート/スタック型電極組立体であってもよい。
【0066】
このとき、前記バイセルは、同じ種類の電極がセルの両側に位置するスタック型構造からなっており、例えば、正極−分離膜−負極−分離膜−正極または負極−分離膜−正極−分離膜−負極からなるセルである。前記フルセルは、異なる種類の電極がセルの両側に位置するスタック型構造からなっており、例えば、正極−分離膜−負極からなるセルである。
【0067】
前記からわかるように、本発明に係る不活性粒子を含む電極合剤またはコーティング部は、セルケースの内面と対面する最外郭電極に形成されるので、可変的なセルケースの収納部に電極組立体を装着した後、セルケースを加圧して電極組立体に密着させると、前記屈曲形状が可変的なセルケースにそのまま現れるので、電極面積対比セルケースの表面積がさらに大きくなり、様々なデザインのデバイスに対応して電池の形状を変形する場合にも、セルケース上に意図せぬシワの発生を最小化できるものである。
【0068】
本発明はまた、前記電池セルを2つ以上含む電池モジュールを提供し、前記電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0069】
本発明はまた、前記電池パックを電源として含んでいるデバイスを提供し、前記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び電力貯蔵装置などから選択されるものであってもよい。
【0070】
これらデバイスの構造及びその作製方法は当業界に公知となっているので、本明細書では、それについての詳細な説明を省略する。