(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
光通信分野では、平面導波回路を用いて光機能部品を構成して集積することが行われている。このような平面導波回路を用いて光通信を行うためには、光学素子から平面導波回路へと光を入力する光学的結合を要する。また、平面導波回路から光の一部又は全部を取り出して、他の光学素子に入力するための光学的結合を要する。
【0003】
一体集積型受信フロントエンドモジュール等の一体集積モジュールは、平面導波回路側面より出力される光を、光路変換することなく側面に配置した光学素子を用いて受光する。また、平面導波回路の側面へ光学素子で光を入力する。光学素子の例としてLaser Diode(LD)や、Photo Diode(PD)が挙げられる。モジュールを小型化するためには、光路変換機能をモジュールに備え、かつ、光学素子を表面実装する必要がある。
【0004】
そこで、平面導波回路と光学素子との光学的結合構造に垂直入出力構造を用いた一体集積モジュールが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の垂直入出力構造は、平面導波回路の一部に光路を変換するための光路変更ミラーを設け、平面導波回路内での光の進行方向と垂直方向に光を入出力する。しかし、特許文献1に示されている一体集積モジュールは、ミラーの製造工程においてレーザー等による加工を含むため、高精度な作成が困難であった。そのため、特許文献1の一体集積モジュールは、製造コストが高くなる問題があった。
【0005】
一方で、基板上に形成された平面導波回路内に樹脂を用いてミラー支持体を形成し、ミラー支持体に金属を蒸着等することによって、高精度かつ歩留まり良くミラーを形成するミラーの製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、特許文献2に示されているミラーの製造方法は、樹脂を用いるため、熱耐性に劣り、環境条件によりミラーに変形が生じる場合がある。そのため、特許文献2のミラーの製造方法を用いても、製造コストが高くなる問題は解決できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、製造コストの低い光路変換構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明に係る光路変換構造体は、ミラーを備えるミラー構造体と、ミラー構造体を配置する溝を備える平面導波回路及び基板を別の構成とした。また、本願発明に係る光路変換構造体の製造方法は、ウエハプロセス及び異方性エッチングを用いてミラー構造体にミラーを形成する。
【0009】
具体的には、本願発明の光路変換構造体の製造方法は、ミラー形成層の少なくとも一部を残して前記ミラー形成層の少なくとも一部を異方性エッチングしてミラーを設けるための斜面を形成し、前記斜面の少なくとも一部にミラーを形成することによりミラー支持体を形成するミラー形成工程と、基板の上に形成された光導波路を備える平面導波回路に、壁面の一部に前記光導波路の端面が配置された溝を形成する溝形成工程と、前記ミラー形成工程で形成した前記ミラーが、前記端面から出射された光の光路上に位置するように、前記溝形成工程で形成した溝の内部に前記ミラー支持体を設置する設置工程とを有する。
【0010】
本願発明の光路変換構造体の製造方法は、ミラー形成工程及び溝形成工程を個別に有し、その後の設置工程において平面導波回路にミラーを設置するため、樹脂を用いることなくウエハプロセスを用いてミラー形成工程及び溝形成工程を行うことができる。このため、本願発明の光路変換構造体の製造方法は、高精度で歩留まりよくミラーを形成することができるため、製造コストを低くすることができる。
【0011】
本願発明の光路変換構造体の製造方法は、前記ミラー形成工程において、前記ミラー形成層に電圧を印加しながら前記ミラー支持体の異方性エッチングを行うことで前記斜面を凹面にしてもよい。
【0012】
具体的には、本願発明の光路変換構造体は、基板上に形成された光導波路に溝を有し、前記溝の壁面の一部に前記光導波路の端面が配置された平面導波回路と、ミラー形成層の結晶面に沿った斜面の少なくとも一部に形成されたミラーを有し、前記端面から出射された光の光路上に前記ミラーが位置するように前記溝に配置されたミラー支持体とを備える。
【0013】
本発明に係る光路変換構造体は、平面導波回路及びミラー支持体を備えるため、樹脂を用いることなくウエハプロセスを用いてミラーを形成することができる。したがって、本願発明の光路変換構造体は、樹脂を用いることなく、高精度で歩留まりよくミラーを形成することができるため、製造コストを低くすることができる。
【0014】
本願発明の光路変換構造体では、前記ミラー支持体と一体
に形成され、前記溝の幅よりも幅が大きく、前記溝の外部
の前記基板上に配置されるハンドリング部をさらに備え
てもよい。
前記平面導波回路における前記溝の前記端面に対向する面は開放面であり、前記ハンドリング部と前記開放面に隣接する前記平面導波回路の両端面が面で接触してもよい。
【0015】
本願発明の光路変換構造体では、ミラーの斜面は凹面であってもよい。
【0016】
本願発明の発光モジュールは、本願発明に係る光路変換構造体と、光路変換構造体に備わるミラーへと光を入射させる発光素子とを備える。
【0017】
本願発明の受光モジュールは、本願発明に係る光路変換構造体と、光路変換構造体に備わるミラーから光を受光する受光素子とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、製造コストの低い光路変換構造体及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0021】
(第一の実施形態)
本願発明の第一の実施形態に係る光路変換構造体10の斜視図の一例を
図1に示す。また、
図1の光路変換構造体10から、ミラー構造体810を取り外した状態の斜視図を
図2に示す。本実施形態に係る光路変換構造体10は、ミラー構造体810と、基板11と、平面導波回路12とを備える。
図1ではミラー構造体810を太線で示した。ミラー構造体810は、ミラー支持体810aと、ハンドリング部810bを備える。ミラー支持体810aと、ハンドリング部810bは一体構造となっている。
【0022】
平面導波回路12は基板11の上に配置される。基板11及び平面導波回路12は、溝18を備える。溝18の壁面には、平面導波回路12が備える光導波路の端面12bが配置される。例えば、平面導波回路12が、基板11の上に配置された下部クラッドと、下部クラッドの上に配置されたコアと、コアの上に配置された上部クラッドで形成され、コア内部を光が導波する場合には、溝18はコアよりも深い。
【0023】
溝18の内部に、ミラー支持体810aが収容される。溝18の長さLgは、ミラー支持体810aの長さLmよりも大きい。また、溝の幅Wgはミラー支持体810aの幅Wmよりも大きいが、WgとWmがほぼ等しいことが好ましい。また、溝18は内部に溝18の一方の端部12aが配置される。端部12aは、光導波路の端面12bを備える。平面導波回路12を導波する光は、端面12bより出射し、ミラー81により反射される。また、平面導波回路12へと入射する光は、ミラー81により反射され、端面12bより平面導波回路12へと入射する。14は、溝18を構成する辺のうち、端面12bより出射し又は端面12bへ入射する光の光路と平行な辺である。
【0024】
図1のA−A’で示した一点鎖線の位置の断面図を
図3に示す。
図1のA−A’で示した一点鎖線は、基板11と平面導波回路12が接する面と平行な面上にあり、溝18の内側にあり、さらに、溝の辺14と並行である。
図3に示すA−A’断面図は、A−A’で示した一点鎖線を含み、基板11と平面導波回路12が接する面に垂直な面でみた図である。
図3に示した光路16は、平面導波回路12を導波する光の光路の例である。光路17は、ミラー81と、ミラー81の方向とを結ぶ光の光路の例である。ここで、ミラー81の向きは、
図3の基板11の上側へと光を反射及び入射する方向である光路16及び光路17に対応した方向に限定されるわけではなく、
図3の紙面に対して手前側又は奥側へと光を反射及び入射する方向であってもよい。
【0025】
図1のB−B’で示した一点鎖線の位置の断面図を
図4に示す。
図1のB−B’で示した一点鎖線は、溝18の外側の基板11と平面導波回路12が接する面上にあり、溝の辺14と並行である。
図4に示すB−B’断面図は、B−B’で示した一点鎖線を含み、基板11と平面導波回路12が接する面に垂直な面でみた図である。
【0026】
ミラー支持体810aは、ミラー81と、ミラー形成層22を備える。ミラー81は、ミラー支持体810aが備えるミラー形成層22の結晶面に沿った斜面の少なくとも一部に形成される。また、ミラー81は、平面導波回路12を導波する光の光路上に配置される。なお、ミラー81を形成するミラー形成層22の斜面は、凹面であってもよい。ハンドリング部810bは、ミラー形成層22と、接続層23と、支持基板24と、反射膜82とを備える。
【0027】
ハンドリング部810bの幅Whは、溝18の幅Wgよりも大きく、溝18の外部に配置される。また、ハンドリング部810bの一部であって、ミラー81が配置される側の面の一部が、ミラー構造体側突き当て部15として機能する。平面導波回路12のうち、溝18の端面12bに対向する面は開放面である。平面導波回路12は、開放面に隣接する両端面、すなわち辺14に接する面に、PLC側突き当て部13を備える。PLC側突き当て部13は、
図4のようにミラー構造体側突き当て部15と面で接触する。PLC側突き当て部13及びミラー構造体側突き当て部15を備えることにより、溝18へのミラー構造体810の配置が容易となる。これによって、光路変換構造体10のコスト上昇を抑えることができる。
【0028】
基板11の例として、Si基板や、SiO
2基板が挙げられる。平面導波回路12の例として、Planar Lightwave Circuit(PLC)による光導波路が挙げられる。なお、
図1では、ミラー構造体810付近のみを抜き出して示しており、
図1で示していない部分にも平面導波回路12と、基板11は繋がっている。また、
図1に示した光路変換構造体10が設けられているのは、平面導波回路12と、基板11の端部に限られるわけではなく、中間部であってもよい。
【0029】
第一の実施形態に係るミラー構造体810の製造方法について説明する。光路変換構造体10の製造方法はミラー形成工程と、溝形成工程と、設置工程とを有する。ミラー形成工程はミラー形成層22の少なくとも一部を残してミラー形成層22の少なくとも一部を異方性エッチングしてミラー81を設けるための斜面からなるミラー支持面65を形成し、ミラー支持面65の少なくとも一部にミラー81を形成することによりミラー構造体810を形成する工程である。溝形成工程は基板11の上に形成された光導波路を備える平面導波回路12に光導波路よりも深い溝18を形成する工程である。設置工程はミラー形成工程で形成したミラー81が、平面導波回路12から出射された光の光路上にミラー構造体810の少なくとも一面に設けられたミラー81が位置するように、溝形成工程で形成した溝18の内部に設置する工程である。
【0030】
まず、ミラー形成工程のうち、ミラー形成層22の少なくとも一部を残してミラー形成層22の少なくとも一部を異方性エッチングしてミラー81を設けるための斜面からなるミラー支持面65を形成する工程について説明する。具体的には、
図5の状態から、
図6、
図7、
図8、
図9の状態を経て、
図10の状態へ至る工程が、ミラー形成層22の少なくとも一部を残してミラー形成層22の少なくとも一部を異方性エッチングしてミラー81を設けるための斜面からなるミラー支持面65を形成する工程である。
【0031】
図5に示すように、支持基板24の上にマスク層25を積層し、ミラー形成層22の下にマスク層21を積層する。ミラー形成層22の上、かつ、支持基板24の下には接続層23がある。ここでは、ミラー形成工程の終了後にミラー構造体810を形成するミラー形成層22、接続層23、支持基板24を積層する。マスク層21、マスク層25はミラー構造体810を形成するために用いる層である。
【0032】
ミラー形成層22の例としてSiが挙げられる。マスク層21及びマスク層25及び接続層23の例としてSiO
2等の酸化膜層が挙げられる。支持基板24の例として、Siが挙げられる。マスク層21及びマスク層25の積層方法の例として、Chemical Vapor Deposition(CVD)が挙げられる。マスク層21及びマスク層25の厚さは、例えば、約5μmである。ここでは、支持基板24、接続層23、ミラー形成層22の積層方法については示していないが、同じような構造を有する張り合わせで作成されたSOI基板を用いてもよい。一般的には、SOI基板は支持基板24と接続層23とミラー形成層22に対応する構造を既に有している。
【0033】
次に、
図5に示したマスク層25の上にレジスト32を積層する。レジスト32の形状は、エッチング後のマスク層25の形状を決める。マスク層25の形状は、ミラー構造体810が備える支持基板24の形状を決める。そのため、レジスト32は、ミラー構造体810が備える支持基板24に要求される形状を実現できる形状とする。ミラー構造体810を形成する過程では、支持基板24を三段階に分けてエッチングする。レジスト32を用いて形成するマスク層25は、支持基板24の二段階目及び三段階目のエッチング部分を決める。レジスト32の例として、フォトレジストが挙げられる。フォトレジストとは、フォトリソグラフィにおいて使用される、紫外線等で溶解性などの物性が変化する化合物である。フォトレジストは物質表面に塗布され、後に続くエッチングなどの処理から物質表面を保護する。次に、レジスト32が上にないマスク層25を、
図6に示すようにエッチングにより除去する。
【0034】
次に、
図6に示したレジスト32を除去する。次に、レジスト42を積層する。レジスト42は支持基板24の一段階目のエッチングの場所を決める。また、レジスト42の形状は、ミラー構造体810が備えるミラー形成層22の形状を決める。そのため、レジスト42は、ミラー構造体810が備えるミラー形成層22に要求される形状を実現できる形状とする。次に、レジスト42が上にない支持基板24をエッチングする。このエッチングは、支持基板24の一段階目のエッチングである。支持基板24のエッチング方法の例として、Inductive Coupled Plasma−Reactive Ion Etching(ICP−RIE)が挙げられる。支持基板24の厚みは、例えば、約400μmである。
【0035】
次に、
図7に示したレジスト42を除去する。次に、マスク層25をマスクとして用いて、支持基板24をエッチングする。支持基板24のエッチングは、支持基板24の二段階目のエッチングである。このエッチングでは、マスク層25が上にない支持基板24をエッチングする。エッチングは、支持基板24が完全になくなる前に中止する。支持基板24の二段階目のエッチングにより、ミラー構造体810を形成した後、
図3に示したミラー81で反射された光の光路17を、支持基板24が遮ることがなくなる。
【0036】
次に、
図8の支持基板24及びミラー形成層22に対し、異方性のウェットエッチングを行う。この異方性ウェットエッチングは、支持基板24の三段階目のエッチングである。支持基板24の三段階目のエッチングは、ミラー構造体810のミラー81を形成するミラー支持面であるミラー支持面65及びミラー支持面66を形成するために行う。ウェットエッチングに用いるエッチング液の例として、水酸化カリウム(KOH)が挙げられる。KOHを用いるエッチングでは、例えば、KOHが質量パーセント濃度で40%のエッチング液を用いる。エッチングの際の温度は、例えば、80℃である。
図9に示すように、ミラー形成層22及び支持基板24のエッチングされた面は、マスク層21に対して傾斜している。
【0037】
エッチングの際には、支持基板24と、ミラー形成層22に電圧を加えてもよい。支持基板24と、ミラー形成層22に加える電圧の例として、6Vが挙げられる。エッチングの際に支持基板24と、ミラー形成層22に電圧を加えると、エッチングされた支持基板24と、ミラー形成層22のエッチングされた傾斜面を凹面とすることができる。
【0038】
異方性エッチングについて簡単に説明する。Siの単結晶はダイヤモンド構造をしており、結晶内部のSi原子はそれぞれ4本のボンドで共有結合している。表面のSi原子は、表面に現れる結晶面によって結合状態が異なる。例えばSiの(100)面では、Si原子の4本のボンドのうち2本のボンドが切れて2本のボンドでつながっている。しかし、Siの(111)面ではSi原子は3本のボンドでつながっていて、1本のボンドだけ切れている。このため、(111)面の方が(100)面よりエッチングされにくく、エッチング速度が遅くなる。結果として、Si単結晶をSiの(100)面からウェットエッチングすると、表面にエッチングされにくい(111)面が現れる。エッチング後に残る面は、結晶面に沿った平滑面となる。
【0039】
支持基板24とミラー形成層22がSiの単結晶である場合、ミラー支持面65、及びミラー支持面66、及び斜面67、及び斜面68はSiの(111)面となる。つまり、支持基板24とミラー形成層22の結晶面が、エッチングによって接続層51及び接続層53に対して傾斜するように表出する。しかし、Siの(111)面の向きはSi単結晶である支持基板24とミラー形成層22の結晶軸の向きで決まる。そのため、ミラー形成層22と、支持基板24を積層する際の結晶軸の向きを変更することにより、表出するSiの(111)面の向きを変更することができる。表出するSiの(111)面の向きを変更することにより、ミラー81へ入射した光が反射する方向を選択することができる。
【0040】
Si(100)面が表面である支持基板24とミラー形成層22を表面、つまり
図7では上側からKOHでエッチングすると、
図8に示すミラー支持面65の角度αと、ミラー支持面66の角度βと、ミラー支持面67の角度γと、ミラー支持面68の角度δは、それぞれ約55度となる。支持基板24とミラー形成層22に電圧を加えるエッチングでは、支持基板62及び支持基板64及びミラー支持体61及びミラー支持体63が凹面となるので、ミラー81及びミラー83は集光効果も備える。ここでは、KOHを用いるエッチングについて述べたが、エッチング液の他の例として、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)や、硝酸とフッ酸と酢酸の混合液が挙げられる。
【0041】
次に、
図9のマスク層21、マスク層25、接続層23をエッチングする。このエッチングは、ミラー構造体810へミラー81を設けるために行う。エッチングにより、
図10に示すように、マスク層21、マスク層25を除去する。
【0042】
次に、ミラー形成工程のうち、斜面の少なくとも一部にミラーを形成する工程について説明する。
図10のミラー形成層22、支持基板24にミラー81及びミラー83を形成する反射膜の蒸着を行う。この反射膜の蒸着により、
図11の断面図に示したように、ミラー81、ミラー83、反射膜82、反射膜84が形成される。説明した斜面の少なくとも一部にミラーを形成する工程では用いていないが、例えばリフトオフで金属の反射膜を堆積させ、ミラー81、ミラー83を形成し、反射膜82、反射膜84は形成しないようにすることもできる。リフトオフとは、フォトレジストで作ったパターンに金属を蒸着し、後でフォトレジストを取り去ると、フォトレジストがなかった部分にだけ金属のパターンが残る手法である。反射膜として用いられる金属の例として、金、アルミニウムが挙げられる。
【0043】
次に、ミラー構造体810にハンドリング部810bを設ける工程について説明する。ミラー構造体810の下側から、
図11の下面図に網掛けで示した下面から除去する部分85に対応するミラー形成層22及び接続層23をエッチングして、支持基板24をハンドリング部810bとする。ミラー構造体810の下側は、SOIウエハでは裏面に対応する。具体的には、ミラー支持面65と正対した場合のミラー支持面65の左右両端から中央に向かってミラー形成層22を除去し、ミラー支持面65と正対した場合のミラー形成層22の幅を溝形成工程によって形成される溝の幅Wgよりも小さくする。この支持体22の一部除去により、ミラー構造体810の一部であって溝の中に収納されない部分が、溝の幅よりも大きな幅であるハンドリング部810bとなる。
【0044】
図1及び
図11に示したエッチング後におけるミラー形成層22の幅Wmは、溝の幅Wgより狭くする。ミラー形成層22のエッチング後に、支持基板24はエッチングを行っていないので、ハンドリング部810bとして機能する支持基板24の幅Whは、ミラー形成層22の幅Wm及び溝の幅Wgよりも広くなる。ハンドリング部810bの形成により、ミラー構造体810及びミラー構造体811が完成する。ここでは、ミラー構造体810について述べたが、ミラー構造体810とミラー構造体811は同じ構造となる。
【0045】
次に、溝形成工程について説明する。溝形成工程は基板11の上に形成された光導波路を備える平面導波回路12に光導波路のコアよりも深い溝18を形成し、さらに、PLC側突き当て部13を形成する工程である。
図1の基板11及び平面導波回路12に、ミラー構造体810を設置するための溝18を形成する。溝18の形状は少なくとも、ミラー構造体810が設置できる幅及び深さであって、ミラー構造体810を設置すると、平面導波回路12を導波する光をミラー構造体810が有するミラー81が反射できる形状とする必要がある。そのため、溝18の幅Wgは、ミラー構造体810の幅Wmより大きくなる。Wh、Wg、Wmの大きさを比較すると、最も大きなのがWhであり、次に大きなのがWgであり、最も小さいのがWmである。ここでは、ミラー構造体810を設置する溝18の形成について述べたが、ミラー構造体811や他のミラー構造体を用いる場合でも同じである。
【0046】
次に、平面導波回路12の一部をエッチングして、PLC側突き当て部13を形成する。具体的には、溝の外部にある平面導波回路12の一部であり、平面導波回路12が有する光導波路の端面12bに対向する面に隣接する面に、PLC側突き当て部13を形成する。
図3に示す光路16と垂直な方向にある溝の端部の少なくとも一部は、PLC側突き当て部13を形成するために開放される。PLC側突き当て部13の形成により、後述する設置工程の後には、ハンドリング部810bの一部として機能するミラー形成層22は、基板11の上に設置される。
【0047】
次に、設置工程について説明する。設置工程は、ミラー形成工程で形成したミラー81が、平面導波回路12から出射された光の光路上に位置するように、溝形成工程で形成した溝の内部にミラー構造体810を設置する工程である。具体的には、ミラー構造体810を、
図1のように基板11および平面導波回路12の中に設けられた溝の中に設置する。また、ミラー構造体810は、ミラー構造体810のミラー構造体側突き当て部15を、
図1及び
図4のように、PLC側突き当て部13に接触させる。PLC側突き当て部13とミラー構造体側突き当て部15を接触させるパッシブアライメントによってミラー構造体810を設置できるので、溝18へのミラー構造体810の配置が容易となる。
【0048】
ミラー構造体810の固定が必要な場合には、例えば、紫外線硬化性樹脂を用いて、ミラー構造体810のハンドリング部810bを平面導波回路12に固定する。ミラー構造体810が
図3に示すように基板11および平面導波回路12に設けられた溝に設置されると、ミラー構造体810が備えるミラー81は、
図12及び
図13のミラー81として機能する。
図1で示した光路変換構造体等は、光路変換構造体付近のみを抜き出して示しており、
図1で示していない部分にも光導波路等は繋がっている。ここでは、ミラー構造体810を設置する溝の形成について述べたが、ミラー構造体811や他のミラー構造体を用いる場合も同じである。
【0049】
(第二の実施形態)
図12に、本発明の第二の実施形態に係る発光モジュールを示す。本実施形態に係る発光モジュールは、光路変換構造体10と、発光素子91と、光学素子固定基板93とを備える。911は発光素子91が出力した光がミラー81に反射されるまでの光路、912は発光素子91が出力した光がミラー81で反射された後の光路である。92は発光素子91がLD(Laser Diode)等の端面発光素子の場合に、発光素子91の出力光を光路911へと導くための反射面である。つまり、発光素子91が面発光素子であり、発光面がミラー81の上部にあり、発光素子91からの出射光が光路911及び光路912を通る場合には、反射面92は不要である。
【0050】
発光素子91が出力する光は、ミラー81により反射されて光路変換され、平面導波回路12へと入力される。発光素子91が反射面18を有する場合には、発光素子91と平面導波回路12との間の光路に反射面92が挿入される。
【0051】
(第三の実施形態)
図13に本発明の第三の実施形態に係る受光モジュールの一例を示す。本実施形態に係る受光モジュールは、光路変換構造体10と、受光素子101とを備える。本実施形態では、第一の実施形態が備えていた発光素子91を受光素子101に置き換え、第一の実施形態が発光素子91を用いるために備えていた光学素子固定基板93及び反射面92を省略している。受光素子が受光する光の光路が1011及び1012である。1011は受光素子101が受光する光がミラー81で反射された後の光路、1012は受光素子101が受光する光がミラー81で反射される前の光路である。平面導波回路12を導波する光は、ミラー81が反射して光路変換し、受光素子101に入力される。