(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記長手圧搾部は、前記高目付領域の前記幅方向の外側に位置する第1側部領域と、前記低目付領域の前記幅方向の外側に位置する第2側部領域と、を跨いで配置されている、請求項1に記載の吸収性物品。
前記低目付領域の前記幅方向の中心は、前記吸収性物品を下着に装着するための接合部と重ならない領域に配置されている、請求項1から請求項9のいずれかに記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに直交する長手方向及び幅方向と、
着用者の股下に配置される股下域と前記股下域の後側に位置する後側域とに配置されている吸収体と、
前記股下域の前記吸収体よりも幅方向の外側に延出するウイングと、を有し、
前記吸収体の前記幅方向の中央には、前記股下域の前記長手方向の中心に配置された高目付領域と、前記高目付領域よりも後方に配置され、かつ前記高目付領域よりも吸収材料の目付が低い低目付領域と、が設けられており、
前記低目付領域の前端縁と、前記ウイングの前記長手方向の中心と、の長手方向の距離は、40mm以上60mm以下である吸収性物品であって、
前記吸収体には、圧搾部が形成されており、
前記圧搾部は、前記長手方向に延び、かつ互いに非平行に配置された複数の長手圧搾部を有し、
前記複数の前記長手圧搾部によって挟まれた長手圧搾領域は、前記低目付領域よりも高い剛性を有し、前記低目付領域の前記幅方向の両外側にそれぞれ配置されている、吸収性物品。
【0010】
ウイングの長手方向の中心から40mm以上60mm以下後方に向かった部分は、着用時に着用者の会陰部に対向して配置される。ウイングの長手方向の中心から40mm以上60mm以下後方に向かった部分に低目付領域が配置されている。低目付領域は、股下域の吸収体の長手方向の中心に位置する高目付領域よりも吸収材料の目付が低く、高目付領域よりも剛性が低い。低目付領域が着用者の会陰部に当たった際に容易に変形することにより、着用者に違和感が生じることを抑制できる。また、低目付領域は、高目付領域よりも吸収材料の目付が低く、その厚みが薄い。そのため、低目付領域が着用者の会陰部に当たった際に、低目付領域が会陰部に沿って配置され、吸収体が身体から離れるように変形し難い。よって、会陰部に対するフィット性を向上できる。
【0011】
また、低目付領域の幅方向の両外側には、長手圧搾領域が配置されている。長手圧搾領域を挟んで配置される複数の長手圧搾部が非平行であるため、長手圧搾領域は、面形状となり、低目付領域の変形の基点となり易い。着用時に吸収性物品には、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかる。当該幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかった際に、低目付領域は、長手圧搾領域よりも剛性が低く、長手圧搾領域に対して着用者側に隆起する。低目付領域が着用者側に隆起することにより、会陰部と吸収性物品との隙間が生じ難くなり、会陰部に対するフィット性が向上し、体液の漏れを抑制できる。
【0012】
かかる吸収性物品であって、
前記長手圧搾部は、前記高目付領域の前記幅方向の外側に位置する第1側部領域と、前記低目付領域の前記幅方向の外側に位置する第2側部領域と、を跨いで配置されていることが望ましい。
【0013】
着用者の脚による幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力は、後側域よりも股下域に強くかかる。長手圧搾部が第1側部領域と第2側部領域とを跨がっているため、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力を後側域に伝達し易くなり、低目付領域が会陰部に対してより隆起しやすくなる。よって、会陰部に対するフィット性がより向上し、体液の漏れを抑制できる。
【0014】
かかる吸収性物品であって、
前記長手圧搾領域の前記幅方向の長さは、後方に向かうにつれて長くなることが望ましい。
【0015】
このような吸収性物品において、着用時に幅方向の内側に向かう力は、股下域に対して強く掛かり、股下域から後方に向かうにつれて弱くなる。そのため、長手圧搾領域内の前側部分と後側部分を比較すると、後側部分には、幅方向の内側に向かう力が掛かり難い。長手圧搾領域の幅方向の長さが後方に向かうにつれて長いため、長手圧搾領域の後側部分は、面形状を維持し易く、低目付領域に対する変形の起点となり易い。そのため、長手圧搾領域の後側部分間の低目付領域は、弱い力によっても隆起し易くなる。よって、会陰部に対するフィット性がより向上し、体液の漏れを抑制できる。
【0016】
かかる吸収性物品であって、
前記圧搾部は、前記長手圧搾部の後側において前記長手方向に延び、かつ互いに非平行に配置された複数の後側圧搾部を有し、
前記複数の前記後側圧搾部によって挟まれた後側圧搾領域は、前記低目付領域の剛性よりも高く、前記低目付領域の前記幅方向の両外側にそれぞれ配置され、
前記後側圧搾領域間の距離は、前記長手圧搾領域間の距離よりも短いことが望ましい。
【0017】
着用時において吸収性物品に係る幅方向の内側に向かう力は、股下域に対して強く掛かり、股下域から後方に向かうに連れて弱くなる。後側圧搾領域間の距離が長手圧搾領域間の距離よりも短いため、後側圧搾領域間の低目付領域は、弱い力によっても隆起し易くなる。また、後側圧搾領域間の低目付領域は、会陰部よりも後方の臀部間の窪みに対向して配置される。後側圧搾領域間の低目付領域が隆起することにより、会陰部から後方にかけてのフィット性が高まり、体液の後方への伝い漏れをより抑制できる。
【0018】
かかる吸収性物品であって、
前記圧搾部は、非連続的に配置された複数の点状圧搾部を有し、
前記点状圧搾部は、前記長手圧搾領域に設けられることが望ましい。
【0019】
このような吸収性物品によれば、点状圧搾部によって長手圧搾領域の剛性が高くなる。長手圧搾領域と低目付領域の剛性差がより大きくなり、低目付領域が長手圧搾領域を基点により隆起し易くなる。よって、会陰部に対するフィット性がより向上し、体液の漏れを抑制できる。
【0020】
かかる吸収性物品であって、
前記圧搾部は、非連続的に配置された複数の点状圧搾部を有し、
前記点状圧搾部は、前記長手圧搾領域及び前記後側圧搾領域に設けられることが望ましい。
【0021】
このような吸収性物品によれば、点状圧搾部によって長手圧搾領域及び後側圧搾領域の剛性が高くなる。低目付領域が長手圧搾領域及び後側圧搾領域を基点により隆起し易くなり、会陰部から臀部間の窪みにかけてのフィット性がより向上し、体液の漏れを抑制できる。
【0022】
かかる吸収性物品であって、
前記高目付領域の前記幅方向の長さは、前記低目付領域の前記幅方向の長さよりも長いことが望ましい。
【0023】
このような吸収性物品によれば、股下域の中央に位置する高目付領域の幅方向の長さが低目付領域の前記幅方向の長さよりも長いため、高目付領域において広い幅で体液を吸収できる。一方、低目付領域の幅方向の長さが高目付領域の幅方向の長さよりも短く、着用者側に隆起する領域は、狭い幅となり、着用者の会陰部にフィットし易くなる。
【0024】
かかる吸収性物品であって、
前記幅方向に延び、前記吸収性物品を折り畳むための折り線を有し、
前記折り線は、前記長手圧搾領域と離間していることが望ましい。
【0025】
このような吸収性物品によれば、長手圧搾領域と折り線とが離間しているため、長手圧搾領域に折り線による折り癖が形成されない。長手圧搾部の形状を維持し、長手圧搾部を基点に低目付領域が隆起し易くなる。
【0026】
かかる吸収性物品であって、
前記低目付領域における吸収材料の目付は、前記低目付領域よりも幅方向の外側に位置する吸収体の吸収材料の目付よりも100g/m
2以上低いことが望ましい。
【0027】
低目付領域における吸収材料の目付と低目付領域よりも幅方向の外側に位置する吸収体の吸収材料の目付との差が100g/m
2であることにより、低目付領域と低目付領域よりも幅方向の外側に位置する吸収体の剛性差が顕著になり、低目付領域が隆起し易くなる。
【0028】
かかる吸収性物品であって、
前記低目付領域の前記幅方向の中心は、前記吸収性物品を下着に装着するための接合部と重ならない領域に配置されていることが望ましい。
【0029】
低目付領域の幅方向の中心は、着用時に会陰部の幅方向の中心に対向して配置される。低目付領域の前記幅方向の中心は、接合部と重ならない領域に配置されているため、下着に固定される領域とずれ、着用者側に隆起し易くなる。よって、着用者と吸収性物品の隙間が少なくなり、漏れをより低減できる。
【0030】
===本実施の形態に係る吸収性物品について===
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品ついて説明する。以下の実施形態では、吸収性物品の一例として使い捨ての生理用ナプキンについて説明する。
【0031】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0032】
(1)吸収性物品の全体概略構成
図1は、一実施形態における吸収性物品の平面図である。
図2は、
図1に吸収性物品の背面図である。
図3は、
図1に示すA−A線に沿った吸収性物品の断面図である。
図4は、
図1に示すB−B線に沿った吸収性物品の断面図である。
図5は、
図1に示すC−C線に沿った吸収性物品の断面図である。
【0033】
吸収性物品1は、互いに直交する長手方向Lと幅方向Wを有し、かつ着用者の肌対向面側T1から非肌対向面側T2へ延びる厚み方向Tを有する。肌対向面側T1は、使用時に、着用者の肌に面する側に相当する。非肌対向面側T2は、使用時に、肌対向面側T1とは反対側、すなわち着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。
【0034】
吸収性物品1は、股下域S1、前側域S2及び後側域S3を有する。股下域S1は、着用者の排泄口、例えば膣口に対向する領域である。吸収性物品1が下着に装着されたときに、股下域S1は下着の股下部に配置され、着用者の両足の間に配置される領域である。前側域S2は、股下域S1よりも前側に位置する。前側域S2の前端縁は、吸収性物品1の前端縁を規定する。後側域S3は、股下域S1よりも後方に位置する。後側域S3の後端縁は吸収性物品1の後端縁を規定する。
【0035】
吸収性物品1は、ウイング3及びヒップフラップ4を有する。ウイング3及びヒップフラップ4は、股下域S1における吸収体30の外側縁よりも幅方向Wの外側に延出している。ウイング3は、股下域S1に設けられている。ウイング3の前端縁は、ウイング3の付け根によって規定されており、最も幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、前側に位置する部分に相当する。ウイング3の前端縁は、股下域S1と前側域S2との境界を規定する。ウイング3の後端縁は、ウイング3の付け根によって規定されており、最も幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、後側に位置する部分に相当する。ウイング3の後端縁は、股下域S1と後側域S3との境界を規定する。股下域S1の長手方向Lの中心は、ウイングの長手方向の中心3CLと一致する。ヒップフラップ4は、後側域S3に設けられている。
【0036】
吸収性物品1は、肌面シート10、非肌面シート20及び吸収体30を有する。肌面シート10は、吸収体30よりも肌対向面側T1に設けられる。非肌面シート20は、吸収体30よりも非肌対向面側T2に設けられる。吸収体30は、肌面シート10と非肌面シート20との間に設けられる。
【0037】
吸収体30は、少なくとも股下域S1と後側域S3に配置されている。吸収体30は、液体を吸収する吸収材料からなる吸収コア(図示せず)と、吸収コアを包むコアラップ(図示せず)と、を有する。吸収体30の構成については、後述にて詳細に説明する。
【0038】
肌面シート10は、表面シート11及びサイドシート12を有する。表面シート11は、体液等の液体を透過する液透過性のシートである。サイドシート12は、幅方向Wにおける表面シート11の外側縁を覆い、表面シート11よりも幅方向Wの外側へ延びている。非肌面シート20は、液不透過性のシートである。
【0039】
図2に示すように、非肌面シート20の非肌対向面には、吸収性物品1を下着に接合するための接合部60が設けられている。接合部60は、吸収体30と重なる領域に配置された一対の本体接合部61と、ウイング3に配置された一対のウイング接合部62と、ヒップフラップ4に配置された一対のフラップ接合部63と、を有する。一対の本体接合部61は、吸収体の幅方向の中心と重ならないように配置されている。一対の本体接合部61は、幅方向Wに離間しており、吸収体の幅方向の中心に対して幅方向の両外側に配置されている。本体接合部61間の幅方向の距離は、10~20mmである。接合部60は、使用前の状態において剥離シート(図示せず)又は吸収性物品を個別に包装する包装シート(図示せず)によって覆われている。
【0040】
(2)吸収体の詳細構成
次に、吸収体30の構成についてより具体的に説明する。吸収体30は、吸収材料の目付が異なる複数の領域を有する。
図6は、吸収体の平面図であり、目付が異なる複数の領域に異なる斜線を付している。なお、
図6においては、吸収体の後述する圧搾部を省略している。吸収体30は、高目付領域31と、低目付領域32と、第1側部領域33と、第2側部領域34と、前側領域35と、を有する。高目付領域31及び低目付領域32は、吸収体30の幅方向Wの中央に設けられている。高目付領域31は、ウイングの長手方向Lの中心3CLに配置されており、着用時に排泄口(膣口)に対向して配置される。高目付領域31の前端縁31F及び後端縁31Rは、股下域S1に位置する。高目付領域31の目付は、少なくとも低目付領域32よりも高い。高目付領域31の目付は、周囲の領域(低目付領域32、第1側部領域33及び前側領域35)の目付よりも150g/m
2以上高い。このような構成によれば、高目付領域31は、周囲の領域よりも厚くなり、着用者の膣口に対してフィットし易い。
【0041】
低目付領域32は、高目付領域31の後側に配置されている。低目付領域32は、高目付領域31に隣接している。低目付領域32の目付は、少なくとも高目付領域31の目付よりも低い。低目付領域32の目付は、周囲の領域(高目付領域31及び第2側部領域34)の目付よりも100g/m
2以上低い。このような構成によれば、低目付領域32と周囲の領域との剛性差が顕著になり、着用時に容易に変形して、低目付領域32が隆起し易くなる。
【0042】
低目付領域32の前端縁32Fは、股下域S1に位置し、低目付領域32の後端縁32Rは、後側域S3に位置する。低目付領域32の前端縁32Fと、ウイング3の長手方向の中心3CLと、の長手方向の距離L11(
図1参照)は、40mm以上60mm以下である。ウイングの長手方向の中心3CLから40mm以上60mm以下後方に向かった部分は、着用者の会陰部に対向して配置される。ウイングの長手方向の中心から40mm以上60mm以下後方に向かった部分に低目付領域32が配置されている。低目付領域32は、高目付領域31よりも吸収材料の目付が低く、高目付領域31よりも剛性が低い。低目付領域32は、着用者の会陰部に当たった際に容易に変形し、着用者に違和感が生じることを抑制できる。また、低目付領域32は、高目付領域31よりも吸収材料の目付が低く、その厚みが薄い。そのため、低目付領域32が着用者の会陰部に当たった際に、低目付領域32が会陰部に沿って配置され、吸収体30が身体から離れるように変形し難い。よって、会陰部に対するフィット性を向上できる。
【0043】
低目付領域32の幅方向の中心は、吸収性物品を下着に装着するための接合部60と重ならない領域に配置されている。より詳細には、低目付領域32の幅方向の中心は、本体接合部61間の領域に重なる。低目付領域32の幅方向の中心は、着用時に会陰部の幅方向の中心に対向して配置される。低目付領域32の幅方向の中心は、下着に固定される接合部とずれているため、着用者側に隆起し易くなる。よって、着用者と吸収性物品の隙間が少なくなり、漏れをより低減できる。
【0044】
高目付領域31の幅方向の長さは、低目付領域32の幅方向の長さよりも長い。高目付領域31の幅方向の最大長さが低目付領域32の幅方向の最大長さよりも長く構成されている。股下域S1の中央に位置する高目付領域31の幅方向の長さが低目付領域32の幅方向の長さよりも長いため、高目付領域31において広い幅で体液を吸収できる。一方、低目付領域32の幅方向の長さが高目付領域31の幅方向の長さよりも短いため、着用者側に隆起する領域が狭い幅となり、着用者の会陰部にフィットし易くなる。
【0045】
一対の第1側部領域33は、高目付領域31の幅方向の両外側に位置し、高目付領域31の外側縁から吸収体30の外側縁まで延びる領域である。第1側部領域33の目付は、低目付領域32、前側領域35及び第2側部領域34の目付よりも高い。一対の第2側部領域34は、低目付領域32の幅方向の両外側に位置し、低目付領域32の外側縁から吸収体の外側縁まで延びる領域である。第2側部領域34の目付は、低目付領域32の目付よりも高く、前側領域35の目付と同じであり、高目付領域31及び第2側部領域34の目付よりも低い。本実施の形態の第2側部領域34は、低目付領域32の後側にも配置されている。前側領域35は、高目付領域31の前側及び第1側部領域33の前側に位置する。
【0046】
図1に示すように、吸収体30には、圧搾部80が形成されている。圧搾部80は、少なくとも吸収体30を厚み方向Tに圧搾することによって形成されている。圧搾部は、長手圧搾部81と、後側圧搾部82と、点状圧搾部83と、を有する。
【0047】
長手圧搾部81は、長手方向Lに延びており、各第1側部領域33において複数設けられている。長手圧搾部81は、互いに非平行に配置された第1長手圧搾部811と、第2長手圧搾部812と、を有する。第1長手圧搾部811と第2長手圧搾部812は、互いに非平行に配置された部分を有していればよい。本実施の形態において第1長手圧搾部811と第2長手圧搾部812が非平行とは、第1長手圧搾部811と第2長手圧搾部812の幅方向の距離が変化していることである。
【0048】
第1長手圧搾部811は、低目付領域32側に位置し、第2長手圧搾部812は、第1長手圧搾部811よりも幅方向の外側に位置する。第1長手圧搾部811は、幅方向の内側に膨らんだ部分が長手方向に並んでいる。第2長手圧搾部812は、幅方向の外側に膨らんだ部分を有する。第1長手圧搾部811の前端縁と第2長手圧搾部812の前端縁は、連なっており、第1長手圧搾部811の後端縁と第2長手圧搾部812の後端縁は、連なっている。長手圧搾領域R81は、第1長手圧搾部811と第2長手圧搾部812によって挟まれた領域である。長手圧搾領域R81の剛性は、低目付領域32の剛性よりも高い。
【0049】
長手圧搾領域R81は、低目付領域32の幅方向の両外側にそれぞれ配置されている。長手圧搾領域R81を挟んで配置されている。第1長手圧搾部811と第2長手圧搾部812が非平行に配置されているため、長手圧搾領域R81は、面形状となり易く、低目付領域の変形の基点となり易い。
図7は、着用状態のB−B線に沿った断面図である。着用時に吸収性物品には、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかる。当該幅方向の内側に向かう力は、股下域の長手圧搾領域R81に掛かり、当該長手圧搾領域R81を介して低目付領域32に掛かる。低目付領域32は、当該幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力が掛かると、面形状の長手圧搾領域R81を基点として着用者側に隆起する。低目付領域32が着用者側に隆起することにより、会陰部と吸収性物品との隙間が生じ難くなり、会陰部に対するフィット性が向上し、体液の漏れを抑制できる。
【0050】
長手圧搾部81は、第1側部領域33と、第2側部領域34と、を跨いで配置されている。長手圧搾部81を構成する第1長手圧搾部811と第2長手圧搾部812のうち少なくともいずれかが第1側部領域33に延びていればよい。着用者の脚によって幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力は、後側域S3よりも股下域S1に強くかかる。長手圧搾部81が第1側部領域33と第2側部領域34とに跨がっていることにより、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力が後側域S3に伝達し易くなり、低目付領域32が会陰部に対してより隆起しやすくなる。よって、会陰部に対するフィット性がより向上し、体液の漏れを抑制できる。
【0051】
長手圧搾領域R81の幅方向の長さは、後方に向かうにつれて長くなる。長手圧搾領域R81の幅方向の長さは、変化しており、長手圧搾領域R81の少なくとも一部において、幅方向の長さが後方に向かうにつれて長く構成されていればよい。着用時に吸収性物品に係る幅方向の内側に向かう力は、股下域S1に対して強く掛かり、股下域S1から後方に向かうにつれて弱くなる。そのため、長手圧搾領域R81の前側部分と後側部分を比較すると、後側部分には、幅方向の内側に向かう力が掛かり難い。長手圧搾領域R81の幅方向の長さが後方に向かうにつれて長いことにより、長手圧搾領域R81の後側部分は、低目付領域32に対して変形の起点となり易く、長手圧搾領域R81の後側部分間の低目付領域32は、弱い力によっても隆起し易くなる。よって、会陰部に対するフィット性がより向上し、体液の漏れを抑制できる。
【0052】
後側圧搾部82は、長手圧搾部の後側において長手方向Lに延びる。後側圧搾部82は、各第2側部領域において複数設けられている。後側圧搾部82は、互いに非平行に配置された第1後側圧搾部821と第2後側圧搾部822とを有する。第1後側圧搾部821と第2後側圧搾部822は、互いに非平行に配置された部分を有していればよい。
【0053】
第1後側圧搾部821は、低目付領域32側に位置し、第2後側圧搾部822は、第1後側圧搾部821よりも幅方向の外側に位置する。第1後側圧搾部は、幅方向の内側に膨らんだ部分を有する。第2後側圧搾部822は、幅方向の外側に膨らんだ部分が長手方向に並んでいる。第1後側圧搾部821の前端縁と第2後側圧搾部の822前端縁は、連なっており、第1後側圧搾部821の後端縁と第2後側圧搾部822の後端縁は、連なっている。後側圧搾領域R82は、第1後側圧搾部821と第2後側圧搾部822によって挟まれた領域である。後側圧搾領域R82の剛性は、低目付領域32の剛性よりも高い。
【0054】
後側圧搾領域R82は、低目付領域32の幅方向の両外側にそれぞれ配置されている。第1後側圧搾部821と第2後側圧搾部822が非平行に配置されているため、後側圧搾領域R82は、面形状となり易く、低目付領域の変形の基点となり易い。
図8は、着用状態のC−C線に沿った断面図である。低目付領域32は、着用時に幅方向の内側に向かう力が吸収性物品に掛かると、後側圧搾領域R82よりも剛性が低く、面形状の後側圧搾領域を基点として着用者側に隆起する。低目付領域32が長手圧搾領域R81及び後側圧搾領域R82を基点として着用者側に隆起することにより、会陰部及び会陰部よりも後方の臀部間の窪みに吸収性物品がフィットし、体液の漏れを抑制できる。
【0055】
後側圧搾部82の内側縁は、長手圧搾部81の内側縁よりも幅方向の内側に位置する。後側圧搾領域R82間の距離W82は、長手圧搾領域R81間の距離W81よりも短い。後側圧搾領域間における最も短い距離が、長手圧搾領域R81間における最も短い距離よりも短く構成されていればよい。着用時に吸収性物品に掛かる幅方向の内側に向かう力は、股下域に対して強く掛かり、股下域から後方に向かうに連れて弱くなる。後側圧搾領域R82間の距離W82が長手圧搾領域R81間の距離W81よりも短いため、後側圧搾領域R82は、長手圧搾領域R81よりも弱い力がかかるが、当該弱い力によって隆起し易くなる。後側圧搾領域R82間の低目付領域32は、会陰部よりも後方の臀部間の窪みに対向して配置される。よって、低目付領域32が隆起することにより、会陰部から後方にかけてのフィット性が高まり、体液の後方への伝い漏れをより抑制できる。
【0056】
また、長手圧搾領域R81間の距離W81は、吸収体30の幅方向の全長に対する25%以上であることが好ましい。このような構成によれば、長手圧搾領域R81間の領域を着用者側に向けて隆起させて、長手圧搾領域R81間の領域が身体の隙間にフィットし易くなる。
【0057】
また、後側圧搾領域R82間の低目付領域32は、第1後側圧搾部を起点に隆起し、長手圧搾領域R81間の低目付領域32は、第1長手圧搾部を起点に隆起する。第1後側圧搾部は、第1長手圧搾部よりも幅方向の内側に位置するため、後側圧搾領域R82間において着用者側に隆起する領域の幅方向の長さは、長手圧搾領域R81間において着用者側に隆起する領域の幅方向の長さよりも短い。上述のように、後側圧搾領域R82間の領域は、弱い力でも隆起し易いため、長手圧搾領域R81間の領域よりも鋭い角度で隆起し、臀部間の隙間にフィットする。
【0058】
点状圧搾部83は、非連続的に複数配置されている。点状圧搾部83は、長手方向及び幅方向において間隔を空けて配置されている。点状圧搾部83が間隔を空けて配置されているため、点状圧搾部83が配置された領域が身体の変形に応じて柔軟に変形し易くなる。点状圧搾部83は、長手圧搾領域R81に設けられている。点状圧搾部83によって長手圧搾領域R81の剛性が高くなる。長手圧搾領域R81と低目付領域32の剛性差がより大きくなり、低目付領域32が長手圧搾領域R81を基点により隆起し易くなる。よって、会陰部に対するフィット性がより向上し、体液の漏れを抑制できる。
【0059】
点状圧搾部83は、後側圧搾領域R82に設けられている。点状圧搾部83によって長手圧搾領域R81及び後側圧搾領域R82の剛性が高くなる。低目付領域32が長手圧搾領域R81及び後側圧搾領域R82を基点により隆起し易くなり、会陰部から臀部間の窪みにかけてのフィット性がより向上し、体液の漏れを抑制できる。なお、点状圧搾部83は、長手圧搾領域R81及び後側圧搾領域R82の剛性を高める観点から、長手圧搾領域R81の少なくとも一部及び後側圧搾領域R82の少なくとも一部に設けられていればよい。
【0060】
本明細書における「吸収体の厚さ」の測定は、以下の測定方法によって行われるものとする。
吸収性物品1がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。
測定位置は、吸収体の製品幅方向中央部とする。測定する際は、吸収性物品が縮んだ状態ではなく、吸収性物品の伸縮性部材を伸張させた状態として測定する。また、吸収体以外の肌面シート及び非肌面シート等、吸収体以外の部分を取り除く。尾崎製作所(株)製のダイアルゲージ PEACOCKを使用し、測定子には直径10mmのものを採用し、大きさが30mm×30mmの試片を用意して、当該試片の厚みを測定する。測定器は、試片に対する測定圧が3g/cm
2となるように調整する。ここで、10サンプルに対して、それぞれの状態で上述の測定を行い、その平均値を、長さとした。
【0061】
また、本明細書における「吸収体の目付」の測定は、以下の測定方法によって行われるものとする。
吸収性物品1がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。
包装体によって包装された吸収性物品においては包装体を開封し、折り畳まれた吸収性物品を展開して、目付を測定する部分の厚み及び面積を測定する。次いで、目付を測定する部分を吸収性物品から切り出し、切り出した部分の重量を測定する。次いで、切り出した部分から肌面シート及び非肌面シート等、吸収体以外の部分を取り除き、吸収体の重量を測定する。吸収体の重量と、目付を測定する部分の面積とに基づいて目付を算出する。
【0062】
また、本明細書における「長さ」の測定は、以下の測定方法によって行われるものとする。
吸収性物品1がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。次いで、シンワ測定株式会社製のスプリングメジャー(テープ:ガラス繊維入塩ビ被覆)を用いて、測定対象部位に沿わせるようにして、測定対象部位のこの状態の長さを測定する。ここで、10サンプルに対して、それぞれの状態で上述の測定を行い、その平均値を、長さとした。
【0063】
本明細書における「剛性」は、幅方向に沿う力に対する変形し難さを指標するものであり、剛性が高いほど、曲がり難い。剛性は、吸収体を構成する吸収材料の目付に応じており、目付が高いほど、剛性が高くなる。よって、吸収体の目付を目視等で確認することにより、剛性を確認することができる。また、剛性は、JIS L 1096の測定方法に準拠したガーレー剛性値によって測定することもできる。
【0064】
(3)着用時の変形態様
次いで、着用時の吸収性物品の変形態様について詳細に説明する。上述のように、着用時に吸収性物品は、着用者の両足によって挟まれ、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかる。当該幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかることにより、吸収性物品の低目付領域32は、長手圧搾領域R81及び後側圧搾領域R82を起点に着用者側に隆起し、会陰部及び臀部間の隙間に対してフィットする。
【0065】
また、着用時に着用者の姿勢は変化し、吸収性物品には、幅方向の内側に向かう力以外の力がかかる。吸収性物品を着用した着用者が仰向けに寝た状態では、着用者の臀部が潰れるように変形し、吸収性物品は、後側域から股下域に向かって圧縮される。着用者が仰向けに寝た状態において、着用者の臀部が潰れるような変形を低目付領域32によって吸収し、吸収性物品が意図しない態様で変形することを抑制し、着用者の会陰部と吸収性物品との隙間が生じることを抑制できる。
【0066】
着用者がうつ伏せに寝た状態では、吸収性物品は、股下域側から後側域側に押圧され、会陰部に対して密着する。着用者がうつ伏せに寝た状態において、会陰部に当たる低目付領域32が身体に沿って柔軟に変形し、フィット性を維持できる。
【0067】
図9は、着用者が横向きで寝た状態の吸収性物品の変形を模式的に示した図である。
図9は、着用者の脚Pと下着Sに対する低目付領域32の位置及び変形態様を模式的に示している。
図9(a)は、横向きに寝た着用者の両脚Pが上下に重なっており、前後にずれていない状態であり、
図9(b)は、着用者の両脚Pが、前後にずれた状態である。
図9(a)に示すように、着用者の両脚が前後にずれていない状態では、吸収性物品の股下域には、幅方向の内側に向かう力がかかる。しかし、着用者が横向きに寝た状態では、両脚Pが前後にずれていることが多い。一般的には、上側に位置する脚が腹側に位置し、下側に位置する脚が背側に位置する。前後にずれて配置された脚によって吸収性物品が挟まれると、吸収性物品には、幅方向に対して平行な力ではなく、捻じれる方向の力がかかる。この捻じれる力は、まず高目付領域31及び長手圧搾部81に掛かり、高目付領域31及び長手圧搾部81を介して低目付領域32に掛かる。より詳細には、上側に位置する脚によって高目付領域31及び長手圧搾部81が押圧される。低目付領域32は、高目付領域31の後方に位置し、低目付領域32の前端縁は、高目付領域31等を介して強く押圧され、大きく変形し、低目付領域32の後端縁は、弱く押圧され、小さく変形する。このとき、低目付領域32は、目付が低く、身体の形状に沿うように変形し、身体にフィットする。また、低目付領域32は、捻じれる方向に変形し、長手方向の位置ずれを抑制しつつ、会陰部に対して隆起する。加えて、低目付領域32が、高目付領域31に隣接しており、幅方向の位置がずれ難い。そのため、低目付領域32が、身体の幅方向の中心に向かって隆起し、会陰部に対してフィットし、体液の漏れを抑制できる。
【0068】
高目付領域31の幅方向の長さが低目付領域32の幅方向の長さよりも長いため、脚によって高目付領域31が幅方向の内側に押圧された場合であっても、排泄口に対向して高目付領域31を配置し続けることができ、高目付領域31によって体液を吸収し続けることができる。一方、低目付領域32の幅方向の長さが高目付領域31の幅方向の長さよりも短いため、着用者側に隆起する領域が狭い幅となり、着用者の会陰部に対してフィットし易く、体液の伝え漏れを抑制できる。
【0069】
また、脚によって押圧される力は、高目付領域31及び股下域S1の長手圧搾部81に掛かる。長手圧搾部81が第1側部領域33と第2側部領域34とに跨がっているため、脚による力が長手圧搾部81を介して後側域S3に伝達し、後側域の低目付領域に伝わる。低目付領域32の幅方向の両側には、長手圧搾領域R81と後側圧搾領域R82が設けられている。また、長手圧搾領域R81と後側圧搾領域R82が面形状となり易く構成されている。低目付領域32は、長手圧搾領域R81と後側圧搾領域R82を基点にして着用者側に対して隆起する。
【0070】
長手圧搾領域R81の前側部分と後側部分を比較すると、前側部分は、股下域側に位置するため、脚による力が強く掛かり、後側部分は、脚による力が弱くかかる。このとき、長手圧搾領域R81の幅方向の長さが後方に向かうにつれて長いため、長手圧搾領域R81の後側部分が低目付領域32に対して変形の起点となり易く、長手圧搾領域R81の後側部分間の低目付領域32は、弱い力によっても隆起する。また、長手圧搾領域R81の後方には、後側圧搾領域R82が低目付領域32を挟んで配置されている。後側圧搾領域R82には、長手圧搾領域R81と比較して、脚による力が弱くかかる。このとき、後側圧搾領域R82間の距離W82は、長手圧搾領域R81間の距離W81よりも短いため、後側圧搾領域R82は、弱い力によって隆起し易くなる。低目付領域32が前後方向に延びており、低目付領域の前側部分に強い力が掛かるが、低目付領域32の長手方向の全域が隆起し易くなり、低目付領域32の長手方向の全域が会陰部及び臀部に対してフィットし、体液の漏れを抑制できる。
【0071】
長手圧搾領域R81及び後側圧搾領域R82に点状圧搾部83が設けられているため、長手圧搾領域R81と低目付領域32の剛性差、及び後側圧搾領域R82と低目付領域32との剛性差がより顕著になる。脚による力がかかった際に、低目付領域32が長手圧搾領域R81及び後側圧搾領域R82を基点に隆起し易くなる。よって、会陰部に対するフィット性がより向上し、体液の漏れを抑制できる。
【0072】
(4)その他の実施形態
吸収性物品は、幅方向に延び、吸収性物品を折り畳むための折り線を有し、折り線は、長手圧搾領域と離間してよい。長手圧搾領域と折り線とが離間しているため、長手圧搾領域に折り線による折り癖が形成されない。長手圧搾領域の形状を維持し、長手圧搾領域を基点に低目付領域が隆起し易くなる。また、長手圧搾領域は、折り線のうち、着用者に対して離れる方向の折り癖を形成する折り線(谷折りの折り線)と離間してよい。長手圧搾領域に着用者と離れる方向に変形する折り癖が形成されず、長手圧搾領域は、低目付領域の変形の基点として機能し易い。よって、会陰部に対するフィット性が向上し、体液の漏れを抑制できる。
【0073】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【解決手段】吸収性物品1の吸収体30の幅方向の中央には、股下域の長手方向の中心に位置する高目付領域31と、高目付領域よりも後方に位置し、かつ高目付領域よりも吸収材料の目付が低い低目付領域32と、が設けられている。低目付領域の前端縁と、ウイングの長手方向の中心と、の長手方向の距離L11は、40mm以上60mm以下である。吸収体には、長手方向に延び、かつ互いに非平行に配置された複数の長手圧搾部81が形成されている。複数の長手圧搾部によって挟まれた長手圧搾領域R81は、低目付領域よりも高い剛性を有し、低目付領域の幅方向の両外側にそれぞれ配置されている。