(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハードベークされた光パターン化ポリマーが、ポリイミド系ポリマーおよびベンゾシクロブテン系ポリマーの少なくとも1つを含み、ハードベークされた光パターン化可能なポリマーが、焼き付け前に光パターン化可能であるポリマーである、請求項1に記載の静電チャック。
前記ガスシールリングの前記ハードベークされた光パターン化ポリマーが、エポキシ系ポリマー、ベンゾシクロブテン系ポリマー、およびポリイミド系ポリマーの少なくとも1つを含み、ハードベークされた光パターン化可能なポリマーが、焼き付け前に光パターン化可能なポリマーである、請求項11に記載の静電チャック。
前記静電チャックのガスシールリングの工作物接触面の少なくとも一部を覆う導電経路をさらに含み、前記導電経路が、接地される電気経路の少なくとも一部を含む、請求項1に記載の静電チャック。
前記光パターン化可能なポリマーが、約70メガパスカル(MPa)を超える引張強度を有し、約3.5ギガパスカル(GPa)未満のヤング率を有する材料を含む、請求項19に記載の方法。
前記静電チャックのガスシールリングの工作物接触面の少なくとも一部を導電経路で覆うステップをさらに含み、前記導電経路が接地される電気経路の少なくとも一部を含む、請求項19に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の例示的実施形態の説明を以下に示す。
【0017】
本発明の一実施形態によると、基板を搭載するための表面上に突出部を含む静電チャックが提供される。突出部は、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマー物質から形成される。さらに、静電チャックは、ポリマー突出部が接着される電荷制御表面層を特徴とする。電荷制御表面層は、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの突出部と同じポリマー材料から形成されてよい。このような突出部および電荷制御表面層は、静電チャックと基板との接触を促進して接触冷却を促進しながら、望ましくない粒子の発生を減少させることもできる。
【0018】
本発明による別の一実施形態において、以下にさらに議論するように、静電チャック上の突出部およびガスシールを形成するために、光パターン化可能なポリマーを使用することができる。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による静電チャックの最上層の断面図である。静電チャックは、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマーから形成される突出部101を特徴とする。静電チャックのガスシールリング(図示せず)は、突出部101と同じポリマーなどのポリマーから形成することができる。突出部101は、これもポリマーから形成されてよい電荷制御層102に接着される。電荷制御層102の目的は、表面電荷を放出させるための導電層を提供することである。電荷制御層102によって、チャック出力をなくした後にウエハまたはその他の基板がチャック表面に静電的に付着する場合に生じる「ウエハ固着」の可能性が低下する。たとえば約1×10
8Ω/□〜約1×10
11Ω/□の範囲などの適切な範囲内の表面抵抗率を有する電荷制御層102は、望ましくない静電力および最終的にウエハ固着を引き起こしうる表面電荷保持を減少させることが示された。わずかに導電性の表面層によって電荷が大地(図示せず)に放出されるが、静電チャックと基板との間の静電引力は妨害されない。一実施形態においては、突出部101および電荷制御層102の両方がポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの1種類のポリマーから形成される。電荷制御層102の下に接着層103が存在することができ、これは電荷制御層とは異なるポリマーを含むことができる。特に、電荷制御層がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から形成される場合、接着層103はポリエーテルイミド(PEI)を含むことができる。あるいは、接着層103は存在しなくてもよい。接着層103の下(または電荷制御層102のすぐ下)で、静電チャックは接着コーティング104を含み、それによってその上にあるポリマー層の誘電体層105への接着が促進される。接着コーティング104は、その上にあるポリマー層の下に隠されたままであり、表面的な欠陥がポリマーによって隠される。接着コーティング104としては、たとえば、ケイ素を含有する窒化物、酸化物、炭化物、およびこれらの非化学量論的な種類のもの、たとえばSiO
xN
y、窒化ケイ素、酸化ケイ素、または炭化ケイ素を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。接着コーティング層は、炭素、または炭素窒化物化合物を含むこともでき;ダイヤモンド状炭素を含むこともでき;および/または上記のいずれかの組み合わせを含むこともできる。接着コーティング104の下には、アルミナ誘電体などの誘電体層105が存在する。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態による静電チャックのさらなる層を示す断面図である。突出部201、電荷制御層202、接着層203、接着コーティング204、および誘電体層205に加えて、静電チャックは金属電極206を含む。金属電極206は、導電性エポキシ接着剤208によって電極ピン207に接合される。誘電体層205は、セラミック間の接着剤210によってアルミナ絶縁体などの絶縁層209に接合される。セラミック間の接着剤210は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または変性PTFE(PTFEに加えてPFAおよび/またはFEPを含む)などのポリマーから形成されてよい。さらに、セラミック間の接着剤210は、パーフルオロアルコキシ(PFA)、フッ素化エチレン−プロピレン(FEP)、およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマーから形成されてよい。絶縁体209の下には、熱伝導性接着剤211(たとえば、Duesseldorf,GermanyのHenkel AG & Co.KGaAより販売されるTRA−CON熱伝導性エポキシを使用して形成することができる)および水冷台212が存在する。接着コーティング204は、静電チャックの端部の下方(ガスシールリングの端部の下方を含む)まで延在して金属減少層213を形成することができ、それによってビームの静電チャックの端部への衝突によって、アルミニウム粒子が基板に衝突するのが防止される。
【0021】
本発明の一実施形態によると、突出部201、電荷制御層202、または静電チャックの別の構成要素に使用されるポリエーテルイミド(PEI)は、約12ミクロン〜約25ミクロンの間の厚さの充填剤を含まない非晶質ポリエーテルイミド(PEI)から形成されてよい。たとえば、Sabic Innovative Plastics Holdings BVより販売され商品名ULTEM 1000で販売されるPEIを使用することができる。突出部201および/または電荷制御層202、またはその他の構成要素がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から形成される場合、それらは約12ミクロン〜約25ミクロンの間の厚さの充填剤を含まないPEEKから作製することができる。たとえば、WestConshohocken,PA,U.S.AのVictrex U.S.A.,Inc.より販売され商品名Victrex(登録商標)APTIV PEEK(商標)FILM,2000−006(充填剤を含まない非晶質グレード)で販売されるPEEKを使用することができる。
【0022】
本発明の一実施形態によるポリマー突出部とポリマー電荷制御層とを特徴とする静電チャックは、米国特許出願公開第2009/0284894号明細書として公開され、2009年5月15日に出願された米国特許出願第12/454,336号明細書の静電チャックの特長を含むことができ、これらの教示全体が参照により本明細書に援用される。特に、等間隔の突出部、三角形パターンの突出部、および低粒子生成に関連する特徴を含むことができ、他の特徴を含むこともできる。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態による静電チャックの表面上の突出部314のパターンの図であり、基板と突出部314との間の力を減少させるためにこの突出部パターンが使用される。このような力を均等に分散させる突出部パターンには、たとえば三角形または略六角形の突出部パターンを使用することができる。本明細書において使用される場合、「三角形」パターンは、突出部が実質的に等間隔となるような、突出部の正三角形の規則的に繰り返すパターンを意味することが意図されることを理解されたい(このようなパターンは、正六角形の頂点を形成する6つの突出部の配列の中心に1つの中心突出部を有する略六角形と見ることもできる)。突出部の直径315を増加させることによって、または突出部314の中心間の間隔316を減少させることによっても、力を減少させることができる。
図3の実施形態に示されるように、中心間間隔寸法316だけ隣接する突出部から各突出部が実質的に等間隔で離れている等間隔配列で突出部を配置することができる。このような間隔によって、基板の裏側の実質的な部分が突出部の上部と接触し、裏側の冷却用のヘリウムまたはその他のガスのための突出部の間の間隙が残る。対照的に、このような突出部の間隔がないと、突出部の10%以下の少ない部分のみが基板と接触しうる。本発明の一実施形態によると、基板は、25%を超える突出部上部の表面領域と接触することができる。
【0024】
一例において、静電チャックは、300mmの個性であってよく、アルミニウムベース、厚さ約0.120インチのアルミナ絶縁体209、厚さ約0.004インチのアルミナ誘電体205を含むことができ、静電チャックに搭載される基板の回転および傾斜を可能にする回転プラテン設計を有することができる。静電チャックの直径は、たとえば300mm、200mm、または450mmであってよい。突出部314は、中心間間隔寸法316がたとえば約6mm〜約8mmである三角形パターンで存在することができる。突出部の直径315は、たとえば約900ミクロンであってよい。突出部314の高さは、たとえば約3ミクロン〜約12ミクロン、たとえば約6ミクロンであってよい。突出部314は、電荷制御層202(
図2参照)と同じであってよいポリマーから全体が形成されてよい。
【0025】
図4は、本発明の一実施形態による静電チャック表面の外観の図である。静電チャック表面は、ガス入口417と、接地ピン通路418と、ガスシールリング419と、それ自体のガスシールリング(
図4のリフトピン通路420の外側の薄い色の構造)を含むリフトピン通路420と、チャックの中央の421における小さいガス入口(
図4では入口は見えない)とを含む。接地ピン通路418は、それ自体のガスシールリング(
図4の接地ピン通路419の外側のリング)を含むことができる。詳細図(
図4の挿入
図422)は、突出部414を示している。ガスシールリング419(ならびにリフトピン通路420および接地ピン通路418のガスシールリング)は、幅が約0.1インチであってよく、突出部414と同じ高さであってよく、たとえば約3ミクロン〜約12ミクロン、たとえば約6ミクロンであってよいが、その他の幅および高さも可能である。
【0026】
本発明の一実施形態によると、最初にセラミック間の接着剤を使用してセラミック組立体を作製する方法によって静電チャックを作製することができる。たとえば、
図2の実施形態と関連して前述した接着物質を使用して、誘電体層205を絶縁層209に接合させることができる。次に、得られたセラミック組立体に、
図1の実施形態と関連して前述した物質などの接着コーティング204を約1または2ミクロンの厚さでコーティングする。次に、電荷制御層202および突出部201を構成するポリマー物質を接着コーティング204の表面に接合する。(次に塗布される)フォトレジストが付着しやすくなるように、ポリマー物質の表面をプラズマ処理することができる。次に、ポリマー物質上にフォトレジストを堆積し、露光し、現像する。次に、反応性イオンエッチング方を用いて、ある厚さのポリマー物質(約3ミクロン〜約12ミクロンの間など、特に約6ミクロン)を除去して、突出部201の間の領域を形成する。エッチングで除去される量(その結果として突出部の高さが得られる)は、静電チャックに使用される裏側のガスの圧力に関して最適化することができる。突出部の高さは、好ましくは、裏側の冷却に使用されるガスの平均自由行程とほぼ同じ、または実質的に等しい。エッチング後、フォトレジストを除去し、プロセスを静電チャックの最終組み立てまで進行させる。
【0027】
図5は、本発明の一実施形態による静電チャックの突出部のプロファイルの図である。幅および高さがマイクロメートルの単位で示されている。突出部は、高さが約6ミクロンであり、非常に平滑なウエハ接触面523を有する。たとえば、突出部は、ウエハ接触面523上の表面粗さが約0.02〜約0.05μmであってよい。同様に、ガスシールリングも同様に平滑な表面を有することができ、その結果として基板との良好なシールが形成される。以下の表1は、本発明の一実施形態によるガス漏れ速度試験の結果を示している。左の列は、加えられた裏側ガス圧力を示しており、右の列は、静電チャックの端部の下から漏れ出すガスによって生じる裏側ガス流を示しており、中央の列は、静電チャックの端部からより多くのガスが漏れると増加するチャンバー圧力を示している。1sccm未満の裏側ガス流量の結果(この場合)が、望ましいと考えられる。
【0029】
本発明の一実施形態によると、静電チャックのガスシールリングは、約8マイクロインチ未満、または約4マイクロインチ未満、または約2マイクロインチ未満、または約1マイクロインチ未満の表面粗さで構成されうる。
【0030】
本発明による別の一実施形態において、静電チャック上の突出部およびガスシールを形成するために、光パターン化可能なポリマーを使用することができる。本明細書において使用される場合、「光パターン化可能なポリマー」は、光化学反応の結果に基づいて表面をパターン化することができるポリマーである。
【0031】
図6は、本発明の一実施形態による、光パターン化可能なポリマーを使用した静電チャックの製造における積層プロセスの使用の概略図である。光パターン化可能なポリマーシートは静電チャック上に積層する631である。たとえば、2つのローラーを使用するラミネーターによって、制御された熱および圧力を加えることで、光パターン化可能なポリマーシートを静電チャック上に積層することができる。積層されたシートに対してソフトベークプロセスを行うことができる。続いて、紫外光露光システムを使用して632、マスクを介して光パターン化可能なポリマーを露光し、現像液を使用して633、マスクを介して露光しなかったポリマーの望ましくない部分を除去し、それによって突出部を形成する。あるいは、突出部を形成するために、使用されるフォトレジストの種類に応じて、マスクを介して露光したポリマーの部分を除去するために現像液を使用することができる。より一般的には、静電チャックの表面の領域は、マスクを介した光への表面の露光パターンに基づいて除去し、それによって突出部を形成することができる。次にオーブンおよびホットプレートを使用して突出部のハードベーク634を行う。使用可能な光パターン化可能なポリマーシートの一部の例としては、エポキシ系ポリマーシート、ポリイミド系ポリマーシート、およびベンゾシクロブテン(BCB)ポリマーシートが挙げられる。たとえば、Wilmington,DE,U.S.A.のE.I.DuPont de Nemours and Companyより販売されるPerMx(商標)シリーズ、MXシリーズ、およびRiston(登録商標)シリーズのポリマーシートなどのエポキシ系ポリマーシートを使用することができる。
【0032】
図7は、本発明の一実施形態による、光パターン化可能なポリマーを使用した静電チャックの製造におけるスプレーコーティングプロセスの使用を示すブロック図である。液体の光パターン化可能なポリマーを静電チャック上にスプレーコーティングする741。たとえば、静電チャック上で制御された熱を使用し、スプレーコーティングシステムのノズルの制御された流量を使用して、スプレーコーティングシステムを使用して液体ポリマーを静電チャックに塗布することができる。所望の厚さのポリマー(たとえば、サブマイクロメートルからミリメートルのいずれかの厚さ)を静電チャックの表面上に正確にスプレーすることができる。続いて、紫外光露光システムを使用して、マスクを介して光パターン化可能なポリマーを露光し742、現像液を使用して743、マスクを介して露光しなかったポリマーの望ましくない部分を除去し、それによって突出部を形成した。あるいは、突出部を形成するために、使用されるフォトレジストの種類に応じて、マスクを介して露光したポリマーの部分を除去するために現像液を使用することができる。より一般的には、静電チャックの表面の領域は、マスクを介した光への表面の露光パターンに基づいて除去し、それによって突出部を形成することができる。次にオーブンおよびホットプレートを使用して突出部のハードベーク744を行う。使用可能な光パターン化可能なポリマーシートの一部の例としては、エポキシ系液体ポリマー、ポリイミド系液体ポリマー、およびベンゾシクロブテン(BCB)系液体ポリマーが挙げられる。たとえば、使用可能なエポキシ系液体ポリマーとしては、Newton,MA,U.S.A.のMicroChem Corporationより販売されるSU8シリーズおよびKMPRシリーズの液体ポリマーが挙げられ、使用可能なポリイミド系液体ポリマーとしては、Wilmington,DE,U.S.A.のHitachi DuPont MicroSystems,LLCより販売されるHD4100シリーズ、HD8800シリーズ、およびHD8900シリーズの液体ポリマーが挙げられる。
【0033】
本発明の一実施形態によると、光パターン化可能なポリマーが使用される場合、突出部の厚さによって、静電チャックのクランプ力が決定される。したがって、クランプ力を制御するために、突出部の厚さを制御することができる。たとえば、突出部の厚さは、積層プロセス中のポリマーシートの厚さによって、およびスプレーコーティングプロセス中にスプレーされるポリマーの体積によって制御することができる。さらに、積層プロセスが使用される場合、たとえば突出部の厚さを減少させるために、反応性イオンエッチング(RIE)プロセスで突出部を処理して厚さを変化させることができる。これによって突出部の端部がより平滑で清浄になることもできる。
【0034】
さらに、本発明の一実施形態によると、光パターン化可能なポリマーのハードベークのパラメータは、静電チャックが使用される用途、および結果として得られる所望のポリマー特性に応じて調節することができる。たとえば、クランプ/脱クランプサイクル試験において発見することができる、基板の摩耗により粒子が生成される場合、ハードベークの温度を低下させ時間を短縮することによって、突出部をより軟質にすることが望ましくなりうる。他方、たとえばクランプ/脱クランプサイクル試験においてポリマー突出部から粒子が発見される場合は、ハードベークの温度を上昇させ時間を延長することによって突出部をより硬質にすることが望ましくなりうる。
【0035】
本発明の一実施形態によると、光パターン化可能なポリマーを使用することによって、いくつかの利点を得ることができる。これによって、突出部の厚さを均一にすることができ、セラミック突出部(ダイヤモンド状炭素および炭化ケイ素の突出部など)よりもはるかに低いヤング率および硬度を有する非摩耗性で軟質の突出部を形成することができる。光パターン化可能なポリマーを使用することで、製造性を改善することができ、必要な資本設備を少なくすることができ、粒子汚染を減少させることができ、接地面プラテン設計とのより良い適合性を得ることができ、より低コストでより高処理量の静電チャックを得ることができ、より大きさサイズの静電チャック(450mmなど)へのスケールアップをより容易に行うことができる。さらに、光パターン化可能なポリマー突出部は、他の突出部よりも良好な接着性を有することができ、接着促進剤を用いずに使用することができる。さらに、光パターン化可能なポリマー突出部を使用する静電チャックは、従来の設計よりもより容易に再生することができる。たとえば、突出部が摩耗した場合、酸素プラズマ洗浄機を使用して表面を清浄にすることができ、その後、チャックを分解することなく、本明細書に記載のように突出部を再形成することができる。
【0036】
図8は、本発明の一実施形態による、ポリマー突出部および接地層を含む静電チャックの断面図である。静電チャックは、たとえば光パターン化可能なポリマー突出部を含むことができるポリマー突出部801、およびポリマーガスシール819を含む。電荷を接地するための経路において、表面電荷は、電荷制御層802および金属層813を通って接地層851に放出される。金属層813は、たとえば、炭化ケイ素、ダイヤモンド状炭素、および/または本明細書の別の箇所で教示される電荷制御層に使用される物質から形成されてよく、接地のための導電経路として機能することができ、金属減少層としても機能することができる。接地層851は、たとえば、炭化ケイ素、ダイヤモンド状炭素、および/または本明細書の別の箇所で教示される電荷制御層に使用される物質から形成されてよい。接地層851は、たとえばダイヤモンド状炭素または炭化ケイ素を含むことができ、約10
5Ω/□〜約10
7Ω/□の間の表面抵抗率を有することができる。
図8の実施形態の静電チャックは、誘電体層805、金属電極806、セラミック間の接着剤810、導電性エポキシ接着剤808、電極ピン807、絶縁層809、熱伝導性接着剤811、および水冷ベースド(water cooled based)812をも含む。静電チャックがクーロンチャックとなるように、誘電体805は約10
12Ω・cmを超えるバルク抵抗率で構成されてよい。電荷制御層802は、たとえば、炭化ケイ素またはダイヤモンド状炭素を含むことができ;誘電体を直接覆うことができ;約0.1ミクロン〜約10ミクロンの範囲内の厚さで構成されてよく;約1×10
8Ω/□〜約1×10
11Ω/□の範囲内の表面抵抗率で構成されてよい。
【0037】
図9は、本発明の一実施形態によるポリマー突出部および導電経路を含む静電チャックの断面図である。静電チャックは、たとえば光パターン化可能なポリマー突出部を含むことができるポリマー突出部901、およびポリマーガスシール919を含む。電荷を接地するための経路において、表面電荷は、電荷制御層902、金属層813、および導電経路952を通って接地層951に放出される。金属層913は、たとえば炭化ケイ素、ダイヤモンド状炭素、および/または本明細書において教示される金属減少層に使用される物質から形成することができ、接地のための導電経路として機能することができ、金属減少層としても機能することができる。接地層951は、たとえば炭化ケイ素、ダイヤモンド状炭素、および/または本明細書の別の箇所で教示される電荷制御層に使用される物質から形成されてよい。接地層951は、たとえば、ダイヤモンド状炭素または炭化ケイ素を含むことができ、約10
5Ω/□〜約10
7Ω/□の間の表面抵抗率を有することができる。導電経路952は、たとえば、ダイヤモンド状炭素または炭化ケイ素を含むことができ、約10
5Ω/□〜約10
7Ω/□の間の表面抵抗率を有することができ;たとえば、静電チャックのガスシールリング919の工作物接触面の少なくとも一部を覆うことができる。
図9の実施形態の静電チャックは、誘電体層905、金属電極906、セラミック間の接着剤910、導電性エポキシ接着剤908、電極ピン907、絶縁層909、熱伝導性接着剤911、および水冷ベースド(water cooled based)912をも含む。静電チャックがクーロンチャックとなるように、誘電体905は約10
12Ω・cmを超えるバルク抵抗率で構成されてよい。電荷制御層902は、たとえば、炭化ケイ素またはダイヤモンド状炭素を含むことができ;誘電体を直接覆うことができ;約0.1ミクロン〜約10ミクロンの範囲内の厚さで構成されてよく;約1×10
8Ω/□〜約1×10
11Ω/□の範囲内の表面抵抗率で構成されてよい。
【実施例】
【0038】
実験:光パターン化可能なポリマーを使用した製造
1.
図8の実施形態の積層プロセス:
本発明の一実施形態によると、最初にセラミック間の接着剤810を使用してセラミック組立体を作製する方法によって静電チャックを製造することができる。たとえば、
図2の実施形態と関連して前述した接着物質を使用して、誘電体層805を絶縁層809に接合することができる。次に、
図8の接地層851および金属層813として使用するための前述の物質を堆積するなどによって、約1ミクロンの厚さで、物理蒸着(PVD)を使用して金属層851および813をセラミック組立体の裏側にコーティングする。
【0039】
次に、炭化ケイ素、ダイヤモンド状炭素、および/または電荷制御層として使用するための本明細書の別の箇所で教示される物質を堆積するなどによって、化学蒸着(CVD)を使用してセラミック組立体の前側に電荷制御層802をコーティングし、層802は、セラミック組立体の端部を介して接地層851と電気的に接続される。
【0040】
次に、フォトリソグラフィによってポリマー突出部801およびガスシールリング819を作製する。CATENA(GBC Films Group,Addison,IL,U.S.A.より販売される)を0.5m/分のロール速度、および80Cにおいて410〜480kPaの圧力で使用して、光パターン化可能なポリマーシートを電荷制御層802上に積層し、次に100Cで5分間焼き付けする。その後、ポリマーを300mJ/cm
2の強度の光に露光する。光パターン化可能なポリマーを95Cで5分間焼き付けし、次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中で5分間現像し、続いてイソプロピルアルコール(IPA)で2分間洗浄する。その後、ポリマーを180Cで30分間焼き付けする。さらに、積層プロセスが使用される場合、たとえば突出部の厚さを減少させるために、反応性イオンエッチング(RIE)プロセスで突出物を処理することによって厚さを変化させることができる。これによって突出部の端部をより平滑でより清浄にすることもできる。突出部の厚さは、約3ミクロン〜約12ミクロンの間、たとえば約6ミクロンである。エッチングで除去される量(その結果として突出部の高さが得られる)によって、静電チャックに使用される裏側ガス圧力に関して最適化することができる。突出部の高さは、好ましくは、裏側の冷却に使用されるガスの平均自由行程とほぼ同じ、または実質的に等しい。
【0041】
2.
図9の実施形態の積層プロセス:
図8の実施形態の作製に関して前述した方法と類似の方法を使用し、さらに、ポリマー突出部を作製した後に、シャドウマスクを用いたCVDプロセスによって、ダイヤモンド状炭素(DLC)コーティングを加える。このDLCコーティングは、ガスシールリング819とセラミック組立体の側壁とを覆う。
【0042】
3.
図8の実施形態のスプレーコーティングプロセス:
突出部801およびガスシールリング819のための光パターン化可能なポリマーを電荷制御層802の上に塗布するために別の技術を使用することを除けば、積層に関して前述した方法と類似の方法を使用する。
【0043】
ポリマー突出部801およびガスシールリング819は、フォトリソグラフィ技術によって形成される。Prism 300(Ultrasonic Systems,Inc.,Haverhill,MA,U.S.A.より販売される)を100mm/秒のスプレー速度、2ml/分の流量、30psiの空気圧、および30mmの高さ(スプレーヘッドと電荷制御層802の表面との間の距離)で使用して光パターン化可能なポリマーを電荷制御層802上にスプレーし、次に95Cで15分間焼き付けする。スプレーコーティングプロセス中にセラミック組立体を65Cまで加熱する。その後、ポリマーを300mJ/cm
2の強度の光に露光する。光パターン化可能なポリマーを95Cで5分間焼き付けし、次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中で5分間現像し、続いてイソプロピルアルコール(IPA)で2分間洗浄する。その後、ポリマーを180Cで30分間焼き付けする。突出部の厚さは、約3ミクロン〜約12ミクロンの間、たとえば約6ミクロンである。突出部の厚さは、電荷制御層802の表面上にスプレーされるポリマーの量によって制御される。突出部の厚さは、静電チャックに使用される裏側ガス圧力に関して最適化することができる。突出部の高さは、好ましくは、裏側の冷却に使用されるガスの平均自由行程とほぼ同じ、または実質的に等しい。
【0044】
4.
図9の実施形態のスプレーコーティングプロセス:
図8の実施形態の作製に関して前述した方法と類似の方法を使用し、さらに、ポリマー突出部を作製した後に、シャドウマスクを用いたCVDプロセスによって、ダイヤモンド状炭素(DLC)コーティングを加える。このDLCコーティングは、ガスシールリング819とセラミック組立体の側壁とを覆う。
【0045】
実験:試験結果
本発明の一実施形態により、本明細書に記載の光パターン化可能なポリマー突出部を有する静電チャックに対して種々の試験を行った。結果を以下に示す。
【0046】
1)スクラッチ試験:突出部を通過して引っかくために針を使用した。突出部は試験に合格し;層間剥離を引き起こすことなく、ブレードは突出部を通過して切削した。
【0047】
2)テープ試験: Kaptonテープを突出部上部に取り付け、次に剥離した。突出部は試験に合格し;突出部の剥離は起こらなかった。
【0048】
3)IPA拭き取り試験:イソプロピルアルコール(IPA)を含ませたクリーンルーム紙を使用してエンボス部を拭き取った。突出部は試験に合格した。
【0049】
4)ロード/アンロードサイクル試験:突出部の上に重りを載せ取り外すことを数回行った。突出部は試験に合格した。
【0050】
5)ガラス摩擦試験:炭化ケイ素表面上の15μmのPerMx(商標)突出部を使用した。ガラスを用いて突出部の上に手で垂直応力を加えながら、突出部に対してガラスをこすった。突出部の厚さは変化しないという結果が得られた。エンボス部の上面に擦り傷が見られた。
【0051】
6)耐久試験:厚さ14μmの突出部を有するセラミック組立体を使用して耐久を行った。溶媒試験では、突出部をIPA中およびアセトン中にそれぞれ1日間浸漬した。UV露光試験では、突出部をUV光に10.25時間連続して露光した。冷却試験では、約−70Cのドライアイスでサンプルを覆った。これらの耐久試験の後、ナイフを使用して突出部を引っかいた。層間剥離および亀裂を生じることなく、ナイフは突出部を通過して切削した。すべての突出部が試験に合格した。
【0052】
7)クランプ試験:電極の充電および放電の両方で、静電チャックのクランプ中に充電電流を測定した。波形は、全ての運転条件(種々の裏側ガス圧力、真空中、および空気中を含む)下で均一に維持されることが分かり、適切に形成された。
【0053】
8)ガス漏れ速度試験:前述の表1に示されるものと類似のガス漏れ速度試験を行った。アーク放電はなく、高いクランプ力および低いガス流量が見られた。500Kサイクルのクランプ/脱クランプ試験の前後の両方で類似の結果が見られた。
【0054】
9)材料純度試験:3つのサンプルを作製した(光パターン化可能なポリマーフィルム;シリコンウエハ上に積層しさらなる処理は行わない光パターン化可能なポリマーフィルム;およびシリコンウエハ上に完全に形成された光パターン化可能なポリマー突出部)。これら3つのサンプルを、5%のHNO3を用いて室温で1時間表面抽出し、得られた溶液について、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)を用いて19種類の金属を測定した。結果は、19種類の金属の1平方センチメートル当たりの原子が許容される低い値であることが分かった。
【0055】
10)クランプ/脱クランプサイクル試験:500Kサイクルのクランプ/脱クランプ試験の後、突出部およびガスシールの高さおよび粗さは変化しなかった。表2に結果を示している。プロフィロメトリーによって、突出部およびガスシールの形状も同様に変化しなかったことが示された。
【0056】
【表2】
【0057】
本発明の一実施形態によると、低ヤング率および高引張強度の材料を含む光パターン化可能なポリマー突出部を使用することができる。表3は、種々の材料の機械的性質の比較を示しており、PerMXおよびSU8材料はエポキシ系の光パターン化可能なポリマーの例である。ポリエーテルイミド(PEI)、エポキシ、およびポリイミドの熱安定性は同様であるが、エポキシおよびポリイミド系のポリマーの引張強度はPEIよりも高いことが表3から分かる。PEI、エポキシ、およびポリイミドの弾性率(剛性)は同様であり、これらはいずれもダイヤモンド状炭素(DLC)よりも軟らかい。本発明の一実施形態によると、約70メガパスカル(MPa)を超え、たとえば約70MPa〜80MPaの間であり、ヤング率が約3.5ギガパスカル(GPa)未満、たとえば約2GPa〜3GPaの間であるポリマー物質を突出部に使用することができる。他の物質を使用することもできる。
【0058】
【表3】
【0059】
本発明の一実施形態によると、エポキシの光パターン化可能なポリマー突出部などのポリマー突出部の硬度は、約350MPa〜約450MPaの間となりうる。ポリマー突出部の接合強度は、ポリマー突出部と下にある電荷制御層との間で約15MPaを超えうる。ある実施形態において、ポリマー突出部の接着は、介在する接着層または接着剤を使用せずに電荷制御層(
図8の802)を誘電体805に直接接着するのに十分となりうる。ウエハまたは他の基板をポリマー突出部にクランプした後、ポリマー突出部からウエハ裏側に移動する金属汚染物質(たとえば、Li、Mg、K、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Y、Mo、Sn、Ba、Ce、Hf、Ta、W、Pb、Sb)は約1E10原子/cm
2未満となりうる。ウエハまたは他の基板をポリマー突出部にクランプした後、静電チャックを使用した結果として基板の裏側に堆積する粒子は、0.16μm以上の粒度範囲での増加は約2000粒子未満となりうる。
【0060】
本発明の一実施形態によると、本明細書に記載の光パターン化可能なポリマー突出部は、たとえば、本明細書に記載のように作製して、下にある電荷制御層に接着することができる。電荷制御層は、たとえば炭化ケイ素、ダイヤモンド状炭素、または別の材料を含むことができる。このような電荷制御層は約10
8Ω/□〜約10
11Ω/□の間の表面抵抗率を有することができる。
【0061】
本発明による別の一実施形態において、本明細書に記載の光パターン化可能な突出部は、たとえば
図8および9の実施形態に示されるような接地された静電ジャック上で使用することができる。たとえば、接地技術として、静電チャックのガスシールリングの工作物接触面の少なくとも一部を覆う導電経路を挙げることができ、この導電経路は接地される電気経路の少なくとも一部を含む。導電経路は、たとえば、ダイヤモンド状炭素または炭化ケイ素を含むことができ、約10
5Ω/□〜約10
7Ω/□の間の表面抵抗率を有することができる。国際公開第2012/033922号パンフレットとして公開され、“High Conductivity Electrostatic Chuck”と題される国際出願PCT/US2011/050841号明細書(それらの全体の教示が参照により本明細書に援用される)に教示される別の導電経路を使用することができる。たとえば、静電チャックの外側端部上を覆う導電経路に関する教示を使用することができる。
【0062】
本明細書においては光パターン化可能なポリマーについて議論されるが、本発明の一実施形態によると、別の軟質材料とともに類似のスプレーコーティング方法を使用することができる。たとえば、導電性ポリマー、高耐薬品性ポリマー、耐高温性ポリマー、およびその他の材料を、シャドウマスクを用いてスプレーコーティングして静電チャックの軟質突出部を作製することができる。一例においては、導電性ポリマーをスプレーコーティングして、接地された静電チャックの導電性軟質エンボス部を形成することができる。たとえば、導電性ポリマーは、カーボンナノチューブとポリマーとのブレンド(、Billerica,MA,U.S.A.のEntegris、Inc.より販売されるEntegris TEGO(商標)ポリマーなど);カーボンナノチューブが充填されたポリカーボネート;および/または導電性ナノ粒子がドープされたポリマーを含むことができる。このような導電性ポリマー突出部は、国際公開第2012/033922号パンフレットとして公開され“High Conductivity Electrostatic Chuck”と題される国際出願PCT/US2011/050841号明細書(それらの全体の教示が参照により本明細書に援用される)に教示される導電経路の1つなどの、静電チャックを接地するために巻き付けられたDLCコーティングとともに使用することができる。本明細書に記載の実施形態の種々の特徴を組み合わせることができ、たとえば、本明細書において議論される突出部の高さおよび表面粗さは、本明細書において教示される光パターン化可能な突出部を含む種々の異なる突出部を用いて得ることができる。
【0063】
さらに、本発明の一実施形態によると、光パターン化可能なポリマー、導電性ポリマー、高耐薬品性ポリマー、および耐高温性ポリマーなどの本明細書において教示されるポリマーは、真空チャックおよび機械的チャックの上の突出部に使用することができる。
【0064】
本発明の一実施形態によると、静電チャックはクーロンチャックである。誘電体としては、アルミニウム、たとえばアルミナまたは窒化アルミニウムを挙げることができる。本発明によるさらなる一実施形態において、静電チャックはジョンソン−ラーベック静電チャックである。あるいは、静電チャックはジョンソン−ラーベック静電チャックでなくてよく、誘電体は、ジョンソン−ラーベック(JR)力または部分ハイブリッドジョンソン−ラーベック力がウエハまたは基板に作用しないように選択することができる。
【0065】
本明細書において引用されるすべての特許、公開出願、および参考文献の教示は、それらの全体が参照により援用される。
【0066】
本発明の例示的実施形態を参照しながら本発明を詳細に示し説明してきたが、それらの形態および詳細の種々の変更を、添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱することなく行えることは、当業者には理解されよう。