特許第6238413号(P6238413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238413
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】光信号処理装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20171120BHJP
   G02B 6/26 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   G02F1/01 D
   G02B6/26
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-121857(P2014-121857)
(22)【出願日】2014年6月12日
(65)【公開番号】特開2016-1285(P2016-1285A)
(43)【公開日】2016年1月7日
【審査請求日】2016年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 和則
(72)【発明者】
【氏名】田野辺 博正
(72)【発明者】
【氏名】小山 二三夫
(72)【発明者】
【氏名】顧 暁冬
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−239991(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0019957(US,A1)
【文献】 特開2014−045039(JP,A)
【文献】 特開昭53−068101(JP,A)
【文献】 特開2014−067004(JP,A)
【文献】 特開2006−106633(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/034144(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 − 1/125
G02F 1/21 − 7/00
G02B 6/26 − 6/27
G02B 6/30 − 6/34
G02B 6/42 − 6/43
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個(Nは1以上の整数)の入出力ポートを有する第1の光入出力部及び第2の光入出力部と、前記第1の光入出力部及び前記第2の光入出力部の入出力ポートから出射した波長多重光信号の各々を波長分離する分光手段と、前記分光手段により波長毎に分光された光信号を各々に集光する集光手段と、前記集光手段により集光された光信号の各々に対し光変調させる空間光変調手段とを含み、
前記分光手段は、前記第1の光入出力部の入出力ポートから出射する波長多重光信号に対する分散能と、前記第2の光入出力部の入出力ポートから出射する波長多重光信号に対する分散能とが異なり、前記第1の光入出力部の入出力ポートから出射する波長多重光信号に対する波長分散方向と、前記第2の光入出力部の入出力ポートから出射する波長多重光信号に対する波長分散方向とが逆方向であり、前記第1の光入出力部の入出力ポートから出射する波長多重光信号と前記第2の光入出力部の入出力ポートから出射する波長多重光信号とでは、前記波長毎に分光された光信号の、前記空間光変調手段での波長分散方向の短波長から長波長までの集光位置の並び順が異なる、ことを特徴とする光信号処理装置。
【請求項2】
前記分光手段としてアレイ導波路回折格子を用いることを特徴とする請求項に記載の光信号処理装置。
【請求項3】
前記分光手段としてBragg reflector waveguideを用いることを特徴とする請求項に記載の光信号処理装置。
【請求項4】
前記分光手段としてグレーティングカプラを用いることを特徴とする請求項に記載の光信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号処理装置に関し、より詳細には、実装が簡便であり、低コストでありながらも多ポート動作が可能な光信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年急速な進展を見せる大容量の光通信ネットワーク構築に伴い、波長分割多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)通信技術が注目を集めるとともに設備の普及が進んでいるが、WDMノードにおいては光信号を直接制御せずに、一度電気信号に変換したのちに経路のスイッチングを行う方式が一般的である。しかしながら、上記の方式ではノードにおける処理能力の高負荷化、通信速度律速、高消費電力化が課題として危惧されている。このため、電気スイッチングを介さず光信号のまま信号処理を行うためにROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)に代表されるようなトランスペアレントなネットワークシステムは重要度が増しており、従ってROADMを構成する光デバイス、例えば波長選択スイッチ(WSS: Wavelength Selective Switch)および可変分散補償器(TODC: Tunable Optical Dispersion Compensator)等の開発は精力的に進められている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
WSSやTODC等の光信号処理デバイスにおける一般的な構成と動作原理を説明する。入力光ファイバから入力されたWDM信号は、コリメータにてコリメート光として空間を伝播し、複数のレンズおよび波長分波するための回折格子を通過したのち、再びレンズを介して集光される。集光位置には光信号を所望の位相変化を与えるための空間光変調器(SLM, Spatial Light Modulator)が配置される。このSLMとしてはMEMS(Micro−electro mechanical system)技術を用いたマイクロミラーアレイをはじめとして、液晶セルアレイ、DMD(Digital mirror device)、LCOS(Liquid crystal on silicon)などが代表的なものとして挙げられ、これらによって各光信号は所望の位相変化を与えられ、反射する。反射された各光信号は、レンズを介して回折格子へと入射し波長合波された後、レンズを介して出力ファイバに結合する。もし光信号処理デバイスをTODCに代表されるような、入力ファイバ一本と出力ファイバ一本の構成が基本である補償デバイスとして用いる場合には入力ファイバと出力ファイバを兼用させ、サーキュレータを利用して補償前後の信号を分離させる手法が頻繁に用いられる。また、WSSのようなスイッチングデバイスを構成する際には、少なくとも一本の入力ファイバの他、出力ファイバを複数本配置し、SLMにて信号光を所望の角度に偏向することで反射された信号光が結合する出力ファイバを選択し、スイッチングを行うことができる。
【0004】
WDMノードにおいては、上述のような光信号処理装置を複数個同時に実装する形態が一般的である。図1は、上述の光信号処理装置でWSSを構成し、1つのWDMノード(光ノード)に複数個のWSSを実装した場合の構成図である。光ノードに入射した光信号は波長クロスコネクト機能部107のWSS群101によって波長選択的にドロップもしくはスルーの経路を設定される。WSS群101にてドロップされた光信号は波長分波機能部群102によって波長に応じて経路が決められ、受信器群103に入射して所望の受信器に到達する。一方で、この光ノードにおける送信器群104から送信された光信号は波長合波機能部群105を経て、波長クロスコネクト機能部107のWSS群106によって隣接するノードに向けて光信号は伝送される。
【0005】
このような形態は光ノードへと入力する、もしくは光ノードから出力するポートの位置によって波長と方路が決定する(Colored/Directed)。このため、方式によってはより柔軟な機能を持たせるために波長分波機能部群102および波長合波機能部群105をWSS群に置き換えることで任意の波長の信号を送受信できるようにする方式(Colorless)や、波長分波機能部群102と受信器群103、送信器群104と波長合波機能部群105のそれぞれ間にマトリックススイッチ群を挿入することで、任意の方路からの信号を送受信できるようにする方式(Directionless)など、様々な形態が提案されている。ここで、いずれの形態においても図1に示した波長クロスコネクト機能部107においてはアド用とドロップ用のWSSを1セットとして、方路数分のWSSセットが必要とされることが多い。このため、2台のWSS機能を1デバイスにまとめた低コストな2in1 WSSは初期導入費用の抑制、消費電力の低減、制御システムの負荷低減といった多くのメリットから非常に魅力的である。もちろん、1デバイスにまとめる機能としては2台分の機能に限らず、またWSSやTODCなど異なる機能形態であっても効果が高い。さらに、WSSのような多入力多出力を実現するデバイスの場合は、入出力ポート数の増大が実現できる光ノードシステムの規模に直結することから、多ポートデバイスの機能集積には極めて大きな意義が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Dan M. Marom, et al.,“Wavelength−Selective 1 K Switches Using Free−Space Optics and MEMS Micromirrors: Theory, Design, and Implementation,”IEEE J. Lightwave Technology, Vol. 23, No. 4, pp.1620−1630, 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2に複数の機能を集約した光信号処理装置について、一般的な構成の概念図を示し、より詳細な動作について説明する。以下では、光信号処理装置に集約する機能としては2台分のWSS機能としており、回折格子によって波長分波される方向をx軸(波長分散軸ともいう。)、光信号がファイバから出力される際の進行方向をz軸、x軸およびz軸に直交する向きをy軸と定義する。また、説明を簡単にするために1台のWSSにおける入力ポートを1本、出力ポートを2本としているが、本数および構成に関しては本説明に限定されるものではない。また、1台目のWSS機能部から出射される光信号の主光線を実線にて、2台目のWSS機能部から出射される光信号の主光線を破線にてそれぞれ表している。
【0008】
まず、図2(a)の構成の光信号処理装置について説明する。光信号への入出力については、入出力ポート群201を介して行うが、この入出力ポート群201は第一のWSS機能部に相当する第一入出力ポート群201−1と、第二のWSS機能部に相当する第二入出力ポート群201−2とに分けることができる。図2(a)における構成では、第一入出力ポート群201−1は図2(a)における下側の三本の光ファイバのアレイにて、第二入出力ポート群201−2は上側の三本の光ファイバのアレイにて例示されている。第一入出力ポート群201−1および第二入出力ポート群201−2のそれぞれから出射される光信号の進行方向はいずれも平行であり、この例ではz軸に一致する。入出力ポート群201から空間に出射された光信号は、ポートに閉じ込められていたビーム径に応じた一定の開口数(NA, Numerical aperture)にて広がりながら伝播する。一般的には、各入出力ポートから出射した光信号がコリメート光となるよう、入出力ポート群201は光ファイバアレイとマイクロレンズアレイ202の組み合わせによって実現されることが多い。空間を伝搬した光信号は各WSS機能部ごとに分割配置されたレンズ群203によってフーリエ変換され、位置/角度変換される。この後、レンズ204を介して各WSS機能部ごとに所定の角度にて回折格子205に入射することでx軸方向に波長分波され、さらにレンズ206を介して空間光変調器207上に集光される。空間光変調器207はビームの偏向機能を有しており、このことから偏向角度を適切に制御することによって出力するポートを切り替えることが可能になる。このとき、第一入出力ポート群201−1に関わる光軸は、図2(a)において空間光変調器207の上側のある一点で交差するように、第二入出力ポート群201−2に関わる光軸は、空間光変調器207の下側のある一点で交差するようにそれぞれ光学設計されている。すなわち、各WSS機能部ごとに、空間光変調器207上に集光する光信号はY軸方向に異なった位置に独立に集光することになる。空間光変調器207を用いて、各WSS機能部ごとに独立に偏向角度を設定することで2台分のWSS機能を1台のデバイスで実現できる。
【0009】
複数の機能を集約した光信号処理装置は図2(a)のような構成に限られない。図2(b)では、レンズ群203およびレンズ204を省略した場合の光信号処理装置の構成例である。この例においても、第一入出力ポート群201−1および第二入出力ポート群201−2のそれぞれから出射される光信号の進行方向はいずれも平行であり、この例ではz軸に一致する。WSS機能部ごとに空間光変調器207上の異なった位置に集光させるために、図2(a)の構成では1枚であったレンズ206を、レンズ206−1,206−2を機能部ごとに分離配置することで、複数機能の集約が実現できる。
【0010】
しかし、上記のような複数機能を集約した光信号処理装置を実現する上では、各WSS機能部間のクロストークが発生しないよう、十分に留意して光学設計を行う必要がある。図3を参照して、図2(b)の構成例の光信号処理装置における、WSS機能部間で生じうるクロストークについての考え方を説明する。図3(a)は、図2(b)に示す簡略化した光信号処理装置の側面図であり、図3(b)は、図3(a)の光信号処理装置の空間光変調器に集光されるビームを説明するための図である。同一の空間光変調器207に対してy軸に領域分割されるように集光する二つのWSS機能部に関わるビームの半径をそれぞれw1およびw2とし、各ビームのy軸に関わる集光位置(ピッチ)のずれ量をΔyとする。また、各ビームが空間光変調器207に入射する際の角度差をθ、光の波長をλ、空間光変調器207の反射面に対する焦点位置のずれ量をそれぞれz1およびz2とすると、この二つのビームの結合効率ηは式(1)ように求めることができる。
【0011】
【数1】
【0012】
一般的な光デバイスは光学配置の簡略化、また光デバイスのy軸方向の短尺化を狙って各WSS機能部間のビーム入射角度の差θを0に設計する。さらに、各WSS機能部の損失低減という観点からz1およびz2についても0と設計し、ビームの焦点が空間光変調器207の反射面に一致するように考慮する。この点を鑑みると、式(1)は以下に示す式(2)のようにまとめることができる。
【0013】
【数2】
【0014】
式(2)から明らかなように、各WSS機能部間に発生し得るクロストークは各WSS機能部のビーム径を小さく、また各WSS機能部に関わるビームの集光する位置の差Δyを大きく設計することで低減することが可能である。
【0015】
一方で、前述したとおりWSSとしてはポート数の拡大という重要な懸案事項がある。図4を参照して、このポート数の計算について説明する。図4(a)は、図2(b)に示す簡略化した光信号処理装置の側面図であり、図4(b)は、図4(a)の光信号処理装置の空間光変調器に設定されるビーム偏向角を説明するための図である。図4を元にして、あるWSS機能部のみ着目した場合の、空間光変調器207の設定により生じるビーム偏向角θに対するポート間の結合率を式(1)から求めることとする。一般的なWSSでは前述のように損失低減という観点からz1およびz2について0と設計し、ビームの焦点が空間光変調器207の反射面に一致するように考慮する。また空間光変調器207で制御しうるのは偏向角φのみであるため、当然ながら計算すべき二つのビームの位置変動は存在せず、従ってΔy=0であり、ビーム径についてもw1=w2が成立する。この点を鑑みると、式(1)は以下に示す式(3)のようにまとめることができる。
【0016】
【数3】
【0017】
以上で示したηについて、式(4)を適用することで実際のクロストークが算出できる。
【0018】
【数4】
【0019】
式(3)に従えばある偏向角θを設定した場合、空間光変調器207への入射光と空間光変調器207にて偏光したビームの結合、いわゆるポート間クロストークはηを用いて表すことができるということを意味する。ここで注意すべき点として、空間光変調器207の最大偏光角度は有限であるということが挙げられる。すなわち、用いる波長λが決定しており、かつポート間クロストークをある値に維持しつつ(言い換えれば、ηをある値に維持しつつ、と考えることもできる)ポート数を増やすためには、空間光変調器207に集光する入射光のビーム径w1しか自由度が存在しないことになる。もちろん、w1は無制限に設定できるわけではなく、空間光変調器207の全高Hによって制限される。従って、単純に二つ以上のWSS機能部をy軸方向に配置するのみでは多ポート化は達成できない。
【0020】
上述のようにy軸方向に配置するのみではポート間クロストークとポート数の関係を打破することは困難であるため、次の方針として、x軸方向にWSS機能部を配置することを考える。この構成の例を図5に示す。図5に示す光信号処理装置は、基本的な動作原理はこれまでの例にて説明してきたものと同一であるが、空間光変調器505をWSS機能部ごとにx軸方向に領域分割している点が異なる。これによって、式(1)にて示したWSS機能部間のクロストークを考慮する必要がなくなり、y軸方向のビームを大きく設計することができるため、本方針は多ポート化に有効な形態である。しかし第一のWSS機能部と第二のWSS機能部は空間光変調器505上のx軸上の別々の位置に集光させる必要があるため、同一の回折格子を単純にx軸方向に並べて配置するのみでは、各WSS機能部ごとに別々の入出力ポート群501、マイクロレンズアレイ502、回折格子503、レンズ504に分けて構成する必要が新たに生じる。こうすると空間光変調器505以外の光部品は全て別々に準備し、かつ別々にアライメントを行うことが必須となり、部材準備の観点からも、実装負荷の観点からも低コスト化は困難となる。また、光部品同士が干渉することなく配置するためのスペースレイアウトを熟慮する必要も生じることから、小型化というメリットも生じにくい。
【0021】
以上から、複数機能集約型光デバイスについては、低コストならび小型化というメリットを活かしつつ、多ポートに対応することが重要である。しかし、各WSS機能部間のクロストークを低減するためには式(2)からビーム径を小さくする要請があり、反対にWSSとしてのポート数増大のためには式(3)からビーム径を大きくする要請があることから、空間光変調器207のy軸方向の高さによって、実現できるポート数は制限されることが明らかであり、この制限を打破できるデバイス構成方法が切望されている。
【0022】
そこで本発明は、その目的とするところは、第一入出力ポート群に関わる光学機能部の波長分散能と、第二入出力ポート群に関わる光学機能部の波長分散能について互いに異なる設計を行うことにより、各光学機能部間のクロストークを低減しつつも、多ポート化が可能な光信号処理装置を提供することにある。さらに、波長分波素子としてPLC(Planar lightwave circuit)によるAWG(Arrayed−waveguide grating)や、半導体分散デバイスであるBRW(Bragg−reflector waveguide)等を用いることで上記の課題を解決しつつ、さらに小型経済化を達成することができる光信号処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、光信号処理装置である。光信号処理装置は、N個(Nは1以上の整数)の入出力ポートを有する第1の光入出力部及び第2の光入出力部と、第1の光入出力部及び前記第2の光入出力部の入出力ポートから出射した波長多重光信号の各々を波長分離する分光手段と、分光手段により波長毎に分光された光信号を各々に集光する集光手段と、集光手段により集光された光信号の各々に対し光変調させる空間光変調手段とを含む。また、光信号処理装置において、分光手段は、第1の光入出力部の入出力ポートから出射する波長多重光信号に対する分散能と、第2の光入出力部の入出力ポートから出射する波長多重光信号に対する分散能とが異なり、第1の光入出力部の入出力ポートから出射する波長多重光信号に対する波長分散方向と、第2の光入出力部の入出力ポートから出射する波長多重光信号に対する波長分散方向とが逆方向であり、第1の光入出力部の入出力ポートから出射する波長多重光信号と第2の光入出力部の入出力ポートから出射する波長多重光信号とでは、波長毎に分光された光信号の、空間光変調手段での波長分散方向の短波長から長波長までの集光位置の並び順が異なることを特徴とする。
【0024】
実施形態では、分光手段は、アレイ導波路回折格子、Bragg reflector waveguideまたはグレーティングカプラとすることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、各光学機能部間のクロストークを低減しつつも、多ポート化が可能な光信号処理装置を提供することが可能となる。また、波長分波素子としてPLC(Planar lightwave circuit)によるAWG(Arrayed−waveguide grating)や、半導体分散デバイスであるBRW(Bragg−reflector waveguide)等を用いることで、さらに小型経済化を達成することができる光信号処理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】波長分割多重ノードの構成例を説明するための図である。
図2】光信号処理装置の概念を説明するための図であり、(a)は光信号処理装置の構成図、(b)は簡略化した光信号処理装置の構成図である。
図3】光信号処理装置の波長選択スイッチ機能部間のクロストークを説明するための図であり、(a)は図2(b)に示す光信号処理装置の側面図、(b)は空間光変調器に集光されるビームを説明するための図である。
図4】光信号処理装置の概念を説明するための図であり、(a)は図2(b)に示す光信号処理装置の側面図、(b)は空間光変調器に設定されるビーム偏向角を説明するための図である。
図5】光信号処理装置の波長選択スイッチ機能部の構成例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる光信号処理装置の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図7】本発明の一実施形態にかかる光信号処理装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図8】本発明の一実施形態にかかる光信号処理装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図9】本発明の一実施形態にかかる光信号処理装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図10】本発明の一実施形態にかかる光信号処理装置の分散素子の構成を示す図である。
図11】本発明の一実施形態にかかる光信号処理装置の分散素子の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の種々の実施形態の説明においては、具体的な数値例を用いるが、本願発明は、このような具体的な数値例に限定されるものではなく、一般性を失うことは他の数値においても実施することもできることは言うまでもない。また、同一または類似の符号は、同一または類似の要素を示し、重複する説明は省略する。
【0028】
(実施形態1)
図6は、本発明の第一の実施形態に係る光信号処理装置の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。本実施形態に係る光信号処理装置は、第一入出力ポート群601−1の後段に配置された第一マイクロレンズアレイ602−1、および、第二入出力ポート群601−2の後段に配置された第二マイクロレンズアレイ602−2、が互いにXZ平面内で異なる角度にて配置されており、さらに回折格子603、レンズ604、空間光変調器605がこの順に配置されている。本実施形態における説明ではレンズにはレンズ604を1枚のみを用いているが、同様の光学特性を有する構成であれば何枚のレンズを用いても構わず、またどのような配置を用いても問題はない。光学系設計によっては、マイクロレンズアレイ602と回折格子603の中間にレンズ604を配置する構成も可能である。また、収差の低減や光学系の短尺化を目的として、レンズ604を二枚で構成し、回折格子603を挟むような構造を採ることもできる。さらに、本実施例においては光ファイバと空間光学系のインターフェースとしてファイバアレイ601およびマイクロレンズアレイ602の組み合わせを想定して説明しているが、同様の光学特性を有する構成であればマイクロレンズアレイを必ずしも使用する必要はなく、またマイクロレンズアレイに変わるビーム径調整機構(例えば、アナモルフィックプリズムペア)を採用しても構わない。さらに、インターフェースとしては、例えばPLCに代表されるような光導波路基板を用いても構わない。
【0029】
本実施例における説明では、第一入出力ポート群601−1および第二入出力ポート群601−2のそれぞれから出射した光信号について、回折格子603上のある一点で入射するものとして説明している。
【0030】
本発明の光信号処理装置の動作は、第一入出力ポート群601−1に関与する機能部を例として、以下のとおりである。まず第一入出力ポート群601−1に入力された光信号は、第一マイクロレンズアレイ602−1を経てコリメート光として空間に出射される。空間を伝搬する信号光は回折格子603によって波長分波され、レンズ604によって集光され、図6(a)のにおいて空間光変調器605のX軸方向対して下側に集光することになる。空間光変調器605にて所望の位相変調を与えられて反射された光は、その位相設定に応じてY−Z平面内にて所望の角度に偏向され、さらにレンズ604を再び通過することで任意のポートに光結合され、スイッチング動作が完了する。なお、第二入出力ポート群601−2に関する光信号は、第一入出力ポート群601−1に関する光信号とは異なった角度で空間に出射されるため、図6(a)において、空間光変調器605のX軸方向対して上側に集光されることになる。すなわち、回折格子は、第一入出力ポート群601−1から出射される光信号と、第二入出力ポート群601−2から出力される光信号について、分散能が異なる。ここで、分散能とは、波長分散をする方向、および単位波長あたり出射角度をいう。例えば、第一入出力ポート群601−1から出射され分波された各波長の光信号は、空間光変調器605のX軸方向対して下向きに、短波長から長波長の順に並ぶように集光する。他方、第二入出力ポート群601−2から出射され分波された各波長の光信号は、空間光変調器605のX軸方向対して下向きに、長波長から短波長の順に並ぶように集光する。したがって、第一入出力ポート群601−1および第二入出力ポート群601−2に関する光信号はそれぞれを独立の光学系として考えることができるため、複数機能の集約が実現できる。
【0031】
本実施例においては、図2にてY軸方向に並列配置されていたWSS機能部を波長分波軸と同一のX軸に並列配置することで、式(2)にて表されるWSS機能部間のクロストークを考慮する必要性がなくなり、式(3)に示したとおりw1の大径化が可能となり、図2における構成の2倍以上のポート数と設定することが可能である。
【0032】
ここまでの説明を具体的な数値を例示して考える。図3のような構成と本実施例における構成それぞれに対して、式(2)によるWSS機能部間クロストーク、および式(3)によるポート間クロストークをそれぞれ−40dB以下に抑え、かつ空間光変調器の使用できる高さ(長さ)Hを2*w1+2*w2+Δy≦15000umとして設定する。また、計算の簡略化のためにw1=w2、また、空間光変調器による最大偏向角を1degとして計算する。図3のような構成の光信号処理装置では式(2)よりΔy/w1=3.05が導かれ、かつ空間光変調器の高さ制限からw1はおよそ2100um程度が上限と算出される。ビーム半径w1が決まると、式(3)からポート間クロストークを−40dB以上確保するためのΔθは0.041degであると算出されるため、結果的に図3の光信号処理装置の構成では1deg / 0.041deg = 24ポートが上限であることがわかる。一方で、本実施例では式(2)によるポート数への制限は撤廃されるため、w1は従来構成より大きくとることができ、w1=3700um程度として設計可能である。式(3)から、この場合のΔθ=0.023deg程度であり、結果としてポート数は43ポートを実現可能と見積もられる。従って、本実施例の適用によってポート数は従来構成のおよそ2倍もの拡大が可能となる。
【0033】
本実施例は、上記のとおりポート数の拡大に資するのみならず、光デバイスを実現する上での製造コストの改善も可能である。レンズと入出力ポート群のうち、第一入出力ポート群601−1および第二入出力ポート群601−2について、それぞれの設置角度を平行ではなくある有限の値とすることによって、レンズ604をX軸方向に複数分割配置させる必要がなくなるという点が特徴である。レンズはフーリエ変換素子であり、入射する光の位置と角度を相互に変換させる機能を有している。従って、各WSS機能部ごとに、空間光変調器305上で異なった位置に光を集光させるためには、レンズの前段においてお互いの角度を変えておく必要がある。このように入出力ポート群およびマイクロレンズアレイの設置角度を調整することで、図2のように、WSS機能部ごとにレンズを別々に配置することなく、一枚のレンズのみで複数機能集約型光デバイスを実現することが可能であり、部材削減による低コスト化、ならびにアライメントの容易化による製造スループットの向上が可能である。さらに、図2(b)の構成では、回折格子205を通過する光は、WSS機能部の配置方向(図2(b)においてはY軸方向)に広く分布しているため、ケラレを発生させないための、十分面積の広い回折格子を準備する必要がある。数ある光学素子の中でも回折格子は高価な部類に属し、かつその価格は面積に比例する。この点を鑑みると、本実施形態においては、各WSS機能部の主光線がXZ平面上で交差するある一点に回折格子を配置する構成を採ることで、回折格子の面積を従来の半分程度まで抑制することができ、さらなるコストカットが可能である。以上から本実施形態は上述の課題を解決し、低コストでありながらも実装性のよい光信号処理装置が実現できる。
【0034】
なお、上記実施形態においては、第一入出力ポート群601−1から出射される光信号と、第二入出力ポート群601−2から出射される光信号について、回折格子の分散能が異なる。入出力ポート群の数を3以上とし、少なくとも1つの入出力ポート群から出射される光信号について、分散能が異なるように回折格子を構成しても、クロストークを低減することができる。
【0035】
(実施形態2)
図7は、本発明の第二の実施形態に係る光信号処理装置の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図ある。
【0036】
図7に示すように、本実施形態に係る光信号処理装置の基本構成は、第一の実施形態と同様に第一入出力ポート群601−1の後段に配置された第一マイクロレンズアレイ602−1、および、第二入出力ポート群601−2の後段に配置された第二マイクロレンズアレイ602−2、が互いにXZ平面内で異なる角度にて配置されており、さらに回折格子603、レンズ604、空間光変調器605がこの順に配置されているが、実施例1とは第一入出力ポート群601−1および第二入出力ポート群601−2のそれぞれから出射した光信号について、回折格子603上の異なる位置に入射する点と、これに伴って角度補正部材701が追加されている点が異なる。
【0037】
実施例1における構成では、第一入出力ポート群601−1および第二入出力ポート群601−2のそれぞれから出射した光信号について、回折格子603上のある一点に入射する設計をなされていたことから、この入射点をレンズ604の焦点位置に配置することによって、空間光変調器605に向かって、全ての波長の光が垂直に入射する(テレセントリック光学系)ように光デバイスを構成することが可能であった。しかし、空間光変調器605の中央部分には信号光が入射しない領域が形成されるため、空間光変調器605への要求としてできるだけ大面積なものを適用することが望ましい。本実施例においては、第一入出力ポート群601−1および第二入出力ポート群601−2のそれぞれから出射した光信号について、回折格子603上の異なる位置に入射することであえてレンズ604の焦点位置からずらすことで、第一のWSS機能部と第二のWSS機能部を近接させることが実施例1との大きな違いである。
【0038】
本実施例においては、上記のとおり回折格子603への入射位置がレンズ604の焦点位置からずらした効果により、空間光変調器605へ入射する信号光の入射角は垂直とはならない。従って、この角度変化を補正し、空間光変調器605へはテレセントリック光学系が成立するように、レンズ604と空間光変調器605の間に角度補正部材701を導入することが望ましい。この角度補正部材はXZ平面内で二等辺三角形となるような三角柱形状として本実施例では例示しているが、同様の光学特性を実現し得るものであればどのような形状であっても構わず、また、レンズ604と回折格子603の間に角度補正部材701が配置されても問題はない。さらに、空間光変調器605がX軸方向にも位相変調が可能である場合、角度補正部材701によって生じる位相変化と同等の位相変化を空間光変調器605にて信号光に付与することによって、角度補正部材701の省略も可能である。この場合は、角度補正部材701を別途準備する必要がなくなり、さらなる低コスト化が期待できる。
【0039】
実施例2については、図8に記載のとおり、第一入出力ポート群601−1および第一マイクロレンズアレイ602−1、第二入出力ポート群601−2および第二マイクロレンズアレイ602−2、のそれぞれの組み合わせについて、yz平面内で互いに進行方向が異なるように配置することも可能である。この場合は、空間光変調器605において、波長分波する領域がx軸方向の同じ座標となるように設計される。この場合には図3に示したように、WSS機能部間ピッチΔyが小さく設定されることとなる。しかし、本実施例2の図8に記載の構成では、互いに第一のWSS機能部と第二のWSS機能部それぞれにおいて波長分波する向きが反対向きになっている点が図3の構造と明確に異なる。この場合、回折格子603にて分波されたある波長だけに着目すると、空間光変調器605上の、x軸に関して異なる座標に集光することになるために、WSS機能部間のクロストークは、やはり−40dBを確保することができる。図8における構成では回折格子が図7の構成と比較して大面積化する傾向があるものの、空間光変調器605のx軸方向の長さを抑えることで、空間光変調器605の小面積化を図ることができる。さらに、空間光変調器605にて各WSS機能部に割り当てることができる波長分波領域のx軸方向に関する長さを改善することができるため、図8に関する光信号処理装置は波長分解能に優れた特性を有することとなる。
【0040】
本実施例においては、実施例1における光デバイスで実現できる光学特性は維持しつつも、空間光変調器605の小面積化が可能となる。空間光変調器としては、一般的に液晶セルアレイやMEMS、LCOSなどが用いられるが、そのいずれも面内安定性や大型CMOS製造プロセスの技術的限界などから、実現できる空間光変調器のサイズには限りがある。このため、空間光変調器の面内利用率を向上させることで、小型ながらも多ポートな光デバイスの実現が可能となる。
【0041】
(実施形態3)
図9は本発明による光信号処理装置の第三の実施形態の構成を示す図である。あり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【0042】
図9に示すように、本実施形態に係る光信号処理装置の基本構成は、第一入出力ポート群801−1の後段に配置された第一シリンドリカルレンズアレイ802−1、および、第二入出力ポート群801−2の後段に配置された第二シリンドリカルレンズアレイ802−2、が互いにXZ平面内で異なる角度にて出射するように配置されており、レンズ803、角度補正部材804、空間光変調器805がこの順に配置されているが、実施例1および2とは、入出力ポートが分散素子アレイ801に配置されており、一般的なバルク回折格子の代わりに波長分散機能を有する部材で構成されている点が異なる。分散素子アレイ801を形成する各分散素子における第一入出力ポートおよび第二入出力ポートは、第一入出力ポート群801−1および第二入出力ポート群801−2をそれぞれ形成する。
【0043】
図10は、図9における分散素子アレイ801の詳細である。図10に示すように、分散素子アレイ801を構成する各分散素子は、第一光導波路901−1に接続されたスラブ導波路群902と、スラブ導波路群に接続された第一アレイ導波路903−1と、第一アレイ導波路に接続された第一スラブ導波路904−1とを備え、加えて第二光導波路901−2に接続されたスラブ導波路群902と、スラブ導波路群に接続された第二アレイ導波路903−2と、第二アレイ導波路に接続された第二スラブ導波路904−2とを備える。この構成は光導波回路で波長分波機能を有する際に最も一般的に使用されるAWGと同様の構成である。この光導波回路をy軸方向に積層形成することで分散素子アレイ901は形成されている。スラブ導波路群902は第一WSS機能部と第二WSS機能部それぞれに関わる光導波回路で兼用することで分散素子アレイ801の小型化を促進しており、本実施例においてもこのように図示しているが、回路レイアウトや分散素子801内に形成する他機能回路からの要請により、第一WSS機能部に関わるスラブ導波路と第二WSS機能部に関わるスラブ導波路を分離配置する設計としても全く問題はない。また第一スラブ導波路904−1および904−2は空間光学設計からの要請により、備えていても、備えていなくともよい。
【0044】
基本的な動作原理については図7を参照して説明した実施例2と同様であるが、実施例2における入出力ポート群601、マイクロレンズアレイ602、および回折格子603を分波素子アレイ801に機能集約した点に本実施例の意義が存在する。空間光学系による光信号処理装置の特徴は、三次元光信号処理と光学設計の自由度にある。空間光変調器605は波長分散軸と光偏向軸の二つを独立に設計することによって、両者の機能を1台のデバイスで組み合わせて波長選択スイッチが実現可能となる。その一方でビーム径の調整のためにはレンズの手配、また実装におけるアライメントの追加コストが生じる傾向にある。また光学設計によってはレンズ配置が問題となりデバイスの全長が長くなる傾向にある。さらに、XZ平面内でのビーム径を制御する際に、マイクロレンズアレイの採用のみでは実現したいビーム径に到達しない可能性もあり、これを打破するためにアナモルフィックプリズムペアなど、追加の部材を配置する必要も生じる。一方で本実施例のように分散素子アレイ801に機能集積した場合はフォトリソグラフィと同程度の実装精度が、アライメントや実装をよらず、実現可能であり、大幅なコスト低減が可能となる。さらに、AWGはアレイ導波路間の導波路長差を大きくとることが可能であり、一般的にバルク型の回折格子の数倍〜10数倍もの分散能を持たせることができる。空間光学系を採用した光信号処理装置においてはこの特徴はデバイス全体の光学長、すなわちレンズ803を短焦点距離のものとして設計することが可能であり、デバイスの小型化という点で極めて重要な意味を持つ。
【0045】
このように、分散素子アレイ801を実現する手段としては、図10に示したような積層型アレイ導波路格子を例示したが、類似の機能を有する分散素子アレイであれば、何も図10のような構成に限られるものではない。分散素子機能を有するデバイスであれば、例えばVirtually imaged phased array (VIPA)と呼ばれる分散素子やグレーティングカプラ、その他類似のデバイスでも分散素子アレイ801として用いることは問題ない。
【0046】
図11に、分散素子アレイ801として用いることができるこれらの分散素子の中の一例を示す。図11は、AWGの用いた分散素子アレイ801の代りに用いることができる、Bragg reflector waveguide(BRW)の構成図であり、(a)は断面図、(b)は上面図である。図11(a)によればBRWによる分散素子アレイは、ファイバアレイ1001およびマイクロレンズアレイ1002から空間に出射された信号光を分散素子アレイに結合させるための導波路入出力ポート1003、基板垂直方向に備えられた上部反射鏡1004、下部反射鏡1005、導波層1006から構成される。導波層1006は、上下を光閉じ込め層には挟まれた活性領域からなる。導波路入力ポート1003から基板に結合した信号光は、上部反射鏡1004および下部反射鏡1005の間で幾何光学的にジグザグに多重反射を繰り返す。両反射鏡における垂直方向の互いの間隔は波長程度、すなわち1μm程度である。このとき、上部反射鏡の反射率は下部反射鏡反射率よりも低く設計されているため、ジグザグに導波路内を伝搬する際、低い反射率を備える反射鏡から一部の光が空間へと出射される。出射に際しては、スネルの法則に従って波長ごとに異なる屈折角を伴うため、入力するWDM光信号の波長ごとに、異なる角度で空間へと出射される。すなわち、図11に示すBRWは、各導波層1006が波長分波機能部を形成し、分散素子アレイ801、すなわち波長分波素子として動作する。本実施例においては、入出力ファイバアレイ1001の光ファイバの総数を6本(各WSS機能部が3ポート有しているため、各WSS機能部に3本ずつ)として説明しているため、各波長分波機能部1006−1〜1006−3はこの本数に対応した3本として、波長分波機能部のx軸方向に関する両端にそれぞれ1本ずつ配置されるように配置されている。また、図11においては、紙面の右側には第一WSS機能部に関する第一入出力ファイバアレイ1001−1および第一マイクロレンズアレイ1002−1が、紙面の左側には第二WSS機能部に関する第二入出力ファイバアレイ1001−2および第二マイクロレンズアレイ1002−2がそれぞれ配置されている。各波長分波機能部は光学的に独立している。また、隣接した波長分波機能部のクロストークを低減するためには、各波長分波機能部間に光遮断層を設けることが望ましい。例えば、エッチングによる溝形成が手段の一つとして考えられるが、同様の機能を実現するものであれば、どのような形態であっても問題はない。
【0047】
このときの上部反射鏡1004への入射角をθ、空間への出射角をθ、分波角度分散器を構成する導波路の等価屈折率をnwg、空気の屈折率をnair(=1)としたとき、スネルの法則によりnair×sinθ = nwg×sinθiが得られ、さらに導波路のカットオフ波長をλ、使用波長をλとしたとき、屈折角は以下の関係式によって表される。
【0048】
【数5】
【0049】
よって、本波長分波素子では、設計したカットオフ波長λcが進行する角度θが信号光の基本的な進行方向とみなすことができ、波長λcの光はこの角度に進行するように振る舞う。
【0050】
このとき、BRWの構造はx軸方向においては一様の構造をとっているため、x軸方向に関して紙面右側(導波路入出力ポート1003−1)からファイバを結合させることも、紙面左側(導波路入出力ポート1003−2)からファイバを結合させることもできる。この入射方向の違いにより、空間への光信号の出射角度を±θで制御することができ、図9(a)と同様な動作をすることが可能となる。図11(a)では、導波路入出力ポート1003−1から入射された光信号の第一WSS機能部における伝搬および空間へ出射について図示し、導波路入出力ポート1003−2から入射された光信号の第二WSS機能部に関する伝搬および空間への出射については図示していない。
【0051】
図11にて説明したBRWを分散素子アレイ801として用いた場合、AWGと同レベルの分散能を有することができ、小型化に非常に効果的である。さらに、本BRWについては、導波路製造プロセスを用いて複数のBRWを一括して製造することができる。積層型AWGは導波路層を一層形成するごとに研磨を行い、平滑化を実施した後に再度導波路プロセスを実施する必要があり、多ポートになるほどプロセス負荷が増大する。BRWでは一層分のプロセスで必要な個数の波長分散素子を形成することができるため、製造に関わるコストが非常に小さく抑えることができ、低コスト化が重要なメリットである複数機能集約型光信号処理装置の特徴をさらに活かすことができる。
【符号の説明】
【0052】
101、106 波長選択スイッチ(WSS)群
102 波長分波機能部群
103 受信器群
104 送信器群
105 波長合波機能部群
107 波長クロスコネクト機能部
201,501,601,801 入出力ポート群
202,502,602 マイクロレンズアレイ
203 レンズ群
204,206,504,604,803 レンズ
205,503,603 回折格子
207,505,605,805 空間光変調器
701,804 角度補正部材
802 シリンドリカルレンズアレイ
901 光導波路
902,904 スラブ導波路群
903 アレイ導波路
1001 ファイバアレイ
1002 マイクロレンズアレイ
1003 導波路入出力ポート
1004 上部反射鏡
1005 下部反射鏡
1006 導波層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11