(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
(清掃用具の概略)
以下、本発明の実施形態について、
図1〜
図10を参照しつつ詳細に説明する。まず、本発明における「清掃具」の一実施の形態である清掃用具Aの構成につき説明する。この清掃用具Aを用いて清掃される清掃対象としては、一戸建て、マンション、ビル、工場、車両などの室内、室外、屋外における被清掃面(床面、壁面、窓、天井面、外壁面、家具面、衣類、カーテン、寝具、照明、家電品など)や、人体の各構成部位における被清掃面などが挙げられる。これら各種の被清掃面は、平面として構成されてもよいし、或いは曲面、凹凸面、段差面として構成されてもよい。
【0018】
図1に示すように、清掃用具Aは、清掃体ホルダ200と清掃体100で構成されている。清掃体ホルダ200は、清掃体100に着脱可能であり、清掃体100を保持するように構成されている。この清掃用具Aが本発明における「清掃具」の一例である。この清掃体ホルダ200が、本発明における「保持具」の一例である。この、清掃体100が、本発明における「清掃シート」の一例である。
【0019】
清掃体100は、長手方向Yと、長手方向Yと交差する方向によって規定される長手交差方向Xの双方に延在するように構成される。この長手方向Yは、清掃体100に清掃体ホルダ200を挿入する方向と平行な方向により規定される。この清掃体100に清掃体ホルダ200を挿入する方向は、挿入方向Y1とされる。この挿入方向Y1と反対向きの方向は引抜方向Y2とされる。
長手方向Yおよび長手交差方向Xのそれぞれと交差する方向は、厚み方向Zとされる。なお、本発明に係る実施形態の説明において、特別の記載がない限りは、「交差」とは「直交」を意味するものである。
この長手方向Yが、本発明における「長手方向」の一例である。この、長手交差方向Xが、本発明における「長手交差方向」の一例である。この厚み方向Zが、本発明における「厚み方向」の一例である。
【0020】
清掃体100において、長手交差方向Xの中心となる点を長手交差方向中心点XCPと規定する。なお、長手交差方向中心点XCPを形成するための長手交差方向Xは、清掃体100上における任意の箇所の長手交差方向Xを適宜採択し得るものである。
そして、長手交差方向中心点XCPを通過する、長手方向Yと平行な直線を長手方向中心線YCLと規定する。
【0021】
長手交差方向中心点XCPから清掃体100が存在しない領域へ向く方向を外側方向100D1と規定する。さらに、清掃体100が存在しない領域から長手交差方向中心点XCPへ向く方向を内側方向100D2と規定する。
【0022】
(清掃体ホルダの構成)
図2に示すように、清掃体ホルダ200は、ハンドル部210および清掃体保持部220を主体として構成されている。ハンドル部210は、長尺状に形成されており、清掃時にユーザに保持される部材である。ハンドル部210は、ハンドル211とハンドル接合部212を有している。ハンドル接合部212は、清掃体保持部220の連接部230に接合されている。そして、ハンドル211は、ハンドル接合部212から延在する長尺状に形成されている。このハンドル部210が、本発明における「把持部」の一例である。この清掃体保持部220が、本発明における「保持部」の一例である。
【0023】
清掃体保持部220は、樹脂材料にて成型されており、清掃体100を保持するための部材である。清掃体保持部220は、長尺状に形成された2つの保持部材221、凸部260および押え板270等を主体として構成されている。具体的には、清掃体保持部220は、ポリプロピレン(PP)が使用されている。なお、清掃体保持部220は可撓性を有する樹脂材料を適宜選択することができる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリエステル系の熱可塑性エラストマーを使用できる。
【0024】
保持部材221は、連接部230からハンドル211が延在する方向と反対の方向に向かって延在して形成されている。すなわち、保持部材221は、連接部230と、先端部240と、連接部230から先端部240に向かって延在した中間部250とを有する。2つの保持部材221の先端部240はそれぞれ自由端となっている。
【0025】
凸部260は、中間部250における外側方向100D1に設けられる。凸部260は、連接部230側に設けられた第1の凸部261と、先端部240側に設けられた第2の凸部262とからなる。
【0026】
押え板270は、連接部230から突出して形成されている。押え板270は、一対の保持部材221の間に、保持部材221と平行に延在するように形成されている。押え板270は、下方に向けて凸形状となるように湾曲して形成される板状部材として構成され、更に下面に係止突部(図示省略)を備えている。
【0027】
(清掃体の構成)
次に
図3〜
図8を参照しつつ、清掃体100について説明する。清掃体100は、清掃対象の塵芥などの汚れを捕集する、汚れ捕集機能を有するシート状の清掃体である。
図4、
図7に示すように、清掃体100は、平面視で長方形状に形成されている。
この清掃体100は、一回使用を目安とした使い捨てタイプのものや、清掃対象の被清掃面から除去したごみや埃を保持しつつ複数回の使用を目安として交換を行う使い捨てタイプのものであってもよいし、或いは洗濯などを行ったうえで繰り返し使用することが可能なタイプのものであってもよい。
【0028】
清掃体100において、基部120は第1のシート体121により形成されている。基部120は、長手交差方向X上の端部120Aと、長手方向Y上の端部120Bと、一方の面120Cと、他方の面120Dとを有する。この基部120、第1のシート体121、一方の面120C、他方の面120Dが、本発明における「基部」、「第1のシート体」、「一方の側」、「他方の側」のそれぞれ一例である。
【0029】
基部120の一方の面120Cには、繊維集合体110GFが配置される。基部120の他方の面120Dには、第2のシート体122が配置される。
これらの積層された基部120、繊維集合体110GF、第2のシート体122は、いずれも清掃体100の長手方向Yに長尺状に延在している。
繊維集合体110GFは、汚れ捕集機能を有する刷毛部110を形成する。この繊維集合体110GFが、本発明に係る「繊維集合体」の一例である。この刷毛部110が本発明における「刷毛部」の一例である。なお、この実施形態に係る清掃体100のように、基部120の一方の面120C側に配置されている繊維集合体110GFを、第1の繊維集合体110GF1とする。
【0030】
繊維集合体110GFは、繊維110SFの集合体により形成される。この発明において、繊維110SFとは、典型的な繊維による単一の繊維構造体や、典型的な繊維が長さ方向および/または径方向にそろった繊維構造体(撚糸、紡績糸、複数の長繊維が部分的に接続された糸材など)、ないし当該繊維構造体の集合体とされる。ここで「典型的な繊維」とは、糸、織物などの構成単位であり、太さに比して十分な長さを持つ、細くてたわみやすい形態のものである。典型的には長い連続状の繊維が長繊維(フィラメント)とされ、短い繊維が短繊維(ステープル)とされる。
繊維110SFは熱可塑性繊維を一部に含み、それぞれの繊維110SFが融着(「溶着」ともいう)可能とされている。
繊維集合体110GFは、所定の繊維配向方向110Dにて並列に並べられるとともに、厚み方向Zに積層された複数の繊維110SFにより形成される。本発明の実施形態において、繊維配向方向110Dは、長手交差方向Xと概ね合致する。一方、繊維110SFは柔軟な素材であるため、容易に屈曲、変形される。よって、繊維110SFの繊維配向方向110Dとは、製品の設計上における繊維配向性のことを示すものである。
【0031】
この繊維集合体110GFの繊維110SFは、中央接合部140と溶着される端部である接続端部110SFAを有する。そして、繊維110SFは、接続端部110SFAと反対側の端部である開放端部110SFBを有する。この開放端部110SFBは自由端とされる。
この接続端部110SFAが本発明に係る「接続端部」の一例である。この開放端部110SFBが、本発明に係る「開放端部」の一例である。
【0032】
なお、
図3において、繊維集合体110GFは、三つの繊維層が積層して形成されているが、繊維層の数は必要に応じて1または複数とすることができる。この繊維集合体110GFは、所定の平面や曲面による面構造を有するとともに、ある程度の厚みを有する立体形状として、或いは薄肉シート形状として構成されるのが好ましい。繊維集合体110GFは、典型的にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、レーヨンなどを材質とし、実用上はトウを開繊することによって得られる長繊維(フィラメント)の集合体が用いられることが好ましい。特には、芯部分がポリプロピレン(PP)或いはポリエチレンテレフタレート(PET)であり、この芯部分の外面を覆う鞘部分がポリエチレン(PE)の複合繊維を用いて繊維集合体110GFが構成されるのが好ましい。また、この繊維集合体110GFを形成する繊維の繊度110SFは、1〜50dtexのものが好ましく、更には2〜10dtexのものが好ましい。また、各繊維集合体は概ね同様の繊度の繊維から構成されてもよいし、或いは各繊維集合体が異なる繊度の繊維を含む構成であってもよい。
【0033】
また、清掃時の汚れ捕集機能を向上させるために、繊維集合体110GFには、油剤が供給される。この油剤は、流動パラフィンを主成分とする。
また、清掃時の掃き出し機能を向上させるためには、剛性の高い繊維110SF、すなわち繊度が高い繊維110SFを含む繊維集合体110GFを用いるのが好ましい。また、繊維集合体110GFは、捲縮繊維を有する構成されるのが好ましい。ここでいう捲縮繊維は、周知の捲縮処理が付与された繊維として構成され、繊維同士が絡み易い構造とされる。このような捲縮繊維を用いると、繊維集合体110GFが清掃体ホルダ200装着前の状態よりも嵩高となり、更に捲縮部分にごみを取り込み易い構造とされる。本構造は、特にトウ繊維から形成された捲縮繊維を用いることによって実現され得る。
【0034】
刷毛部110を構成する繊維集合体110GFの繊維110SFは、長手交差方向Xにおいて同一の長さを有する。ここで、「同一の長さ」であるが、上述した通り繊維110GFとして捲縮繊維を使用した場合は、個々の捲縮繊維同士における捲縮状態が必ずしも一致するものではない。よって、個々の繊維110SFの長さを比較すると、完全に同一の長さではない場合がある。よって、本願発明に係る「同一の長さ」とはあくまでも「設計上の同一の長さ」のことを示すものである。
ここで、「設計上の同一の長さ」につき説明する。清掃体100は、後述する製造工程において、機械方向M連続する積層された資材が、機械方向Mと交差する方向において所定の二つの領域にて切断されることにより形成される。この場合、所定の二つの領域が切断される方向が直線状であり、なおかつ平行である場合は「設計上の同一の長さ」となる。
なお、ここで「直線状」とは必ずしも「完全な直線」を示すものではなく、例えばデザイン上等の都合により湾曲していたとしても、実質的に「直線」であれば足りるものである。
【0035】
図7に示すように、第2のシート体122は、長手方向Yにおいて、基部120よりも短い長方形状の不織布で形成されたシートである。
基部120(第1のシート体121)および第2のシート体122を構成する不織布は、いずれも典型的には熱溶融性繊維(熱可塑性繊維)からなるシート状の不織布が使用されている。すなわち、これら基部120および第2のシート体122は、「不織布シート」とも称呼される。なお、清掃時の掃き出し機能を向上させるためには、剛性の高い不織布を用いるのが好ましい。
なお、この不織布は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成繊維が使用される。また、不織布の形態としては、エアースルー法や、スパンボンド法により形成されたものが使用される。
一方、不織布以外であっても、布帛や、合成樹脂によるフィルム体などを使用することもできる。
【0036】
基部120と第2のシート体122は、清掃体100の長手方向中心線YCLに沿って延在する中央接合部140と、中央接合部140の両側に位置する複数の第1の接合部141にて溶着接合されている。すなわち、
図7に示すように、基部120と、第2のシート体122と、繊維集合体110GFとが、中央接合部140において溶着接合されている。また、基部120と、第2のシート体122と、一部の繊維集合体110GFとが第1の接合部141において溶着接合されている。なお、長手方向Yにおける両端側に位置する第1の接合部141は第2のシート体122が存在しない位置に形成されている。よって、長手方向Yにおける両端側に位置する第1の接合部141は、基部120と、一部の繊維集合体110GFのみを接合する。
この中央接合部140が、本発明に係る「第1の繊維接合部」の一例である。
【0037】
中央接合部140と、第1の接合部141に挟まれた領域の内、基部120と第2のシート体122の間には、長手方向Yに延在する一対の保持空間130が形成されている。また、保持空間130における長手方向Yの両端には、開口部131それぞれが形成されている。この保持空間130が、本発明における「挿入部」の一例である。
なお、換言すると、保持空間130は、長手交差方向Xにおける一対の第1の接合部141同士の間における基部120の所定領域と、第2のシート体122の所定領域とにより形成される。
【0038】
第1の接合部141は、長手方向Yに概ね沿って複数連続して形成される。一方、長手方向Yにおいて隣接する第1の溶着接合部141が、必ず長手方向Yに一致して配置される必要はない。第1の溶着接合部141の配置形態は、デザイン性や、清掃体保持部220の形状によって、適宜設計することが可能である。この際、第1の溶着接合部141を連続した線状にて形成することができるのは勿論である。
【0039】
さらに、基部120の長手交差方向X上の端部120Aと、中央接合部140との間における所定領域には、側方接合部140Aが設けられる。側方接合部140Aは、長手交差方向Xにおいては、基部120の長手交差方向X上の120Aと、第1の溶着接合部141との間に設けられる。また、側方接合部140Aは、長手方向Yにおいては、長手方向Yと平行な方向において、間隔を空けて二か所に設けられている。側方接合部140Aは、長手交差方向Xにおいてそれぞれ一対とされる。
側方接合部140Aは、基部120と、第2のシート122と、繊維集合体110GFとを接合する。
なお、側方接合部140Aは、長手方向Yにおいて二か所である必要はなく、単一であっても、さらに複数であっても良い。また、長手方向Yに平行である必要はない。
この側方接合部140Aが、本発明に係る「第2の繊維接合部」の一例である。
【0040】
なお、上述した中央接合部140、第1の接合部141、側方接合部140Aは、熱による溶着により形成されている。
一方、本発明に係る接合部は、超音波溶着、縫製、ホットメルト接着剤などによる粘着剤にて形成することも可能である。
【0041】
刷毛部110は、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112とを有する。第2の刷毛領域112は、第1の刷毛領域111よりも長く構成された突出領域112Lを有する。
第1の刷毛領域111は、長手交差方向Xにおいて、側方接合部140Aにより接合されていない繊維110SFにより形成されている。
第2の刷毛領域112は、長手交差方向Xにおいて、側方接合部140Aにより接合されている繊維により形成されている。
【0042】
第2の刷毛領域112は、第1の刷毛領域111よりも長く形成されている。ここで、「長く」につき
図5に基づき説明する。
長手交差方向Xにおいて、長手方向中心線YCLと第1の刷毛領域111における長手交差方向X上の端部111Bとを結ぶ直線の内、最も長い直線を第1の刷毛領域長さ111Dとする。
長手交差方向Xにおいて、長手方向中心線YCLと第2の刷毛領域112における長手交差方向X上の端部112Bとを結ぶ直線の内、最も長い直線を第2の刷毛領域長さ112Dとする。
第2の刷毛領域112が、第1の刷毛領域111よりも長いとは、第2の刷毛領域長さ112Dが、第1の刷毛領域長さ111Dよりも長いことを意味する。
なお、第1の刷毛領域111よりも長い領域である第2の刷毛領域112が、突出領域112Lを構成する。
【0043】
なお、本発明に係る清掃体100においては、繊維110SFが柔軟である。従って、ユーザにより使用された場合には、繊維110SFの形状が変化する。この結果、第2の刷毛領域長さ112Dが、第1の刷毛領域長さ111Dよりも長いという関係を構築しない場合が生ずる。
突出領域112Lは、ユーザが清掃用具Aを使用する際に、所定の作用および効果を発揮するものである。よって、上述した第1の繊維長さ111Dと第2の繊維長さ112との関係は、清掃体100を製造した直後や、ユーザが製品を購入して清掃体100を取り出した直後や、ユーザが清掃体100を使用するにあたって清掃体100自体を大きく揺り動かし、各繊維110SF間の距離を広げて嵩高状態にした直後などに形成すれば足りるものである。
【0044】
本発明の実施形態に係る清掃体100においては、第1の刷毛領域111は、長手方向Y上の端部100Bに設けられている。また、第1の刷毛領域111と第2の刷毛領域112とは、交互に配置されている。
一方、第2の刷毛領域112が、長手方向Y上の端部100Bに設けられている構成でもよく、また、第1の刷毛領域111と第2の刷毛領域112とがそれぞれ一つずつ形成された構成であってよい。
【0045】
刷毛部110は、清掃対象に当接する当接領域160を有する。
図6に基づき、当接領域160を説明する。
当接領域160は、第1の当接領域161と、第2の当接領域162と、第3の当接領域163を有する。第1の当接領域161は、第1の刷毛領域111に形成される。第2の当接領域162は、第2の刷毛領域112における中央接合部140と側方接合部140Aとの間に形成される。第3の刷毛領域163は、第2の刷毛領域112における側方接合部140Aと開放端部110SFBとの間に形成される。
この当接領域160が本発明に係る「当接領域」の一例である。この第1の当接領域161が本発明に係る「第1の当接領域」の一例である。この第2の当接領域162が本発明に係る「第2の当接領域」の一例である。この第3の当接領域が本発明に係る「第3の当接領域」の一例である。
【0046】
第2の当接領域162は、厚み方向Zにおいて第1の当接領域161よりも低く形成された低位領域162Aを有する。低位領域162Aは、隣接する第1の当接領域161へ清掃対象の塵芥を誘導可能な誘導領域162Bとされている。
なお、低位領域162Aと誘導領域162Bは、第2の当接領域162と第3の当接領域163との境界である側方接合部140Aを含む領域として形成される。よって、低位領域162Aと誘導領域162Bは、第3の当接領域163に形成されるとも言える。また、低位領域162Aと誘導領域162Bは、第2の当接領域162と第3の当接領域163との間に形成されるとも言える。
以下、便宜上、低位領域162Aと誘導領域162Bは、第2の当接領域162に設けられていることを中心に説明する。
【0047】
低位領域162Aが、厚み方向Zにおいて、第2の当接領域162における第1の当接領域161よりも「低く」形成されていることにつき、説明する。
側方接合部140Aは、当接領域160と対向する側の領域である当接対向領域140A1と、当接領域160側の領域である当接側領域140A2とを有する。この当接対向領域140A1と、当接領域140A2との間における厚み方向Zの長さにおいて、最も短い長さを第2の当接領域高さ162Zとする。
次に、この第2の当接領域高さ162Zを求めた地点における、側方接合部140の当接対向領域140A1上の点を高さ測定用点140A1Pとする。高さ測定用点140A1Pを通過する、長手方向Yと平行な直線を、高さ測定用直線161Yとする。この高さ測定用直線と、第1の当接領域161との間における厚み方向Zの長さにおいて、最も長い長さを第1の当接領域高さ161Zとする。
すなわち、厚み方向Zにおいて、第2の当接領域162が、第1の当接領域161よりも「低い」とは、第2の当接領域高さ162Zが、第1の当接領域高さ161Zよりも「短い」ことを意味するものである。
【0048】
なお、本発明に係る清掃体100においては、繊維110SFが柔軟である。従って、ユーザにより使用された場合には、繊維110SFの形状が変化する。この結果、第2の当接領域高さ162Zが、第1の当接領域高さ161Zよりも「短い」という関係を構築しない場合が生ずる。
低位領域162Aは、ユーザが清掃用具Aを使用する際に、所定の作用および効果を発揮するものである。よって、上述した第1の当接領域高さ161Zと第2の当接領域高さ162Zとの関係は、清掃体100を製造した直後や、ユーザが製品を購入して清掃体100を取り出した直後や、ユーザが清掃体100を使用するにあたって清掃体100自体を大きく揺り動かし、各繊維110SF間の距離を広げて嵩高状態にした直後などに形成すれば足りるものである。
【0049】
よって、低位領域A162は、側方接合部140Aの当接側領域140A2を含む領域となる。さらに、誘導領域162Bは、低位領域162Aにおける長手方向Yと平行な領域となる。誘導領域162Bを延出した場合には、第1の当接領域161の側部に当接することとなる。よって、誘導領域162Bを経由した清掃対象の塵芥は、第1の当接領域161の側部領域161Aに捕捉されやすくなる。
【0050】
第2の当接領域162を形成する繊維110SFは、その両端が中央接合部140と、側方接合部140Aとにより固定されている。よって、第2の当接領域162を構成する繊維110SFは、第1の当接領域161を形成する繊維110SFや、第3の当接領域163を形成する繊維110SFと比べて、可動幅が狭いものである。よって、ユーザが清掃用具Aを使用した場合、例えば清掃対象に強く付着している塵芥に対し、抵抗を加えることができる。よって、第2の当接領域162は、清掃対象の塵芥に対して抵抗を加えることができる抵抗領域162Cとされる。この抵抗領域162Cが、本発明に係る「抵抗領域」の一例である。
【0051】
清掃体110は、短冊片150を有する。短冊片150は、基部120における長手交差方向X上の端部に設けられた複数の切込み線の間に形成された第1の短冊片151と、第2のシート体122における長手交差方法X上の端部に設けられた複数の切込み線の間に形成された第2の短冊片152とからなる。なお、基部120および第2のシート体122における切込み線は、ジグザグ状とされる。短冊片150をジクザグ状とすることによって、ごみを引っ掛けて捕捉し易い清掃機能の高い構造が実現される。なお、短冊片の形状に関しては、ジクザグ状、直線状、曲線状などのうちの単一種類或いは複数種類の形状を適宜用いることができる。
なお、短冊片150としては、第1の短冊片151もしくは第2の短冊片152のいずれか一方でも良い。
【0052】
(清掃体ホルダと清掃体の係合)
次に
図9、
図10を参照しつつ、清掃体ホルダ200と清掃体100の係合について説明する。
図9に示すように、保持部材221はそれぞれ、保持空間130に挿入が可能とされている。保持部材221が挿入方向Y1に沿って保持空間130に挿入されることで、清掃体100が清掃体ホルダ200に保持される。一方、係合している清掃体ホルダ200と清掃体100とを分離するためには、清掃体ホルダ200を、引抜方向Y2に沿って保持空間130から引き抜く。
【0053】
清掃体ホルダ200と清掃体100の係合状態においては、凸部260は、隣接する第1の接合部141同士の間に配置される。これにより、清掃体ホルダ200と清掃体100の係合状態が確実に維持される。
また、押え板270は、保持部材221とともに第2のシート体122を挟持する。
【0054】
(作用)
次に、本発明の実施形態に係る清掃用具Aの作用を説明する。清掃体100の長手交差方向X上の端部100Aを使用して清掃する場合には、第2の刷毛領域112の突出領域112Lを清掃対象に当接させる。そして、清掃体100を長手方向Yに概ね沿った方向に移動させることができる。これにより、清掃対象の塵芥を掻き出すことが可能となる。
なお、突出領域Lを複数形成した場合には、清掃対象に対して複数の突出領域112Lを連続して当接させることができる。よって、より一層の清掃効果の向上を図ることができる。
【0055】
次に、
図11に基づき、当接領域160を広く押し当てて清掃作業を行う場合を説明する。例えば、床Fなどを清掃するにあたり、ユーザはハンドル211を持ち、清掃体100の清掃領域160を床Fに押し当てる。そしてユーザは、床Fの上にて清掃体100を動かす。この際、例えば第1の当接領域161の表面では捕捉しきれなかった塵芥が発生したものとする。この場合、この第1の当接領域161で捕捉されなかった塵芥は、ユーザの清掃作業によって、低位領域162Aの誘導領域162Bへと移行される。そして、誘導領域162Bへ移行された塵芥は、第2の当接領域162もしくは第3の当接領域163にて捕捉される。ここで、さらに第2の当接領域162もしくは第3の当接領域で捕捉されなかった塵芥は、第1の当接領域161の側部領域161Aにて捕捉される。
なお、繊維110SGが柔軟であることから、強い圧力にて清掃体100を床Fに押し付けた場合は、低位領域162Aと誘導領域162Bがつぶれてしまう恐れがある。一方、低位領域162Aと誘導領域162とが形成される範囲内にて清掃用具Aを使用した場合、塵芥の捕捉が行えるのであれば、本願発明を構成するものである。
【0056】
また、例えば床Fに付着し、通常の清掃作業における「払う」動作にて捕捉できない塵芥が想定される。このような場合、ユーザは、抵抗領域162Cをこの付着した塵芥に対し押し当て、清掃作業を行う。その結果、抵抗領域162における可動領域の少ない繊維110SFにより、塵芥が床Fから剥離される。
【0057】
すなわち、本発明に係る清掃用具Aにおいては、突出領域Lにより、塵芥の掻き出し作業を向上させることができる。また、低位領域162Aおよび誘導領域162Bにより、塵芥が繊維集合体110GFに捕捉される機会を増加させることができる。また、抵抗領域162Cにより、清掃対象に付着した塵芥を清掃対象から剥離させることができる。
【0058】
(製造工程)
次に、
図12〜
図20において、本発明に係る実施形態の清掃用具Aの製造方法を説明する。まず、具体的な製造工程の説明をする前に、本発明に係る繊維集合体110GFを形成する繊維110SFの説明を行う。
図12は、繊維集合体110を形成する繊維110SFである。なお、
図12に係る繊維110SFは、外力がかかっていない静止状態を示す。繊維110SFは、捲縮繊維であるため、複数の屈曲部110SFCを有し、ジグザグ状とされている。この屈曲部110SFCはクリンプ部とも呼ばれる。
繊維110SFは、屈曲部110SFCを有することにより、伸縮が可能となっている。
図13は、静止状態の繊維110SFの両端部に対し、それぞれ対向する方向へ外力(張力)を加えた状態を示す。このように、繊維110SFは、屈曲部110SF間の距離が離間することにより延びることが可能となる。一方、この外力を解除した状態においては、繊維110SFは、
図13に示す延ばされた状態から、
図12に示す静止状態へと復帰する。
【0059】
ここで、基部120と繊維集合体110GFは、伸縮弾性率が異なる。すなわち、繊維集合体110GFの伸縮弾性率は、基部120の伸縮弾性率よりも高いものである。具体的には、繊維集合体110GFの伸縮弾性率は75.7%であり、基部120の伸縮弾性率は56.0%である。
なお、伸縮弾性率の測定においては、次の試験により行った。
(1)繊維集合体110GFの試験片と、基部120の試験片を準備する。試験片は、500mmの長さとする。
なお、繊維集合体110GFは、ポリエチレン(PE)が鞘材、ポリエチレンテレフタレート(PET)が芯材の芯鞘複合繊維により形成されたトウ繊維を用いた。このトウ繊維は、繊維1本に係る繊度が3.5dtexである。繊維集合体全体としての繊度は110,000dtexである。
また、基部120は、ポリエチレン(PE)が鞘材、ポリエチレンテレフタレート(PET)が芯材の芯鞘複合繊維により形成されたスパンボンド不織布を用いた。この不織布は、坪量が20g/m2である。また、幅を190mmとした。
(2)試験片中の長手方向に、所定の長さの始端と終端を示す印を付す。なお、この印は200mmの長さを示すものとする。この状態における始端と終端間の長さをL0とする。L0は、すなわち200mmとなる。
(2)試験片の上端をクリップにて固定する。
(3)試験片の下端における全幅に荷重がかかるよう、5kgの錘を吊るす。
(4)30秒経過後に、試験片中に付した始端と終端の間の長さを測定する。この長さをL1とする。
(5)錘を除き30秒経過後に、試験片に付した始端と終端の間の長さを測定する。この長さをL2とする。
(6)L1とL2の差を、L1とL0との差で除し、さらに100を乗した数値を、伸縮弾性率とした。
(7)この試験を5回行い、平均の数値を求めた。
【0060】
図14は、製造工程を示すフローチャートである。製造工程は、基部120と、第2のシートと、一部の繊維集合体110GFとなる資材を積層する工程である第1の工程S11と、第1の工程S11により積層した資材を接合する工程である第2の工程S12と、第2の工程S12で接合した資材に一部の繊維集合体110GFを積層する工程である第3の工程S13と、第3の工程S13で積層した資材を接合する工程である第4の工程S14と、S14で接合した資材を所定の形状に切断する工程である第5の工程S15と、第1の刷毛領域111と第2の刷毛領域112を形成する工程である第6の工程S16とからなる。
なお、本発明の実施形態に係る清掃体100は、短冊片150を有するものである。一方、説明の便宜上、短冊片150の製造工程においては省略する。
【0061】
図15は、第1の工程S11を示す。第1の工程S11では、基部120となる第1のシート体121を形成するための第1のシート資材1211と、第2のシート体122を形成するための第2のシート資材1221と、第1の繊維集合体110GF1の一部を形成するための第1の繊維集合資材110GF1Aとが供給される。この結果、第1のシート資材1211の一方の側には第1の繊維集合資材110GF1Aが配置される。また、第1のシート資材121の他方の側には、第2のシート資材1221が配置される。
なお、本発明の製造工程においては、各資材は支持ロールRにより支持されるとともに、図示しない駆動機構により、機械方向Mに移送される。
なお、第1の繊維集合資材110GF1Aの繊維配向方向110Dは、機械方向Mとおおよそ一致する。
【0062】
図16は、第2の工程S12を示す。第2の工程S12では、第2のシート資材1221と、第1のシート資材1211と、第1の繊維集合資材110GF1との全層が溶着される。この際、第2のシート資材1221と、第1のシート資材1211と、第1の繊維集合資材110GF1における所定領域の2か所が溶着される。この溶着された箇所は、一対の第1の接合部141を形成する。
【0063】
図17は、第3の工程S13を示す。第3の工程S13では、第2の繊維集合資材110GF1Bが供給される。第2の繊維集合資材110GF1Bは、第1の繊維集合資材110GF1Aにおける、第1のシート資材1211が配置されていない側に供給される。
なお、第2の繊維集合資材110GF1Bの繊維配向方向110Dは、機械方向Mとおおよそ一致する。
【0064】
図18は、第4の工程S14を示す。第4の工程S14では、第2のシート資材1221と、第1のシート資材1211と、第1の繊維集合資材110GF1Aと、第2の繊維集合資材110GF1Bの全層が、熱溶着により接合される。この接合作業により、中央接合部140と、側方接合部140Aが形成される。
中央接合部140の形成にあっては、第1の繊維集合体110GF1における繊維配向方向110Dを横切る所定の領域の全部が接合される。
側方接合部140Aの形成にあっては、第1の繊維集合体110GF1における繊維配向方向110Dを横切る所定の領域の一部が接合される。具体的には、側方接合部140Aは、繊維配向方向110Dを横切る方向において、二か所が溶着される、
【0065】
なお、中央接合部140と側方接合部140Aとは、単一の接合装置により設けることできる。この場合、中央接合部140と側方接合部140Aは、ほぼ同時に形成される。
一方、中央接合部140を形成する接合装置と、側方接合部140Aを接合する接合装置とを、それぞれ独立した接合装置とすることもできる。この場合、中央接合部140を設けた後に、側方接合部140Aを設けることができる。一方、側方接合部140Aを設けた後に、中央接合部140を設けることもできる。
【0066】
なお、第1の工程S11〜第4の工程S14に亘っては、第1の繊維集合資材110GF1Aに所定の張力が付与されている。具体的な張力は、40Nである。
なお、この第1の繊維集合資材110GF1Aおよび第2の繊維集合資材110GF1Bにかけられた所定の張力は、製造を容易に行うべく、形状を安定させるために掛けられる。
さらに、この張力は、後述する製造工程において、繊維集合資材110GFの繊維110SFを収縮させ、第1の刷毛領域111と第2の刷毛領域112とを形成するために掛けられる。
なお、第1のシート資材1211、第2のシート資材1221においても、形状を安定させるために張力が掛けられる。
【0067】
図19は、第5の工程S15を示す。第5の工程S15では、第2のシート資材1221、第1のシート資材1211、第1の繊維集合資材110GF1A、第2の繊維集合資材110GF1Bを、所定の領域にて切断する。この切断作業により、第2のシート資材1221、第1のシート資材1211、第1の繊維集合資材110GF1A、第2の繊維集合資材110GF1Bは、張力から解放される。
【0068】
図20は、第6の工程S16を示す。第6の工程S16では、張力から解放された第1の繊維集合資材110GF1Aに相当する繊維110SFが、長手交差方向Xにおける内側方向100D2へ向かい収縮する。
中央接合部140と、側方接合部140Aの双方に接続する繊維は、第1のシート体121と第2のシート体122とも接続されている。従って、第1のシート体121と第2のシート体122とにより、繊維110SFの収縮が制限される。
一方、中央接合部140のみに接合されている繊維110SFは、第1のシート体121と第2のシート体122と接続された繊維110SFと比較して、大きく収縮する。
この結果、中央接合部140のみに接合された繊維110SFは、第1の刷毛領域111を形成する。中央接合部140と側方接合部140Aとに接合された繊維110SFは、第2の刷毛領域112を形成する。
このようにして、本発明に係る清掃用具Aの清掃体100が製造される。
【0069】
なお、本発明は上記の実施の形態や製造方法のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上述した実施形態における清掃用具Aにおいては、保持具200の保持部材211が二つ形成されており、それに対応して清掃体100の保持空間130も二つ形成されている。一方、二つの保持部材211に対し、単一の保持空間130を設けることもできる。さらに、単一の保持部材211に対し、単一の保持空間130を設けることもできる。
【0070】
以下、上記実施形態の変形例につき説明を行うが、上記実施形態における清掃用具Aと同一の構成にあっては、同一の符号を付すとともにその説明を省略する。
【0071】
(第1の変形例)
図21に基づき第1の変形例を説明する。なお、第1の変形例に係る清掃体101は、上述の実施形態における清掃体100に比して、保持空間130の構成が異なるものである。
すなわち、第1の変形例に係る清掃体101の保持空間130は、基部120を構成する第1のシート体121のみにて形成される。すなわち、第1のシート体121における所定の面同士を当接させ、接合シート領域121Aを形成する。この接合シート領域121Aにおける所定領域を溶着し、第2の接合部142を形成する。
これにより、長手方向Yに延びる空間である、保持空間130を形成することができる。
なお、この第1の変形例の場合、中央接合部140は、刷毛部110のみを接合することができる。この場合、刷毛部110と基部120とは、接着剤(図示せず)などにより接合することができる。
この第1の変形例に係る清掃体101であっても、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112が形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
【0072】
(第2の変形例)
図22に基づき第2の変形例を説明する。なお、第2の変形例に係る清掃体102は、上述の実施形態における清掃体100に比して、保持空間130の構成が異なるものである。
すなわち、第2の変形例に係る清掃体102の保持空間130は、基部120とは独立して形成される。第3のシート体123と、第4のシート体124を重ねる。そして、第3のシート123と第4のシート124における長手交差方向X上の両端部近傍の領域を、長手方向Y方向に沿って溶着し、第4の接合部144を形成する。
これにより、第3のシート123と第4のシート124との間に、長手方向Yに延びる空間である、保持空間130を形成することができる。
なお、この第2の変形例の場合、中央接合部140は、刷毛部110と基部120のみを接合する。第3のシート123は、接着剤などにより基部120と接合され、第5の接合部145を形成する。
この第2の変形例に係る清掃体101であっても、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112が形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
【0073】
(第3の変形例)
図23に基づき第3の変形例を説明する。なお、第3の変形例に係る清掃体103は、上述の実施形態における清掃体100に比して、保持空間130の構成が異なるものである。
すなわち、第3の変形例に係る清掃体103の保持空間130は、基部120とは独立して形成される。すなわち、第5のシート体125における所定の面同士を当接させ、接合シート領域125Aを形成する。この接合シート領域125Aにおける所定領域を溶着し、第6の接合部146を形成する。これにより、長手方向Yに延びる空間である、保持空間130を形成することができる。
なお、この第3の変形例の場合、中央接合部140は、刷毛部110と基部120のみを接合する。第5のシート125は、接着剤などにより基部120と接合され、第7の接合部147を形成する。
この第3の変形例に係る清掃体103であっても、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112が形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
【0074】
(第4の変形例)
図24に基づき第4の変形例を説明する。なお、第4の変形例に係る清掃体104は、上述の実施形態における清掃体100に比して、基部120の一方の面120C側だけではなく、他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているものである。
すなわち、第2の繊維集合体110GF2を、繊維配向方向110Dを横切る方向の所定の領域により溶着する。この溶着により第8の接合部148が形成される。そして、第2の繊維集合体110GF2を、接着剤などにより実施形態における清掃体100の第2のシート体122に接合する。この接合により第9の溶着部が形成される。このようにして、清掃体104が形成される。
この第4の変形例に係る清掃体104であっても、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112が形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
さらに、基部120の他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているため、ユーザの利便性が向上する。
なお、第2の繊維集合体110GF2を、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112とを有する構成とし、突出領域Lと、低位領域162Aと、誘導領域162Bと、抵抗領域162Cとを形成することができるのは勿論である。
【0075】
(第5の変形例)
図25に基づき第5の変形例を説明する。なお、第5の変形例に係る清掃体105は、上述の第1の変形例における清掃体101に比して、基部120の一方の面120C側だけではなく、他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているものである。
すなわち、保持空間130を形成する第1のシート体121に、第2の繊維集合体110GF2が接合されるものである。第2の繊維集合体110GF2は、中央領域において溶着される。この中央領域における溶着箇所は、第10の接合部1410を形成する。この第10の接合部141を有する第2の繊維集合体110GF2は、図示しない接着剤などにより、保持空間130を形成する第1のシート体121に接合する。このようにして、清掃体105が形成される。
この第5の変形例に係る清掃体105であっても、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112が形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
さらに、基部120の他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているため、上述の第1の変形例に係る清掃体101よりも、ユーザの利便性が向上する。
なお、第2の繊維集合体110GF2を、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112とを有する構成とし、突出領域Lと、低位領域162Aと、誘導領域162Bと、抵抗領域162Cとを形成することができるのは勿論である。
【0076】
(第6の変形例)
図26に基づき第6の変形例を説明する。なお、第6の変形例に係る清掃体106は、上述の第2の変形例における清掃体102に比して、基部120の一方の面120C側だけではなく、他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているものである。
すなわち、第2の繊維集合体110GF2と、第6のシート体126とを中央領域において溶着し、第11の接合部1411を形成する。そして、第6のシート体126における第2の繊維集合体110GF2が配置されていない面と、第4のシート体124とを接着剤などにより接合し、第12の接合部1412を形成する。このようにして、清掃体106が形成される。
この第6の変形例に係る清掃体106であっても、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112が形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
さらに、基部120の他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているため、上述の第2の変形例に係る清掃体102よりも、ユーザの利便性が向上する。
なお、第2の繊維集合体110GF2を、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112とを有する構成とし、突出領域Lと、低位領域162Aと、誘導領域162Bと、抵抗領域162Cとを形成することができるのは勿論である。
【0077】
(第7の変形例)
図27に基づき第7の変形例を説明する。なお、第7の変形例に係る清掃体107は、上述の第3の変形例における清掃体103に比して、基部120の一方の面120C側だけではなく、他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているものである。
すなわち、第2の繊維集合体110GF2と、第7のシート体127とを中央領域において溶着し、第13の接合部1413を形成する。そして、第7のシート体127における繊維集合体110が配置されていない面と、第5のシート体125とを接着剤などにより接合し、第14の接合部1414を形成する。このようにして、清掃体107が形成される。
この第7の変形例に係る清掃体107であっても、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112が形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
さらに、基部120の他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているため、上述の第3の変形例に係る清掃体103よりも、ユーザの利便性が向上する。
なお、第2の繊維集合体110GF2を、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112とを有する構成とし、突出領域Lと、低位領域162Aと、誘導領域162Bと、抵抗領域162Cとを形成することができるのは勿論である。
【0078】
(第8の変形例)
図28に基づき第8の変形例を説明する。なお、第8の変形例に係る清掃体108は、上述の実施形態における清掃体100に比して、第2の刷毛領域112が、清掃体108における長手方向Y上の端部108Bに設けられているものである。
この第8の変形例に係る清掃体108であっても、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112が形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
【0079】
(第9の変形例)
図29に基づき、第9の変形例を説明する。なお、第9の変形例に係る清掃体109は、上述の実施形態における清掃体100に比して、刷毛部110と基部120の長さが異なるものである。つまり、長手方向Yにおいて、刷毛部110の方が基部120よりも長く形成されている。さらに、長手交差方向Xにおいて、刷毛部110の方が基部120よりも長い。このような構成は、例えば
図21にて示した第1の変形例に係る清掃体101のような構造の清掃体により達成できる。すなわち、刷毛部110と保持空間130とをそれぞれ独立して形成する。その際、保持空間130を形成する基部120の大きさを任意の大きさとする。しかる後に、刷毛部110と基部120とを接合する。このようにして、第9の変形例に係る清掃体109が形成される。
この第9の変形例に係る清掃体109であっても、第1の刷毛領域111と、第2の刷毛領域112が形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
さらに、第1の刷毛領域111が、清掃体109における長手交差方向X上の端部109Aに形成される。また、第2の刷毛領域112が、清掃体109における長手交差方向X上の端部109Aに形成される。よって、清掃体109の長手交差方向X上の端部109Aを清掃対象に当接させる場合は、塵芥の捕捉効果を向上させることができる。
【0080】
なお、本発明の実施形態および変形例は、上述したものに限るものではない。上述した実施形態や各変形例に係る構成を適宜組み合わせることが可能である。また、さらなる形態を追加・変更することが可能である。
【0081】
(実施の形態ないし実施例本発明の各構成要素の対応について)
清掃具Aは、本発明に係る「清掃具」の一例である。清掃体100、101、102は、本発明に係る「清掃シート」の一例である。清掃体ホルダ200は、本発明に係る「保持具」の一例である。長手方向Yは、本発明に係る「長手方向」の一例である。長手交差方向Xは、本発明に係る「長手交差方向」の一例である。厚み方向Zは、本発明に係る「厚み方向」の一例である。清掃体保持部220は、本発明に係る「保持部」の一例である。ハンドル部210は、本発明に係る「把持部」の一例である。端部100Bは、本発明に係る「長手方向上の端部」の一例である。端部100Aは、本発明に係る「長手交差方向上の端部」の一例である。刷毛部110は、本発明に係る「刷毛部」の一例である。基部120は、本発明に係る「基部」の一例である。保持空間130は、本発明に係る「挿入部」の一例である。繊維配向方向110Dは、本発明に係る「繊維配向方向」の一例である。繊維集合体110GFは、本発明に係る「繊維集合体」の一例である。当接領域160は、本発明に係る「当接領域」の一例である。第1の当接領域161は、本発明に係る「第1の当接領域」の一例である。第2の当接領域162は、本発明に係る「第2の当接領域」の一例である。抵抗領域162Cは、本発明に係る「抵抗領域」の一例である。中央接合部140は、本発明に係る「第1の繊維接合部」の一例である。側方接合部140Aは、本発明に係る「第2の繊維接合部」の一例である。接続端部110SFAは、本発明に係る「接続端部」の一例である。開放端部110SFBは、本発明に係る「開放端部」の一例である。第3の当接領域163は、本発明に係る「第3の当接領域」の一例である。第1のシート121は、本発明に係る「第1のシート体」の一例である。第2のシート体122は、本発明に係る「第2のシート体」の一例である。第3のシート体123は、本発明に係る「第3のシート体」の一例である。第4のシート体124は、本発明に係る「第4のシート体」の一例である。第5のシート体125は、本発明に係る「第5のシート体」の一例である。第6のシート体126は、本発明に係る「第6のシート体」の一例である。一方の面120Aは、本発明に係る「一方の側」の一例である。他方の面120Dは、本発明に係る「他方の側」の一例である。
【0082】
なお、本発明の実施形態および変形例は、上述したものに限るものではない。上述した実施形態や各変形例に係る構成を適宜組み合わせることが可能である。また、さらなる形態を追加・変更することが可能である。
【0083】
以上の発明の趣旨に鑑み、本発明に係る清掃具は、下記の態様が構成可能である。
(態様1)
清掃シートと、前記清掃シートを保持する保持具とを有する清掃具において、
前記清掃シートは、当該清掃シートに前記保持具を挿入する方向によって規定される長手方向と、前記長手方向と交差する方向によって規定される長手交差方向と、前記長手方向および前記長手交差方向の双方に交差する方向によって規定される厚み方向とに延在するように構成され、
前記保持具は、前記清掃シートを保持するための保持部と、前記保持部に連結されてユーザに把持される把持部とを有し、
前記清掃シートは、前記長手方向上の端部と、前記長手交差方向上の端部と、清掃対象を清掃可能に構成された刷毛部と、前記刷毛部が接続される基部と、当該基部に形成されて、前記保持部が挿入される挿入部とを有し、
前記刷毛部は、所定の繊維配向方向を有する複数の繊維の集合体である繊維集合体と、前記清掃対象に当接する当接領域と、当該当接領域に形成された第1の当接領域と第2の当接領域とを有し、
前記第1の当接領域は、前記繊維における繊維上の領域から前記繊維の端部に亘る領域に形成され、
前記第2の当接領域は、前記繊維における繊維上の領域に形成されるとともに、前記清掃対象の塵芥に対し抵抗を供与可能な抵抗領域を有することを特徴とする清掃具。
(態様2)
態様1に記載された清掃具において、
前記刷毛部は、前記繊維配向方向を横切る方向における全ての所定領域において前記繊維集合体における繊維同士を接合する第1の繊維接合部と、前記繊維配向方向を横切る方向における一部の所定領域において前記繊維集合体における前記繊維同士を接合する第2の繊維接合部とを有し、
前記繊維は、前記第1の繊維接合部に接続された接続端部と、当該接続端部と反対側の端部である解放端部とを有し、
前記第1の当接領域は、前記第1の繊維接合部と前記繊維の前記開放端部との間に形成され、
前記第2の当接領域は、前記第1の繊維接合部と前記第2の繊維接合部との間に形成されることを特徴とする清掃具。
(態様3)
態様2に記載された清掃具であって、
前記第2の当接領域と前記繊維の前記開放端部との間に、第3の当接領域が形成されることを特徴とする清掃具。
(態様4)
態様1〜3のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記繊維集合体の前記繊維は、前記長手交差方向に配向性を有することを特徴とする清掃具。
(態様5)
態様1〜4のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記第1の当接領域は、前記長手方向上の端部に設けられていることを特徴とする清掃具。
(態様6)
態様1〜4のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記第2の当接領域は、前記長手方向上の端部に設けられていることを特徴とする清掃具。
(態様7)
態様1〜4のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記第1の当接領域は、前記長手交差方向上の端部に設けられていることを特徴とする清掃具。
(態様8)
態様1〜4のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記第2の当接領域は、前記長手交差方向上の端部に設けられていることを特徴とする清掃具。
(態様9)
態様1〜8のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記第1の当接領域と前記第2の当接領域とは、交互に配置されていることを特徴とする清掃具。
(態様10)
態様1〜9のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記基部は、第1のシート体により形成されていることを特徴とする清掃具。
(態様11)
態様10に記載された清掃具において、
前記第1のシート体と重ねられる第2のシート体を有し、
前記挿入部は、前記第1のシート体と、前記第2とシート体との間に形成されることを特徴とする清掃具。
(態様12)
態様10に記載された清掃具において、
前記挿入部は、前記第1のシート体における所定の面同士を当接させ接合シート領域を形成するとともに、当該接合シート領域における前記所定の面同士を接合することにより形成されていることを特徴とする清掃具。
(態様13)
態様10に記載された清掃具において、
前記第1のシート体に重ねられる第3のシート体と、当該第3のシート体に重ねられる第4のシート体とを有し、
前記挿入部は、前記第3のシート体と、前記第4とシート体との間に形成されることを特徴とする清掃具。
(態様14)
態様10に記載された清掃具において、
前記第1のシート体に重ねられる第5のシート体を有し、
前記挿入部は、前記第5のシート体における所定の面同士を当接させ接合シート領域を形成するとともに、当該接合シート領域における前記所定の面同士を接合することにより形成されていることを特徴とする清掃具。
(態様15)
態様1〜14のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記刷毛部は、前記基部の一方の側に設けられていることを特徴とする清掃具。
(態様16)
態様1〜14のいずれか1項に記載された清掃具において、
前記刷毛部は、前記基部の一方の側および他方の側に設けられていることを特徴とする清掃具。
(態様17)
態様1〜16に記載された清掃具において、前記低位領域162Aは、第2の当接領域と第3の当接領域との間に形成されることを特徴とする清掃具。