(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
(清掃用具の概略)
以下、本発明の第1の実施形態について、
図1〜
図11を参照しつつ詳細に説明する。まず、本発明における「清掃具」の一実施の形態である清掃用具100の構成につき説明する。この清掃用具100を用いて清掃される清掃対象としては、一戸建て、マンション、ビル、工場、車両等の室内、室外、屋外における被清掃面(床面、壁面、窓、天井面、外壁面、家具面、衣類、カーテン、寝具、照明、家電品等)や、人体の各構成部位における被清掃面等が挙げられる。これら各種の被清掃面は、平面として構成されてもよいし、或いは曲面、凹凸面、段差面として構成されてもよい。
【0029】
図1に示すように、清掃用具100は、清掃体ホルダ110と清掃体140で構成されている。清掃体ホルダ110は、清掃体140に着脱可能であり、清掃体140を保持するように構成されている。この清掃用具100、清掃体ホルダ110、清掃体140がそれぞれ、本発明における「清掃具」、「保持具」、「清掃シート」に対応する実施構成例である。
清掃用具100は長手方向Yと、この長手方向Yと交差する方向である長手交差方向Xとを有する。なお、長手方向Yと長手交差方向Xとは直交する。
長手方向Yは、清掃体ホルダ110を清掃体140に取り付ける方向である挿入方向Y1と、清掃体ホルダ110を清掃体140から引抜く方向である引抜方向Y2と平行な方向である。この長手方向Y、長手交差方向X、挿入方向Y1、引抜方向Y2が本発明における「長手方向」、「長手交差方向」、「挿入方向」、「引抜方向」に対応する実施構成例である。
【0030】
清掃用具100は、長手交差方向Xにおいて中心となる長手交差方向中心点XCPを有する。なお、長手交差方向中心点XCPを形成するための長手交差方向Xは、清掃用具100上における任意の箇所の長手交差方向Xを適宜採択し得るものである。
そして、長手交差方向中心点XCPを通過する、長手方向Yと平行な直線である長手方向中心線YCLを有する。この長手交差方向中心点XCP、長手方向中心線YCLが、本発明における「長手交差方向中心点」、「長手方向中心線」に対応する実施構成例である。
【0031】
清掃用具100は、長手交差方向中心点XCPから清掃用具100が存在しない領域へ向く方向である外側方向100D1を有する。さらに、清掃用具100は、清掃用具100が存在しない領域から長手交差方向中心点XCPへ向く方向である内側方向100D2を有する。この外側方向100D1、内側方向100D2が、本発明における「外側方向」、「内側方向」に対応する実施構成例である。
【0032】
(清掃体ホルダの構成)
図2、
図3に示すように、清掃体ホルダ110は、ハンドル部120および清掃体保持部130を主体として構成されている。ハンドル部120は、長尺状に形成されており、清掃時にユーザに保持される部材である。ハンドル部120は、ハンドル121と接合部122を有している。接合部122は、清掃体保持部130の基部132に接合されている。そして、ハンドル121は、接合部122から延在する長尺状に形成されている。このハンドル部120が、本発明における「把持部」に対応する実施構成例である。なお、説明の便宜上、
図2の上方および下方を清掃体ホルダ110の右側および左側と称す。
【0033】
清掃体保持部130は、樹脂材料にて成型されており、清掃シート140を保持するための部材である。清掃体保持部130は、長尺状に形成された2つの保持部材131、凸部137、138および押え板139等を主体として構成されている。
具体的には、清掃体保持部220は、ポリプロピレン(PP)が使用されている。なお、清掃体保持部220は可撓性を有する樹脂材料を適宜選択することができる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリエステル系の熱可塑性エラストマーを使用できる。
この清掃体保持部130が、本発明における「保持部」に対応する実施構成例である。この凸部137、138が、本発明における「凸部」に対応する実施構成例である。
【0034】
保持部材131は、基部132からハンドル121が延在する方向と反対の方向に向かって延在して形成されている。すなわち、保持部材131は、基部132と先端部133を有し、基部132から先端部133に向かって延在した中間部134が形成されている。2つの保持部材131の先端部133はそれぞれ自由端となっている。
この基部132、先端部133、中間部134が、本発明における「連接部」、「先端部」、「延在部」に対応する実施構成例である。
【0035】
中間部134は、基部132および先端部133に対し、外側方向D1へ突出している。よって、保持部材131は中間部134が外側方向D1へ突出する湾曲形状とされる。
なお、凸部137、138において、保持部材131における先端部133側に設けられた凸部137を第1凸部137とする。また、保持部材131における基部132側に設けられた凸部138を第2凸部138とする。
この第1凸部137、第2凸部138が、本発明における「第1凸部」、「第2凸部」の実施構成例である。
【0036】
押え板139は、基部132から突出して形成されている。押え板139は、一対の保持部材131の間に、保持部材131と平行に延在するように形成されている。押え板139は、下方に向けて凸形状となるように湾曲して形成される板状部材として構成され、更に下面に係止突部(図示省略)を備えている。
【0037】
図3に示すように、保持部材131の長手交差方向Xにおける外側方向Dに最も突出した部分は、第1最外部134Xとされる。なお、第1最外部134Xは、保持部材131の中間部134に形成される。さらに、第1最外部134Xは、中間部134における長手方向Yの長さを2分した位置に設けられている。これにより、中間部134は、第1最外部134Xを極大値とする曲線状に形成される。
そして、第1凸部137の長手交差方向Xにおける外側方向D1に最も突出した部分は、第2最外部137Xとされる。
この第1最外部134X、第2最外部137Xが、本発明における「第1最外部」、「第2最外部」の実施構成例である。
【0038】
長手方向中心線YCLと第1最外部134Xとを結ぶ最短直線は、第1最外仮想直線X1とされる。
長手方向中心線YCLと第2最外部137Xとを結ぶ最短直線は、第2最外仮想直線X2とされる。
この第1最外仮想直線X1、第2最外仮想直線X2が、本発明における「第1最外仮想直線」、「第2最外仮想直線」の実施構成例である。
第1最外仮想直線X1は、第2最外仮想直線X2よりも長く形成されている。この構成により後述する作用を奏する。
【0039】
(清掃体の構成)
次に
図4〜
図7を参照しつつ、清掃体140について説明する。清掃体140は、拭き清掃において清掃対象である被清掃面上の汚れを掻き取る汚れ掻き取り機能を有するシート状の清掃体である。
図5、
図6に示すように、清掃体140は、平面視で長方形状に形成されている。清掃体140の長辺方向は、繊維集合体を構成する複数の繊維が延在する延在方向が交差する方向と概ね合致する。
【0040】
図4に示すように、清掃体140は、清掃体本体150と保持シート160を主体として構成されている。この清掃体140は、一回使用を目安とした使い捨てタイプのものや、清掃対象の被清掃面から除去したごみや埃を保持しつつ複数回の使用を目安として交換を行う使い捨てタイプのものであってもよいし、或いは洗濯などを行ったうえで繰り返し使用することが可能なタイプのものであってもよい。
【0041】
清掃体本体150は、いずれもシート状の基材シート151、繊維集合体152、清掃対象側シート153が積層されて接合されている。これら基材シート151、繊維集合体152、清掃対象側シート153は、平面視が同様の長方形とされ、いずれも清掃体140の長辺方向に長尺状に延在している。繊維集合体152及び清掃対象側シート153は、汚れ掻き取り機能を有する刷毛状部位を構成しており、いわゆる「刷毛部」とも称呼される。
【0042】
図4に示すように、基材シート151および清掃対象側シート153は、長方形状の不織布で形成されたシートである。基材シート151は、清掃体140の短辺方向に複数のジグザグ状の短冊片151aが並列状に延在している。また、清掃対象側シート153は、清掃体140の短辺方向に複数のジグザグ状の短冊片153aが並列状に延在している。短冊片153aは、短冊片151aよりも幅が狭く構成されており、曲げ剛性が低くなっている。
【0043】
図4に示すように、繊維集合体152は、繊維による単一の繊維構造体や、繊維が長さ方向および/または径方向にそろった繊維構造体(撚糸、紡績糸、複数の長繊維が部分的に接続された糸材など)、ないし当該繊維構造体の集合体とされ、熱可塑性繊維を一部に含み融着(「溶着」ともいう)が可能な繊維集合体として構成されている。繊維集合体152を形成する繊維は、糸、織物などの構成単位であり、太さに比して十分な長さを持つ、細くてたわみやすい形態のものである。典型的には長い連続状の繊維が長繊維(フィラメント)とされ、短い繊維が短繊維(ステープル)とされる。
【0044】
この繊維集合体152の繊維は、基端側が中央溶着線170、溶着接合部171、172、173にて接合されるとともに、当該溶着接合部を固定端とし当該固定端と対向する側(先端側)を自由端として、清掃体140(或いは繊維集合体152)の短辺方向に長尺状に延在する構成とされる。この繊維集合体152は、複数の繊維が束状に形成された「繊維束」とも称呼される。なお、この溶着接合部171、172、173は、後述する通り保持空間180を形成する。
この溶着接合部171、172、173が本発明における「接合部」に対応する実施構成例である。
【0045】
なお、繊維集合体152は、三つの繊維層が積層して形成されているが、繊維層の数は必要に応じて1または複数とすることができる。この繊維集合体152は、所定の平面や曲面による面構造を有するとともに、ある程度の厚みを有する立体形状として、或いは薄肉シート形状として構成されるのが好ましい。繊維集合体152は、典型的にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、レーヨンなどを材質とし、実用上はトウを開繊することによって得られる長繊維(フィラメント)の集合体が用いられることが好ましい。特には、芯部分がポリプロピレン(PP)或いはポリエチレンテレフタレート(PET)であり、この芯部分の外面を覆う鞘部分がポリエチレン(PE)の複合繊維を用いて繊維集合体が構成されるのが好ましい。また、この繊維集合体152を形成する長繊維の繊度は、1〜50dtexのものが好ましく、更には2〜10dtexのものが好ましい。また、各繊維集合体は概ね同様の繊度の繊維から構成されてもよいし、或いは各繊維集合体が異なる繊度の繊維を含む構成であってもよい。
【0046】
また、清掃時の掃き出し機能を向上させるためには、剛性の高い繊維、すなわち繊度が高い繊維を含む繊維集合体を用いるのが好ましい。また、繊維集合体は、捲縮繊維を有する
構成とされるのが好ましい。ここでいう捲縮繊維は、所定の巻き縮み処理が付与された繊維として構成され、繊維同士が絡み易い構造とされる。このような捲縮繊維を用いると、繊維集合体が清掃体ホルダ装着前の状態よりも嵩高となり、更に捲縮部分にごみを取り込み易い構造とされる。本構造は、特にトウ繊維から形成された捲縮繊維を用いることによって実現され得る。
【0047】
清掃体140は、短冊片143を有する。
図6に示すように、保持シート160は、清掃体140の長辺方向において、基材シート151よりも長辺方向が短い長方形状の不織布で形成されたシートである。保持シート160は、清掃体140の短辺方向(長手交差方向X)に複数のジグザグ状の短冊片160aが並列状に延在している。また、基材シート151は、清掃体140の短辺方向(長手交差方向X)に複数のジグザグ状の短冊片151aが並列状に延在している。
すなわち、清掃体140における短冊片143は、保持シート160の短冊片160aと、基材シート151の短冊片151aとにより形成される。一方、清掃体140として短冊片143を有していれば足りるものである。すなわち、清掃体140の短冊片143としては、保持シート160の短冊片160aか、基材シート151の短冊片151aかのいずれか一方でも足りるものである。
この短冊片143、160a、151aが、本発明における「短冊片」に対応する実施構成例である。
なお、複数の短冊片143における長手交差方向Xの長さは、それぞれ同一のものである。
【0048】
なお、清掃体140において、短冊片143が存在する長手方向Yに延びる領域を、第1清掃体領域141とする。一方、清掃体140において、短冊片143が存在しない長手方向Yに延びる領域を第2清掃体領域142とする。
この第1清掃体領域141、第2清掃体領域142が、本発明における「第1清掃シート領域」、「第2清掃シート領域142」に対応する実施構成例である。
【0049】
第1清掃体領域141は、清掃体140における長手交差方向X上の両端部にそれぞれ設けられ、第2清掃体領域142は、一対の第1清掃体領域141の間に設けられる。
なお、第1清掃体領域141は、清掃体140における長手交差方向X上の一方の端部のみを含む領域として設けることも可能である。
【0050】
基材シート151、清掃対象側シート153および保持シート160を構成する不織布は、いずれも典型的には熱溶融性繊維(熱可塑性繊維)からなるシート状の不織布が使用されている。すなわち、これら基材シート151、清掃対象側シート153および保持シート160は、「不織布シート」とも称呼される。なお、清掃時の掃き出し機能を向上させるためには、剛性の高い不織布を用いるのが好ましい。また、各シートの短冊片をジクザグ状とすることによって、ごみを引っ掛けて捕捉し易い清掃機能の高い構造が実現される。なお、短冊片の形状に関しては、ジクザグ状、直線状、曲線状などのうちの単一種類或いは複数種類の形状を適宜用いることができる。
【0051】
図6に示すように、清掃体本体150と保持シート160は、清掃体140の中央部分を清掃体140の長辺方向に延在する中央溶着線170と、中央溶着線170の両側に位置する複数の円形の溶着接合部171、172、173にて溶着接合されている。すなわち、
図7に示すように、清掃体本体150を構成する基材シート151、繊維集合体152、清掃対象側シート153の各シートと、保持シート160が、中央溶着線170において溶着接合されている。また、清掃体本体150のうちの基材シート151と繊維集合体152の一部と、保持シート160が、溶着接合部171、172、173において溶着接合されている。
【0052】
以上の通り各シートが溶着接合されることによって、中央溶着線170と溶着接合部171、172、173との間には、清掃体140の長辺方向に延在する一対の保持空間180が形成されている。また、保持空間180における清掃体140の長辺方向の両端には、開口181それぞれが形成されている。この保持空間180が、本発明における「挿入部」に対応する実施構成例である。
なお、換言すると、保持空間180は、一対の溶着接合部171、172、173との間における保持シート160の所定領域と、基材シート151の所定領域とにより形成される。この内、保持空間180における清掃用具100の上側(
図3の上側)に位置する保持シート160の所定領域を第1挿入領域180Aとする。また、保持空間180における清掃用具100の下側(
図3の下側)に位置する基材シート151の所定領域を第2挿入領域180Bとする。この第1挿入領域180A、第2挿入領域180Bが、本発明における「第1挿入領域」、「第2挿入領域」に対応する実施構成例である。
【0053】
複数の溶着接合部171、172、173は、清掃体140の長辺方向において、曲線状に列を形成するように配置されている。すなわち、開口181側の溶着接合部171は、清掃体140の短辺方向において、中央溶着線170に近接して配置されている。一方、溶着接合部172は、清掃体140の長辺方向における両端の開口181の間の中間領域182に配置され、溶着接合部171に比べて、中央溶着線170から離間して配置されている。溶着接合部173は、中央溶着線170からさらに離間して配置されている。これにより、保持空間180は、清掃体140の短辺方向における、開口181の断面積よりも中間領域182の断面積が大きい構成となっている。換言すると、保持空間180は、清掃体140の厚さ方向において、開口部181よりも中間領域182の変位量が大きい構成となっている。
【0054】
溶着接合部の内、溶着接合部171は、保持シート160と基材シート151の境界に配置される。溶着接合部172は、清掃体140における第1清掃体領域141と第2清掃体領域142の境界に配置される。溶着接合部173は、第1清掃体領域141内に配置される。
【0055】
(清掃体ホルダと清掃体の係合)
次に
図8を参照しつつ、清掃体ホルダ110と清掃体140の係合について説明する。
図8に示すように、保持部材131はそれぞれ、保持空間180に挿入が可能とされている。保持部材131が保持空間180に挿入されることで、清掃体140が清掃体ホルダ110に保持される。
【0056】
清掃体140が清掃体ホルダ110に保持されている状態においては、保持部材131が、長手交差方向Xに関して、第1清掃体領域141と第2清体領域142の双方に亘って配置される。
すなわち、保持部材131における基部132部分の端部と、先端部133とが第2清掃体領域142に配置される。そして、保持部材131における中間部134の内、特に第1最外部134Xを有する領域が第1清掃体領域141に配置される。
【0057】
この結果、清掃体140を清掃体ホルダ110に保持させた状態にあっては、短冊片143における長手交差方向Xの長さを異ならせることができる。すなわち、保持部材131が第2清掃体領域142に配置されている領域においては、短冊片143の長手交差方向Xの長さは、清掃体140に形成された短冊片143の長手交差方向Xの長さと同一である。一方、保持部材131が第1清掃体領域141に配置されている領域においては、短冊片143の長手交差方向Xの長さは、清掃体140に形成された短冊片143の長手交差方向Xの長さよりも短いこととなる。
【0058】
すなわち、保持部材131の第1最外部134Xが形成されている領域の短冊片143は、その他の領域における保持部材131が配置されている短冊片に比して、剛性を高めることができる。
なお、保持部材131の中間部134は、第1最外部134Xを極大値とする曲線状に形成されている。よって、清掃体140を清掃体ホルダ110に保持させた状態にあっては、中間部134の端部側短冊片143から、中間部134の第1最外部134X側の短冊片143に向かい、段階的に短冊片143の剛性を上げることが可能となる。
【0059】
よって、ユーザは、高い剛性を有する第1最外部134X側の短冊片にて、被清掃面のゴミやほこりを容易に払うことができることとなる。
【0060】
次に、
図9〜
図11に基づき、清掃体ホルダ110を清掃体140に挿入する際の動作につき説明する。
まず、
図9に示すように、清掃体ホルダ110を挿入方向Y1に移動させる。そして、清掃体ホルダ110の先端部133を、清掃体140の開口181に位置決めする。
この際、一対の開口181の間における長手交差方向Xの長さは、一対の先端部133の間における長手交差方向Xの長さよりも短く形成されている。
よって、先端部133を開口181に挿入した状態で、清掃体ホルダ110を挿入方向に移動させると、一対の保持部材131がそれぞれ内側方向D2に湾曲される。
【0061】
次に、
図10に示すように、第1凸部137が溶着接合部171に当接する。この状態において、さらに清掃体ホルダ110を挿入方向Y1に移動させると、第1凸部137の第2最外部137X
が溶着接合部171を経過するまで一対の保持部材131がそれぞれ内側方向D2に湾曲される。そして、第1凸部137の第2最外部137Xが溶着接合部171を超えると、一対の保持部材131がそれぞれ外側方向D1へ復帰しようとする。
【0062】
ここで、
図11に示すように、第1凸部137が溶着接合部171を超えた状態においては、一対の保持部材131における外側方向D1の復帰動作は、溶着接合部171により規制される。さらに清掃体ホルダ110を挿入方向Y1に移動させると、一対の保持部材131は、第1最外部134Xまでは内側方向D2に湾曲する方向に動作し、第1最外部134Xを超えると外側方向D1へ復帰する方向へ動作する。これに伴い、第1凸部137も同様の動作を行う。
すなわち、清掃体ホルダ110の挿入方向Y1の挿入動作に伴い、第1凸部137が溶着接合部171以外の溶着接合部172、173に接触する可能性を低減することができる。
【0063】
また、清掃体ホルダ110が清掃体140に保持されている状態から、清掃体ホルダ110を引抜方向Y2へ移動させた場合には、上記の動作と逆の動作が行われる。
すなわち、清掃体ホルダ110の第2凸部138が溶着接合部171を乗り越えた後において、一対の保持部材131は、第1最外部134Xまでは内側方向D2に湾曲する方向に動作し、第1最外部134Xを超えると外側方向D1へ復帰する方向へ動作する。これに伴い、第1凸部137も同様の動作を行う。
よって、清掃体ホルダ110の引抜方向Y2の挿入動作に伴い、第1凸部137が溶着接合部171以外の溶着接合部172、173に接触する可能性を低減することができる。
【0064】
つまり、本実施形態に係る清掃用具100においては、清掃体ホルダ110を清掃体140に挿入する場合や、清掃体ホルダ110を清掃体140から引抜く場合において、ユーザがスムーズな動作を行うことができるものである。
【0065】
また、本実施形態によれば、清掃対象側シート153の短冊片153aの幅を基材シート151の短冊片151aよりも小さい構成としているため、繊維集合体152の繊維が清掃対象側シート153の短冊片153aに絡み付き易い構造を実現することが可能となる。すなわち、清掃体140における清掃対象に対向する面の短冊片153aと繊維が絡むことにより、清掃体140の清掃対象に対向する側をよりボリュームアップすることになる。したがって、塵や埃を捕捉する清掃機能が向上する。一方、基材シート151の短冊片151aや保持シート160の短冊片160aは、清掃対象側シート153の短冊片153aよりも繊維集合体152の繊維に絡みづらくなっている。そのため、短冊片151aと短冊片160aは、繊維集合体152の動きとは独立して埃掃き出し機能を発揮することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、溶着接合部171、172、173は、中央溶着線170に対して対称に配置されているだけでなく、中央溶着線170の中心を通り、中央溶着線170に垂直な直線に対しても対称に配置されていることが好ましい。このような構成によれば、いずれの開口181からでも保持部材131を保持空間180に挿入させることができる。
【0067】
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施形態を応用した次の各変形例を実施することもできる。
【0068】
(第1変形例)
次に、
図12〜
図14に基づき第1変形例を説明する。なお、第1変形例に係る清掃用具は、第1の実施形態の清掃用具100に比して、清掃体ホルダ110における清掃体保持部130の構成が異なるものである。
【0069】
つまり、第1変形例における清掃体保持部130の中間部134は、第1弾性部材135と第2弾性部材136で構成されている。すなわち、第1弾性部材135と第2弾性部材136は、基部132側と先端部133側で互いに連結されている。そして、基部132と先端部133の中間部分の領域においては、第1弾性部材135と第2弾性部材136が互いに離間するように構成されている。
図13に示すように、第1弾性部材135は、基部132と先端部133の中間部分の領域において、基部132と先端部133より清掃体ホルダ110の下方(
図13の下方)に突出している。一方、第2弾性部材136は、当該領域において、基部132と先端部133より清掃体ホルダ110の上方(
図13の上方)に突出している。
【0070】
また、
図12に示すように、一方の保持部材131の第1弾性部材135と、他方の保持部材131の第1弾性部材135は、基部132と先端部133の中間部分の領域において、互いに近接するように配置されている。また、一方の保持部材131の第2弾性部材136と、他方の保持部材131の第2弾性部材136は、当該領域において、互いに離間するように配置されている。
【0071】
以上のように構成された中間部134は、1つの保持部材131を構成する第1弾性部材135と第2弾性部材136が、基部132と先端部133の中間部分の領域において、清掃体ホルダ110の上下方向および左右方向において最も離間するように配置されている。これらの離間距離は、
図12における清掃体ホルダ110の左右方向離間距離Wおよび、
図13における清掃ホルダ110の上下方向離間距離Dで示される。第1弾性部材135、第2弾性部材136は、樹脂材料で成型されているため、弾性変形によって、清掃体ホルダ110の上下方向および左右方向に撓むように構成されている。なお、清掃体ホルダ110の上下方向における上下方向離間距離D、すなわち、清掃体ホルダ110の初期状態における上下方向離間距離Dは、第1弾性部材135と第2弾性部材136を弾性変形によって上下方向に近接させた状態における第1弾性部材135と第2弾性部材136の距離に対する比率が250%以上であることが好ましい。
【0072】
図12に示すように、第2弾性部材136の側面には、凸部137、138が形成されている。すなわち、第2弾性部材136の先端部133側には、凸部137が形成されており、第2弾性部材136の基部132側には、凸部138が形成されている。これらの凸部137、138は、平面視で半円状に形成されている。
【0073】
次に
図14を参照しつつ、清掃体ホルダ110と清掃体140の係合について説明する。
保持空間180の開口181の幅は、第1保持部材135と第2保持部材136の左右方向離間距離Wまたは上下方向離間距離Dのうちの大きい方よりも、小さく形成されている。そのため、保持部材131を保持空間180に挿入する過程において、第1弾性部材135と第2保持部材136は、開口181を通過する際に、互いに近接するように弾性変形する。
【0074】
第1弾性部材135と第2弾性部材136が開口181を通過した後は、復元力により、第1弾性部材135と第2弾性部材136は、基部132と先端部133の中間領域において、互いに離れる方向に変形する。すなわち、初期状態に戻るように変形する。これにより、
図14に示すように、保持空間180が、第1弾性部材135と第2弾性部材136によって上下方向に拡張される。
【0075】
保持空間180への保持部材131の挿入が完了すると、凸部137、138が溶着接合部172の間に保持される。また、
図14に示すように、第1弾性部材135と第2弾性部材136の復元力によって、第1弾性部材135は、保持シート160を上方に押し上げ、第2弾性部材136は、基材シート151を下方に押し下げる。これにより、保持空間180内において、保持部材131が中間領域182に係合される。このとき、押え板139が清掃体140を上方から押えつけるとともに、押え板139の下面に設けられた係止突部(図示省略)が清掃体140の抜け止めとして作用する。これにより、清掃体140が清掃体保持部131によって確実に保持される。なお、保持部材130は、清掃体140の両端に形成されたいずれの開口181から保持空間180に挿入させてもよい。
【0076】
以上の第1変形例によれば、清掃体140が清掃体ホルダ110に保持された状態において、清掃体保持部130が清掃体140を上下方向に拡張させて保持する。すなわち、保持部材131が弾性変形可能な第1弾性部材135と第2弾性部材136で形成されており、第1弾性部材135と第2弾性部材136の復元力によって、清掃体140を厚さ方向に拡張している。そのため、清掃体140の嵩が高められた状態で保持される。
【0077】
特に、繊維集合体152の嵩が高められた状態となる。繊維集合体152の嵩が高められた状態は、ボリューム感の高い状態として規定することができ、「嵩高状態」、「ボリュームアップ状態」、「空間充満度の高い状態」或いは「バルキー度の高い状態」ということもできる。
したがって、繊維集合体152の嵩を高めることによって清掃効果向上を図ることが可能となる。また、繊維集合体152の嵩が高められることによって、被清掃面に対する密着の度合いが高まり、繊維集合体152の汚れが際立ち易く(黒くなり易く)なり、使用者はゴミが確実に捕捉されているという実感が得られることとなり満足度が高まる。
【0078】
また、第1変形例によれば、第1弾性部材135と第2弾性部材136は、清掃体ホルダ110の上下方向に離間しているだけでなく、清掃体ホルダ110の左右方向にも離間している。すなわち、第1弾性部材135と第2弾性部材136は、清掃体140の厚さ方向に離間して配置され、清掃体140を嵩高に保持するだけでなく、清掃体140の厚さ方向に交差する方向に離間して配置され、平面視における清掃体140の面積を確保している。換言すると、清掃体140は、平面視における面積が小さくなることを抑制しつつ、嵩高に保持される。したがって、清掃体140を広範な範囲で嵩高に保持することができ、清掃効率を向上することができる。
【0079】
清掃体140が清掃体ホルダ110に保持された状態では、保持部材131が保持空間180の内部を拡張する方向に押圧する。保持空間180は、保持シート160により形成された第1挿入領域180Aと、基材シート151により形成された第2挿入領域180Bとの間に形成されている。つまり、保持部材131の第1弾性部材135が、保持空間180の第2挿入領域180Bを押圧する。また、保持部材131の第2弾性部材136が、保持空間180の第1挿入領域180Aを押圧する。この結果、保持空間180における、第1挿入領域180Aと第2挿入領域180Bとには張力が付与される。すなわち、保持部材131における第1弾性部材135と第2弾性部材
136とは、特に保持空間180における第2挿入領域180Bに所定の張力を与えるテンション付与部190とされる。さらに、第2弾性部材136は、第1テンション付与部190Aとされる。さらに、第1弾性部材135は、
第2テンション付与部190Bとされる。
【0080】
一方、第1弾性部材135は、第2弾性部材136よりも長手交差方向Xにおける内側に配置されている。すなわち、第2テンション付与部190Bは、第1テンション付与部190Aよりも長手交差方向Xにおける内側に配置されている。
よって、
第2挿入領域180Bは、第2テンション付与部190B(第1弾性部材135)から第1テンション付与部190A(第2弾性部材136)に亘り、下から上(
図13の下から上)方向へテンションを付与されつつ傾斜される。すなわち、第2挿入領域180Bは、テンション部191を形成する。
【0081】
この結果、第2挿入領域180Bは、第1挿入領域180Aが配置されている方向(
図13の上方)へ傾斜される。さらに、第2挿入領域180Bと連続されている短冊片160a、151aも第1挿入領域180Aが配置されている方向(
図13の上方)へ移動される。
【0082】
この結果、清掃体140においては、短冊片160a、151aと、清掃対象側シート153の距離が離間される。すなわち、清掃体140が清掃対象に接するべき領域を増加させることができる。
さらに、この種の繊維集合体152を有する清掃用具100にあっては、使用前にユーザが清掃具100を振って繊維集合体152を開繊させる場合がある。本発明においては、繊維集合体152が開繊されるべき領域を確保できる。よって、繊維集合体152の開繊状態が良好なものとなる。
【0083】
さらに、清掃体保持部130は二股状に、2つの保持部材131で形成されているため、清掃体ホルダ110が、清掃体140を嵩高に保持する状態において、清掃体140の平面視における面積が小さくなることをさらに抑制することができる。
【0084】
また、第1変形例によれば、第1弾性部材135と第2弾性部材136は、基部132と先端部133から等距離に位置する中間部分において、清掃体ホルダ110の上下方向および左右方向において最も離間している。そのため、清掃体ホルダ110によって保持された清掃体140の中心において、清掃体140を最も嵩高にすることができる。これにより、清掃体140を効率的に嵩高に保持することができる。
【0085】
また、第1変形例によれば、清掃体140が清掃体ホルダ110に保持された状態において、第1弾性部材135と第2弾性部材136の復元力によって、保持空間180内で、保持部材131が中間領域182に係合される。すなわち、第1弾性部材135と第2弾性部材136の復元力によって、清掃中に清掃体140が清掃体ホルダ110から抜けることを抑制することができる。
【0086】
(第2変形例)
次に、
図15〜
図24に基づき、第2変形例を説明する。第2弾性部材236は、凸部237と、凸部238とを有する。凸部237は、第2弾性部材236の先端部233側に設けられる。凸部238は、第2弾性部材236の基部232側に設けられる。
【0087】
凸部237は、挿入方向Y1側に設けられた挿入側領域237Aと、引抜方向Y2側に設けられた引抜側領域237Cとを有する。さらに、凸部237は、挿入側領域237Aと引抜側領域237Cとの間に設けられた中間領域237Bを有する。この挿入側領域237A、中間領域237B、引抜側領域237Cが、本発明における「挿入側領域」、「中間領域」、「引抜側領域」に対応する実施構成例である。
【0088】
次に、凸部237の構造を説明する。なお、便宜上、先端側233の凸部237の構造のみ説明するが、基部232側の凸部238が凸部237と同様の構成を有することができるのはもちろんである。
図16は、清掃体ホルダ210を挿入方向Y1に移動させて、清掃体ホルダ210の保持部材231を、清掃体140の保持空間180に挿入する状態を示す。
この場合、凸部237の挿入側領域237Aが、清掃体140の接合部171Aに当接する。この挿入側領域237Aが接合部171Aに最初に当接する点を、挿入開始点237A1とする。この挿入開始点237A1が、本発明における「挿入開始点」に対応する実施構成例である。
【0089】
次に、
図17に示すように、挿入側領域237Aが接合部171Aに最後に当接する点まで、清掃体ホルダ210を挿入方向Y1へさらに移動させる。この、挿入側領域237Aが接合部171Aに最後に当接する点を挿入終了点237A2とする。この挿入終了点237A2が、本発明における「挿入終了点」に対応する実施構成例である。
【0090】
次に、
図18に示すように、清掃体ホルダ210を挿入方向Y1へさらに移動させる。すると、接合部171Aは、挿入終了点237A2を通過して中間領域237Bに当接する。そしてさらに清掃体ホルダ210を挿入方向Y1に移動することにより、清掃体ホルダ210と清掃体140の装着は完了する。
【0091】
ここで、
図19に示すように、挿入開始点237A1と、挿入終了点237A2とを結んだ直線を、第1の凸部仮想直線L1とする。そして、挿入開始点237A1を通過する挿入方向Y1と平行な直線を第2の凸部仮想直線L2とする。そして、第1の凸部仮想直線L1と第2の凸部仮想直線L2とにより形成される角度を第1の角度A1とする。
この第1の凸部仮想直線L1、第2の凸部仮想直線L2、第1の角度A1が、本発明における「第1の仮想直線」、「第2の仮想直線」、「第1の角度」に対応する実施構成例である。
【0092】
図20は、清掃体ホルダ210と清掃体140が装着されている状態から、清掃体ホルダ210を引抜方向Y2に移動させる状態を示す。
この場合、凸部237の引抜側領域237Cが、清掃体140の接合部171Aに当接する。この引抜側領域237Cが接合部171Aに最初に当接する点を、引抜開始点237C1とする。この引抜開始点237C1が、本発明における「引抜開始点」に対応する実施構成例である。
【0093】
次に、
図21に示すように、引抜側領域237Cが接合部171Aに最後に当接する点まで、清掃体ホルダ210を引抜方向Y2へさらに移動させる。この、引抜側領域237Cが接合部171Aに最後に当接する点を引抜終了点237C2とする。この引抜終了点237C2が、本発明における「引抜終了点」に対応する実施構成例である。
【0094】
次に、
図22に示すように、清掃体ホルダ210を引抜方向Y2へさらに移動させる。すると、接合部171Aは、引抜終了点237C2を通過して中間領域237Bに当接する。そしてさらに清掃体ホルダ210を引抜方向Y2に移動することにより、清掃体ホルダ210は清掃体140から取り外される。
【0095】
ここで、
図23に示すように、引抜開始点237C1と、引抜終了点237C2とを結んだ直線を、第3の凸部仮想直線L3とする。そして、引抜開始点237C1を通過する引抜方向Y2と平行な直線を第4の凸部仮想直線L4とする。そして、第3の凸部仮想直線L3と第4の凸部仮想直線L4とにより形成される角度を第2の角度A2とする。
この第3の凸部仮想直線L3、第4の凸部仮想直線L4、第2の角度A2が、本発明における「第3の凸部仮想直線」、「第4の凸部仮想直線」、「第2の角度」に対応する実施構成例である。
【0096】
ここで、
図24に示すように、第1の角度A1は、第2の角度A2よりも小さく構成されている。これが、本発明における「前記第1の角度は、前記第2の角度よりも小さく形成されている」の実施構成例である。
凸部237をこのように構成することによって、清掃体ホルダ210を清掃体140に装着する際には、スムーズに作業を行うことができる。一方、清掃用具100を使用する際には、清掃体ホルダ210と清掃体140とが分離しにくくなる。
【0097】
(第3変形例)
次に、
図25〜
図26に基づき、第3変形例を説明する。第3変形例に係る清掃体ホルダ310の清掃体保持部330は、第1弾性部材335と第2弾性部材336とにより構成される。第2弾性部材336は、先端部333側の凸部337と、基部332側の凸部338とを有する。先端部333側の凸部337は、第2弾性部材336の先端部333側を外側方向に変形させることにより形成されている。
【0098】
すなわち、第3変形例に係る清掃体ホルダ310の先端部333側の凸部337は、第2変形例に係る清掃体ホルダ110の先端部133側の凸部237に比して、第2弾性部材336と凸部337との境界が明確ではないものである。
さらに、このような構造の凸部337については、特に凸部337の挿入側領域337Aがどこから開始するのかが問題となる。
【0099】
よって、このような構造の凸部337に関する「第1の角度」の求め方を、
図26に基づき説明する。
図26は、清掃体ホルダ310を挿入方向Y1に移動させて、清掃体ホルダ310の保持部材331を、清掃体340の保持空間180に挿入する状態を示す。
この場合、凸部337が、清掃体340の接合部171Aに当接する。この挿入側領域337Aが接合部171Aに最初に当接する点を、挿入開始点337A1とする。また、この挿入開始点337A1から中間部337Bに亘る部分を、凸部337の挿入側領域337Aとする。
これにより、凸部337のような構造であっても、上述した第3変形例と同様に、挿入開始点337A1と、挿入終了点とを確定することが可能となる。よって、凸部337においても、第1の角度を決定することができる。
【0100】
(第4変形例)
次に、
図27〜
図28に基づき、第4変形例を説明する。
図27〜
図28においては、便宜上、第2弾性部材436と、先端部側の凸部437の構造のみを説明する。
凸部437は、挿入側領域437Aと、引抜側領域437Cが直線により構成されている。よって、中間領域437Bは点状となる。
【0101】
図28は、清掃体ホルダを挿入方向Y1に移動させて、清掃体ホルダの保持部材を清掃体140の保持空間180に挿入する状態と、清掃体ホルダを引抜方向Y2に移動させて、清掃体ホルダの保持部材を清掃体140の保持空間180から引抜く状態との双方を示す説明図である。
このような構造の凸部437の場合、挿入終了点437A2と、引抜終了点437C2とが、中間領域437Bにて一致することとなる。一方、挿入終了点437A2と、引抜終了点437C2が凸部437における同一の部分であっても、「第1の角度」および「第2の角度」を求めることに何ら問題はないものである。
【0102】
(第5変形例)
次に、
図29〜
図30に基づき、第5変形例を説明する。
図29〜
図30においては、便宜上、第2弾性部材536と、先端部側の凸部537の構造のみを説明する。
凸部537は、挿入側領域537Aに凹部537AAを有する。
【0103】
図30は、清掃体ホルダを挿入方向Y1に移動させて、清掃体ホルダの保持部材を清掃体140の保持空間180に挿入する状態を示す説明図である。
凸部537の場合は凹部537AAが存在しているため、挿入領域537Aと接合部171Aの当接状態は、上述した第2変形例〜第4変形例に係る凸部とは異なるものである。
すなわち、凸部537の挿入領域537Aが挿入開始点(図示せず)から挿入終了点537A1に至るまでに、接合部171Aが凹部537AAを経由する。
一方、仮にこのように挿入領域537Aに凹部537AAを有する構成であっても、あくまで挿入終了点537A2は、挿入側領域537Aが接合部171Aに最後に当接する点である。このことは、引抜側領域537Cが凹部を有する場合であっても同様である。
よって、凸部537が凹部537AAを有する構造であっても、「第1の角度」および「第2の角度」を求めることに何ら問題はないものである。
【0104】
なお、
図15〜
図30に基づく第2変形例〜第5変形例においては、先端部側の凸部における構成を中心に説明を行った。一方、上述した先端部側の凸部における構成を、基部側の凸部にも適宜実施可能なことはもちろんである。
【0105】
なお、
図15〜
図30に基づく第2変形例〜第5変形例においては、便宜上、清掃体ホルダの凸部と当接する清掃体の接合部として、「接合部171A」のみを説明した。一方、第1の角度A1と第2の角度A2を求める場合、様々な形状の接合部や、様々な配置の接合部の集合に対しても適宜応用することができるのはもちろんである。
この際、例えば清掃体における接合部の形状や、複数存在する接合部の配置形態や、さらには清掃体ホルダの中間部の構成次第においては、長手方向に連続するそれぞれの接合部に対し、第1の角度A1や第2の角度A2が異なった角度となる可能性がある。
このように、複数の第1の角度A1を有する場合は、最も小さい角度を本発明に係る「第1の角度」とする。
さらに、複数の第2の角度A2を有する場合は、最も大きい角度を本発明に係る「第2の角度」とする。
【0106】
以上においては、清掃体ホルダ110は、二股状に、2つの保持部材131を有していたが、二股状に形成することなく、1つの保持部材131のみを有していてもよい。
【0107】
(実施の形態ないし実施例本発明の各構成要素の対応について)
清掃具100は、本発明に係る「清掃具」の一例である。清掃体140は、本発明に係る「清掃シート」の一例である。清掃体ホルダ110、210、310は、本発明に係る「保持具」の一例である。長手方向Yは、本発明に係る「長手方向」の一例である。長手交差方向Xは、本発明に係る「長手交差方向」の一例である。長手交差方向中心点XCPは、本発明に係る「長手交差方向中心点」の一例である。長手方向中心線YCLは、本発明に係る「長手方向中心線」の一例である。外側方向100D1は、本発明に係る「外側方向」の一例である。内側方向100D2は、本発明に係る「内側方向」の一例である。保持空間180は、本発明に係る「挿入部」の一例である。清掃体保持部130、230、330は、本発明に係る「保持部」の一例である。第1最外部134Xは、本発明に係る「第1最外部」の一例である。凸部137、138、237、238、337、338、437、537は、本発明に係る「凸部」の一例である。第2最外部138Xは、本発明に係る「第2最外部」の一例である。ハンドル部120は、本発明に係る「把持部」の一例である。第1最外仮想直線X1は、本発明に係る「第1最外仮想直線」の一例である。第2最外仮想直線X2は、本発明に係る「第2最外仮想直線」の一例である。基部132、232、332は、本発明に係る「連接部」の一例である。先端部133、233、333は、本発明に係る「先端部」の一例である。中間部134、234、334は、本発明に係る「延在部」の一例である。凸部137、237、337、437、538は、本発明に係る「第1凸部」の一例である。凸部138、238、338は、本発明に係る「第2凸部」の一例である。清掃体本体150は、本発明に係る「当接シート」の一例である。保持シート160は、本発明に係る「保持シート」の一例である。接合部171、172、173、171Aは、本発明に係る「接合部」の一例である。挿入側領域237A、337A、437A、537Aは、本発明に係る「挿入側領域」の一例である。引抜側領域237C、337C、437C、537Cは、本発明に係る「引抜側領域」の一例である。中間領域237B、337B、437B、537Bは、本発明に係る「中間領域」の一例である。挿入開始点237A1、337A1は、本発明に係る「挿入開始点」の一例である。挿入終了点237A2、437A2、537A2は、本発明に係る「挿入終了点」の一例である。第1の凸部仮想直線L1は、本発明に係る「第1の凸部仮想直線」の一例である。第2の凸部仮想直線L2は、本発明に係る「第2の凸部仮想直線」の一例である。第1の角度A1は、本発明に係る「第1の角度」の一例である。引抜開始点237C1は、本発明に係る「引抜開始点」の一例である。引抜終了点237C2、437C2、537C2は、本発明に係る「引抜終了点」の一例である。第3の凸部仮想直線L3は、本発明に係る「第3の凸部仮想直線」の一例である。第4の凸部仮想直線L4は、本発明に係る「第4の凸部仮想直線」の一例である。第2の角度A2は、本発明に係る「第2の角度」の一例である。
【0108】
以上の発明の趣旨に鑑み、本発明に係る清掃具は、下記の態様が構成可能である。
(態様1)
清掃シートと、前記清掃シートを保持する保持具からなる清掃具であって、
該清掃具は、清掃シートに保持具を挿入する方向である長手方向と、
該長手方向と交差する方向である長手交差方向と、
前記清掃具における長手交差方向上の中心である長手交差方向中心点と、
前記長手交差方向中心点を通過する前記長手方向と平行な直線である長手方向中心線と、
前記長手交差方向中心点から前記清掃具が存在しない領域へ向く方向である外側方向と、
前記清掃具が存在しない領域から前記長手交差方向中心点へ向く方向である内側方向と、を有し、
前記清掃シートは、前記保持具が挿入される挿入部を有し、
前記保持具は、前記清掃シートの挿入部に挿入される一対の保持部と、該保持部の前記長手交差方向における前記外側方向に最も突出した部分である第1最外部と、該保持部における前記外側方向に設けられた凸部と、該凸部の前記長手交差方向における外側方向に最も突出した部分である第2最外部と、前記保持部に連結されてユーザに把持される把持部とを有し、
前記長手方向中心線と前記第1最外部とを結ぶ最短直線である第1最外仮想直線と、
前記長手方向中心線と前記第2最外部とを結ぶ最短直線である第2最外仮想直線と、が形成され、第1最外仮想直線は、第2最外仮想直線よりも長く形成されていることを特徴とする清掃具。
(態様2)
態様1に記載された清掃具において、
前記保持部は、前記把持部に連接した連接部と、前記連接部と反対側の先端部と、前記連接部から前記先端部に向かって延在した延在部を有し、
前記第1最外部は、前記延在部に設けられていることを特徴とする清掃具。
(態様3)
態様1または2のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記最外部は、前記延在部における前記長手方向の長さを2分した位置に設けられていることを特徴とする清掃具。
(態様4)
態様1〜3のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記延在部は、前記第1最外部を極大値とする曲線状に形成されていることを特徴とする清掃具。
(態様5)
態様1〜4のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記凸部は、前記保持部における前記先端部側に設けられた第1凸部と、前記保持部における前記連接部側に設けられた第2凸部とにより形成されることを特徴とする清掃具。
(態様6)
態様5に記載された清掃具において、
前記第2最外部は、前記第1凸部に形成されることを特徴とする清掃具。
(態様7)
態様1〜6のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記清掃シートは、清掃対象を清掃するために当該清掃対象に当接する当接シートと、該当接シートに積層された保持シートと、前記当接シートと前記保持シートとを接合し、前記挿入部を形成する接合部と、を有することを特徴とする清掃具。
(態様8)
態様7に記載の清掃具において、
前記清掃具は、前記長手方向と平行な方向である挿入方向と、該挿入方向と反対を向く方向である引抜方向と、を有し、
前記凸部は、前記挿入方向側に設けられた挿入側領域と、前記引抜方向側に設けられた引抜側領域と、前記挿入側領域と前記引抜側領域との間に設けられた中間領域とを有し、
該凸部には、前記保持具を前記挿入部に挿入する状態において前記挿入側領域が前記接合部に最初に当接する点である挿入開始点と、前記保持具を前記挿入部に挿入する状態において前記挿入側領域が前記接合部に最後に当接する点である挿入終了点と、前記挿入開始点と前記挿入終了点を結ぶことにより形成される第1の凸部仮想直線と、前記挿入開始点を通過する前記挿入方向と平行な直線である第2の凸部仮想直線と、前記第1の凸部仮想直線と前記第2の凸部仮想直線とにより形成される第1の角度と、前記保持具を前記挿入部から引抜く状態において前記引抜側領域が前記接合部に最初に当接する点である引抜開始点と、前記保持具を前記挿入部から引抜く状態において前記引抜側領域が前記接合部に最後に当接する点である引抜終了点と、前記引抜開始点と前記引抜終了点を結ぶことにより形成される第3の凸部仮想直線と、前記引抜開始点を通過する前記引抜方向と平行な直線である第4の凸部仮想直線と、前記第3の凸部仮想直線と前記第4の凸部仮想直線とにより形成される第2の角度と、が形成され、
前記第1の角度は、前記第2の角度よりも小さく形成されていることを特徴とする清掃具。
(態様9)
態様1〜8のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記保持具が前記挿入部に挿入されて前記清掃シートを保持した状態において、前記清掃シートの、前記延在部に対応する部分が、前記連接部に対応する部分より、前記清掃シートの厚さ方向に関して厚い構成であることを特徴とする清掃具。
(態様10)
態様9に記載された清掃具において、
前記保持具が前記挿入部に挿入されて前記清掃シートを保持した状態において、前記清掃シートの、前記延在部に対応する部分が、前記先端部に対応する部分より、前記清掃シートの厚さ方向に関して厚い構成であることを特徴とする清掃具。
(態様11)
態様9または10に記載された清掃具において、
前記挿入部は、前記保持部が挿入される開口部と、前記開口部に連通する内部空間が形成され前記延在部と係合する係合部とを有し、
前記保持具が前記挿入部に挿入されて前記清掃シートを保持した状態において、当該挿入方向に直交する方向における、前記開口部が形成する開口の断面積よりも前記係合部の前記内部空間の断面積が大きい構成であることを特徴とする清掃具。
(態様12)
態様11に記載された清掃具において、
前記係合部は、前記清掃シートの厚さ方向に関して、前記開口部よりも、変位量が大きい構成であることを特徴とする清掃具。
(態様13)
態様11または12のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記開口部は、前記清掃シートの前記長手方向に平行な方向において、所定距離だけ離間した箇所で前記保持シートが前記当接シートに接合されて形成されており、
前記係合部は、前記清掃シートの前記長手方向に平行な方向において、前記所定距離よりも長い距離離間した箇所で前記保持シートが前記当接シートに接合されて形成されている構成であることを特徴とする清掃具。
(態様14)
態様1〜13のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記一対の延在部は、2つの長尺状部材で構成されており、
2つの前記長尺状部材は、前記連接部で互いに連結されていることを特徴とする清掃具。
(態様15)
態様14に記載された清掃具において、
前記長尺状部材は、弾性変形可能な2つの弾性部材で構成されており、
2つの前記弾性部材は、前記連接部側と前記先端部側で互いに連結されており、前記保持具が前記挿入部に挿入されて前記清掃シートを保持した状態において、前記連接部と前記先端部の中間領域において、
前記清掃シートの厚さ方向に離間して配置されていることを特徴とする清掃具。
(態様16)
態様15に記載された清掃具において、
前記中間領域は、前記連接部と前記先端部から等距離に位置する中間部分を含む領域であることを特徴とする清掃具。
(態様17)
態様15または16に記載された清掃具において、
2つの前記弾性部材は、弾性変形によって、前記中間領域における
前記清掃シートの厚さ方向の距離と
前記清掃シートの厚さ方向に交差する方向の距離が可変であることを特徴とする清掃具。
(態様18)
態様17に記載された清掃具において、
2つの前記弾性部材は、
前記清掃シートの厚さ方向において、外力の作用による弾性変形したときの最小厚さに対する、外力が作用しない状態における最大厚さの比率が250%以上であることを特徴とする清掃具。
(態様19)
態様1〜18のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記清掃シートは、前記挿入部と連続するとともに前記長手交差方向へ延びるシート部材からなる短冊片を有し、
前記挿入部は、シート部材からなる第1挿入領域と、シート部材からなる第2挿入領域とにより形成され、
前記保持具における前記保持部は、前記清掃シートの前記第2挿入領域に所定の張力を与えるテンション付与部を有し、
前記清掃シートの挿入部に前記保持具の前記保持部を挿入した状態において、前記保持部の前記テンション付与部により前記清掃シートの前記第2領域が張力を付与されテンション部を形成するとともに、該テンション部における前記長手交差方向の短冊片が、前記第1挿入領域が配置されている方向へ移動されることを特徴とする清掃具。
(態様20)
態様19に記載された清掃具において、
前記テンション付与部は、前記清掃シートの前記第1挿入領域に張力を付与する第1テンション付与部と、前記清掃シートの前記第2挿入領域に張力を付与する第2テンション付与部とからなることを特徴とする清掃具。
(態様21)
態様19または20のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記第2テンション付与部は、前記第1テンション付与部よりも前記長手交差方向における内側に配置されていることを特徴とする清掃具。
(態様22)
態様19〜21のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記テンション部は、前記第2テンション付与部から前記第1テンション付与部に亘り形成されることを特徴とする清掃具。