(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240176
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】二次電池用電極、その製造方法、それを含む二次電池、及びケーブル型二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/02 20060101AFI20171120BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20171120BHJP
H01M 4/74 20060101ALI20171120BHJP
H01M 4/70 20060101ALI20171120BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20171120BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20171120BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20171120BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20171120BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20171120BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20171120BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20171120BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20171120BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20171120BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20171120BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20171120BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20171120BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20171120BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20171120BHJP
H01M 10/0565 20100101ALI20171120BHJP
H01M 2/16 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
H01M4/02 Z
H01M4/66 A
H01M4/74 C
H01M4/70 Z
H01M4/13
H01M4/485
H01M4/587
H01M4/36 A
H01M4/58
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/04 A
H01M4/139
H01M10/04 Z
H01M10/058
H01M10/052
H01M10/0569
H01M10/0568
H01M10/0565
H01M2/16 P
H01M2/16 M
H01M2/16 L
【請求項の数】59
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-515972(P2015-515972)
(86)(22)【出願日】2014年5月7日
(65)【公表番号】特表2015-519711(P2015-519711A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】KR2014004044
(87)【国際公開番号】WO2014182060
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2014年7月16日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0051563
(32)【優先日】2013年5月7日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0054277
(32)【優先日】2014年5月7日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ヨ−ハン
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ヘ−ラン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウン−キョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェ−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョ−ミ
【審査官】
青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】
韓国登録特許第10−0918751(KR,B1)
【文献】
特開2011−192620(JP,A)
【文献】
特開2013−030410(JP,A)
【文献】
特開2000−311693(JP,A)
【文献】
特開2009−064767(JP,A)
【文献】
特開平07−220759(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/026670(WO,A2)
【文献】
国際公開第2013/062337(WO,A2)
【文献】
国際公開第2013/055188(WO,A1)
【文献】
特公昭46−026452(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00− 4/62
H01M 10/05−10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体;
前記集電体の一面のみに形成された電極活物質層;及び
前記電極活物質層上に形成された多孔性の第1支持層;を含み、
一方向に延びたストリップ構造であるシート型の二次電池用電極であって、
前記第1支持層が、前記第1支持層上に、導電材及びバインダーを備える導電材コーティング層をさらに含むシート型の二次電池用電極。
【請求項2】
前記集電体が、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素もしくは銅;カーボン、ニッケル、チタンもしくは銀で表面処理されたステンレススチール;アルミニウム‐カドミウム合金;導電材で表面処理された非伝導性高分子;伝導性高分子;Ni、Al、Au、Ag、Pd/Ag、Cr、Ta、Cu、BaもしくはITOの金属粉末を含む金属ペースト;または黒鉛、カーボンブラックもしくは炭素ナノチューブの炭素粉末を含む炭素ペースト;から形成されたことを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極。
【請求項3】
前記集電体が、メッシュ型集電体である請求項1または2に記載の二次電池用電極。
【請求項4】
前記集電体が、導電材及びバインダーから構成された下塗層をさらに含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項5】
前記導電材が、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノチューブ及びグラフェンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を含む請求項4に記載の二次電池用電極。
【請求項6】
前記バインダーが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン‐co-トリクロロエチレン、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアリレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体及びポリイミドからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物である請求項4または5に記載の二次電池用電極。
【請求項7】
前記集電体の少なくとも一面に、複数の凹部が形成された請求項1〜6のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項8】
前記複数の凹部が、連続的なパターンを有するか、又は、断続的なパターンを有する請求項7に記載の二次電池用電極。
【請求項9】
前記連続的なパターンが、互いに離隔して長さ方向に形成された請求項8に記載の二次電池用電極。
【請求項10】
前記断続的なパターンが、複数の孔により形成されている請求項8に記載の二次電池用電極。
【請求項11】
前記複数の孔が、円形または多角形である請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項12】
前記第1支持層が、メッシュ型多孔性膜または不織布である請求項1〜11のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項13】
前記第1支持層が、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物から形成された請求項1〜12のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項14】
前記導電材コーティング層中、前記導電材と前記バインダーとが80:20ないし99:1の重量比で存在する請求項1〜13のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項15】
前記導電材が、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノチューブ及びグラフェンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を含む請求項1〜14のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項16】
前記バインダーが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン‐co-トリクロロエチレン、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアリレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体及びポリイミドからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物である請求項1〜15のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項17】
前記第1支持層が、前記第1支持層上に、無機物粒子とバインダー高分子との混合物を含む多孔性コーティング層をさらに含む請求項1〜16のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項18】
前記集電体の他面に形成された第2支持層をさらに含む請求項1〜17のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項19】
前記第2支持層が、高分子フィルムである請求項18に記載の二次電池用電極。
【請求項20】
前記高分子フィルムが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド及びポリアミドからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物から形成される請求項19に記載の二次電池用電極。
【請求項21】
前記二次電池用電極が負極である場合、
前記電極活物質層は、天然黒鉛、人造黒鉛または炭素質材料;リチウム含有チタン複合酸化物(LTO);Si、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiまたはFeである金属類(Me);前記金属類(Me)の合金類;前記金属類(Me)の酸化物(MeOx);及び前記金属類(Me)と炭素との複合体からなる群より選択されたいずれか1つの活物質またはこれらのうち2種以上の混合物を含み、
前記二次電池用電極が正極である場合、前記電極活物質層は、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiCoPO4、LiFePO4、及びLiNi1-x-y-zCoxM1yM2zO2(M1及びM2は互いに独立して、Al、Ni、Co、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg及びMoからなる群より選択され、x、y及びzは互いに独立した酸化物組成元素の原子分率であって、0≦x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、0<x+y+z≦1である)からなる群より選択されたいずれか1つの活物質またはこれらのうち2種以上の混合物を含む請求項1〜20のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項22】
(S1)集電体の一面に、電極活物質スラリーを塗布する工程;
(S2)塗布された前記電極活物質スラリー上に多孔性の第1支持層を形成する工程;及び
(S3)前記(S2)工程の結果物を圧迫し、前記集電体と前記第1支持層との間に接着して互いに一体化した電極活物質層を形成する工程;を含む請求項1に記載のシート型二次電池用電極の製造方法。
【請求項23】
前記電極活物質スラリーが、バインダー成分を含む請求項22に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項24】
前記(S2)工程で、前記バインダー成分が硬化する前に、塗布された前記電極活物質スラリー上に前記多孔性の第1支持層を形成する請求項23に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項25】
前記(S3)工程で、前記バインダー成分が硬化する前に、前記(S2)工程の結果物をコーティングブレードにより圧迫し、前記集電体と前記第1支持層との間に接着して互いに一体化した電極活物質層を形成する請求項23に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項26】
前記(S1)工程の前又は前記(S3)工程の後、前記集電体の他面に、第2支持層を圧迫して形成する工程をさらに含む請求項22に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項27】
正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在されたセパレータ、及び電解質を含む二次電池において、
前記正極及び前記負極の少なくとも1つが、請求項1ないし請求項21のうちいずれか1項に記載の二次電池用電極である二次電池。
【請求項28】
前記二次電池が、ケーブル型である請求項27に記載の二次電池。
【請求項29】
内部電極;
前記内部電極の外面を囲み、電極の短絡を防止する分離層;及び
前記分離層の外面を囲んで螺旋状に巻き取られた外部電極;を含み、
前記内部電極及び前記外部電極の1種以上が、請求項1ないし請求項21のうちいずれか1項に記載の二次電池用電極から形成されるケーブル型二次電池。
【請求項30】
前記外部電極が、幅方向に互いに重ならないように螺旋状に巻き取られた請求項29に記載のケーブル型二次電池。
【請求項31】
前記外部電極が、前記外部電極の幅の2倍以内の間隔を置いて互いに離隔し、重ならないように螺旋状に巻き取られた請求項30に記載のケーブル型二次電池。
【請求項32】
前記外部電極が、幅方向に互いに重なるように螺旋状に巻き取られた請求項29に記載のケーブル型二次電池。
【請求項33】
前記外部電極が、重なる部分の幅が前記外部電極の幅の0.9倍以内になるように螺旋状に巻き取られた請求項32に記載のケーブル型二次電池。
【請求項34】
前記内部電極が、中心部に空間が形成された中空型構造である請求項29に記載のケーブル型二次電池。
【請求項35】
前記内部電極が、螺旋状に巻き取られた1つ以上の前記二次電池用電極を含む請求項34に記載のケーブル型二次電池。
【請求項36】
前記内部電極の内部に、内部電極集電体コア部、電解質を含むリチウムイオン供給コア部、または充填コア部が備えられた請求項34に記載のケーブル型二次電池。
【請求項37】
前記内部電極集電体コア部が、カーボンナノチューブ、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素もしくは銅;カーボン、ニッケル、チタンもしくは銀で表面処理されたステンレススチール;アルミニウム‐カドミウム合金;導電材で表面処理された非伝導性高分子;または伝導性高分子から形成された請求項36に記載のケーブル型二次電池。
【請求項38】
前記リチウムイオン供給コア部が、ゲル型ポリマー電解質及び支持体を含む請求項36に記載のケーブル型二次電池。
【請求項39】
前記リチウムイオン供給コア部が、液体電解質及び多孔性担体を含む請求項36に記載のケーブル型二次電池。
【請求項40】
前記電解質が、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルホルメート(MF)、γ‐ブチロラクトン(γ‐BL)、スルホラン、メチルアセテート(MA)、またはメチルプロピオネート(MP)を使用した非水電解液;PEO(ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide))、PVdF(ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride))、PVdF‐HFP(ポリフッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride‐hexafluoropropylene))、PMMA(ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate))、PAN(ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile))またはPVAc(ポリビニルアセテート(polyvinyl acetate))を使用したゲル型高分子電解質;及びPEO(ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide))、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエーテルイミン(PEI)、ポリエチレンスルフィド(PES)またはポリビニルアセテート(PVAc)を使用した固体電解質;からなる群より選択された電解質を含む請求項36に記載のケーブル型二次電池。
【請求項41】
前記電解質が、リチウム塩をさらに含む請求項36または40に記載のケーブル型二次電池。
【請求項42】
前記リチウム塩が、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、クロロホウ酸リチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、及びテトラフェニルホウ酸リチウムからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物である請求項41に記載のケーブル型二次電池。
【請求項43】
前記充填コア部が、ワイヤ、繊維、粉末、メッシュ、または発泡体の形状を有する高分子樹脂、ゴム、または無機物から形成された請求項36〜42のいずれか一項に記載のケーブル型二次電池。
【請求項44】
前記内部電極が負極であり、前記外部電極が正極であるか、または、前記内部電極が正極であり、前記外部電極が負極である請求項29〜43のいずれか一項に記載のケーブル型二次電池。
【請求項45】
前記分離層が、電解質層またはセパレータである請求項29〜44のいずれか一項に記載のケーブル型二次電池。
【請求項46】
前記電解質層が、PEO(ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide))、PVdF(ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride))、PVdF‐HFP(ポリフッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride‐hexafluoropropylene))、PMMA(ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate))、PAN(ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile))またはPVAc(ポリビニルアセテート(polyvinyl acetate))を使用したゲル型高分子電解質;及びPEO(ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide))、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエーテルイミン(PEI)、ポリエチレンスルフィド(PES)またはポリビニルアセテート(PVAc)を使用した固体電解質;からなる群より選択された電解質を含む請求項45に記載のケーブル型二次電池。
【請求項47】
前記電解質層が、リチウム塩をさらに含む請求項45または46に記載のケーブル型二次電池。
【請求項48】
前記リチウム塩が、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、クロロホウ酸リチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、及びテトラフェニルホウ酸リチウムからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物である請求項47に記載のケーブル型二次電池。
【請求項49】
前記セパレータが、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン‐ブテン共重合体、エチレン‐ヘキセン共重合体及びエチレン‐メタクリレート共重合体からなる群より選択されたポリオレフィン系高分子から形成された多孔性高分子基材;ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択された高分子から形成された多孔性高分子基材;無機物粒子とバインダー高分子との混合物から形成された多孔性基材;または前記多孔性高分子基材の少なくとも一面上に形成され、無機物粒子とバインダー高分子との混合物を含む多孔性コーティング層を備えたセパレータである請求項45に記載のケーブル型二次電池。
【請求項50】
前記多孔性高分子基材が、多孔性高分子フィルム基材、または、多孔性不織布基材である請求項49に記載のケーブル型二次電池。
【請求項51】
前記外部電極の外面を囲んでいる保護被覆をさらに含む請求項29〜50のいずれか一項に記載のケーブル型二次電池。
【請求項52】
前記保護被覆が、高分子樹脂で形成された請求項51に記載のケーブル型二次電池。
【請求項53】
前記高分子樹脂が、PET(ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate))、PVC(ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride))、HDPE(高密度ポリエチレン(high density polyethylene))及びエポキシ樹脂からなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を含む請求項52に記載のケーブル型二次電池。
【請求項54】
前記保護被覆が、水分遮断層をさらに含む請求項52に記載のケーブル型二次電池。
【請求項55】
前記水分遮断層が、アルミニウムまたは液晶高分子から形成された請求項54に記載のケーブル型二次電池。
【請求項56】
電解質を含むリチウムイオン供給コア部;
前記リチウムイオン供給コア部の外面を囲み、集電体及び電極活物質層を備える内部電極;
前記内部電極の外面を囲み、電極の短絡を防止する分離層;及び
前記分離層の外面を囲んで螺旋状に巻き取られた、集電体及び電極活物質層を備える外部電極;を含み、
前記内部電極及び前記外部電極の1つ以上が、請求項1ないし請求項21のうちいずれか1項に記載の二次電池用電極から形成されるケーブル型二次電池。
【請求項57】
互いに平行に配置された2以上の内部電極;
前記内部電極の外面を囲み、電極の短絡を防止する分離層;及び
前記分離層の外面を囲んで螺旋状に巻き取られた外部電極;を含み、
前記内部電極及び前記外部電極の1つ以上が、請求項1ないし請求項21のうちいずれか1項に記載の二次電池用電極から形成されるケーブル型二次電池。
【請求項58】
電解質を含む2以上のリチウムイオン供給コア部;
前記リチウムイオン供給コア部それぞれの外面を囲み、集電体及び電極活物質層をそれぞれ備えて互いに平行に配置される2以上の内部電極;
前記内部電極の外面を囲み、電極の短絡を防止する分離層;及び
前記分離層の外面を囲んで螺旋状に巻き取られた、集電体及び電極活物質層を備える外部電極;を含み、
前記内部電極及び前記外部電極の1つ以上が、請求項1ないし請求項21のうちいずれか1項に記載の二次電池用電極から形成されるケーブル型二次電池。
【請求項59】
前記内部電極が、螺旋状に巻き取られた1つ以上の前記二次電池用電極を含む請求項58に記載のケーブル型二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用電極、その製造方法、それを含む二次電池及びケーブル型二次電池に関し、より詳しくは、電極活物質層の脱離現象を防止し、電極の柔軟性を向上させた二次電池用電極、その製造方法、それを含む二次電池及びケーブル型二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2013年5月7日出願の韓国特許出願第10−2013−0051563号、及び2014年5月7日出願の韓国特許出願第10−2014−0054277号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、外部の電気エネルギーを化学エネルギーの形態に変換して貯蔵しておき、必要なときに電気を作る装置であり、充電を繰り返すことができるという意味で「充電式電池(rechargeable battery)」とも呼ばれる。広く使用される二次電池としては、鉛蓄電池、ニッケル‐カドミウム電池(NiCd)、ニッケル水素蓄電池(NiMH)、リチウムイオン電池(Li‐ion)、リチウムイオンポリマー電池(Li‐ion polymer)がある。二次電池は使い捨ての一次電池に比べて経済的な利点と環境的な利点を共に提供する。
【0004】
現在、二次電池は低い電力を要する所に使用されている。例えば、自動車の始動を補助する機器、携帯用装置、道具、無停電電源装置が挙げられる。近年の無線通信技術の発展は携帯用装置の大衆化を主導しており、従来の多くの装置が無線化される傾向もあるため、二次電池に対する需要が爆発的に伸びている。また、環境汚染防止の面でハイブリッド自動車、電気自動車が実用化されているが、これら次世代自動車は二次電池を使用することで、コストと重量を下げ、寿命を伸ばす技術を採用している。
【0005】
一般に、二次電池は円筒型、角形、またはパウチ型の電池が殆どである。二次電池が、負極、正極及び分離膜で構成された電極組立体を円筒型または角形の金属缶またはアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースの内部に収納し、前記電極組立体に電解質を注入して製造されるためである。したがって、このような二次電池の装着には一定空間が必要となるため、二次電池の円筒型、角形、またはパウチ型の形態は多様な形態の携帯用装置の開発に制約となる。そこで、形態の変形が自在な新たな形態の二次電池が求められている。
【0006】
このような要求に応えて、断面の直径に対する長さの比が非常に大きい電池である線型電池が提案された。このようなケーブル型二次電池は、形態の変形に伴う外力によるストレス、または、充放電時の電極活物質層の急激な体積膨張などによって電極活物質層が脱離し、容量減少及びサイクル寿命特性の劣化現象が発生する恐れがある。
【0007】
このような問題点を解決するため、電極活物質層に含まれるバインダーの含量を増加させれば、曲げやねじれに対する柔軟性は有し得るものの、電極活物質層のバインダー含量の増加は電極抵抗を増加させ、電池性能低下の原因になる。また、電極が完全に折れるなどの過酷な外力が作用すれば、バインダーの含量を増加させても電極活物質層の脱離は防止できず、適切な解決方法になれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電極活物質層に外力が作用しても電極活物質層にクラック(crack)が発生することを緩和し、酷いクラックが発生しても集電体から脱離することを防止できる二次電池用電極、その製造方法、それを含む二次電池及びケーブル型二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様によれば、集電体;前記集電体の一面に形成された電極活物質層;及び前記電極活物質層上に形成された多孔性の第1支持層;を含むシート型二次電池用電極が提供される。
【0010】
このとき、前記集電体は、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素または銅;カーボン、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理されたステンレススチール;アルミニウム‐カドミウム合金;導電材で表面処理された非伝導性高分子;伝導性高分子;Ni、Al、Au、Ag、Pd/Ag、Cr、Ta、Cu、BaまたはITOである金属粉末を含む金属ペースト;若しくは黒鉛、カーボンブラックまたは炭素ナノチューブである炭素粉末を含む炭素ペースト;から製造されたものであり得る。
【0011】
また、前記集電体は、メッシュ型集電体であり得る。
【0012】
また、前記集電体は、導電材及びバインダーから構成された下塗層をさらに含むことができる。
【0013】
ここで、前記導電材は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノチューブ及びグラフェン(graphene)からなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を含むことができる。
【0014】
また、前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF‐co‐HFP)、ポリフッ化ビニリデン‐co-トリクロロエチレン(PVdF‐co‐TCE)、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene‐co‐vinylacetate)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリアリレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体(acrylonitrile‐styrene‐butadiene copolymer)及びポリイミドからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0015】
また、前記集電体の少なくとも一面に、複数の凹部を形成することができる。
【0016】
このとき、前記複数の凹部は、連続的なパターンを有するか、または、断続的なパターンを有し得る。
【0017】
また、前記第1支持層は、メッシュ型多孔性膜または不織布であり得る。
【0018】
また、前記第1支持層は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物から形成することができる。
【0019】
また、前記第1支持層上に、導電材及びバインダーを備える導電材コーティング層をさらに含むことができる。
【0020】
このとき、前記導電材コーティング層は、前記導電材と前記バインダーとを80:20ないし99:1の重量比で混合したものであり得る。
【0021】
ここで、前記導電材は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノチューブ及びグラフェンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を含むものであり得る。
【0022】
また、前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン‐co-トリクロロエチレン、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアリレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体及びポリイミドからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0023】
一方、前記第1支持層上に、無機物粒子とバインダー高分子との混合物から形成された多孔性コーティング層をさらに含むことができる。
【0024】
また、前記集電体の他面に形成された第2支持層をさらに含むことができる。
【0025】
このとき、前記第2支持層は、高分子フィルムであり得、前記高分子フィルムは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド及びポリアミドからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物から形成することができる。
【0026】
一方、前記二次電池用電極が負極である場合、前記電極活物質層は、天然黒鉛、人造黒鉛または炭素質材料;リチウム含有チタン複合酸化物(LTO);Si、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiまたはFeである金属類(Me);前記金属類(Me)の合金類;前記金属類(Me)の酸化物(MeOx);及び前記金属類(Me)と炭素との複合体からなる群より選択されたいずれか1つの活物質またはこれらのうち2種以上の混合物を含み、前記二次電池用電極が正極である場合、前記電極活物質層は、LiCoO
2、LiNiO
2、LiMn
2O
4、LiCoPO
4、LiFePO
4、LiNiMnCoO
2、及びLiNi
1-x-y-zCo
xM1
yM2
zO
2(M1及びM2は互いに独立して、Al、Ni、Co、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg及びMoからなる群より選択され、x、y及びzは互いに独立した酸化物組成元素の原子分率であって、0≦x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、x+y+z≦1である)からなる群より選択されたいずれか1つの活物質またはこれらのうち2種以上の混合物を含むことができる。
【0027】
一方、本発明の他の態様によれば、(S1)集電体の一面に、電極活物質スラリーを塗布する工程;(S2)塗布された前記電極活物質スラリー上に多孔性の第1支持層を形成する工程;及び(S3)前記(S2)工程の結果物を圧着し、前記集電体と前記第1支持層との間に接着して一体化した電極活物質層を形成する工程;を含むシート型二次電池用電極の製造方法が提供される。
【0028】
ここで、前記電極活物質スラリーは、バインダー成分を含むことができる。
【0029】
このとき、前記(S2)工程では、前記バインダー成分が硬化する前に、塗布された前記電極活物質スラリー上に前記多孔性の第1支持層を形成することができる。
【0030】
また、前記(S3)工程では、前記バインダー成分が硬化する前に、前記(S2)工程の結果物をコーティングブレードにより圧着し、前記集電体と前記第1支持層との間に接着して一体化した電極活物質層を形成することができる。
【0031】
また、前記(S1)工程の前又は前記(S3)工程の後、前記集電体の他面に、第2支持層を圧着して形成する工程をさらに含むことができる。
【0032】
また、本発明のさらに他の態様によれば、正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在されたセパレータ、及び電解質を含む二次電池において、前記正極及び前記負極の少なくとも1つが本発明の二次電池用電極である二次電池が提供される。
【0033】
一方、本発明のさらに他の態様によれば、内部電極;前記内部電極の外面を囲んで形成され、電極の短絡を防止する分離層;及び前記分離層の外面を囲んで螺旋状に巻き取られて形成された外部電極;を含み、前記内部電極及び前記外部電極の1種以上が本発明の二次電池用電極で形成されるケーブル型二次電池が提供される。
【0034】
このとき、前記外部電極は、一方向に延びたストリップ構造であり得る。
【0035】
また、前記外部電極は、互いに重ならないように螺旋状に巻き取られて形成されるか、または、互いに重なるように螺旋状に巻き取られて形成され得る。
【0036】
また、前記内部電極は、内部に空間が形成された中空型構造であり得る。
【0037】
このとき、前記内部電極は、螺旋状に巻き取られた1つ以上の前記二次電池用電極を含むことができる。
【0038】
また、前記内部電極の内部に形成された空間に、内部電極集電体コア部、電解質を含むリチウムイオン供給コア部、または充填コア部を形成することができる。
【0039】
このとき、前記リチウムイオン供給コア部は、ゲル型ポリマー電解質及び支持体をさらに含むことができ、液体電解質及び多孔性担体をさらに含むことができる。
【0040】
一方、前記電解質は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルホルメート(MF)、γ‐ブチロラクトン(γ‐BL)、スルホラン、メチルアセテート(MA)、またはメチルプロピオネート(MP)を使用した非水電解液;PEO、PVdF、PVdF‐HFP、PMMA、PANまたはPVAcを使用したゲル型高分子電解質;及びPEO、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエーテルイミン(PEI)、ポリエチレンスルフィド(PES)またはポリビニルアセテート(PVAc)を使用した固体電解質;からなる群より選択された電解質を含むことができる。
【0041】
また、前記電解質は、リチウム塩をさらに含むことができ、このとき、前記リチウム塩は、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロホウ酸リチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、及びテトラフェニルホウ酸リチウムからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0042】
一方、前記内部電極が負極であり、外部電極が正極であるか、または、内部電極が正極であり、外部電極が負極であり得る。
【0043】
また、前記分離層は、電解質層またはセパレータであり得る。
【0044】
このとき、前記電解質層は、PEO、PVdF、PVdF‐HFP、PMMA、PANまたはPVAcを使用したゲル型高分子電解質;及びPEO、PPO、PEI、PESまたはPVAcを使用した固体電解質;からなる群より選択された電解質を含むことができる。
【0045】
また、前記電解質層は、リチウム塩をさらに含むことができ、前記リチウム塩は、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロホウ酸リチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、及びテトラフェニルホウ酸リチウムからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0046】
また、前記セパレータは、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン‐ブテン共重合体、エチレン‐ヘキセン共重合体及びエチレン‐メタクリレート共重合体からなる群より選択されたポリオレフィン系高分子から製造された多孔性高分子基材;ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択された高分子から製造された多孔性高分子基材;無機物粒子とバインダー高分子との混合物から形成された多孔性基材;または前記多孔性高分子基材の少なくとも一面上に無機物粒子とバインダー高分子との混合物から形成された多孔性コーティング層を備えたセパレータであり得る。
【0047】
一方、本発明のさらに他の態様によれば、電解質を含むリチウムイオン供給コア部;前記リチウムイオン供給コア部の外面を囲んで形成され、集電体及び電極活物質層を備える内部電極;前記内部電極の外面を囲んで形成され、電極の短絡を防止する分離層;及び前記分離層の外面を囲んで螺旋状に巻き取られて形成され、集電体及び電極活物質層を備える外部電極;を含み、前記内部電極及び前記外部電極の1種以上が本発明の二次電池用電極で形成されるケーブル型二次電池が提供される。
【0048】
また、本発明のさらに他の態様によれば、互いに平行に配置された2以上の内部電極;前記内部電極の外面を一緒に囲んで形成され、電極の短絡を防止する分離層;及び前記分離層の外面を囲んで螺旋状に巻き取られて形成された外部電極;を含み、前記内部電極及び前記外部電極の1種以上が本発明の二次電池用電極で形成されるケーブル型二次電池が提供される。
【0049】
また、本発明のさらに他の態様によれば、電解質を含む2以上のリチウムイオン供給コア部;それぞれの前記リチウムイオン供給コア部の外面を囲んで形成され、集電体及び電極活物質層を備えて互いに平行に配置される2以上の内部電極;前記内部電極の外面を一緒に囲んで形成され、電極の短絡を防止する分離層;及び前記分離層の外面を囲んで螺旋状に巻き取られて形成され、集電体及び電極活物質層を備える外部電極;を含み、前記内部電極及び前記外部電極の1種以上が本発明の二次電池用電極で形成されるケーブル型二次電池が提供される。
【0050】
このとき、前記内部電極は、螺旋状に巻き取られた1つ以上の前記二次電池用電極を含むことができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、シート型電極の少なくとも一面に支持層を取り入れることで、電極の柔軟性を大幅に向上させることができる。
【0052】
また、電極が完全に折れるなどの過酷な外力が作用するとき、電極活物質層のバインダー含量を増加させなくても、前記支持層が緩衝作用をすることで、電極活物質層のクラック発生を緩和し、それにより、集電体から電極活物質層が脱離する現象を防止することができる。
【0053】
それにより、電池の容量減少を防止し、電池のサイクル寿命特性を向上させることができる。
【0054】
さらに、多孔性の支持層を備えることで電極活物質層への電解液の流入が円滑になり、前記多孔性支持層の気孔に電解液が含浸することで電池内の抵抗増加を防止し、電池の性能低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【
図1】本発明の一実施例によるシート型二次電池用電極を示した断面図である。
【
図2】本発明の他の実施例によるシート型二次電池用電極を示した断面図である。
【
図3】本発明の一実施例によるシート型二次電池用電極の製造方法を概略的に示した図である。
【
図4】本発明の一実施例によるメッシュ型集電体の表面を示した図である。
【
図5】本発明の一実施例による、複数の凹部が形成された集電体の表面を概略的に示した図である。
【
図6】本発明の他の実施例による、複数の凹部が形成された集電体の表面を概略的に示した図である。
【
図7】本発明の一実施例によって製造されたシート型二次電池用電極の断面を撮影したSEM写真である。
【
図8】本発明のケーブル型二次電池において、シート型内部電極がリチウムイオン供給コア部の外面に巻き取られて形成されることを概略的に示した図である。
【
図9】本発明の一実施例によるケーブル型二次電池の内部を概略的に示した斜視図である。
【
図10】本発明の一実施例による複数の内部電極を備えるケーブル型二次電池の断面を概略的に示した断面図である。
【
図11】本発明の一実施例によって製造されたシート型電極を二つ折りにした後の断面を撮影したSEM写真である。
【
図12】本発明の一比較例によって製造されたシート型電極を二つ折りにした後の断面を撮影したSEM写真である。
【
図13】本発明の実施例及び比較例によって製造された電極を備えるコイン型ハーフセルの寿命特性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明を図面に基づいて詳しく説明する。本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0057】
また、本明細書に記載された実施例と図面に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想の全てを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0058】
図1及び
図2は本発明の一実施例によるシート型二次電池用電極の断面を示した図であり、
図3は本発明の一実施例によるシート型二次電池用電極の望ましい製造方法を概略的に示した図である。
【0059】
図1ないし
図3を参照すれば、本発明によるシート型二次電池用電極は、集電体10;前記集電体10の一面に形成された電極活物質層20;及び前記電極活物質層20上に形成された多孔性の第1支持層30;を含む。
【0060】
また、前記集電体10の他面に形成された第2支持層40をさらに含むこともできる。
【0061】
可撓性を有する電池を製造するためには、電極の可撓性が十分確保されなければならない。しかし、可撓性電池の一例である従来のケーブル型二次電池は、形態の変形に伴う外力によるストレス、または、Si、Sn系の高容量負極活物質を適用したとき、充放電過程で電極活物質層の急激な体積膨張などによって電極活物質層の脱離現象が生じ、電池の容量減少及びサイクル寿命特性の劣化現象が発生した。このような問題を解決するための一環として、電極活物質層に含まれるバインダーの含量を増加させれば、曲げやねじれに対する柔軟性を有し得る。
【0062】
しかし、電極活物質層のバインダー含量の増加は電極抵抗を増加させ、電池性能低下の原因になり、また、電極が完全に折れるなどの過酷な外力が作用すれば、バインダーの含量を増加させても電極活物質層の脱離は防止できず、適切な解決方法になれなかった。
【0063】
そこで、本発明では、電極活物質層20の上面に形成された多孔性の第1支持層30と、集電体10の他面に形成され得る第2支持層40をさらに含むことで、上述した問題点を解決した。
【0064】
すなわち、前記多孔性の第1支持層30は、電極に曲げまたはねじれの外力が作用しても、電極活物質層20に作用する外力を緩和する緩衝作用をすることで、電極活物質層20の脱離現象を防止し、電極の柔軟性を向上させる。また、さらに形成され得る前記第2支持層40は、集電体10の断線を抑制し、集電体10の柔軟性をさらに向上させることができる。
【0065】
図1ないし
図3を参照して、シート型二次電池用電極の製造方法について説明する。参考までに、
図3では集電体10の下面に第2支持層40が予め形成されている状態で電極活物質層を形成する場合を示しているが、これは本発明の一実施例に過ぎず、後述するように第2支持層40が形成されていない状態で電極活物質層を形成することもできる。
【0066】
まず、集電体10の一面に、電極活物質スラリー20’を塗布する(S1)。
【0067】
ここで、前記集電体10は、電極活物質の電気化学反応によって生成された電子を集めるか、または電気化学反応に必要な電子を供給する役割をするものであって、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素または銅;カーボン、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理されたステンレススチール;アルミニウム‐カドミウム合金;導電材で表面処理された非伝導性高分子;伝導性高分子;Ni、Al、Au、Ag、Pd/Ag、Cr、Ta、Cu、BaまたはITOである金属粉末を含む金属ペースト;若しくは黒鉛、カーボンブラックまたは炭素ナノチューブである炭素粉末を含む炭素ペースト;から製造されたものであり得る。
【0068】
上述したように、二次電池に曲げまたはねじれなどの外力が作用すれば、電極活物質層が集電体から脱離する現象が発生することがある。したがって、電極の柔軟性のために電極活物質層に多量のバインダー成分を含有させるようになる。しかし、このような多量のバインダーは、電解液によって膨潤(swelling)して集電体から脱離し易く、それにより電池性能の低下が発生する恐れがある。
【0069】
したがって、電極活物質層と集電体との間の接着力を向上させるため、前記集電体10は、導電材及びバインダーから構成された下塗層をさらに含むことができる。このとき、前記導電材及びバインダーは、後述する導電材コーティング層の形成に使用するものと同じ種類のものを使用することができる。
【0070】
また、
図4ないし
図6を参照すれば、前記集電体10はメッシュ型の集電体であり得、集電体の表面積をさらに増加させるため、少なくとも一面に、複数の凹部を形成することができる。このとき、前記複数の凹部は、連続的なパターンを有するか、または、断続的なパターンを有し得る。すなわち、互いに離隔して長さ方向に形成された連続的なパターンの凹部を有するか、または、複数の孔が形成された断続的なパターンを有し得る。前記複数の孔は円形であってもよく、多角形であってもよい。
【0071】
次いで、前記塗布された電極活物質スラリー20’上に多孔性の第1支持層30を形成する(S2)。
【0072】
ここで、前記第1支持層30は、メッシュ型多孔性膜または不織布であり得る。このように多孔性の構造を有することで、電極活物質層20への電解液の流入を円滑にし、第1支持層30自体の電解液の含浸性も優れるため、イオン伝導性が確保されて電池内部の抵抗増加を防止し、電池の性能低下を防止する。
【0073】
また、前記第1支持層30は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物から形成することができる。
【0074】
一方、前記第1支持層30上に、導電材及びバインダーを備える導電材コーティング層をさらに含むことができる。前記導電材コーティング層は、電極活物質層の伝導性を向上させて電極の抵抗を減少させることで、電池の性能低下を防止する。
【0075】
負極の場合、負極活物質層の伝導性が比較的に優れるため、前記導電材コーティング層を含まなくても、一般的な負極が使われた場合と同様の性能を示すが、正極の場合は、正極活物質層の伝導性が低く、電極抵抗の増加による性能低下が深刻になり得るため、電池内部の抵抗減少のために正極に適用されるとき特に有利である。
【0076】
このとき、前記導電材コーティング層は、前記導電材と前記バインダーとを80:20ないし99:1の重量比で混合したものであり得る。バインダーの含量が増加すれば、電極の抵抗が過度に増加する恐れがあるが、上述した数値範囲の含量を満足すれば、電極の抵抗が過度に増加することを防止できる。さらに、上述したように、第1支持層が電極活物質層の脱離現象を防止する緩衝作用を果たすため、比較的少量のバインダーが含まれても、電極の柔軟性確保にはあまり差し支えない。
【0077】
このとき、前記導電材は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノチューブ及びグラフェンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を含むものであり得るが、これらに限定されることはない。
【0078】
また、前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン‐co-トリクロロエチレン、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアリレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体及びポリイミドからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得るが、これらに限定されることはない。
【0079】
次いで、前記(S2)工程の結果物を圧着し、前記集電体10と前記第1支持層30との間に接着して一体化した電極活物質層20を形成する(S3)。
図7は、本発明の一実施例によって製造された二次電池用電極の断面を撮影したSEM写真である。
【0080】
一方、前記電極活物質スラリー20’を前記集電体10の一面にコーティングした後、乾燥させて電極活物質層20を形成した後、その上に第1支持層30をラミネートなどを通じて形成すれば、前記電極活物質層20と前記第1支持層30とを互いに接着させる電極活物質スラリー20’のバインダー成分が硬化し、両層間の強い接着力が維持されないこともあり得る。
【0081】
また、本発明の望ましい製造方法のように、予め製造された多孔性の第1支持層を使用せず、電極活物質層に高分子溶液をコーティングすることで多孔性の支持層を形成することもできる。しかし、高分子溶液をコーティングして形成した多孔性支持体は、本発明の望ましい製造方法によって製造された多孔性の第1支持層に比べて機械的物性が悪く、外部力による電極活物質層の脱離現象を効果的に抑制することができない。
【0082】
しかし、本発明の望ましい製造方法によれば、前記バインダー成分が硬化する前に、塗布された電極活物質スラリー20’の上面に第1支持層30を形成し、コーティングブレード50により共にコーティングすることで、前記集電体10と前記第1支持層30との間に接着し一体化した電極活物質層20を形成することができる。
【0083】
一方、前記(S1)工程の前又は前記(S3)工程の後、前記集電体10の他面に、第2支持層40を圧着して形成する工程をさらに含むことができる。ここで、前記第2支持層40は、前記集電体10の断線を抑制し、前記集電体10の柔軟性を一層向上させることができる。
【0084】
このとき、前記第2支持層40は、高分子フィルムであり得、このとき、前記高分子フィルムは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド及びポリアミドからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物から形成することができる。
【0085】
一方、前記二次電池用電極が負極である場合、前記電極活物質層は、天然黒鉛、人造黒鉛または炭素質材料;リチウム含有チタン複合酸化物(LTO);Si、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiまたはFeである金属類(Me);前記金属類(Me)の合金類;前記金属類(Me)の酸化物(MeOx);及び前記金属類(Me)と炭素との複合体からなる群より選択されたいずれか1つの活物質またはこれらのうち2種以上の混合物を含み、前記二次電池用電極が正極である場合、前記電極活物質層は、LiCoO
2、LiNiO
2、LiMn
2O
4、LiCoPO
4、LiFePO
4、LiNiMnCoO
2、及びLiNi
1-x-y-zCo
xM1
yM2
zO
2(M1及びM2は互いに独立して、Al、Ni、Co、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg及びMoからなる群より選択され、x、y及びzは互いに独立した酸化物組成元素の原子分率であって、0≦x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、x+y+z≦1である)からなる群より選択されたいずれか1つの活物質またはこれらのうち2種以上の混合物を含むことができる。
【0086】
一方、本発明の二次電池は、正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在されたセパレータ、及び電解質を含むものであって、前記正極及び負極の少なくとも1つは上述した本発明の二次電池用電極である。
【0087】
ここで、本発明の二次電池は、積層型、巻取型、積層/折畳型の一般的な形態の二次電池だけでなく、ケーブル型二次電池などの特殊な形態の二次電池でもあり得る。
【0088】
一方、本発明によるケーブル型二次電池は、内部電極;前記内部電極の外面を囲んで形成され、電極の短絡を防止する分離層;及び前記分離層の外面を囲んで螺旋状に巻き取られて形成された外部電極;を含み、前記内部電極及び前記外部電極の1種以上が上述した本発明の二次電池用電極で形成される。
【0089】
ここで、螺旋状とは、英語でスパイラル(spiral)またはヘリックス(helix)であって、一定範囲をねじれ曲がった形状であり、一般にバネ状と類似する形状を通称する。
【0090】
このとき、前記外部電極は、一方向に延びたストリップ(strip、帯)構造であり得る。
【0091】
また、前記外部電極は、互いに重ならないように螺旋状に巻き取られて形成され得る。このとき、前記外部電極は、電池の性能が低下しないように前記外部電極幅の2倍以内の間隔を置いて互いに離隔し、重ならないように螺旋状に巻き取られて形成され得る。
【0092】
また、前記外部電極は、互いに重なるように螺旋状に巻き取られて形成され得る。このとき、前記外部電極は、電池の内部抵抗の過度な上昇を抑制するため、互いに重なる部分の幅が前記外部電極の幅の0.9倍以内になるように螺旋状に巻き取られて形成され得る。
【0093】
一方、前記内部電極は、内部に空間が形成された中空型構造であり得る。
【0094】
このとき、前記内部電極は、螺旋状に巻き取られた1つ以上の前記二次電池用電極を含むことができる。
【0095】
また、前記内部電極の内部に形成された空間に、内部電極集電体コア部が形成され得る。
【0096】
このとき、前記内部電極集電体コア部は、カーボンナノチューブ、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素または銅;カーボン、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理されたステンレススチール;アルミニウム‐カドミウム合金;導電材で表面処理された非伝導性高分子;若しくは伝導性高分子から製造され得る。
【0097】
また、前記内部電極の内部に形成された空間に、電解質を含むリチウムイオン供給コア部が形成され得る。
【0098】
このとき、前記リチウムイオン供給コア部は、ゲル型ポリマー電解質及び支持体を含むことができる。
【0099】
また、前記リチウムイオン供給コア部は、液体電解質及び多孔性担体を含むことができる。
【0100】
また、前記内部電極の内部に形成された空間に、充填コア部が形成され得る。
【0101】
前記充填コア部は、上述した内部電極集電体コア部及びリチウムイオン供給コア部を形成する材料の外に、ケーブル型二次電池において多様な性能を改善させるための材料、例えば、高分子樹脂、ゴム、無機物などを、ワイヤ型、繊維状、粉末状、メッシュ、発泡体などの多様な形状で含むことができる。
【0102】
一方、
図8は、本発明の一実施例によるケーブル型二次電池であって、シート型内部電極がリチウムイオン供給コア部110の外面に巻き取られて形成されることを概略的に示した図であり、シート型の内部電極がケーブル型二次電池に適用される様子を示している。後述するシート型の外部電極が分離層の外面に巻き取られて形成される様子も同様である。
【0103】
このような本発明の一実施例によるケーブル型二次電池は、電解質を含むリチウムイオン供給コア部;前記リチウムイオン供給コア部の外面を囲んで形成され、集電体及び電極活物質層を備える内部電極;前記内部電極の外面を囲んで形成され、電極の短絡を防止する分離層;及び前記分離層の外面を囲んで螺旋状に巻き取られて形成され、集電体及び電極活物質層を備える外部電極;を含み、前記内部電極及び前記外部電極の1種以上が本発明の二次電池用電極で形成される。
【0104】
本発明の一実施例によるケーブル型二次電池は、所定形状の水平断面を有し、水平断面に対する長さ方向に長く延びた線型構造を有し得る。本発明の一実施例によるケーブル型二次電池は、可撓性を有するため、変形が自由である。ここで、所定の形状とは、特に形状を制限しないということであり、本発明の本質から逸脱しない如何なる形状も可能であるという意味である。
【0105】
図9には、内部電極に上述した本発明の二次電池用電極が導入されたケーブル型二次電池100が示されている。
【0106】
図9を参照すれば、電解質を含むリチウムイオン供給コア部110;前記リチウムイオン供給コア部110の外面を囲んで巻き取られて形成される内部電極;前記内部電極の外面を囲んで形成され、電極の短絡を防止する分離層160;及び前記分離層160の外面を囲んで螺旋状に巻き取られて形成され、外部集電体180及び外部電極活物質層170を備える外部電極;を含み、前記内部電極は、内部集電体120、前記内部集電体120の一面に形成された内部電極活物質層130、前記内部電極活物質層130の上面に形成された多孔性の第1支持層140、及び前記内部集電体120の他面に形成された第2支持層150を含む。
【0107】
上述したように、内部電極ではなく外部電極が上述した本発明のシート型の二次電池用電極であっても良く、内部電極と外部電極ともに本発明のシート型の二次電池用電極で形成されても良い。
【0108】
ここで、前記リチウムイオン供給コア部110は、電解質を含む。該電解質としては、その種類を特に限定しないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルホルメート、γ‐ブチロラクトン、スルホラン、メチルアセテート、またはメチルプロピオネートを使用した非水電解液;PEO、PVdF、PVdF‐HFP、PMMA、PANまたはPVAcを使用したゲル型高分子電解質;若しくはPEO、PPO、PEI、PESまたはPVAcを使用した固体電解質;などを使用することができる。また、このような電解質は、リチウム塩をさらに含むことができるが、このようなリチウム塩としては、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロホウ酸リチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、及びテトラフェニルホウ酸リチウムなどを使用することが望ましい。また、このようなリチウムイオン供給コア部110は、電解質のみから構成でき、液相の電解液である場合は、多孔質の担体を使用して構成することもできる。
【0109】
一方、前記内部電極が負極であり、外部電極が正極であるか、または、内部電極が正極であり、外部電極が負極であり得る。
【0110】
前記負極または正極に使用される電極活物質は、上述した通りである。
【0111】
また、本発明の分離層160としては、電解質層またはセパレータを使用することができる。
【0112】
イオンの通路になる電解質層としては、PEO、PVdF、PVdF‐HFP、PMMA、PANまたはPVAcを使用したゲル型高分子電解質;若しくはPEO、PPO、PEI、PESまたはPVAcを使用した固体電解質;などを使用する。固体電解質のマトリクスは、高分子またはセラミックガラスを基本骨格にすることが望ましい。一般の高分子電解質の場合は、イオン伝導度が満足できても反応速度の面でイオンの移動が非常に遅い恐れがあるため、固体よりは、イオンの移動が容易なゲル型高分子の電解質を使用することが望ましい。ゲル型高分子電解質は、機械的特性に優れないため、それを補うために支持体を含むことができ、このような支持体としては気孔構造支持体または架橋高分子を使用することができる。本発明の電解質層は、セパレータの役割も果たせるため、別途のセパレータを使用しなくてもよい。
【0113】
本発明の電解質層は、リチウム塩をさらに含むことができる。リチウム塩は、イオン伝導度及び反応速度を向上させることができ、これらの非制限的な例としては、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロホウ酸リチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、及びテトラフェニルホウ酸リチウムなどが挙げられる。
【0114】
前記セパレータとしては、その種類を限定しないが、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン‐ブテン共重合体、エチレン‐ヘキセン共重合体及びエチレン‐メタクリレート共重合体からなる群より選択されたポリオレフィン系高分子から製造された多孔性高分子基材;ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択された高分子から製造された多孔性高分子基材;無機物粒子とバインダー高分子との混合物から形成された多孔性基材;または前記多孔性高分子基材の少なくとも一面上に無機物粒子とバインダー高分子との混合物から形成された多孔性コーティング層を備えたセパレータなどを使用することができる。
【0115】
このとき、無機物粒子とバインダー高分子との混合物から形成された前記多孔性コーティング層では、無機物粒子同士が互いに結着した状態を維持できるように、バインダー高分子がこれらを互いに付着(すなわち、バインダー高分子が無機物粒子同士の間を連結及び固定)しており、また、前記多孔性コーティング層は高分子バインダーによって前記多孔性高分子基材と結着した状態を維持する。このような多孔性コーティング層の無機物粒子は、実質的に互いに接触した状態で最密充填された構造で存在し、無機物粒子同士が接触した状態で生じるインタースティシャル・ボリューム(interstitial volume)が前記多孔性コーティング層の気孔になる。
【0116】
特に、リチウムイオン供給コア部のリチウムイオンが外部電極にも容易に伝達されるためには、前記ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択された高分子から製造された多孔性高分子基材に該当する不織布材質のセパレータを使用することが望ましい。
【0117】
また、本発明は、保護被覆190を備える。保護被覆は、絶縁体であって、空気中の水分及び外部衝撃から電極を保護するために外部集電体の外面に形成される。前記保護被覆190としては、水分遮断層を含む通常の高分子樹脂を使用することができる。このとき、前記水分遮断層としては、水分遮断性能に優れたアルミニウムや液晶高分子などが使用でき、前記高分子樹脂としては、PET、PVC、HDPEまたはエポキシ樹脂などが使用できる。
【0118】
一方、本発明の他の態様による2以上の内部電極を含むケーブル型二次電池は、互いに平行に配置された2以上の内部電極;前記内部電極の外面を一緒に囲んで形成され、電極の短絡を防止する分離層;及び前記分離層の外面を囲んで螺旋状に巻き取られて形成された外部電極;を含み、前記内部電極及び前記外部電極の1種以上が上述した本発明の二次電池用電極で形成される。
【0119】
さらに、本発明のさらに他の態様による2以上の内部電極を含むケーブル型二次電池は、電解質を含む2以上のリチウムイオン供給コア部;それぞれの前記リチウムイオン供給コア部の外面を囲んで形成され、集電体及び電極活物質層を備えて互いに平行に配置される2以上の内部電極;前記内部電極の外面を一緒に囲んで形成され、電極の短絡を防止する分離層;及び前記分離層の外面を囲んで螺旋状に巻き取られて形成され、集電体及び電極活物質層を備える外部電極;を含み、前記内部電極及び前記外部電極の1種以上が上述した本発明の二次電池用電極で形成される。
【0120】
前記2以上の内部電極を含むケーブル型二次電池のうち、
図10は内部電極に上述した本発明の二次電池用電極が導入されたケーブル型二次電池200を示している。
【0121】
図10を参照すれば、電解質を含む2以上のリチウムイオン供給コア部210;それぞれの前記リチウムイオン供給コア部210の外面を囲んで巻き取られて形成され、互いに平行に配置される2以上の内部電極;前記内部電極の外面を一緒に囲んで形成され、電極の短絡を防止する分離層260;及び前記分離層260の外面を囲んで螺旋状に巻き取られて形成され、外部集電体280及び外部電極活物質層270を備える外部電極;を含み、前記内部電極は、内部集電体220、前記内部集電体220の一面に形成された内部電極活物質層230、前記内部電極活物質層230の上面に形成された多孔性の第1支持層240、及び前記内部集電体220の他面に形成された第2支持層250を含む。
【0122】
上述したように、内部電極ではなく外部電極が上述した本発明のシート型の二次電池用電極であっても良く、内部電極と外部電極ともに本発明のシート型の二次電池用電極で形成されても良い。
【0123】
このようなケーブル型二次電池200は、複数の電極からなる内部電極を備えるため、内部電極の個数を調節することで電極活物質層のローディング量及び電池容量の調整が容易であり、複数の電極を備えることで断線の可能性を防止することができる。
【実施例】
【0124】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0125】
<実施例>
(1)負極の製造
銅からなるシート型集電体の一面に、ポリエチレンフィルムからなる第2支持層を圧着して形成させた。
【0126】
次いで、負極活物質として黒鉛、導電材としてデンカブラック及びバインダーとしてPVdFが、それぞれ70重量%、5重量%及び25重量%でNMP溶媒に分散された負極活物質スラリーを製造した。
【0127】
その後、前記集電体の他面に前記負極活物質スラリーを塗布し、その上にPET不織布からなる第1支持層を形成した後、前記第2支持層、集電体、負極活物質スラリー及び第1支持層が順に積層された基材を圧着することでシート型の二次電池用負極を製造した。
【0128】
(2)コイン型ハーフセルの製造
実施例(1)で製造されたシート型の二次電池用負極と、リチウムホイルからなる正極との間にポリエチレンセパレータを介在することで、電極組立体を製造した。前記電極組立体を電池ケースに収納した後、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:2の体積比で混合した非水溶媒に1M LiPF
6が添加された電解液を注入してコイン型ハーフセルを製造した。
【0129】
<比較例>
(1)負極の製造
銅からなるシート型の集電体の一面に、負極活物質として黒鉛、導電材としてデンカブラック及びバインダーとしてPVdFがそれぞれ70重量%、5重量%及び25重量%でNMP溶媒に分散された負極活物質スラリーを塗布して乾燥することで負極を製造した。
【0130】
(2)コイン型ハーフセルの製造
比較例(1)で製造された負極を使用することを除いて、実施例(2)と同様の方法でコイン型ハーフセルを製造した。
【0131】
<負極の曲げ実験>
実施例及び比較例で製造された負極を二つ折りにした後、その模様を観察した。
【0132】
図11及び
図12は、それぞれ実施例及び比較例で製造されたシート型負極を二つ折りにした後の断面を撮影したSEM写真である。
【0133】
比較例の場合、電極が折られて酷いクラックが発生した。実施例の場合にもクラックが発生したが、その程度が改善され、第1支持層であるPET不織布が電極活物質層をよく固定していることが確認できた。このことから、負極の柔軟性が大幅に向上したことが分かる。
【0134】
<充放電特性の評価>
実施例及び比較例で製造されたコイン型ハーフセルを用いて充放電特性を評価した。0.5Cの電流密度で5mVまで定電流充電した後、定電圧で5mVに一定に維持し、電流密度が0.005Cになれば充電を終了した。放電は0.5Cの電流密度で1.5Vまで定電流モードで放電した。同じ条件で充放電を25回繰り返した。
【0135】
図13には、実施例と比較例によるハーフセルの寿命特性が示されている。実施例の場合、比較例と比べて、寿命特性が1%程度低下したが、ほぼ同等の電池性能を示している。このことから、第1支持層及び第2支持層の導入により、電極の柔軟性が大幅に向上することが確認できる。
【0136】
なお、本明細書及び図面に開示された本発明の実施例は、理解を助けるために提示された特定例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。ここに開示された実施例の外にも本発明の技術的思想に基づいた他の変形例が実施可能であるということは、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者にとって自明であろう。
【符号の説明】
【0137】
10 集電体
20 電極活物質層
20’ 電極活物質スラリー
30 第1支持層
40 第2支持層
50 コーティングブレード
100、200 ケーブル型二次電池
110、210 リチウムイオン供給コア部
120、220 内部集電体
130、230 内部電極活物質層
140、240 第1支持層
150、250 第2支持層
160、260 分離層
170、270 外部電極活物質層
180、280 外部集電体
190、290 保護被覆