特許第6239043号(P6239043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239043包接錯体、自己修復性及び形状記憶性を有するゲル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239043
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】包接錯体、自己修復性及び形状記憶性を有するゲル
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/10 20060101AFI20171120BHJP
   C08F 220/54 20060101ALI20171120BHJP
   C08F 2/10 20060101ALI20171120BHJP
   C08B 37/16 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C08F220/10
   C08F220/54
   C08F2/10
   C08B37/16
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-114770(P2016-114770)
(22)【出願日】2016年6月8日
(62)【分割の表示】特願2014-512721(P2014-512721)の分割
【原出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2016-216724(P2016-216724A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2016年6月17日
(31)【優先権主張番号】特願2012-103460(P2012-103460)
(32)【優先日】2012年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業、「プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出/自己組織化超分子ポリマーの動的機能化/自己組織化超分子ポリマーの動的機能化」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 明
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 義徳
(72)【発明者】
【氏名】角田 貴洋
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−505236(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/139902(WO,A1)
【文献】 特開2012−224559(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/036069(WO,A1)
【文献】 特表平05−501127(JP,A)
【文献】 特許第5951758(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F20/10−20/60
C08F220/10−220/60
C08F2/10
C08B37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト基含有モノマーのホスト基と、ゲスト基含有モノマーのゲスト基から形成され
ホスト基含有モノマーが、下記式(1)で表されるモノマーであり、
【化1】
(ここで、上記式(1)中のQは、O又はNHを示す。CDは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンを示す。Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
ゲスト基含有モノマーが、下記式(2)で表されるモノマーである、包接錯体。
【化2】
(ここで、上記式(2)中のAは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)OR又はC(O)NHRを示す。Rは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を示す。Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
【請求項2】
ホスト基含有モノマーがホスト基を2つ以上含有する化合物を含む、請求項1に記載の包接錯体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包接錯体を含む、ゲル。
【請求項4】
ホスト基含有モノマー由来の単位、ゲスト基含有モノマー由来の単位及びアクリル系モノマー由来の単位を含有する、請求項に記載のゲル。
【請求項5】
アクリル系モノマーが、下記式(3)で表されるモノマーである、請求項に記載のゲル。
【化3】
(ここで、上記式(3)中のXは、OR又はNHを示す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示す。Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
【請求項6】
請求項1又は2に記載の包接錯体を含む、水系溶媒溶液。
【請求項7】
ホスト基含有モノマー、ゲスト基含有モノマー及びアクリル系モノマーを含有する、請求項に記載の水系溶媒溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包接錯体、自己修復性及び形状記憶性を有するゲルに関する。
【背景技術】
【0002】
自己修復性の高分子材料については、近年盛んに研究されているが、通常の共有結合による架橋により形成されたヒドロゲルは、結合を切断すると、元通りに結合することは不可能であることから、自己修復は困難であるという問題があった。
【0003】
一方、結合が可逆的である非共有結合による自己修復性材料として、水素結合、イオン相互作用、芳香族π−π相互作用、金属錯体形成及び配位結合を利用した結合、結合−解離が容易なラジカル生成を利用した動的共有結合などがあるが(特許文献1)、いずれも結合の力が不十分である。また、切断された箇所とは異なる箇所で再結合してしまい、形状記憶性という観点からも問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−239722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ホスト−ゲスト相互作用により形成された、包接錯体、自己修復性及び形状記憶性を有するゲルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題に鑑みて鋭意研究を行った結果、ホスト基含有モノマー、ゲスト基含有モノマー及びアクリル系モノマーを、水系溶媒中に溶解し、次いでこれらのモノマーを共重合させることにより、これらモノマーからなるゲルが得られることを見出し、本発明に至った。かかる知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、ホスト−ゲスト相互作用により非共有結合架橋が形成された、包接錯体、自己修復性及び形状記憶性を有するゲルを提供する。
項1.ホスト基含有モノマーのホスト基と、ゲスト基含有モノマーのゲスト基から形成される、包接錯体。
項2.ホスト基含有モノマーが、下記式(1)で表されるモノマーである、項1に記載の包接錯体。
【0008】
【化1】
【0009】
(ここで、上記式(1)中のQは、O又はNHを示す。CDは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンを示す。Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
項3.ゲスト基含有モノマーが、下記式(2)で表されるモノマーである、項1又は2に記載の包接錯体。
【0010】
【化2】
【0011】
(ここで、上記式(2)中のAは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)OR又はC(O)NHRを示す。Rは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を示す。Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
項4.ホスト基含有モノマーがホスト基を2つ以上含有する化合物を含む、及び/又は、ゲスト基含有モノマーがゲスト基を2つ以上含有する化合物を含む、項1に記載の包接錯体。
項5.項1〜4のいずれか1項に記載の包接錯体を含む、ゲル。
項6.ホスト基含有モノマー由来の単位、ゲスト基含有モノマー由来の単位及びアクリル系モノマー由来の単位を含有する、項5に記載のゲル。
項7.アクリル系モノマーが、下記式(3)で表されるモノマーである、項6に記載のゲル。
【0012】
【化3】
【0013】
(ここで、上記式(3)中のXは、OR又はNHを示す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示す。Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
項8.項1〜4のいずれか1項に記載の包接錯体を含む、水系溶媒溶液。
項9.ホスト基含有モノマー、ゲスト基含有モノマー及びアクリル系モノマーを含有する、項8に記載の水系溶媒溶液。
【発明の効果】
【0014】
本発明の包接錯体は、水系溶媒中で、モノマー中のホスト基とゲスト基とで形成することができる。この包接錯体によれば、ホスト−ゲスト相互作用による自己修復性及び形状記憶性を有するゲルが得られる。
【0015】
本発明のゲルは、破断時に、ホスト−ゲスト相互作用により架橋された部分が解離、切断され、当該ホスト−ゲスト相互作用で再結合することにより自己修復が行われるため、修復後も初期の材料強度まで回復することができる。
【0016】
本発明のゲルは、ホスト−ゲスト相互作用により、破断面に対して選択的に自己修復する。
【0017】
本発明のゲルは、ホスト基とゲスト基による非共有結合によりゲルを形成していることから、自立性が高く、高い伸張性を有する。さらに、伸張後には、速やかに元の形状に戻るという、形状記憶性も有している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のゲルの一例である。
図2】本発明のゲル(ホスト基:α−シクロデキストリン、ゲスト基:n−ブチル基)における、ホスト基とゲスト基の組成比による粘弾性の変化を示した図である。
図3】本発明のゲル(ホスト基:β−シクロデキストリン、ゲスト基:アダマンタン)における、ホスト基とゲスト基の組成比による粘弾性の変化を示した図である。
図4】本発明のゲル(ホスト基:α−シクロデキストリン、ゲスト基:n−ブチル基)の破断と再接着の様子を示した図である。
図5】本発明のゲル(ホスト基:β−シクロデキストリン、ゲスト基:アダマンタン)の破断と再接着の様子を示した図である。
図6】本発明のゲル(ホスト基:α−シクロデキストリン、ゲスト基:n−ブチル基)の、破断前及び再接着(24時間)後の接着強度を示した図である。
図7】本発明のゲル(ホスト基:β−シクロデキストリン、ゲスト基:アダマンタン)の、破断前及び再接着(24時間)後の接着強度を示した図である。
図8】本発明のゲル[(ホスト基:α−シクロデキストリン、ゲスト基:n−ブチル基)及び(ホスト基:β−シクロデキストリン、ゲスト基:アダマンタン)]の、接着時間による接着強度の回復率を示した図である。
図9】実施例5で得られた、N-ベンジルアクリルアミドの1H NMRチャートである。
図10】実施例7で得られた、N-1-ナフチルメチルアクリルアミドの1H NMRチャートである。
図11】実施例13で得られた、ゲスト基(アダマンチル基)を2つ含有する化合物の1H NMRチャートである。
図12】実施例14で得られた、ゲスト基(アダマンチル基)を2つ含有する化合物の1H NMRチャートである。
図13】本発明のゲル(ホスト基:β−シクロデキストリン、ゲスト基:アダマンタン)の、破断後の放置時間による接着強度の回復率を示した図である。
図14】本発明のゲル(ホスト基:β−シクロデキストリン、ゲスト基:アダマンタン)をガラス基板にて挟み、水中での圧縮後(a)及び乾燥後(b)の接着状態を示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明の方法は、ホスト基含有モノマー、ゲスト基含有モノマー及びアクリル系モノマーを、水系溶媒中に溶解した水系溶媒溶液を得る方法、及び溶解したこれらのモノマーを共重合させることにより、ホスト基含有モノマー、ゲスト基含有モノマー及びアクリル系モノマーからなるゲルを製造する方法である。
【0021】
1.モノマー
a.ホスト基含有モノマー
本発明のホスト基含有モノマーは、ホスト基を1つ以上(好ましくは1つ)含有するビニル系モノマーである。
【0022】
ホスト基としては、例えば、シクロデキストリン(CD)、カリックスアレーン、クラウンエーテル、シクロファン、ククルビットウリルの誘導体などの人工ホスト分子が挙げられる。具体的には、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、カリックス[6]アレーンスルホン酸、カリックス[8]アレーンスルホン酸、12−クラウン−4、18−クラウン−6、[6]パラシクロファン、[2, 2]パラシクロファン、ククルビット[6]ウリル、ククルビット[8]ウリルなどが挙げられる。このうち好ましくはα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ―シクロデキストリンである。
【0023】
当該ホスト基含有モノマーとしては、例えば、下記式(1)で表されるモノマーが挙げられる。
【0024】
【化4】
【0025】
(ここで、上記式(1)中のQは、O又はNHを示す。CDは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンを示す。Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
Qは、NHであることが好ましく、上記式(1)で表されるモノマーとしては、6−アクリルアミド−α−シクロデキストリン、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリンが好ましい。
【0026】
上記式(1)で表されるモノマーは、アクリル酸クロライドに、6−アミノシクロデキストリン又はシクロデキストリンを反応させて製造する。通常、溶媒中で、アクリル酸クロライドと、6−アミノシクロデキストリン又はシクロデキストリンとを混合し、撹拌する。
【0027】
上記反応は、無溶媒、或いは有機合成反応で一般に使用される溶媒(有機溶媒又は水性溶媒)を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。また、水性溶媒としては、水、必要に応じ、リン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの塩を含むバッファー等が挙げられる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量は、適宜調節すればよい。
【0028】
他にも、QがNの場合については、アクリル酸に、1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)や1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を氷冷下添加し、その後アミノシクロデキストリンを添加して一晩撹拌することでアミド結合を形成する方法や、アクリル酸に、ジシクロヘキシルアルボジイミド(DCC)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)又はN-ヒドロキシスクシンイミド (HOSu)を縮合剤として用い、活性エステルを経てアミド化合物を得る方法で製造することもできる。
【0029】
また、QがOの場合については、アクリル酸に、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン (N,N-dimethyl-4-aminopyridine)を氷冷下添加し、その後シクロデキストリンを添加して一晩撹拌することでエステル結合を形成する方法や、アクリル酸に、ジシクロヘキシルアルボジイミド(DCC)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)又はN-ヒドロキシスクシンイミド (HOSu)を縮合剤として用い、活性エステルを経てエステル化合物を得る方法で製造することもできる。
【0030】
また、ホスト基含有モノマーに替えて、ホスト基を2つ以上含有する化合物を用いることもできる。ホスト基としては、前記ホスト基含有モノマーの含有するホスト基と同様の基を挙げることができる。
【0031】
当該ホスト基を2つ以上含有する化合物としては、例えば、ジシクロデキストリンポリ(アリルアミン)デンドリマー(世代0)モノアクリルアミド、ジシクロデキストリンポリ(アリルアミン)デンドリマー(世代0)ジアクリルアミド、ジシクロデキストリンポリ(アリルアミン)デンドリマー(世代0)モノアクリレート、ジシクロデキストリンポリ(アリルアミン)デンドリマー(世代0)ジアクリレート、トリシクロデストリンポリ(アリルアミン)デンドリマー(世代0)モノアクリルアミド、トリシクロデストリンポリ(アリルアミン)デンドリマー(世代0)モノアクリレート等が挙げられる。
【0032】
b.ゲスト基含有モノマー
本発明のゲスト基含有モノマーは、ゲスト基を1つ以上(好ましくは1つ)含有するビニル系モノマーである。
【0033】
ゲスト基としては、対応するホスト基に対してゲスト基となりうる基であればいずれでもよい。例えば、置換基を有してもよいアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基などが挙げられる。
【0034】
当該ゲスト基含有モノマーとしては、例えば、下記式(2)で表されるモノマーが挙げられる。
【0035】
【化5】
【0036】
(ここで、上記式(2)中のAは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)OR又はC(O)NHRを示す。Rは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を示す。Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
上記式(2)において、Rで示される、置換基を有してもよいアルキル基のアルキル基としては、例えば、直鎖、分岐又は環状のC1〜18のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、イソへキシル、ドデシル、オクタデシル、アダマンチル等のアルキル基が挙げられる。このうち、好ましくはアダマンチル基又はブチル基であり、特に好ましくはアダマンチル基である。該アルキル基は、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、保護されていてもよい水酸基等の置換基を1〜3個有していてもよい。有機金属錯体であるフェロセンを置換基として結合させたアルキル基でもよい。
【0037】
上記式(2)において、A及びRで示される、置換基を有してもよいアリール基のアリール基としては、例えば、単環又は2環以上のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル、トルイル、キシリル、ナフチル、アンスリル、フェナンスリル等が挙げられる。このうち、好ましくはフェニル基である。該アリール基は、例えば、アルキル基(例えば、C1〜18アルキル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、アリール基を有するアゾ基、保護されていてもよい水酸基等の置換基を1〜3個有していてもよい。
【0038】
上記式(2)において、Rで示される、置換基を有してもよいアリールアルキル基のアリールアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜3の低級アルキルに、前記に挙げた単環又は2環以上のアリール基が置換した基が挙げられる。具体的には、ベンジル基、ナフチルメチル基、アントラセンメチル基、ピレンメチル基等が挙げられる。好ましくは、ベンジル基、ナフチルメチル基である。該アリール基は、例えば、アルキル基(例えば、C1〜18アルキル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、アリール基を有するアゾ基、保護されていてもよい水酸基等の置換基を1〜3個有していてもよい。例えば、ヒドロキシフェニルメチル基、メチルフェニルメチル基、ジメチルフェニルメチル基、トリメチルフェニルメチル基、カルボキシフェニルメチル基、ヒドロキシメチルフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。
【0039】
上記式(2)で表されるモノマーとして、好ましくは、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、N−(1−アダマンチル)アクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N−1−ナフチルメチルアクリルアミド、スチレンが挙げられる。
【0040】
上記式(2)で表されるモノマーは、Aが置換基を有してもよいアリール基の場合、市販のモノマー(スチレンなど)を、そのまま用いることができる。
【0041】
上記式(2)で表されるモノマーは、AがC(O)OR又はC(O)NHRの場合、アクリル酸クロライドに、Rで示される置換基となるアルキル又はアリールのアミン体を反応させて製造する。通常、溶媒中で、アクリル酸クロライドと、Rで示される置換基となるアルキル又はアリールのアミン体とを混合し、撹拌する。
【0042】
上記反応は、前記式(1)で表されるモノマーの製造に用いられる溶媒と同じ溶媒を使用することができる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量は、適宜調節すればよい。
【0043】
他にも、AがC(O)NHRの場合については、アクリル酸に、1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)や1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を氷冷下添加し、その後アミノシクロデキストリンを添加し、一晩撹拌することでアミド結合を形成する方法や、アクリル酸に、ジシクロヘキシルアルボジイミド(DCC)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)又はN-ヒドロキシスクシンイミド (HOSu)を縮合剤として用い、活性エステルを経てアミド化合物を得る方法で製造することもできる。
【0044】
また、AがC(O)ORの場合については、アクリル酸に、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(N,N-dimethyl-4-aminopyridine)を氷冷下添加し、その後シクロデキストリンを添加し、一晩撹拌することでエステル結合を形成する方法や、アクリル酸に、ジシクロヘキシルアルボジイミド(DCC)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)又はN-ヒドロキシスクシンイミド (HOSu)を縮合剤として用い、活性エステルを経てエステル化合物を得る方法で製造することもできる。
【0045】
また、ゲスト基含有モノマーに替えて、ゲスト基を2つ以上含有する化合物を用いることもできる。ゲスト基としては、前記ゲスト基含有モノマーの含有するゲスト基と同様の基を挙げることができる。
【0046】
当該ゲスト基を2つ以上含有する化合物としては、例えば、ジ(1−アダマンチルメチルケトン)−4,4−ジピリジン、ジ(1−ブチルメチルケトン)−4,4−ジピリジン、ジ(1−アゾベンゼンメチルケトン)−4,4−ジピリジン、ジ(1−フェロセンメチルケトン)−4,4−ジピリジン、ジ(1−アダマンチルメチルケトン)−1,2−ビス(4− ピリジル)エチレン、ジ(1−ブチルメチルケトン)−1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、ジ(1−アゾベンゼンメチルケトン)−1,2−ビス(4− ピリジル)エチレン、ジ(1−フェロセンメチルケトン)−1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、ジアダマンチル-ポリエチレングリコール、ジアダマンチル-ポリプロピレングリコール、テトラアダマンチル-ポリエチレングリコール、テトラアダマンチル-ポリプロピレングリコール、オクタアダマンチル-ポリエチレングリコール、オクタアダマンチル-ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0047】
c.アクリル系モノマー
本発明のアクリル系モノマーとは、アクリル酸又はメタクリル酸、及びそれらの誘導体(エステル、アミド等)である。
【0048】
本発明のアクリル系モノマーとしては、例えば、下記式(3)で表されるモノマーが挙げられる。
【0049】
【化6】
【0050】
(ここで、上記式(3)中のXは、OR又はNHを示す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示す。Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
上記式(3)において、Rで示される、置換基を有してもよいアルキル基のアルキル基としては、前記式(2)における、Rで示される、置換基を有してもよいアルキル基のアルキル基と同様である。
【0051】
上記式(3)において、Rで示される、置換基を有してもよいアリール基としては、前記式(2)における、Rで示される、置換基を有してもよいアリ−ル基と同様である。
【0052】
上記式(3)で表されるアクリル系モノマーは、いずれも公知のものを用いることができる。また、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。好ましくは、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルである。
【0053】
2.製造方法
a.溶解
本発明の製造方法においては、上記ホスト基含有モノマー、ゲスト基含有モノマー及びアクリル系モノマーを、水系溶媒に混合し、溶解して、水系溶媒溶液を製造する。当該モノマーを水系溶媒中に溶解することにより、ホスト基とゲスト基が包接錯体を形成する。
【0054】
水系溶媒としては、水、又は、水及び水と相溶性のある有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。好ましくは、水である。
【0055】
水と相溶性のある有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホオキシド(DMSO)等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。また、上記混合溶媒における、水と当該有機溶媒との配合割合(体積比)は、9:1〜5:5とすることが好ましい。特に好ましくは、9:1〜8:2である。
【0056】
水系溶媒中へのモノマーの溶解は、上記ホスト基含有モノマー、ゲスト基含有モノマー及びアクリル系モノマーを水系溶媒に混合した後、撹拌し、加熱することにより行う。
【0057】
撹拌手段は特に限定されないが、例えば、マグネティックスターラー及びスターラーチップを用いた方法、振とう機を用いる方法、撹拌機を用いる方法等が挙げられる。撹拌の温度及び時間は、用いるホスト基含有モノマー及びゲスト基含有モノマーの、種類及び濃度によるが、室温(20〜25℃)下、8時間〜3日間行うことができる。好ましくは、25℃で1日間撹拌する。
【0058】
加熱手段も特に限定されないが、例えば、ホットスターラーを用いる方法、恒温槽を用いる方法等が挙げられる。加熱の温度及び時間は、用いるホスト基含有モノマー及びゲスト基含有モノマーの、種類及び濃度によるが、1時間から2日間の間、40〜80℃に加温して行うことができる。好ましくは、50〜80℃で2〜6時間加温することにより、上記モノマー類を水系溶媒中にほぼ均一に溶解することができる。
【0059】
水系溶媒中へのモノマーの溶解は、上記撹拌終了後に加熱することにより行ってもよいし、上記一定時間撹拌後、さらに撹拌を続けながら加熱することにより行ってもよい。
【0060】
水系溶媒中に溶解するモノマーの割合(モノマー全体で100重量%とする)としては、例えば、ホスト基含有モノマー30〜0.5モル%、ゲスト基含有モノマー30〜0.5モル%、及びアクリル系モノマー40〜99モル%とすることができる。好ましくは、ホスト基含有モノマー20〜5モル%、ゲスト基含有モノマー20〜5モル%、及びアクリル系モノマー60〜90モル%である。
【0061】
ホスト基含有モノマー及びゲスト基含有モノマーの使用割合(モル%)としては、ホスト基含有モノマー:ゲスト基含有モノマー=30:0.5〜0.5:30とすることができる。好ましくは、0.5:0.5や30:30などホスト基含有モノマーとゲスト基含有モノマーのモル比が1:1となる割合である。
【0062】
b.重合
本発明の製造方法においては、上記モノマーを、水系溶媒中に溶解後、次いでこれらのモノマーを共重合させることにより、上記モノマーからなるゲルを製造することができる。
【0063】
共重合反応は、上記モノマーが溶解した水系溶媒中に、重合開始剤、及び必要に応じて重合促進剤を添加して行う。
【0064】
重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム(以下、APSと称することもある)、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと称することもある)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド(以下、VA-044と称することもある)1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、ジ-tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、光重合開始剤(イルガキュア(登録商標)シリーズ等)等が挙げられる。好ましくは、APS、AIBN、VA-044である。
【0065】
重合開始剤の濃度としては、総モノマー量に対し、0.5〜5モル%とすることが好ましい。
【0066】
重合促進剤としては、例えば、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン(以下、TEMEDと称することもある)等が挙げられる。好ましくは、TEMEDである。
【0067】
共重合反応は、0〜100℃で行うことができる。好ましくは、20〜25℃である。
【0068】
共重合反応の時間は、1〜24時間であり、好ましくは、12〜24時間である。
【0069】
3.ゲル
本発明のゲルは、上記のとおり、ホスト基含有モノマー、ゲスト基含有モノマー及びアクリル系モノマーを、水系溶媒中に溶解し、次いでこれらのモノマーを共重合させることにより得られる。
【0070】
予めモノマーを水系溶媒中に溶解することにより、ホスト基とゲスト基が包接錯体を形成しており、次いで共重合することにより、化学的架橋剤を加えることなく、ゲルを得ることができる。
【0071】
また、ホスト基含有モノマーに替えて、ホスト基を2つ以上含有する化合物を用いた場合には、ゲスト基含有モノマー及びアクリル系モノマーの共重合体におけるゲスト基と、ホスト基を2つ以上含有する化合物のホスト基とで架橋し、ゲルを形成することができる。
【0072】
同様に、ゲスト基含有モノマーに替えて、ゲスト基を2つ以上含有する化合物を用いた場合には、ホスト基含有モノマー及びアクリル系モノマーの共重合体におけるホスト基と、ゲスト基を2つ以上含有する化合物のホスト基とで架橋し、ゲルを形成することができる。
【0073】
包接錯体を形成するホスト基及びゲスト基の好ましい組み合わせとしては、例えば、ホスト基としてα−シクロデキストリン(空洞サイズ:4.7 〜 5.2 Å)を用いる場合、ゲスト基としては、炭素数4〜18のアルキル化合物およびそのアルコール誘導体、カルボン酸誘導体、アミノ誘導体、環状アルキル基又はフェニル基を有するアゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体等が挙げられる。上記炭素数4〜18のアルキル化合物(基)としては、n−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。
【0074】
ホスト基としてβ−シクロデキストリン(空洞サイズ:6.0 〜 6.5 Å)を用いる場合、ゲスト基としては、t−ブチル基、アダマンチル基、芳香族化合物およびそのアルコール誘導体、カルボン酸誘導体、アミノ誘導体、フェロセン誘導体、アゾベンゼン、ナフタレン誘導体、ダンシル基等が挙げられる。
【0075】
ホスト基としてγ−シクロデキストリン(空洞サイズ:7.5 〜 8.5 Å)を用いる場合、ゲスト基としては、炭素数18までのアルキル基およびそのアルコール誘導体、カルボン酸誘導体、アミノ誘導体、アダマンチル基、フラーレン等の炭素原子で構成されるクラスター類、および芳香族系ダンシル基、フェロセン誘導体、アントラセン誘導体等が挙げられる。
【0076】
本発明のゲルは、ホスト基とゲスト基による非共有結合によりゲルを形成しており、ゲル切断時には、主に当該非共有結合性のホスト−ゲスト相互作用により架橋された部分が解離して切断されるため、切断面同士を密着させて静置するだけで、当該架橋が回復し、切断面で接着するという自己修復性を有する。
【0077】
また、本発明のゲルは、切断面と異なる面と接触させても全く接合が観察されず、さらには、切断面に競争分子を塗布すると接着しなくなることから、自己修復における修復面選択性も有している。
【0078】
さらに、本発明のゲルにおける非共有結合性のホスト−ゲスト相互作用は、再包接しやすいため、再接着後のゲルは、初期のゲル強度に戻りやすい。また、接着時間を長くするほど、強度回復率も高くなる。
【0079】
また、本発明のゲルは、ホスト基とゲスト基による非共有結合によりゲルを形成していることから、自立性が高く、高い伸張性を有する。さらに、伸張後には、速やかに元の形状に戻るという、形状記憶性も有している。
【0080】
本発明のゲルは、ホスト基含有モノマー由来の単位を20〜0.1モル%、ゲスト基含有モノマー由来の単位を20〜0.1モル%、及びアクリル系モノマー由来の単位を、60〜99.8モル%含有することが好ましく、より好ましくは、ホスト基含有モノマー由来の単位13〜0.3モル%、ゲスト基含有モノマー由来の単位13〜0.3モル%、及びアクリル系モノマー由来の単位74〜99.4モル%である。本発明のゲルは、上記ホスト基及びゲスト基から形成される包接錯体の含量が増加するほど強度が上がる。本発明のゲルは、当該包接錯体の含量が1モル%以下であっても、自立性を示すことができる。
【実施例】
【0081】
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細を説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
【0082】
[測定機器]
実施例及び比較例において、各種物性測定は以下のとおり測定した。
<動的粘弾性測定(弾性率測定)>
測定機器:Anton Paar製 MCR301
測定条件:ひずみ 0.1%
測定範囲:0.1 Hz 〜 1000 Hz
<破断応力測定(自己修復の定量評価)>
測定機器:株式会社 山電 製 クリープメータ RE-33005B
測定条件:サンプルサイズ 5 × 5 × 10 mm
掃引速度 0.05 mm / sec
1H NMR 測定(組成比算出)>
測定機器:JEOL製 ECA-500
測定温度:30℃
溶媒 :DMSO-d6
【0083】
実施例1
サンプル瓶(3 mL)に、国際公開2012/036069号に記載の製造方法により得られた6−アクリルアミド−α−シクロデキストリン92mg(0.09mmol)と、アクリル酸n−ブチル(東京化成工業株式会社製)12mg(0.09mmol)と、全試薬量が0.5 mmolとなるようにアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)とを加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(0.5 mL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、80℃に加温して1時間80℃に保ち、前記モノマーを水に溶し込んだ。このモノマーの溶解液を25℃まで放冷後、過硫酸アンモニウム5.7mg(0.025mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン2.9mg(0.025mmol)を添加し、25℃で24時間重合させ、6−アクリルアミド−α−シクロデキストリン由来単位:アクリル酸n−ブチル由来単位:アクリルアミド由来単位=12:11:77(モル組成比)からなるゲルを得た。
【0084】
実施例2
サンプル瓶(3 mL)に、国際公開2012/036069号に記載の製造方法により得られた6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン119mg(0.1mmol)と、アクリル酸n−ブチル(東京化成工業株式会社製)13mg(0.1mmol)と、全試薬量が0.5 mmolとなるようにアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)とを加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(0.5 mL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、80℃に加温して1時間80℃に保ち、前記モノマーを水に溶し込んだ。このモノマーの溶解液を25℃まで放冷後、過硫酸アンモニウム5.7mg(0.025mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン2.9mg(0.025mmol)を添加し、25℃で24時間重合させ、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン由来単位:アクリル酸n−ブチル由来単位:アクリルアミド由来単位=6:5:89(モル組成比)からなるゲルを得た。
【0085】
実施例3
サンプル瓶(3 mL)に、国際公開2012/036069号に記載の製造方法により得られた6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン104mg(0.088mmol)と、アクリル酸t−ブチル(東京化成工業株式会社製)11mg(0.087mmol)と、全試薬量が0.5 mmolとなるようにアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)とを加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(0.5 mL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、80℃に加温して1時間80℃に保ち、前記モノマーを水に溶し込んだ。このモノマーの溶解液を25℃まで放冷後、過硫酸アンモニウム5.7mg(0.025mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン2.9mg(0.025mmol)を添加し、25℃で24時間重合させ、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン由来単位:アクリル酸t−ブチル由来単位:アクリルアミド由来単位=8:3:89(モル組成比)からなるゲルを得た。
【0086】
実施例4
サンプル瓶(3 mL)に、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン104mg(0.088mmol)と、国際公開2012/036069号に記載の製造方法により得られたN-(1-アダマンチル)アクリルアミド18mg(0.087mmol)と、全試薬量が0.5 mmolとなるようにアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)とを加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(0.5 mL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、80℃に加温して1時間80℃に保ち、前記モノマーを水に溶し込んだ。このモノマーの溶解液を25℃まで放冷後、過硫酸アンモニウム5.7mg(0.025mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン2.9mg(0.025mmol)を添加し、25℃で24時間重合させ、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン由来単位:N-(1-アダマンチル)アクリルアミド由来単位:アクリルアミド由来単位=7:6:87(モル組成比)からなるゲルを得た。
【0087】
実施例5
(1)N-ベンジルアクリルアミドの合成
【0088】
【化7】
【0089】
ベンジルアミン(東京化成工業株式会社製)2.5 mL(23 mmol)を、テトラヒドロフラン(ナカライテスク(株)製)210 mLに溶解し、トリエチルアミン(ナカライテスク(株)製)を4.0mL(29 mL)加え、氷浴中に置いた。アクリル酸クロライド (東京化成工業株式会社製)をTHF 30 mLに溶解後、ベンジルアミンとトリエチルアミンのテトラヒドロフラン溶液に滴下した。25℃で撹拌し、TLCで原料ピークの消失後に、生じた沈殿物をろ過により除き、溶液を乾固して、粗精製物を得た。これを、シリカゲル(ナカライテスク(株)製)を用いたカラムクロマトグラフィーにより、酢酸エチル/ヘキサン(1/3, v/v)の溶媒を用いて精製した。収量3.9g、収率97%で、目的物を得た。
得られた化合物の1H NMR(500MHz、DMSO-d6、25℃)を、図9に示した。
【0090】
(2)溶解方法及びゲルの作製
サンプル瓶(3 mL)に、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン29.7 mg (0.025 mmol)と、上記(1)で得られたN-ベンジルアクリルアミド4.0 mg(0.025 mmol)と、全試薬量が0.5 mmolとなるようにアクリルアミド31.9 mg(0.45 mmol)とを加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(0.5 mL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、70℃に加温して5時間70℃に保ち、前記モノマーを水に溶し込んだ。このモノマーの溶解液を25℃まで放冷後、過硫酸アンモニウム5.7mg(0.025mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン2.9mg(0.025mmol)を添加し、25℃で24時間重合させ、ゲルを得た。
【0091】
実施例6
サンプル瓶(3 mL)に、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン29.7 mg (0.025 mmol)と、実施例5の(1)で得られたN-ベンジルアクリルアミド4.0 mg (0.025 mmol)と、全試薬量が0.5 mmolとなるようにアクリル酸(ナカライテスク(株)社製)31μl(0.45 mmol)とを加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(0.5 mL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、70℃に加温して5時間70℃に保ち、前記モノマーを水に溶し込んだ。このモノマーの溶解液を25℃まで放冷後、過硫酸アンモニウム5.7mg(0.025mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン2.9mg(0.025mmol)を添加し、25℃で24時間重合させ、70℃で1時間加熱することで、ゲルを得た。
【0092】
実施例7
(1)N-1-ナフチルメチルアクリルアミドの合成
【0093】
【化8】
【0094】
1−ナフチルメチルアミン(SIGMA-ALDRICH製)3.0 ml(18 mmol)を、テトラヒドロフラン175 mに溶解し、トリエチルアミン3.4 mを加えた後に、氷浴中で撹拌した。アクリル酸クロライド1.9 mをテトラヒドロフラン25 mに溶解し、1−ナフチルメチルアミンとトリエチルアミンのテトラヒドロフラン溶液中に滴下した。滴下後は25℃で攪拌した。TLCで原料がなくなったことを確認後、固体をろ過し、溶液を乾固し粗精製物を得た。これを、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより、酢酸エチル/ヘキサン (1/3, v/v)の溶媒を用いて精製した。収量 3.0g、収率78%で、目的物を得た。
得られた化合物の1H NMR(500MHz、DMSO-d6、25℃)を、図10に示した。
【0095】
(2)溶解方法及びゲルの作製
サンプル瓶(3 mL)に、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン29.7 mg (0.025 mmol)と、上記(1)で得られたN-1-ナフチルメチルアクリルアミド5.4 mg (0.026 mmol)と、全試薬量が0.5 mmolとなるようにアクリルアミド31.8 mg (0.45 mmol)とを加え、溶液濃度が1MとなるようにDMSO/ H2O = 1/ 2の混合溶媒(0.5 mL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、70℃に加温して2時間70℃に保ち、前記モノマーを混合溶媒に溶し込んだ。このモノマーの溶解液を25℃まで放冷後、過硫酸アンモニウム5.7mg(0.025mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン2.9mg(0.025mmol)を添加し、25℃で24時間重合させ、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン由来単位:N-1-ナフチルメチルアクリルアミド由来単位:アクリルアミド由来単位=4:2:94(モル組成比)からなるゲルを得た。
【0096】
実施例8
サンプル瓶(3 mL)に、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン29.7 mg (0.025 mmol)と、スチレン3μl(0.026 mmol)と、全試薬量が0.5 mmolとなるようにアクリルアミド32.5 mg(0.46 mmol)とを加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(0.5 mL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、50℃に加温して24時間50℃に保ち、前記モノマーを水に溶し込んだ。過硫酸アンモニウム5.7mg(0.025mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン2.9mg(0.025mmol)を添加し、25℃で24時間重合させ、ゲルを得た。
【0097】
実施例9
サンプル瓶(3 mL)に、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン29.7 mg (0.025 mmol)と、スチレン3μl(0.026 mmol)と、全試薬量が0.5 mmolとなるようにアクリル酸メチル41μl (0.46 mmol)とを加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(0.5 mL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、50℃に加温して24時間50℃に保ち、前記モノマーを水に溶し込んだ。過硫酸アンモニウム5.7mg(0.025mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン2.9mg(0.025mmol)を添加し、25℃で24時間重合させ、ゲルを得た。
【0098】
実施例10
サンプル瓶(3 mL)に、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン29.7 mg (0.025 mmol)と、スチレン3μl(0.026 mmol)と、全試薬量が0.5 mmolとなるようにアクリル酸30μl(0.45 mmol)とを加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(0.5 mL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、50℃に加温して24時間50℃に保ち、前記モノマーを水に溶し込んだ。過硫酸アンモニウム5.7mg(0.025mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン2.9mg(0.025mmol)を添加し、25℃で24時間、70℃で2時間重合させ、ゲルを得た。
【0099】
実施例11
サンプル瓶(3 mL)に、6−アクリルアミド−α−シクロデキストリン25.6 mg (0.025 mmol)と、スチレン3μl(0.026 mmol)と、全試薬量が0.5 mmolとなるようにメタクリル酸2-ヒドロキシエチル54μl(0.45 mmol)とを加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(0.5 mL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、50℃で1日間撹拌することで、前記モノマーを水に溶し込んだ。過硫酸アンモニウム5.7mg(0.025mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン2.9mg(0.025mmol)を添加し、50℃で24時間、70℃で2時間重合させ、ゲルを得た。
【0100】
実施例12
サンプル瓶(3 mL)に、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン29.7 mg (0.025 mmol)と、スチレン3μl(0.026 mmol)と、全試薬量が0.5 mmolとなるようにメタクリル酸2-ヒドロキシエチル54μl(0.45 mmol)とを加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(0.5 mL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、50℃で1日間撹拌することで、前記モノマーを水に溶し込んだ。過硫酸アンモニウム5.7mg(0.025mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン2.9mg(0.025mmol)を添加し、50℃で24時間、70℃で2時間重合させ、ゲルを得た。
【0101】
実施例13
(1)ゲスト基(アダマンチル基)を2つ含有する化合物の製造
【0102】
【化9】
【0103】
1−アダマンチルブロモメチルケトン(SIGMA-ALDRICH社製)200 mg(0.78 mmol)と、4,4−ジピリジル(ナカライテスク(株)社製)61 mg(0.39 mmol)とを、DMF(5 mL)中へ溶解させ、オイルバス(95℃)中で、24時間撹拌した。TLC にて原料スポットの消失を確認後、室温に戻し、沈殿物をろ過し、エーテルで洗浄した(クルード 123 mg)。これをメタノール(30 mL)に溶かし、冷凍庫に静置した。生じた目的物質の沈殿をろ過後、バキュームオーブンで14時間乾燥させて、目的物を得た(収量87.3 mg, 収率44.2 %)。
MALDI TOF MS: m/z = 510.10 ([C36H44O2N2Br2+ H]+ = 510.71, 0.23 % error)
melting point: over 300 ℃
Elemental Anal. Calced for C34H42O2N2Br2(H2O)1: C, 59.31; H, 6.44; N, 4.07
Found: C, 59.31; H, 6.27; N, 4.05. (0.17 % error).
得られた化合物の1H NMR(500MHz、DMSO-d6、30℃)を、図11に示した。
【0104】
(2)溶解方法及びゲルの作製
サンプル瓶(3 mL)に、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン59 mg (0.05 mmol)と、上記(1)で得られたアダマンチル基を2つ含有する化合物13 mg (0.025 mmol)と、6−アクリルアミドーβ―シクロデキストリンとアクリルアミドの全試薬量が0.5 mmolとなるようにアクリルアミド34mg(0.48 mmol)を加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(500μL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、45℃のオイルバス中で24時間加熱し、前記モノマーを水に溶し込んだ。このモノマーの溶解液に、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド8.1mg(0.025mmol)を添加し、30分間アルゴンバブリングを施した後、42℃のオイルバス中に静置し、24時間重合させ、ゲルを得た。
【0105】
実施例14
(1)ゲスト基(アダマンチル基)を2つ含有する化合物の製造
【0106】
【化10】
【0107】
1−アダマンチルブロモメチルケトン500 mg(1.94 mmol)と、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン(SIGMA-ALDRICH社製)177 mg(0.972 mmol)とを、DMF(5 mL)中へ溶解させ、オイルバス(95 ℃)中で、24時間撹拌した。TLC にて原料スポットの消失を確認後、室温に戻し沈殿物をろ過し、エーテルで洗浄した(クルード207.7 mg)。これをメタノール(40 mL)に溶かし、冷凍庫に静置した。生じた目的物質の沈殿をろ過後、バキュームオーブンで14時間乾燥させて、目的物を得た(収量87.3 mg, 収率42.3 %)。
MALDI TOF MS: m/z = 536.10 ([C36H44O2N2Br2+ H]+ = 537.35, 0.23 % error)
melting point: over 300 ℃
Elemental Anal. Calced for C36H44O2N2Br2(H2O)0.5: C, 61.28; H, 6.43; N, 3.97.
Found: C, 61.33; H, 6.22; N, 4.05. (0.2 % error).
得られた化合物の1H NMR(500MHz、DMSO-d6、30℃)を、図12に示した。
【0108】
(2)溶解方法及びゲルの作製
サンプル瓶(3 mL)に、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン59 mg (0.05 mmol)と、上記(1)で得られたアダマンチル基を2つ含有する化合物13 mg (0.025 mmol)と、6−アクリルアミドーβ―シクロデキストリンとアクリルアミドの全試薬量が0.5 mmolとなるようにアクリルアミド34mg(0.48 mmol)とを加え、溶液濃度が1Mとなるように純水(500μL)を加えた。これを25℃で1日間撹拌後、45℃のオイルバス中で24時間加熱し、前記モノマーを水に溶し込んだ。このモノマーの溶解液に、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド8.0mg(0.025mmol)を添加し、30分間アルゴンバブリングを施した後、42℃のオイルバス中に静置し、24時間重合させ、ゲルを得た。
【0109】
比較例1
サンプル瓶 (10 mL) に、6−アクリルアミド−α−シクロデキストリン92mg(0.09mmol)と、アクリル酸n−ブチル(東京化成工業株式会社製)12mg(0.09mmol)を、全試薬量が 1mmol となるようにアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)を加え、溶液濃度が1Mとなるように純水 (1 mL) を加え、25℃で1日間撹拌したが、前記モノマーは溶解せず、懸濁液であった。そこに、過硫酸アンモニウム11.4mg(0.05mmol)、[2-(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン5.8mg(0.05mmol)を添加し、25℃で24時間重合させたが、ゲルは得られなかった。
【0110】
試験例1(ホスト及びゲストの組成比による粘弾性の変化)
(1)実施例1において、6−アクリルアミド−α−シクロデキストリン及びアクリル酸n−ブチルの使用量を、それぞれ、[51mg (0.050mmol):6.3mg(0.050mmol)]、[77mg(0.075mmol):9.4mg(0.075mmol)]、[92mg(0.090mmol):12mg(0.091mmol)]、[103mg(0.1mmol):13mg(0.1mmol)]とし、それぞれ、6−アクリルアミド−α−シクロデキストリン由来単位:アクリル酸n−ブチル由来単位=(0.7:0.3)、(4:5)、(9:9)、(12:11)(モル組成比)のゲルを得た。
【0111】
上記3種のゲル及び実施例1で得られたゲルについて、Anton Paar製 MCR301で動的粘弾性を測定した。結果を図2に示した。
(2)実施例4においても、同様に、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン及びN-(1-アダマンチル)アクリルアミドの使用量を、それぞれ、[29mg (0.026mmol):5.5mg(0.026mmol)]、[59mg(0.05mmol):10mg(0.05mmol)]、[104mg(0.088mmol):18mg(0.087mmol)]、[119mg(0.1mmol):21mg(0.1mmol)]とし、それぞれ、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン由来単位:N-(1-アダマンチル)アクリルアミド由来単位=(0.3:0.4)、(1.6:1.9)、(3.5:4.0)、(7:6)(モル組成比)のゲルを得た。
【0112】
上記3種のゲル及び実施例4で得られたゲルについて、Anton Paar製 MCR301で動的粘弾性を測定した。結果を図3に示した。
【0113】
試験例2(ゲルの再接着)
(1)実施例1で得られたゲルを5mm×5mm×10mmの立方体にカットし、くさび型治具(P-28;株式会社山電製)で中央から2つに破断した。破断面を合わせ、25℃で、24時間水中で静置したところ、ゲルは再接着した。ゲルの破断と再接着の様子を図4に示した。
(2)実施例4で得られたゲルを5mm×5mm×10mmの立方体にカットし、くさび型冶具(P-28;株式会社山電製)で中央から2つに破断した。破断面を合わせ、25℃で、24時間水中で静置したところ、ゲルは再接着した。ゲルの破断と再接着の様子を図5に示した。
【0114】
試験例3(ホスト−ゲストの競争試験1)
(1)実施例1で得られたゲルを5mm×5mm×5mmの立方体にカットし、カミソリで中央から2つに破断した。一方の破断面に1-へキサノールを添加した後、破断面を合わせ、25℃で、24時間水中で静置したが、ゲルは再接着しなかった。
(2)実施例4で得られたゲルを5mm×5mm×5mmの立方体にカットし、カミソリで中央から2つに破断した。一方の破断面にアダマンタンカルボン酸ナトリウム水溶液を添加した後、破断面を合わせ、25℃で、24時間水中で静置したが、ゲルは再接着しなかった。
【0115】
試験例4(ゲルの接着強度評価)
(1)試験例2の(1)における、切断前のゲルと再接着後のゲルについて、それぞれクリープメータ(RE2-33005B;株式会社山電製)で、破断時の応力(以下、破断応力と称することもある)を測定し、切断前のゲルの破断応力に対してどの程度、応力が戻っているかを計算したところ、応力回復率は72%であった。結果を図6に示した。
(2)試験例2の(2)における、切断前のゲルと再接着後のゲルについて、それぞれクリープメータ(RE2-33005B;株式会社山電製)で、破断時の応力を測定し、切断前のゲルの破断応力に対してどの程度、応力が戻っているかを計算したところ、応力回復率は99%であった。結果を図7に示した。
(3)実施例1及び4で得られたゲルを、5mm×5mm×10mmの立方体にカットし、それぞれくさび型の冶具(P-28;株式会社山電製)で中央から2つに破断した。それぞれ破断面を合わせ、25℃で、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、14時間、16時間、24時間、水中で静置し、再接着したゲルについて、それぞれクリープメータ(RE2-33005B;株式会社山電製)で、破断時の応力を測定し、切断前のゲルの破断応力に対してどの程度、応力が戻っているかを計算したところ、ゲルの応力回復率は再接着時間に応じて上昇した。結果を図8に示した。
【0116】
試験例5(ホスト及びゲストの組成比によるゲルの強度変化)
実施例4において、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン及びN-(1-アダマンチル)アクリルアミドの使用量を、それぞれ、[6mg (0.005mmol):1mg(0.005mmol)]、[29mg(0.026mmol):6mg(0.026mmol)]、[45mg(0.038mmol):8mg(0.038mmol)]、[59mg(0.050mmol):10mg(0.050mmol)]とし、それぞれ、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン由来単位:N-(1-アダマンチル)アクリルアミド由来単位=(0.1:0.1)、(0.3:0.4)、(1.0:1.4)、(1.6:1.9)(モル組成比)のゲルを得た。
【0117】
得られたゲルを、5mm×5mm×10mmの立方体にカットし、クリープメータ(RE2-33005B;株式会社山電製)を用いて、引張速度5mm/secで破断強度を測定したところ、ホスト及びゲストの組成比の上昇に伴い、破断強度が上昇した。
【0118】
試験例6(ホスト及びゲストの競争試験2)
試験例5で調製した4種の組成を有するゲルを、それぞれ、競争分子(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、1−アダマンタンカルボン酸ナトリウム)の10mM水溶液に、それぞれ1時間浸漬した。その後、試験例6と同様の方法で、それぞれのゲルの破断強度を測定したところ、β−シクロデキストリン、1−アダマンタンカルボン酸ナトリウムの溶液に浸漬した場合に、破断応力が低下した。
【0119】
試験例7(ゲルの形状回復性評価)
試験例5で調製した、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン由来単位:N-(1-アダマンチル)アクリルアミド由来単位=(0.3:0.4)のゲル(10mm×10mm×5mm)を、クリープメータ(RE2-33005B;株式会社山電製)を用いて、応力 0.1Nから1Nで引っ張った後、応力をかけない状態で保持した。引張り時から、応力をかけずに保持した時のひずみを計測することで、ゲルの形状回復性を評価した。0.1Nで、180%まで伸ばした後に、応力をかけない状態で保持すると、200秒後にひずみ0%を示した。
【0120】
試験例8(ゲルの自己修復能の保持能力評価)
実施例4で得られたゲルを、5mm×5mm×10mmの立方体にカットし、それぞれくさび型の冶具(P-28;株式会社山電製)で中央から2つに破断した状態で、25℃で、それぞれ1時間、3時間、6時間、12時間、15時間、18時間、24時間、水中で静置した。各時間経過後、それぞれ破断面を合わせ、水中で24時間静置し、再接着したゲルについて、それぞれクリープメータ(RE2-33005B;株式会社山電製)で、破断時の応力を測定し、切断前のゲルの破断応力に対してどの程度、応力が戻っているかを計算したところ、破断後の経過時間に関係なく、ゲルの応力は回復した。結果を図13に示した。
【0121】
実験例1
試験例5で調製した、6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン由来単位:N-(1-アダマンチル)アクリルアミド由来単位=(0.3:0.4)のゲル(10mm×10mm×3mm)を、2枚のガラス製スライドガラスの間に挟み、水中で1日間、150gで圧力をかけた後、1日間25℃、湿度42%で乾燥させた。水中での圧縮後と乾燥後の写真を、図14に示した。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明のゲルは、その優れた自己修復性及び形状記憶性を生かし、例えば、ペイント樹脂やコーティングフィルム、衝撃吸収材、プラスチック容器、医療用血管塞栓材(ヒドロゲルビーズなど)、着脱可能な接着剤等の用途に用いることができる。
図1
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