(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力手段は、前記決定されたレイアウトを表す情報及び前記選択された什器を表す情報をもとに、当該選択された什器の移動方向と移動距離を算出し、当該算出された移動方向及び移動距離を含む移動制御信号を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の会合支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
この発明の第1の実施形態は、会議室の入り口において参加者数を内部及び外部別に検出し、その検出結果に基づいて会議室において机と椅子の配置を指定するレイアウト情報を自動生成し、このレイアウト情報に従い机と椅子を自走させて所定の位置に配置するようにしたものである。
【0020】
(構成)
図1は、この発明に係る会合支援システムの第1の実施形態である会議支援システムの機能構成を示すブロック図である。
この会議支援システムは、検出装置1Aと、会議支援制御装置として端末装置2Aと、什器としての椅子3及び机4を備えている。端末装置2Aは、検出装置1Aとの間、及び椅子3と机4との間で、それぞれ無線ネットワークを介して通信可能となっている。無線ネットワークとしては、例えば無線LAN(Local Area Network)又はBluetooth(登録商標)等の小電力型の無線インタフェースが用いられる。なお、
図1では什器として椅子3と机4のみを示したが、ホワイトボード等のその他の什器を備えていてもよい。
【0021】
検出装置1Aは、例えば会議室の入り口等に設置された入室カードキーリーダからなり、会議室への入室前に参加者のIDカードをそれぞれ読み取ることで、参加者の人数と、各参加者が内部者であるか外部者であるかを検出する。そして、この検出結果を表す情報を、会議の実施条件を表す情報として上記無線ネットワークを介して端末装置2Aへ送信する機能を有する。
【0022】
椅子3及び机4はいずれも複数個用意され、いずれも通信部31,41と、制御部32,42と、移動機構33,43と、センシング部34,44を備えている。通信部31,41は、上記端末装置2Aから送信される移動制御情報を受信するために用いられる。移動機構33,43には、モータを動力源とし移動方向を自由に制御可能とした機構が用いられる。
【0023】
センシング部34,44は、会議室内における自身の位置を測定するもので、例えば会議室内の所定位置に設置された複数の無線LANアクセスポイントから送信される電波の受信強度をそれぞれ検出し、その検出結果をもとに会議室内における自身の現在位置を計算する。
【0024】
制御部32,42は、上記通信部31,41により移動制御情報が受信されたとき、当該移動制御情報に含まれる移動先の座標値と、上記センシング部34,44により計算された自身の現在位置の座標値とから、上記移動先の座標値に到達するまでの移動経路を計算する。この移動経路は移動方向と移動距離により表される。そして、計算された移動経路に応じて上記移動機構33,43を駆動し、自身を移動先へ移動させる。
【0025】
端末装置2Aは例えばCPU(Central Processing Unit)を備え、この発明の第1の実施形態を実現するために必要な機能として、レイアウト決定部21Aと、通信部22と、レイアウトデータベース(レイアウトDB)23と、什器データベース(什器DB)24を備えている。
【0026】
通信部22は、上記検出装置1Aとの間及び上記椅子3及び机4との間で検出結果を表す信号及び移動制御信号を送受信するために用いられる。
【0027】
レイアウトDB23には、使用が想定される複数の基本レイアウト情報が記憶される。各基本レイアウト情報は、レイアウト名に対し、会議の条件を表す内部及び外部別の参加人数と、什器の移動先の配置位置を表す情報を関連付けたものである。什器の配置位置を表す情報には、椅子、机及びホワイトボードのそれぞれの移動先となる位置座標値が含まれる。
【0028】
図3はレイアウトDB23に記憶される基本レイアウト情報の一例を示すものである。
図3において、椅子、机及びホワイトボードの配置の欄に記載された数字が、移動先の配置位置の座標値を示すものである。座標値は、例えば
図5に示すように会議スペースMS上にその中心を原点としてX,Y座標空間を設定したときの同空間の座標値を示す。
【0029】
什器データベース(什器DB)24には、会議室で使用可能な複数の什器の属性情報が記憶される。各属性情報は、什器IDに対し、形状と、サイズと、使用状態を表す情報を関連付けたものからなる。
図4はこの受信DB24に記憶される什器の属性情報の一例を示すものである。
【0030】
レイアウト決定部21Aは、上記検出装置1Aから会議の実施条件を表す情報としての検出情報を受信すると、当該受信された検出情報に含まれる内部及び外部別の参加者数をキーとして上記レイアウトDB23から条件が一致する基本レイアウト情報を読み出す。さらに、上記読み出された基本レイアウト情報で指定されたサイズを有する机のIDを什器DB24から選択的に読み出す。そして、上記読み出された基本レイアウト情報及び什器IDを含む移動制御情報を、移動対象となる什器に向け通信部22から送信させる。
【0031】
(動作)
次に、以上のように構成された会議支援システムの動作を説明する。
図2はその動作手順と動作内容を示すフローチャートである。
会議に先立ち参加者は、会議室前の廊下や入り口に設置された検出装置1Aにおいて、入室カードキーリーダに自身のIDカードを接触させる。検出装置1AはステップS11により上記IDカードからユーザIDを読み込み、読み込んだユーザIDが社員IDであるかゲストIDであるかを判定することで、内部及び外部別の参加者数をそれぞれ計数する。そして、最後のユーザIDが読み込まれてから一定時間が経過すると、ステップS12で参加者数の計数値を確定して、当該参加人数の計数値を検出情報として端末装置2Aに送信する。
【0032】
端末装置2Aは、上記検出装置1Aから送信された検出情報が通信部22で受信されたことをステップS13で確認すると、レイアウト決定部21Aの制御の下で以下のようなレイアウト決定処理を実行する。
【0033】
すなわち、先ずステップS14において、上記受信された検出情報に含まれる内部及び外部別の参加者数をキーとして、レイアウトDB23から条件が一致する基本レイアウト情報を読み出す。例えば、いま検出情報により参加人数が内部者2名及び外部者3名と指定されていたとすると、レイアウトDB23から
図3に示すように「外部会議(内2,外3)」で表される基本レイアウト情報が読み出される。
【0034】
続いてステップS15により、上記読み出された基本レイアウト情報に記載された椅子、机及びホワイトボードの必要数に従い、什器DB24から椅子、机及びホワイトボードを選択する。なお、このとき机に関しては基本レイアウト情報に記載されたサイズに対応するものを選択する。そして、ステップS16において、上記選択された什器のIDを、上記レイアウトDB23から読み出された基本レイアウト情報に記載された各什器の移動先の座標値に対応付ける。最後にステップS17により、上記対応付けられた什器IDとその移動先の座標値を含む移動制御情報を、使用する什器群に向け通信部22から送信させる。
【0035】
これに対し什器群3,4,…は、以下のように動作する。なお、ここでは椅子と机を例にとってその動作を説明する。すなわち、椅子3及び机4は、自己宛の移動制御情報が通信部31,41により受信されたことをステップS18で検出すると、ステップS19により制御部32,42が、上記受信された移動制御情報に含まれる移動先の座標値と、センシング部34,44により計算された自己の現在位置の座標値とから、上記移動先の座標値に到達するまでの移動経路を計算する。この移動経路は移動方向と移動距離により表される。そして、ステップS20において、上記計算された移動方向と移動距離に応じて移動機構33,43を駆動する。この結果、椅子3及び机4は、それぞれ基本レイアウト情報により指定された会議スペースMS内の移動先座標値へ移動する。
【0036】
例えば、
図3に示す基本レイアウト情報「外部会議(内2,外3)」の椅子Aに、
図4に示す什器ID=「椅子2」が対応付けられていれば、当該「椅子2」はレイアウト情報により指定された移動先のX,Y座標値(80,−25)へ自律的に移動する。以下同様に、什器DB24から選択されたその他の椅子も、基本レイアウト情報により指定された移動先の座標値へそれぞれ移動する。
【0037】
また、机Aに什器ID=「机1」が対応付けられていれば、当該「机1」は基本レイアウト情報により指定された移動先のX,Y座標値(0,0)へ自律的に移動し、長辺がX軸と並行する状態に配置される。なお、各什器は指定された座標値への移動が完了すると、その旨の応答情報を端末装置2Aへ返送する。端末装置2Aは移動対象の全ての什器から応答情報を受信すると、会議スペースの入り口に設置された表示板にその旨を表示する。なお、各参加者のIDカードに、準備が完了した旨の報知情報を送信して表示するようにしてもよい。
【0038】
(効果)
以上詳述したように第1の実施形態では、以下のような対策を講じている。すなわち、検出装置1Aにより参加者の人数を内部及び外部別に計数してその結果を検出情報として端末装置2Aに送信する。端末装置2Aでは、レイアウト決定部21Aの制御の下、先ず上記検出装置1Aから受信された検出情報に含まれる内部及び外部別の参加者数をキーとしてレイアウトDB23から条件が一致する基本レイアウト情報を読み出す。次に、上記読み出された基本レイアウト情報で指定された数の什器を什器DB24から選択する。そして、上記読み出された基本レイアウト情報及び什器IDを含む移動制御情報を、移動対象となる什器に向け通信部22から送信する。移動対象の什器3,4は、制御部32,42の制御の下、受信された移動制御情報に含まれる移動先の座標値と、センシング部34,44により計算された自身の現在位置の座標値とから、上記移動先の座標値に到達するまでの移動経路を計算し、この計算された移動経路に応じて移動機構33,43を駆動して自走させるようにしている。
【0039】
したがって、会議の実施条件の取得から会議スペースのレイアウトの決定及び必要な什器の選択、さらには位置3と机4の移動までの一連の処理が自動的に行われる。このため、会合スペースのレイアウトの生成及び必要な什器の選択作業、さらには什器の移動作業を人手により行う必要がなくなり、これにより会議準備スタッフの労力を大幅に軽減することが可能となる。また、参加者に内部者と外部者が含まれている場合に、内部及び外部別の参加人数を検出して会議レイアウトを決定するようにしたことで、例えば内部者と外部者とが互いに対面するように机と椅子を配置することが可能となる。
【0040】
[第2の実施形態]
この発明の第2の実施形態は、フリースペースにおいて会議前に参加予定者の会話を音声認識することで参加人数を検出し、その検出結果をもとに会議に必要な机、椅子及びホワイトボードの配置を指定するレイアウト情報を自動生成し、このレイアウト情報に従い机、椅子及びホワイトボードを自走させることで、フレースペースにアドホックな会議スペースを自動生成するようにしたものである。
【0041】
(構成)
図6は、この発明の第2の実施形態に係る会議支援システムの機能構成を示すブロック図である。なお、同図において前記
図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0042】
検出装置1Bは音声認識装置を備える。そして、フリースペースにおいて会話に参加している人の音声を音声認識技術を用いて監視することで、一定期間ごとに会話人数を計算する。また、前回検出した会話人数に対し今回検出した会話人数が増加したか否かを判定し、増加した場合にはその増加人数を計算する。そして、上記今回検出した参加人数と上記計算された増加人数を検出情報として端末装置2Bへ送信する処理を行う。
【0043】
端末装置2Bのレイアウト決定部21Bは以下の機能を有する。
(1) 上記検出装置1Bから検出情報を受信した場合に、会議前か会議中かを会議フラグをもとに判定する処理。
(2) 会議前であれば、上記受信された検出情報に含まれる参加者数をキーとして上記レイアウトDB23から条件が一致する基本レイアウト情報を読み出す。さらに、上記読み出された基本レイアウト情報で指定されたサイズを有する机のIDを什器DB24から選択的に読み出す。そして、上記読み出された基本レイアウト情報及び什器IDを含む移動制御情報を、移動対象となる什器に向け通信部22から送信させる処理。
【0044】
(3) 会議中であれば、上記受信された検出情報に含まれる増加人数に相当する数の椅子IDを什器DB24から読み出す。そして、今回の会議で設定中のレイアウト情報をもとに、上記新たにIDを読み出した追加対象の椅子の移動先となる座標値を計算し、この計算された移動先の座標値を椅子IDと共に移動制御情報に含め、追加対象となる椅子に向け通信部22から送信させる処理。
【0045】
ホワイトボード5は、椅子3及び机4と同様に、通信部51と、制御部52と、移動機構53と、センシング部54を備えている。通信部51は、上記端末装置2Bから送信される移動制御情報を受信するために用いられる。移動機構53には、モータを動力源とし移動方向を自由に制御可能とした機構が用いられる。
【0046】
センシング部54は、フリースペースにおけるホワイトボード5の位置を測定するもので、例えば複数の無線LANアクセスポイントから送信される電波の受信強度をそれぞれ検出し、その検出結果をもとにフリースペース内におけるホワイトボードの現在位置を計算する。
【0047】
制御部52は、上記通信部51により移動制御情報が受信されたとき、当該移動制御情報に含まれる移動先の座標値と、上記センシング部54により計算された自己の現在位置の座標値とから、上記移動先の座標値に到達するまでの移動経路を計算する。この移動経路は移動方向と移動距離により表される。そして、計算された移動経路に応じて上記移動機構53を駆動し、自己を移動先へ移動させる。
【0048】
(動作)
次に、以上のように構成された会議支援システムの動作を説明する。
図7及び
図8はその動作手順と動作内容を示すフローチャートである。
(1)会議開始前の支援
会議装置1Bは、
図7に示すように、ステップS21において、フリースペースにおいて会議への参加予定者の音声を音声認識技術を用いて常時監視し、予め設定した時間(例えば1分)ごとに当該監視時間中に収集した音声データを分析することで、会話人数とその継続時間を計算する。次にステップS22において、2人以上による会話が予め設定した時間(例えば5分)以上継続しているか否かを判定する。この判定の結果、判定条件を満たしていなければステップS21による会話の監視処理に戻る。
【0049】
一方、2人以上による会話が5分以上継続した場合には、ステップS23により前回の検出者数に対し今回の検出者数が増加したか否かを判定し、増加した場合にはその増加人数をステップS24計算する。そしてステップS25において、上記今回検出した参加人数と上記計算された増加人数を検出情報として端末装置2Bへ送信する。なお、前回の検出者数に対し今回の検出者数が増加していない場合には、ステップS21による会話の監視処理に戻る。
【0050】
端末装置2Bは、上記検出装置1Bから送信された検出情報が通信部22で受信されたことをステップS26で確認すると、レイアウト決定部21Bの制御の下で次のようなレイアウト決定処理を実行する。
【0051】
すなわち、先ずステップS27において、会議フラグをもとに会議前か会議中かを判定する。この判定の結果、会議フラグが“False”であれば、「会議前」と判定してステップS28に移行し、上記受信された検出情報に含まれる参加者数をキーとして、レイアウトDB23から条件が一致する基本レイアウト情報を読み出す。例えば、いま検出情報により参加人数が4名と指定されていたとすると、レイアウトDB23から
図3に示すように「内部会議(内4)」で表される基本レイアウト情報が読み出される。
【0052】
次にステップS29により会議フラグを会議中であることを示す“True”にセットした後、ステップS30において、上記読み出された基本レイアウト情報に記載された椅子、机及びホワイトボードの数に従い、什器DB24から椅子、机及びホワイトボードを選択する。なお、このとき机に関しては基本レイアウト情報に記載されたサイズに対応するものを選択する。そして、ステップS31において、上記選択された什器のIDを、上記レイアウトDB23から読み出された基本レイアウト情報に記載された各什器の移動先の座標値に対応付ける。最後にステップS32により、上記対応付けられた什器IDとその移動先の座標値を含む移動制御情報を、使用する什器群に向け通信部22から送信する。
【0053】
これに対し什器群3,4,5は、以下のように動作する。すなわち、椅子3、机4及びホワイトボード5は、それぞれ自己宛の移動制御情報が通信部31,41,51により受信されたことをステップS33で検出すると、ステップS34,S35により制御部32,42,52が、上記受信された移動制御情報に含まれる移動先の座標値と、センシング部34,44,54により計算された自己の現在位置の座標値とから、上記移動先の座標値に到達するまでの移動経路を計算する。この移動経路は移動方向と移動距離により表される。そして、ステップS36において、上記計算された移動方向と移動距離に応じて移動機構33,43,53を駆動する。この結果、椅子3、机4及びホワイトボード5は、それぞれ基本レイアウト情報により指定された会議スペースMS内の移動先座標値へ移動する。
【0054】
例えば、
図3に示す基本レイアウト情報「内部会議(4)」の椅子Aに、
図4に示す什器ID=「椅子1」が対応付けられていれば、当該「椅子1」はレイアウト情報により指定された移動先のX,Y座標値(80,−25)へ自律的に移動する。以下同様に、什器DB24から選択されたその他の椅子も、基本レイアウト情報により指定された移動先の座標値へそれぞれ移動する。
【0055】
また、机Aに什器ID=「机1」が対応付けられていれば、当該「机1」は基本レイアウト情報により指定された移動先のX,Y座標値(0,0)へ自律的に移動し、長辺がX軸と並行する状態に配置される。
【0056】
さらに、ホワイトボード5については、基本レイアウト情報のWBAに対し什器ID=「WB1」が対応付けられていれば、当該「WB1」は基本レイアウト情報により指定された移動先のX,Y座標値(0,−100)へ自律的に移動し、かつ長辺がY軸と並行する状態に配置される。
【0057】
なお、椅子3、机4及びホワイトボード5は、指定された座標値への移動が完了すると、その旨の応答情報を端末装置2Bへ返送する。端末装置2Bは移動対象の全ての什器から応答情報を受信すると、各参加者のIDカードに、準備が完了した旨の報知情報を送信して表示する。かくして、参加者はフリースペース内に設定された会議スペースで会議を開始できる。
【0058】
(2)会議中の支援(会議スペースに参加者がさらに加わる場合)
端末装置2Bのレイアウト決定部2Bは、ステップS27において、会議フラグが“True”であれば、「会議中」と判定して
図8に示すステップS37に移行する。そして、このステップS37において、上記受信された検出情報に含まれる増加人数に相当する数の椅子IDを什器DB24から選択的に読み出す。
【0059】
続いてステップS38において、今回の会議で使用中の基本レイアウト情報をもとに、上記新たにIDを読み出した追加対象の椅子の移動先となる座標値を計算する。すなわち、使用中のレイアウトの中で空きスペースとなっている位置を探し、当該空きスペースとなっている位置の座標値を移動先として求める。なお、上記使用中の基本レイアウト情報は、上記椅子の追加が行われた後のレイアウトに変更される。そして、ステップS39により、上記計算された移動先の座標値を椅子IDと共に移動制御情報に含め、追加対象となる椅子に向け通信部22から送信する。
【0060】
これに対し追加対象となった椅子3は、以下のように動作する。すなわち、追加対象の椅子3は、自己宛の移動制御情報が通信部31により受信されたことをステップS40で検出すると、ステップS41,S42により制御部32が、上記受信された移動制御情報に含まれる移動先の座標値と、センシング部34により計算された自己の現在位置の座標値とから、上記移動先の座標値に到達するまでの移動経路を計算する。この移動経路は移動方向と移動距離により表される。そして、ステップS43において、上記計算された移動方向と移動距離に応じて移動機構33を駆動する。この結果、追加対象の椅子3は、変更後のレイアウト情報により指定された会議スペースMS内の空きスペースへ移動する。
【0061】
かくして、会議スペースへの椅子の追加が自動的に行われ、新規参加者は当該椅子に座ることで会議に参加することが可能となる。
【0062】
(効果)
以上詳述したように第2の実施形態では、フリースペースにおいて会議前に参加予定者の会話を音声認識することで参加人数を検出し、その検出結果をもとに会議に必要な机3、椅子4及びホワイトボード5の配置を指定する基本レイアウト情報を自動生成し、この基本レイアウト情報に従い机3、椅子4及びホワイトボード5を自走させることで、フレースペースにアドホックな会議スペースを自動生成するようにしている。
【0063】
したがって、第1の実施形態と同様に、会議の実施条件の取得から会議スペースのレイアウトの決定及び必要な什器の選択、さらには机3、椅子4及びホワイトボード5の移動までの一連の処理が自動的に行われる。このため、会合スペースのレイアウトの生成及び必要な什器の選択作業、さらには什器の移動作業を人手により行う必要がなくなり、これにより会議準備スタッフの労力を大幅に軽減することが可能となる。
【0064】
さらに、会議中において参加人数の増加が検出された場合には、什器DB24から増加人数分の椅子が選択され、この選択された椅子を追加すべき位置座標が使用中の基本レイアウト情報をもとに計算されて、この計算された位置へ追加対象の椅子が移動するように制御される。このため、会議スペースの新規レイアウトの生成に止まらず、会議参加者の追加に伴うレイアウト変更にも自動的に対応できる。
【0065】
[第3の実施形態]
この発明の第3の実施形態は、会議への参加人数と共に参加者の属性と体型を検出し、その検出結果をもとに会議に必要な机、椅子及びホワイトボードの配置を指定するレイアウト情報を自動生成すると共に、体型に応じたサイズの椅子を選択し、さらに上記レイアウト情報に従い机、椅子及びホワイトボードを自走させることで、会議スペースを自動生成するようにしたものである。
【0066】
(構成)
図9は、この発明の第3の実施形態に係る会議支援システムの機能構成を示すブロック図である。なお、同図において前記
図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0067】
検出装置1Cは、例えば会議室の入り口等に設置された入出カードキーリーダと、参加者の身長を計測するレーザアレイ入室センサと、会議予定をスケジュール管理する社内スケジューラに対しアクセスする機能を備える。そして、会議室に入室する際に参加者のIDカードをそれぞれ読み取ることで、内部及び外部別の参加者数を検出し、さらにレーザアレイ入室センサにより参加者の身長を計測する。また、社内スケジューラから会議の種類又は内容を表す情報を取得する。そして、これらの検出情報を、会議の実施条件を表す情報として上記無線ネットワークを介して端末装置2Cへ送信する機能を有する。なお、レーザアレイ入室センサとしては、赤外線アレイを用いた人感センサが用いられる。
【0068】
端末装置2Cのレイアウト決定部21Cは、以下の機能を有する。
(1) 検出装置1Cから会議の実施条件を表す情報として検出情報を受信すると、当該受信された検出情報に含まれる内部及び外部別の参加者数と、会議の種類又は内容を表す情報をキーとして、上記レイアウトDB23から条件が一致する基本レイアウト情報を読み出す処理。
(2) 上記読み出された基本レイアウト情報、及び参加者の身長を表す情報をもとに、什器DB24から参加者数に対応する数でかつ参加者の身長に対応するサイズを有する什器群の什器IDを読み出す処理。
(3) 上記読み出された基本レイアウト情報及び什器IDを含む移動制御情報を、移動対象となる什器に向け通信部22から送信させる処理。
【0069】
(動作)
次に、以上のように構成された会議支援システムの動作を説明する。
図10はその動作手順と動作内容を示すフローチャートである。
会議に先立ち参加者は、会議室の入り口等に設置された検出装置1Cにおいて、入室カードキーリーダに自身のIDカードを接触させる。検出装置1Cは先ずステップS51により上記IDカードからユーザIDを読み込み、この読み込んだユーザIDが社員IDであるかゲストIDであるかを判定する。またそれと共に、上記IDカードを入室カードキーリーダに接触させた直後の参加者の身長をレーザアレイ入室センサにより計測する。そして、上記内部者か外部者かを判定した結果と、上記身長の計測結果とを組み合わせて、「身長187cmの社外の人」、「身長168cmの社員」といった検出情報を生成し保存する。以上の処理を予め設定した一定時間(例えば10分間)に亘り行い、当該10分間が経過するとその間に保存された検出情報をもとに内部及び外部別の参加者数を計数する。
【0070】
次にステップS52において、社内スケジューラに対し社内LANを介して現在の日時をキーにしてアクセスし、社内スケジューラから予め登録されている会議スケジュール情報を読み出す。会議スケジュール情報には、例えば「15時からA会議室において内部向け講義」のように会議種別又はその内容が記載されている。
【0071】
最後にステップS53において、上記計数された内部及び外部別の参加人数と、各参加者の身長と、上記社内スケジューラから取得した会議スケジュール情報とを含む検出情報を生成し、この検出情報を端末装置2Cに向け送信する。
【0072】
これに対し端末装置2Cは、上記検出装置1Cから送信された検出情報が通信部22で受信されたことをステップS54で確認すると、レイアウト決定部21Cの制御の下で次のようなレイアウト決定処理を実行する。
【0073】
すなわち、先ずステップS55において、上記受信された検出情報に含まれる内部及び外部別の参加者数と、会議スケジュール情報をキーとして、レイアウトDB23から条件が一致する基本レイアウト情報を読み出す。例えば、いま検出情報により参加人数が内部者12名及び外部者1名と指定され、かつ会議スケジュール情報に「15時からA会議室において内部向け講義」と記載されていれば、レイアウトDB23から
図3に示す「内部向け講義(12)」で表される基本レイアウト情報が読み出される。
【0074】
続いてステップS56において、上記読み出された基本レイアウト情報に記載された椅子、机及びホワイトボードの必要数と、上記検出情報に含まれる各参加者の身長を表す情報に従い、什器DB24から上記必要数に相当する数の椅子、机及びホワイトボードを選択し、かつ椅子については参加者の身長に対応するサイズのものを選択する。例えば、いまある参加者の身長が187cmであれば、当該参加者に対し大サイズの「椅子1」が選択され、また別の参加者の身長が168cmであれば中サイズの「椅子2」が選択される。
【0075】
次にステップS57において、上記選択された什器のIDを、上記レイアウトDB23から読み出された基本レイアウト情報に記載された各什器の移動先の座標値に対応付ける。最後にステップS58により、上記対応付けられた什器IDとその移動先の座標値を含む移動制御情報を、使用対象となる什器群に向け通信部22から送信させる。
【0076】
これに対し什器群3,4,5は、以下のように動作する。すなわち、椅子3、机4及びホワイトボード5は、自己宛の移動制御情報が通信部31,41,51により受信されたことをステップS59で検出すると、制御部32,42,52がステップS60,S61において、上記受信された移動制御情報に含まれる移動先の座標値と、センシング部34,44,54により計算された自己の現在位置の座標値とから、上記移動先の座標値に到達するまでの移動経路を計算する。この移動経路は移動方向と移動距離により表される。そして、ステップS62において、上記計算された移動方向と移動距離に応じて移動機構33,43,53を駆動する。この結果、椅子3、机4及びホワイトボード5は、それぞれ基本レイアウト情報により指定された会議スペースMS内の移動先座標値へ移動する。
【0077】
例えば、
図3に示す基本レイアウト情報「内部向け講義(12)」の椅子Aに、
図4に示す什器ID=「椅子2」が対応付けられていれば、当該「椅子2」はレイアウト情報により指定された移動先のX,Y座標値(210,−90)へ自律的に移動する。同様に、什器DB24から選択されたその他の椅子も、基本レイアウト情報により指定された移動先の座標値へそれぞれ移動する。
【0078】
また、机Aに什器ID=「机1」が対応付けられていれば、当該「机1」は基本レイアウト情報により指定された移動先のX,Y座標値(180,−150)へ自律的に移動し、長辺がY軸と並行する状態に配置される。
【0079】
さらに、ホワイトボード5については、基本レイアウト情報のWBAに対し什器ID=「WB1」が対応付けられていれば、当該「WB1」は基本レイアウト情報により指定された移動先のX,Y座標値(0,−350)へ自律的に移動し、かつ長辺がY軸と並行する状態に配置される。
【0080】
なお、椅子3、机4及びホワイトボード5は、指定された座標値への移動が完了すると、その旨の応答情報を端末装置2Cへ返送する。端末装置2Cは移動対象の全ての什器から応答情報を受信すると、各参加者のIDカードに、準備が完了した旨の報知情報を送信して表示する。かくして、参加者はフリースペース内に設定された会議スペースで会議を開始できる。
【0081】
(効果)
以上詳述したように第3の実施形態では、会議への参加人数を内部及び外部別に検出すると共に各参加者の身長を計測し、さらに社内スケジューラから現在の日時をキーに会議の種別又は内容を表す会議スケジュール情報を取得し、上記内部及び外部別の参加者数と会議スケジュール情報をもとに会議に必要な机、椅子及びホワイトボードの配置を指定するレイアウト情報を自動生成すると共に、参加者の身長に応じたサイズの椅子を選択し、さらに上記レイアウト情報に従い机、椅子及びホワイトボードを自走させることで、会議スペースを自動生成するようにしている。
【0082】
したがって、第1の実施形態と同様に、会議の実施条件の取得から会議スペースのレイアウトの決定及び必要な什器の選択、さらには机3、椅子4及びホワイトボード5の移動までの一連の処理が自動的に行われる。このため、会合スペースのレイアウトの生成及び必要な什器の選択作業、さらには什器の移動作業を人手により行う必要がなくなり、これにより会議準備スタッフの労力を大幅に軽減することが可能となる。
【0083】
さらに、会合への参加者の身長が検出され、この検出された参加者の身長に応じたサイズの什器が選択される。このため、参加者それぞれの体型に合ったサイズの什器が選択されることになり、これにより参加者に対し会合スペースにおいてより快適な環境を提供することができる。なお、体型としては身長以外に体重や腰回りのサイズなどを計測するようにしてもよい。
【0084】
[その他の実施形態]
前記各実施形態では会議支援を行うためのシステムを例に説明したが、それに限定されるものではない。例えば、立食パーティの会場で、参加者が立っている位置と人数を検出装置で検出した後、その場所に人数に合った円卓を置くレイアウトを決定し、当該レイアウトに従い円卓を移動させるようにしてもよい。要するに会合の種類は会議には限定されない。
【0085】
また、前記各実施形態では各什器が自走のための移動機構33,43,53を備え、この移動機構33,43,53により各什器の位置を自動的に移動させるようにした。しかし、これに限定されるものではなく、例えば1台以上のロボットに移動対象の什器IDとその移動先を表す座標値を与え、ロボットが上記与えられた什器IDと座標値をもとに移動対象の各什器を移動させるようにしてもよい。さらに、床に固定された什器を床ごと移動させるようにしたり、床に敷かれたレールに沿って什器を移動させるように構成してもよい。
【0086】
さらに、什器を移動させた後に、参加者による什器の位置の修正操作を受け付け、この修正操作により入力された修正情報に応じて対応する基本レイアウトを修正するか、或いは新たなレイアウト情報を作成してレイアウトDBに追加登録するようにしてもよい。
【0087】
さらに前記各実施形態では、端末装置2A,2B,2Cから什器群へ移動制御信号を送信し、各什器3,4,5が上記送られた移動制御信号に含まれる移動先の座標値をもとに移動方向と移動距離を算出して、移動機構33,43,53を制御するようにした。しかしそれに限定されるものではなく、レイアウト情報に基づく什器の移動方向と移動距離の算出を端末装置2A,2B,2Cにおいて行い、その算出結果を移動制御信号に含めて什器3,4,5へ送信するようにしてもよい。この場合、端末装置2A,2B,2Cは移動対象となる各什器3,4,5の位置情報を取得する必要があるが、各什器3,4,5が会議終了後に、予め設定された初期位置に自走して戻る機能を備えている場合には、位置情報の取得は不要である。一方、什器3,4,5が初期位置に復帰する機能を備えていない場合には、端末装置2A,2B,2Cは什器3,4,5との間で通信を行うことで什器から位置情報を取得すればよい。
【0088】
その他、参加者の人数等の実施条件の取得手段、基本レイアウト情報の構成や什器の種類、什器の移動手段等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0089】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。