(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記低SOC領域は、前記二次電池をオルタネータの出力電圧の範囲内で、前記オルタネータの最大発電電流で充電した場合に、充電開始から、前記二次電池に流れる充電電流が前記最大発電電流から低下し始めるまでの時間に基づいて、前記時間が所定の値以上となるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
前記低SOC領域は、前記二次電池の内部抵抗と前記充電率の関係に基づき、前記内部抵抗が所定の値以下となるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
前記低SOC領域は、充電開始から所定の時間が経過した際に、前記二次電池に流れる充電電流が所定の値以上となる領域であることを特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
前記低SOC領域は、充電開始から所定の時間が経過するまでにおける前記二次電池の充電量が所定の値以上となる領域であることを特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
前記二次電池は、電気化学反応を利用して電力を蓄積する二次電池と、電荷吸着現象を利用したキャパシタとが複合形成されたハイブリッド型の二次電池であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の充電制御装置。
前記算出手段は、放電回路によってパルス状の放電を行うことで、内部インピーダンスを測定し、前記二次電池の等価回路モデルのパラメータに基づいて前記充電率を算出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の充電制御装置。
前記制御手段は、前記第1閾値および前記第2閾値のそれぞれの値を前記二次電池の状態に応じて変更することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の充電制御装置。
前記車両が減速時以外である場合に、前記オルタネータが発生する電圧を前記二次電池の端子電圧よりも低く設定することで、前記二次電池から負荷に給電することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の充電制御装置。
前記オルタネータは、指定された電圧を出力可能であり、前記制御手段は、前記二次電池の状態と前記車両の状態に応じた電圧を前記オルタネータに出力させることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の充電制御装置。
前記制御手段は、車両の走行状態および前記二次電池の充電率に応じて、前記二次電池の端子電圧と前記オルタネータが発生する電圧との差が所定の所望の値となるように前記オルタネータを制御することを特徴とする請求項12に記載の充電制御装置。
前記制御手段は、前記車両の減速時には、前記二次電池の端子電圧と基準電圧との差の電圧を求め、この差の電圧を前記基準電圧に加算した電圧が、オルタネータが発生する電圧となるように前記オルタネータを制御することを特徴とする請求項13に記載の充電制御装置。
前記制御手段は、車速が所定の速度以上であり、かつ、燃料カット指示信号によって燃料カットが指示されている場合には、前記車両が減速状態であると判定することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の充電制御装置。
前記車速と前記燃料カット指示信号に加えて、前記車両のアクセル開度が所定の開度以下である場合には、前記車両が減速状態であると判定することを特徴とする請求項15に記載の充電制御装置。
前記車速、前記燃料カット指示信号、および、アクセル開度のいずれかが条件を満たさなくなった場合には、回生動作を停止することを特徴とする請求項16に記載の充電制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、二次電池は、充電率が低いほど充電電流の受け入れ率(充電効率)が高いため、ある程度低い充電率で運用することが望ましい。しかしながら、従来技術の充電制御では、二次電池の充電率を電流積算値から求めるため、誤差の累積による影響を少なくするために、一度満充電状態にしてから充電率を推定する。このため、満充電にするための電力が無駄になるとともに、充電率が高いほど受け入れ率が低い状態で運用することになるため、回生の効率が低くなるという問題点がある。また、蓄電装置を2つ用いる方法では、蓄電装置と充電のための機器が2倍必要になることからコストが高くつくとともに、電圧が異なる2つの蓄電装置から給電するために、例えば、DC/DCコンバータが必要になるため、さらにコストが高くつくという問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は二次電池の回生制御および充電制御を効率よく行うことが可能な充電制御装置および充電制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、車両に搭載されている二次電池の充電状態を制御する充電制御装置において、前記二次電池の端子電圧および充放電電流に基づいて当該二次電池のその時点における充電状態を算出する算出手段と、前記車両の走行状態を検出する検出手段と、前記検出手段によって前記車両が減速状態であることが検出された場合には、オルタネータが発生する電圧を前記二次電池の端子電圧よりも高く設定することで回生電力によって前記二次電池を充電する制御を行い、前記検出手段によって前記車両が減速状態以外であることが検出された場合であって、前記算出手段によって算出された前記二次電池の充電率が所定の第2閾値よりも大きい場合には、前記オルタネータが発生する電圧を前記二次電池の端子電圧よりも低く設定し、前記算出手段によって算出された前記二次電池の充電率が所定の第1閾値よりも小さい場合には、前記オルタネータが発生する電圧を前記二次電池の端子電圧よりも高く設定する制御を行う制御手段と、を有し、
前記二次電池は、充電率が高い場合に比較して低い場合の方が充電電流の受け入れ率が高い特性を有し、前記第2閾値は前記第1閾値よりも大きく、前記第1閾値および前記第2閾値は
、スタータモータによってエンジンを始動可能な充電率の領域であって、前記回生電力の受け入れ率が高い領域としての低SOC領域にあることを特徴とする。
このような構成によれば、二次電池の回生制御および充電制御を効率よく行うことが可能となる。
【0009】
また、本発明の一側面は、前記低SOC領域は、前記二次電池をオルタネータの出力電圧の範囲内で、オルタネータの最大発電電流で充電した場合に、充電開始から、前記二次電池に流れる充電電流が前記最大発電電流から低下し始めるまでの時間に基づいて、前記時間が所定の値以上となるように設定されていることを特徴とする。
このような構成によれば、低SOC領域で運用することで、二次電池の充電受け入れ性を高め、燃費性能を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の一側面は、前記低SOC領域は、前記二次電池の内部抵抗と前記充電率の関係に基づき、前記内部抵抗が所定の値以下となるように設定されていることを特徴とする。
このような構成によれば、低SOC領域で運用することで、二次電池の充電受け入れ性を高め、燃費性能を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の一側面は、前記低SOC領域は、充電開始から所定の時間が経過した際に、前記二次電池に流れる充電電流が所定の値以上となる領域であることを特徴とする。
このような構成によれば、低SOC領域で運用することで、二次電池の充電受け入れ性を高め、燃費性能を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の一側面は、前記低SOC領域は、充電開始から所定の時間が経過するまでにおける前記二次電池の充電量が所定の値以上となる領域であることを特徴とする。
このような構成によれば、低SOC領域で運用することで、二次電池の充電受け入れ性を高め、燃費性能を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の一側面は、前記二次電池は、電気化学反応を利用して電力を蓄積する二次電池と、電荷吸着現象を利用したキャパシタとが複合形成されたハイブリッド型の二次電池であることを特徴とする。
このような構成によれば、二次電池を低い充電率で運用することで、充電効率を高め、燃費を改善することができる。
【0014】
また、本発明の一側面は、前記算出手段は、放電回路によってパルス状の放電を行うことで、内部インピーダンスを測定し、前記二次電池の等価回路モデルのパラメータに基づいて前記充電率を算出することを特徴とする。
このような構成によれば、二次電池の充電率を精度よく求め、この精度よく求めた充電率に基づいて制御を確実に行うことができる。
【0015】
また、本発明の一側面は、前記車両に搭載され、前記回生電力を蓄電する蓄電装置は、前記二次電池のみであることを特徴とする。
このような構成によれば、複数の蓄電装置を搭載する場合に比較して、製造コストを低減するとともに、メンテナンスを簡略化することができる。
【0016】
また、本発明の一側面は、前記制御手段は、前記第1閾値および第2閾値のそれぞれの値を前記二次電池の状態に応じて変更することを特徴とする。
このような構成によれば、2つの閾値のそれぞれの値を二次電池の状態に応じて変更することで、例えば、二次電池の劣化に応じて適切な値に変更することで、劣化によらず高い燃費を維持することができる。
【0017】
また、本発明の一側面は、前記車両が減速時以外である場合に、前記オルタネータが発生する電圧を前記二次電池の端子電圧よりも低く設定することで、前記二次電池から負荷に給電することを特徴とする。
このような構成によれば、例えば、加速時にオルタネータからの給電を停止することで、エンジンの負担を軽減することで燃費を改善することができる。
【0018】
また、本発明の一側面は、前記オルタネータは、発生する電圧の範囲として、第1電圧範囲と、第1電圧範囲よりも電圧が低い第2電圧範囲のいずれかを選択可能であり、前記制御手段は、前記二次電池の状態と前記車両の状態に応じて前記第1または第2電圧範囲を選択することを特徴とする。
このような構成によれば、2種類の電圧範囲を選択することで、回生による充電を簡単にしかも効率よく行うことができる。
【0019】
また、本発明の一側面は、前記オルタネータは、指定された電圧を出力可能であり、前記制御手段は、前記二次電池の状態と前記車両の状態に応じた電圧を前記オルタネータに出力させることを特徴とする。
このような構成によれば、電圧を細かく制御することで、回生による充電を一層効率よく行うことができる。
【0020】
また、本発明の一側面は、前記制御手段は、車両の走行状態および前記二次電池の充電率に応じて、前記二次電池の端子電圧と前記オルタネータが発生する電圧との差が所定の所望の値となるように前記オルタネータを制御することを特徴とする。
このような構成によれば、定電流によって二次電池を充電することが可能になる。
【0021】
また、本発明の一側面は、前記制御手段は、前記車両の減速時には、前記二次電池の端子電圧と基準電圧との差の電圧を求め、この差の電圧を前記基準電圧に加算した電圧が、オルタネータが発生する電圧となるように前記オルタネータを制御することを特徴とする。
このような構成によれば、充電率が低い場合にはオルタネータの電圧を高く設定して、急速に充電することが可能になる。
【0022】
また、本発明の一側面は、前記制御手段は、車速が所定の速度以上であり、かつ、燃料カット指示信号によって燃料カットが指示されている場合には、前記車両が減速状態であると判定することを特徴とする。
このような構成によれば、減速状態であることを簡易に検出することが可能になる。
【0023】
また、本発明の一側面は、前記車速と前記燃料カット指示信号に加えて、前記車両のアクセル開度が所定の開度以下である場合には、前記車両が減速状態であると判定することを特徴とする。
このような構成によれば、減速状態であることを確実に検出することが可能になる。
【0024】
また、本発明の一側面は、前記車速、前記燃料カット指示信号、および、アクセル開度のいずれかが条件を満たさなくなった場合には、回生動作を停止することを特徴とする。
このような構成によれば、減速状態以外で充電され、エンジンに不要な負担がかかることを防止できる。
【0025】
また、本発明は、車両に搭載されている二次電池の充電状態を制御する充電制御方法において、前記二次電池の端子電圧および充放電電流に基づいて当該二次電池のその時点における充電状態を算出する算出ステップと、前記車両の走行状態を検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて前記車両が減速状態であることが検出された場合には、オルタネータが発生する電圧を前記二次電池の端子電圧よりも高く設定することで回生電力によって前記二次電池を充電する制御を行い、前記検出ステップにおいて前記車両が減速状態以外であることが検出された場合であって、前記算出ステップにおいて算出された前記二次電池の充電率が所定の第2閾値よりも大きい場合には、前記オルタネータが発生する電圧を前記二次電池の端子電圧よりも低く設定し、前記算出ステップにおいて算出された前記二次電池の充電率が所定の第1閾値よりも小さい場合には、前記オルタネータが発生する電圧を前記二次電池の端子電圧よりも高く設定する制御を行う制御ステップと、を有し、
前記二次電池は、充電率が高い場合に比較して低い場合の方が充電電流の受け入れ率が高い特性を有し、前記第2閾値は前記第1閾値よりも大きく、前記第1閾値および前記第2閾値は
、スタータモータによってエンジンを始動可能な充電率の領域であって、前記回生電力の受け入れ率が高い領域としての低SOC領域にあることを特徴とすることを特徴とする。
このような方法によれば、二次電池の回生制御および充電制御を効率よく行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、二次電池の回生制御および充電制御を効率よく行うことが可能な充電制御装置および充電制御方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0029】
(A)実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係る充電制御装置を有する車両の電源系統を示す図である。なお、本実施形態の充電制御装置1は、制御部10、電圧センサ11、電流センサ12、温度センサ13、および、放電回路15を主要な構成要素としている。本実施形態においては、制御部10が算出手段、制御手段を含むように構成しているが、算出手段、制御手段を別体として構成することも可能である。
【0030】
ここで、制御部10は、ハイブリッド蓄電池14のSOC(State of Charge)(充電率)を算出し、算出したSOCに基づいてレギュレータ16aを制御する。
図2は、制御部10の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、制御部10は、CPU(Central Processing Unit)10a、ROM(Read Only Memory)10b、RAM(Random Access Memory)10c、出力部10d、バス10e、および、I/F(Interface)10fを有している。ここで、CPU10aは、ROM10bに格納されているプログラム10baに基づいて各部を制御する。ROM10bは、半導体メモリ等によって構成され、プログラム10ba等を格納している。RAM10cは、半導体メモリ等によって構成され、プログラム10baを実行する際に生成されるパラメータ10caを格納する。出力部10dは、放電回路15に対してハイブリッド蓄電池14の内部抵抗を測定するためのパルス放電ON/OFF制御信号を供給するとともに、オルタネータ16のレギュレータ16aに対して発電電圧制御信号を供給する。バス10eは、CPU10a、ROM10b、RAM10c、出力部10d、および、I/F10fを相互にこれらの間でデータの授受を可能とするための信号線群である。I/F10fは、電圧センサ11、電流センサ12、温度センサ13、および、車両状態検出部20から供給される信号をデジタル信号に変換して取り込む。
【0031】
電圧センサ11は、ハイブリッド蓄電池14の端子電圧を検出し、制御部10に通知する。電流センサ12は、ハイブリッド蓄電池14に流れる充電電流および放電電流を検出し、制御部10に通知する。温度センサ13は、ハイブリッド蓄電池14自体または周囲の環境温度を検出し、制御部10に通知する。放電回路15は、例えば、制御部10からのパルス放電ON/OFF制御信号に基づいてオンまたはオフの状態となる半導体スイッチによって構成される。放電回路15は、制御部10の制御信号線とグランドとの間に2つの出力端子が接続され、入力端子が制御部10に接続される。そして、パルス放電ON/OFF制御信号がハイの場合にはハイインピーダンス(オフ)状態となり、パルス放電ON/OFF制御信号がローの場合にはローインピーダンス(オン)状態となる。
【0032】
ハイブリッド蓄電池14は、例えば、負極活物質充填板の表面に導電性を有するカーボン材料とキャパシタ容量および擬似キャパシタ容量を有する活性炭とから成る2種類のカーボン材料と、結着剤を混合して構成されるカーボン合剤の被覆層を設けた負極板を負極として備える鉛蓄電池によって構成される。このハイブリッド蓄電池14は、オルタネータ16によって充電され、スタータモータ18を駆動してエンジン17を始動するとともに、負荷19に電力を供給する。また、車両の減速時には、オルタネータ16によって回生される電力によって充電される。オルタネータ16は、エンジン17の回転力または車両の減速時の慣性力によって駆動され、交流電力を発生して整流回路によって直流電力に変換し、レギュレータ16aによって電圧が調整された後、ハイブリッド蓄電池14を充電する。本発明では、ハイブリッド蓄電池14を用いることで、単一の蓄電装置で構成することができ、2種以上の二次電池やキャパシタを搭載する必要がない。そのため、2種以上の蓄電装置を搭載する充電制御装置に比べ、二次電池や電圧変換器(例えば、DC/DCコンバータ)等を省くことができ、充電制御装置を安価に構成することができる。
【0033】
車両状態検出部20は、車速、エンジンの回転数、アクセルの開度、燃料カット信号、ブレーキの操作状態等を検出し、制御部10に通知する。制御部10は、車両状態検出部20によって検出される車両の走行状態と、電圧センサ11、電流センサ12、および、温度センサ13によって検出されるハイブリッド蓄電池14の状態に応じて、レギュレータ16aを制御することでオルタネータ16の発電電圧を調整し、ハイブリッド蓄電池14の充電状態を制御する。レギュレータ16aは、制御部10から供給される制御信号に応じて、オルタネータ16の図示しない励磁コイルに流す電流を制御することで、オルタネータ16の発電電圧を制御する。なお、本実施形態では、オルタネータ16が発電する電圧は、制御部10が出力する発電電圧制御信号がハイ(Hi)の場合には高い電圧の範囲となり、また、制御部10が出力する発電電圧制御信号がロー(Lo)の場合には低い電圧の範囲となる。
【0034】
図3は、レギュレータ16aの周囲温度(例えば、ケース温度)と、発電電圧との関係を示す図である。ここで、ハッチングが施された上側の領域は発電電圧制御信号がハイの場合における発電電圧の温度による変化を示している。また、ハッチングが施された下側の領域は発電電圧制御信号がローの場合における発電電圧の温度による変化を示している。このように、オルタネータ16の発電電圧は、制御部10からレギュレータ16aに供給される発電電圧制御信号がハイかローかによって電圧の範囲が異なる。
【0035】
エンジン17は、例えば、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジン等のレシプロエンジンまたはロータリーエンジン等によって構成され、スタータモータ18によって始動され、トランスミッションを介して駆動輪を駆動し車両に推進力を与えるとともに、オルタネータ16を駆動して電力を発生させる。スタータモータ18は、例えば、直流電動機によって構成され、ハイブリッド蓄電池14から供給される電力によって回転力を発生し、エンジン17を始動する。負荷19は、例えば、電動ステアリングモータ、デフォッガ、イグニッションコイル、カーオーディオ、および、カーナビゲーション等によって構成され、ハイブリッド蓄電池14からの電力によって動作する。
【0036】
図4は、
図3に示すプログラム10baが実行された場合に、CPU10a等のハードウエア資源と、プログラム10ba等のソフトウエア資源とが協働することにより実現される処理モジュールを示す図である。この例では、処理モジュールは、入力モジュール30、SOC演算モジュール31、記憶モジュール32、および、出力モジュール34を主要な構成要素としている。ここで、入力モジュール30は、電圧センサ11、電流センサ12、温度センサ13、および、車両状態検出部20から出力される信号を入力し、SOC演算モジュール31に供給する。SOC演算モジュール31は、入力モジュール30から供給される電圧、電流、および、温度に基づいてハイブリッド蓄電池14のその時点におけるSOCを演算し、得られたSOCを判定モジュール33に供給する。なお、SOCを演算する方法としては、例えば、ハイブリッド蓄電池14の等価回路モデルを作成し、放電回路15によってパルス状の放電を行うことで、内部インピーダンスを測定し、当該等価回路モデルのパラメータに対して、例えば、カルマンフィルタ等を用いて適用学習を実行し、得られたパラメータに基づいてSOCを算出する方法がある。また、ハイブリッド蓄電池14の開回路電圧の時間特性を近似する指数関数式を求め、この指数関数式からハイブリッド蓄電池14のその時点における開回路電圧を求め、求めた開回路電圧からSOCを求めるようにしてもよい。もちろん、これら以外の方法によってSOCを算出することも可能である。記憶モジュール32は、SOC演算モジュール31がSOCを算出する際に必要なパラメータおよび等価回路モデル等を記憶する。判定モジュール33は、車両状態検出部20と、SOCとに基づく制御情報を出力モジュール34に対して出力する。出力モジュール34は、判定モジュール33からの出力に基づいて、レギュレータ16a等を制御する。
【0037】
(B)実施形態の動作の概略の説明
つぎに、本実施形態の動作の概要を説明する。本発明の実施形態では、車両の減速時において、レギュレータ16aを制御し、オルタネータ16の発電電圧を上昇させることによりハイブリッド蓄電池14への充電電流を増加させ、その結果として、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換してハイブリッド蓄電池14に蓄積する。ところで、鉛蓄電池の充電量とSOCの関係は
図5に示すようになる。ここで、充電量とは10秒間充電した場合の蓄積される電荷量(充電受け入れ値)を示す。
図5に示すように、鉛蓄電池のSOCが増加すると、10秒間充電した場合の蓄積される電荷量(充電受け入れ値)が低下する。このため、効率よく充電するためには、できるだけ低いSOCで運用することが望ましい。しかし、鉛蓄電池を低いSOCで使用すると、例えば、サルフェーションの発生により鉛蓄電池の寿命が短くなったり、容量が足らないためにスタータモータ18が回転せず、エンジン17が始動しなかったりする。
【0038】
また、実際の車両において、回生発電された電力を効率よく充電するためには、オルタネータの発電電流を考慮する必要がある。例えば、オルタネータの発電電圧が14.5V、発電電流が120A、充電開始から5秒後の充電電流とSOCの関係を
図6に示す。この場合には、SOCを72%以上とすると充電電流が減少する。そのため、SOCを72%以下に設定することにより効率よく充電することが可能となる。回生発電された電力を効率よく充電するためには、二次電池の充電特性から、SOCを設定することも可能である。
図7は、ハイブリッド蓄電池14の充電時の内部抵抗とSOCの関係を示す例である。内部抵抗はSOCが60%以下ではほぼ一定であり、70%以上で増加率が大きくなる。内部抵抗が低い、低SOCの領域で二次電池を使用することにより、回生発電による電力を効率よく充電することが可能となる。SOCが低い状態で運用するにあたっては、エンジンの始動性を考慮する必要がある。エンジンの始動性が確保できるSOCは車両のシステムによって大きく異なる。一般的にはSOCが50%以上の値に設定される。本実施形態ではこれらを考慮し、低いSOCの状態で運用するためにハイブリッド蓄電池14を使用するとともに、以下に示すような制御によって、回生を効率良く行うようにしている。
【0039】
図8は制御信号の状態と発電電圧の関係を示す図である。本実施形態では、
図8に示すように、エンジン17の始動直後の初期状態とそれ以外の通常状態とでは処理が異なっている。そこで、以下では、まず、初期状態の動作について説明し、つぎに、通常状態の動作について説明する。
【0040】
エンジン17が始動された直後の初期状態においては、充電制御装置1は、初期処理を実行する。初期処理では、
図8の「制御部状態」の左側に示すように、SOCが第2閾値であるTh2以上である場合にはレギュレータ16aへの発電電圧制御信号がオンの状態に制御され、
図8の「発電電圧」の左側に示すように、オルタネータ16の発電電圧がローの状態(
図3のLoの状態)になる。一方、SOCが第2閾値であるTh2未満である場合には発電電圧制御信号がオフの状態に制御され、オルタネータ16の発電電圧がハイの状態(
図3のHiの状態)になる。換言すると、エンジン17を始動した直後の初期状態では、ハイブリッド蓄電池14のSOCが第2閾値Th2未満の場合には発電電圧がHiの状態とされて速やかに充電がされる。
【0041】
エンジン17が始動されてから一定時間が経過すると通常処理に移行する。通常処理では、ヒステリシスを有する閾値に基づいて充電制御が実行される。具体的には、
図8の左端に示すように、第1閾値であるTh1および第2閾値であるTh2の2つの閾値に基づいて充電制御が実行される。通常処理では、
図8の「制御部状態」の右側に示すように、SOCの上昇局面において、SOCが第2閾値であるTh2未満である場合には発電電圧制御信号がオフの状態に制御され、
図8の「発電電圧」の右側に示すように、オルタネータ16の発電電圧がハイの状態(
図3のHiの状態)になる。また、同じく、SOCの上昇局面において、SOCが第2閾値であるTh2以上となった場合には発電電圧制御信号がオンの状態に制御され、
図8の「発電電圧」の右側に示すように、オルタネータ16の発電電圧がローの状態(
図3のLoの状態)になる。一方、SOCの下降局面において、SOCが第1閾値であるTh1より大きい場合にはレギュレータ16aへの発電電圧制御信号がオンの状態に制御され、オルタネータ16の発電電圧がローの状態(
図3のLoの状態)になる。また、同じく、SOCの下降局面において、SOCが第1閾値であるTh1以下になった場合にはレギュレータ16aへの発電電圧制御信号がオフの状態に制御され、オルタネータ16の発電電圧がハイの状態(
図3のHiの状態)になる。
【0042】
以上の制御により、エンジン17の始動直後の初期処理では、SOCが第2閾値以上になるように制御がなされるが、通常処理に移行すると、第1閾値および第2閾値に基づいてオルタネータ16の発電電圧が制御される。
【0043】
また、本実施形態では、車両状態検出部20によって、車両が減速状態であることが検出された場合には、レギュレータ16aを制御して、オルタネータ16の出力電圧をハイに設定する。これにより、オルタネータ16からハイブリッド蓄電池14への充電電流が増加することから、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換してハイブリッド蓄電池14に蓄積することができる。
【0044】
また、本発明の実施形態では第1閾値Th1、第2閾値Th2として、例えば、70%,71%をそれぞれ用いることができる。ハイブリッド蓄電池14は、SOC=70%程度の運用においても、劣化が進んだり、容量不足によってエンジン17が始動できなくなったりすることが少ない。このため、
図5に示すように、充電効率が高い領域においてハイブリッド蓄電池14を用いることができるので、エンジン17によってオルタネータ16を駆動し、ハイブリッド蓄電池14を充電する場合のみならず、車両の減速時において、車両の運動エネルギをオルタネータ16によって電気エネルギに変換して充電する場合(回生する場合)も効率良くハイブリッド蓄電池14を充電することができる。
【0045】
すなわち、本実施形態では、ハイブリッド蓄電池14のSOCは、
図9に示すように、Th1とTh2の範囲内に収まるように制御される。より詳細には、SOCの下降局面において、SOCがTh1以下となった場合にはオルタネータ16の出力電圧がHiに設定されてSOCが増加し、SOCの上昇局面において、SOCがTh2以上となった場合にはオルタネータ16の出力電圧がLoに設定されてSOCが減少する。このような動作により、ハイブリッド蓄電池14のSOCは、
図9に示すように、例えば、鋸歯状に変化する。また、回生が実行された場合には、鋸歯状の波形の所々に示すインパルス波によって、ハイブリッド蓄電池14が充電される。なお、閾値Th1,Th2は、ハイブリッド蓄電池14の低SOC領域上限閾値Thuを上限とする低SOC領域内に設定されている。ここで、低SOC領域とは、鉛蓄電が一般的に運用される80〜100%の高SOC領域に比較して低いSOCの領域をいう。このように低SOC領域で運用することで、回生時における電力の受け入れ性を高めることができる。
【0046】
なお、低SOC領域上限閾値Thuは、例えば、オルタネータ16の最大発電電流でハイブリッド蓄電池14を充電した場合に、充電開始後、ハイブリッド蓄電池14に流れる充電電流が、最大発電電流から低下し始めるまでの時間に基づいて設定することができる。より詳細には、車両の減速による回生充電の継続時間は、大半が10秒未満であり、また、数秒程度の頻度が最も高いことから、一例として、充電開始後、ハイブリッド蓄電池14に流れる充電電流が最大発電電流から低下し始めるまでの時間が「5秒」の場合を低SOC領域上限閾値Thuとして設定することができる。このように、5秒の場合を低SOC領域上限閾値Thuとして設定し、所定のマージンmを隔てたTh2を設定することで、SOCの運用範囲であるTh1〜Th2の範囲では、充電電流が最大発電電流から低下し始めるまでの時間は5秒よりも大きくなることから、数秒程度継続する回生電力の殆どをハイブリッド蓄電池14に電力として蓄えることができる。
【0047】
一例を
図10に示す。
図10は、一つの二次電池のSOCを50%、70%、90%、および、100%に調整し、各SOCの二次電池を120Aの定電流で充電した際の二次電池に流れる電流と充電時間との関係を示している。定電流源の最大電圧は16.0Vであり、
図10において、0secから充電を開始している。SOCが90%および100%の場合は、充電開始直後から電流は大きく低下する。SOCが70%の場合は、充電開始から約5secの間は120Aの電流を流すことができる。また、SOCが50%の場合は180sec以上、設定電流120Aを流すことができる。このように、SOCを低く設定することにより、効率的に二次電池を充電することが可能になる。この場合、充電開始からの所定の充電時間を定め、その間、設定電流を流すことがSOCの領域を低SOC領域とすることができる。
【0048】
なお、低SOC領域上限閾値Thuとしては、前述した以外にも、例えば、ハイブリッド蓄電池14の内部抵抗(
図7に示す直流抵抗)と、SOCの関係に基づき、内部抵抗が所定の値以下となるSOCを低SOC領域上限閾値Thuに設定してもよい。例えば、
図7の例では、SOCが70%以上で増加率が大きくなるので、低SOC領域上限閾値Thuとして、70%を選択するようにしてもよい。これ以外にも、例えば、充電開始から所定の時間が経過した際の充電電流が所定の値(例えば、充電開始から5秒経過後の電流が100A以上またはオルタネータ16の最大電流の90%以上)である場合のSOCを低SOC領域上限閾値Thuとして設定するようにしてもよい。あるいは、電流と時間の積によって求まる充電量が、所定の値となるSOCを低SOC領域上限閾値Thuとして設定するようにしてもよい。例えば、
図6の例では、120Aを5秒流しているので、600[As](=120×5)が得られる最大のSOC(
図6の例では略70%)を低SOC領域上限閾値Thuとして設定するようにしてもよい。なお、以上に説明した数値は一例であって、ハイブリッド蓄電池14の種類や、使用環境等によっては、前述した以外の値を選択することも可能である。
【0049】
図11は、第1閾値Th1=70%に設定し、第2閾値Th2=71%に設定した場合のSOCの変化の一例を示す図である。この図において、横軸は時間(秒)を示している。ハイブリッド蓄電池14のSOCが70〜71%の範囲内にある場合に、車両が減速時以外は制御部10がレギュレータ16aをローの状態に設定し、その場合はエンジン17の駆動力による充電は発生しない。一方、車両が減速時には、制御部10がレギュレータ16aをハイの状態に設定する。これによって、ハイブリッド蓄電池14には、回生によって発生した電力が供給されて充電される。そして、
図11に示すように、ハイブリッド蓄電池14のSOCが、第1閾値Th1である70%以下になった場合(
図11に示す1600(s)付近)には、車両の走行状態にかかわらずオルタネータ16の出力電圧がハイの状態に設定され、ハイブリッド蓄電池14のSOCが71%以上になるように急速に充電される。以上のような動作により、ハイブリッド蓄電池14のSOCが70〜71%の範囲内に収まるように制御されるとともに、70%未満になった場合には急速に充電することができる。また、ハイブリッド蓄電池14のSOCが70〜71%の範囲内に収まっている場合には、車両の減速時にレギュレータ16aをハイの状態に設定することで、回生を効率良く行うことができる。
【0050】
図12は、本発明の充電制御装置を実車両に搭載した場合の実測値を示している。この例では、縦軸は燃費を示している。実車Aは本発明の充電制御装置を搭載していない場合を示し、実車Bは本発明の充電制御装置を搭載している場合を示す。この図に示すように、本発明の充電制御装置を搭載している場合は、搭載していない場合に比較して燃費が1.36%程度向上している。この結果、本発明の充電制御装置の効果が得られていることがわかる。
【0051】
つぎに、
図13を参照して、
図1に示す制御部10において実行される処理について説明する。
図13に示す処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0052】
ステップS10では、入力モジュール30は、電圧センサ11、電流センサ12、および、温度センサ13から電圧V、電流I、および、温度Tをそれぞれ入力する。
【0053】
ステップS11では、SOC演算モジュール31は、ステップS10で入力した電圧V、電流I、および、温度Tならびに記憶モジュール32に記憶されているデータに基づいてハイブリッド蓄電池14のSOCを算出する処理を実行する。なお、この処理では、前述したように、例えば、ハイブリッド蓄電池14の等価回路モデルに対して、例えば、カルマンフィルタを用いた適応学習を適用し、得られた値(例えば、OCV(Open Circuit Voltage:開回路電圧))に基づいてSOCを算出することで実現できる。もちろん、これ以外の方法を用いてもよいことは言うまでもない。このような方法によれば、任意の時点におけるハイブリッド蓄電池14のSOCを求めることができるので、従来技術のように、エンジン始動後に満充電する必要がなくなる。
【0054】
ステップS12では、入力モジュール30は、車両状態検出部20から車両の状態を示す情報を入力する。具体的には、車両状態検出部20は、車速、エンジンの回転数、アクセルの開度、燃料カット信号、ブレーキの操作状態等を検出し、入力モジュール30に供給する。
【0055】
ステップS13では、判定モジュール33は、ステップS12で取得した車両状態を示す情報を参照し、車両が減速状態(回生可能な状態)であるか否を判定し、減速状態であると判定した場合(ステップS13:Yes)にはステップS14に進んで発電電圧をハイの状態にして回生充電を実行し、それ以外の場合(ステップS13:No)にはステップS15に進む。例えば、車両の速度が5km/hよりも大きく、アクセル開度が10%未満であり、かつ、燃料カット指示信号がハイの場合には、減速状態であると判定してステップS14に進み、それ以外の場合にはステップS15に進む。なお、燃料カット指示信号とは、エンジン17に供給する燃料をカット(停止)することを指示する信号であり、この信号がオンの状態になるとエンジン17に燃料が供給されてないことを示す。なお、以上に説明した判定の基準は、一例であって、これ以外の情報に基づいて減速状態か否かを判定するようにしても良い。例えば、燃料カット指示信号が減速時しかハイの状態にならないのであれば、燃料カット指示信号と車速のみに基づいて判定するようにしてもよい。もちろん、エンジン17の回転数等を考慮して判定するようにしてもよい。また、減速状態と判定した場合であっても、いずれかの条件を満たさなくなった場合には、回生充電を停止するようにしてもよい。これにより、エンジン17に無用の負荷がかかることを防止できる。
【0056】
ステップS14では、出力モジュール34は、レギュレータ16aをハイの状態に設定する。これにより、オルタネータ16の出力電圧がハイの状態に設定され、車両の減速時の運動エネルギによるハイブリッド蓄電池14の充電(回生充電)が実行される。ステップS14の処理が完了すると、処理を終了する。
【0057】
ステップS15では、判定モジュール33は、エンジン17の始動後の初回処理であるか否かを示すフラグであるint_flg=0であるか否かを判定し、int_flg=0であると判定した場合(ステップS15:Yes)にはステップS16に進み、それ以外の場合(ステップS15:No)にはステップS20に進む。ここで、int_flgはエンジン17が停止されると0に設定される。このため、エンジン17が始動され、初回の処理においてはint_flg=0であることからステップS16に進む。
【0058】
ステップS16では、判定モジュール33は、ステップS11で算出したSOCを参照し、SOC≧Th2であるか否かを判定し、SOC≧Th2である場合(ステップS16:Yes)にはステップS18に進み、それ以外の場合(ステップS16:No)にはステップS17に進む。具体的には、エンジン17の始動後の初回の処理において、SOCがTh2(=71%)以上の場合にはステップS18に進み、それ以外の場合にはステップS17に進む。
【0059】
ステップS17では、出力モジュール34は、レギュレータ16aをハイの状態に設定する。これにより、オルタネータ16の出力電圧がハイの状態に設定され、エンジン17の駆動力によるハイブリッド蓄電池14の充電が実行される。ステップS17の処理が完了するとステップS19に進む。
【0060】
ステップS18では、出力モジュール34は、レギュレータ16aをローの状態に設定する。これにより、オルタネータ16の出力電圧がローの状態に設定される。
【0061】
ステップS19では、判定モジュール33は、int_flg=1に設定する。これにより、以降の処理ではステップS15においてNoと判定されて、ステップS20に進むことになる。
【0062】
ステップS20では、判定モジュール33は、ステップS11で算出したSOCを参照し、SOC≧Th2であるか否かを判定し、SOC≧Th2である場合(ステップS20:Yes)にはステップS21に進み、それ以外の場合(ステップS20:No)にはステップS22に進む。具体的には、エンジン17の始動後の2回目以降の処理において、SOCがTh2(=71%)以上の場合にはステップS21に進み、それ以外の場合にはステップS22に進む。
【0063】
ステップS21では、出力モジュール34は、レギュレータ16aをローの状態に設定する。これにより、オルタネータ16の出力電圧がローの状態に設定される。
【0064】
ステップS22では、判定モジュール33は、ステップS11で算出したSOCを参照し、SOC≦Th1であるか否かを判定し、SOC≦Th1である場合(ステップS22:Yes)にはステップS23に進み、それ以外の場合(ステップS22:No)にはステップS24に進む。具体的には、エンジン17の始動後の2回目以降の処理において、SOCがTh1(=70%)以下の場合にはステップS23に進み、それ以外の場合にはステップS24に進む。
【0065】
ステップS23では、出力モジュール34は、レギュレータ16aをハイの状態に設定する。これにより、オルタネータ16の出力電圧がハイの状態に設定される。
【0066】
ステップS24では、出力モジュール34は、レギュレータ16aの発電電圧として、前回発電電圧を設定する。具体的には、前回発電電圧がローの場合にはローに設定し、ハイの場合にはハイに設定する。これにより、Th1<SOC<Th2の範囲にSOCが存在している場合には、前回値が使用されるので、
図8に示すように上昇局面または下降局面ではオルタネータ16の出力電圧は同じ状態が維持される。
【0067】
ステップS25では、判定モジュール33は、前回発電電圧として今回の発電電圧を設定する。具体的には、今回の発電電圧がローの場合にはローに設定し、ハイの場合にはハイに設定する。
【0068】
以上の処理によれば、エンジン17を始動した後、初回の処理においては、SOCが参照され、ハイブリッド蓄電池14のSOCが71%以上になるようにオルタネータ16の電圧がハイの状態にされて充電される。また、2回目以降の処理においては、SOCが71%以上の場合には発電電圧がローに設定され、SOCが70%以下の場合にはハイに設定され、70%より大きく71%未満の場合には、前回の発電電圧が維持される。これにより、
図8に示す電圧設定が可能になる。また、2つの閾値を設けてヒステリシスに基づく制御を行うことにより、チャタリングの発生を防止することができる。
【0069】
また、車両の状態を参照し、車両が減速状態である場合には、発電電圧がハイに設定され、回生が実行されるので、燃費を改善することができる。
【0070】
また、本実施形態では、充電制御装置1に電圧センサ11、電流センサ12、および、温度センサ13を備えてSOCをリアルタイムに算出するようにした。従来においては、エンジン始動後にSOCを正確に把握するために、充電池を一旦満充電する必要があったが、本実施形態では満充電する必要がないので、満充電するまでの電力の無駄を省くことができる。
【0071】
(D)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の実施形態では、閾値Th1,Th2としては、Th1=70%およびTh2=71%を用いたが、これ以外の値を用いることも可能である。例えば、90%以下の値であってTh1とTh2の差が1%以上に設定することも可能である。なお、Th1とTh2を変更する場合、Th1,Th2の差が小さい程、燃費が良くなることが実測結果からわかっているので、Th1,Th2の差はできるだけ小さくなるように設定する方が望ましい。もちろん、チャタリングが問題とならない場合にはTh1=Th2とすることも可能である。逆に、これらの差が大きい場合には、SOCの変化が大きい充放電が繰り返されることになることから、ハイブリッド蓄電池14の劣化が進行する。このため、Th1とTh2の間隔については、10%未満、望ましくは数%未満となるように設定することが望ましい。
【0072】
また、以上の実施形態では、Th1,Th2は固定値としたが、例えば、これらの値を書き換え可能としてもよい。そのような構成とすることで、例えば、ハイブリッド蓄電池14の種類や使用目的に応じて適宜これらの値を調整できるようにしてもよい。また、ハイブリッド蓄電池14は、経年変化(劣化)によって満充電可能な容量が減少してくる。そこで、経年変化に応じてTh1,Th2の値を変更するようにしてもよい。具体的には、ハイブリッド蓄電池14のOCV(経年変化と相関関係を有する値)を測定し、測定されたOCVの値に応じて、Th1,Th2の値を減少させるようにしてもよい。そのような構成によれば、ハイブリッド蓄電池14が経年変化した場合であっても適切に充電制御を行うことができる。
【0073】
また、以上の実施形態では、初期処理における閾値として、通常処理における第2閾値を用いるようにしたが、初期処理における閾値を第2閾値とは異なるものとしてもよい。例えば、第2閾値よりも大きい値を用いることで、初期処理において一定のSOCまで急速に充電することができる。なお、本実施形態と同様に初期処理の閾値を第2閾値とすることで、初期処理から通常処理への移行をスムーズに行うことができる。
【0074】
また、以上の実施形態では、オルタネータ16はハイとローの2種類の電圧を設定可能としたが、例えば、
図14に示すように、発電電圧信号に応じた所望の電圧を出力可能なオルタネータを用いるようにしてもよい。
図14に示す例では、発電電圧信号が0から約60の範囲では11V強で一定であり、60から220の範囲では信号の値に応じて電圧が上昇し、220を過ぎると一定となる。このようなオルタネータを使用する場合には、例えば、車両が加速時もしくは定速走行時には12.0±0.5Vに設定し、車両が減速時には15.0V以上に設定することができる。また、同様にSOCが第2閾値Th2以上である場合には発電電圧を12.0±0.5Vに設定し、SOCが第1閾値Th1以下である場合には発電電圧を14.5Vに設定することができる。もちろん、以上の数値は一例であり、このような場合のみに本発明が限定されるものではない。
【0075】
また、電圧をローまたはハイのいずれかに設定するのではなく、
図15および
図14に示すように、SOCに応じて電圧を変化させるようにしてもよい。
図15は車両が定速走行または加速時におけるSOCと電圧の関係を示している。この
図15の例では、SOCが60%以下の場合には、破線で示すオルタネータの電圧がハイブリッド蓄電池の電圧よりも高く設定され、SOCが60%よりも大きい場合には、ハイブリッド蓄電池の電圧がオルタネータの電圧よりも高くなるように設定される。このとき、ハイブリッド蓄電池とオルタネータの電圧差は一定になるように設定される。
図16は、減速時におけるSOCと電圧の関係を示している。この
図16の例では、減速時においては、ハイブリッド蓄電池とオルタネータの電圧の差は、SOCの値が大きくなるにつれて小さくなるように設定される。より詳細には、一点鎖線で示される基準電圧とオルタネータの電圧差が、基準電圧とハイブリッド蓄電池の電圧差と等しくなるように、オルタネータの発生電圧が制御されるようにしてもよい。一例として、ハイブリッド蓄電池14の端子電圧と基準電圧の差の電圧を求め、この差の電圧を基準電圧に加算した電圧に、オルタネータ16の出力電圧が等しくなるように制御することができる。
【0076】
また、ハイブリッド蓄電池14から負荷19に対して電力を供給している場合には、オルタネータ16の電圧をハイブリッド蓄電池14の端子電圧よりも低く設定することにより、ハイブリッド蓄電池14から負荷19に対して電力が確実に供給されるようにしてもよい。特に、ハイブリッド蓄電池14は、通常の鉛蓄電池よりも電圧が低いので、このような制御は有効である。
【0077】
また、以上の実施形態では、温度センサ13の検出値については詳しく説明していないが、ハイブリッド蓄電池14の特性は周囲の温度によって異なることから、温度センサ13の出力に基づいて算出されたSOCを補正するようにしてもよい。
【0078】
また、以上の実施形態ではSOCの範囲および基準値は固定値としたが、例えば、ハイブリッド蓄電池14の状態(例えば、劣化状況)に応じて、これらの値を変化させるようにしてもよい。具体的には、ハイブリッド蓄電池14が劣化した場合には、容量が減少するため、新しい場合と同様の容量を得るためにはSOCの範囲を広く設定する必要がある。
【0079】
また、
図13に示すフローチャートは一例であって、このような処理だけに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0080】
また、以上の実施形態では、Th1およびTh2として、70%および71%に設定し、Thuを75%に設定する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこのような場合にのみ限定されるものではない。
図17は
図6とは異なる鉛蓄電池を充電電流100Aで充電した場合における充電開始から5秒目の電流値とSOCの関係を示す図である。また、
図18は、
図17と同じ鉛蓄電池を充電電流100Aで充電した場合における充電開始から5秒間の充電量(As)とSOCの関係を示す図である。
図17および
図18に示す例では、SOCが80%を超えた場合に、充電電流および充電量が減少する。このため、
図17および
図18に示す鉛蓄電池では、低SOC領域上限閾値Thuとして、80〜85%を選択することができる。なお、本願発明者が様々な鉛蓄電池を測定した結果によれば、低SOC領域上限閾値Thuとして、80〜85%を設定することで、殆どの種類の鉛蓄電池において、良好な結果を得ることができることが判明した。このため、低SOC領域上限閾値Thuは80〜85%程度か、それよりも小さい値に設定することが望ましい。また、
図9に示すマージンmは、例えば、数%程度の値に設定することができる。もちろん、これよりも大きい値であったり、または、0を含むこれよりも小さい値であったりしてもよい。
【0081】
また、車両には、エンジン17を始動するための蓄電装置(例えば、リチウム電池、ニッケル電池、ニッケル水素電池、キャパシタ等)を複数搭載することもできるが、二次電池の重量や、メンテナンス等を考慮すると、単一の蓄電装置としてハイブリッド蓄電池を用いることが望ましい。