特許第6240172号(P6240172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240172
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】シラン基含有ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/83 20060101AFI20171120BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20171120BHJP
   C08G 18/38 20060101ALI20171120BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C08G18/83
   C08G18/10
   C08G18/38 019
   C09J175/04
【請求項の数】14
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-513167(P2015-513167)
(86)(22)【出願日】2013年5月22日
(65)【公表番号】特表2015-525253(P2015-525253A)
(43)【公表日】2015年9月3日
(86)【国際出願番号】EP2013060554
(87)【国際公開番号】WO2013174892
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2016年5月20日
(31)【優先権主張番号】12169151.3
(32)【優先日】2012年5月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス クラマー
(72)【発明者】
【氏名】ウルス ブルクハルト
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−296135(JP,A)
【文献】 特開平05−186479(JP,A)
【文献】 特開2003−231794(JP,A)
【文献】 特開2010−120925(JP,A)
【文献】 特開2001−187836(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/035662(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00−18/87
C09J 175/00−175/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基を含まない次の式(I)の末端基を有するポリマー:
【化6】
(式中、
及びRは、
それぞれ独立して、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有するアルキル基を表し;
又は
それらが合わさって、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、2〜12個のC原子を有するアルキレン基を表し;
は、芳香族部分を有していてもよく、1個以上のヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又はシクロアルキレン基を表し;
は、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表し;
は、エーテルの酸素を有していてもよい、1〜10個のC原子を有するアルキル基を表し;かつ
xは、0又は1を表す)。
【請求項2】
及びRが、それぞれ独立して1つ若しくは2つのエーテルの酸素を有していてもよい、3〜10個のC原子を有するアルキル基を表わすか、又は
及びRが合わさって、エーテルの酸素若しくはチオエーテルの硫黄の形態で1つのヘテロ原子を有していてもよい、4〜8個のC原子を有するアルキレン基を表わし、それにより窒素原子を含んで5員環、6員環、又は7員環を形成している、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
が、1〜6個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表わす、請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項4】
xがゼロである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
1000〜30,000g/molの範囲の分子量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
大部分がポリオキシアルキレン単位から構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
式(I)の前記末端基の大部分が、脂環式基に結合している、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
1〜4個の式(I)の末端基を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項9】
及びRが、それぞれ独立して2−メトキシエチル、ブチル若しくはイソプロピルを表わすか、又は
及びRが合わさって、その窒素原子を含んで、ピロリジン、2−メチルピペリジン、モルホリン若しくは2,6−ジメチルモルホリンを表わす、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか一項に記載のポリマーの少なくとも1種を、水分と反応させることによって得られる架橋したプラスチック。
【請求項11】
以下の式(II)のヒドロシランの少なくとも1種と、イソシアネート基含有ポリウレタンの少なくとも1種とを反応させることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法:
【化7】
(式中、
及びRは、
それぞれ独立して、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有するアルキル基を表し;
又は
それらが合わさって、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、2〜12個のC原子を有するアルキレン基を表し;
は、芳香族部分を有していてもよく、1個以上のヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又はシクロアルキレン基を表し;
は、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表し;
は、エーテルの酸素を有していてもよい、1〜10個のC原子を有するアルキル基を表し;かつ
xは、0又は1を表す)。
【請求項12】
請求項1〜のいずれか一項に記載のポリマーの少なくとも1種と、追加成分とを含む、水分硬化性組成物。
【請求項13】
弾性接着剤及び/又は弾性シーラントとしての、請求項12に記載の水分硬化性組成物の使用。
【請求項14】
請求項12に記載の組成物と水分とを用いて硬化させて得られる、硬化した組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン基含有ポリマー及び水分硬化組成物のコンポーネントとしてのシラン基含有ポリマーの使用に関する。また、特に建設業製品及び工業製品での接着性結合、シーリング、及びコーティング用の水分硬化組成物のコンポーネントとしてのシラン基含有ポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シラン基含有ポリマーは、「シラン官能性ポリマー」若しくは「シラン末端化ポリマー」又は「STP」とも呼ばれており、これは、特に建設業及び工業でのイソシアネートフリーの弾性接着剤、シーラント、及びコーティングとして特に用いられる水分硬化性組成物のバインダー系として長らく好適に用いられてきた。市販の原料から開始でき、それにより商業的に魅力的である、シラン含有ポリマーを容易に得るために実行できる一つの方法は、アミノシランとイソシアネート基含有ポリウレタンポリマーとの反応を経る。ここでは、末端のシラン基は、ポリマーのウレア基によって結合される。しかし、この方法で得られるシラン基含有ポリマーは、比較的高粘度であり、加工性の良好な組成物を配合することが難しくなり、かつ80℃以上の温度範囲において硬化した状態で熱負荷(thermal stress)に対する抵抗性を限定的なものにする。
【0003】
ウレア基ではなくウレタン基を通じてポリマーに結合しているシラン基含有ポリマーは、粘度及び熱抵抗に関して興味深い特性を与える。そのようなシラン基含有ポリマーは、ポリオールとイソシアナートシランとの反応生成物として知られている。しかし、この方法では、イソシアネートが高価であり、保存に適しておらず、かつ強い毒性を有するため、限られた興味のみを与える。イソシアネート基含有ポリウレタンポリマーとヒドロキシシランとの反応が、さらに魅力的である。
【0004】
特許文献1は、ヒドロキシル基を含み、かつアミノシランと環状アルキレンカーボネートとを反応させることによって得られるシラン、及びそれから得られるシラン基含有ポリマーを開示している。しかし、これらのシラン基含有ポリマーは、満足な熱抵抗を有していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5587502号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、低い粘度を有し、かつ水分の影響で硬化して良好な熱抵抗を有する弾性材料を形成する、シラン基含有ポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、下記の態様1に記載のポリマーが上記の目的を達成することを見出した。これは、低い粘度及び優れた保存安定性を有し、かつ水分の影響の下で素早く硬化して良好な強度、伸張性、及び熱抵抗を有する弾性材料を形成する。驚くべきことに、このポリマーは、イソシアネート基含有ポリマーと、1つの第2級OH基を含む特定のヒドロキシシランとから出発する簡単な方法によって選択的に調製することができる。
本発明のさらなる態様は、追加の独立的態様の主題である。本発明の特に好ましい実施態様は、従属的態様の主題である。
本発明の態様としては、以下の態様を挙げることができる:
《態様1》
イソシアネート基を含まない次の式(I)の末端基を有するポリマー:
【化1】
(式中、
及びRは、
それぞれ独立して、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有するアルキル基を表し;
又は
それらが合わさって、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、2〜12個のC原子を有するアルキレン基を表し;
は、芳香族部分を有していてもよく、1個以上のヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又はシクロアルキレン基を表し;
は、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表し;
は、エーテルの酸素を有していてもよい、1〜10個のC原子を有するアルキル基を表し;かつ
xは、0又は1を表す)。
《態様2》
及びRが、それぞれ独立して1つ若しくは2つのエーテルの酸素を有していてもよい、3〜10個のC原子を有するアルキル基を表わすか、又は
及びRが合わさって、エーテルの酸素若しくはチオエーテルの硫黄の形態で1つのヘテロ原子を有していてもよい、4〜8個のC原子を有するアルキレン基を表わし、それにより窒素原子を含んで5員環、6員環、又は7員環を形成している、態様1に記載のポリマー。
《態様3》
が、1〜6個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表わす、態様1又は2に記載のポリマー。
《態様4》
xがゼロである、態様1〜3のいずれか一項に記載のポリマー。
《態様5》
1000〜30,000g/molの範囲の分子量を有する、態様1〜4のいずれか一項に記載のポリマー。
《態様6》
大部分がポリオキシアルキレン単位から構成されている、態様1〜5のいずれか一項に記載のポリマー。
《態様7》
式(I)の前記末端基の大部分が、脂環式基に結合している、態様1〜6のいずれか一項に記載のポリマー。
《態様8》
1〜4個の式(I)の末端基を有する、態様1〜7のいずれか一項に記載のポリマー。
《態様9》
態様1〜8のいずれか一項に記載のポリマーの少なくとも1種を、水分と反応させることによって得られる架橋したプラスチック。
《態様10》
以下の式(II)のヒドロシランの少なくとも1種と、イソシアネート基含有ポリウレタンの少なくとも1種とを反応させることを特徴とする、態様1〜8のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法:
【化2】
(式中、
及びRは、
それぞれ独立して、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有するアルキル基を表し;
又は
それらが合わさって、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、2〜12個のC原子を有するアルキレン基を表し;
は、芳香族部分を有していてもよく、1個以上のヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又はシクロアルキレン基を表し;
は、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表し;
は、エーテルの酸素を有していてもよい、1〜10個のC原子を有するアルキル基を表し;かつ
xは、0又は1を表す)。
《態様11》
以下の式(IV)のエポキシシランの少なくとも1種と、以下の式(V)のアミンの少なくとも1種とを、対応するアルコールHORの沸点よりも5℃高い温度を超えない温度で、反応させることによって得られる、反応生成物であって:
【化3】
少なくとも80wt%の以下の式(II)のヒドロキシシランの含量を含むことを特徴とする、反応生成物:
【化4】
(式中、
及びRは、
それぞれ独立して、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有するアルキル基を表し;
又は
それらが合わさって、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、2〜12個のC原子を有するアルキレン基を表し;
は、芳香族部分を有していてもよく、1個以上のヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又はシクロアルキレン基を表し;
は、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表し;
は、エーテルの酸素を有していてもよい、1〜10個のC原子を有するアルキル基を表し;かつ
xは、0又は1を表す)。
《態様12》
以下の式(III)を有するイソシアナートシラン:
【化5】
(式中、
及びRは、
それぞれ独立して、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有するアルキル基を表し;
又は
それらが合わさって、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、2〜12個のC原子を有するアルキレン基を表し;
は、芳香族部分を有していてもよく、1個以上のヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又はシクロアルキレン基を表し;
は、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表し;
は、エーテルの酸素を有していてもよい、1〜10個のC原子を有するアルキル基を表し;
は、4〜16個のC原子を有する二価の炭化水素基を表わし;かつ
xは、0又は1を表す)。
《態様13》
態様1〜8のいずれか一項に記載のポリマーの少なくとも1種と、追加成分とを含む、水分硬化性組成物。
《態様14》
弾性接着剤及び/又は弾性シーラントとしての、態様13に記載の水分硬化性組成物の使用。
《態様15》
態様13に記載の組成物と水分とを用いて硬化させて得られる、硬化した組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の主題は、イソシアネート基を含まない次の式(I)の末端基を有するポリマーである:
【化1】
(式中、
及びRは、
それぞれ独立して、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有するアルキル基を表し;
又は
及びRが合わさって、エーテルの酸素、チオエーテルの硫黄、又は第三級アミンの窒素の形態でヘテロ原子を有していてもよい、2〜12個のC原子を有するアルキレン基を表し;
は、芳香族部分を有していてもよく、1個以上のヘテロ原子を有していてもよい、1〜12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又はシクロアルキレン基を表し;
は、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表し;
は、エーテルの酸素を有していてもよい、1〜10個のC原子を有するアルキル基を表し;かつ
xは、0又は1を表す)。
【0009】
本明細書において、用語「シラン」及び「オルガノシラン」は、一方では、Si−O結合によりケイ素原子に直接結合した、1つのアルコキシ基、通常2つのアルコキシ基、又は3つのアルコキシ基又はアシルオキシ基を有し、他方では、Si−C結合によりケイ素原子に直接結合した、少なくとも1つの有機基を有する化合物をいう。したがって、用語「シラン基」は、その有機基によって結合したシランをいう。
【0010】
用語「アミンシラン」、「ヒドロキシシラン」、「イソシアナートシラン」等は、有機基に、対応する官能基、すなわちアミノ基、ヒドロキシル基、イソシアネート基を含むオルガノシランをいう。
【0011】
本明細書においてポリオールやポリイソシアネートなどの「ポリ」で始まる物質名は、その名前で現れる官能基を、1分子当りに2つ以上形式的に含む物質を指す。
【0012】
用語「ポリウレタンポリマー」は、いわゆるジイソシアネート重付加プロセスによって合成されたすべてのポリマーを含む。用語「ポリウレタンポリマー」は、イソシアネート基を含むポリウレタンポリマーも含み、例えばポリイソシアネートとポリオールを反応させることによって得られるものであることができ、それら自体がポリイソシアネートを表し、そしてプレポリマーとも呼ばれる。
【0013】
オリゴマー又はポリマーの「分子量」は、本明細書において、標準ポリスチレンに対してGPCによって通常測定される、平均分子量Mn(数平均)をいうものと理解される。
【0014】
式(I)の末端基は、シラン基である。シラン基は、水分と接触して加水分解する性質を有する。このプロセスにおいて、シラノール基(Si−OH基)が生成し、そして続く縮合反応によって、シロキサン基(Si−O−Si基)が生成する。
【0015】
好ましくはR及びRは、
それぞれ独立して、エーテルの酸素を1つ若しくは2つ含んでいてもよい、3〜10個のC原子を有するアルキル基を表し、又は
及びRが合わさって、エーテルの酸素若しくはチオエーテルの硫黄の形態で1つのヘテロ原子を有していてもよい、4〜8個のC原子を有するアルキレン基を表わし、それにより窒素原子を含んで5員環、6員環、又は7員環、特に5員環又は6員環を形成する。
【0016】
好ましくはR及びRは、
それぞれ独立して、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル、2−オクチルオキシエチル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル 若しくは2−エチルヘキシルを表し、又は
及びRが合わさって、その窒素原子を含んで、置換されていてもよいピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、又はチオモルホリン環を表わす。
【0017】
特に好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して2−メトキシエチル、ブチル若しくはイソプロピルを表わすか、又はR及びRが合わさって、その窒素原子を含んで、ピロリジン、2−メチルピペリジン、モルホリン若しくは2,6−ジメチルモルホリンを表わす。そのようなポリマーは、特に低い粘度を有し、かつ高い保存安定性を有する。
【0018】
最も好ましくは、R及びRは、その窒素原子を含んで、モルホリンを表わす。そのようなポリマーは、特に低い粘度を有し、かつ特に良好な保存安定性を有し、そして容易に入手可能である。
【0019】
は、好ましくは1〜6個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキレン基、特にプロピレン基を表す。
【0020】
は、好ましくはメチル基を表す。
【0021】
は、好ましくはメチル基、エチル基、又はヘプト−3,6−ジオキサ−1−イル基、特に好ましくはメチル基又はエチル基を表す。
【0022】
これらの好ましいR基、R基、及びR基を有するポリマーは、特に容易に入手できるヒドロキシシランから導かれる。
【0023】
は、特にエチル基を表す。これらのポリマーは、特に保存安定性が高く、かつその硬化中にメタノールを解裂せず、これは毒性の理由から有利である。
【0024】
xは、好ましくは0を表す。これらのポリマーは、水分と接触して特に素早く加水分解し、そして良好な物理的特性を可能にする。特に好ましくは、xは0を表わし、Rはエチル基を表わす。これらのトリエトキシシラン末端基を有するポリマーは、非常に高い保存安定性を有し、素早く硬化し、そして硬化した状態で高い機械的特性を有する。
【0025】
式(I)の末端基を有するこのポリマーは、1000〜30000g/molの範囲、好ましくは2000〜25000g/molの範囲、特に好ましくは3000〜20000g/molの範囲、そして特に4000〜15000g/molの範囲の分子量を有することが好ましい。そのようなポリマーは、良好な物理的特性を可能にする。
【0026】
式(I)の末端基を有するこのポリマーは、大部分がポリオキシアルキレン単位を有すること、特に好ましくはポリオキシエチレン単位及び/又はポリオキシプロピレン単位を有することが好ましい。そのようなポリマーは、低い粘度を有し、かつ良好な物理的特性を可能にする。
【0027】
式(I)の末端基の大部分は、特に脂環式基に結合する。そのようなポリマーは、特に低い粘度を有し、特に光安定性が高い。
【0028】
このポリマーは、式(I)の末端基を、1〜4個、特に好ましくは1〜3個、特に2個又は3個、最も好ましくは2個含む。そのようなポリマーは、良好な物理的特性、特に高い伸張性を有する。
【0029】
さらに、本発明は、少なくとも1つの次の式(II)のヒドロキシシランと、少なくとも1つのイソシアネート含有ポリウレタンポリマーとを反応させることによって、式(I)の末端基を有するポリマーの製造方法に関する:
【化2】
(式中、R、R、R、R、R、n及びxは、上述されている)。
【0030】
この反応において、ヒドロキシル基は、イソシアネート基に対して、少なくとも化学量論比で、特に僅かに高い化学量論比で用いられる。特に、1.0〜1.25のOH/NCO比が用いられる。この反応は、好ましくは、20℃〜120℃、50℃〜100℃の範囲の温度で行われる。少なくとも1種の触媒、特にビスマス(III)化合物、亜鉛(II)化合物、若しくはスズ(II)化合物、又は有機スズ化合物をここで用いることが好ましい。
【0031】
好ましくは、式(II)のヒドロキシシランは、次の群より選択される:1−モルホリノ−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、1−モルホリノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、1−(2,6−ジメチルモルホリノ)−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、1−(2,6−ジメチルモルホリノ)−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、ビス(2−メトキシエチル)アミノ−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、ビス(2−メトキシエチル)アミノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、1−ピロリジノ−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、1−ピロリジノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、1−ピペリジノ−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、1−ピペリジノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、1−(2−メチルピペリジノ)−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、1−(2−メチルピペリジノ)−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、ジブチルアミノ−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、ジブチルアミノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール、ジイソプロピルアミノ−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール及びジイソプロピルアミノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オール。
【0032】
このモルホリノ化合物は特に適切である。
【0033】
さらに、トリエトキシシリル化合物は、特にて好ましい。
【0034】
この反応に適切なイソシアネート基含有ポリウレタンポリマーは、少なくとも1つのポリオールと少なくとも1つのポリイソシアネートとの反応、特に少なくとも1つのポリオールと少なくとも1つのジイソシアネートとの反応によって得られる。この反応は、ポリオールとポリイソシアネートとを通常の方法によって反応させて、特に50℃〜100℃の温度で反応させて、随意に適切な触媒を併せて用いて、起こすことができる。ここでは、ポリイソシアネートを、イソシアネート基をポリオールのヒドロキシル基に対して化学量論的に過剰な量で存在させるようにして投入する。特に、ポリオールの全てのヒドロキシル基の反応後に、遊離イソシアネート基の含量が、全ポリマーに対して0.1〜5wt%、好ましくは0.1〜2.5wt%、特に好ましくは0.2〜1wt%でポリウレタンポリマーにおいて残留するように、過剰なポリイソシアネートが選択される。上記の遊離イソシアネート基含量を有する好ましいポリウレタンポリマーは、ジイソシアネートと高い分子量のジオールとを、NCO/OH比が1.5/1〜2.2/1、特に1.8/1〜2.0/1で反応させることによって得られる。随意に、ポリウレタンポリマーを、イソシアネートと反応する基を含まない可塑剤と併せて用いて、調製することができる。
【0035】
イソシアネート基含有ポリウレタンポリマーの調製のためのポリオールとして、次の市販のポリオール又はこれらの混合物が特に適切である:
−ポリオキシアルキレンポリオール(ポリエーテルポリオール又はオリゴエーテルオールともいわれる):これらは、特にエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−又は2,3−ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物の重合生成物であり、随意に2個以上の活性水素原子を有する出発分子(例えば、水、アンモニア)又はいくつかのOH又はNH基を有する化合物(例えば、1,2−エタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体類、トリプロピレングリコール異性体類、ブタンジオール異性体類、ペンタンジオール異性体類、ヘキサンジオール異性体類、へプタンジオール異性体類、オクタンジオール異性体類、ノナンジオール異性体類、デカンジオール異性体類、ウンデカンジオール異性体類、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、及び上述した化合物の混合物)を用いて重合されたものであってよい。例えば、いわゆる複合金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)を用いて調製される、(ASTM D−2849−69に準拠して測定され、ポリオール1グラム当たりの不飽和のミリ当量(meq/g))で示される)不飽和度が低いポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。
【0036】
ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、特にポリオキシエチレンジオール及びポリオキシプロピレンジオール、並びにポリオキシエチレントリオール及びポリオキシプロピレントリオールが特に好適である。
【0037】
いわゆるエチレンオキシド末端化「EO末端封鎖」ポリオキシプロピレンポリオールも、特に好適である。後者は、複合ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリオールであって、これは例えば、ポリオキシプロピレンポリオールを、エチレンオキシドによってさらにアルコキシル化することによって得られる。これはポリプロポキシル化反応終了後に行われ、結果として第1級ヒドロキシル基を有している、
【0038】
−スチレン−アクリロニトリル又はアクリロニトリル−メチルアクリレートでグラフト化したポリエーテルポリオール。
−ポリエステルポリオール、いわゆるオリゴエステルオール、これは公知の方法、特に二価又は多価のアルコール及び脂肪族ポリカルボン酸若しくは芳香族ポリカルボン酸の重縮合又はヒドロキシカルボン酸の重縮合によって調製される。
【0039】
特に好適なポリエステルポリオールは、二価から多価のアルコール、特に二価のアルコールと、有機ジカルボン酸又は有機トリカルボン酸から調製されたものである。アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,12−ヒドロキシステアリルアルコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、二量体脂肪酸ジオール(ダイマージオール)、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン又は上記のアルコールの混合物が挙げられる。有機ジカルボン酸又は有機トリカルボン酸としては、特にジカルボン酸又はその無水物又はエステル、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、フタル酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、トリメリット酸無水物又は上記の酸の混合物が挙げられる。また、ラクトン、例えばε−カプロラクトン及び出発物質、例えば上記の二価又は三価のアルコールからのポリエステルポリオールも好適である。
【0040】
特に適切なポリエステルポリオールは、ポリエステルジオールである。
−例えばポリエステルポリオールの生成に用いられる上述のアルコールと、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、又はホスゲンとを反応させることによって得られるようなポリカーボネートポリオールである。
−ポリアクリレートポリオール及びポリメタクリレートポリオールである。
−ポリヒドロキシル官能性の脂肪及び油、例えば、天然の脂肪及び油、特にヒマシ油又は、天然の脂肪及び油の化学変性によって得られるポリオール(いわゆる油脂化学ポリオール類)、例えば不飽和油をエポキシ化し、次いでカルボン酸若しくはアルコールを用いて開環反応させることによって得られるエポキシポリエステル類若しくはエポキシポリエーテル類、又は不飽和油のヒドロキシホルミル化及び水素化によって得られるポリオール類である。さらに、分解過程(例えば、アルコール分解、オゾン分解等)及びその後の化学架橋(例えば、こうして得られた分解生成物若しくはその誘導体の再エステル化又は二量化など)によって天然の脂肪および油から得られるポリオール類が好適である。天然の脂肪および油の好ましい分解生成物は、特に、脂肪酸及び脂肪アルコール、並びに脂肪酸エステルであり、特にヒドロホルミル化及び水素化してヒドロキシ脂肪酸エステルを形成させることによって誘導体化され得るメチルエステル類(FAME)である。
【0041】
−ポリ炭化水素ポリオール類(いわゆるオリゴヒドロカルボノールとも呼ばれる)、例えば、ポロヒドロキシ−官能性ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリイソピレン、ポリヒドロキシ官能性のエチレン−プロピレン−コポリマー、エチレン−ブチレン−コポリマー、又はエチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(これらは、例えば、Kraton Polymer社(米国)によって製造されている)、特にアニオン重合によって得ることもできるジエン(特に、1,3−ブタジエン)のポリヒドロキシ官能性ポリマー、ジエン(特に、1,3−ブタジエン)又はジエン混合物とビニルモノマー(例えば、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、イソブチレン、及びイソプレン)とのポリヒドロキシ官能性コポリマー(例えば、ポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、これは例えばエポキシド又はアミノアルコールとカルボキシ末端化アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーとから調製されるコポリマーであり、例えば、Nanoresins AG、ドイツ又はEmerald PerformanceMaterials LLC社からHypro(商標)(以前のHycar(商標))CTBN、CTBNX、及びETBNとして市販されている)、並びにジエンの水素化ポリヒドロキシ官能性ポリマー又はコポリマーである。
【0042】
ポリオールとして、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリアクリレートポリオールを用いることが好ましい。ポリオキシアルキレンポリオールが特に好ましい。
【0043】
好ましいポリオキシアルキレンポリオールは、ポリオキシプロピレンポリオール及びポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン複合ポリオールである。
【0044】
好ましくは、このポリオールは、1000〜20000g/mol、特に好ましくは2000〜20000g/molの分子量を有する。
【0045】
このポリオールは、好ましくはジオールである。
【0046】
これらのポリオールに加えて、少量の低分子量の二価又は多価のアルコールを用いることもできる、例えば1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体及びトリプロピレングリコール異性体、ブタンジオール異性体、ペンタンジオール異性体、ヘキサンジオール異性体、ヘプタンジオール異性体、オクタンジオール異性体、ノナンジオール異性体、デカンジオール異性体、ウンデカンジオール異性体、1,3−シクロヘキサンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化したビスフェノールA、脂肪アルコール二量体、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール又はマンニトール)、糖(例えば、スクロース)、他の高価数アルコール、上記の二価及び多価アルコールの低分子量アルコキシル化生成物、並びにイソシアネート基含有ポリウレタンポリマーの製造における上記のアルコールの混合物である。
【0047】
イソシアネート基含有ポリウレタンポリマーの調製に好適なポリイソシアネートは、特に次の市販のポリイソシアネート又はこれらの任意の混合物である:
脂肪族ポリイソシアネート、特に例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、リシン及びリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び-1,4−ジイソシアネート、1−メチル−2,4−及び−2,6−ジイソシアナートシクロヘキサン並びにこれらの異性体の任意の混合物(HTDI又はHTDI)、1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル5−イソシアナートメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、ペルヒドロ−2,4’−及び−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI又はH12MDI)、1,4−ジイソシアナート−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3−及び1,4−ビス−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(m−及びp−XDI)、テトラメチル−1,3−及び−1,4−キシリレンジイソシアネート(m−及びp−TMXDI)、ビス−(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ナフタリン、脂肪酸イソシアネートの2量体及び3量体、例えば3,6−ビス−(9−イソシアナートノニル)−4,5−ジ−(1−ヘプテニル)シクロヘキセン(ジメチルジイソシアネート)及びα,α,α’,α’,α”,α”−ヘキサメチル−1,3−5−メシチレントリイソシアネート、さらに芳香族イソシアネート、特に例えば2,4−及び2,6−トルイレンジイソシアネート及びこれらの異性体の任意の混合物(TDI)、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれらの異性体の任意の混合物(MDI)、以下の混合物:MDI及びMDI同族体(多量体MDI又はPMDI)、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジイソシアナートベンゼン、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル4,4’−ジイソシアナートジフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、1,3,5−トリス−(イソシアナートメチル)ベンゼン、トリス−(4−イソシアナートフェニル)メタン及びトリス−(4−イソシアナートフェニル)チオホスファート、並びに上記のイソシアネートの混合物、上記のイソシアネートのポリマー及びオリゴマー。
【0048】
好ましいポリイソシアネートは、ジイソシアネートである。IPDI、HDI、MDI及びTDI、特にIPDIが、特に好ましい。IPDIに基づくと、式(I)の末端基を有するポリマーを調製することができ、これは低い粘度を有し、良好な物理的特性と低い黄色化傾向を可能とする。
【0049】
式(I)の末端基を有するポリマーを製造するための他の手段としては、式(II)の少なくとも1種のヒドロキシシランと、少なくとも1種のジイソシアネートR−(NCO)とを反応させて、次の式(III)のイソシアナートシランを生成し、そしてこのイソシアナートシランを少なくとも1種のポリオールと反応させることが挙げられる:
【化3】
(式中、Rは、二価の4〜16個のC原子を有する炭化水素基、R、R、R、R、R、及びxは上述している)。
【0050】
は、好ましくは、1,6−ヘキシレン、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル1,6−ヘキシレン、1,3−及び1,4−シクロヘキシレン、1,3−及び1,4−キシリレン、1,3−及び1,4−テトラメチルキシリレン、4,4’−及び2,4’−置換ジフェニルメタン、2,4−及び2,6−置換トルエン及び2つのイソシアネート基を除去した後のIPDI、特に2つのイソシアネート基を除去したとのIPDIを表す。これらのイソシアナートシランは容易に入手可能であり、保存安定性の高い物質である。
【0051】
したがって、本発明のさらなる主題は、式(III)のイソシアナートシランであり、これは少なくとも1種の式(II)のヒドロキシシランと少なくとも1種のジイソシアネートR−(NCO)との反応生成物を表す。
【0052】
好適なジイソシアネートR−(NCO)は、イソシアネート基含有ポリウレタンポリマーの調製用に上述したジイソシアネートである。特に好適なものは、以下である:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル5−イソシアナートメチルシクロヘキサン、m−及びp−キシリレンジイソシアネート、テトラメチル−1,3−及び−1,4−キシリレンジイソシアネート、4,4’−及び2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び2,4−及び2,6−トルイレンジイソシアネート。
【0053】
これらの中でも特に、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル5−イソシアナートメチルシクロヘキサン、4,4’−及び2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、及び2,4−及び2,6−トルイレンジイソシアネートを用いることが好ましい。
【0054】
1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル5−イソシアナートメチルシクロヘキサンは特に好ましい。
【0055】
特に好ましい式(III)のイソシアナートシランは、以下からなる群より選択される:1−モルホリノ−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;1−モルホリノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;1−(2,6−ジメチルモルホリノ)−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;1−(2,6−ジメチルモルホリノ)−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;ビス(2−メトキシエチル)アミノ−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;ビス(2−メトキシエチル)アミノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;1−ピロリジノ−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;1−ピロリジノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;1−ピペリジノ−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;1−ピペリジノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;1−(2−メチルピペリジノ)−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;1−(2−メチルピペリジノ)−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;ジブチルアミノ−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;ジブチルアミノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート;ジイソプロピルアミノ−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート及びジイソプロピルアミノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)−2−プロピル((5−イソシアナート−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバマート。
【0056】
これらのモルホリン化合物は、特に好ましい。
【0057】
さらに、これらのトリエトキシシリル化合物は特に好ましい。
【0058】
式(I)の末端基を有するポリマーを生成するための式(III)のイソシアナートシランの反応において、ポリマーのOH基が、好ましくはイソシアナートシランのイソシアネート基に対してほぼ化学量論的に用いられる。
【0059】
この反応に好適なポリオールは、イソシアネート基含有ポリウレタンポリマーの調製に関して上述した好適なポリオールである。
【0060】
ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリアクリレートポリオールが好ましい。ポリオキシアルキルフェノールが、特に好ましい。
【0061】
好ましくは、ポリオキシアルキレンポリオールは、ポリオキシプロピレンポリオール及び混合ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリオールである。
【0062】
好ましくは、ポリオールは、2,000〜20,000g/molの分子量を有する。
【0063】
好ましくは、ポリオールは、ジオールである。
【0064】
式(II)のヒドロキシシランは、以下の式(IV)の少なくとも1種のエポキシシランと以下の式(V)の少なくとも1種のアミンとを反応させることによって、有利に製造することができる:
【化4】
(式(IV)及び(V)中のR、R、R、R、R及びxは、上述されている)。
【0065】
この反応を、好ましくは40℃〜120℃、特に60℃〜100℃の範囲の温度で行うことができる。この反応において、触媒を用いることができ、特にイミダゾール、ヒドロキシアルキルアミン、アルコール、フェノール、又は酸を用いることができる。好ましくは式(V)のアミンを、式(IV)のエポキシシランに対して略化学量論的に用いる。特に、この反応を、アミン/エポキシシラン比を0.8〜1.1で行うことができる。この反応を、溶媒なしで又は適切な溶媒中で行うことができる。反応後に、反応生成物から、存在するあらゆる揮発性物質、特に溶媒、未反応出発物質、又は放出したメタノール又はエタノールの全てを蒸留によって除去することが好ましい。
【0066】
特に有利には、式(II)のヒドロキシシランは、式(IV)のエポキシシランと式(V)のアミンとの反応混合物を、自己縮合反応によって解離するアルコールHORが反応混合物中に留まるように、アルコールHORの沸点より5℃以下の温度に加熱することによって、得られる。そして、メトキシシランの場合には、この反応を、70℃より低い温度で特に有利に実行することができ、エトキシシランの場合には、この反応を、83℃より低い温度で特に有利に実行することができる。この方法では、少なくとも80wt%、好ましくは少なくとも85wt%、特には少なくとも88wt%の含量の式(II)のヒドロキシシランを有する反応生成物が得られる。このプロセスを、より高い温度で実行する場合、トリアルコキシシランの場合には特に、自己縮合反応に起因して、式(II)のヒドロキシシランの含量が有意に低い反応生成物が得られる。このような反応生成物は、他の自己縮合生成物に加えて、典型的には式(VI)の環状シラン化合物を高い含量で含み、式(I)の末端基を有する上記のポリマーの調製には適切ではない。溶媒として追加したアルコールHORの存在下では、この反応は特に有利である。さらに、この反応を、強塩基化合物の不在下で行うことが特に有利である。
【化5】
(上記式(VI)中、R、R、R、R、R、及びxは上述した意味を有する)。
【0067】
さらに、本発明の主題は、少なくとも1種の式(IV)のエポキシシランと、少なくとも1種の式(V)のアミンとを、対応するアルコールHORの沸点より5℃高い温度以下で、反応させることによって得られる反応生成物であり、これは式(II)のヒドロキシシランを少なくとも80wt%、好ましくは85wt%、特に少なくとも88wt%の含量で含むことを特徴とする。
【0068】
この反応を、好ましくはアルコールHORを追加した存在下で行う。さらに好ましくは、この反応を、強塩基化合物の不在下で行う。
【0069】
適切な式(IV)のエポキシシランは、特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランであり、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。これらのエポキシシランは、式(II)のヒドロキシシラン、特に保存安定性が高い式(II)のヒドロキシシランを、特に高い含量で含む反応生成物をもたらす。
【0070】
適切な式(V)のアミンは、特に以下である:ビス(2−メトキシエチル)アミン、ビス(2−エトキシエチル)アミン、ビス(3−メトキシプロピル)アミン、ビス(3−エトキシプロピル)アミン、ビス(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)アミン、ビス(2−オクチルオキシエチル)アミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、N−メチルブチルアミン、N−エチルブチルアミン、N−、ピロリジン、ピペリジン、2−メチルピペリジン、モルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、チオモルホリン及びヘキサメチレンイミン(=アゼパン)。
【0071】
これらの中でも特に、以下が特に好ましい:ビス(2−メトキシエチル)アミン、ジブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピロリジン、ピペリジン、2−メチルピペリジン、モルホリン及び2,6−ジメチルモルホリン、特にモルホリン。これらのアミンを用いて、特に保存安定性が高い式(II)のヒドロキシシラン式(II)を、特に高い含量で含む反応生成物をもたらす。
【0072】
式(I)の末端基を有するポリマーは、水分の排除の下で良好な保存安定性を有する。水分と接触した場合、式(I)の末端基が加水分解し、その後このポリマーは、硬化して架橋したプラスチックになる。
【0073】
本発明は、架橋したプラスチックにも関するものであり、これは少なくとも1種の式(I)の末端基を有するポリマーと水分とを反応させることによって得られる。
【0074】
式(I)の末端基を有するポリマーは有利な特性を有する。その粘度は比較的低く、水分硬化性組成物として、さらなる処理に有利である。式(I)の末端基を有するポリマーは、さらに優れた保存安定性を有し、かつ水分の影響の下で素早く硬化して、良好な強度、良好な伸張性、及び驚くほど良好な熱抵抗を有する弾性材料を形成する。例えば90℃の温度において、多くの従来技術のシラン基含有ポリマーは、すべて強度を喪失し、又は数日後には既に溶融さえもするにもかかわらず、この硬化したポリマーは、熱への長時間の曝露の下でさえも弾性でありつづける。
【0075】
シラン官能性水分硬化性組成物の生成のために特に、硬化性組成物の成分として、式(I)の末端基を有するポリマーは特に好適である。
【0076】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つの式(I)の末端基を有するポリマー及び少なくとも1つの追加成分を含む水分硬化性組成物である。
【0077】
本発明による水分硬化性組成物は、式(I)の末端基を有するポリマーを5〜90wt%、特に10〜60wt%の含量で好ましくは有する。
【0078】
特に好適な追加成分は、触媒、架橋剤、可塑剤、フィラー、顔料、溶媒、接着促進剤、乾燥剤、レオロジー調整剤及び安定剤である。
【0079】
水分硬化性組成物は、シラン基含有ポリマーの架橋を促進する少なくとも1種の触媒を含有することが好ましい。この目的のために好適なものは、特に金属触媒及び/又は窒素含有化合物である。
【0080】
適切な金属触媒は、チタン、ジルコニウム、アルミニウム及びスズの化合物、特に有機スズ化合物、有機チタナート、有機ジルコナート、及び有機アルミナートであり、これらの金属触媒は、特にアルコキシ基、スルホナート基、カルボキシル基、1,3−ジケトナート基、1,3−ケトエステラート基、ジアルキルホスホナート基、ジアルキルピロホスファート基、及びジケトナート基を含む。特に適切な有機スズ化合物は、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズジクロリド、ジアルキルスズジカルボキシレート及びジアルキルスズジケトナートであり、特にジブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセトナート、ジブチルジラウレート、ジブチルスズジアセチルアセトナート、ジオクチルスズオキシド、ジオクチルスズジクロリド、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート及びジオクチルスズジアセチルラクトナート、並びにアルキルスズチオエステルである。
【0081】
特に好適な有機チタナートは次のとおりである:
−2つの1,3−ジケトナート配位子(特に、2,4−ペンタンジオナート(アセチルアセトナート))及び2つのアルコラート錯体を有するチタン(IV)錯体;
−2つの1,3−ケトエステラート配位子(特に、エチルアセトアセテート))及び2つのアルコラート錯体を有するチタン(IV)錯体;
−1つ以上のアミノアルコラート配位子(特に、トリエタノールアミン又は2−((2−アミノエチル)アミノ)エタノール)及び1つ以上のアルコラート錯体を有するチタン(IV)錯体;
−4つのアルコラート錯体を有するチタン(IV)錯体;並びに
−比較的高度に縮合した有機チタン化合物、特にポリブチルチタナートとも呼ばれるオリゴマーチタン(IV)テトラブタノラート、
ここで、アルコラート配位子としては、イソブトキシ、n−ブトキシ、イソプロポキシ、エトキシ、及び2−エチルヘキソキシが特に好適である。
【0082】
最も好適なものは、ビス(エチルアセトアセテート)ジイソブトキシチタン(IV)、ビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシチタン(IV)、ビス(アセチルアセトナート)ジイソプロポキシチタン(IV)、ビス(アセチルアセトナート)ジイソブトキシチタン(IV)、トリス(オキシエチル)アミンイソプロポキシチタン(IV)、ビス[トリス(オキシエチル)アミン]ジイソプロポキシチタン(IV)、ビス(2−エチルヘキサン−1,3−ジオキシ)チタン(IV)、トリス[2−((2−アミノエチル)アミノ)エトキシ]エトキシチタン(IV)、ビス(ネオペンチル(ジアリル)オキシジチタン(IV)、チタン(IV)テトラブタノラート、テトラ−(2−エチルヘキシルオキシ)チタナート、テトラ−(イソプロポキシ)チタナート及びポリブチルチタナートである。特に好適なものは、次の種類で市販されている:Tyzor(商標)AA、GBA、GBO、AA−75、AA−65、AA−105、DC、BEAT、BTP、TE、TnBT、KTM、TOT、TPT 又はIBAY(全てDu Pont/Dorf Ketal社);Tytan PBT、TET、X85、TAA、ET、S2、S4又はS6(全てTensoChema社)及びKen−React(商標)KR(商標)TTS、7、9QS、12、26S、33DS、38S、39DS、44、134S、138S、133DS、158FS又はLICA(商標)44(全てKenrich Petrochemicals社)。
【0083】
特に好適な有機ジルコナートは、次の種類で市販されている:Ken−React(商標)NZ(商標)38J、KZ(商標)TPPJ、KZ(商標)TPP、NZ(商標)01、09、12 38、44又は97(全てKenrich Petrochemicals社)及びSnapcure(商標)3020、3030、1020(全てJohnson Matthey & Brandenberger社)。
【0084】
特に好適な有機アルミナートは、K−Kat 5218(King Industries社)の種類で市販されている。
【0085】
触媒に好適な窒素含有化合物は、特にアミン、例えば特にN−エチルジイソプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレンアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;アミノシラン、例えば特に3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−N’−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン及びケイ素上のメトキシ基の代わりにエトキシ又はイソプロポキシを有するこれらの類似体;アミジン、例えば特に1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン;グアニジン、例えば特にテトラメチルグアニジン、2−グアニジノベンズイミダゾール、アセチルアセトングアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、2−tertブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン;並びにイミダゾール、例えば特にN−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール及びN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールである。
【0086】
異なる触媒の組み合わせ、特に少なくとも1種の金属触媒と少なくとも1種の窒素含有化合物との組合せも、特に好適である。
【0087】
触媒として、有機スズ化合物、有機チタナート、アミン、アミジン、グアニジン、及びイミダゾールを用いることが好ましい。有意チタナート及びアミジンは特に好ましい。
【0088】
水分硬化性組成物の追加の好適な成分は、次の補助物質及び添加剤である:
−接着促進剤及び/又は架橋剤、特にシラン、例えば触媒として上述したアミノシラン、第2級アミノ基を有するアミノシラン、例えば特に、N−フェニル−、N−シクロヘキシル−及びN−アルキルアミノシラン、さらにメルカプトシラン、エポキシシラン、(メタ)アクリロシラン、シラン酸無水物、カルバメートシラン、アルキルシラン及びイミノシラン、並びにこれらのシランのオリゴマー形態、第1級アミノシランと、エポキシシラン、(メタ)アクリロシラン又はシラン無水物との付加物である。特に好適なものは、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−N’−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン及びメトキシ基の代わりにエトキシ基を有するこれらの対応するシラン、並びにこれらのシランのオリゴマー形態;
−可塑化剤、特にカルボン酸エステル、例えばフタレート、特にジオクチルホスフェート、ジイソノニルホスフェート又はジイソデシルホスフェート、アジペート、特にジオクチルアジペート、アゼレート及びセバケート、有機リン酸及びスルホン酸エステル又はポリブテン;
−溶媒;
−無機フィラー及び有機フィラー、特に随意に脂肪酸(特にステアリン酸)でコーティングした、天然の、粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウム、バライト(重晶石)、タルク、石英粉末、石英砂、ドロマイト、硅灰石、カオリン、焼成カオリン、雲母(ケイ酸カリウム−アルミニウム)、モレキュラーシーブ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、例えば熱分解プロセス由来の高度分散シリカ、工業的に製造されたスス、黒鉛、粉末金属、例えばアルミニウム、銅、鉄、銀又は鋼、PVC粉末又は中空球;
−繊維、特にガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、又はプラスチック繊維、例えばポリアミド繊維又はポリエチレン繊維;
−染料;
−顔料、例えば二酸化チタン又は酸化鉄;
−乾燥剤、特に、テトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びシラン基に対してα位の位置で官能基を有する有機アルコキシシラン、特にN−(メチルジメトキシシリルメチル)−O−メチルカルバメート、(メタクリロキシメチル)シラン、メトキシメチルシラン、オルトギ酸エステル、並びに酸化カルシウム又はモレキュラーシーブ;
−レオロジー調整剤、特に増粘剤、特にシートシリケート、例えばベントナイト、ヒマシ油誘導体、水素化ヒマシ油、ポリアミド、ポリウレタン、尿素化合物、焼成シリカ、セルロースエーテル及び疎水性に改質されたポリオキシエチレン;
−酸化、熱、光及び紫外線に対する安定剤;
−天然の樹脂、脂肪又は油、例えば松ヤニ、セラック、亜麻仁油、ひまし油、及び大豆油;
−非反応性ポリマー、例えば不飽和モノマーのホモポリマー又はコポリマー、特にエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル及びアルキル(メタ)アクリレートからなる群より選択される不飽和モノマーのホモポリマー又はコポリマー、特にポリエチレン、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、及びアタクチックポリ−α−オレフィン(APAO);
−難燃性物質、特に上述したフィラー、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウム、特に有機リン酸エステル、特にトリエチルホファート、トリクレジルホスファート、トリフェニルホスファート、ジフェニルクレジルホスファート、イソデシルジフェニルホスファート、トリス(1,3−ジクロロ−2−プロピル)ホスファート、トリス(2−クロロエチル)ホスファート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファート、トリス(クロロイソプロピル)ホスファート、トリス(クロロプロピル)ホスファート、イソプロピル化トリフェニルホスファート、異なるイソプロピル化度のモノ−、ビス−及びトリス(イソプロピルフェニル)ホスファート、レゾルシノール−ビス(ジフェニルホスファート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスファート)及びアンモニウムポリホスファート;
−界面活性剤、特に架橋剤、レベリング剤、脱気剤、消泡剤;
−殺生物剤、例えば殺藻剤、殺真菌剤又はカビ成長阻害物質;
並びに、水分硬化性組成物で用いられるさらなる物質。
【0089】
この水分硬化性組成物に混合する前に、ある種の成分を化学的に又は物理的に乾燥させることが適切となることがある。
【0090】
この水分硬化性組成物は、式(I)の末端基を有するポリマーに加えて、シラン基を含むオリゴマー又はポリマーをさらに含むことができる。
【0091】
好ましい実施態様では、この水分硬化性組成物は、有機スズ化合物を含まない。これは、経済的及び/又は毒性的な理由から有利である場合がある。
【0092】
さらなる好ましい実施態様では、この水分硬化性組成物は、硬化する際にメタノールを放出しない。これは、経済的及び/又は毒性的な理由から有利である場合がある。
【0093】
この水分硬化性組成物は、好ましくは水分を排除して製造され、そして保存される。典型的には、この組成物は、保存安定性があり、すなわち水分の排除の下で、適切な包装又は配置内で、例えばドラム、バッグ又はカートリッジ内で、数ヶ月から一年以上の期間にわたって、その適用特性又はその硬化後の特性をその使用に関係して一定程度変えることなく保存することができる。通常、その保存安定性は、その粘度及び/又は圧出力(press−out force)によって測定される。
【0094】
水分硬化性組成物は、1剤組成物又2剤組成物の形態で存在してもよい。
【0095】
本明細書において、「1剤」とは、組成物の全ての成分が同じ容器に保存されており、室温で数週間から数ヶ月の期間保存安定性であり、かつ水分の影響の下で硬化する硬化性組成物をいう。
【0096】
本明細書において、「2剤」とは、組成物の成分が、2つの異なる容器に存在し、相互に別々の容器で保存されており、それぞれ室温で保存安定性がある組成物をいう。この組成物を適用する際に、又は適用のすぐ前にだけ、互いに混合され、この混合組成物は硬化後に、水分の影響のみによって硬化が完了し又は硬化が起こる。
【0097】
この水分硬化性組成物を少なくとも一つの固体又は物品への適用する場合、そのシラン基は、水分と接触する。このシラン基は、それらが水分と接触する際に加水分解する性質を有する。この過程で、有機シラノール、そして続く縮合反応の結果、有機シロキサンが形成する。この反応の結果として、この組成物は最終的に完全に硬化する。このプロセスは、架橋ともいう。さらに、シラノール基は、例えば、水分硬化性組成物を適用した基材の水酸基と縮合することができ、その結果、硬化の間、基材に対する組成物の優れた接着性が得られる。
【0098】
硬化に必要な水は、空気(空気水分)に由来することもでき、又は組成物と水含有成分とを接触させること、例えば平滑剤等を使用するブラッシング又は噴霧によって、組成物と水含有成分とを接触させることができ、又は適用の間に水含有成分を組成物に加えることができ、例えば静的混合器等を使用して混合される水含有ペーストの形態で水含有成分を組成物に加えることができる。
【0099】
硬化は、温度、接触のタイプ、水分の量、及び随意の触媒の存在に応じて、異なる速度で起こる。空気水分による硬化の間、まず組成物の表面上に皮膜(スキン、skin)が形成する。したがって、いわゆるスキン形成時間は、硬化速度の測定手段を意味する。
【0100】
そして、本発明のさらなる主題は、水分の影響の下での水分硬化性組成物の硬化から得られる硬化した組成物に関する。
【0101】
硬化した状態で、この組成物は弾性的性質、特に良好な強度及び良好な伸張性、良好な熱抵抗並びに様々な基材への良好な接着特性を有する。結果として、これは様々な用途、特に繊維複合物(複合材)、建築及び工業適用のための強い包装材化合物、封止剤、接着剤、被覆剤、コーティング、又は塗料、例えば、電気絶縁物質、パテ合成物、目地材、組立接着剤、車体接着剤、ガラス接着剤、サンドイッチ要素接着剤、外層接着剤、積層接着剤、アンカー接着剤、床コーティング及び被覆材、バルコニー及び屋根被覆材、コンクリート保護被覆材、駐車場被覆材、並びに耐腐食保護塗料、シーリング、塗料、ラッカー、及びプライマーに好適である。
【0102】
この水分硬化性組成物は、特に接着剤及び/又はシーラントに好適であり、特にジョイントシーリング並びに建設用途及び工業用途での弾性接着化合物に好適である。
【0103】
そして、本発明のさらなる主題は、弾性接着剤及び/又は弾性シーラントとしての水分硬化性組成物の使用に関する。
【0104】
シーラントとしてのこの組成物の使用、例えば建築物の建設及び土木でのシーラントとしてのこの組成物の使用、又は弾性接着性結合用の接着剤としての使用、例えば車両構築における弾性接着性結合用の接着剤としての使用に関して、この組成物は、好ましくはずり減粘性を有するペースト状の稠度を有する。このようなペースト状シーラント又は接着剤を、適切な器具によって基材に適用する。好適な適用方法は、例えば手動で若しくは加圧空気によって運転される市販のカートリッジからの適用、又は運搬ポンプ若しくは押出機、随意に適用ロボットによるドラム若しくはバケツ(hobbock)からの適用がある。
【0105】
良好な適用性を有する封止剤又は接着剤は、高いクリープ強度、及び短い糸引き形成性(short thread forming)を有する。これはすなわち、適用の後、それが適用された形にとどまり、すなわちそれは離れて流れず、適用装置が取られた後、基材が汚れないように、それは非常に短い糸のみを引くか、又は糸を引かない。弾性接着結合用の、例えば車両構造における弾性接着結合用の接着剤は、好ましくは実質的に丸みを有する又は三角形の断面表面を有するビーズの形態で適用される。
【0106】
着剤として使用する際、この組成物を、基材S1及び/又は基材S2上に適用する。ここで接着剤は、どちらか一方の基材に、又は両方の基材に適用することができる。その後、接着するパーツを接合し、そして接着剤を水分との接触により硬化させる。ここで、パーツの接合をいわゆるオープンタイム内にすることを確実にして、2つの接合パーツを互いに信頼性高く接着することを確実にする必要がある。
【0107】
シーラントとして使用する際、この組成物を、基材S1とS2との間に適用し、その後水分と接触させて、この組成物を硬化させる。通常、シーラントは継目に押圧される。
【0108】
両方の用途において、基材S1は、基材S2と同じもの又は異なるものとすることができる。
【0109】
適切な基材S1又はS2は特に、下記のとおりである:
−ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、タイルレンガ、石膏、及び天然石、例えば花崗岩又は大理石;
−金属及び合金、例えばアルミニウム、鉄、鋼、及び非鉄金属、並びに表面加工した金属及び合金、例えば亜鉛被覆した、又はクロミウム被覆した金属;
−布帛、紙、木、皮革、樹脂(例えばフェノール、メラミン、又はエポキシド樹脂)が結合している木質材料、樹脂−布帛複合材、及び更なるいわゆるポリマー複合材;
−プラスチック、例えばポリ塩化ビニル(硬質PVC及び軟質PVC)、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレンコポリマー(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリエステル、エポキシド樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PE)、又はポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)、及びエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)、ここで上記のプラスチックは、好ましくはプラズマ、コロナ、又は炎によって表面処理することができる;
−繊維強化プラスチック、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFP)、及びシートモールディングコンパウンド(SMC);
−被覆基材、例えば粉末コートした金属又は合金;及び
−塗料及びラッカー、特に自動車トップコートラッカー。
【0110】
必要であれば、接着剤又はシーラントの適用の前に、基材を予備処理することができる。そのような予備処理としては、特に物理的及び/又は化学的洗浄方法、例えば研磨、サンドブラスト、ブラッシング、これと同種のもの、又はクリーナー若しくは溶媒を用いた処理が挙げられ、又は接着性を助長する試薬、接着性を助長する溶液、若しくはプライマーの適用が挙げられる。
【0111】
本発明の組成物による基材S1及びS2の接着又はシーリングの後、接着接合又はシーリングした物品が得られる。そのような物品は、建築物、特に地上又は地下の建築物、又は輸送の手段、例えば水上若しくは地上車両、特に自動車、バス、トラック、電車、若しくは船、又は付属装置部品であってよい。
【0112】
以下の実施例を、本発明をさらに説明する意図で示す。当然に、本発明は、この記載した実施例に限定されない。
【実施例】
【0113】
「標準雰囲気条件(standard atmospheric conditions)」とは、23±1℃の温度、及び50±5%の相対湿度をいう。SACは、「標準雰囲気条件」を意味する。
粘度は、コーンプレート粘度計Rheotec RC30(円錐直径50mm、円錐角度1°、円錐頂点―プレート距離0.05mm、剪断速度10〜100s―1)で、20℃の温度で測定した。
【0114】
1.ヒドロキシシランの調製
《反応生成物R−1》
丸底フラスコにおいて、22.27g(80mmol)の3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan商標 GLYEO、Evonik Degussa社)、8.36g(96mmol)のモルホリン、及び3.50gの無水エタノールを、窒素雰囲気で、ガスクロマトグラフィによってさらなる反応の進展が観測されなくなるまで、約4時間80℃で撹拌した。この原料生成物を、さらに30分、約80℃で約2mbarの熱処理に付した。365.5gの理論OH当量を有する液体生成物を得た。この反応生成物は、94wt%の1−モルホリノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オールの含量を含んでおり、式(VI)による環状シラン化合物の含量は1wt%であった(ガスクロマトグラフィによる測定)。
【0115】
《反応生成物R−2》
モルホリンの代わりに、8.17gのピペリジンを用いたこと以外は、反応生成物R−1と同様にして調製した。363.6gの理論OH当量を有する液体生成物を得た。この反応生成物は、95wt%の1−ピペリジノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オールの含量を含んでおり、式(VI)による環状シラン化合物の含量は1wt%であった(ガスクロマトグラフィによる測定)。
【0116】
《反応生成物R−3》
モルホリンの代わりに、12.78gのビス(2−メトキシエチル)アミンを用いたこと以外は、反応生成物R−1と同様にして調製した。411.6gの理論OH当量を有する液体生成物を得た。この反応生成物は、89wt%のビス(2−メトキシエチル)アミノ−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オールの含量を含んでおり、式(VI)による環状シラン化合物の含量は2wt%であった(ガスクロマトグラフィによる測定)。
【0117】
《反応生成物R−4》
モルホリンの代わりに、9.52gの2−メチルピペリジンを用いたこと以外は、反応生成物R−1と同様にして調製した。377.6gの理論OH当量を有する液体生成物を得た。この反応生成物は、93wt%の1−(2−メチルピペリジノ)−3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン−2−オールの含量を含んでおり、式(VI)による環状シラン化合物の含量は1.5wt%であった(ガスクロマトグラフィによる測定)。
【0118】
《反応生成物R−5(比較)》
20.0g(90.4mmol)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び9.5g(93.1mmol)の1,2−プロピレンカーボネートを、米国特許第5,587,502号のExample 1と同様にして反応させた。323.5gの理論OH当量を有する液体生成物を得た。
【0119】
2.シラン基含有ポリマーの調製
《ポリマーSP1〜SP4、及び比較ポリマーSP5》
それぞれのポリマーに関して、表1に示した量で反応生成物と、100重量部(PW)ポリマー1を混合した。この混合物を、窒素雰囲気の下で、90℃で、IR分光法によってイソシアネート基が検出されなくなるまで(約2時間)撹拌した。続いて、この反応混合物を、冷却し、水分を排除して保存した。
【0120】
そのシラン基含有ポリマーの特性を、表1に示す。
【0121】
ポリマー1を、720gのポリオール(Acclaim商標 12200、Bayer Material Science社;低モノポリオキシプロピレンジオール;OH数11.0mgKOH/g;約0.02wt%の水分含有量)、34.5gのイソホロンジイソシアネート(Vestanat商標 IPDI、Evonik Degussa社)、80.0gのジイソデシルフタレート及び0.2gのジブチルスズジウラートを窒素雰囲気下で混合し、90℃で一定の撹拌の下で加熱し、そして滴定して測定した遊離イソシアネート基の含量が0.73重量%に達するまでこの温度で維持することによって、製造した。この生成物を室温まで冷却して、水分を排除して保存した。
【0122】
【表1】
【0123】
3.水分硬化性組成物の調製
《組成物Z1〜Z4、及び比較組成物Z5》
各組成物に関して、表2に示した成分を示した量で、遠心ミキサー(SpeedMixer商標 DAC 150、FlackTek Inc.社)を用いて、水分を排除して、混合し、そして保存した。各組成物を次のようにして確認した:
【0124】
スキン形成時間の測定には、標準雰囲気条件の下で、数グラムの組成物を、約2mmの層厚でカードボードに塗布し、LDPE製ピペットでその組成物の表面を軽くたたいた時、ピペットに初めて残留物が残らなくなるまでに必要な時間を測定した。
【0125】
機械的特性の測定には、この組成物をPTFEでコーティングしたホイルに注いで、2mmの厚みを有するフィルムを形成し、これを標準雰囲気条件の下で2週間保存した。75mmの長さを有する複数のダンベル形状のサンプルを、長さ30mm及び幅4mmの棒でこのフィルムから穿孔した。これらのダンベル形状のサンプルを、DIN EN 53504に準拠して試験して、引張速度:200mm/minで引張強度(切断荷重)、破断伸び、及び弾性率(0.5〜50%の伸びにおける弾性率)を測定した。
【0126】
ショアA硬度を、DIN53505に準拠して、標準気候条件の下で14日間硬化させた試験体について測定した。
【0127】
これらの結果を、「SAC」として与える。
【0128】
熱抵抗の測定として、複数のダンベル形状のサンプル又はショアAの試験体を、さらに2週間標準気候条件の下で保存し、大気環境のオーブン(ambient oven)で90℃で1週間保存し、引張強度、破断伸び、及び弾性率、並びにショアA硬度について同じ方法で確認した。これらの結果を、「90℃」として与える。
【0129】
これらの結果を表2に示す:
【表2】
【0130】
《組成物Z6〜Z7》
各組成物に関して、15.00重量部(15.00PW)の表3に示したシラン基含有ポリマー、20.00PWのジイソデシルフタレート、2.00PWのチキソ性ペースト、1.00PWのビニルトリエトキシシラン(Dynasylan商標 VTEO、Evonik Degussa社)、10.00PWのコーティングした沈降炭酸カルシウム(precipitated coated calcium carbonate)(Socal商標 U 1 S2、Solvay社)、50.00PWの炭酸カルシウム(Omyacarb商標 5 GU、Omya社)、0.75PWの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan商標 AMEO、Evonik Degussa社)、0.20PWの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(Polycat商標 DBU、Air Products社)及び1.00PWのチタン(IV)−ビス(エチルアセトアセテート) 錯体(Tyzor商標 IBAY、Du Pont/Dorf Ketal社)を、遠心ミキサー(SpeedMixer商標 DAC 150、FlackTek Inc.社)を用いて、水分を排除して、混合し、そして保存した。各組成物を次のようにして確認した:
【0131】
保存安定性の測定として、SACの下で7日間水分を排除して保存した後の粘度を測定し(「粘度(SAC)」)、さらに60℃で7日間保存した後に2回目の測定を行った(「粘度(60℃)」)。
【0132】
スキン形成時間、引張強度、破断伸び、弾性率、及びショアA硬度を、組成物Z1についての場合と同様に測定した。
【0133】
表3に結果を示す。
【0134】
チキソ性ペーストは、減圧ミキサー中で300gのジイソデシルフタレート(Palatinol商標 Z、BASF)及び48gの4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(Desmodur商標 44 MC L、Bayer)を入れ、そしてわずかに加温して、続いて27gのモノブチルアミンを強い撹拌の下でゆっくりと滴定して添加することによって調製した。形成したペーストを、減圧の下で冷却して1時間撹拌し続けた。
【0135】
【表3】