(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る空気調和機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、
図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和機1を示す回路図である。この
図1に基づいて、空気調和機1について説明する。
図1に示すように、空気調和機1は、冷媒回路2と制御部50とを備えている。
【0012】
冷媒回路2は、不均化反応が起こり得る冷媒を含む混合冷媒が流通し、圧縮機3、四方弁4、第1の熱交換器5、膨張部6、第2の熱交換器7が、配管により接続されたものである。圧縮機3は、この混合冷媒を圧縮するものであり、四方弁4は、冷媒回路2において混合冷媒が流通する方向を切り替えるものである。また、第1の熱交換器5は、混合冷媒と例えば室外空気とを熱交換する室外熱交換器である。ここで、冷媒回路2には、第1の送風機5aが設けられており、この第1の送風機5aは、室外空気を第1の熱交換器5に送風するものである。
【0013】
混合冷媒は、上記のとおり、不均化反応が起こり得る冷媒が含まれている。本実施の形態1は、不均化反応が起こり得る冷媒として、HFO1123冷媒が使用されている。このHFO1123冷媒は、不均化反応が発生し得る冷媒である。不均化反応が発生し得る冷媒が含まれる場合、高温高圧ガスの条件下といった冷媒の組成が大きいときに、不均化反応が起こる虞がある。ここで、不均化反応とは、同一種類の分子が互いに反応し、異なる生成物を与える化学反応である。また、HFO1123冷媒に添加される冷媒は、例えばHFO1234yf冷媒、HFO1234ze冷媒とすることができる。これらのHFO1234yf冷媒、HFO1234ze冷媒は、HFO1123冷媒よりも高い沸点を備える冷媒である。
【0014】
また、膨張部6は、混合冷媒を膨張するものである。そして、第2の熱交換器7は、混合冷媒と例えば室内空気とを熱交換する室内熱交換器である。ここで、冷媒回路2には、第2の送風機7aが設けられており、この第2の送風機7aは、室内空気を第2の熱交換器7に送風するものである。
【0015】
また、冷媒回路2は、吐出圧力検出部20と第1の凝縮温度検出部22a及び第2の凝縮温度検出部22bとを備えている。吐出圧力検出部20は、圧縮機3の吐出側に設けられ、混合冷媒の吐出圧力を検出するものである。
【0016】
また、第1の凝縮温度検出部22a及び第2の凝縮温度検出部22bは、いずれも、混合冷媒の凝縮温度を検出するものである。そして、第1の凝縮温度検出部22a及び第2の凝縮温度検出部22bは、第1の熱交換器5及び第2の熱交換器7のうち、凝縮器として作用する側の出口側に設けられている。例えば、第1の凝縮温度検出部22aは、冷房運転時に凝縮器として作用する第1の熱交換器5の出口側に設けられ、また、第2の凝縮温度検出部22bは、暖房運転時に凝縮器として作用する第2の熱交換器7の出口側に設けられている。即ち、冷房運転のときは、第1の凝縮温度検出部22aが使用され、また、暖房運転のときは、第2の凝縮温度検出部22bが使用される。
【0017】
更に、冷媒回路2は、吐出温度検出部21を備えている。この吐出温度検出部21は、圧縮機3の吐出側に設けられ、混合冷媒の吐出温度を検出するものである。
【0018】
図2は、実施の形態1における制御部50を示すブロック図である。
図2に示すように、制御部50は、冷媒回路2の動作を制御するものである。この制御部50は、組成取得手段60と、閾値決定手段70と、不均化抑制手段80とを備えている。
【0019】
組成取得手段60は、不均化反応が起こり得る冷媒の組成を取得するものである。具体的には、組成取得手段60は、吐出圧力検出部20において検出された吐出圧力と、第1の凝縮温度検出部22a又は第2の凝縮温度検出部22bにおいて検出された凝縮温度と、吐出圧力、凝縮温度及び組成の関係を示す組成テーブルとに基づいて、HFO1123冷媒の組成を取得するものである。
【0020】
図3は、組成テーブルを示すグラフであり、
図4は、組成テーブルの圧力変動について示すグラフである。
図3において、横軸はHFO1123冷媒の組成、縦軸は二相域温度を示す。組成とは、混合冷媒に混合された各冷媒の組成比(割合)のことである。また、この
図3においては、吐出圧力を一定として、乾き度x=0(飽和液線)及び乾き度x=1(飽和蒸気線)が示されている。
図3に示すように、第1の凝縮温度検出部22a又は第2の凝縮温度検出部22bにおいて検出された凝縮温度T
1において、乾き度x=0(飽和液線)のとき、HFO1123冷媒の組成は、最小値αminを示す。そして、第1の凝縮温度検出部22a又は第2の凝縮温度検出部22bにおいて検出された凝縮温度T
1において、乾き度x=1(飽和蒸気線)のとき、HFO1123冷媒の組成は、最大値αmaxを示す。即ち、HFO1123冷媒の組成は、最小値αminから最大値αmaxまでの範囲で変動する。
【0021】
また、
図4において、横軸はHFO1123冷媒の組成、縦軸は飽和蒸気温度を示す。
図4に示すように、吐出圧力が大きくなると、乾き度x=1(飽和蒸気線)は上昇し、吐出圧力が小さくなると、乾き度x=0(飽和液線)は下降する。これらの
図3、
図4に示すような組成テーブルを用いて、凝縮温度と吐出圧力とから、HFO1123冷媒の組成が取得される。
【0022】
閾値決定手段70は、組成取得手段60において取得された組成と、吐出温度及び吐出圧力の関係を示す温度圧力テーブルとに基づいて、閾値温度及び閾値圧力を決定するものである。
図5は、温度圧力テーブルを示すグラフである。
図5において、横軸は吐出圧力、縦軸は凝縮温度を示す。
図5に示すように、グラフ曲線の上方の斜線部は、不均化反応発生領域であり、HFO1123冷媒の組成が小さくなると、グラフ曲線が上昇し、この不均化反応発生領域が狭まる。このため、吐出圧力及び吐出温度の選択幅が増える。一方、HFO1123冷媒の組成が大きくなると、グラフ曲線が下降し、不均化反応発生領域が広がる。このため、吐出圧力及び吐出温度の選択幅が減る。
【0023】
本実施の形態1では、HFO1123冷媒の組成として、HFO1123冷媒の組成の最大値αmaxを使用して、閾値温度及び閾値圧力が決定される。前述の如く、HFO1123冷媒は、不均化反応が発生し得る冷媒である。混合冷媒に、不均化反応が発生し得る冷媒が含まれる場合、HFO1123冷媒の組成が大きいときに、不均化反応が起こり易い。このため、HFO1123冷媒の組成の最大値αmaxを使用して、閾値温度及び閾値圧力を決定して、より不均化反応を起こし難くして、安全性を高めている。
図5に示すように、HFO1123冷媒の組成が最大値αmaxのときのグラフ曲線を下回るように、閾値決定手段70が、閾値温度及び閾値圧力を決定する。
【0024】
不均化抑制手段80は、混合冷媒の吐出温度及び吐出圧力を、閾値決定手段70において決定された閾値温度及び閾値圧力よりも下回らせて、混合冷媒の不均化反応を抑制するものである。具体的には、不均化抑制手段80は、圧縮機3の回転数を調整するものであり、また、膨張部6の開度を調整するものである。これらの圧縮機3の回転数又は膨張部6の開度は、いずれか一方が調整されてもよいし、いずれもが調整されてもよい。なお、混合冷媒の吐出温度は、吐出温度検出部21によって検出される。また、吐出圧力は、吐出温度検出部21において検出された吐出温度に基づいて算出することができる。
【0025】
なお、
図5に示すように、不均化反応は、高温高圧のガスの状態で発生し易い。このため、冷媒回路2において、混合冷媒がもっとも高温高圧となる圧縮機3の吐出側における吐出温度及び吐出圧力が制御されている。例えば、混合冷媒の吐出温度又は吐出圧力が、閾値温度又は閾値圧力以上である場合には、不均化抑制手段80は、圧縮機3の回転数を下げるか、又は膨張部6の開度を大きくすることによって、混合冷媒の吐出温度又は吐出圧力を下げる。
【0026】
次に、本実施の形態1に係る空気調和機1の冷房運転及び暖房運転の動作について説明する。
【0027】
先ず、冷房運転における動作について説明する。圧縮機3は、混合冷媒を吸入し、この混合冷媒を圧縮して高温高圧のガスの状態で吐出する。この吐出された混合冷媒は、四方弁4を通過して、第1の熱交換器5に流入し、第1の熱交換器5は、第1の送風機5aから供給される室外空気との熱交換により、混合冷媒を凝縮する。この凝縮された混合冷媒は、膨張部6に流入し、膨張部6は、凝縮された混合冷媒を減圧する。そして、減圧された混合冷媒は、第2の熱交換器7に流入し、第2の熱交換器7は、第2の送風機7aから供給される室内空気との熱交換により、混合冷媒を蒸発する。そして、蒸発された混合冷媒は、四方弁4を通過して、圧縮機3に吸入される。
【0028】
次に、暖房運転における動作について説明する。圧縮機3は、混合冷媒を吸入し、この混合冷媒を圧縮して高温高圧のガスの状態で吐出する。この吐出された混合冷媒は、四方弁4を通過して、第2の熱交換器7に流入し、第2の熱交換器7は、第2の送風機7aから供給される室内空気との熱交換により、混合冷媒を凝縮する。この凝縮された混合冷媒は、膨張部6に流入し、膨張部6は、凝縮された混合冷媒を減圧する。そして、減圧された混合冷媒は、第1の熱交換器5に流入し、第1の熱交換器5は、第1の送風機5aから供給される室外空気との熱交換により、混合冷媒を蒸発する。そして、蒸発された混合冷媒は、四方弁4を通過して、圧縮機3に吸入される。
【0029】
次に、本実施の形態1に係る空気調和機1の動作について説明する。
図6は、実施の形態1に係る空気調和機1の動作を示すフローチャートである。
図6に示すように、空気調和機1の制御が開始されてから、一定時間が経過したか否かが判定される(ステップS1)。ステップS1にて、一定時間が経過したと判定されると、次に、冷媒回路2の運転状態が検知される(ステップS2)。具体的には、吐出圧力検出部20において吐出圧力が検出され、また、第1の凝縮温度検出部22a又は第2の凝縮温度検出部22bにおいて凝縮温度が検出される。
【0030】
次に、吐出圧力検出部20において検出された吐出圧力と、第1の凝縮温度検出部22a又は第2の凝縮温度検出部22bにおいて検出された凝縮温度と、組成テーブルとに基づいて、循環する混合冷媒のうち、HFO1123冷媒の組成の最大値αmaxが、組成取得手段60によって取得される(ステップS3)。そして、組成取得手段60において取得されたHFO1123冷媒の組成の最大値αmaxと、温度圧力テーブルとに基づいて、閾値温度及び閾値圧力が、閾値決定手段70によって決定される(ステップS4)。
【0031】
その後、不均化抑制手段80によって、混合冷媒の吐出温度及び吐出圧力が、閾値決定手段70において決定された閾値温度及び閾値圧力を下回るか否かが判定される(ステップS5)。吐出温度及び吐出圧力が、閾値温度及び閾値圧力を下回っていることが判定された場合(ステップS5のYes)、制御が終了される。一方、吐出温度及び吐出圧力が、閾値温度及び閾値圧力以上であることが判定された場合(ステップS5のNo)、不均化抑制手段80によって、圧縮機3の回転数が下げられるか、又は膨張部6が開かれる(ステップS6)。これにより、吐出温度及び吐出圧力が、閾値温度及び閾値圧力を下回る。その後、制御が終了される。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態1に係る空気調和機1は、組成取得手段60において取得された組成から、閾値決定手段70が閾値温度及び閾値圧力を決定し、不均化抑制手段80が、吐出温度及び吐出圧力を、閾値温度及び閾値圧力よりも下回らせる。このため、不均化反応が起こり得る冷媒の不均化反応を抑制することができる。
【0033】
また、本実施の形態1は、HFO1123冷媒の組成の最大値αmaxを使用して、閾値温度及び閾値圧力を決定しているため、より不均化反応を起こし難くして、安全性を高めている。更に、本実施の形態1は、混合冷媒が、HFO1123冷媒、HFO1234yf冷媒、HFO1234ze冷媒といった地球温暖化係数(GWP)が0である冷媒が混合されたものである。このため、環境性能が高い。また、冷媒回路2にバイパス回路等を設ける必要がないため、冷媒回路2が収容される室外機の小型化とコスト低減を図ることができる。
【0034】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る空気調和機100について説明する。
図7は、実施の形態2に係る空気調和機100を示す回路図である。本実施の形態2は、
図7に示すように、冷媒回路102が、吐出温度検出部21と、凝縮温度検出部22と、蒸発温度検出部23と、電力検出部24とを備えており、吐出圧力検出部20を備えていない点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態2では、実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0035】
凝縮温度検出部22は、第1の熱交換器5及び第2の熱交換器7のうち、凝縮器として作用する側の出口側に設けられている。また、蒸発温度検出部23は、第1の熱交換器5及び第2の熱交換器7のうち、蒸発器として作用する側の出口側に設けられている。
【0036】
冷房運転の場合、第1の熱交換器5が凝縮器として作用し、第2の熱交換器7が蒸発器として作用する。
図6においては、冷房運転の場合を想定し、凝縮温度検出部22が、第1の熱交換器5の出口側に設けられ、また、蒸発温度検出部23が、第2の熱交換器7の出口側に設けられている。なお、暖房運転の場合、第1の熱交換器5が蒸発器として作用し、第2の熱交換器7が凝縮器として作用するため、
図7においては、凝縮温度検出部22によって蒸発温度が検出され、また、蒸発温度検出部23によって凝縮温度が検出される。また、電力検出部24は、圧縮機3の消費電力を検出するものである。
【0037】
図8は、実施の形態2における制御部150を示すブロック図である。
図8に示すように、制御部150における組成取得手段160は、仮定値決定手段161と、密度算出手段162と、組成算出手段163と、判定手段164と、組成決定手段165とを備えている。
【0038】
仮定値決定手段161は、不均化反応が起こり得る冷媒の組成仮定値を決定するものである。
【0039】
密度算出手段162は、吐出温度検出部21において検出された吐出温度と、凝縮温度検出部22において検出された凝縮温度と、蒸発温度検出部23において検出された蒸発温度と、電力検出部24において検出された消費電力と、仮定値決定手段161において決定された組成仮定値とに基づいて、不均化反応が起こり得る冷媒が圧縮機3に吸入される吸入密度を算出するものである。先ず、圧縮機3の吐出側における混合冷媒の吐出圧力が算出される。凝縮温度をT
2、組成仮定値をαsとすると、乾き度X=1である吐出圧力Pdは、下記式(1)から算出される。
【0040】
[数1]
Pd=P(T
2,αs,X=1)・・・・・(1)
【0041】
次に、圧縮機3の吸入側における混合冷媒の吸入圧力Psが算出される。蒸発温度をT
3とすると、乾き度X=1である吸入圧力Psは、下記式(2)から算出される。
【0042】
[数2]
Ps=P(T
3,αs,X=1)・・・・・(2)
【0043】
そして、上記式(1)で算出された吐出圧力Pdと、吐出温度検出部21において検出された吐出温度とを用いて、圧縮機3の吐出側における混合冷媒のエントロピーSdが算出される。吐出温度をTdとすると、エントロピーSdは、下記式(3)から算出される。
【0044】
[数3]
Sd=S(Pd,Td,αs)・・・・・・(3)
【0045】
その後、上記式(1)で算出された吐出圧力Pdと、上記式(2)で算出された吸入圧力Psと、上記式(3)で算出されたエントロピーSdと、吐出温度Tdと、組成仮定値αsとを用いて、混合冷媒が圧縮機3によって圧縮される前後のエンタルピー差が算出される。圧縮機3の吐出側におけるエンタルピーをhd、圧縮機3の吸入側におけるエンタルピーをhsとすると、エンタルピー差Δhは、下記式(4)から算出される。
【0046】
[数4]
Δh=hd−hs=h(Pd,Td,αs)−h(Ps,Sd,αs)・・(4)
【0047】
また、上記式(1)で算出された吐出圧力Pdと、上記式(2)で算出された吸入圧力Psと、吐出温度Tdと、組成仮定値αsと、圧縮機3の回転数Nとを用いて、圧縮機効率ηcが、下記式(5)から算出される。
【0048】
[数5]
ηc=f1(Pd,Ps,Td,N,αs)・・・・(5)
【0049】
また、上記式(1)で算出された吐出圧力Pdと、上記式(2)で算出された吸入圧力Psと、吐出温度Tdと、組成仮定値αsと、圧縮機3の回転数Nとを用いて、圧縮機体積効率ηvが、下記式(6)から算出される。
【0050】
[数6]
ηv=f2(Pd,Ps,Td,N,αs)・・・・(6)
【0051】
なお、圧縮機効率ηcと、圧縮機体積効率ηvとは、シミュレーション、圧縮機3の単体評価試験、又は、シミュレーションと単体評価試験との両方によって得てもよい。ここで、圧縮機3の消費電力W及び混合冷媒の循環量Grは、圧縮機3のストロークボリュームをVst、混合冷媒が圧縮機3に吸入される吸入密度をρsとすると、下記式(7)、式(8)から求められる。
【0052】
[数7]
W=Gr・Δh/ηc・・・・(7)
【0053】
[数8]
Gr=ρs・N・Vst・ηv・・・・(8)
【0054】
そして、上記式(7)、式(8)を変換すると、下記式(9)が得られる。電力検出部24において検出された消費電力Wと、上記式(4)で算出されたエンタルピー差Δhと、圧縮機3の回転数Nと、圧縮機3のストロークボリュームVstと、上記式(6)で算出されたηvと、上記式(5)で算出されたηcとを用いて、吸入密度ρsは、下記式(9)から算出される。
【0055】
[数9]
ρs=W/(Δh・N・Vst・ηv/ηc)・・・・(9)
【0056】
このように、密度算出手段162は、HFO1123冷媒が圧縮機3に吸入される吸入密度ρsを算出する。ここで、HFO1123冷媒の密度をρl、HFO1123冷媒に混入される冷媒の密度をρhとする。本実施の形態1は、HFO1123冷媒の密度plを求めており、即ち、ρs=ρlである。なお、HFO1123冷媒の吸入密度ρsを算出する上で、感度が低い値を定数として、計算を省略してもよい。
【0057】
組成算出手段163は、密度算出手段162において算出された吸入密度ρsに基づいて、不均化反応が起こり得る冷媒の組成算出値αcを算出するものである。具体的には、上記式(9)で算出された吸入密度ρsと、上記式(2)で算出された吸入圧力Psとを用いて、HFO1123冷媒の組成算出値αcが、下記式(10)から算出される。
【0058】
[数10]
ρs=f3(Ps,αc)・・・・・(10)
【0059】
判定手段164は、仮定値決定手段161において決定された組成仮定値αsと、組成算出手段163において算出された組成算出値αcとが一致するか否かを判定するものである。具体的には、仮定値決定手段161において決定された組成仮定値αsと、上記式(10)から算出された組成算出値αcとが一致するか否かが判定される。なお、ここで、一致とは、必ずしも完全に一致することを必要とするものではなく、幅をもたせてもよい。
【0060】
組成決定手段165は、判定手段164において、組成仮定値αsと組成算出値αcとが一致すると判定された場合、組成仮定値αsを不均化反応が起こり得る冷媒の組成として決定するものである。
【0061】
そして、閾値決定手段170は、組成取得手段160において取得された組成と、温度圧力テーブルとに基づいて、閾値温度及び閾値圧力を決定するが、本実施の形態2においても、HFO1123冷媒の組成として、HFO1123冷媒の組成の最大値αmaxが使用される。
【0062】
次に、本実施の形態2に係る空気調和機100の動作について説明する。
図9は、実施の形態2に係る空気調和機100の動作を示すフローチャートである。
図9に示すように、空気調和機100の制御が開始されてから、一定時間が経過したか否かが判定される(ステップS11)。ステップS11にて、一定時間が経過したと判定されると、次に、冷媒回路102の運転状態が検知される(ステップS12)。具体的には、吐出温度検出部21において吐出温度が検出され、凝縮温度検出部22において凝縮温度が検出され、蒸発温度検出部23において蒸発温度が検出され、電力検出部24において消費電力が検出される。
【0063】
次に、仮定値決定手段161によって、HFO1123冷媒の組成仮定値αsが決定される(ステップS13)。そして、吐出圧力と吸入圧力とが算出され(ステップS14)、密度算出手段162によって、圧縮機3の消費電力、算出された吐出圧力及び吸入圧力から、吸入密度が算出される(ステップS15)。
【0064】
その後、組成算出手段163によって、密度算出手段162において算出された吸入密度に基づいて、HFO1123冷媒の組成算出値αcが算出される(ステップS16)。そして、判定手段164によって、仮定値決定手段161において決定された組成仮定値αsと、組成算出手段163において算出された組成算出値αcとが一致するか否かが判定される(ステップS17)。組成仮定値αsと組成算出値αcとが一致していないことが、判定手段164によって判定されると(ステップS17のNo)、ステップS13に戻り、組成仮定値αsが再び決定される。そして、ステップS13からステップS17までが、組成仮定値αsと組成算出値αcとが一致するまで、繰り返される。
【0065】
一方、組成仮定値αsと組成算出値αcとが一致していることが、判定手段164によって判定されると(ステップS17のYes)、組成決定手段165によって、組成仮定値αsがHFO1123冷媒の組成の最大値αmaxとして決定され、組成取得手段160において取得されたHFO1123冷媒の組成の最大値αmaxと、温度圧力テーブルとに基づいて、閾値温度及び閾値圧力が、閾値決定手段170によって決定される(ステップS18)。
【0066】
その後、不均化抑制手段80によって、混合冷媒の吐出温度及び吐出圧力が、閾値決定手段170において決定された閾値温度及び閾値圧力を下回るか否かが判定される(ステップS19)。吐出温度及び吐出圧力が、閾値温度及び閾値圧力を下回っていることが判定された場合(ステップS19のYes)、制御が終了される。一方、吐出温度及び吐出圧力が、閾値温度及び閾値圧力以上であることが判定された場合(ステップS19のNo)、不均化抑制手段80によって、圧縮機3の回転数が下げられるか、又は膨張部6が開かれる(ステップS20)。これにより、吐出温度及び吐出圧力が、閾値温度及び閾値圧力を下回る。その後、制御が終了される。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態2に係る空気調和機100は、組成取得手段160において取得された組成から、閾値決定手段170が閾値温度及び閾値圧力を決定し、不均化抑制手段80が、吐出温度及び吐出圧力を、閾値温度及び閾値圧力よりも下回らせる。このため、HFO1123冷媒の不均化反応を抑制することができる。
【0068】
また、本実施の形態2は、HFO1123冷媒の組成の最大値αmaxを使用して、閾値温度及び閾値圧力を決定しているため、より不均化反応を起こし難くして、安全性を高めている。更に、本実施の形態2は、混合冷媒が、HFO1123冷媒、HFO1234yf、HFO1234zeといった地球温暖化係数(GWP)が0である冷媒が混合されたものである。このため、環境性能が高い。また、冷媒回路102にバイパス回路等を設ける必要がないため、冷媒回路102が収容される室外機の小型化とコスト低減を図ることができる。
【0069】
更にまた、本実施の形態2は、圧力検出部を使用せずに、HFO1123冷媒の組成が取得される。このため、圧力検出部を不要とする分だけ、コストを削減することができる。
【0070】
実施の形態3.
次に、実施の形態3に係る空気調和機200について説明する。
図10は、実施の形態3に係る空気調和機200を示す回路図である。本実施の形態3は、バイパス回路30を備えている点で、実施の形態1、2と相違する。本実施の形態3では、実施の形態1、2と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1、2との相違点を中心に説明する。
【0071】
図10に示すように、空気調和機200は、圧縮機3の吐出側と圧縮機3の吸入側とをバイパスするバイパス回路30を備えている。バイパス回路30は、冷却器32、バイパス膨張部33が、バイパス配管31により接続されたものである。冷却器32は、圧縮機3から吐出された混合冷媒を冷却するものであり、例えば二重管熱交換器である。また、バイパス膨張部33は、冷却器32において冷却された混合冷媒を膨張するものである。バイパス回路30に流入した混合冷媒は、冷却器32及びバイパス膨張部33によって、飽和液の状態となる。
【0072】
更に、バイパス回路30は、バイパス圧力検出部40とバイパス温度検出部41とを備えている。バイパス圧力検出部40は、バイパス膨張部33の出口側に設けられ、混合冷媒のバイパス圧力を検出するものである。また、バイパス温度検出部41は、バイパス膨張部33の出口側に設けられ、混合冷媒のバイパス温度を検出するものである。
【0073】
図11は、実施の形態3における制御部250を示すブロック図である。
図11に示すように、制御部250における組成取得手段260は、バイパス圧力検出部40において検出されたバイパス圧力と、バイパス温度検出部41において検出されたバイパス温度と、吐出圧力、凝縮温度及び組成の関係を示す組成テーブルとに基づいて、不均化反応が起こり得る冷媒の組成を取得するものである。
【0074】
図12は、組成テーブルを示すグラフである。
図12において、横軸は、HFO1123冷媒の組成、縦軸は飽和液温度を示す。この
図12においては、吐出圧力を一定として、乾き度x=0(飽和液線)が示されている。
図12に示すように、バイパス温度検出部41で検出されたバイパス温度T
4のときの組成が、HFO1123冷媒の組成αである。本実施の形態3は、冷却器32及びバイパス膨張部33によって、混合冷媒が飽和液となっているため、乾き度x=0(飽和液線)のみに着目すればよい。これにより、本実施の形態3では、HFO1123冷媒の組成αは一義に求まる。
【0075】
次に、本実施の形態3に係る空気調和機200のバイパス回路30における動作について説明する。圧縮機3は、混合冷媒を吸入し、この混合冷媒を圧縮して高温高圧のガスの状態で吐出する。この吐出された混合冷媒の一部は、バイパス配管31を通って、バイパス回路30に流入する。そして、冷却器32に流入し、冷却器32は、この混合冷媒を冷却する。冷却された混合冷媒は、バイパス膨張部33に流入し、バイパス膨張部33は、冷却された混合冷媒を減圧する。これにより、混合冷媒は、飽和液の状態となる。そして飽和液となった混合冷媒は、二重熱交換器である冷却器32に流入し、バイパス回路30に流入したばかりの混合冷媒、即ち、高温高圧のガス冷媒と熱交換されて、加熱される。そして、加熱された混合冷媒は、バイパス回路30から流出して、圧縮機3に吸入される。
【0076】
次に、本実施の形態3に係る空気調和機200の動作について説明する。
図13は、実施の形態3に係る空気調和機200の動作を示すフローチャートである。
図13に示すように、空気調和機200の制御が開始されてから、一定時間が経過したか否かが判定される(ステップS21)。ステップS21にて、一定時間が経過したと判定されると、次に、冷媒回路202におけるバイパス回路30の運転状態が検知される(ステップS22)。具体的には、バイパス圧力検出部40においてバイパス圧力が検出され、また、バイパス温度検出部41においてバイパス温度が検出される。
【0077】
次に、バイパス圧力検出部40において検出されたバイパス圧力と、バイパス温度検出部41において検出されたバイパス温度と、組成テーブルとに基づいて、循環する混合冷媒のうち、HFO1123冷媒の組成αが、組成取得手段260によって取得される(ステップS23)。そして、組成取得手段260において取得されたHFO1123冷媒の組成αと、温度圧力テーブルとに基づいて、閾値温度及び閾値圧力が、閾値決定手段270によって決定される(ステップS24)。
【0078】
その後、不均化抑制手段80によって、混合冷媒の吐出温度及び吐出圧力が、閾値決定手段270において決定された閾値温度及び閾値圧力を下回るか否かが判定される(ステップS25)。吐出温度及び吐出圧力が、閾値温度及び閾値圧力を下回っていることが判定された場合(ステップS25のYes)、制御が終了される。一方、吐出温度及び吐出圧力が、閾値温度及び閾値圧力以上であることが判定された場合(ステップS25のNo)、不均化抑制手段80によって、圧縮機3の回転数が下げられるか、又は膨張部6が開かれる(ステップS26)。これにより、吐出温度及び吐出圧力が、閾値温度及び閾値圧力を下回る。その後、制御が終了される。
【0079】
以上説明したように、本実施の形態3に係る空気調和機200は、組成取得手段260において取得された組成αから、閾値決定手段270が閾値温度及び閾値圧力を決定し、不均化抑制手段80が、吐出温度及び吐出圧力を、閾値温度及び閾値圧力よりも下回らせる。このため、HFO1123冷媒の不均化反応を抑制することができる。
【0080】
また、本実施の形態3は、HFO1123冷媒の組成αを一義に求めている。このため、不均化反応が発生する吐出圧力及び吐出温度を、より正確に把握することができる。従って、空気調和機200を使用する上での安全性が向上する。更に、本実施の形態3は、混合冷媒が、HFO1123冷媒、HFO1234yf、HFO1234zeといった地球温暖化係数(GWP)が0である冷媒が混合されたものである。このため、環境性能が高い。
【0081】
なお、実施の形態1に係る空気調和機1、実施の形態2に係る空気調和機100、実施の形態3に係る空気調和機200は、適宜組み合わせて使用することも可能である。