(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、光通信システムや無線通信システム等の受信装置には、受信した信号を増幅する増幅器(以下、「受信増幅器」とも称する。)が設けられている。例えば、光通信システムにおける受信装置には、伝送路(光ファイバ)から送られた光信号を光−電流変換するフォトダイオード(PD:Photodiode)に加えて、そのフォトダイオードから出力される電流信号を電圧信号へ変換するとともに、その電圧信号を後段の回路(例えば、アナログ・デジタル変換器およびデジタルシグナルプロセッサ等)が動作可能な電圧振幅まで線形増幅する受信増幅器(トランスインピーダンス増幅回路(TIA:Transimpedance Amplifier))とが設けられている。
同様に、無線通信システムにおける受信装置には、アンテナで受信した高周波信号を増幅し、その信号を後段の回路が動作可能な電圧振幅まで線形増幅する受信増幅器(低雑音増幅回路(LNA:Low Noise Amplifier))が設けられている。
【0003】
受信装置に搭載された受信増幅器には、上記の機能に加えて、入力した受信信号の振幅を検出して出力する機能(以下、「入力信号振幅検出機能」と称する。)を備えたものがある。例えば、入力信号振幅検出機能を備えた受信増幅器の従来構成が、非特許文献1および非特許文献2に開示されている。
【0004】
図12に、非特許文献1に代表される従来の入力信号振幅検出機能を備えた受信増幅器の構成を示す。同図に示される受信増幅器500は、入力段の増幅回路51、中間段の増幅回路52、出力段の増幅回路53、振幅検出回路54、56、加算器55、および利得制御用の増幅回路57を備える。
【0005】
入力段の増幅回路51はトランスインピーダンスコア回路であり、入力端子59に供給された光信号に基づく電流信号(受信信号)SINを所定のトランスインピーダンス利得で線形増幅し、出力する。中間段の増幅回路52は、増幅回路57から供給された利得制御電圧に応じた利得で増幅回路51の出力信号を線形増幅して出力する。出力段の増幅回路53は、中間段の増幅回路52の出力信号を所定の利得で線形増幅し、出力端子57に出力する。振幅検出回路54は、中間段の増幅回路52の出力信号の振幅を検出し、その振幅の大きさに応じた電圧を出力する。加算器55は、振幅検出回路54から出力された電圧と、振幅参照電圧VREFとの差に応じた電圧を出力する。利得制御用の増幅回路57は、加算器55の出力電圧を増幅し、中間段の増幅回路52の利得を制御するための利得制御電圧を出力する。振幅検出回路56は、入力段の増幅回路51の出力信号の振幅を検出し、その振幅に応じた信号を入力信号振幅検出端子58に出力する。
【0006】
上記振幅検出回路56の具体的な回路構成としては、例えば非特許文献3に開示がある。また、振幅検出回路54、加算器55、および利得制御用の増幅回路57の具体的な回路構成としては、例えば特許文献1に開示がある。
【0007】
上記の受信増幅器500によれば、中間段の増幅回路52の出力振幅は、受信信号の振幅の大きさに依存せず、振幅参照電圧VREFによって定まる一定の値に制御される。また、振幅検出回路56が、入力段の増幅回路51によって一定の利得で増幅された受信信号の振幅に応じた電圧を生成するので、
図13に示すように、入力信号振幅検出端子から出力される入力信号振幅検出電圧は受信信号の振幅の大きさに依存した電圧となる。
【0008】
すなわち、上記受信増幅器500によれば、受信信号(光信号に基づく電流量)によらず振幅が略一定となる出力信号を生成することができ、且つ、受信信号の大きさを検出することが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、
図12に示した受信増幅器500では、以下に示すような欠点がある。
一つ目の欠点は、受信増幅器500全体の消費電力が大きいことである。例えば、各振幅検出回路54、56は、高速で変化する信号が入力されるので、大きな入力帯域が要求される。そのため、振幅検出回路54、56を構成するトランジスタには、高速化の観点から大きなバイアス電流を与える必要があり、振幅検出回路54、56の消費電力が大きくなる傾向がある。その結果、受信増幅器500全体として消費電力が大きくなるという問題がある。
【0012】
二つ目の欠点は、受信増幅器500の回路パターンレイアウトの制約である。例えば、上述したように、振幅検出回路54、56に高速で変化する信号を入力するため、中間段の増幅回路52と振幅検出回路54とを接続する信号線路や、入力段の増幅回路51と振幅検出回路56とを接続する信号線路には、大きな帯域が要求される。
【0013】
信号線路の帯域を大きくするには、信号線路のインダクタンス値や容量値を小さくする必要があるため、線路長を短くするための素子配置や線路の特性インピーダンスの調整等が要求され、回路パターンレイアウトが制約されてしまう。
【0014】
更に、本願発明者らの検討によれば、受信増幅器の入力ダイナミックレンジを大きくするために、受信増幅器500の構成に加えて入力段の増幅回路51の利得も制御する機構を更に設けた場合、入力信号振幅検出電圧が温度や電源電圧等の変動の影響を受け易くなるという問題がある。
【0015】
例えば、従来の受信増幅器500の構成では、入力信号振幅検出電圧に受信信号の振幅のみに依存して単調増加または単調減少する特性を持たせるために、入力段の増幅回路51を線形動作させ、且つ利得を一定とすることが望ましい。しかしながら、一般的な増幅回路は線形に増幅することができる入力振幅には上限があるため、入力段の増幅回路51を一般的な増幅回路で構成した場合、入力する受信信号の信号振幅の上限に制約が生じる。そこで、上記のように中間段の増幅回路52のみならず入力段の増幅回路51の利得も制御する機構を更に追加し、信号振幅の大きい受信信号が入力された場合に入力段の増幅回路51の利得を低下させるように制御すれば、受信増幅器500の入力ダイナミックレンジを大きくすることができる。
【0016】
しかしながら、この構成では、2つの増幅回路51、52の利得を制御するため、温度や電源電圧に起因して増幅回路51、52の特性が変動した場合に、2つの増幅器の利得配分にも変動が生じる。上記のように入力段の増幅回路51の出力振幅に基づいて入力信号振幅を検出する構成では、2つの増幅回路51、52の利得配分が変化すると、受信信号の振幅が一定に保たれている状態あっても、入力信号振幅検出電圧が変動してしまう。
【0017】
すなわち、入力ダイナミックレンジを大きくするために、受信増幅器500に入力段の増幅回路51の利得を制御する機構を追加した場合、入力信号振幅検出電圧が温度や電源電圧等の変動の影響を受け易くなってしまうという問題がある。
【0018】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、受信増幅器において、低消費電力化を図ることにある。
【0019】
また、本発明の別の目的は、回路パターンレイアウトの制約を緩和させつつ、入力信号振幅の検出を可能にすることにある。
【0020】
また、本発明の別の目的は、受信増幅器において、入力信号振幅の検出精度の低下を抑えつつ、入力ダイナミックレンジを拡大することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係る増幅器は、制御電圧に応じた増幅率で入力信号を増幅して出力する増幅部と、前記増幅部によって増幅された信号の振幅を検出し、その振幅に応じた検出電圧を生成する振幅検出部と、前記振幅検出部によって生成された前記検出電圧と参照電圧との差が小さくなるように、前記制御電圧を生成する利得制御部と、前記振幅検出部によって生成される前記検出電圧と前記利得制御部によって生成される前記制御電圧とを重みづけして加算する加算器と、を有
し、前記加算器は、前記検出電圧を第1増幅率で増幅するとともに前記制御電圧を第2増幅率で増幅し、増幅した夫々の電圧を加算して差動信号として出力する加算回路と、前記加算回路から出力された前記差動信号をシングルエンド信号に変換して出力する出力回路と、を有し、前記第1増幅率と前記第2増幅率とは、前記入力信号に対する前記差動信号の変化率が一定となるように設定され、前記出力回路は、コレクタ電極に電源電圧ノードから電流が供給され、前記加算回路から出力された一対の差動信号の一方をベース電極に入力する第5トランジスタと、コレクタ電極に前記電源電圧ノードから電流が供給され、前記一対の差動信号の他方をベース電極に入力する第6トランジスタと、一端が前記第5トランジスタのエミッタ電極に接続される第9抵抗と、一端が前記第6トランジスタのエミッタ電極に接続される第10抵抗と、コレクタ電極とベース電極とが前記第9抵抗の他端に共通に接続される第7トランジスタと、ベース電極が前記第7トランジスタのベース電極に接続され、コレクタ電極が前記第10抵抗の他端に接続される第8トランジスタと、一端が前記第7トランジスタのエミッタ電極に接続され、他端が前記第1固定電圧ノードに接続される第11抵抗と、一端が前記第8トランジスタのエミッタ電極に接続され、他端が前記第1固定電圧ノードに接続される第12抵抗と、ベース電極に前記第8トランジスタのコレクタ電圧を入力する第9トランジスタと、前記第9トランジスタのエミッタ電極と前記第1固定電圧ノードとの間に接続される負荷素子と、を有し、前記第10抵抗は、前記第9抵抗の抵抗値と前記第11抵抗の抵抗値との加算値に相当する抵抗値を有することを特徴とする。
【0022】
上記増幅器において、前記増幅部は、前記入力信号を増幅する第1増幅回路と、前記第1増幅回路によって増幅された信号を増幅する第2増幅回路と、を含み、前記第1増幅回路および前記第2増幅回路は、前記制御電圧に基づいて夫々の増幅率が変更されるようにしてもよい。
【0025】
上記増幅器において、前記加算回路は、差動入力回路を構成し、ベース電極に前記制御電圧を入力する第1トランジスタおよび第2トランジスタと、一端が前記第1トランジスタのエミッタ電極に接続される第1抵抗と、一端が前記第2トランジスタのエミッタ電極に接続され、他端が前記第1抵抗の他端に接続される第2抵抗と、第1固定電圧が供給される第1固定電圧ノードと、前記第1抵抗と第2抵抗との接続ノードとの間に接続される第1電流源と、差動入力回路を構成し、ベース電極に前記検出電圧を入力する第3トランジスタおよび第4トランジスタと、一端が前記第3トランジスタのエミッタ電極に接続される第3抵抗と、一端が前記第4トランジスタのエミッタ電極に接続され、他端が前記第3抵抗の他端に接続される第4抵抗と、前記第1固定電圧ノードと、前記第3抵抗と前記第4抵抗との接続ノードとの間に接続される第2電流源と、前記第1トランジスタのコレクタ電流と前記第3トランジスタのコレクタ電流とに基づいて第1電圧信号を生成するとともに、前記第2トランジスタのコレクタ電流と前記第4トランジスタのコレクタ電流とに基づいて第2電圧信号を生成する抵抗回路と、を有し、前記出力回路は、前記第1電圧信号と前記第2電圧信号とを入力し、前記第1電圧信号と前記第2電圧信号との差に基づいて前記シングルエンド信号を生成するようにしてもよい。
【0026】
上記増幅器において、前記抵抗回路は、一端が前記第1固定電圧よりも高い第2固定電圧が供給される第2固定電圧ノードに接続され、他端が前記第1トランジスタのコレクタ電極と第3トランジスタのコレクタ電極とに共通に接続される第5抵抗と、一端が前記第2固定電圧ノードに接続され、他端が前記第2トランジスタのコレクタ電極と第4トランジスタのコレクタ電極とに共通に接続される第6抵抗と、を含み、前記出力回路は、前記第5抵抗の他端の電圧を前記第1電圧信号として入力し、前記第6抵抗の他端の電圧を前記第2電圧信号として入力してもよい。
【0027】
上記増幅器において、前記抵抗回路は、一端が前記第1固定電圧よりも高い第2固定電圧が供給される第2固定電圧ノードに接続され、他端が前記第1トランジスタのコレクタ電極に接続される第5抵抗と、一端が前記第2固定電圧ノードに接続され、他端が前記第2トランジスタのコレクタ電極に接続される第6抵抗と、一端が前記第5抵抗の他端に接続され、他端が前記第3トランジスタのコレクタ電極に接続される第7抵抗と、一端が前記第6抵抗の他端に接続され、他端が前記第4トランジスタのコレクタ電極に接続される第8抵抗とを含み、前記出力回路は、前記第7抵抗の他端の電圧を前記第1電圧信号として入力し、前記第8抵抗の他端の電圧を前記第2電圧信号として入力してもよい。
【0028】
上記増幅器において、前記抵抗回路は、一端が前記第1固定電圧よりも高い第2固定電圧が供給される第2固定電圧ノードに接続され、他端が前記第3トランジスタのコレクタ電極に接続される第5抵抗と、一端が前記第2固定電圧ノードに接続され、他端が前記第4トランジスタのコレクタ電極に接続される第6抵抗と、一端が前記第5抵抗の他端に接続され、他端が前記第1トランジスタのコレクタ電極に接続される第7抵抗と、一端が前記第6抵抗の他端に接続され、他端が前記第2トランジスタのコレクタ電極に接続される第8抵抗と、を含み、前記出力回路は、前記第7抵抗の他端の電圧を前記第1電圧信号として入力し、前記第8抵抗の他端の電圧を前記第2電圧信号として入力してもよい。
【0029】
上記増幅器において、前記抵抗回路は、一端が前記第1固定電圧よりも高い第2固定電圧が供給される第2固定電圧ノードに接続され、他端が前記第1トランジスタおよび第3トランジスタのコレクタ電極に共通に接続される第5抵抗と、一端が前記第2固定電圧ノードに接続され、他端が前記第2トランジスタのコレクタ電極に接続される第6抵抗と、一端が前記第2固定電圧ノードに接続され、他端が前記第4トランジスタのコレクタ電極に接続される第7抵抗とを含み、前記出力回路は、前記第5抵抗の他端の電圧を前記第1電圧信号として入力し、前記第7抵抗の他端の電圧を前記第2電圧信号として入力してもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、低消費電力、且つ回路パターンレイアウトの制約の少ない、入力信号振幅検出機能を備えた受信増幅器を提供することができる。
【0032】
また、本発明において、上記増幅部を前記第1増幅回路と上記第2増幅回路とを含んで構成し、上記第1増幅回路および上記第2増幅回路の夫々の増幅率を上記制御電圧によって変更ことにより、入力信号振幅の検出精度の低下を抑えつつ、入力ダイナミックレンジを拡大することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0035】
≪実施の形態1≫
図1に、本発明の実施の形態1に係る増幅器の構成を示す。
【0036】
同図に示される増幅器100は、光通信システムや無線通信システム等の受信装置に搭載される受信増幅器である。例えば光通信システムの受信装置おいて、伝送路(光ファイバ)から送られた光信号はPDによって光−電流変換され、変換された電流信号は電圧信号に変換される。増幅器100(以下、「受信増幅器100」と称する。)は、上記PDによって変換された電流信号を入力信号SINとして入力し、後段の回路(例えば、アナログ・デジタル変換器およびデジタルシグナルプロセッサ等)が動作可能な電圧振幅まで線形増幅する。
【0037】
図1に示されるように、受信増幅器100は、増幅部1、出力段増幅回路13、振幅検出回路14、利得制御部2、加算器3、および複数の外部端子を備える。なお、同図には、上記外部端子として、例えば入力端子PIおよび出力端子PO、PAが代表的に図示されている。
【0038】
特に制限されないが、受信増幅器100は、例えば公知のHBT(Heterojunction Bipolar Transistor)製造プロセスによって半導体基板に形成された半導体集積回路によって実現することができる。なお、受信増幅器100は、1チップの半導体装置として実現されても良いし、マルチチップ構成の半導体装置として実現されても良く、特に制限されない。
【0039】
増幅部1は、入力端子PIに供給された入力信号SINを増幅して出力する。増幅部1は、利得(増幅率)が変更可能にされる。具体的に、増幅部1は、固定の利得を有する第1増幅回路10と、利得が可変にされる第2増幅回路11とから構成される。第2増幅回路11は、後述する利得制御部2によって生成された利得制御電圧VGCに応じて利得が調整される。
【0040】
出力段増幅回路13は、増幅部1によって増幅された信号SMを所望の増幅率で増幅し、出力端子POに出力する。特に制限されないが、出力段増幅回路13は、一定(固定)の増幅率を有する。
【0041】
振幅検出回路14は、増幅部1によって増幅された信号SMの振幅を検出し、その振幅値に応じた検出電圧VAを生成する。利得制御部2は、振幅検出回路14によって生成された検出電圧VAと参照電圧VREFとの差が小さくなるように、第2増幅回路11の利得を調整するための利得制御電圧VGCを生成する。具体的に、利得制御部2は、検出電圧VAと参照電圧VREFとの差分を算出する加算器15と、加算器15によって算出された差分がゼロになるように利得制御電圧VGCを生成する利得制御用の増幅回路16とから構成される。利得制御用の増幅回路16の利得を大きくすることにより、検出電圧VAと参照電圧VREFとの差を、よりゼロに近づけることが可能となる。
【0042】
加算器3は、振幅検出回路14によって生成された検出電圧VAと利得制御部16によって生成された利得制御電圧VGCとを重みづけして加算することにより、入力信号SINの振幅に応じた電圧(以下、「入力信号振幅検出電圧」と称する。)VPAを生成し、出力端子PAに出力する。加算器3の詳細については後述する。
【0043】
ここで、受信増幅器100における利得制御について説明する。
図1に示されるように、第2増幅回路11と、振幅検出回路14と、利得制御部2とは、一つの閉ループを形成する。この閉ループ(以下、「利得制御ループ」と称する。)によって、第2増幅回路11の利得、出力信号SMの出力振幅、振幅検出回路14の検出電圧VA、および利得制御電圧VGCは、
図2に示すような特性となる。
図2は、入力信号SINに対する、第2増幅回路11の利得、出力信号SMの出力振幅、振幅検出回路14の検出電圧VA、および利得制御電圧VGCの特性を例示する図である。
【0044】
同図において、参照符号205は、入力信号SINの振幅に対する第2増幅回路11の利得の特性を表し、参照符号201は、入力信号SINの振幅に対する第2増幅回路11の出力信号SMの振幅の特性を表し、参照符号202は、入力信号SINの振幅に対する利得制御電圧VGCの特性を表し、参照符号203は、入力信号SINの振幅に対する検出電圧VAの特性を表す。
また、同図において、“Al”は、利得制御電圧VGCが利得制御部2の出力可能な上限値に達したときの入力信号SINの振幅値を表し、“Ah”は、利得制御電圧VGCが利得制御部2の出力可能な下限値に達したときの入力信号SINの振幅値を表している。
【0045】
図2の特性201に示されるように、例えば入力信号SINの振幅がAlからAhの範囲にある場合、第2増幅回路11の出力信号SMの振幅は略一定に保たれる。これは、第1増幅回路11の出力信号SMの振幅が一定(入力信号SINの振幅と第1増幅回路11の利得の積が一定)となるように、利得制御部2が第2増幅回路11の利得を制御することによって実現されている。具体的には、
図2の特性202に示すように、利得制御部2が検出電圧VAと参照電圧(振幅の参照電圧)VREFとが一致するように利得制御電圧VGCを生成することにより、第2増幅回路11の利得が、
図2の特性205に示すように、入力信号SINに対して単調に減少(反比例)するように制御される。これにより、入力信号SINの振幅によらず第2増幅回路11の出力信号SMの振幅が略一定に保たれる。
【0046】
一方、入力信号SINの振幅がAlより小さい範囲では、
図2の特性205、202に示すように、利得制御電圧VGCが上限値に達し、第2増幅回路11の利得が変化しない(増加しない)ため、第2増幅回路11の出力信号SMの振幅は、入力信号SINの振幅の減少に伴って単調に減少する特性となる。また、入力信号SINの振幅がAhより大きい範囲では、
図2の特性205、202に示すように、利得制御電圧VGCが下限値に達し、第2増幅回路11の利得が変化しない(減少しない)ため、第2増幅回路11の出力信号SMの振幅は、入力信号SINの振幅の増加に伴って単調に増加する。
【0047】
したがって、第2増幅回路11の出力信号SMの振幅は、
図2の特性201に示されるように、入力信号SINの振幅がAlより小さい範囲では、入力信号SINの振幅に比例して増加し、入力信号SINの振幅がAlからAhまでの範囲では、入力信号SINの振幅によらず一定となり、入力信号SINの振幅がAhより大きい範囲では、入力信号SINの振幅に比例して増加する特性となる。このように振幅が制御された出力信号SMは、上述したように後段の増幅回路13によって所定の増幅率で増幅されて出力端子POに出力される。
【0048】
振幅検出回路14の検出電圧VAは、第2増幅回路11の出力信号SMの振幅と同様に入力信号SINの振幅に依存する。例えば、入力信号SINの振幅がAlからAhの範囲にある場合には、第2増幅回路11の出力信号SMの振幅が一定に保たれるので、振幅検出回路14の検出電圧VAは一定となる。また、入力信号SINの振幅がAlより小さい範囲にある場合には、第2増幅回路11の利得が変化しないため、入力信号SINの振幅の低下に伴って信号SMの振幅が低下し、検出電圧VAは参照電圧VREFを下回るように乖離する。同様に、入力信号SINの振幅がAhより大きい範囲にある場合にも、第2増幅回路11の利得が変化しないため、入力信号SINの振幅の増加に伴って信号SMの振幅が増加し、検出電圧VAは参照電圧VREFを上回るように乖離する。
【0049】
したがって、振幅検出回路14の検出電圧VAは、
図2の特性203に示されるように、入力信号SINの振幅がAlより小さい範囲では、入力信号SINの振幅に比例して増加し、入力信号SINの振幅がAlからAhまでの範囲では、入力信号SINの振幅によらず一定となり、入力信号SINの振幅がAhより大きい範囲では、入力信号SINの振幅に比例して増加する特性となる。
【0050】
以上述べたように、上記利得制御ループによれば、入力信号SINの振幅がAlからAhまでの範囲では入力信号SINによらず振幅を一定とし、それ以外範囲では入力信号SINに比例して振幅を増加させるように、入力信号SINを増幅することが可能となる。
【0051】
次に、加算器3による入力信号振幅検出電圧VPAの生成原理について、
図3を用いて詳細に説明する。
図3は、入力信号振幅検出電圧VPAの生成原理を説明するための図である。
図3において、参照符号202Xは、利得制御電圧VGCを反転した信号の利得制御電圧VGCに対する特性を表し、参照符号204は、入力信号SINの振幅に対する入力信号振幅検出電圧VPAの特性を表している。
【0052】
前述したように、加算器3は、検出電圧VAと利得制御電圧VGCとを重みづけして加算することにより、入力信号振幅検出電圧VPAを生成する。具体的には、
図3に示すように、利得制御電圧VGCの極性を反転した信号(特性202X)と振幅検出回路14の検出電圧VA(特性203)とに適当な重みづけをして加算することにより、入力信号SINの振幅の増加に伴って単調に増加する電圧(特性204)を得ることができる。この電圧(特性204)を入力信号振幅検出電圧VPAとして出力することにより、受信増幅器100における入力信号振幅検出機能を実現することができる。
【0053】
例えば、入力信号SINの振幅がAlからAhの範囲にあるときの利得制御電圧VGCの反転信号の傾きを“gm”とし、入力信号SINの振幅がAl以下であるときの検出電圧VAの傾きを“gl”とし、入力信号SINの振幅がAh以上であるときの検出電圧VAの傾きを“gh”とする。また、検出電圧VAに対する重み付けを“W1”とし、利得制御電圧VGCに対する重み付けを“W2”とする。
【0054】
この場合、入力信号振幅検出電圧VPAの傾きは、入力信号SINの振幅がAl以下の範囲では“W1・gl”となり、入力信号SINの振幅がAlからAhの範囲では“W2・gm”となり、入力信号SINの振幅がAh以上の範囲では“W1・gh”となる。
これらの傾き“W1・gl”、“W2・gm”、および“W1・gh”が夫々等しくなるように、“W1”と“W2”の値を設定することにより、入力信号振幅検出電圧VPAが入力信号SINの振幅の増加に伴って単調に増加する電圧とすることができる。具体的には、W1とW2との比を、例えば“W1/W2≒2・gm/(gl+gh)”となるように設定すれば、入力信号振幅検出電圧VPAは、入力信号SINの振幅の増加に伴って略単調に増加する特性となる。なお、W1とW2の大きさは、入力信号振幅検出電圧VPAの最大変化量が所望の値となるように(例えば、規格値に収まるように)決めればよい。
【0055】
以上のように、受信増幅器100によれば、加算器3による加算の重みづけを適切に調整することで、入力信号SINの振幅に対して線形に変化する電圧を生成することが可能となり、入力信号振幅検出機能を実現することが可能となる。また、前述したような従来の入力信号振幅検出機能付きの受信増幅器500に比べて、入力信号の振幅を検出するための振幅検出回路が不要となる。また、従来の振幅検出回路の代わりに追加した加算器3は、低速で変化する直流電圧に近い検出電圧VAと利得制御電圧VGCとを加算すればよいので、高速動作が不要であり、極めて低消費電力な回路構成で実現することができる。すなわち、受信増幅器100によれば、従来の入力信号振幅検出機能を備える受信増幅器500に比べて、全体の消費電流を削減することができる。
【0056】
また、振幅検出回路14と加算器3とを接続する信号線路や、利得制御用の増幅回路16と加算器3とを接続する信号線路には広い帯域を確保する必要がないので、線路長の短縮や信号線路の特性インピーダンスの調整等を行う必要がなく、従来の受信増幅器500に比べて、回路のパターンレイアウトを緩和することができる。
【0057】
次に、受信増幅器100を構成する機能部の具体的な回路構成について説明する。
図4に、振幅検出回路14、加算器15、および利得制御用の増幅回路16の回路構成を例示する。なお、本実施の形態では、第2増幅回路11の出力信号SMを差動信号とし、検出電圧VAおよび利得制御電圧VGCは差動信号として生成され、入力信号振幅検出電圧VPAはシングルエンド信号として生成される場合を一例として説明する。また、各回路を構成するトランジスタ(Q11、Q12等)は、HBTであるとする。
【0058】
振幅検出回路14は、トランジスタQ11〜15、抵抗R21、R22、R23、容量C1、C2、電流源I11、I12により構成される。
トランジスタQ11、Q12および容量C1により、第2増幅回路11の出力(差動)信号SMのピーク電圧値から、トランジスタQ11およびQ12のベース・エミッタ間電圧Vbeだけ低い電圧が容量C1の両端に保持される。更にトランジスタQ13により、容量C1の電圧よりもトランジスタQ13のベース・エミッタ間電圧Vbeだけ低い電圧が生成され、出力端子OVATから出力される。
【0059】
また、抵抗R21、R22、および容量C2により、第2増幅回路11の出力(差動)信号SMの平均電圧が容量C2の両端に保持される。更に、トランジスタQ14、Q15により、容量C2の電圧よりもトランジスタQ14のベース・エミッタ間電圧VbeとトランジスタQ15のベース・エミッタ間電圧Vbeの和だけ低い電圧が生成され、出力端子OVACから出力される。
【0060】
トランジスタQ11、Q12、およびQ14の夫々のベース・エミッタ間電圧は略等しく、且つ、トランジスタQ13およびQ15のベース・エミッタ間電圧は略等しい。その結果、トランジスタQ13のエミッタ電極の電圧とトランジスタQ15のエミッタ電極の電圧との差分は、第2増幅回路11の差動出力波形のピーク電圧と平均電圧との差、すなわち、第2増幅回路11の差動出力波形の振幅値に等しくなる。
【0061】
加算器15は、振幅検出回路14を構成するトランジスタQ13のエミッタと電流源I11との間に抵抗R23を挿入することによって実現される。
図4に示されるように、抵抗R23と電流源I11との接続ノードの電圧は、トランジスタQ13のエミッタ電極の電圧値より“R23×I11”だけ低い電圧値となる。そこで、参照電圧VREFが所望の値になるように、抵抗R23の抵抗値と電流源I11の電流値を決定する。これにより、抵抗R23と電流源I11との接続ノードの電圧VXとトランジスタQ15のエミッタ電極の電圧VYとの差に応じた電圧は、第2増幅回路11の差動出力波形の振幅値と参照電圧VREFとの差に応じた差電圧と一致する。
【0062】
利得制御用の増幅回路16は、例えば、トランジスタQ16、Q17、抵抗R24、R25、および電流源I13によって構成される。なお、
図4には、増幅回路16の増幅段が1段である場合が例示されているが、必要な増幅率に応じて増幅段を多段にしても良い。
【0063】
増幅回路16により、抵抗R23と電流源I11との接続ノードの電圧とトランジスタQ15のエミッタ電極の電圧との差に応じた電圧の極性が反転され、“参照電圧VREFから第2増幅回路11の差動出力波形の振幅値を減算した電圧”が、利得制御電圧VGCとして出力端子OT、OCから出力される。
【0064】
次に、加算器3の具体的な回路構成について説明する。
【0065】
図5は、加算器3の回路構成を例示する図である。
同図に示されるように、加算器3は、加算回路31と出力回路32とから構成される。加算回路31は、検出電圧VAを第1増幅率(W1)で増幅するとともに制御電圧VGCを第2増幅率(W2)で増幅し、増幅した夫々の信号を加算して電圧(差動信号)V1、V2として出力する。出力回路32は、加算回路31から出力された差動信号V1、V2をシングルエンド信号に変換して出力する。ここで、上記第1増幅率と上記第2増幅率とは、入力信号SINに対する差動信号V1、V2の変化率が一定となるように設定される。
【0066】
具体的に、加算回路31は、利得制御電圧VGCを入力する差動入力回路310と、検出電圧VAを入力する差動入力回路311と、夫々の差動入力回路から出力された電流に基づいて差動信号(電圧)V1、V2を生成する抵抗回路312とから構成される。
差動入力回路310は、トランジスタQ1、Q2、抵抗R3,R4、および電流源I1から構成される。トランジスタQ1とトランジスタQ2とは差動対を構成し、エミッタサイズ等が同一になるように形成される。トランジスタQ1、Q2の夫々のベース電極に利得制御電圧VGC(差動信号)が入力される。抵抗3は、一端がトランジスタQ1のエミッタ電極に接続される。抵抗R4は、一端がトランジスタQ2のエミッタ電極に接続され、他端が抵抗R3の他端に接続される。抵抗3および抵抗4は、例えば同一の抵抗値を有する。電流源I1は、基準となる固定電圧VEE(例えばグラウンド電圧)が供給される基準ノードVEEと、抵抗R3と抵抗R4との接続ノードとの間に接続される。これにより、差動入力回路310に入力された利得制御電圧VGCは、第1増幅率で増幅され、差動電流としてトランジスタQ1およびトランジスタQ2のコレクタ電極から夫々出力される。
【0067】
同様に、差動入力回路311は、トランジスタQ3、Q4、抵抗R5,R6、および電流源I2から構成される。トランジスタQ3とトランジスタQ4とは差動対を構成し、エミッタサイズ等が同一になるように形成される。トランジスタQ3、Q4の夫々のベース電極に検出電圧VA(差動信号)が入力される。抵抗R5は、一端がトランジスタQ3のエミッタ電極に接続される。抵抗R6は、一端がトランジスタQ4のエミッタ電極に接続され、他端が抵抗R5の他端に接続される。抵抗R5および抵抗R6は、例えば同一の抵抗値を有する。電流源I2は、基準ノードVEEと、抵抗R5と抵抗R6との接続ノードとの間に接続される。これにより、差動入力回路311に入力された検出電圧VAは、第2増幅率で増幅され、差動電流としてトランジスタQ3およびトランジスタQ4のコレクタ電極から夫々出力される。
【0068】
抵抗回路312は、抵抗R1およびR2から構成される。
抵抗R1は、一端が基準となる固定電圧VEEよりも高い固定電圧VCC(電源電圧)が供給される電源ノードVCCに接続され、他端がトランジスタQ1のコレクタ電極とトランジスタQ3のコレクタ電極とに共通に接続される。これにより、トランジスタQ1のコレクタ電流とトランジスタQ3のコレクタ電流との合成電流が電圧V1に変換される。
抵抗R2は、一端が電源ノードVCCに接続され、他端がトランジスタQ2のコレクタ電極とトランジスタQ4のコレクタ電極とに共通に接続される。これにより、トランジスタQ2のコレクタ電流とトランジスタQ4のコレクタ電流との合成電流が電圧V2に変換される。
【0069】
加算回路31による加算時の重み付けは、差動入力回路310、311の夫々の利得を調整することによって実現される。例えば、抵抗R3,R4の抵抗値、抵抗R5,R6の抵抗値、電流源I1,I2の電流値を調整することにより、差動入力回路310の第1増幅率(前述の重み“W1”に相当)と、差動入力回路311の第2増幅率(前述の重み“W2”に相当)を調整することが可能となる。具体的には、前述したように、“W1/W2≒2・gm/(gl+gh)”となるように、抵抗R3,R4の抵抗値、抵抗R5,R6の抵抗値、および電流源I1,I2の電流値を調整すればよい。
【0070】
出力回路32は、トランジスタQ5〜10、および抵抗R7〜R11から構成される。
トランジスタQ5は、加算回路31から出力された電圧V1をベース電極に入力し、トランジスタQ6は、加算回路31から出力された電圧V2をベース電極に入力する。抵抗R7は、一端がトランジスタQ5のエミッタ電極に接続される。また、抵抗R8は、一端がトランジスタQ6のエミッタ電極に接続される。トランジスタQ7は、コレクタ電極とベース電極とが抵抗R7の他端に共通に接続される。また、トランジスタQ8は、ベース電極がトランジスタQ7のベース電極と共通に接続され、コレクタ電極が抵抗R8の他端に接続される。抵抗R9は、一端がトランジスタQ7のエミッタ電極に接続され、他端が基準ノードVEEに接続される。また、抵抗R10は、一端がトランジスタQ8のエミッタ電極に接続され、他端が基準ノードVEEに接続される。トランジスタQ9は、ベース電極にトランジスタQ8のコレクタ電圧が入力される。負荷素子R11は、トランジスタQ9のエミッタ電極と基準ノードVEEとの間に接続される。負荷素子R11は、例えば抵抗である。トランジスタQ10は、電源ノードVCCとトランジスタQ9のコレクタ電極との間にダイオード接続とされる。
【0071】
抵抗R9と抵抗R10の抵抗値を同一にした場合、トランジスタQ7,Q8により、抵抗R7と抵抗R8に同一の電流が流れる。ここで、電圧VEEを0Vとし、抵抗R7、R8に流れる電流をIとすると、電圧V1は(式1)で表すことができる。
【0073】
同様に、電圧V2は(式2)で表すことができる。ここで、V3はトランジスタQ9のベース電圧を表す。
【0075】
上記(式1)および(式2)により、Iを消去すると、V3は(式3)で表すことができる。
【0077】
ここで、トランジスタQ5,Q6,Q7に略同一の電流が流れていることから、Vbe(Q5)=Vbe(Q6)=Vbe(Q7)=Vbe0とみなすことができる。更に“R8=R7+R9”となるように抵抗値を選ぶと、(式4)が成立する。
【0079】
出力端子PAに出力される入力信号振幅検出電圧VPAは、電圧V3よりもトランジスタQ9のベース・エミッタ間電圧Vbeだけ低い電圧となる。すなわち、入力信号振幅検出電圧VPAは、(式4)より、“VPA≒V2−V1”となる。
【0080】
以上のように、出力回路32によれば、加算回路31によって生成された電圧V1と電圧V2との差に応じた電圧(入力信号振幅検出電圧VPA)を、固定電圧VEEを基準としたシングルエンド信号として出力をすることができる。
【0081】
また、出力回路32において、“R8=R7+R9”となるように抵抗R7〜R9の抵抗値を定めることにより、入力信号振幅検出電圧VPAは、電源電圧VCCやトランジスタQ5〜Q10のベース・エミッタ間電圧に直接依存しなくなり、電源電圧や温度の変動の影響を受け難くなる。
【0082】
図6は、受信増幅器100における入力信号SINの振幅に対する入力信号振幅検出電圧VPAの特性を示す図である。同図に示されるように、受信増幅器100を上記のように構成することで、入力信号振幅検出電圧VPAは、入力信号SINの広い電圧範囲において、入力信号SINの振幅の増加に伴って単調に増加する特性となり、入力信号SINの検出結果として適した信号となる。
【0083】
なお、入力振幅検出電圧VPAの感度を更に高くする場合には、加算回路31と出力回路32との間に、1つまたは複数の差動増幅回路を挿入すればよい。また、基準となる固定電圧VEEを負電源とし、電圧VCCを基準(0V)とした出力電圧を生成する場合には、例えば、出力回路32を
図7に示すような差動増幅回路で構成しても良いし、出力回路32を削除し、加算回路31の正相の出力電圧V1および逆相の出力電圧V2の何れか一方をそのまま出力端子PAに供給する構成としても良い。
【0084】
以上、実施の形態1に係る受信増幅器100によれば、入力信号の振幅を検出するための振幅検出回路を設けることなく、入力信号振幅を検出することが可能となる。これにより、上述したように、従来の受信増幅器と比べて、消費電力を削減することができ、且つ回路パターンレイアウトの制約を緩和させることができる。
【0085】
≪実施の形態2≫
図8に、実施の形態2に係る受信増幅器の構成を示す。
同図に示される受信増幅器200は、入力段の第1増幅回路の利得が可変にされる点で、実施の形態1に係る受信増幅器100と相違し、その他の構成は受信増幅器100と同様である。以下の説明においては、実施の形態1に係る受信増幅器100と共通する構成要素については同一の符号を用いて表し、その詳細な説明を省略する。
【0086】
入力段の第1増幅回路20は、第2増幅回路11と同様に、利得制御部2によって生成された利得制御電圧VGCに応じて利得が調整される。すなわち、第1増幅回路20および第2増幅回路11は、出力信号SMの振幅が一定になるように利得配分が調整される。例えば、入力段の第1増幅回路20は、入力信号SINの振幅が目標値よりも大きい場合に、その利得が低下するように制御される。
【0087】
なお、第1増幅回路20の利得制御の仕組みは、第1増幅回路20の回路構成によって種々の変更が可能である。例えば、
図8に示されるように利得制御電圧VGCによって第1増幅回路20を直接制御しても良いし、利得制御電圧VGCをレベルシフト回路等のバッファ回路に入力し、そのバッファ回路を介して第1増幅回路20を制御しても良く、利得の制御方法は特に制限されない。
【0088】
以上、実施の形態2に係る受信増幅器200によれば、増幅部1の出力信号SMの振幅が一定になるように第1増幅回路20および第2増幅回路11の夫々の増幅率が調整されるので、中間段の増幅回路11のみ増幅率を調整する場合に比べて、受信増幅器の入力ダイナミックレンジを大きくすることができる。また、前述した従来の入力信号振幅検出機能を備える受信増幅器500のように、入力段の増幅回路(実施の形態2に係る第1増幅回路20に相当)の出力振幅を振幅検出回路によって検出する構成ではないので、温度や電源電圧に起因して第1増幅回路20および第2増幅回路11の利得配分が変動した場合であっても、入力信号振幅検出電圧VPAが受ける影響は限定的である。
すなわち、実施の形態2に係る受信増幅器200によれば、入力信号振幅の検出精度の劣化を抑えつつ、入力ダイナミックレンジの拡大を図ることが可能となる。
【0089】
≪実施の形態3≫
図9に、入力信号振幅検出電圧を生成する加算器の別の回路構成を示す。
同図に示される加算器4は、加算回路31の代わりに、検出電圧VAに比べて利得制御電圧VGCに対する重み付けが小さい加算回路34を備える点で、実施の形態1に係る加算器3と相違する。以下の説明においては、実施の形態1に係る加算器3と共通する構成要素については同一の符号を用いて表し、その詳細な説明を省略する。
【0090】
具体的に、加算回路34は、差動入力回路310、311と抵抗回路313とを備える。抵抗回路313は、実施の形態1に係る抵抗回路312の抵抗R1、R2を夫々、抵抗R1AおよびR1Bと、抵抗R2AおよびR2Bに分割した構成とされる。抵抗R1Aは、一端が電源ノードVCCに接続され、他端がトランジスタQ1のコレクタ電極に接続される。抵抗R2Aは、一端が電源ノードVCCに接続され、他端がトランジスタQ2のコレクタ電極に接続される。抵抗R1Bは、一端が抵抗R1Aの他端に接続され、他端がトランジスタQ3のコレクタ電極に接続される。抵抗R2Bは、一端が抵抗R2Aの他端に接続され、他端がトランジスタQ4のコレクタ電極に接続される。
【0091】
出力回路32は、抵抗R1BとトランジスタQ3のコレクタ電極との接続ノードの電圧V1と、抵抗R2BとトランジスタQ4のコレクタ電極との接続ノードの電圧V2とを入力し、入力信号振幅検出電圧VPAを生成する。
【0092】
実施の形態3に係る加算器4によれば、検出電圧VAに比べて利得制御電圧VGCに対する重み付けを極めて小さくすることが可能となる。この加算器4は、例えば、利得制御電圧VGCの入力信号SINに対する変化率が検出電圧VAの変化率に比べて大きい場合に、特に有効である。
【0093】
≪実施の形態4≫
図10に、入力信号振幅検出電圧を生成する加算器の更に別の回路構成を示す。
同図に示される加算器5は、加算回路31の代わりに、利得制御電圧VGCに比べて検出電圧VAに対する重み付けが小さい加算回路35を備える点で、実施の形態1に係る加算器3と相違する。以下の説明においては、実施の形態1に係る加算器3と共通する構成要素については同一の符号を用いて表し、その詳細な説明を省略する。
【0094】
具体的に、加算回路35は、差動入力回路310、311と抵抗回路314とを備える。抵抗回路314は、実施の形態2に係る抵抗回路313と同様に、抵抗R1と抵抗R2を夫々、抵抗R1AおよびR1Bと、抵抗R2AおよびR2Bとに分割した構成とされる。抵抗R1Aは、一端が電源ノードVCCに接続され、他端がトランジスタQ3のコレクタ電極に接続される。抵抗R2Aは、一端が電源ノードVCCに接続され、他端がトランジスタQ4のコレクタ電極に接続される。抵抗R1Bは、一端が抵抗R1Aの他端に接続され、他端がトランジスタQ1のコレクタ電極に接続される。抵抗R2Bは、一端が抵抗R2Aの他端に接続され、他端がトランジスタQ2のコレクタ電極に接続される。
【0095】
出力回路32は、抵抗R1BとトランジスタQ1のコレクタ電極との接続ノードの電圧V1と、抵抗R2BとトランジスタQ2のコレクタ電極との接続ノードの電圧V2とを入力し、入力信号振幅検出電圧VPAを生成する。
【0096】
実施の形態4に係る加算器5によれば、利得制御電圧VGCに比べて検出電圧VAに対する重み付けを極めて小さくすることが可能となる。この加算器5は、例えば、検出電圧VAの入力信号SINに対する変化率が利得制御電圧VGCの変化率に比べて大きい場合に、特に有効である。
【0097】
≪実施の形態5≫
図11に、入力信号振幅検出電圧を生成する加算器の更に別の回路構成を示す。
同図に示される加算器6は、加算回路31の代わりに加算回路36を備える点で、実施の形態1に係る加算器3と相違する。以下の説明においては、実施の形態1に係る加算器3と共通する構成要素については同一の符号を用いて表し、その詳細な説明を省略する。
【0098】
具体的に、加算回路36は、差動入力回路310、311と抵抗回路315とを備える。抵抗回路315は、抵抗R1、R2、およびR2Xから構成される。
【0099】
抵抗R1は、一端が電源ノードVCCに接続され、他端がトランジスタQ1およびトランジスタQ3のコレクタ電極に共通に接続される。抵抗R2Xは、一端が電源ノードVCCに接続され、他端がトランジスタQ2のコレクタ電極に接続される。抵抗R2は、一端が電源ノードVCCに接続され、他端がトランジスタQ4のコレクタ電極に接続される。
【0100】
出力回路32は、抵抗R1とトランジスタQ1、Q3のコレクタ電極との接続ノードの電圧V1と、抵抗R2とトランジスタQ4のコレクタ電極との接続ノードの電圧V2とを入力し、入力信号振幅検出電圧VPAを生成する。
【0101】
実施の形態5に係る加算器6によれば、トランジスタQ1のコレクタ電流とトランジスタQ3のコレクタ電流との加算に対してのみ、重み付け加算を行うことが可能となる。また、これによれば、加算器内の配線を差動対で結線する必要がないので、加算器の回路レイアウトを単純化することができる。
【0102】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0103】
例えば、トランジスタQ1〜Q10がNPN HBTである場合を例示したが、これらのトランジスタの一部または全部を、例えば通常のNPNバイポーラトランジスタやMOS(metal−oxide−semiconductor)FETに代表されるN型電界効果トランジスタ等に置き換えてもよい。また、同様の回路は、PNP型バイポーラトランジスタやP型電界効果トランジスタを用いても構成することができる。
【0104】
また、実施の形態3、4で示した加算回路34、35は、
図9および
図10に示すような差動信号同士の重み付け加算の回路構成に限られず、例えば、
図11に示すように、トランジスタQ1のコレクタ電流とトランジスタQ3のコレクタ電流との加算に対してのみ、重み付け加算を行う回路構成としてもよい。
【0105】
また、加算器3〜6は、
図5および
図9乃至11に示されるような差動増幅器を基本とした回路構成に限定されず、重み付け加算の機能を有する種々の回路構成により実現することができる。